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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】治療薬送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20241022BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/24
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019571524
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018040282
(87)【国際公開番号】W WO2019006296
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】62/527,408
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、コートニー
(72)【発明者】
【氏名】バートン、スコット
(72)【発明者】
【氏名】バージェス、バート
(72)【発明者】
【氏名】ゴラルトチョウク、アレクセイ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/081421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬送達デバイスであって、
遠位端部と、近位端部と、前記遠位端部と前記近位端部との間に延在する管腔とを含む管状体であって、管状体の外側表面は管腔と連通する第1の開口部を含み、第1の開口部は第1の開口部周縁に囲まれており、第1の開口部周縁は略円形または楕円形を有しており、管状体の外側表面は、さらに、第1の開口部周縁の周囲に延在するレッジを含み、レッジは第1の開口部周縁から第1の幅だけ離れて延在しており、管状体の近位端部に最も近い位置にあるレッジの近位端部は、管状体の近位端部の方向を示す矢尻として成形されており、レッジの近位端部、第1の開口部周縁からレッジの近位端部の先端までの距離である第2の幅を有しており、第2の幅はレッジの他の部分の幅よりも大きい、管状体と、
前記管状体の近位端部に係合するように構成されるキャップであって、中心縦軸と、第1の断面寸法を有する遠位端と、第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有する近位端とを含み、さらに、遠位端から近位端まで半径方向の外向きに延在する側壁を含み、側壁は、側壁の外側表面から突出するとともに、前記中心縦軸の方向に延在する突起を含む、キャップと、を備える、治療薬送達デバイス。
【請求項2】
治療薬送達デバイスは自己注射器である、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項3】
前記管腔はその内部にシリンジを受容するように構成される、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項4】
前記シリンジは治療薬の体積を含み、前記第1の開口部は、治療薬の体積の可視化を可能にするように構成される、請求項3に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項5】
前記キャップが前記管状体と係合しないとき、前記レッジは前記管状体の回転を制限するように構成される、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項6】
前記キャップが前記管状体と係合するとき、前記突起だけが治療薬送達デバイスの回転を制限するように構成される、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項7】
前記突起は複数の突起を含む、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項8】
前記複数の突起のうちの各突起は、隣接する突起から円周方向に離間している、請求項7に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項9】
隣接する突起の間に配置され、かつ、前記キャップの側壁の外側表面に形成されている凹部をさらに備える、請求項7に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項10】
前記突起は第1の端及び第2の端を含み、前記突起の第1の端は第1の距離だけ前記キャップの中心縦軸から離間し、前記突起の第2の端は、第1の距離よりも大きい第2の距離だけ、前記キャップの中心縦軸から離間している、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項11】
前記管状体の外側表面は、さらに、前記第1の開口部に対して直径方向において反対側に配置される第2の開口部を含む、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項12】
治療薬送達デバイスはデュピルマブを含有する、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【請求項13】
前記キャップは、前記側壁の外側表面に形成されるとともに、矢尻状形状を有する凹部を含む、請求項1に記載の治療薬送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器に関し、具体的には治療薬送達デバイスに関する。
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第62/527,408号(2017年6月30日出願)に対する優先権を主張し、その開示全体は、本明細書に参照により、本明細書によって組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の様々な実施形態は、送達デバイスの回転を減らす及び/または防止するように構成される1つ以上のアンチロール特徴を有する治療薬送達デバイス(例えば、自己注射器または他の注射デバイス)に関する。アンチロール特徴は、送達デバイスの本体上だけに、送達デバイスに取り外し可能に係合するように構成されるキャップ上だけに、または送達デバイスの本体上及びキャップ上の両方に提供され得る。
