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特許7575210高インデックス、湾曲キャップワイヤグリッド偏光子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】高インデックス、湾曲キャップワイヤグリッド偏光子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G02B5/30
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020121257
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2021036314
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】62/875,093
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501218636
【氏名又は名称】モックステック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ニールソン, アール. スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ブラッドリー アール.
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-181420(JP,A)
【文献】特開2015-034985(JP,A)
【文献】特開2015-034959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0242352(US,A1)
【文献】特開2016-045345(JP,A)
【文献】特開2015-125252(JP,A)
【文献】特開2018-189983(JP,A)
【文献】特開2012-103469(JP,A)
【文献】特開2019-113816(JP,A)
【文献】特表2018-535445(JP,A)
【文献】特表2010-530995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤグリッド偏光子(WGP)であって、
ワイヤのアレイであって、隣接するワイヤの間にチャネルを有する、ワイヤのアレイを基板の面上に備え、
各ワイヤは、前記基板から最も遠い遠位端であって、凸形状を有する、遠位端を有し、
各ワイヤは、前記基板から外方に、以下の層:高インデックス層、低インデックス層、反射層、および透過性の上部層をこの順で含み、透過性の前記上部層は凸形状を有し、
前記高インデックス層の屈折率は、可視スペクトルにわたって前記低インデックス層の屈折率より高く、
前記高インデックス層の前記屈折率は、可視スペクトルにわたって前記ワイヤ内の任意の他の層の屈折率より高く、
凸形状を有する透過性の前記上部層は、前記遠位端に位置し、
前記高インデックス層、前記低インデックス層、および前記反射層はそれぞれ矩形断面形状を有し、
可視スペクトルにわたって:前記高インデックス層の前記屈折率は≧である、WGP。
【請求項2】
前記高インデックス層および前記低インデックス層はそれぞれ、矩形断面形状、可視スペクトルにわたってk>kおよびk>kを有し、ここで、kは前記反射層の消光係数であり、kは前記高インデックス層の消光係数であり、kは前記低インデックス層の消光係数である、請求項1に記載のWGP。
【請求項3】
可視スペクトルにわたって:前記高インデックス層の前記屈折率は≧2であり、前記高インデックス層の消光係数は≦0.01であり、前記低インデックス層の消光係数は≦0.01である、請求項1に記載のWGP。
【請求項4】
可視スペクトルの少なくとも50nmにわたって:前記高インデックス層の前記屈折率は≧3であり、前記高インデックス層の消光係数は≧0.1であり、前記低インデックス層の消光係数は≦0.01である、請求項1に記載のWGP。
【請求項5】
各ワイヤの前記遠位端の前記凸形状は半楕円形状または半円形状を有する、請求項1に記載のWGP。
【請求項6】
各ワイヤの前記遠位端の前記凸形状は、半円形状または半楕円形状を有し、前記半楕円形状は、前記基板の面に垂直に延在する長軸および離心率≧0および≦0.6を有する、請求項1に記載のWGP。
【請求項7】
各ワイヤの前記遠位端の前記凸形状は半楕円形状を有し、前記半楕円形状は、前記基板の面に垂直に延在する長軸および離心率≧0.6および≦0.98を有する、請求項1に記載のWGP。
【請求項8】
各ワイヤの前記遠位端の前記凸形状は、半円形状または半楕円形状を有し、前記半楕円形状は、前記基板の面に平行に延在する長軸を有する、請求項1に記載のWGP。
【請求項9】
