(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】茶加工品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 3/14 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A23F3/14
(21)【出願番号】P 2020135009
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0102336
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン, クヮンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ウォンギョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ジノ
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ヨン ドク
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-041660(JP,A)
【文献】特開2011-125297(JP,A)
【文献】特表2000-513204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶粉末及び水のみを原料として使用する粒子状の茶(tea)加工品であり、
粒子状の茶(tea)加工品は、茶粉末が凝集した茶粒子からなり、
前記茶粒子は0.68以上
0.84以下の球形度(sphericity)S
10値を示し、
前記球形度 S
10値は茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、累積分布の下から10%に該当する粒子の球形度である、粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項2】
前記球形度S
10値が0.70以上
0.83以下である、請求項1に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項3】
前記球形度S
10値が0.7
3~0.8
2である、請求項
1又は2に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項4】
前記茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、累積分布の下から90%に該当する粒子の球形度S
90値と累積分布の下から10%に該当する粒子の球形度S
10値との差(S
90-S
10)が0.20未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項5】
前記S
90-S
10が0.15未満である、請求項4に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項6】
前記茶加工品は、全茶粒子の平均粒子径が100~300μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項7】
前記茶粒子の全質量を基準にして微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は粒子径が75μm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項8】
前記茶粒子は、下記のi)~iii)のうちの1以上の粒度分布値を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
i)粒度分布D
10値が50μm以上;
ii)粒度分布D
50値が100μm以上;及び
iii)粒度分布D
90値が200μm以上。
前記i)~iii)においてD
10、D
50、D
90は、それぞれ、茶粒子の粒子径に対する累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子の粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子の粒子径を意味する。
【請求項9】
前記粒度分布D
10値は、50μm≦D
10≦200μmであり、粒度分布D
50値は、100μm≦D
50≦250μmであり、粒度分布D
90値は、200μm≦D
90≦600μmである、請求項8に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項10】
前記茶加工品は、35°以下の安息角を有するものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項11】
前記茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が100秒以下であり、且つ、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項12】
前記茶は、茶葉である、請求項1~11のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項13】
前記茶は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、及び後発酵茶からなる群より選ばれる1以上である、請求項1~12のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項14】
前記茶は、緑茶である、請求項13に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項15】
前記茶加工品は、細粒剤又は散剤である、請求項1~14のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の粒子状の茶加工品を製造する段階を含む、粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項17】
当該製造方法は、回転板を含むローター型流動層造粒機で粒子状の茶加工品を製造する、請求項16に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項18】
前記ローター型流動層造粒機は、容器;及び前記容器の内部に設けられた回転板を含み、前記回転板と容器の器壁との間に設けられ空気が給気される隙間形成部、及び前記隙間形成部に隣接して設けられ容器の内部に水を噴射するノズル形成部を含む、請求項17に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項19】