【0003】
(特許文献1)に示されるように、例えば、注射デバイスは、デバイスが表面側に設置されるとき(例えば、デバイスの縦軸が表面に平行またはそうでなければ実質的に平行であるとき)、表面にわたって回転の影響を受けやすい管状筐体を含み得る。したがって、デバイスの回転を防止するように設計された1つ以上のアンチロール特徴の必要性がある。
【0004】
さらに、注射デバイスは、針がユーザの体内に穿通するように延在し得る注射端を有する。不注意の針損傷及び/または針に対する損害を防止するために、注射端をユーザに、容易に伝える、及び/またはそうでなければ注射端を示す必要性がある。(特許文献2)に説明される注射デバイスには、示された注射デバイスの注射端を指す矢印が提供されている。しかしながら、提供された矢印は、注射デバイスの外側表面と同一平面にあり、ひいては、例えば、視覚障害により把握することが困難または不可能である。さらに(特許文献2)に説明される注射デバイスの回転は、略長方形断面構成を伴う注射デバイスを提供することによって妨げられる。しかしながら、回転を妨げるための別の特徴(例えば、長方形断面構成)を伴う注射デバイスを提供することと、過度に注射端(例えば、印刷された矢印)を示すこととは、製造を複雑にし、コストを増加させる。
【0005】
したがって、また、ユーザが、視力があるか、または視覚障害であるかどうかにかかわらず、ユーザに注射端を示すように構成される注射デバイスのアンチロール特徴の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8529510号明細書
【文献】米国意匠特許発明第677380号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に従って、治療薬送達デバイスは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の部との間に延在する管腔とを含む管状体を含み得る。管状体の外側表面は、管腔と連通する第1の開口部を含む。管状体の外側表面は、さらに、第1の開口部の周縁の周囲に延在するレッジを含み得、管状体の第2の端部に最も近いレッジの一部は、矢尻のように成形され得る。治療薬送達デバイスは、また、管状体の第2の端部に係合するように構成されるキャップを含み得、キャップは、中心縦軸と、第1の断面寸法を有する第1の端と、第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有する第2の端とを含み得る。キャップは、さらに、第1の端から第2の端まで半径方向の外向きに延在する側壁を含み得、側壁は突起を含み得る。
【0009】
治療薬送達デバイスの様々な実施形態は、以下の態様の1つ以上のものを含み得る。治療薬送達デバイスは自己注射器であり得る。治療薬送達デバイスの管腔は、管腔内にシリンジを受容するように構成され得、シリンジは治療薬の体積を含み得、第1の開口部は、治療薬の体積の可視化を可能にするように構成される。治療薬送達デバイスのキャップが管状体と係合しないとき、レッジは管状体の回転を制限するように構成され得る。治療薬送達デバイスのキャップが管状体と係合するとき、突起だけが治療薬送達デバイスの回転を制限するように構成され得る。キャップの突起は複数の突起を含み得、複数の突起のうちの各突起は、隣接する突起から円周方向に離間し得る。治療薬送達デバイスのキャップは、隣接する突起の間に配置される凹部を含み得、突起は第1の端及び第2の端を含み、突起の第1の端は第1の距離だけキャップの中心縦軸から離間し、突起の第2の端は、第1の距離よりも大きい第2の距離だけ、キャップの中心縦軸から離間している。治療薬送達デバイスの管状体の外側表面は、さらに、第1の開口部に対して直径方向において反対側に(diametrically opposite to)配置される第2の開口部を含み得る。
【0010】
別の態様では、本開示は、第1の端部、第2の端部、及び中心縦軸を含む管状体を有する、治療薬送達デバイスを含み、管状体の外側表面は中心縦軸から離れるように延在する幾何学構成を含み、幾何学構成の一部は矢尻のように成形され、幾何学構成は管状体の回転を制限するように構成される。治療薬送達デバイスは、さらに、管状体の第2の端部に係合するように構成されるキャップを含み、キャップは、キャップの内部と連通する開口部を含む第1の端と、端壁を有する第2の端と、第1の端から第2の端まで半径方向の外向きに延在する側壁とを含み得、側壁はキャップの回転を制限するように構成される突起を含む。
【0011】
治療薬送達デバイスの様々な実施形態は、以下の態様の1つ以上のものを含み得る。治療薬送達デバイスの管状体の外側表面は複数の幾何学構成を含み得、幾何学構成のそれぞれは、矢尻のように成形される一部を含み得る。幾何学構成は管状体の外側表面上で相互から円周方向に離間し得、管状体の外側表面は窓を含み、幾何学構成は窓の一部を囲む。窓は管状体の内部の可視化を可能にする。キャップの側壁は、相互から円周方向に離間している複数の突起を含み得る。
【0012】
本明細書の一部に組み込まれ及びそれを構成する付随の図面は、様々な例示的実施形態を示し、その説明と一緒に、開示された実施形態の原理を説明する役割を果たす。図面は本開示の異なる態様を示し、適切な場合、異なる図の同様の構造、構成要素、材料、及び/または要素を示す参照数字は、同様に標識化される。具体的に示されるもの以外の構造、構成要素、及び/または要素の様々な組み合わせは想到され、本開示の範囲内にあることが理解される。
【0013】
本明細書に説明及び示される多くの発明が存在する。説明される発明は、任意の単一の態様にもその実施形態にも限定されない、また、係る態様及び/または実施形態の任意の組み合わせ及び/または順列に限定されない。さらに、説明される発明の態様及び/またはその実施形態のそれぞれは、単独で、または、説明される発明の他の態様及び/またはその実施形態の1つ以上と組み合わせて採用され得る。簡潔にするために、ある順列及び組み合わせは、本明細書に別個に説明されない及び/または示されない。顕著に、「例示的」として本明細書に説明される実施形態または実施態様は、例えば、他の実施形態または実施態様にわたって、好ましいまたは有益であるとして解釈されない。むしろ、実施形態(複数可)が「例示的」な実施形態(複数可)であることを反映する、または示すことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本開示の一実施形態に従って、例示的な治療薬送達デバイスの側面図を提供する。
