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特許7575246滅菌水を生成して供給するための装置及び該装置を動作させる方法
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  • 特許-滅菌水を生成して供給するための装置及び該装置を動作させる方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】滅菌水を生成して供給するための装置及び該装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/02 20230101AFI20241022BHJP
【FI】
C02F1/02 C
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020191010
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2021087944
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】10 2019 133 122.6
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506040652
【氏名又は名称】クロネス アクティェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルザング, クリスチャン
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/056683(WO,A1)
【文献】特開2008-136486(JP,A)
【文献】特開平01-199568(JP,A)
【文献】特開平10-176862(JP,A)
【文献】国際公開第93/05667(WO,A1)
【文献】国際公開第01/41577(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/113091(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0069581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/02- 1/18
A23L 3/00- 3/3598
A01J 1/00-99/00
A23C 1/00-23/00
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス水のための入口(2)と、
前記入口(2)の下流側に配置される復熱装置(3)であって、向流で流れる滅菌水によってプロセス水を予熱するため及び向流で流れる前記プロセス水によって前記滅菌水を冷却するために使用される復熱装置(3)と、
前記復熱装置(3)の下流側に配置される加熱回路であって、滅菌水を生成するために、ポンプ(4)と、予熱されたプロセス水を加熱するためのヒータ(6)と、加熱されたプロセス水を所定の期間にわたって所定の温度の高温に保つための保温セクション(7)とを備える加熱回路と
を備える、滅菌水を生成して供給するための装置(1)において、
前記保温セクション(7)の下流側に配置される温度センサ(8)であって、前記保温セクション(7)から出る前記滅菌水の現在の温度を測定するために使用される温度センサ(8)と、
前記温度センサ(8)の下流側に配置される流量制御バルブ(9)と、
前記流量制御バルブ(9)と前記ヒータ(6)との間に設けられるバイパス(10)と
を備え、
前記流量制御バルブ(9)が、前記加熱回路内の体積流量を一定に保つように構成され、前記復熱装置(3)が、第1の部分体積流量の前記滅菌水をそのような第1の部分体積流量の滅菌水が前記加熱回路から引き出されるときに冷却するように構成され、前記バイパス(10)が、前記体積流量と前記第1の部分体積流量との間の差に対応する第2の部分体積流量の滅菌水を前記加熱回路内へ戻すように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記復熱装置(3)の下流側に配置され、滅菌水を更に冷却するために使用される冷却器(11)を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
冷却された滅菌水を消費するための1人以上の消費者(12)を更に備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記1人以上の消費者(12)の下流側に配置され、ライン殺菌のために開放されるようになっているライン(13)を更に備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ライン(13)中には終端蒸気バリア(23)が設けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
オーバーフローバルブ(21)が前記ポンプ(4)の下流側で且つ前記ヒータ(6)の上流側に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
