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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】カメラ
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20241022BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20241022BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20241022BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241022BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20241022BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20241022BHJP
【FI】
G03B17/02
G02B7/02 Z
G03B11/00
G03B15/00 V
G03B17/55
H04N23/51
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019024601
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020134584
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】川村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森 恒
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 朗
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】齋藤 卓司
【審判官】山村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173431(JP,A)
【文献】特開2005-284285(JP,A)
【文献】特開2013-229675(JP,A)
【文献】特開2018-137401(JP,A)
【文献】特開2012-215714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G03B 17/02
IPC G02B 7/02-7/16
IPC G03B 15/00
IPC G03B 30/00
IPC H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のケースと、
前記第一のケースにレーザ溶着されて該第一のケースとともに収納空間を形成する第二のケースと、
前記第二のケースに配置されたレンズと、
前記収納空間に配置され、前記レンズから入射した光を受光する撮像素子と、
前記撮像素子の周辺に配置され、前記レンズ以外から入射した光の前記撮像素子への入光を防止する入光防止部と、
を備え、
前記入光防止部は、前記撮像素子が電気的に接続された回路基板と、前記回路基板の外周の全周を支持し、前記撮像素子の周囲を取り囲むように設けられた第一の支持部と、を有し、
前記第一のケースは、光透過性の材料で形成され、前記第二のケースは、光吸収性の材料で形成されているカメラ。
【請求項2】
前記入光防止部は、
前記第一の支持部と前記回路基板との間に設けられ、光吸収材料又は光反射材料を含む接着剤により形成された接続層を備える
請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記回路基板は、複数の基板が積層された積層基板と、前記基板のそれぞれに形成された複数の導体層と、を有し、
複数の前記基板のそれぞれに形成された導体層により前記回路基板の光の透過を防止する
請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記第一の支持部は、光吸収性の材料で形成され、
前記第一の支持部と前記回路基板との間に接着層を備える
請求項1からのいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項5】
前記第二のケースは、前記レンズを収容する鏡筒と、前記第一のケースと当接する当接部と、前記第一の支持部と、を有し、前記鏡筒、前記当接部及び前記支持部は一体に形成されている
請求項1からのいずれか一項に記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車載カメラのように、屋外で撮影するためのカメラが広く用いられている。このようなカメラは、例えば外装ケースと、ケース内に配置された撮像素子とケースから外部に露出するように設けられたレンズ等を有する光学ユニットとを備えており、外装ケースによってこの光学ユニットを機械的振動、衝撃や、薬品、外光等から保護している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-161750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような外装ケースは、例えば2つに分割された外装ケース同士をネジ止め又は接着剤を用いて接着することにより形成される。