図1B図1Aの治療薬送達デバイスの分解図を提供する。
図1C】一実施形態に従って、デバイスがシリンジアセンブリ及び電源函を含有する、線X-Xに沿った図1Aの治療薬送達デバイスの断面図を提供する。
図2A図1Aの治療薬送達デバイスの筐体の斜視図を提供する。
図2B図1Aに示される視点に対して筐体が90度回転している、図2Aに示される筐体の側面図を提供する。
図2C図2Bに示される視点に対して筐体が90度回転している、図2Aに示される筐体の別の側面図を提供する。
図3A図1Aに示されるもの等の本開示の治療薬送達デバイスの例示的キャップの斜視図を提供する。
図3B図3Aに示されるキャップの側面図を提供する。
図3C図3Aに示されるキャップの断面図を提供する。
図3D図3Cに示される凹部の近接図を提供する。
図3E図3Aに示されるキャップの上面図を提供する。
図4A図1Aに示されるもの等の本開示の治療薬送達デバイスの代替の例示的キャップの斜視図を提供する。
図4B図4Aに示されるキャップの断面図を提供する。
図4C図4Bに示される凹部の近接図を提供する。
図5A図1Aに示されるもの等の本開示の治療薬送達デバイスの別の代替の例示的キャップの斜視図を提供する。
図5B図5Aに示されるキャップの側面図を提供する。
図5C図5Aに示されるキャップの底面図を提供する。
図5D図5Aに示される凹部の近接図と、凹部のいくつかの寸法とを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に使用されるような用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、またはそれらの任意の他の変形例は非排他的な包含を対象にするように意図され、それにより、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素だけを含まないが、明示的に列挙されない他の要素、または、係るプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有ではない他の要素を含み得る。用語「例示的」は「理想的」よりもむしろ「実施例」という意味で使用される。加えて、用語「第1の」、「第2の」、及び同等物は、本明細書では、任意の順序、量、または重要性を示さないが、むしろ、別のものと、要素、構造を区別するために使用される。さらに、用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書では、量の制限を示さないが、むしろ、1つ以上の参照アイテムの存在を示す。
【0016】
用語「遠位端」またはその任意の変形例は、注射作業中に、患者の注射部位または治療薬送達部位から最も遠いデバイスの部分を指す。逆に、用語「近位端」またはその任意の変形例は、注射作業中に、患者の注射部位または治療薬送達部位から最も近いデバイスの部分を指す。さらに、本明細書に使用されるような用語「約」、「実質的に」、及び「大体」は、概して、表示値の+/-10%を意味する。
【0017】
本開示の実施形態は、管状体及び/またはキャップ上のアンチロール特徴を伴う治療薬送達デバイス(例えば、自己注射器または他の注射デバイス)に関する。係る特徴は、デバイスの位置に対する予測可能性を提供することによって、自己注射器の使用を容易にする。例えば、説明される自己注射器上のアンチロール特徴は、自己注射器が、不注意に、例えば、テーブルもしくはカウンタの表面から転がり落ちるであろう可能性、またはユーザから離れるように転がるであろう可能性を減らし得る。一実施形態では、自己注射器の筐体の外側表面は、筐体の回転を減らす、またはそうでなければ筐体の回転を防止する1つ以上の隆起部分または幾何学構成を含み得る。隆起部分または幾何学構成は、また、ユーザに自己注射器の注射端(針がユーザの体内に延在し得る)を示すように構成され得る。他の実施形態では、自己注射器は、自己注射器の注射端を覆うように構成されるキャップを含み得る。係る実施形態では、キャップは、また、アンチロール特徴が提供され得る。自己注射器の様々な実用的な特性及び特徴が本明細書に説明されており、それらの特性及び特徴のいくつかの変形例が説明されているが、それらの特性及び特徴は、本開示に従ったデバイスでは、またはデバイスの一部として、いくつかの美的な方法で提示され得ることが当業者によって理解されるであろう。本明細書の特性または特徴上で1つまたは少数の可視の変形例を示す際に、本開示は、示される変形例によって限定されることが意図されない。本開示の態様は、下記により詳細に説明される。
【0018】
図1Aに示されるように、例示的な治療薬送達デバイス100は、限定ではないが、自己注射器を含む注射デバイスを含み得る。送達デバイス100は、遠位端部101a及び近位端部101bを含み得る。送達デバイス100は、細長い筐体104と、筐体104の近位端に取り外し可能に係合するように構成されるキャップ102とを含み得る。遠位端部101aは、筐体104内に開口部を含み得る。図2Aに示されるように、係る開口部はキャップによって閉鎖され得る。キャップは、任意の適切なサイズまたは構成を有し得る。いくつかの実施形態では、キャップは、遠位端部101aが送達デバイス100の注射端ではないことをユーザに明確に伝えるように、筐体104の遠位端部101aと同一平面上または実質的に同一平面上にあり得る。筐体104は、略円断面構成を含み得る。いくつかの実施形態では、しかしながら、筐体104は、限定ではないが、長方形、三角形、または卵型を含む、任意の適切な断面構成を含み得る。筐体104は、限定ではないが、ガラス、樹脂、金属、ゴム、シリコーン、またはそれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、筐体104は、概して、不透明であり得る。他の実施形態では、しかしながら、筐体104は、筐体104内で可視化を可能にするような1つ以上の透明部または半透明部を含み得る。例えば、下記にさらに詳細に説明されるように、筐体104は、係る可視化を可能にするような1つ以上の開口部または窓を含み得る。いくつかの実施形態では、窓は、例えば、ガラスまたは樹脂等の透明材または半透明材によって覆われ得る。