当該製造方法は、茶粉末を回転板に置いて回転板を回転させる段階;空気を給気して茶粉末を浮揚させる段階;浮揚した茶粉末に水を噴射する段階を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項20】
前記茶粉末は、茶粉末の全質量を基準にして99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下のものである、請求項19に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する相互参照]
本出願は、2019年08月21日付で出願された大韓民国特許出願第10-2019-0102336号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本出願に参照として援用する。
【0002】
本明細書には、水に素早く湿潤及び分散する粒子状の茶(tea)加工品及びその製造方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
粉末緑茶を飲用するためには、茶具や茶器などが必要となり、且つ粒子間の凝集力のために分散性が低下して時間が多くかかるという不便な点がある。近年、水ボトルやタンブラーに粉末緑茶を入れて飲用できるように使い捨てスティック包装に入れて販売する製品も多くあるが、水に入れると固まって分散し難いという問題点を依然として抱えており、相当な時間振り混ぜて飲用しなければならない不便さがある。また、粉末緑茶が少量で包装されるスティック形態の製品(例えば、Rishi Matcha travel packs、Rishi-Tea、米国)の場合、粉末の流動性が低いため粉末緑茶を定量で入れることが難しいだけでなく、封止の際に微粉末により不良が生じる確率も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0090894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一側面において、本明細書は、水に素早く湿潤及び分散する粒子状の茶加工品を提供することを目的とする。
【0006】
他の側面において、本明細書は、水に素早く湿潤及び分散する粒子状の茶加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面において、本明細書に開示された技術は、粒子状の茶(tea)加工品であり、前記茶加工品は茶(tea)粒子を含み、前記茶粒子は0.68以上の球形度(sphericity)S10値を示し、前記球形度 S10値は茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、累積分布の下から10%に該当する粒子の球形度である、粒子状の茶(tea)加工品を提供する。
【0008】
例示的な一具現例において、前記茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、50%の分布率に該当する粒子の球形度S50値が0.80以上であってよい。
【0009】
例示的な一具現例において、前記球形度S10値が0.70以上であってよい。
【0010】
例示的な一具現例において、前記球形度S10値が0.72~0.84であってよい。
【0011】
例示的な一具現例において、前記茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、累積分布の下から90%に該当する粒子の球形度S90値と累積分布の下から10%に該当する粒子の球形度S10値との差(S90-S10)が0.20未満であってよい。
【0012】
例示的な一具現例において、前記S90-S10が0.15未満であってよい。
【0013】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、全茶粒子の平均粒子径が100~300μmであってよい。
【0014】
例示的な一具現例において、前記茶粒子の全質量を基準にして微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は、粒子径が75μm以下のものであってよい。
【0015】
例示的な一具現例において、前記茶粒子は、下記のi)~iii)のうちの1以上の粒度分布値を有するものであってよい。
i)粒度分布D10値が50μm以上;
ii)粒度分布D50値が100μm以上;及び
iii)粒度分布D90値が200μm以上。
【0016】
前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の粒子径に対する累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子の粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子の粒子径を意味する。
【0017】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D10値は、50μm≦D10≦200μmであってよく、粒度分布D50値は、100μm≦D50≦250μmであってよく、粒度分布D90値は、200μm≦D90≦600μmであってよい。
【0018】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、35°以下の安息角を有するものであってよい。
【0019】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が100秒以下のものであってよく、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間であってよい。
【0020】
例示的な一具現例において、前記茶は、茶葉であってよい。
【0021】
例示的な一具現例において、前記茶は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、及び後発酵茶からなる群より選ばれる1以上であってよい。
【0022】
例示的な一具現例において、前記茶は、緑茶であってよい。
【0023】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、細粒剤又は散剤であってよい。
【0024】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、前記粒子状の茶加工品を製造する段階を含む、粒子状の茶(tea)加工品の製造方法を提供する。