このため、従来のカメラは、複数のネジを取り付ける工程や、接着剤を塗布し、それを乾燥、硬化させる工程が必要となるため組み立てが煩雑となっていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高い気密性を保ちつつ組み立てが容易なカメラを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るカメラは、第一のケースと、第一のケースに接合されて該第一のケースとともに収納空間を形成する第二のケースと、第二のケースから外部に露出して配置されたレンズと、収納空間に配置され、レンズから入射した光を受光する撮像素子と、撮像素子の周辺に配置され、レンズ以外から入射した光の撮像素子への入光を防止する入光防止部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、高い気密性を保ちつつ組み立てが容易なカメラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係るカメラの一構成例を示す外観斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るカメラの一構成例を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るカメラの一構成例を示す上面図及び断面図である。
図4】カメラに用いられる撮像素子の分光感度特性を示すグラフである。
図5】本発明の第一実施形態に係るカメラに設けられた回路基板の一構成例を示す断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るカメラの一構成例を示す断面図である。
図7】本発明の第三実施形態に係るカメラの一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
【0010】
1.第一実施形態
以下、第一実施形態に係るカメラについて、図1から図5を用いて説明する。第一実施形態に係るカメラは、例えば、車両の前方又は後方に取り付けられて車両周辺の画像を取得する車載用カメラである。
【0011】
<カメラの基本構成>
図1から図3は、第一実施形態に係るカメラ100の一構成例を説明するための図である。図1(A)はカメラ100の前方から見た外観斜視図、図1(B)はカメラ100の後方から見た外観斜視図である。図2(A)はカメラ100の前方から見た分解斜視図、図2(B)はカメラ100の後方から見た分解斜視図である。図3(A)は、カメラ100の正面図であり、図3(B)は、図3(A)のIIIB-IIIB断面を示す断面図である。図4は、カメラ100に設けられる撮像素子と、撮像素子が電気的に接続される回路基板の一構成例を説明する断面図である。
本実施形態では、レンズ130が露出するカメラ100の一面を正面、カメラ100の正面と反対側の面を背面として説明する。
【0012】
カメラ100は、第一のケースの一例であるリアケース110と、第二のケースの一例であるフロントケース120と、レンズ130と、撮像素子160と、入光防止部(後に詳細に説明する)とを備えている。
【0013】
(ケース)
カメラ100は、ケースとしてリアケース110及びフロントケース120を備えている。
リアケース110は、カメラ100の図1(A)における背面側のケースである。リアケース110は、カメラ100に電力を供給し、またカメラ100で撮影した画像(映像)を車両に取り付けられた表示装置(例えばカーナビゲーションシステム)に対して送信するためのケーブル(不図示)が取り付けられる取付部112を有している。リアケース110は、取付部112の側に、ケーブルをネジ止めにより固定するための固定部113a,113bを有している。
リアケース110は、フロントケース120と当接する当接部111を有している。図3(B)に示すように、当接部111は、例えば断面L字形状に形成されており、フロントケース120と嵌め合わせるための突出部を有する形状に形成されている。当接部111のフロントケース120と当接する当接面111aは、フロントケース120と接合されている。
【0014】
フロントケース120は、カメラ100の図1(A)における正面側のケースであり、リアケース110に接合されて、リアケース110とともに空間S1と空間S2に区画される収納空間Sを形成する。具体的には、フロントケース120は、リアケース110にレーザ溶着で接合されていることが好ましい。フロントケース120とリアケース110とをレーザ溶着で接合させることにより、リアケース110とフロントケース120とを容易に接合させせることができる。また、フロントケース120は、リアケース110と当接する当接面111aの全周がリアケース110と接合されることが好ましい。これにより、カメラ100内部の収納空間Sの気密性を高く保つことができる。
【0015】
フロントケース120は、レンズ130を外部に露出させるための開口120aを有している。フロントケース120は、レンズ130を収容する鏡筒121を有している。
【0016】
フロントケース120は、リアケース110と当接する当接部122を有している。当接部122の内側には、溝部123が設けられており、リアケース110の当接部111の一部が溝部123嵌め合わせ可能に形成されている。例えば、当接部111の断面がL字形状に形成されている場合、当接部111のL字形状の一部である突出部が溝部123に嵌め合わされる。当接部122のリアケース110と当接する当接面122aは、リアケース110の当接面111aと接合される。
なお、リアケース110の当接部111とフロントケース120の当接部122とが溶着されて接合部Wが形成されている。
【0017】
フロントケース120は、当接部122の内側に第一の支持部として支持部124を有している。図3(B)に示すように、支持部124の先端には支持部124と回路基板150とを接続するための接続層180が設けられている。支持部124は、先端が接続層180を介して回路基板150の一方の面(撮像素子160が実装される側の面)と当接し、回路基板150の外周を支持するように設けられている。本実施形態では、図2(B)に示すように、フロントケース120には中空四角柱形状の支持部124が設けられており、図3(B)に示すように、支持部124は、接続層180を介して矩形状の回路基板150の四辺に当接している。
