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特許7575232精子形成の自動評価のための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】精子形成の自動評価のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20241022BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01N33/48 P
G01N33/483 C
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020155487
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2021076586
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】201921037223
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】520359941
【氏名又は名称】アイラマトリックス プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロヒト
(72)【発明者】
【氏名】プラナブ サマンタ
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-525199(JP,A)
【文献】特開平09-131146(JP,A)
【文献】特開2016-033131(JP,A)
【文献】国際公開第01/060388(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0027329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 ー 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精巣組織標本の精子形成の自動評価を実施するための方法であって、
電子装置(100)により、染色された精巣組織標本の載置切片の媒体を分析し、少なくとも1つの精細管を検出する工程、
前記電子装置(100)により、前記検出された少なくとも1つの精細管をより高い倍率レベルにマッピングすることにより、前記染色された精巣組織標本の前記載置切片の前記媒体において少なくとも1つの生殖細胞のセグメンテーションを実施する工程、
前記電子装置(100)により、前記検出された少なくとも1つの精細管を、セグメント化された前記少なくとも1つの生殖細胞を使用してステージ分類を実施することにより、精子形成サイクル/精子形成プロセスの少なくとも1つのステージに分類する工程、
前記電子装置(100)により、前記検出された少なくとも1つの精細管が分類される前記ステージおよび精巣組織と関連する少なくとも1つの形態学的パラメータに基づき、前記検出された少なくとも1つの精細管を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つに分類する工程、ならびに
前記電子装置(100)により、前記少なくとも1つの精細管の少なくとも1つの正常カテゴリーおよび少なくとも1つの異常カテゴリーへの分類およびステージ度数分布表に基づき、前記精巣組織標本を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つに分類する工程、
を含み、
前記ステージ度数分布表は事前に生成され、それぞれのステージ番号に対応する複数のステージ度数を列挙する、方法。
【請求項2】
前記染色された精巣組織標本の載置切片を、
前記精巣組織標本をガラススライド上に載置する工程、
前記載置された精巣組織標本を脱水する工程、
前記脱水された載置された精巣組織標本を融解パラフィンワックスに包埋する工程、
前記包埋された脱水された載置された精巣組織標本を少なくとも1つの切片に切断する工程、
前記融解パラフィンワックスを、前記包埋された脱水された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片から除去する工程、
前記脱水された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片を再水和する工程、および
前記再水和された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片を染色する工程、
を含む方法によって得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記包埋された脱水された載置された精巣組織標本を切断する工程は、
前記包埋された脱水された載置された精巣組織標本からのブロックをミクロトーム上に載置する工程、および
前記載置されたブロックから少なくとも1つの組織切片を切断する工程、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記再水和された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片はヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色で染色され、
ヘマトキシリンを金属塩または媒染剤と混合する工程、
前記混合されたヘマトキシリンを組織片上に適用する工程、
前記組織片をエオシンで対比染色する工程、および
過剰な染料を前記染色された組織片から弱酸溶液を用いて除去する工程、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生殖細胞は、バイナリクラスセグメンテーションモデル、およびマルチクラス(セマンティック)セグメンテーションモデルの少なくとも1つを用いて検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生殖細胞は、伸張精子細胞、精母細胞、円形精子細胞、残余小体、減数分裂体、および精原細胞の少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記検出された少なくとも1つの精細管を、ディープラーニングモデルのランダムフォレスト分類指標を使用し、各ステージと関連する少なくとも1つの特有の特徴を使用して、精子形成サイクルの少なくとも1つのステージに分類する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記染色された精巣組織標本に存在する分子または化学物質は、前記精巣組織標本の前記分類に基づき、正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つに分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