光を偏光させるために請求項1のWGPを使用する方法であって、光源から前記WGPに光ビームを放出することを含み、前記基板は前記光源に向く、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、ワイヤグリッド偏光子に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤグリッド偏光子(WGP)は、光を2つの異なる偏光状態に分割(divide)することができる。1つの偏光状態は主に、WGPを通過することができ、他の偏光状態は主に、吸収または反射することができる。WGPの効果または性能は、支配的に透過した偏光(predominantly-transmitted polarization)の高い透過(high transmisshion)(時として、Tpと呼ぶ)、反対の偏光の最小の透過(時として、Tsと呼ぶ)、および反対の偏光の所望の反射(時として、Rsと呼ぶ)に基づく。コントラスト(Tp/Ts)は、WGP性能の有用な指標である。
【0003】
反射光ビームが使用されることになる場合、反対の偏光の高反射率(reflectance)(例えば、高Rs)を有することが役立つ可能性がある。反射型WGPの場合、高Rsが望ましく、効率(TpRs)はWGP性能の有用な指標である。反射光ビームが使用されない場合でかつ反射光が光学系に干渉することになる場合、低Rsを有することが役立つ可能性がある。ナノメートルサイズのワイヤを製造するときの困難さのために、ウェハ間でのまたはさらに各ウェハ内でのRsの過剰な変動が存在する可能性がある。そのような変動を低減することが有益であるであろう。
【0004】
ワイヤグリッド偏光子(WGP)性能を改善し、Rsの変動を低減することが有利であるであろうことが認識されてきた。本発明は、これらのニーズを満たすWGPの種々の実施形態を対象とする。
【発明の概要】
【0005】
WGPは、ワイヤのアレイであって、隣接するワイヤの間にチャネルを有する、ワイヤのアレイを基板の面上に備えることができる。各ワイヤは、基板から外方に移る以下の層:高インデックス層、低インデックス層、および反射層を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態による、ワイヤ12のアレイであって、各ワイヤ12が、高インデックス層HL、低インデックス層LL、および反射層RLを含む、ワイヤ12のアレイを基板11の面11F上に備えるワイヤグリッド偏光子(WGP)10の概略的な側面断面図である。
図2】本発明の一実施形態による、WGP10と同様であるが、凸形状を有する各ワイヤ12の遠位端12をさらに備えるWGP20の概略的な側面断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、WGP20の反射層RLが各ワイヤ12の遠位端12に位置し、反射層RLが凸形状を有することを除いて、WGP10および20と同様のWGP30の概略的な側面断面図である。
図4】本発明の一実施形態による、光を偏光させるためにWGP40を使用する方法であって、光源41からWGP40に光ビーム42を放出することを含み、WGP40の基板11が光源41に向く、方法の概略図である。定義
【0007】
複数の同じものを含む以下の定義は、本特許出願全体を通して適用される。
【0008】
本明細書で挙げる金属酸化物は、非化学量論的(non-stoichiometric)組み合わせを含む、任意の比の金属および酸素の組み合わせを含む。
【0009】
本明細書で別途明示的に述べない限り、全てのn値およびk値(屈折率nの実数部および消光係数k)は、450nmから700nmの波長範囲にわたる値である。
【0010】
本明細書で使用するように、句「本質的に…からなる(consists essentially of)」および関連する句は、ワイヤ構造に関して、ワイヤが、光学性能のために、述べた薄膜(複数可)を含むが、他の薄膜(複数可)を含まないことを意味する。しかしながら、ワイヤは、腐食または酸化からなどの保護のために不純物またはコーティングを含むこともできる。ワイヤ12の下の基板リブは、この定義のためにワイヤに含まれない。
【0011】
本明細書で使用するように、用語「細長い(elongated)」は、ワイヤ12の(図の用紙に向かいかつワイヤ幅W12またはワイヤ厚さTh12に垂直な)長さLがワイヤ幅W12またはワイヤ厚さTh12より実質的に大きい(例えば、Lは、ワイヤ幅W12および/またはワイヤ厚さTh12に比べて≧10倍、≧100倍、≧1000倍、または≧10,000倍とすることができる)ことを意味する。図1を参照されたい。
【0012】
本明細書で使用するように、用語「nm」はナノメートル(複数可)を意味する。
【0013】
本明細書で使用するように、用語「上に(on)」、「上に位置する(located on)」、「に位置する(located at)」、および「覆って位置する(located over)」は、何らかの他の中実材料がその間にある状態で、直接上に位置する、または、覆って位置する、を意味する。用語「直接上に位置する(located directly on)」、「隣接する(adjoin)」、「隣接する(adjoins)」、および「隣接している(adjoining)」は、直接および即座の接触を意味する。