【0025】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、回転板を含むローター型流動層造粒機で粒子状の茶加工品を製造するものであってよい。
【0026】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、容器;及び前記容器の内部に設けられた回転板を含み、前記回転板と容器の器壁との間に設けられ空気が給気される隙間形成部、及び前記隙間形成部に隣接して設けられ容器の内部に水を噴射するノズル形成部を含むものであってよい。
【0027】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、茶粉末を回転板に置いて回転板を回転させる段階;空気を給気して茶粉末を浮揚させる段階;浮揚した茶粉末に水を噴射する段階を含むものであってよい。
【0028】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、茶粉末の全質量を基準にして99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下のものであってよい。
【発明の効果】
【0029】
一側面において、本明細書に開示された技術は、水に素早く湿潤及び分散する粒子状の茶加工品を提供する効果がある。
【0030】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、水に素早く湿潤及び分散する粒子状の茶加工品の製造方法を提供する効果がある。
【0031】
本明細書に係る茶加工品は、水に素早く湿潤及び分散して飲用が便利であり、且つ安息角が低いことから流れ性に優れ、製品包装や使用が容易である効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本明細書の一実験例に従い実施例2のサンプルを水に入れて湿潤時間を測定した直後(13秒)に水に分散した茶加工品を目視にて観察した写真を示す。
【
図2】
図2は、本明細書の一実験例に従い実施例3のサンプルを水に入れて湿潤時間を測定した直後(11秒)に水に分散した茶加工品を目視にて観察した写真を示す。
【
図3】
図3は、本明細書の一実験例に従い実施例4のサンプルを水に入れて湿潤時間を測定した直後(23秒)に水に分散した茶加工品を目視にて観察した写真を示す。
【
図4】
図4は、本明細書の一実験例に従い比較例1のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示す。
【
図5】
図5は、本明細書の一実験例に従い比較例4のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示す。
【
図6】
図6は、本明細書の一実験例に従い比較例5のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示す。
【
図7】
図7は、本明細書の一実験例に従い比較例6のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示す。
【
図8】
図8は、本明細書の一実験例に従い比較例7のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示す。3分経過後も比較例1、4~7のサンプルは湿潤できず相当の量が水面上に残っていた。
【
図9】
図9は、実施例3の茶加工品を水500mLが入っている水ボトルに入れてから上下方向に1回ひっくり返した後に目視にて観察した写真を示す。
【
図10】
図10は、実施例3の茶加工品を水500mLが入っているビーカーに入れてから1回かき混ぜた後に目視にて観察した写真を示す。
【
図11】
図11は、本明細書の一実験例に従い実施例1のサンプル1.5gを水500mLが入っているビーカーに入れてから20秒間放置した後の分散状態を目視にて確認した写真を示す。
【
図12】
図12は、本明細書の一実験例に従い比較例8のサンプル1.5gを水500mLが入っているビーカーに入れてから20秒間放置した後の分散状態を目視にて確認した写真を示す。
【
図13】
図13は、本明細書の一実施例に係るローター型流動層造粒機の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0034】
一側面において、本明細書に開示された技術は、粒子状の茶(tea)加工品であり、前記茶加工品は茶(tea)粒子を含み、前記茶粒子は0.68以上の球形度(sphericity)S10値を示し、前記球形度 S10値は茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、累積分布の下から10%に該当する粒子の球形度である、粒子状の茶(tea)加工品を提供する。
【0035】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、茶粒子からなるものであってよい。
【0036】
例示的な一具現例において、前記茶粒子は、茶粉末からなるものであってよい。
【0037】
本明細書において「粒子状の茶加工品」は、粒子形態を有する茶(tea)の加工品を意味する。前記茶加工品は、複数粒の茶粉末が凝集してなる粒子形態を有するものであってよい。例えば、前記茶加工品は、茶粉末に水を加えることによって複数粒の茶粉末が固まってなる茶粒子を含むものであってよい。細かい粉末状態の乾燥物に水分を加えると粉末成分が粘着性を持つようになり、その粘着性により互いに凝集することで粉末に比べて約30~150倍の大きな粒子を形成するようになる。このような粒子を乾燥させてなるものを細粒又は顆粒ということがあり、一般的に流れ性の増進、保存性の向上などのために粉末を細粒化又は顆粒化して用いる。
【0038】
例示的な一具現例において、前記粒子状は、球形又は楕円形の形状を有してよい。
本明細書において「茶粉末」は、茶の木(Camellia sinensis)を原料として得た粉末(パウダー)を意味し、例えば、茶の木の葉を粉砕、破砕又は磨砕して得た粉末(パウダー)や茶の木の葉の抽出物又は抽出液を噴霧乾燥などの工程を通じて粉末化して得た粉末(パウダー)であってよい。前記茶の木の葉は、収穫時期、加工の有無又は加工方法などに特に制限がなく使用可能である。