染色された精巣組織標本の載置切片の媒体を分析し、少なくとも1つの精細管を検出し、
前記検出された少なくとも1つの精細管をより高い倍率レベルにマッピングすることにより、前記染色された精巣組織標本の前記載置切片の前記媒体における少なくとも1つの生殖細胞のセグメンテーションを実施し、
前記検出された少なくとも1つの精細管を、セグメント化された前記少なくとも1つの生殖細胞を使用してステージ分類を実施することにより、精子形成サイクル/精子形成プロセスの少なくとも1つのステージに分類し、
前記少なくとも1つの検出された精細管を、前記検出された少なくとも1つの精細管が分類された前記ステージおよび精巣組織と関連する少なくとも1つの形態学的パラメータに基づき、正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つに分類し、ならびに
前記精巣組織標本を、前記少なくとも1つの精細管の少なくとも1つの正常カテゴリーおよび少なくとも1つの異常カテゴリーへの分類およびステージ度数分布表に基づき、正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つに分類する、
ためのプロセッサ(102)を含み、
前記ステージ度数分布表は事前に生成され、それぞれのステージ番号に対応する複数のステージ度数を列挙する、電子装置(100)。
【請求項10】
前記プロセッサ(102)は
載置された精巣組織標本を脱水し、
前記脱水された載置された精巣組織標本を融解パラフィンワックスに包埋し、
前記包埋された脱水された載置された精巣組織標本を少なくとも1つの切片に切断し、
前記融解パラフィンワックスを、前記包埋された脱水された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片から除去し、
前記脱水された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片を再水和し、および
前記再水和された載置された精巣組織標本の前記少なくとも1つの切片を染色するためのものである、請求項9に記載の電子装置(100)。
【請求項11】
前記プロセッサ(102)は、バイナリクラスセグメンテーションモデル、およびマルチクラス(セマンティック)セグメンテーションモデルの少なくとも1つを使用して、前記少なくとも1つの生殖細胞を検出するためのものであり、前記生殖細胞は、伸張精子細胞、精母細胞、円形精子細胞、残余小体、減数分裂体、および精原細胞の少なくとも1つである、請求項9に記載の電子装置(100)。
【請求項12】
前記プロセッサ(102)は、前記検出された少なくとも1つの精細管を、ディープラーニングモデルのランダムフォレスト分類指標を使用し、各ステージと関連する少なくとも1つの特有の特徴を使用して、精子形成サイクルの少なくとも1つのステージに分類するためのものである、請求項9に記載の電子装置(100)。
【請求項13】
前記プロセッサ(102)は、前記染色された精巣組織標本に存在する分子または化学物質を、前記精巣組織標本の前記分類に基づき、正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つに分類するためのものである、請求項9に記載の電子装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月16日に出願されたインド仮出願201921037223号(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に基づき、その恩典を得る。
【0002】
(技術分野)
本明細書で開示される実施形態は、精子形成を評価することに関し、より特定的には、精細管のステージ分類による精子形成の自動評価に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、雄生殖機能の毒性学研究は、精子数低下および生殖障害、不妊症、などの増加の報告の増加のために、関心の高まりを受けている。雄生殖機能への毒性効果(toxological effect)は、精子形成の妨害を特定することにより検出することができ、この場合、精子形成は始原生殖細胞からの精子産生を伴う。
【0004】
精巣組織は精子形成サイクルの認識を用いて検査することができ、精子形成におけるわずかな妨害の特定が確保される。精巣/精巣組織の病理組織学的検査は、雄生殖機能に対する毒性効果(toxological effect)を検出するために実施することができる。病理組織学的検査は、精子形成におけるわずかな妨害の高感度の初期指標として機能する。
【0005】
従来の病理組織学的検査は、精巣組織から精細管(円柱セルトリ細胞により構成され、精子形成細胞により取り囲まれ得る)を検出し、検出された精細管を精子形成サイクルの異なるステージに分類することを含むことができ、これを使用して精子形成におけるわずかな妨害を特定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、精細管の検出および精子形成サイクルの異なるステージへの分類は手動評価を含む可能性があり、これは、複雑で困難な作業となり得る。また、精巣組織学の複雑さ、様々な生殖細胞の密接なつながり、および隣接ステージ間の特徴の重なりは、手動評価を困難で時間のかかるものとしている。さらに、手動評価は、病理学者の専門知識に依存し、非常に主観的なものになり得る。
【0007】
加えて、従来の病理組織学的検査では、精子形成サイクルのステージ分類中での組織学的特徴のより良好な可視化および評価のために、標準H&E(ヘマトキシリンおよびエオシン)染色スライドに加えて、PAS(過ヨウ素酸シッフ)染色スライドなどの追加の染色スライドが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書における実施形態の主目的は、精細管のステージ分類による精子形成の自動評価のための方法およびシステムを開示することである。