【0014】
本明細書で使用するように、用語「平行な(parallel)」は、厳密に平行な、からの任意の偏位が、デバイスの通常使用にとって無視できる影響を有するような、厳密に平行な、標準的な製造公差内で平行な、またはほぼ平行な、を意味する。
【0015】
本明細書で使用するように、用語「基板(substrate)」は、例えばガラスウェハなどのベース材料を意味する。基板は、光学的な意味で厚く、特許請求項でそのように明示的に述べる場合、使用波長範囲内の光の最大波長より実質的に厚いことを意味することができる。例えば、基板の厚さTh11は、≧0.1mm、≧0.35mm、または≧0.6mmとすることができる。
【0016】
本明細書で使用するように、用語「紫外スペクトル(ultraviolet spectrum)」は、≧10nmかつ<400nmを意味し、用語「可視スペクトル(visible spectrum)」は、≧400nmかつ<700nmを意味し、用語「赤外スペクトル(infrared spectrum)」は、≧700nmかつ<1mmを意味する。
【0017】
本明細書で使用するように、用語「屈折率(refractive index)」は屈折率の実数部(n)を意味し、用語「消光係数(extinction coefficient)」は屈折率の虚数部(k)を意味する。
【0018】
光学構造で使用される材料は、一部の光を吸収し、一部の光を反射し、一部の光を透過させることができる。以下の定義は、主に吸収性である材料、主に反射性である材料、主に透過性である材料を区別する。各材料は、意図される使用の波長範囲内で、紫外スペクトルにわたって、可視スペクトルにわたって、赤外スペクトルにわたって、またはその組み合わせのスペクトルにわたって吸収性である、反射性である、透過性であると考えることができ、異なる波長範囲内で異なる特性を有することができる。そのため、材料が、吸収性であるか、反射性であるか、または透過性であるかは、意図される使用波長範囲に依存する。材料は、反射率R、屈折率の実数部n、および屈折率の虚数部/消光係数kに基づいて、吸収性、反射性、および透過性に分割される。式1は、標準入射における空気と材料の均一スラブとの間の界面の反射率Rを決定するために使用される:
本明細書で別途明示的に指定されない限り、波長範囲内でk≦0.1を有する材料は「透過性(transparent)」材料であり、指定波長範囲内でk>0.1およびR≦0.6を有する材料は「吸収性(absorptive)」であり、指定波長範囲内でk>0.1およびR>0.6を有する材料は「反射性(reflective)」である。特許請求項にて明示的にそのように述べられる場合、k>0.1、および、R≧0.7、R≧0.8、またはR≧0.9を有する材料は、指定波長範囲内で、「反射性」材料である。
【0019】
本明細書で別途明示的に述べられない限り、全ての温度依存性の値は25℃の値である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、ワイヤグリッド偏光子(WGP:wire grid polarizer)10が示され、WGP10は、ワイヤ12のアレイであって、隣接するワイヤ12の間にチャネル13を有する、ワイヤ12のアレイを基板11の面11上に備える。ワイヤ12のアレイは平行でかつ細長いとすることができる。ワイヤ12のピッチPは、偏光の所望の範囲の最低波長の1/2未満(例えば、可視光の偏光の場合、P<200nm)とすることができる。各ワイヤ12は、基板11から外方に移る以下の層:高インデックス層HL、低インデックス層LL、および反射層RLを含む、または、本質的にそれからなることができる。高インデックス層HLは、低インデックス層LLの低い屈折率nと比較して高い屈折率nを有することができる。
【0021】
以下は、例示的な屈折率および消光係数値ならびに関係であり、それらは、紫外スペクトルにわたる、赤外スペクトルにわたる、可視スペクトルにわたる、またはその組み合わせのスペクトルにわたる値または関係とすることができる。以下の屈折率および消光係数値ならびに関係は、可視スペクトルの少なくとも50nm、少なくとも100nm、または少なくとも150nmなど、可視スペクトルの一部にわたる値または関係とすることができる。
【0022】
高インデックス層HLの屈折率nは、低インデックス層LLの屈折率nより高いとすることができる(n>n);高インデックス層HLの消光係数kは、低インデックス層LLの消光係数kより高いとすることができる(k>k);または、両方である。低インデックス層LLの屈折率nは、高インデックス層HLの屈折率nより低いとすることができる(n<n);低インデックス層LLの消光係数kは、高インデックス層HLの消光係数kより低いとすることができる(k<k);または、両方である。反射型WGPの場合、高インデックス層HLの消光係数kおよび低インデックス層LLの消光係数kは共に、例えば、k≦0.01およびk≦0.01など、非常に小さいとすることができる。