【0039】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、粉砕装置を利用して得ることができる。粉砕装置は、破砕機(crusher)、粉末機(grinder)などに大別することができる。破砕機は、大きな塊の固体を粉砕する装置であり、装置の例としては、ジョークラッシャ(jaw crusher)、ジャイレートリクラッシャ(gyratory crusher)などがある。粉末機は、破砕機で1次粉砕された粉末をさらに細かい粉砕生成物にしたり、1次粉砕を行うことなく微粉末にしたりする装置であって、ハンマーミル(hammer mill)、ローラミル(roller mill)、ボールミル(ball mill)、アトリションミル(attrition mill)、気流式ミル(air-flow type mill)などがこれに属する。茶の木の葉を粉砕して粉末緑茶を製造する場合、前記粉砕装置、特に電気ひき臼、ボールミル、ハンマーミルなどが利用されている。
【0040】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、50μm以下、又は1~50μm、又は10~50μmの粒子径を有するものであってよい。
【0041】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、茶粉末の全質量を基準にして99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下のものであってよい。
【0042】
例示的な一具現例において、前記茶は、茶葉であってよい。
【0043】
例示的な一具現例において、前記茶は、不発酵茶、例えば緑茶など、発酵茶、例えば紅茶など、半発酵茶、例えばウーロン茶、白茶、花茶など、後発酵茶、例えばプーアル茶、黄茶などを含む群から選ばれる1以上であってよい。
【0044】
例示的な一具現例において、前記茶は、緑茶であってよい。
【0045】
例示的な一具現例において、前記茶は、緑茶葉であってよい。
【0046】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、茶粉末からなる、他の添加剤を用いることなく100%茶粉末からなるものであってよい。他の例示的な一具現例において、前記茶加工品は、加工品の全質量を基準にして90質量%以上、又は95質量%以上が茶粉末からなるものであってよい。
【0047】
本明細書において茶粒子の球形度は、粒子状の茶加工品の球形度を意味してよい。
【0048】
本明細書に係る茶加工品は、湿潤性や分散性(粒子の拡散性)に優れる効果がある。従来の粉末緑茶又は粉末緑茶の顆粒を水に分散させるために掻き回したり振ったりしなければならない過程を不要とするほど非常に素早い分散速度を有する茶加工品を提供する。また、前記茶加工品は、再分散性に優れるため水に分散した後も互いにくっ付いたり凝集したりする現象が生じなく、且つ時間が経っても分散状態を保持する。前記茶加工品は、水の温度に関係なく冷たい水やお湯のいずれでも優れた分散性や再分散性を示す。
【0049】
また、本明細書に係る茶加工品は、流れ性又は流動性に優れる長所がある。このため、包装が容易となることからスティック包装の際に充填、封止などの製造工程でも有利な長所を提供し(例えば、定量で包装しやすく、且つ封止の際に発生し得る不良を予防する)、消費者が使用する際にも粒子の排出が容易であるため使用が便利である効果がある。
【0050】
例示的な一具現例において、前記球形度S10値が0.68以上、0.69以上、0.70以上、0.71以上、0.72以上、又は0.73以上であってよい。
【0051】
例示的な一具現例において、前記球形度S10値が0.68~0.88であってよい。
【0052】
他の例示的な一具現例において、前記球形度S10値が0.68以上、0.69以上、0.70以上、0.71以上、0.72以上、又は0.73以上であり、且つ0.88以下、0.87以下、0.86以下、0.85以下、0.84以下、0.83以下、又は0.82以下であってよい。
【0053】
例示的な一具現例において、前記球形度S10値が0.72~0.84であってよい。
【0054】
例示的な一具現例において、前記茶粒子の球形度に対する累積分布を測定したとき、累積分布の下から90%に該当する粒子の球形度S90値と累積分布の下から10%に該当する粒子の球形度S10値との差(S90-S10)が0.20未満であってよい。
【0055】
例示的な一具現例において、前記S90-S10が0.15未満であってよい。
【0056】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、全茶粒子の平均粒子径が100~300μmであってよい。
【0057】
他の例示的な一具現例において、前記茶加工品は、全茶粒子の平均粒子径が100μm以上、110μm以上、120μm以上、130μm以上、140μm以上、150μm以上、160μm以上、170μm以上、180μm以上、190μm以上、又は200μm以上であり、且つ300μm以下、290μm以下、280μm以下、270μm以下、260μm以下、250μm以下、240μm以下、230μm以下、220μm以下、210μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0058】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、前記茶粒子の全質量を基準にして微粉末を20質量%以下含むものであってよい。
【0059】
本明細書において「微粉末」とは、茶粒子の大きさ、すなわち粒子の直径(粒子径又は粒径ともいう)が75μm(200mesh)以下の粒子を意味する。本明細書において粒子の直径は、粒子の最長直径を意味してよい。
【0060】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、茶粒子の全質量を基準にして微粉末を20質量%以下、19質量%以下、18質量%以下、17質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下含むものであってよい。他の例示的な一具現例において、前記茶加工品は、微粉末を含まないか、茶粒子の全質量を基準にして微粉末を0.0001~20質量%、0.001~20質量%、0.01~20質量%、0.05~20質量%、又は0.1~20質量%含むものであってよい。ここで、茶粒子の全質量は、茶加工品の全質量を意味してよい。
【0061】
例示的な一具現例において、前記茶粒子は、下記のi)~iii)のうちの1以上の粒度分布値を有するものであってよい。ここで、茶粒子は、茶加工品を意味してよい。
i)粒度分布D10値が50μm以上;
ii)粒度分布D50値が100μm以上;及び
iii)粒度分布D90値が200μm以上。
【0062】
前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の粒子径に対する累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子の粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子の粒子径を意味する。