【0009】
本明細書における実施形態の別の目的は、自動的に精子形成を評価するために、人工知能(AI)/ディープラーニング法を使用するための方法およびシステムを開示することである。
【0010】
本明細書における実施形態の別の目的は、自動的に精子形成を評価するために、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色された精巣組織標本を使用するための方法およびシステムを開示することである。
【0011】
本明細書における実施形態の別の目的は、H&Eで染色された精巣組織標本から精細管を検出し、精細管を、生殖細胞のセグメンテーションに基づいて精子形成サイクルのそれぞれのステージに分類するための方法およびシステムを開示することである。
【0012】
本明細書における実施形態の別の目的は、ステージおよび形態学的な特徴に基づき、精細管を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーの少なくとも1つにカテゴリー化するための方法およびシステムを開示することである。
【0013】
本明細書における実施形態の別の目的は、毒性分析のための精細管のカテゴリー化に基づき、精巣組織標本を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーにカテゴリー化するための方法およびシステムを開示することである。
【0014】
本明細書における実施形態のこれらのおよび他の態様は、下記記載および添付の図面と共に考慮すると、よりよく、認識され、理解されるであろう。しかしながら、下記記載は、少なくとも1つの実施形態およびその多くの具体的詳細を示しているが、例として提供されたものであり、制限するものではないことが理解されるべきである。多くの変更および改変は、その精神から逸脱せずに、本明細書における実施形態の範囲内で行うことができ、本明細書における実施形態はそのような改変を全て含む。
【0015】
本明細書における実施形態は添付の図面において示されており、図面を通して、同様の参照文字は、様々な図面における対応部分を示す。本明細書における実施形態は、下記記載から、図面を参照すると、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本明細書で開示される実施形態による電子装置を示し、電子装置は、精子形成を自動的に評価することができる。
図1B】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のために使用されるディープラーニングモデル例を示す。
図1C】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のために使用されるディープラーニングモデル例を示す。
図1D】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のために使用されるディープラーニングモデル例を示す。
図2A】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価を示す図例である。
図2B】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価の利益を示す図例である。
図3】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のための電子装置例を示す。
図4】本明細書で開示される実施形態による精細管を示す図例である。
図5A】本明細書で開示される実施形態による、生殖細胞のセグメンテーションを示す図例である。
図5B】本明細書で開示される実施形態による、生殖細胞のセグメンテーションを示す図例である。
図5C】本明細書で開示される実施形態による、生殖細胞のセグメンテーションを示す図例である。
図5D】本明細書で開示される実施形態による、生殖細胞のセグメンテーションを示す図例である。
図5E】本明細書で開示される実施形態による、生殖細胞のセグメンテーションを示す図例である。
図6A】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類を示す図例である。
図6B】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類を示す図例である。
図6C】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類を示す図例である。
図6D】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類を示す図例である。
図6E】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類を示す図例である。
図6F】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類を示す図例である。
図7】本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のための方法を示す図例である。
図8】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類の結果を示す図例である。
図9】本明細書で開示される実施形態による、自動ステージ分類に基づき作成されたステージ度数分布マップと、専門の病理学者により作成されたステージ度数分布マップの比較を示すグラフ例である。
図10】本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類から得られた平均正解率および平均精度を示す表の例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書における実施形態ならびにその様々な特徴および有利な詳細は、添付の図面に示され、下記説明に詳述される非限定的な実施形態を参照して、より詳しく説明される。よく知られた構成要素および処理技術の説明は、本明細書における実施形態を不必要に分かりにくくすることのないように省略する。本明細書で使用される実施例は、本明細書における実施形態が実施され得る方法の理解を促進し、さらに、当業者が本明細書における実施形態を実施することができるようにすることを意図するにすぎない。したがって、実施例は、本明細書における実施形態の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0018】