【0023】
高インデックス層HLの屈折率nは、ワイヤ内の任意の他の層の屈折率より高いとすることができる。例えば、高インデックス層HLの屈折率nは、n≧2、n≧3、またはn≧4とすることができる。一実施形態において、ワイヤ内の全ての層は、高インデックス層HLを除いて、<2または<3の屈折率を有することができる。
【0024】
高インデックス層HLの消光係数kは、反射型WGPの場合、≦0.01、または、吸収型WGPの場合、≧0.1とすることができる。低インデックス層LLの消光係数kは≦0.01とすることができる。
【0025】
反射層RLの消光係数kは、ワイヤ内の任意の他の層の消光係数より高いとすることができる。反射層RLの消光係数kは、高インデックス層HLの消光係数kより高い、低インデックス層LLの消光係数kより高い、または両方であるとすることができる(k>k、k>k、または両方)。
【0026】
以下は、これらの層のそれぞれについての例示的な材料、例示的な材料が、可視スペクトル内で反射性(R)として分類されるか、吸収性(A)として分類されるか、透過性(T)として分類されるか、ならびに、それらの屈折率(n)および消光係数(k)値である:
【0027】
WGP10を以下のように作ることができる:以下の層であって、各層の厚さが括弧内にある、以下の層を、以下の順序で基板11に塗布することができる:二酸化チタン薄膜(80nm)、二酸化シリコン薄膜(80nm)、アルミニウム薄膜(80nm)、二酸化シリコンハードマスク(290nm)、アルミニウムハードマスク(290nm)、その後、レジスト層。レジスト層の厚さは、レジストのタイプおよびリソグラフィの方法に応じて変動する可能性がある。
【0028】
レジスト層をフッ素でエッチングすることができ、アルミニウムハードマスクを塩素または臭素でエッチングすることができ、二酸化シリコンハードマスクフッ素でエッチングすることができ、反射層RLを形成するため、アルミニウム薄膜を塩素または臭素でエッチングすることができ、低インデックス層LLを形成するため、二酸化シリコン薄膜をフッ素でエッチングすることができ、高インデックス層HLを形成するため、二酸化チタン薄膜を塩素または臭素でエッチングすることができる。エッチプロセスのこの段階で、レジストおよびアルミニウムハードマスクは消費されるべきであるが、おそらく、或る程度の残留二酸化シリコンハードマスクが依然として存在することになる。いずれの残留二酸化シリコンハードマスクも、その後、フッ素によって除去することができる。上記に加えて、ワイヤ12の側面をパッシベートするために、ポリマー膜または酸素を使用することができる。
【0029】
図2~3に示すWGP20および30は、WGP10と同様であるが、WGP20および30は、凸形状を有する各ワイヤ12の遠位端12をさらに備える。図2に示すように、反射層RL上の上部層24は凸形状を有することができる。図3に示すように、反射層RLは、各ワイヤ12の遠位端12に位置することができ、反射層RLは凸形状を有することができる。WGP20および30は、残留二酸化シリコンを除去するための最終的なフッ素エッチが、低減またはスキップされ、したがって、1つのエッチステップをなくしまたは低減し、製造コストを低減することができることを除いて、WGP10と同様に作ることができる。
【0030】
凸形状は、半円または半楕円形状とすることができる。楕円形状の他の半分は、図2~3においてライン25で示される。半楕円形状の主軸27は、図2に示すように基板11の面11に平行に、または、図3に示すように基板11の面11に垂直に延在することができる。
【0031】
半楕円形状は、偏心率>0、≧0.1、≧0.25、≧0.5、≧0.1、≧0.75、または≧0.9;かつ、≦0.6、≦0.75、≦0.9、≦0.95、≦0.97、≦0.98、または<0.1を有することができる。例えば、図2のWGP20は、基板11の面11に平行な半楕円形状の主軸27および約0.91の偏心率を有し、図3のWGP30は、基板11の面11に垂直な半楕円形状の主軸27および約0.76の偏心率を有する。
【0032】
上部層24が、図2に示すように凸形状を有する場合、反射層RLが矩形形状を有することが好ましい場合がある(例えば、反射層RLの側面に対するエッチが最小であるまたは全くない)。これは、異方性エッチの使用、厚い上部層24または上部層24の上のハードマスクの使用、低減されたエッチ時間、より高いエッチバイアス電力、より低いチャンバー圧、またはその組み合わせによって達成することができる。さらに、上部層24と反射層RLとの間のより高いエッチ選択性は、これを達成するのに役立つことができる。
【0033】