【0019】
筐体104は、管腔105及び外側表面108を含み得る。外側表面108は、筐体104内の可視化を可能にするように、または筐体104の管腔105(図2B)の内部の中身の可視化を可能にするように構成される、開口部または窓(例えば、図1Bに示される開口部112)を含み得る。単一の開口部112は図1Aに示されるが、筐体104は、例えば、2つの開口部、3つの開口部、または4つの以上の開口部を含む、より大きい数の開口部112が提供され得る。いくつかの実施形態では、しかしながら、筐体104は、いずれかの開口部なしで提供され得る。複数の開口部112を有する実施形態では、開口部112は、外側表面108の周囲で円周方向に離間し得る。例えば、2つの開口部112は、相互に直径方向において反対側に位置付けられ得る。加えて、または代替として、開口部112は、外側表面108上で、相互から縦方向に離間され得る。例えば、第1の開口部112及び第2の開口部112は、外側表面108上の略同じ半径方向位置に(しかし、軸X-Xに沿って縦方向に離間される)位置付けられ得る。さらに、開口部112は任意の適切な構成を含み得る。例えば、開口部112は、円、長方形、三角形、五角形、八角形、または楕円として成形され得る。図1Aに示されるように、例えば、開口部112は細長い構成を含み得る。例えば、開口部112の幅は約7.5mmであり得、開口部の長さは約31.9mmであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、筐体104が1mL未満のものを保持するように構成されるシリンジ106を受容するように構成されるとき、開口部112の長さは、約31.9mmよりもかなり短い長さであり得る。開口部112の幅は、一定であり得る、またはその長さに沿って変動し得る。例えば、開口部112の近位部の幅は、開口部112の遠位部の幅よりも大きい場合があり、それによって、略矛形構成を伴う開口部112を提供する。いくつかの実施形態では、開口部112の側壁は相互から離れるように先細りになり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、開口部112の近位端はユーザに注射端を示すように構成され得る。例えば、開口部112の最近位側は、キャップ102の方向を「指す」頂点で終端するように構成され得る。代替として、開口部112の最近位側は、キャップ102の方向を指す矢尻として構成され得る。
【0021】
上記に示したように、外側表面108は、筐体104の回転を防止またはそうでなければ抑制するように構成される1つ以上のアンチロール特徴を含み得る。例えば、筐体104は、開口部112の周りに配置される1つ以上の突起を含み得る。下記にさらに詳細に説明されるように、アンチロール特徴(複数可)は、図1A図1C及び図2A図2Cに示されるように、ならびに下記にさらに詳細に説明されるように、開口部112の周縁の一部または全体を囲む、隆起レッジ114を含み得る。具体的には、本開示は、レッジ114が、開口部112の周囲で100%、開口部112の周囲で100%未満、開口部112の周囲で75%未満、開口部112の周囲で40%未満、開口部112の周囲で30%未満、または開口部112の周囲で20%未満だけ延在し得ることを想到する。当業者は、外側表面108が開口部112を含まない場合でさえ、説明されるアンチロール特徴が外側表面108上に提供され得ることを容易に認識することであろう。さらに、複数の開口部112が外側表面108上に提供される実施形態では、1つ以上の開口部112は関連レッジ114を含まない場合がある、または、全ての開口部112は関連レッジ114を含み得る。それにもかかわらず、本開示は、外側表面108上の複数のレッジを想到する。さらに、外側表面108は、取扱い中、ユーザによる握りを促進するように構成される1つ以上の幾何学的特徴を含み得る。係る幾何学的特徴は、質感、突起、凹状スカロップ、及び/または低強度の加熱によって活性化される接着剤材(例えば、ユーザの手の熱によって活性化するとき、一時的な接着表面を提供するように構成される材料)を含み得る。
【0022】
レッジ114は任意の適切な構成を含み得る。例えば、レッジ114は略長方形断面構成を含み得る。いくつかの実施形態では、レッジ114の半径方向の最外側表面(例えば、外側表面108と平行であるレッジ114の表面)は、取扱い中、例えば、快適性を促進するように曲がり得る。レッジ114の側壁(例えば、図1Cに示される側壁114b)は、外側表面108に対して90度の角度を定義し得る。いくつかの実施形態では、側壁114bによって定義される角度は90度よりも大きいまたは小さい場合がある。またさらなる実施形態では、側壁114bは、外側表面108から離れるにつれて徐々に先細りになり得る。レッジ114が開口部112の実質的に全体を囲む実施形態では、レッジ114は、実質的に均一構成(例えば、断面形状)を含み得る。代替として、レッジ114の1つ以上の部分は、レッジ114の残りのものと異なる構成を含み得る。例えば、図1A図1Cに示されるように、レッジ114の近位端部114aは、ユーザに方向を伝えるように構成され得る。より具体的には、近位端部114aは近位になるにつれて先細りになる構成を含み得る。例えば、近位端部114aは、近位端101bの方向を指す矢尻、やり、矢、または矛形として成形され得る。代替実施形態では、近位端部114aは、鉤、ボルト、または楔状として成形され得る。またさらなる実施形態では、近位端部114aは、細長い部の一部または全てに関する幅寸法よりも大きい長さ寸法を有する細長い部を含み得る。示されないが、遠位端部の1つ以上の角(例えば、図1Aに示される矢尻の角114c)は丸くなり得る。
【0023】