本明細書における実施形態は、精細管のステージ分類による精子形成の自動評価のための方法およびシステムを開示する。本明細書における実施形態は、精子形成の評価のために人工知能(AI)/ディープラーニング法を使用するための方法およびシステムを開示する。本明細書における実施形態は、精子形成の評価に基づく毒性分析のための方法およびシステムを開示する。以下、図面、より特定的には、図1Aから10について説明すると、同様の参照文字は、図を通して一貫して対応する特徴を示し、実施形態が示されている。
【0019】
図1Aは電子装置100を示し、ここで、電子装置は、本明細書で開示される実施形態により、精子形成を自動的に評価することができる。電子装置100の例は、限定はされないが、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルド装置、ファブレット、ラップトップ、コンピュータ、ウェアラブルコンピューティングデバイス、医療機器、モノのインターネット(IoT)装置などとすることができる。電子装置100はまた、特殊用途コンピューティングシステムとすることができ、例えば、限定はされないが、サーバー、クラウド、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのプログラム可能な家電、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、などである。電子装置100はまた、データベース(図示せず)と結合されたサーバーとすることができる。サーバーはスタンドアローンのサーバー、またはクラウド上のサーバーであってもよい。電子装置100はまた、クラウド・コンピューティングプラットフォームとすることができ、これは、異なる地理的場所に位置するユーザー装置(医師/病理学者、ユーザー/患者、などにより使用される装置)に接続することができ、精子形成の評価についての情報が提供される。本明細書で言及される電子装置100は、精子形成の自動評価を実施するように構成することができ、これから、雄生殖機能についての毒性効果(toxological effect)を検出することができる。精子形成は精細胞発生のプロセスとすることができる。
【0020】
電子装置100はプロセッサ102、メモリ104、通信インタフェース106、入力/出力(I/O)モジュール108、およびディスプレイ110を含む。一実施形態では、電子装置100は、少なくとも1つの画像センサ、少なくとも1つのカメラ、少なくとも1つのスキャナ、など(図示せず)を含む。一実施形態では、電子装置100は、通信ネットワーク(図示せず)を使用して、外部的に、少なくとも1つの画像センサ、少なくとも1つのカメラ、少なくとも1つのスキャナ、などの少なくとも1つに接続されてもよい。通信ネットワークの例は、インターネット、有線ネットワーク(ローカルエリア・ネットワーク(LAN)、イーサネットなど)、無線ネットワーク(Wi-Fiネットワーク、セルラーネットワーク、Wi-Fiホットスポット、ブルートゥース、ジグビーなど)などとすることができるが、これらに限定されない。電子装置100はまた、精子形成の評価を実施するために必要とされる情報にアクセスするために、通信ネットワークを使用して、少なくとも1つの外部エンティティ、例えば、限定はされないが、サーバー、外部データベース、などに接続され得る。
【0021】
プロセッサ102は、単一プロセッサ、複数のプロセッサ、複数の均一または不均一コア、異なる種の多重中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、特別な媒体、および他のアクセラレータの少なくとも1つとすることができる。さらに、複数の処理装置102が単一チップまたは複数のチップ上に配置されてもよい。
【0022】
プロセッサ102は、精子形成の自動評価を実施するように構成することができる。一実施形態では、プロセッサ102は、精細管を精子形成サイクル/精子形成プロセスのステージに分類することにより、精子形成の評価を実施することができる。
【0023】
精子形成の評価のために、精巣組織標本を得ることができる。本明細書における一実施例では、精巣組織は、ヒト、ラット、マウス、サル、イヌ、および任意の他の生物の少なくとも1つから得ることができる。ステージの番号は生物と共に変動し得ることに注意すべきである。得られた精巣組織標本はガラススライド上に載置することができる。その後、得られた、載置精巣組織標本を脱水させ、好適な材料に包埋することができる。本明細書における一実施形態では、脱水された組織は融解パラフィンワックスに包埋することができる。次いで、包埋脱水組織は、薄い組織片に切断される。本明細書における一実施形態では、脱水された、包埋精巣組織は好適なマウント上に載置し、薄い組織片に切断することができる。本明細書における一実施例では、脱水された、包埋精巣組織からのブロックがミクロトーム上に載置され、薄い組織片に切断される。その後、組織片をスライドに貼り付けてもよい。組織片をスライドに付着させた後、組織を包埋するために使用された材料は好適な手段(例えば、溶媒)を使用して除去される。包埋するために使用された材料から組織を除去した後、組織片は再水和される。一実施形態では、再水和された組織片は染色することができる。本明細書における一実施形態では、再水和された組織片はヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色および過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色の少なくとも1つで染色することができる。一実施例では、H&E染色が使用されることを考慮されたい。この場合、ヘマトキシリンが金属塩または媒染剤と混合され、組織片上に適用され、エオシンで対比染色される。過剰な染料は、染色された組織片から、弱酸溶液を使用して除去される。
【0024】