【0063】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D10値は、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、又は100μm以上であり、且つ200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0064】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D50値は、100μm以上、110μm以上、120μm以上、130μm以上、140μm以上、又は150μm以上であり、且つ250μm以下、240μm以下、230μm以下、220μm以下、210μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0065】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D90値は、200μm以上、220μm以上、240μm以上、260μm以上、280μm以上、又は300μm以上であり、且つ600μm以下、550μm以下、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、340μm以下、330μm以下、320μm以下、310μm以下、又は300μm以下であってよい。
【0066】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D10値は、50μm≦D10≦200μmであってよく、粒度分布D50値は、100μm≦D50≦250μmであってよく、粒度分布D90値は、200μm≦D90≦600μmであってよい。
【0067】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、35°以下、好ましくは30°以下の安息角を有することで流れ性や流動性に優れており、製品包装及び使用が容易であるという効果がある。安息角は、茶粒子を積み上げたときに安定して保持できる角度のことを意味し、安息角が高いほど流れ性は低下するようになる。
【0068】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が100秒以下、90秒以下、80秒以下、70秒以下、60秒以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、又は10秒以下のものであってよい。
【0069】
例示的な一具現例において、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間であってよい。すなわち、前記湿潤時間は、物理的又は化学的処理を加えることなく茶加工品1.5gを水の水面上に静かに置いたときに茶加工品全体が水に浸漬するのにかかる時間を意味してよい。
【0070】
例示的な一具現例において、前記水の量は500mLであってよい。
【0071】
例示的な一具現例において、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを室温で15~25℃の水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間であってよい。
【0072】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、細粒剤又は散剤であってよい。
【0073】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、加工された茶粒子をカプセル又はスティック形態の包(packets)に充填したり、発泡錠又は懸濁用錠などの形態にさらに加工したりしたものであってよい。
【0074】
本明細書に係る茶加工品は、結合剤などが全く含まれていない茶粉末100%からなるものであってよい。既存の細粒又は顆粒の製造の際は、茶粉末に結合剤を水に溶かした液を噴霧して製造していたため、水に分散又は溶解させると濁った色相やさっぱりしない後味などが残ったが、本明細書に係る茶加工品は、このような嗜好性を阻害する要素が排除されただけでなく、溶媒、例えば、水に対する分散性が顕著に増進した効果がある。また、結合剤などを含んでおらず、工程の単純化や嗜好性改善の効果を提供することができる。
【0075】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、前記粒子状の茶加工品を製造する段階を含む、粒子状の茶(tea)加工品の製造方法を提供する。
【0076】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、茶粉末と水だけで茶加工品を製造するものであってよい。
【0077】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、回転板(Rotor disc)を含むローター型流動層造粒機で粒子状の茶加工品を製造するものであってよい。前記回転板を含むローター型流動層造粒機を用いることで、他の添加剤を用いることなく茶粉末と水だけで分散性や流れ性に優れる粒子状の茶加工品の製造が可能となる。
【0078】
流動層造粒機は、一般的に液体の粉末化や顆粒化、粉末の顆粒化、薬品成分の被覆などに使用される機器であって、食品や製薬製品の生産に主に使用されている。流動層造粒機の一般的な稼動方式を検討すると、空気圧によって液体、粉末、及び顆粒が流動化する流動層内で設計された仕様の組成比を有する顆粒が生産される。本明細書においてローター型流動層造粒機とは、回転する回転板を含む流動層造粒機であって、回転板の回転によって茶粉末に遠心力が加えられ得る。
【0079】
例示的な一具現例において、前記回転板は、速度調節が可能なものであってよい。
【0080】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、容器;及び前記容器の内部に設けられた回転板を含むものであってよい。
【0081】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、容器;及び前記容器の内部に設けられた水平の回転板を含み、回転板と容器の器壁との間の隙間に空気を給気するものであってよい。
【0082】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、空気を給気する隙間に隣接して設けられた噴霧ノズルを介して容器の内部に水を噴射するものであってよい。