【0018】
リアケース110及びフロントケース120のいずれか一方は、光透過性の材料で形成され、他方は光吸収性の材料で形成される。リアケース110の当接面111aとフロントケース120の当接面122aとを当接させ、光透過性の材料で形成されたケース側から前述の当接した箇所にレーザ光を照射する。レーザ光は透過性の材料で形成されたケースを透過し、光吸収性の材料で形成されたケースに吸収される。これにより、リアケース110及びフロントケース120の境界部分において局所的に発熱しリアケース110当接面111aとフロントケース当接面122aとが溶着される。特に、リアケース110が光透過性の材料で形成され、フロントケース120が光吸収性の材料で形成されることが好ましい。レンズ130が配置されるフロントケース120は、特に外光に晒される面となる。このため、カメラ100の前面側に配置されるフロントケース120は光を透過しない光吸収性の材料で形成されることが好ましい。これによりカメラ100前面に配置されたレンズ130以外からのカメラ100の内部(収納空間S)への入光を抑制することができる。
【0019】
また、リアケース110を光吸収性の材料で形成し、フロントケース120が光透過性の材料で形成してもよい。この場合、フロントケース120の当接部122を除く部分の内壁面又は外壁面に、外光を反射する反射層又は外光を吸収する光吸収層の少なくとも一方を設けることが好ましい。これにより、リアケース110とフロントケース120とをレーザ溶着により接合することを可能としつつ、カメラ100正面のレンズ130以外の領域からカメラ100内部(収納空間S)に外光が入射することを抑制することができる。
以下、リアケース110が光透過性の材料で形成され、フロントケース120が光吸収性の材料で形成された場合について説明する。
【0020】
光透過性の材料としては、レーザ溶着時に用いるレーザ光が透過する材料であればよく、成型性の観点から樹脂材料であることが好ましい。一般的に樹脂材料同士のレーザ溶着に用いるレーザ光の波長は800nmから1200nm程度である。光透過性の材料としては、例えばポリアミド(PA)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が挙げられる。
【0021】
光吸収性の材料としては、レーザ溶着に用いるレーザ光及びカメラ100外部からの光を透過させない材料であればよく、光吸収性の材料としては、成型性の観点から樹脂材料であることが好ましい。特に、光吸収性の材料としては、撮像素子160が感度を有する波長の光を透過させない材料であればよい。
光吸収性の材料としては、例えばポリアミド(PA)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等を基材とし、例えば必用に応じこれに粉末状の炭素材料等を添加し、光を吸収する特性を持たせたものが挙げられる。
【0022】
(レンズ)
レンズ130は、フロントケース120に配置されており、撮像対象からの光をカメラ100内に取り込み撮像素子160上に結像させる機能を有する。レンズ130は、例えば複数枚のレンズで構成されたレンズユニットであっても良い。レンズ130は、フロントケース120の鏡筒121内に配置されている。レンズ130は、開口120aからカメラ100の外部に露出し、カメラ100の前面側にレンズ面130aを向けて配置される。レンズ面130aは、光の入射面となる。レンズ130のレンズ面130aと反対側の面(背面)は、光の出射面となる。レンズ130の背面には、映し出すべき画とは違う光が画像に現れる原因となることから撮像素子160において不要な光となる赤外光の透過を制限するための赤外線カットフィルタ140が設けられている。
【0023】
(撮像素子)
撮像素子160は、リアケース110とフロントケース120とで形成された収納空間Sに配置される。撮像素子160は、レンズ130側の表面(撮像面)に受光素子を有しており、レンズ130から入射した光を受光して電気信号に変換する。撮像素子160としては、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ、又はその他の固体撮像素子イメージセンサが用いられる。
【0024】
(回路基板)
回路基板150は、撮像素子160及び電源モジュール170、並びに各電子部品が電気的に接続されて構成されている。回路基板150のレンズ130側の面には、撮像素子160が接続されている。また、回路基板150のレンズ130と反対側の面には、電源モジュール170及び各電子部品が接続されている。回路基板150は、リアケース110の取付部112に取り付けられたケーブルの接続端子と電気的に接続される。電源モジュール170は、ケーブルを介して供給される電力を制御し、撮像素子160を駆動する。
【0025】
(接続層)
フロントケース120の支持部124と回路基板150との間には、接続層180が備えられる。接続層180は、接着剤が固化して形成され、支持部124と回路基板150とを接着する。
【0026】
<入光防止部の構成>
入光防止部180は、撮像素子160の周辺に配置され、レンズ130以外から入射した光の撮像素子160への入光を防止する機能を有する。本実施形態において、入光防止部は、撮像素子160の周辺に配置された回路基板150と支持部124と接続層180とにより形成される。
以下、入光防止部の機能について図4を用いて説明する。図4は撮像素子160の分光感度特性の一例を示すグラフである。なお、図4において、点線で示す特性は青色光(B)の分光感度特性、一点鎖線で示す特性は緑色光(G)の分光感度特性、二点鎖線で示す特性は赤色光(R)の分光感度特性である。