得られた組織片を使用する精子形成の評価のために、プロセッサ102は、染色された組織片/切片を有するスライドの媒体(例えば、画像、ビデオ、など)を得る。一実施形態では、プロセッサ102は、電子装置100内に存在する画像センサ、カメラ、などを用いて染色された組織片/切片の媒体を得る。一実施形態では、プロセッサ102は、画像センサ、カメラ、デジタル全側面イメージスキャナ、などの、外部接続された少なくとも1つを用いて染色された組織片/切片の媒体を得る。
【0025】
プロセッサ102は、精細管のステージ分類による精子形成の評価のために、媒体を分析することができる。一実施形態では、プロセッサ102は、染色された組織片/切片を(媒体から)分析するために、少なくとも1つの方法/技術/モデル、例えば、人工知能(AI)モデル、ディープラーニングモデル、などを使用することができる。本明細書における実施形態は、精子形成の評価のためにディープラーニングモデルを考慮することをさらに説明しているが、任意の他のニューラルネットワーク/機械学習モデルを考慮することができることは当業者に明らかなはずである。
【0026】
一実施形態では、ディープラーニングモデルは、物体の検出、セグメンテーション、および分類の1つ以上を達成できるモデルとすることができる(本明細書における一実施例では、物体は精細管とすることができる)。さらに、ディープラーニングモデルは、入力媒体において異なるクラスのセマンティックセグメンテーションを達成することができる。精子形成の評価のために使用されるディープラーニングモデル例が図1Bに示される。一実施形態では、ディープラーニングモデルはエンコーダーサブシステム/層、およびデコーダーサブシステム/層を含み、抽出した特徴に基づいて推論する。エンコーダーサブシステムは、3層のインセプションモジュールを含む。インセプションモジュール例が図1Cに示される。エンコーダーサブシステムは、ゼロパディングの初期層、続いて、畳み込み層を含む。ゼロパディング層は、パディングパラメータにより、元の媒体サイズを増加させる。例えば、サイズ2のパディングパラメータは入力媒体の幅および高さを4だけ増加させる。畳み込み層は行列の乗算、続いて、加算である。この層では、フィルタ行列が入力媒体と乗ぜられ、この場合、フィルタ行列のサイズは、入力媒体サイズ以下である。畳み込み層の出力は媒体とすることができ、入力媒体のサイズの半分である。畳み込み層の出力は、ダウンサンプリングのために最大プーリングブロック/層に送り込むことができる。最大プーリング層は入力媒体からウィンドウに関する(window-wise)最大画素値を得る。例えば、サイズ2×2のウィンドウは、入力媒体からの2×2部分行列を、それらの2×2部分行列の画素からの最大画素値に置き換える。よって、出力媒体のサイズは入力媒体サイズの半分となる。最大プーリング層に続いて、短いスキップコネクションと共にインセプションモジュール(図1Cに図示)が存在できる。インセプションモジュールに続いて、連続畳み込み層およびドロップアウト層が存在してもよい。ドロップアウト層は媒体画素値を、ユーザーにより規定されたドロップアウト率に基づき無作為に無効にする。さらに、最大プーリング層およびインセプションモジュール、ならびに畳み込みおよびドロップアウト層のプロセスは繰り返すことができ、エンコーダーサブシステムから出力が導出される。本明細書における一実施例では、最大プーリング層およびインセプションモジュール、ならびに、畳み込みおよびドロップアウト層のプロセスは、3回繰り返すことができる。
【0027】
デコーダーサブシステムはデコンボリューション層を含み、ここで、デコンボリューション層の出力は、同様の解像度で、エンコーダーサブシステムの出力と連結(concatenate)される。デコンボリューション層は、好適な方法、例えば、限定はされないが、最近傍法、転置畳み込み法、などを用いて、媒体入力のサイズをアップサンプリング/増加する。デコンボリューション層は、入力媒体のサイズをアップサンプリングファクターによりアップサンプリングする。連結出力(concatenation output)に続いて、ResNet-ボトルネックモジュールが存在してもよい。ResNet-ボトルネックモジュールの一例が図1dに示される。ResNet-ボトルネックモジュールは、2つの畳み込み層を含み、この場合、各畳み込み層の入力の残差(短いスキップコネクションであってもよい)が、畳み込み層の出力に加算されてもよい。これにより、確実に、エンコーダーサブシステムの特性が後の層で利用可能となり、そのため、エンコーダーおよびデコーダーサブシステムの出力が、元の入力から逸脱しないようにすることができる。ResNet-ボトルネックモジュールの出力に続いて、1×1畳み込みブロックが存在することができ、特徴次元が低減され、過学習問題が最小に抑えられる。1×1畳み込みブロックのプロセスは、デコーダーサブシステムにおける複数の層に対して繰り返すことができ、デコーダーサブシステムにおける最終出力層は1×1畳み込みブロックを有さない。一実施例では、1×1畳み込みブロックのプロセスは、デコーダーサブシステムにおける5つの層に対して繰り返すことができ、デコーダーサブシステムにおける最終出力層は1×1畳み込みブロックを有さない。
【0028】
プロセッサ102は染色された組織片/切片の媒体を、ディープラーニングモデルを使用して分析し、精細管を検出する。多数の画像のデータを訓練する複数のラベルを使用して、U-Netに基づくディープラーニングモデルを訓練することにより、ここで、1つのラベルが細管内部の領域に付与され、別のラベルが細管の周囲に付与され、別のラベルが細管の外側の領域に付与される。このデータはさらに、訓練および妥当性確認データセットに分けられ、ここで、訓練データは、ディープラーニングモデルを訓練するために使用され、妥当性確認データセットは、学習済みディープラーニングモデルを確認するために使用される。本明細書における一実施例では、U-Netに基づくディープラーニングモデルを、1500画像のデータを訓練する3つのラベルを使用して訓練することにより、ここで、1つのラベルが細管内部の領域に付与され、別のラベルが細管の周囲に付与され、第3のラベルが細管の外側の領域に付与される。このデータは、訓練および妥当性確認データセットにさらに分けられ、訓練データがディープラーニングモデルを訓練するために使用され、妥当性確認データセットが学習済みディープラーニングモデルを確認するために使用される。本明細書における一実施例では、プロセッサ102は、10×倍率で512×512タイル上で訓練されるディープラーニングモデルを使用する。
