(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】レベチラセタムを含む錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4015 20060101AFI20241022BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241022BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241022BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A61K31/4015
A61K9/20
A61K9/28
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/44
A61P25/08
(21)【出願番号】P 2020143942
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2019155057
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】舛井 聡
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 浩平
(72)【発明者】
【氏名】眞井 絵里佳
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070534(JP,A)
【文献】特開2017-206467(JP,A)
【文献】特開2017-206454(JP,A)
【文献】特表2009-502835(JP,A)
【文献】特表2009-524658(JP,A)
【文献】特表2011-507829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベチラセタム
と、
沈降体積が10~18mlであるクロスカルメロースナトリウム
と、ショ糖脂肪酸エステル、
及び硬化
油からなる群から選択される1種又は2種以上
とを含有してなる錠剤。
【請求項2】
ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、及び結晶セルロースからなる群から選択される1種又は2種以上をさらに含有してなる、請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、及び結晶セルロースをさらに含有してなる、請求項1~2のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項4】
クロスカルメロースナトリウムを1錠あたり1~10重量%含有してなる請求項1~3のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
硬化油を1錠あたり0.1~3重量%含有してなる請求項1~4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項6】
ショ糖脂肪酸エステルを1錠あたり0.1~3重量%含有してなる請求項1~4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項7】
レベチラセタムを1錠あたり80~89重量%含有してなる請求項1~6のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項8】
錠剤がフィルムコーティング錠である、請求項1~7のいずれか一項に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶出性が良好なレベチラセタム含有錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
レベチラセタムは、化学名:(2S)-2-(2-Oxopyrrolidine-1-yl)butyramide)で示される化合物である。レベチラセタムは、現在、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法などに用いられることが知られている(非特許文献1)。また、特許文献1には、レベチラセタム、並びに薬剤組成物の全重量に対して崩壊剤2.0~9.0重量%、滑剤0.0~3.0重量%、結合剤0.5~6.0重量%、及び潤滑剤0.0~1.0重量%を含む薬剤組成物が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、レベチラセタムと、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸カルシウムの少なくともいずれかを含むことを特徴とするレベチラセタム含有医薬組成物が記載されている。
【0004】
しかしながら、レベチラセタム、クロスカルメロースナトリウム、及び硬化油等を含有するレベチラセタム錠剤については、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2009-502835号公報
【文献】特開2018-70534号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】添付文書「イーケプラ錠250mg/500mg」、2018年9月改訂(第13版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好な溶出特性を有するレベチラセタム錠剤を提供することであり、更には、錠剤硬度、崩壊性も良好なレベチラセタム錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、レベチラセタム、クロスカルメロースナトリウム、並びにショ糖脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムからなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含有してなる錠剤に関する。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)レベチラセタム、クロスカルメロースナトリウム、並びにショ糖脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムからなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含有してなる錠剤、
(2)添加剤がショ糖脂肪酸エステル及び/又は硬化油である前記(1)記載の錠剤、
(3)クロスカルメロースナトリウムの沈降体積が10~18mlである前記(1)~(2)のいずれかに記載の錠剤、
(4)クロスカルメロースナトリウムを1錠あたり1~10重量%含有してなる前記(1)~(3)のいずれかに記載の錠剤、
(5)硬化油を1錠あたり0.1~3重量%含有してなる前記(1)~(4)のいずれかに記載の錠剤、
(6)ショ糖脂肪酸エステルを1錠あたり0.1~3重量%含有してなる前記(1)~(4)のいずれかに記載の錠剤、
(7)レベチラセタムを1錠あたり80~89%含有してなる前記(1)~(6)のいずれかに記載の錠剤、に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定の添加剤を選択することにより、レベチラセタムの錠剤からの速やかな溶出挙動を示し、更に、良好な錠剤硬度、崩壊性を有するレベチラセタム錠剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明のレベチラセタムを含む錠剤に関して説明する。
【0012】
本発明に用いられるレベチラセタムは、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法に用いられる。