さらに、上部層24が透過性であり、凸形状を有する場合、そのような凸形状は、WGP性能の改善、特に、所望の偏光の透過の増加(例えば、Tpの増加)、および反対の偏光の反射(Rs)の変動の低減のために、上部層24の厚さと共に調整することができる。上部層24の凸形状の好ましい形状は、全体のWGP構造および波長範囲に依存する;しかしながら、これを、反射層RLの側面に対してエッチングすることなしで製造することができる場合、凸形状の半楕円形状の主軸27が、図2に示すように基板11の面11に平行に延在することが一般に好ましい。一般に、上部層24と反射層RLとの間のより高いエッチ選択性と組み合わせた、より高い異方性のエッチを、これを達成するために使用することができる。上部層24はハードマスクの残留部分とすることができる、または、上部層24の材料を、ハードマスクと反射層RLとの間に挟むことができる。
【0034】
WGPの使用ならびに上部層24の材料および厚さに応じて、上部層24の凸形状が半円形状を有すること、または、上部層24の凸形状の半楕円形状の主軸27が基板11の面11に垂直に延在することが好ましい場合がある。この形状は、高インデックス層HL、低インデックス層LL、および反射層RLに対して良好な保護を提供することができる。そのような構造を形成するため、上部層24のための材料のより厚い層を、より低い異方性特性を有するエッチを使用することと共に適用することができる。
【0035】
反射層RLが、図3に示すように凸形状を有する場合、所望の偏光の透過(例えば、Tpの増加)は、凸形状の半楕円形状の主軸27が基板11の面11に垂直に延在する場合に達成することができる。これは、より薄いハードマスク、バイアス電力の減少、増加したチャンバー圧、およびハードマスクと反射層RLの材料との間のエッチ化学作用(chemistry)のより低い選択性によって達成することができる。
【0036】
反射層RLが凸形状を有し、反対の偏光の低い透過(例えば、低いTs)および高コントラスト(例えば、高Tp/Ts)が高Tpにわたって好ましい場合、凸形状の半楕円形状の主軸27は基板11の面11に平行に延在することができる。上記節のエッチに対して、以下:より厚いハードマスク、バイアス電力の増加、減少したチャンバー圧、およびハードマスクと反射層RLの材料との間のエッチ化学作用のより高い選択性によって達成することができる。
【0037】
こうして、反射層RLが凸形状を有するWGP30において、高Tp(主軸27が面11に平行)と低Ts(主軸27が面11に垂直)との間でトレードオフが存在する。各WGPは、特定の用途のためにいずれが最も有用であるかに応じて、Tpの増加またはTsの低減のためにこうして調整することができる。
【0038】
WGP30は、WGP10および20より高いTpを有することができる;しかし、WGP10および20は、WGP30より高いコントラスト(Tp/Ts)を有することができる。WGP10は、WGP20および30より改善されたRsを有することができる。WGP20および30は、WGP10と比べて製造するのが容易であるとすることができる。各WGP用途について、Tp、Ts、Rs、およびコストの異なる組み合わせが好ましい。
【0039】
WGP10、20、および30は、高インデックス層HLが透過性(例えば、二酸化チタン)である場合、高Rsを有することができる、または、高インデックス層HLが吸収性(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)である場合、低Rsを有することができる。さらに、そのようなRsは、ウェハごとのまたはウェハ内でのRsの最小変動を有する状態で安定とすることができる。Rsのこの改善は、以下の因子の複数の組み合わせに起因する。以下の因子とは、ワイヤ12内の層の順序、層の特定の材料、層の特定の屈折率、層の特定の消光係数、各ワイヤ12内の少数のそのような層(例えば、3つの層、4つの層、または5つの層)のみに限定すること、各ワイヤ12の遠位端12における凸形状、ならびに高インデックス層HLおよび低インデックス層LLの矩形断面形状である。改善されかつ一貫性のあるRsを提供するのは、これらの因子の相乗的組み合わせである。
【0040】
高インデックス層HLおよび低インデックス層LLはそれぞれ、図1~3に示すように、矩形断面形状を有することができる。矩形断面形状を有する高インデックス層HLおよび低インデックス層LLによるWGPの製造は、製造されるウェハの間でのまたはさらに各ウェハ内での、Rsの変動の低減のために特に有用である。これは、以下の節で述べるように、基板11と反射層RLとの間に高インデックス層HLおよび低インデックス層LLを挟み(したがって、エッチ中に高インデックス層HLおよび低インデックス層LLを保護する)、その後、光源41を、ワイヤ12に向く代わりに基板11に向くように位置付けることによって達成することができる。
【0041】
図4には、WGP40を使用する方法が示され、方法は、光源41からWGP40に光ビーム42を放出することを含み、WGP40の基板11は光源41に向く。WGP40は本明細書で述べるWGPの任意のWGPとすることができる。従来技術のWGPにおいて、ワイヤは、通常、Rsの最小変動のために光源に向くが、基板11が光源41に向く状態で本明細書のWGPを使用することが好ましい。
図1
図2
図3
図4