【0029】
プロセッサ102は、より高い倍率へのマッピングによる、生殖細胞の正確な検出およびセグメンテーションのために、検出された精細管をマッピングする。本明細書における一実施例では、プロセッサ102は検出された精細管を生殖細胞の正確なセグメンテーションのために、10×から40×倍率にマッピングする。10×解像度の1つのタイルは、10×解像度で存在する同じ画素情報を表す、40×解像度の4つのタイルに対応する。このように、その特定の細管に対応する10×解像度で存在するタイルが決定される。次いで、対応するタイルが40×解像度で抽出される。生殖細胞の例は、限定はされないが、伸張精子細胞、精母細胞、円形精子細胞、残余小体、減数分裂体、精原細胞、または任意の他の関連マーカーとすることができる。一実施形態では、プロセッサ102は、生殖細胞を検出するために、ディープラーニングモデルのバイナリクラスセグメンテーションモデル、マルチクラス(セマンティック)セグメンテーションモデル、などの少なくとも1つを使用する。本明細書における一実施例では、バイナリクラスディープラーニングに基づくモデルが、伸張精子細胞をセグメント化するために使用され、sa 6クラスディープラーニングに基づくモデルが、ステージ1-9および14の円形精子細胞、ステージ10の円形精子細胞、精原細胞、減数分裂体および太糸期をセグメント化するために使用される。プロセッサ102はまた、セグメント化された生殖細胞および個々の精細管上に重ねられた他の関連特徴の増強された可視化を表示する。
【0030】
生殖細胞がセグメント化されるとすぐに、プロセッサ102は、検出された精細管を精子形成サイクル/精子形成プロセスのそれぞれのステージに分類するためのステージ分類を実施するためにセグメント化された生殖細胞を使用する。個々の細管に存在する生殖細胞が最初に特定される。次いで、各細管に対応して、28次元の特徴ベクトルが、その中に存在する様々な生殖細胞のサイズ、位置および数に基づいて特徴を抽出することにより形成される。一実施形態では、プロセッサ102はディープラーニングモデルのランダムフォレスト分類指標を使用し、検出された精細管を少なくとも1つのステージに分類する。ランダムフォレスト分類指標にしたがい、プロセッサ102は各ステージと関連する特有の特徴/ステージ属性を使用して、検出された精細管を精子形成サイクルのそれぞれのステージに分類する。ステージ分類属性の例は、限定はされないが、伸張精子細胞頭部束化/位置、精母細胞、残余小体、などとすることができる。本明細書における一実施例では、検出された精細管は、各ステージと関連する特有の特徴/ステージ属性および検出された精細管の検出されたステージ分類属性に基づき、14ステージの少なくとも1つに分類することができる。
【0031】
プロセッサ102はさらに、ステージおよび形態学的パラメータに基づき、検出された精細管を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類する。異常カテゴリーに存在する細管のパラメータの例は変性細管、巨細胞、セルトリ細胞空胞化、などである。本明細書における実施形態は、任意の機械学習に基づくマルチクラスモデルを適用して、ステージを特定することができる。本明細書における一実施形態では、精細管の分類に基づき、プロセッサ102はステージ度数分布表を生成させ、表は、正常カテゴリーの精細管を異常カテゴリーの精細管と比較する。本明細書における一実施形態では、プロセッサ102は事前生成されたステージ度数分布表をフェッチすることができる。ステージ度数分布表はそれぞれのステージ番号に対応するステージ度数を列挙する。ステージ度数は、その特定のステージにおける細管の数を精巣中の分析される細管の総数により割ることにより計算される。
【0032】
プロセッサ102はまた、正常および異常カテゴリーへの精細管の分類および生成されたステージ度数分布表に基づき、得られた精巣組織標本を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類するように構成することができる。この分類は前臨床薬物毒性学試験において重要であり、この場合、新規薬物と関連する毒性が動物組織に対して試験される。投与後動物において異常が起これば、薬物は失敗と考えることができる。
【0033】
プロセッサ102はさらに、得られた精巣組織標本に存在する分子または化学物質を、精巣組織標本の分類に基づいて正常および異常に分類するように構成することができる。プロセッサ102はさらに、定量化されたパラメータに基づく報告を生成する。報告は、例えば、限定はされないが、細管の各々の詳細な分析、14ステージの度数マップ、異常、個々の細管上に重なるステージの可視化(複数可)、などの情報を含む。
【0034】
メモリ104は染色された組織片の得られた媒体、ステージ度数分布表、分類、などの少なくとも1つを保存する。メモリ104はまた、精子形成の自動評価を実施するためにプロセッサ102上で実行することができるプログラムコード/命令を保存してもよい。さらに、メモリ104は1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。メモリ104は、不揮発性記憶素子を含んでもよい。そのような不揮発性記憶素子の例としては、磁気ハードディスク、光ディスク、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、または電気的プログラム可能メモリ(EPROM)もしくは電気的消去可能およびプログラム可能(EEPROM)メモリの形態が挙げられる。加えて、メモリ104は、いくつかの実施例では、非一時的記憶媒体と考えることができる。「非一時的」という用語は、記憶媒体は、搬送波または伝播信号で具現化されないということを示し得る。しかしながら、「非一時的」という用語は、メモリ104は可動ではないことを意味すると解釈されるべきではない。いくつかの実施例では、メモリ104は、メモリよりも大量の情報を保存するように構成することができる。ある一定の実施例では、非一時的記憶媒体は、時間と共に変化する可能性があるデータを保存し得る(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュにおいて)。