【0083】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、回転板と容器の器壁との間に設けられ空気が給気される隙間形成部を含むものであってよい。
【0084】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、隙間形成部に隣接して設けられ容器の内部及び回転板の上部に水を噴射するノズル形成部を含むものであってよい。
【0085】
例示的な一具現例において、前記ノズル形成部は、上向きに水が噴射できるように設けられてよい。
【0086】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、90~1,200rpmの回転板の速度で粒子状の茶加工品を製造するものであってよい。回転板の回転速度は、装備の大きさに応じて非常に多様であってよく、例えば、一般的に実験室装備の場合、回転板の大きさが小さいため(例えば、Glatt社製のGPCG-1の回転板の直径は30cmである。)、茶粒子の製造の際に約360~1200rpmの範囲で稼動されてよく、回転板の大きさが1,200cmである生産装備の場合、約90~300rpmの範囲で稼動されてよい。
【0087】
例示的な一具現例において、前記回転板は、2~20m/sec、3~20m/sec、4~20m/sec、又は5~20m/secの先端速度(tip speed)で粒子状の茶加工品を製造し、茶粒子の分散性や流れ性を向上させることができる。
【0088】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気温度15℃~40℃、排気温度10℃~35℃、噴霧ノズル直径1.0~2.0mm、噴霧圧1.0~5.0bar又は/及び乾燥温度40℃~80℃の条件で粒子状の茶加工品を製造するものであってよい。
【0089】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気温度25℃~35℃、排気温度15℃~30℃、噴霧ノズル直径1.0~2.0mm、噴霧圧1.0~3.0bar又は/及び乾燥温度60℃~80℃の条件で粒子状の茶加工品を製造するものであってよい。
【0090】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気量150~2,000m3/hr又は600~1,000m3/hrで粒子状の茶加工品を製造するものであってよく、ローター型流動層造粒機の装備規模に応じて適宜調節可能である。
【0091】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、茶粉末に水を噴射して粒子状の茶加工品を製造するものであってよい。
【0092】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、茶粉末を回転板に置いて回転板を回転させて茶粉末に遠心力を加える段階;空気を給気して空気によって茶粉末を浮揚させる段階;浮揚した茶粉末に水を噴射する段階;及び水と接触した茶粉末を重力によって落とす段階を含むものであってよい。
【0093】
前記のように、本明細書に係る粒子状の茶加工品の製造方法では、回転板の回転による遠心力、回転板と容器の器壁との間の隙間(gap)を通過する給気エア(inlet air)による浮揚力、及び回転板上に物質を落とす重力、の3つの力で粒子状の茶加工品を製造してよい。
【0094】
従来、50μm以下の粒子径を有する粉末は細かすぎて、流動層造粒機で加工しても製造された粒子の大きさが所望の大きさほど大きくならない限界があったが、本明細書に係る茶加工品の製造方法では、茶粉末の全重量を基準にして99重量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下であっても約2時間以下の短い時間で所望の大きさを有する茶粒子を製造することができる。前記製造方法で製造された茶加工品は、溶媒に対する分散性に優れ、且つ茶粒子の流れ性を向上させ、製品の包装や使用の容易性を増加させることができる。
【0095】
例示的な一具現例において、前記製造方法では、茶粉末質量の0.3倍~1.5倍の質量に該当する量の水を茶粉末に噴射してよい。
【0096】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、粒子径が75μm以下の微粉末を除去する段階をさらに含んでよい。
【0097】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明することにする。なお、これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであるに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないのは当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0098】
実施例1.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水750gを下記の条件で噴射しながら、球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:540rpm、乾燥温度:70℃。
【0099】
実施例2.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水660gを下記の条件で噴射しながら、球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:540rpm、乾燥温度:70℃。
【0100】
実施例3.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水600gを下記の条件で噴射しながら、球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:720rpm、乾燥温度:70℃。
【0101】
実施例4.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水500gを下記の条件で噴射しながら、球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:360rpm、乾燥温度:50℃。
【0102】
実施例5.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水600gを下記の条件で噴射しながら、球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:720rpm、乾燥温度:65℃。