レッジ114及び筐体104はワンピース構成で作成され得る。例えば、レッジ114は、鋳造プロセス中、外側表面108と一体的に形成され得る。代替として、レッジ114は、筐体104の形成に続くプロセス中、外側表面108に添着され得る、またはそうでなければ固定され得る。例えば、レッジ114は、筐体104の製造とは別に組み立てられ、適切な接着剤または溶接プロセスによって、開口部112の周りに付着され得る。係る実施形態では、レッジ114は注射デバイスの既に製造された筐体の外側表面に「据え付け」られ得ることが想到される。当業者は、レッジ114は、限定ではないが、鋳造、3D印刷、及び/または切断を含む、任意の適切なプロセスによって製造され得ることを理解するであろう。
【0024】
いくつかの実施形態では、レッジ114は、一定の高さ及び/または幅を含み得る、または、変動する高さ及び/または幅を含み得る。例えば、レッジ114は鋸歯状外形または波形外形を含み得る。具体的には、レッジ114の隣接部分は、外側表面108によって分離され得る。
【0025】
ここで、図1Bを参照すると、キャップ102と、筐体104と、筐体104の管腔105の内部に受容されるように構成されるシリンジ106とを含む、送達デバイス100の分解図が示される。シリンジ106は、例えば、デバイス100のユーザに(及び/またはユーザによって)(例えば、図1Cに示される針107を介して)送達されることが意図される治療薬(例えば、生物製剤または他の剤形等)を含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、シリンジ106は、治療薬の少なくとも1mLを保持するように構成され得る。他の実施形態では、シリンジ106は、治療薬の少なくとも1mL、1.5mL、2mL、2.25mL、3mL、または5mLの呼び体積を保持するように構成され得る。他の実施形態では、シリンジ106は、1mL未満の呼び体積を保持するように構成され得る。また、筐体104は、例えば、針107を作動させるための及び/または治療薬を送達するための電源函等の任意の適切な注射アクティブ化機構及び/または推進機構を含み得る。係る注射アクティブ化機構及び/または推進機構は、デバイス100内の任意の適切な場所に配置され得る。
【0026】
上記に示したように、開口部112は、デバイス100のユーザがシリンジ106の中身を見ることを可能にするように構成され得る。例えば、ユーザは、シリンジ106が空である、またはそうでなければ部分的に空であると判定することによって、デバイス100が使用されていることを認識することが可能であり得る。同様に、ユーザは、シリンジ106が治療薬で満たされている(または、実質的に満たされている)と判定することによって、デバイス100が使用されていないことを認識することが可能であり得る。さらに、筐体104は、例えば、シリンジ106が筐体104の内部で受容されるとき、シリンジ106の針107の全てまたは一部を覆うように構成される針カバー118を含み得る。一実施形態では、例えば、力が遠位方向に針カバー118の近位端に対して付与される場合、針カバー118は筐体104の中に後退し得る。
【0027】
ここで、図1A図1B図3A図3E図4A図4C、及び図5A図5Cを参照すると、キャップ102が示されている。上記に示したように、キャップ102は、筐体104の近位端に係合するように構成され得る。図3A図3E図4A図4C、及び図5A図5Cを具体的に参照すると、キャップ102は、中心縦軸C-Cを含み得る。キャップ102は、遠位端部130及び近位端部132を含み得る。遠位端部130は、近位端部132の直径よりも小さい直径を含み得る。代替として、示されていないが、遠位端部130は、近位端部132の直径よりも大きい直径を含み得る。またさらに、遠位端部130及び近位端部132は、実質的に同様の直径を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位端部130は、筐体104の外径に実質的に等しい外径を含み得る。近位端部132が遠位端部130の直径よりも大きい直径を含む実施形態では、近位端部132の外径は、また、筐体104の外径よりも大きい場合がある。
【0028】
近位端部132は近位端面132aによって画定され得る。近位端面132aは実質的に平坦構成を含み得る。近位端面132aは、キャップ102の近位端を閉鎖するように構成される実質的に連続壁であり得る。この方式では、想到される開示は、キャップ102を取り外さないで、開示されるデバイスの使用を防止する。キャップ102は、また、近位端面132aから延びる略円筒状スカート134を含み得る。いくつかの実施形態では、円状溝133は、スカート134と近位端面132aとの間に配置され得る。スカート134は、キャップ102の内部で遠位端130において開口部135を画定し得る。開口部135は、針カバー118を受容するように構成され得、その状態では、キャップ102は、筐体104に解放可能に係合し得る。
【0029】
キャップ102は、近位端面132aの内部表面から延びる開口部135の内部に配置され及びスカート134と同心円状に配列される、第2のスカート(図示されない)を含み得る。第2のスカートは、スカート134の直径よりも小さい直径を含み得る。さらに、第2のスカートは、スカート134の長さよりも小さい長さを含み得る。図3A図4A、及び図5Aを再び参照して、キャップ102は、第2のスカートから及びキャップ102のスカート134及び遠位端部130を越えて遠位に延在する円筒状延在部143を含み得る。円筒状延在部143は、概して、スカート134の中心に配置され得る。一実施形態では、円筒状延在部143は中心管腔(図示されない)を画定し得る。管腔は、その中に弾力材144を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、弾力材144は、例えば、針を受容するための管腔143aを画定し得る。円筒状延在部143は、管腔143の内部に弾力材144を保定するように構成される、1つ以上の選択的にアクティブになる握り特徴を含み得る。円筒状延在部143は、第2のスカートの内部に固着され得る、または、ワンピース構成として、キャップ102と一緒に組み立てられ得る。円筒状延在部143の外径は、第2のスカートの内径よりも小さい場合がある。さらに、第2のスカートは、針カバー118の管腔の内部に受容されるように構成され得る。
【0030】