【0035】
通信インタフェース106は、電子装置100が、少なくとも1つの外部エンティティ(例えば、サーバー、外部データベース、ユーザー装置、画像センサ/スキャナ、など)と、通信ネットワークを使用して接続できるように構成することができる。
【0036】
I/Oモジュール108は、電子装置100が、染色された組織片の媒体を獲得するための画像センサ、スキャナ、カメラ、などの少なくとも1つと接続できるように構成することができる。
【0037】
ディスプレイ110は、検出された精細管の増強された可視化および関連ステージなどを表示するように構成することができる。
【0038】
図1は電子装置100の例示的なブロックを示すが、他の実施形態はこれに制限されないことが理解されるべきである。他の実施形態では、電子装置100は、より少ない、またはより多い数のブロックを含んでもよい。さらに、ブロックのラベルまたは名称は、説明のためだけに使用され、本明細書における実施形態の範囲を制限しない。1つ以上のブロックは一緒に合わせられ、電子装置100において同じまたは実質的に同様の機能を実施することができる。
【0039】
図2Aは、本明細書で開示される実施形態による精子形成の自動評価を示す図例である。本明細書における実施形態により、電子装置100は、雄生殖機能に関する毒性学分析のために、精子形成の自動評価を実施することができる。図2Aに示されるように、電子装置100は、精子形成の自動評価を実施するために、AIモデル、ディープラーニングモデル、コンピュータビジョン(CV)技術、などの少なくとも1つを使用することができる。電子装置100は、ユーザーインタフェース(UI)/ディスプレイ110を使用して、精子形成の増強された可視化をさらに表示し得る。
【0040】
図2Bに示されるように、精子形成の自動評価により、パラメータ、例えば、細管、内腔、細胞質、などについての即時出力、精子形成細胞質の評価に関連する情報を提供する複数の報告の生成、生殖細胞の効率的な検出および計数、ステージ度数分布表の作成、より短い毒性分析期間、などを提供することができる。
【0041】
図3は、本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のための電子装置例100を示す。本明細書における実施形態により、電子装置100は、精細管による精子形成の自動評価を実施することができるようになる。電子装置100は精巣組織標本を得る。電子装置100は、ディープラーニングモデル、AIモデル、などの少なくとも1つを使用して、得られた精巣組織標本を分析し、精細管を検出する。精細管例は図4に示される。
【0042】
電子装置100は検出された精細管をマッピングし、生殖細胞をセグメント化する。セグメント化された生殖細胞は、伸張精子細胞、精母細胞、円形精子細胞、残余小体、減数分裂体、精原細胞、好塩基顆粒/残余小体、太糸期または任意の他の関連マーカーの少なくとも1つとすることができる。本明細書における一実施例では、円形精子細胞のセグメンテーション、内腔領域を有する好塩基顆粒/残余小体のセグメンテーション、太糸期のセグメンテーション、伸張精子細胞のセグメンテーション、減数分裂体セグメンテーションが図5A-5Eに示される。
【0043】
セグメント化された生殖細胞に基づき、電子装置100は個々の精細管を、セグメント化された生殖細胞に基づき、精子形成サイクルのそれぞれのステージに分類する。電子装置100は、図6Aに示されるランダムフォレスト分類指標に基づき、個々の精細管をそれぞれのステージに分類することができる。ランダムフォレスト分類指標にしたがい、電子装置100は、特有の特徴およびステージ分類属性を使用する。ステージ分類属性の例は、限定はされないが、伸張精子細胞頭部束化/位置、精母細胞、残余小体、などとすることができる。本明細書における一実施例では、各ステージと関連する特有の特徴/ステージ分類属性は図6Bに示される。本明細書における一実施例では、電子装置100は個々の精細管を図6Cに示される14ステージに分類する。
【0044】
電子装置100は精細管を、個々の精細管のそれぞれのステージへの分類およびセグメント化された生殖細胞に基づき、正常カテゴリーおよび異常カテゴリーにさらに分類する。電子装置100は、さらに、正常カテゴリーの精細管を異常カテゴリーの精細管と比較するために、ステージ度数分布表を生成させる。本明細書における一実施例では、ステージ度数分布表/マップが図6Dに示される。
【0045】
精細管が正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類されるとすぐに、電子装置100は、ステージ分類判断基準を使用して、得られた精巣組織標本を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類する。ステージ分類判断基準の例は、限定はされないが、生殖細胞のセグメンテーションの有無(円形精子細胞のセグメンテーション、内腔領域を有する好塩基顆粒/残余小体のセグメンテーション、太糸期のセグメンテーション、伸張精子細胞のセグメンテーション、減数分裂体のセグメンテーション、など)、混合ステージについての統計的意味における多数決原理(異常または再較正の必要性)、ステージ/標準度数分布表/マップを用いた再較正、異なる判断基準を合わせるための決定ツリーに基づく論理、などとすることができる。本明細書における一実施例では、ステージ分類判断基準は図6Eに示される。
【0046】
図6Fに示されるように、精巣組織標本のステージ分類は前臨床状況における組織毒性の正確な評価につながり得る。電子装置100は精細管/内腔のサイズ/形状を特定しながら、ステージ分類を実施する。さらに、電子装置100は、ある領域についての生殖細胞の有無、およびあるステージについての生殖細胞の損失を検出する。その後、電子装置100は得られた精巣全体における空胞の存在、およびライディッヒ細胞数を検出する。細胞の数に基づき、電子装置100は、標準度数マップからの主な逸脱を決定することができ、ここで、標準度数マップからの主な逸脱は、毒性の可能性を示す。
【0047】