【0103】
実施例6.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水700gを下記の条件で噴射しながら、球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):23~28%、ローターrpm:360rpm、乾燥温度:80℃。
【0104】
実施例7.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)40kgをローター型流動層造粒機(WBF200/120/100、Rotor type、Enger、中国)に入れ、水34kgを下記の条件で噴射しながら球形度S10値が0.68以上の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:23℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.5mm、噴霧圧:3.0bar、給気エアー量:800m3/hr、ローターrpm:240rpm、乾燥温度:70℃。
【0105】
比較例1.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)500gをトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水300gを下記の条件で噴射しながら、粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0106】
比較例2.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)475gをトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水485gにマルチトール25gを入れて溶かした液を下記の条件で噴射しながら、粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:50℃、排気温度:27±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0107】
比較例3.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)350gとマンニトール125gを混合してトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水525gにマルチトール25gを入れて溶かした液を下記の条件で噴射しながら、粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:50℃、排気温度:25±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0108】
比較例4.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)495gをトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水295gにマルトデキストリン5gを入れて溶かした液を下記の条件で噴射しながら、粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:60℃、排気温度:30±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0109】
比較例5.
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)を比較例5と指定して下記の実験例で用いた。
【0110】
比較例6.
市販製品であるリシ抹茶(Rishi Matcha travel packs、Rishi-Tea)を比較例6と指定して下記の実験例で用いた。
【0111】
比較例7.
市販製品の烟茶有機農抹茶(Encha organic matchagreen tea powder packets、Encha)を比較例7と指定して下記の実験例で用いた。
【0112】
比較例8.
市販されている結晶性粒子である結晶セルロース(CELLETS(R) 100、IPC(International Process Center)、ドイツ)を比較例8と指定して下記の実験例で用いた。本比較例8で用いた結晶セルロースの球形度を粒子形状分析器で測定して下記の表1に表し、前記結晶セルロースは、粒度分析測定器で測定したとき、粒子径が75μm以下の微粉末の比率が0.1%であると示された。
【0113】
実験例1.球形度の測定
粒子形状分析器(QICPIC450、Sympatec、ドイツ)を利用して前記実施例1~7及び比較例1~8の球形度を測定し、その結果を表1に表した。球形度の測定は、粒子を気流中に2barの圧力で分散させ撮影装備を利用して各粒子の投射度を撮影してから粒子の形態を測定して計算した。球形度の計算は、各粒子の投射度から測定された粒子の面積と同じ面積を有する円の周長を実際の粒子の周長で除して計算した(下式参照)。球形度は0から1の間の値を有し、1に近いほど球形に近い粒子形態を示す。
【0114】
【0115】
実験例2.粒度の分析
粒度分析測定器(Mastersizer、Malvern、イギリス)を利用して前記実施例1~7及び比較例1~8の粒度分布、平均粒子の大きさ、特定範囲の粒子の大きさ(75μm以下)を有する微粉末の比率などを測定し、その結果を表2に表した。
【0116】
実験例3.湿潤時間の測定
室温と同じ温度の水500mLが入っているビーカーに実施例1~7及び比較例1~8のサンプル1.5gを慎重に入れた後、水面上で固まることなく下に沈む湿潤時間を測定し、その結果を表2及び
図1~8、
図11、12に示した。前記湿潤時間は、掻き混ぜたり振ったりするなどの物理的力を加えずに放置した後、サンプルが水面下に沈む時間を測定したものである。
【0117】
実験例4.安息角の測定
粉体が通過する漏斗を底面に固定させた状態で実施例1~7及び比較例1~7のサンプルを漏斗に入れてから、漏斗を徐々に持ち上げながら積み上げられた円錘状の塊ができるようにした。積み上げられた円錐4箇所の直径の平均値と円錐の高さを測定して下記の式から安息角を求め、その結果を表2に表した。
【0118】
【0119】
安息角は、粒子の流動性(流れ性)を示す指標であって、一般的に25°~30°であれば極めて良好、31°~35°であれば良好、36°~40°であればやや良好であることを意味する。流動性に優れるほど、粒子をカプセルやスティック包に充填したり錠剤に打錠したりするときに所望の量だけ充填され易くなることで工程を円滑にする長所がある。
【0120】
実験結果.