【0013】
通常、成人にはレベチラセタムとして1日1000mgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により1日3000mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として1000mg以下ずつで行う。
【0014】
また、通常、4歳以上の小児にはレベチラセタムとして1日20mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により1日60mg/kgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として20mg/kg以下ずつで行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いる。
【0015】
レベチラセタムの配合量は、錠剤全量に対して、80~92%、ある態様として85~89%である。
【0016】
本明細書において沈降体積とは、100mlの共栓メスシリンダーに水75mlを入れ、試料1.5gを0.5gずつ激しく振り混ぜながら加え、更に水を加えて100mlとし、均一に分散するまで良く振り混ぜた後、4時間放置したときの、メスシリンダーから読み取った試料の沈降体積を意味する。
【0017】
本発明に用いられるクロスカルメロースナトリウムとしては、製薬学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ある態様として、沈降体積が10~18mlであるクロスカルメロースナトリウムであり、沈降体積が10~18mlであるクロスカルメロースナトリウムは、溶媒を水とした場合の沈降体積が10~18mlのクロスカルメロースナトリウムと規定される。具体的には、例えば、ある態様としてKICCOLATE ND-200(ニチリン化学工業)、VIVASOL SF200(JRS PHARMA)が挙げられる。ある態様としてKICCOLATE ND-200(ニチリン化学工業)が挙げられる。
【0018】
クロスカルメロースナトリウムの配合量は、錠剤全量に対して、1~10重量%、ある態様として2~8重量%、ある態様として4~6重量%である。
【0019】
本発明に用いられる硬化油としては、製薬学的に許容されているものであれば特に制限されない。硬化油としては、例えば、ヒマシ油、ナタネ油、綿実油、ダイズ油、ヤシ油、パーム核油、パーム油等の硬化植物油、或いは、牛脂、鯨油、魚油などの硬化動物油等が挙げられる。ある態様としては、ヒマシ油、ナタネ油、綿実油、ダイズ油、ヤシ油、パーム核油、パーム油等の硬化植物油が挙げられる。ある態様としては、ヒマシ油が挙げられる。
【0020】
硬化油の配合量は、錠剤全量に対して、0.1~3重量%、ある態様として0.3~2重量%、ある態様として0.6~1.2重量%である。また、ショ糖脂肪酸エステルと合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルとしては、製薬学的に許容されているものであれば特に制限されない。
ショ糖脂肪酸エステルの配合量は、錠剤全量に対して、0.1~3重量%、ある態様として0.3~2重量%、ある態様として0.6~1.2重量%である。また、硬化油と合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明における錠剤は、素錠でもコーティング錠でもよく、口腔内崩壊錠であってもよい。
【0023】
本発明のレベチラセタムを含む錠剤には、本発明の所望の効果が達成される範囲で更に各種医薬品添加物が適宜使用され、製剤化される。かかる医薬品添加物としては、製薬学的に許容され、かつ薬理学的に許容されるものであれば特に制限されない。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤、界面活性剤、フィルムコーティング剤等が使用される。
【0024】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、D-ソルビトール、デンプン、α化デンプン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0025】
結合剤としては、例えば、アラビアゴム、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0026】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0027】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0028】
発泡剤としては、例えば、重曹等が挙げられる。
【0029】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0030】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等を挙げることができる。
【0031】
着色剤としては、例えば、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等が挙げられる。着色剤はコーティング層にも使用することができる。
【0032】
緩衝剤としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸又はその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0033】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0034】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0035】
フィルムコーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化チタン、タルク、プレミックスコーティング剤等が挙げられる。プレミックスコーティング剤として、ある態様として、オパドライII、オパドライQX、オパドライambII、ある態様として、オパドライIIが挙げられる。
【0036】
本発明の錠剤は、粉砕、混合、造粒、乾燥、整粒、成形(打錠)、コーティング等の工程を含む、自体公知の方法により、製造することができる。詳細には、本発明の錠剤は、レベチラセタム、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウムを混合後、HPC-L又はHPC-SSL水溶液を結合液として流動層造粒し、乾燥、整粒し、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、滑沢剤を混合、打錠し、素錠を製した後、該素錠に対して、プレミックスコーティング剤であるオパドライIIで被覆されることにより、製造される。更に詳細には、素錠については、例えば、レベチラセタム、賦形剤、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウムを混合して、該混合物に対して、結合剤を製薬学的に許容される溶媒に溶解及び分散した結合剤溶液を噴霧・乾燥して得られた造粒物に、滑沢剤を配合して、成形(打錠)して素錠を製したり、或いは、レベチラセタム、賦形剤、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウム、滑沢剤を混合して、該混合物に対して、結合剤を製薬学的に許容される溶媒に溶解及び分散した結合剤溶液を噴霧・乾燥して得られた造粒物に、クロスカルメロースナトリウムを配合して、成形(打錠)して素錠を製したり、或いは、賦形剤、を混合して、該混合物に対して、レベタラセタム、結合剤を製薬学的に許容される溶媒に溶解及び分散した結合剤溶液を噴霧・乾燥して得られた造粒物に、滑沢剤を配合して、成形(打錠)して素錠を製する。また、賦形剤に対して、レベチラセタム、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウム、結合剤を製薬学的に許容される溶媒に溶解及び分散した結合剤溶液を噴霧・乾燥して得られた造粒物に、滑沢剤を配合して、成形(打錠)して素錠を製する。