図7は、本明細書で開示される実施形態による、精子形成の自動評価のための方法を示す図例である。電子装置100は染色された組織片の媒体を得る(工程702で)。電子装置100は、染色された組織片の媒体を分析することにより、精細管を検出し、セグメント化する(工程704で)。電子装置100は(工程706で)、より低い倍率からより高い倍率に、精細管のセグメンテーションをマッピングする。電子装置100は、セグメント化された精細管から生殖細胞を検出し、セグメント化する(工程708で)。生殖細胞は、円形精子細胞のセグメンテーション、内腔領域を有する好塩基顆粒/残余小体のセグメンテーション、太糸期のセグメンテーション、伸張精子細胞のセグメンテーション、減数分裂体のセグメンテーション、などの少なくとも1つにセグメント化することができる。電子装置100は、精細管を、セグメント化された生殖細胞に基づくランダムフォレスト分類指標を使用して、それぞれのステージに分類する(工程710で)。電子装置100はさらに、精細管のそれぞれのステージへの分類および形態学的な特徴/パラメータに基づき、精細管を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーにカテゴリー化する(工程712で)。電子装置100は、雄生殖機能に対する毒性効果(toxological effect)を検出するために、得られた精巣組織標本を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類する(工程714で)。方法700における様々な行為は、提示した順で、異なる順で、または同時に実施され得る。さらに、いくつかの実施形態では、図7に列挙されるいくつかの行為は省略してもよい。
【0048】
図8は、本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類の結果を示す図例である。
【0049】
図9は、本明細書で開示される実施形態による、自動ステージ分類に基づき生成されたステージ度数分布マップと専門の病理学者により生成されたステージ度数分布マップの比較を示すグラフ例である。
【0050】
図10は、本明細書で開示される実施形態による、自動精子形成ステージ分類から得られた平均正解率および平均精度を示す表例である。
【0051】
本明細書における実施形態は、精細管のステージ分類により精子形成を評価するための分析補助を提供する。
【0052】
本明細書における実施形態は、精細管の自動ステージ分類による、精子形成の正確で、再現性のある、より速い評価を提供し、これにより、専門病理学者の必要性が排除される。
【0053】
本明細書における実施形態は、余分な染色組織片/切片、例えば、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色組織片、などを必要とせずに、精子形成の自動評価を促進する。
【0054】
本明細書における実施形態は、自動的に、ディープラーニング/人工知能法を使用して、精細管を検出し、異なるステージ/クラスに分類する。
【0055】
本明細書における実施形態は検出された精細管の増強された可視化および関連ステージを提供する。
【0056】
本明細書における実施形態は、異常に気づくステージの自動評価を実施し、精細管を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類する。
【0057】
本明細書における実施形態は、精巣組織標本および分子/化学物質の自動評価を実施し、精巣組織標本および分子/化学物質を正常カテゴリーおよび異常カテゴリーに分類する。
【0058】
本明細書で開示される実施形態は、少なくとも1つのハードウェア装置上で動作し、ネットワーク管理機能を実行し、ネットワーク要素を制御する少なくとも1つのソフトウェアプログラムにより実行することができる。図1に示されるネットワーク要素は、ハードウェア装置、またはハードウェア装置とソフトウェアモジュールの組み合わせの少なくとも1つとすることができるブロックを含む。
【0059】
本明細書で開示される実施形態は、精子形成の自動評価のための方法およびシステムを開示する。そのため、保護の範囲はそのようなプログラムにまで拡張され、その中にメッセージを有するコンピュータ可読手段に加えて、そのようなコンピュータ可読記憶手段は、プログラムが、サーバーまたはモバイル機器または任意の好適なプログラム可能な装置上で動作する場合、方法の1つ以上の工程の実行のためのプログラムコード手段を含むことが理解される。方法は少なくとも1つの実施形態において、例えば超高速集積回路ハードウェア記述言語(VHDL)、別のプログラム言語で書かれたソフトウェアプログラムにより、またはこれと共に実行され、または、少なくとも1つのハードウェア装置上で実行される1つ以上のVHDLまたはいくつかのソフトウェアモジュールにより実行される。ハードウェア装置は、プログラムすることができる任意の種類の携帯装置とすることができる。装置はまた、例えば、ASICのような、例えば、ハードウェア手段、またはハードウェアおよびソフトウェア手段の組み合わせ、例えば、ASICおよびFPGA、または、その中に配置されたソフトウェアモジュールを有する少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび少なくとも1つのメモリとすることができる手段を含み得る。本明細書で記載される方法実施形態は部分的にハードウェアで、部分的にソフトウェアで実行することができる。あるいは、発明は、異なるハードウェア装置上で、例えば、複数のCPUを使用して実行することができる。
【0060】
特定の実施形態の前記記載は、本明細書における実施形態の一般的性質をそのように完全に明らかにするので、他のものは、現在の知識を適用することにより、一般概念から逸脱せずに、そのような特定の実施形態を容易に改変し、および/または様々な適用に適合させることができ、そのため、そのような適合および改変は、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内に包含されるべきであり、そのように意図される。本明細書で採用される表現または専門用語は、説明目的のためのものであり、制限することを目的としないことが理解されるべきである。そのため、本明細書における実施形態は実施形態の観点から記載されているが、当業者であれば、本明細書における実施形態は、本明細書で記載される実施形態の精神および範囲内で改変して実施することができることを認識するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10