【0121】
【0122】
【0123】
前記実験例1から、球形度S
10値が0.68以上の実施例1~7の場合、球形度S
10値が0.68未満の比較例1~7の湿潤時間に比べて顕著に短い湿潤時間を有することが確認された。本明細書に係る茶加工品の溶媒(例えば、水)に対する分散速度は、粉末緑茶又は既存の粉末緑茶の顆粒に比べて顕著に優れた分散速度を示した。実際に、カップ、タンブラー又は水ボトルなどに本明細書に係る茶加工品を入れたとき、水に容易に分散して便利に飲用することができた(
図9及び10参照)。
【0124】
分散性を高めるために通常の方法に従いマルチトール又はマルトデキストリンを添加して茶加工品を製造した比較例2~4の場合にも、湿潤時間が高くて所望の効果を達成することができなかった。具体的に、比較例2~4の場合、湿潤時間の測定の間(3分)全く湿潤がなされずに相当の量が水面上に残っており、水ボトルに入れて振ったときは水ボトルの入口に茶加工品が付着している現象が現れ、湿潤性が顕著に低いことが確認された。
【0125】
また、湿潤がなされたとしても、沈んだ粉末緑茶又は粉末緑茶の顆粒が分散され難く固まっているが、本明細書に係る茶加工品は分散性に極めて優れ、振ったり掻き混ぜたりしなくても固まり現象が殆どないということが確認された(
図1~3参照)。特に、実施例4は、実施例2及び3に比べて相対的に湿潤時間は長いが、湿潤時間の測定直後の写真をみると、茶加工品が湿潤の間に水によく分散され、不溶性物質を含んでいる茶加工品が水に分散された後も互いにくっ付いたり凝集したりする現象がなく、再分散性に優れることが目視にて確認された。
【0126】
上述したように、本明細書に係る球形度S10値が0.68以上の茶加工品は、結合剤などの添加剤を用いることなく茶粉末だけからなるものであってよく、迅速な分散特性を有することが確認された。このような分散特性は、比較例1~7に比べて顕著に優れるものであった。したがって、粒子状の茶加工品において粒子の球形度、粒子の大きさや粒度分布が分散性に影響を及ぼし、茶加工品の粒子の大きさが小さいほど分散性が増加することではないことが確認された。
【0127】
前記実験例4から、実施例1~7の場合、安息角が35°を超える比較例1~7とは異なり、流れ性が非常に良好であることを確認した。したがって、本明細書に係る茶加工品は、極めて良好な流動性を有するため、包装や使用が容易である長所を提供することが分かった。
【0128】
また、実施例1及び比較例8のサンプルを同じ条件でそれぞれ水に添加したとき、実施例1の茶加工品は20秒後にも水によく分散されているのに対し、比較例8の結晶セルロースは20秒後に全部底に沈む結果を示した(
図11及び12参照)。このように、結晶セルロースは球形度が実施例及び比較例のうち最も高いにも係わらず、低い分散性や再分散性を示した。したがって、球形度と分散特性が一括して比例又は反比例の関係を有するのではなく、粒子の種類が分散特性に影響を及ぼす要素として働き、球形度が高くても、粒子の種類に応じて異なった分散特性を示し得ることが確認された。
【0129】
以上、本発明内容の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は単に好適な実施態様であるに過ぎず、これによって本開示物の範囲が制限されるものではない点は明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。