キャップ102は、限定ではないが、ガラス、樹脂、金属、ゴム、シリコーン、またはそれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料から作成され得る。いくつかの実施形態では、キャップ102は、筐体104と同じ材料から作成され得る。他の実施形態では、キャップ102は、筐体104の材料と異なる少なくとも1つの材料から作成され得る。またさらに、円筒状延在部143は、キャップ102の残りのものと異なる材料から作成され得る。例えば、キャップ102は樹脂から作成され得、円筒状延在部143は金属から作成され得る。
【0031】
例えば、図3A及び図4Aに示されるように、スカート134の外側表面は、近位端部132から遠位端部130まで延在するにつれて、内向きに曲がり得る。異なって提示されるように、スカート134の外側表面は、遠位端部130から近位端部132まで延在するにつれて、半径方向の外向きに曲がり得る。いくつかの実施形態では、例えば、スカート134の外側表面の曲線は、キャップ102の半径方向の外向きの視点から視認されるとき、実質的に凹構成を含み得る。他の実施形態では、当該構成は、視点から視認されるとき、実質的に凸状であり得る。スカート134の曲率は、キャップ102の取扱い中、ユーザによる握りを容易にするように構成され得る。またさらなる実施形態では、スカート134の外側表面の一部または全ては、視点から視認されるとき、実質的に線形であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、図5Aに示されるように、スカート134(例えば、近位端部132まで延在する)の外側表面の一部が外向きに傾き得るように、外側スカート134はしわを有し得る。係る外向きの角度は、また、キャップ102の取扱い中、ユーザによる握りを容易にするように構成され得る。
【0032】
スカート134の外側表面は、また、1つ以上の突起136(例えば、突起136a~136d等)を含み得る。突起136a~136dは、相互に実質的に同様であり得る、または、異なる構成を含み得る。簡潔にするために、以下の説明は、単一の突起136(例えば、突起136a)に対して提供されている。突起136aは、略長方形構成を含み得る。図3A図3B図4A図5A、及び図5Bに示されるように、突起136aの長さは、概して、縦軸C-Cの方向に沿って配置され得る。当業者は、突起が任意の適切な構成または形状を含み得ることを理解するであろう。例えば、長方形構成の代わりに、突起136aは、略長方形、円、または三角形構成を含み得る。構成にかかわらず、突起136aは、概して、前述のスカート134の外側表面の曲率に従い得る。
【0033】
スカート134は、任意の適切な数の突起136aを含み得る。例えば、4つの突起136a~136dが示されているが、当業者は、スカート134が、例えば、少なくともまたはちょうど1個、少なくともまたはちょうど2個、少なくともまたはちょうど3個、少なくともまたはちょうど5個、少なくともまたはちょうど6個、少なくともまたはちょうど7個、少なくともまたはちょうど8個、または9個以上の突起が提供され得ることを理解するであろう。加えて、スカート134のいくつかの実施形態は、任意の突起を含まない場合がある。スカート134が2つ以上の突起136aが提供されたその実施形態では、突起は、任意の適切な距離だけ相互から離間され得る。例えば、突起はスカート134の外側表面の周りに等しく離間され得る。突起136aは、スカート134の長さに沿って、任意の位置において配置され得る。例えば、突起136aは、遠位端部130と近位端部132との間の中心に(図示されない)、近位端部132の近くに、または遠位端部130の近くに(図示されない)配置され得る。突起136aは、第1の端138及び第2の端140を含み得る。第1の端138は第1の距離だけ中心縦軸C-Cから離間し得、突起136の第2の端140は第1の距離よりも大きい第2の距離だけ中心縦軸C-Cから離間し得る。
【0034】
キャップ102は、また、1つ以上の凹部142(例えば、凹部142a及び142b)を含み得る。2つの凹部142だけが示されているが、キャップ102は、大きいまたは小さい数の凹部142を含み得る。例えば、キャップ102は、例えば、少なくともまたはちょうど1個、少なくともまたはちょうど3個、少なくともまたはちょうど4個、少なくともまたはちょうど5個、少なくともまたはちょうど6個、少なくともまたはちょうど7個、少なくともまたはちょうど8個、または9個以上の凹部142を含み得る。いくつかの実施形態では、キャップ102は、いずれかの凹部142なしで提供され得る。凹部142は、スカート134の厚さを通って部分的に延在し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の凹部142は、スカート134の厚さを通って完全に延在し得る。
【0035】
凹部142は任意の適切な構成を含み得る。例えば、凹部142は、(図3A図3D図5A、及び図5Bに示されるような)逆三角形状を含み得る。逆三角形凹部142は、1つ以上の直線側もしくは湾曲側、または(例えば、矢尻状形状を形成するような)直線側及び湾曲側の組み合わせを含み得る。例えば、図3A図3D図5A、及び図5Bは、キャップ102の遠位端部130に最も近い凹部142の側面に関する湾曲側を伴う例示的凹部142を示す。具体的には、例えば、図3A図5A、及び図5Bに示されるように、凹部142bの基部側は凹湾曲を含み得る。凹部142の脚側は、また、湾曲(例えば、凸湾曲)を含み得る。代わりに、または、加えて、凹部142は、(図4A図4Cに示されるような)涙形状を含み得る。涙形状は、遠位端部130に近い方向に、または、近位端部132に近い方向に配置される幅広の基部を含み得る。いくつかの態様では、凹部142は実質的に正三角形構成を含み得る。他の態様では、例えば図3Aに示されるように、凹部142は二等辺構成を有する三角形状を含み得、三角形状の脚は基部の長さよりも大きい実質的に等しい長さを含み得る。単一のキャップ102は、また、例えば、交互に三角形または涙形状を有する異なる形状の凹部142を含み得る。1つ以上の凹部142は、近位幅よりも大きい遠位幅を含み得る。