【0037】
コーティング錠は、素錠に対して、コーティング層が被覆されることにより、製造される。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
レベチラセタム250.0g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業 キッコレート ND-200)5.5g、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル アエロジル200)1.0gを混合した。次いで、目開き850μmの篩を用いて解砕し、混合粉体とした。ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達 HPC-SSL)8.2gを水155.8gに溶解させ、結合液とした。混合粉体を流動層造粒機(パウレック MP-01)に投入し、流動させながら結合液を噴霧し、造粒した。造粒終了後、流動層造粒機を用いて乾燥した。造粒物をパワーミル(ダルトン P-04S スクリーン径0.5mm)を用いて整粒した。袋に整粒品とクロスカルメロースナトリウム5.5g、結晶セルロース(旭化成 セオラス KG-1000)3.4g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業植物性)3.4gを投入し混合を行い、打錠用顆粒とした。打錠用顆粒を、ロータリー式打錠機(菊水製作所 VEL5)と、長径16.4mm、短径7.7mmのオーバル形状杵を用い、打錠圧力10または12kNで打錠し、素錠を得た。オパドライ(Colorcon OPADRY2)100gを水500gに溶解・分散させ、コーティング液とした。コーティング装置(パウレック製 ドリアコーター DRC-300)を用いて所定の質量となるまで素錠にコーティング液を噴霧しフィルムコーティングを行い実施例1の錠剤を得た(1錠あたり568.0 mg)。
【実施例2】
【0040】
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業 植物性)をステアリン酸カルシウム(太平化学産業)に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2の錠剤を得た(1錠あたり568.0 mg)。
【実施例3】
【0041】
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業 植物性)を硬化油(フロイント産業 ラブリワックス101)に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例3の錠剤を得た(1錠あたり568.0 mg)。
【実施例4】
【0042】
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業 植物性)3.4gを硬化油(フロイント産業 ラブリワックス101)1.7g及びショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ サーフホープ SE PHARMA J-1816)1.7gに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例4の錠剤を得た(1錠あたり568.0 mg)。
【実施例5】
【0043】
レベチラセタム5000g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学工業 キッコレート ND-200)110g、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル アエロジル200)20gを混合した。次いで、パワーミル(ダルトン P-3S スクリーン径0.5mm)を用いて解砕し、混合粉体とした。ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達 HPC-SSL)164gを水3116gに溶解させ、結合液とした。混合粉体を流動層造粒機(フロイント NFLO-5)に投入し、流動させながら結合液を噴霧し、造粒した。造粒終了後、流動層造粒機を用いて乾燥した。造粒物をパワーミル(ダルトン P-3S スクリーン径0.5mm)を用いて整粒した。袋に整粒品264.7gとクロスカルメロースナトリウム5.5g、結晶セルロース(旭化成 セオラス KG-1000)3.4g、ショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ サーフホープ SE PHARMA J-1816)3.4gを投入し混合を行い、打錠用顆粒とした。打錠用顆粒を、ロータリー式打錠機(菊水製作所 VEL5)と、長径16.4mm、短径7.7mmのオーバル形状杵を用い、打錠圧力10kNで打錠し、素錠を得た。オパドライ(Colorcon OPADRY2)50gを水250gに溶解・分散させ、コーティング液とした。コーティング装置(パウレック製 ドリアコーター DRC-300)を用いて所定の質量となるまで素錠にコーティング液を噴霧しフィルムコーティングを行い実施例5の錠剤を得た(1錠あたり568.0 mg)。
【0044】
実施例1~5で得られた錠剤の配合量を表1に示す。
【0045】
【0046】
《試験例1:溶出試験》
実施例1~5で得られた錠剤について、溶出試験液として水を用い、第17改正日本薬局方一般試験法の溶出試験法(パドル法)により試験を行なった。更に実施例3、4、5で得られた錠剤については、無包装、25℃75%RHで10日間保存後についても、溶出試験液として水を用い、第17改正日本薬局方一般試験法の溶出試験法(パドル法)により試験を行なった。
【0047】
溶出試験結果を表2に示す。
【0048】
【0049】
結果、クロスカルメロースナトリウム(キッコレート ND-200(沈降体積10~18ml))を含有する実施例1~5は、良好な溶出性を示した。更に実施例3、4、5については無包装、25℃75%RHで10日間保存後であっても、良好な溶出性が保たれていた。
【0050】
《試験例2:崩壊試験》
試験液として水を用い、第17改正日本薬局方一般試験法の崩壊試験法により試験を実施した。試験は実施例1~5で得られた錠剤の各々6錠で実施し、ストップウォッチを用いて崩壊時間を計測した。
【0051】
《試験例3:錠剤硬度測定》
シュロイニゲル錠剤硬度計を使用し、実施例1~5で得られた錠剤の各々10錠を測定した。
【0052】
《試験例4:摩損度試験》
第17改正日本薬局方参考情報の錠剤の摩損度試験法により試験を実施した。試験は実施例1~5で得られた錠剤のうち、6.5gにできるだけ近い量を試料として実施した。
【0053】
崩壊試験、錠剤硬度測定及び摩損度試験の結果を表3に示す。
【0054】
【0055】
結果、クロスカルメロースナトリウム(キッコレート ND-200(沈降体積10~18ml))とステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステルを使用した実施例1~5の錠剤では、錠剤硬度が70N以上で、崩壊時間が6分30秒以内であった。特に、硬化油、ショ糖脂肪酸エステルを使用した実施例3、4、5の錠剤では錠剤硬度が100N以上で、崩壊時間が4分30秒以内であった。