【0027】
前述の通りリアケース110とフロントケース120とをレーザ溶着により接合するために、リアケース110及びフロントケース120のいずれか一方は光透過性材料で形成されている。レーザ溶着では、800nmから1200nm程度の可視光よりもやや長い波長のレーザ光を発光するダイオードレーザやYAGレーザが一般的に用いられる。このため、光透過性材料で形成されたケースは、レーザ光の波長範囲を含む波長の光を透過する。
【0028】
一方、自然光は、300nmから3000nm程度の広い波長範囲の光を含んでいる。このため、光透過性材料で形成された一方のケースは、カメラ100の使用時にレーザ光の波長を含む波長範囲の自然光も透過させてしまう。
図4に示すように、撮像素子160は、可視光の範囲の波長(400nmから750nm程度)のみでなく、可視外光の範囲の波長(>750nm)に対しても感度を有している。このため、レンズ130以外から入射した光(自然光)が撮像素子160に入光すると、この光が撮像素子160によって捉えられてしまう。この光は、出力画像には例えば被写体の画像の上に不定形の光の筋等のノイズとして現れる。これにより被写体の認識精度は低下してしまう。
【0029】
そこで、本実施形態にかかるカメラ100は、撮像素子160の周辺に入光防止部を設け、レンズ130以外から入射した光の撮像素子160への入光を防止している。入光防止部により、カメラ100で撮影した画像上に現れる前述のノイズを防止することが可能となる。
【0030】
以下、本実施形態において入光防止部を構成する回路基板150、支持部124と、支持部124と回路基板150との間に設けられた接続層180についてより詳細に説明する。
【0031】
(回路基板)
図5は回路基板150の断面図である。回路基板150は、例えば、図5に示すように複数(図5中では4枚)の基板151a~151dが積層された積層基板であり、基板151a~151dのそれぞれには導体層152a~152dが形成されている。導体層152a~152dは、ビアホールを介して互いに接続されていても良い。
基板151a~151dは、紙、ガラス不織布、ガラス織布又はガラス繊維等の材料とエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の樹脂材料とを用いて形成された一般的な基板が用いられる。また、導体層152a~152dは、銅(Cu)、等の金属材料で形成される。
【0032】
回路基板150は、カメラ100内部の収納空間Sをカメラ100正面側とカメラ100背面側とに区画するように配置されている。回路基板150は、入光防止部として機能するために、カメラ100の背面側から見た場合の回路基板150の厚さ方向であるA方向から見た場合に、複数の基板151a~151dのそれぞれに形成された複数の導体層152a~152dのいずれか同士が重なり、導体層が回路基板150の全ての領域にを覆うように形成されている。すなわち、回路基板150をA方向から見た場合に、異なる基板上に形成された導体層152a~152dが隙間なく配置されて、複数の基板151a~151d全体で光を透過しない回路基板150を形成している。
【0033】
(接続層)
接続層180は、支持部124と回路基板150との間に配置され、支持部124と回路基板150とを接続する、接続層180は、光吸収材料又は光反射材料を含む熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂等の樹脂材料で構成された接着剤を乾燥又は硬化することにより形成される。光吸収材料としては、例えば粉末状の炭素等が、光反射材料としては、例えば粉末状のアルミナ等が挙げられる。これにより、接続層180は、光を透過しない不透過層となる。
なお、接続層180は、支持部124と回路基板150との間のみでなく、支持部124と回路基板150との当接部分の外周に形成しても良い。接続層180が支持部124及び回路基板150の境界を塞ぐように設けられることで、より光の透過を防止することができる。
【0034】
(支持部)
支持部124は、フロントケース120と一体に形成され、光吸収性の材料で形成されている。支持部124は、回路基板150の撮像素子160実装側の面に、接続層180により接続される。これにより、支持部124は、光を透過しない不透過層となる。
【0035】
(入光防止部)
光を透過しない回路基板150、支持部124及び接続層180で形成された入光防止部は、カメラ100内部の収納空間Sを、レンズ130側の空間S1とその他の空間S2に区画する。撮像素子160は、レンズ130側の空間S1に配置される。このため、光透過性の材料で形成されたリアケース110を透過した光は、入光防止部により空間S1に入光しない。このため、撮像素子160は、リアケース110を透過した光を受光することなく、撮像画像(映像)の劣化や画像処理時の認識精度の低下が生じることを抑制することができる。
【0036】
<第一実施形態の効果>
第一実施形態に係るカメラ100は、以下の効果を有する。
(1)カメラ100は、リアケース110及びフロントケース120をレーザ溶着等により接合するため、組み立てが容易である。
(2)カメラ100は、フロントケース120とリアケース110との当接面の全面がレーザ溶着等により接合されるため、カメラ100内部の高い気密性を保つことができる。
【0037】
(3)カメラ100は、リアケース110及びフロントケース120をレーザ溶着等により接合するため、ネジや接着剤等を用いる必要がなく、低コスト化が可能である。
(4)カメラ100は、入光防止部が設けられることにより、透光性材料で形成されたケースから外光が入光することによる出力画像のノイズを防止することができる。
【0038】
<第一実施形態の変形例>