係る実施形態では、凹部142の狭い近位幅は、デバイス100のユーザに、注射端または方向を示す(例えば、その方向を指す)ように構成され得る。代替として、1つ以上の凹部142は、近位幅よりも小さい遠位幅を含み得る。代わりに、または、加えて、凹部142は、シリンジ106の内部に含有される特定の治療薬、シリンジ106内に配置される治療薬の量、シリンジ106からの薬送達の速度、またはそれらの組み合わせを示す、顕著な構成を含み得る。例えば、(例えば、図4Aの)涙形状凹部142は、選択された治療薬の特定の投与量を示し得るが、(例えば、図3Aまたは図5Aの)三角形凹部142は同じ治療薬の第2の投与量を示し得る。代わりに、涙形状凹部142は、選択された治療薬の特定の投与量を示し得るが、三角形凹部142は選択された治療薬と異なる第2の治療薬の第2の投与量を示し得る。指示は、また、色、テクスチャ、または当業者に既知のいずれかの際立った特徴を用いて提供され得る。加えて、図3C及び図4Bに示されるように、凹部142がスカート134の厚さに延在し得る深度は、一定であり得る、または、凹部142の幅及び/または長さにわたって変動し得る。いくつかの実施形態では、凹部142のそれぞれは、同様の構成を含み得る。他の実施形態では、1つ以上の凹部142は、スカート134上に提供された他の凹部142と異なり得る。凹部142のそれぞれは、スカート134の上記に説明した曲率に従い得る、またはその曲率から逸脱し得るのいずれかである、表面145を含み得る。凹部142の表面145は、キャップ102の取扱い中、握りを強める任意の適切な質感及び/または表面加工が提供され得る。
【0036】
図3B図3D図4B図4C図5A、及び図5Bに示されるように、凹部142のそれぞれは、さらに、凹部142の深さを定義する傾き表面147を含み得る。表面147は直線状表面(図3C図3D図4B図4C図5A、及び図5Bに示されるような表面)を含み得、表面147はスカート134の表面の直線不連続性を示す。代わりに、表面147は、スカート134の表面内の湾曲不連続性を含み得る。表面147の1つ以上の境界は、また、湾曲または直線であり得、凹部142の形状は、表面147の境界によって判定され得る。さらに、表面147は、凹部142の深度を定義し得る。例えば、表面147は、(図3D及び図4Cに示されるような)角度の傾きとして、凹部142の深度を定義し得、表面147は、縦軸C-Cに対して及び/またはスカート134の表面に対して傾斜する表面を含み得る。角度の傾きは、例えば、垂直角度を含み得、表面147は、スカート134の表面に対して垂直であり得る、または、スカート134の表面内の凹辺縁を定義し得る。凹部142は、凹部142の一部において表面147を含み得る一方、凹部142の他の部分は、(図3B図3D及び図4Bに示されるように)スカート134を徐々に形成する、またはスカート134と同一平面になる。係る実施形態では、凹部142は、変動深度において、スカート134に延在し得る。代わりに、凹部142は、凹部142の外周全体の周囲の表面147を含み得る。言い換えれば、スカート134の表面内の凹部142の深さは一定のままであり得、それにより、表面147は凹部142の外周のすべての点においてスカート134の表面内に延在する。
【0037】
少なくとも図3A図3B図4A図4B、及び図5A図5Cに示されるように、凹部142のそれぞれは、隣接する突起136の間に位置付けられ得る。当業者は、凹部142が、隣接する突起136の特定の組だけの間に提供され得ることを理解するであろう。すなわち、凹部142が、隣接する突起の特定の組の間において省略され得る。凹部142の数及び構成は、キャップ102の取扱い中、ユーザによる握りを容易にするように構成され得る。
【0038】
図3A図4A、及び図5Aに示されるように、例えば、凹部142のそれぞれは、キャップ102の遠位端部130及び近位端部132から任意の適切な距離に位置付けられ得る。例えば、図5Bに示されるように、凹部142は、遠位端部130から距離mに、近位端部132から距離nに位置付けられ得る。距離mは、例えば、遠位端部130に最も近い凹部142の端から、遠位端部130におけるキャップ102の縁まで測定され得、距離nは、同様に、例えば、近位端部132に最も近い凹部142の端から、近位端部132におけるキャップ102の縁まで測定され得る。距離m及び距離nの両方は、凹部142がキャップ102上で及び/またはキャップ102の内部で嵌合することを可能にする任意の距離であり得る。いくつかの実施形態では、距離m及びnのそれぞれは、例えば、約1mm~約4.5mm、約1.5mm~約4.5mm、約2mm~約4.5mm、約2.5mm~約4.5mm、または約3mm~約4.5mm等の、約0.5mm~約5mmであり得る。例えば、距離m及び距離nのそれぞれは、約0.5mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、または約5mm、または任意の他の距離であり得る。いくつかの実施形態では、距離mは、例えば、約3.3mm、3.35mm、3.4mm、3.45mm、3.5mm、3.55mm、3.6mm、3.65mm、3.7mm、3.75mm、3.8mm、3.85mm、3.9mm、または3.95mm等の、約3.1mm~3.9mmであり得る。一実施形態では、例えば、距離mは、約3.365mmであり得る。いくつかの実施形態では、距離nは、例えば、約3.9mm、約4mm、約4.05mm、約4.1mm、約4.15mm、約4.2mm、約4.25mm、約4.3mm、約4.35mm、約4.4mm、約4.45mm、または約4.5mm等の、約3.9mm~約4.5mmであり得る。一実施形態では、例えば、距離nは約4.262mmであり得る。これらの寸法が例示的であり、当業者は、多くの他の寸法及び寸法の範囲が可能であることを理解するであろう。
【0039】
凹部142のそれぞれは、また、キャップ102上で嵌合するための任意の適切な寸法(例えば、長さ、幅、高さ、凹部深度)を有し得る。図5Dは、1つの湾曲側及び複数の寸法a~fを有する、例示的な三角形凹部142を示す。下記の表1は、寸法a~fのいくつかの例示的な測定値をリストにしている。これらの測定値は近似的、かつ単なる例であり、寸法a~fの多くの他の可能性がある測定値(または、凹部142の他の寸法)は適切であり得ることを理解されたい。