圧力保持バルブ(5)が前記バイパス(10)内に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱回路が脱気及び膨張容器(18)を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(1)を動作させる方法であって、
前記装置(1)の入口(2)を通じて前記装置(1)にプロセス水を供給するステップ(100)と、
向流で流れる滅菌水によって前記装置(1)の復熱装置(3)内で前記プロセス水を予熱するステップ(101)と、
前記装置(1)のヒータ(6)内で前記予熱されたプロセス水を加熱するステップ(102)と、
前記装置(1)の保温セクション(7)内において前記加熱されたプロセス水を所定の期間にわたって所定の温度で高温に保つステップ(103)と、
前記装置(1)の流量制御バルブ(9)によって前記装置(1)の加熱回路内で一定の体積流量を制御して、前記加熱回路内での保温時間を一定に保つステップ(104)と、
前記復熱装置(3)内で、前記加熱回路から引き出される第1の部分体積流量の滅菌水を初めて冷却するステップ(105)と、
前記体積流量と前記第1の部分体積流量との間の差に対応する第2の部分体積流量の滅菌水を前記装置(1)のバイパス(10)を介して前記加熱回路内に戻すステップ(106)と
を含む方法。
【請求項10】
前記装置(1)の冷却器(11)内で前記滅菌水を冷却するステップ(107)を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却された滅菌水を1人以上の消費者(12)に導くステップ(108)を更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
0.5バールの差圧が圧力保持バルブ(5)全体にわたって与えられる、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流量制御バルブ(9)の下流側で、滅菌水が引き出される場合には3.5バールの圧力が与えられ、又は、滅菌水が引き出されない場合には4.0バールの圧力が与えられる、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る滅菌水を生成して供給するための装置、及び、請求項9に係る装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無菌であるという要求を満たすプラントを動作させるため、滅菌水が必要とされる場合がある。この滅菌水は、プラント構成要素を洗浄する、包装材料を洗浄する、湿潤状態を維持するため、又は、冷却するために使用される。無菌充填機の場合の例は、グレード変更中における充填機の内部洗浄、充填プロセス後のねじ洗浄、ボトルラン内の構成要素又は容器の潤滑、及び、滅菌後の充填製品タンクの冷却である。
【0003】
滅菌水は滅菌水超高温処理(UHT)によって生成され、この場合、最初に所定期間にわたって非滅菌水が加熱されて常に高温を保つ。したがって、水が低温殺菌を受け、これは、最低温度及び保温時間が守られるときに水を滅菌水と規定する。
【0004】
従来技術では、回路内の水が、公称体積流量で低温殺菌され、その後、回復及び冷却の段階を経て通常の温度又は動作温度まで冷却される。ここから、水を消費者に分けることができる。公称体積流量よりも少ない水がシステムから引き出される場合には、それぞれの水が循環システムに戻されて再加熱される。
【0005】
このプロセスは、待機動作又は部分負荷動作で生じるエネルギー損失を伴う。エネルギー損失は回復効率の結果であり、技術的実践では回復効率が約90%である。一方では、この損失は、まだ滅菌されていない水へのその回復後のエネルギー入力によって補償されなければならない。一方、回復された滅菌水は、同じ程度まで更に冷却されなければならない。このことは、使用されない全ての水が回復損失の範囲で連続的に加熱された後に同じ程度まで再び冷却されることを意味する。これは、技術的に回避可能なエネルギーの損失である。
【0006】
米国特許第4416194号は、清涼飲料の飲物のための調製システムを開示する。飲料は、ラインを通じて熱回収ジェネレータに導かれて排熱回収ジェネレータを通り、このプロセスの過程で、既に低温殺菌されてしまった向流的に導かれる飲料から熱を吸収する。予熱された飲料は、主飲料ヒータへ導かれて主飲料ヒータを通過し、このプロセスの過程で、向流的に導かれる高温液体から熱を吸収するとともに、保温セクションを通じて導かれて、低温殺菌される。その後、低温殺菌された飲料は、熱回収ジェネレータに送られてそこから冷却及び炭酸化装置に送られる。保温セクションの終端には、飲料の温度が十分に高いかどうかをチェックするために第1の温度センサが設けられる。これが当てはまらない場合には、製品が切替バルブによって元の主飲料ヒータへ導かれる。また、飲料の温度が高すぎるかどうかをチェックするために、保温セクションの終端には第2の温度センサが設けられる。これが当てはまる場合には、低温液体を高温液体に加えることができ、それにより、更なる循環中に製品が過度に加熱されない。
【0007】