(1)カメラ100において、リアケース110の内壁面又は外壁面に反射層又は光吸収層の少なくとも一方を設けてもよい。このとき、リアケース110のフロントケース120との当接面には、反射層及び光吸収層は形成しない。これにより、リアケース110とフロントケース120とのレーザ溶着を可能にしつつ外光がリアケース110を透過してカメラ100内部に入光することを防止し、撮像素子160への不要な光の入光を防止することができる。
(2)カメラ100において、フロントケース120の内壁面に光吸収層を設けてもよい。これにより、例えばリアケース110を透過して外光がカメラ100内部に入光した場合であっても、外光がフロントケース120の内壁面で反射するのを抑制し、撮像素子160への不要な光の入光をより防止することができる。
【0039】
2.第二実施形態
以下、本発明の第二実施形態について、図1から図4を参照しつつ、図6を用いて説明する。図6は、第二実施形態にかかるカメラ200の構成を示す断面図であり、第一実施形態にかかるカメラ100の図3(B)に示す断面(図3(A)のIIIB-IIIB断面)に相当する。
【0040】
<カメラの構成>
カメラ200は、フロントケース120が、支持部124よりも内側又は外側に、回路基板150を支持する支持部125(第二の支持部の一例)を有している点で第一実施形態に係るカメラ100と相違する。また、カメラ200は、支持部125と回路基板150との間に設けられた放熱層182を有する点で第一実施形態に係るカメラ100と相違する。
【0041】
支持部125は、フロントケース120と一体に形成され、光吸収性の材料で形成されている。また、放熱層182は、例えば光吸収性及び放熱性を有する材料で形成される。光吸収性及び放熱性を有する材料としては、例えば放熱シリコンゴムが挙げられる。これにより、回路基板150の熱を、放熱層182を介してフロントケース120に放熱させることができる。また、放熱層182は、支持部125と回路基板150とを接続する機能も有している。
【0042】
第二実施形態に係るカメラ200は、入光防止部として、回路基板150、支持部125及び放熱層182とを備える。支持部125は、支持部124と同様に略中空四角柱形状を有しており、撮像素子160を取り囲むようにして回路基板150を支持する。このため、光透過性の材料で構成されたリアケース110を透過した光は、入光防止部により空間S1に入光しない。このため、撮像素子160は、回路基板150の放熱を行いつつ、リアケース110を透過した光の入光を防止し、出力画像のノイズを防止することができる。
【0043】
<第二実施形態における効果>
第二実施形態に係るカメラ200は、第一実施形態における効果(1)~(4)に加えて、以下の効果を有する。
(5)カメラ100は、回路基板150の放熱性を向上させることができる。
【0044】
<第二実施形態の変形例>
第二実施形態に係るカメラ200では、光を透過させない材料で構成された接続層180を設ける代わりに、一般的な接着剤で形成された接着層を設けても良く、支持部124又はその他の部分に対して回路基板150をネジ止め等により固定しても良い。第二実施形態に係るカメラでは、回路基板150、支持部125及び放熱層182が入光防止部として機能する。このため、接続層180や支持部124が設けられていなくても十分に入光防止効果が得られる。
【0045】
3.第三実施形態
以下、本発明の第三実施形態について、図1から図4を参照しつつ、図7を用いて説明する。図7は、第三実施形態に係るカメラ300の構成を示す断面図であり、第一実施形態にかかるカメラ100の図3(B)に示す断面(図3(A)のIIIB-IIIB断面)に相当する。
【0046】
<カメラの構成>
カメラ300は、光を透過させない材料で形成されたカバー部材390を備える点で第一実施形態に係るカメラ100と相違する。
第三実施形態では、カバー部材390が入光防止部として機能する。カバー部材390は、回路基板150の光透過性の材料で形成されたケース側(本実施形態においてはリアケース110側)に配置される。これにより、リアケース110を透過して入光した光等のレンズ130から入射した光が撮像素子160に入光することを防止することができる。
カバー部材390としては、静電気や電波を防ぐために金属材料で形成されたシールド部材や、リアケース110からの光の透過を制限するためのフィルタ部材が挙げられる。
【0047】
<第三実施形態における効果>
第三実施形態に係るカメラ300は、第一実施形態における効果(1)~(4)と同様の効果を有する。
【0048】
<第三実施形態の変形例>
第三実施形態に係るカメラ300では、光を透過させない回路基板150に代えて、一般的に用いられる回路基板を設けても良い。カメラ300は、回路基板の光透過性の材料で形成されたケース側にカバー部材390を備えるため、カバー部材390が回路基板150と同様の機能を有する。
【0049】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
例えば、各実施形態に記載されたセンサデバイスは、センサ素子の代わりに発光素子が用いられた発光デバイスであっても良い。
【符号の説明】
【0050】
100,200,300 カメラ
110 リアケース
111 当接部
111a 当接面
112 取付部
113a,113b 固定部
120 フロントケース
120a 開口
121 鏡筒
122 当接部
122a 当接面
123 溝部
124,125 支持部
130 レンズ
130a レンズ面
140 フィルタ
150 回路基板
151a~151d 基板
152a~152d 導体層
160 撮像素子
180 接続層
182 放熱層
390 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7