【0040】
【表1】
いくつかの実施形態では、キャップ102の色は、レッジ114の色に調整され得る。例えば、突起136の色は、レッジ114の色に調整され得る。同様に、凹部142の色は、レッジ114の色に調整され得る。説明される調整が色を調和することを含み得ることが想到されるが、当業者は、他の色調整スキームが本開示の範囲内にあることを理解するであろう。キャップ102の1つ以上の色と、レッジ114(または筐体104)との間の調整は、ユーザが、キャップ102をその各々の筐体に係合させることを補助し得る。
【0041】
ここで、図1A図1C及び図2A図2Bを再び参照して、レッジ114は、例えば、筐体104が平面上にあるとき、筐体104の回転を防止またはそうでなければ抑制するように構成され得る。例えば、軸X-Xが表面に実質的に平行であるように、筐体104が表面上にあるとき、レッジ114は、筐体104が表面上で回転することを防止またはそうでなければ抑制するように、表面に摩擦するように係合し得る。さらに、レッジ114は、表面上で既に回転している筐体104の回転速度を停止またはそうでなければ減速させるように構成され得る。アンチロール性能の向上を提供するために、レッジ114の全てまたは一部は、摩擦を増加させるために、粘着剤、例えば、ゴム製被覆を含み得る。
【0042】
同様に、突起136は、例えば、キャップ102が平面上にあるとき、キャップ102の回転を防止またはそうでなければ抑制するように構成され得る。例えば、軸C-Cが表面に実質的に平行であるように、または表面と実質的に直角ではないように、キャップ102が表面上にあるとき、1つ以上の突起136は、キャップ102が表面上で回転することを防止またはそうでなければ抑制するように、表面に摩擦するように係合し得る。さらに、1つ以上の突起136は、表面上で既に回転しているキャップ102の回転速度を停止またはそうでなければ減速させるように構成され得る。アンチロール性能の向上を提供するために、突起136の全てまたは一部は、摩擦を増加させるために、粘着剤、例えば、ゴム製被覆を含み得る。
【0043】
上記に示されるように、キャップ102は、遠位端部130の直径よりも大きい直径を有する近位端部132を含み得る。結果として、キャップ102が筐体104と係合し、送達デバイス100が表面上にあるとき、筐体104の近位端101bは、表面からずれるように上昇し得、それにより、軸X-Xは表面との角度を形成する。係る上昇の結果として、レッジ114の全てまたは一部は、表面に接触することが防止され得る。係る場合、突起136は、送達デバイス100が表面上で回転することを防止またはそうでなければ抑制するように、表面に摩擦するように係合する役割を果たす。さらに、突起136は、表面上で既に回転している送達デバイス100の回転速度を停止またはそうでなければ減速させるように構成され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示に従ったデバイスは、患者を治療するために、治療薬のパッケージング及び/または送達のために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示に従ったデバイスは、例えば、関節炎、喘息、慢性痛(例えば、慢性腰痛)、アレルギー反応、病気、及び疾患(例えば、好酸球性食道炎)、皮膚炎、筋肉消耗疾患、高コレステロール血症、異常LDLコレステロール値、心血管系イベント、バクテリアもしくはウイルス感染、または他の疾患、症状、もしくは病気の治療、管理、または防止のために、治療薬のパッケージング及び/または送達のために使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示に従った治療薬は、小分子(例えば、900Da以下の分子量を有する分子)または大分子(例えば、900Daを超える分子量を有する分子)を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示に従った治療薬は、30kDaを超える分子量を有するタンパク質、抗体、または抗体の一部等の巨大分子を含み得る。例えば、本開示のデバイスとともに使用される治療薬は、例えば、デュピルマブ、アリロクマブ、エボロクマブ、トレボグルマブ、エビナクマブ、サリルマブ、またはファシヌマブを含み得る。いくつかの実施形態では、本開示に従った治療薬は、PCSK9抑制剤、インターロイキン-4受容体抑制剤、インターロイキン-5受容体抑制剤、またはインターロイキン-13受容体抑制剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示に従ったデバイスは、アンチロール特徴から利点をもたらす場合がある集団において、高齢患者、リウマチ性関節炎を患う患者、小児患者、及び/または身体障害または精神障害を患う患者等の患者に治療薬を送達するために使用され得る。
【0045】
上記の説明及び例は例示的であり、制限されることが意図されない。当業者は、本発明の一般的な範囲から逸脱することなく、いくつかの修正及び/または変化を生じさせ得る。例えば、説明されているように、上記に説明した実施形態(及び/またはその態様)は、相互と組み合わせて使用され得る。加えて、上記に説明した実施形態の一部は、本発明の範囲から逸脱することなく取り外され得る。加えて、特定の状況または態様を様々な実施形態の教示に、その本質的範囲から逸脱することなく適応させるために、修正がされ得る。また、多くの他の実施形態は、上記の説明を精査するとき、当業者に明白であろう。
【0046】
加えて、本明細書に開示される実施形態(及びその変形例)のいくつかの目的及び利点が説明されているが、必ずしも、全ての係る目的または利点は任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではない。したがって、例えば、当業者は、本明細書に説明されるシステム及び技術が、本明細書に教示または提案され得るように必ずしも他の目的または利点を達成することなく、本明細書に教示されるような1つの利点または一群の利点を達成または最適化する様式において、具体化または実行され得ることを認識するであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D