独国特許第69311389号は、流体製品を熱処理するための方法及び装置を開示する。この装置は、再生器の一次ダクトを介して連続してポンプ、低温殺菌装置、温度維持要素、及び、多方向バルブに接続されるとともに、これらがパイプによって直列に接続される、供給タンクを備える。多方向バルブは、第1の位置で、低温殺菌装置の上流側に配置される再生器の二次ダクトに接続されるとともに、第2の位置で、ポンプ入口に接続される。また、供給タンクの直ぐ下流側に配置される製品供給ポンプが設けられる。更に、装置は、多方向バルブの第1及び第2の位置の両方に、再生器の二次ダクトと一次ダクトとの間で正の差圧を維持するための手段を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、エネルギー効率が高い信頼できる態様で滅菌水を生成して供給できるようにする、滅菌水を生成して供給するための装置及び該装置を動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に係る装置及び請求項9に係る方法によって達成される。更なる実施形態が従属請求項に開示される。
【0010】
本発明に係る滅菌水を生成して供給するための装置は、プロセス水のための入口と、入口の下流側に配置されるとともに、向流で流れる滅菌水によってプロセス水を予熱するため及び向流で流れるプロセス水によって滅菌水を冷却するために使用される復熱装置と、復熱装置の下流側に配置されるとともに、ポンプと、予熱されたプロセス水を加熱するためのヒータと、加熱されたプロセス水を所定の期間にわたって所定の温度の高温に保つための保温セクションとを備えて、滅菌水を生成する加熱回路とを備える。装置は、保温セクションの下流側に配置されるとともに、保温セクションから出る滅菌水の現在の温度を測定するために使用される温度センサと、温度センサの下流側に配置される流量制御バルブと、流量制御バルブとヒータとの間に設けられるバイパスとを更に備える。流量制御バルブは、加熱回路内の体積流量を一定に保つように構成され、復熱装置は、滅菌水のそのような第1の部分体積流量が加熱回路から取り出されるときに、第1の部分体積流量の滅菌水を冷却するように構成され、バイパスは、加熱回路に滅菌水の第2の部分体積流量を戻すように構成されており、これは、体積流量と第1の部分体積流量との間の差に対応する。
【0011】
プロセス水が非滅菌水であってもよい。また、プロセス水が所定量の滅菌水を含んでもよい。プロセス水を滅菌によって滅菌水に変換できる。プロセス水は、消費された滅菌水の量に対応する量で装置内に供給され得る。例えば、プロセス水は、10℃~35℃の温度で且つ最大15m/時の体積流量で供給されてもよい。
【0012】
加熱回路は、公称体積流量とも称される体積流量を伴って動作され得る。加熱回路内の体積流量が7.5m/時~15m/時であってもよい。
【0013】
プロセス水は、例えば1人以上の消費者によって滅菌水が加熱回路から引き出されるのと同じ程度に加熱回路内に供給され得る。
【0014】
保温セクションは25mの長さを有してもよく、また、保温セクション内の圧力は、156℃の最大プロセス水温度で5バールであってもよい。所定の期間は2分であってもよい。
【0015】
流量制御バルブの下流側において、広く行き渡る圧力は、滅菌水が引き出される場合には3.5バール、滅菌水が引き出されない場合には4.0バールであってもよく、また、滅菌水は135℃の温度を有してもよい。流量制御バルブのKv値は、滅菌水が引き出される場合には12、滅菌水が引き出されない場合には7.5であってもよい。
【0016】
滅菌水が例えば第1の部分体積流量で復熱装置から出てしまったとき、滅菌水は40℃の温度を有してもよい。
【0017】
滅菌水用の緩衝タンクを装置内に設ける必要がない。
【0018】
バイパスが設けられるとともに、加熱回路が回復又は冷却の段階を有さないという事実に起因して、第1の部分体積流量が引き出されて、残りの滅菌水、すなわち、第2の部分体積流量の滅菌水がバイパスを介して加熱回路内に戻される場合には、第1の部分体積流量の滅菌水のみが回復される。したがって、第2の部分体積流量の滅菌水の不必要な冷却が回避される。
【0019】
更に、装置は、復熱装置の下流側に配置されるとともに、例えば1人以上の消費者によって引き出される滅菌水を冷却するために使用される冷却器を備えてもよい。炭酸製品の製造では、充填タンクを冷却するために、冷却器による滅菌水の更なる冷却が必要となる場合がある。冷却器の下流側に広がる圧力は、3.5バールの圧力であってもよい。
【0020】
更に、装置は、冷却された滅菌水を消費するための1人以上の消費者を含んでもよい。滅菌水は、復熱装置によって又は復熱装置と冷却器とによって冷却されてしまってもよい。また、滅菌水は、例えば1人以上の消費者が装置の一部でなければ、1人の消費者又は複数の消費者にのみ供給されてもよい。
【0021】
滅菌水は、例えば、例えば欧州特許第2700613号に開示されるように、高さ調節可能な案内ハンドル部品のねじ山を洗浄するため、例えば製品交換中に及び/又は高温CIP後に、充填タンクを濯ぐため、例えば充填プラント及び/又は低温殺菌プラントのウォーム/高温プラント部品を濯いで冷却するため、飲料瓶詰めプラントの充填剤を洗浄するため、及び/又は、無菌のサージタンクを充填するために使用されてもよい。滅菌水の他の使用も想定し得る。
【0022】
更に、装置は、1つ以上の消費者の下流側に配置され、ライン殺菌のために開放されるようになっているラインを備えてもよい。
【0023】
このライン中には、終端蒸気バリアが設けられてもよい。圧力保持バルブに至るまで、圧力が3.5バールであってもよい。
【0024】
ポンプの下流側で且つヒータの上流側にオーバーフローバルブが設けられてもよい。オーバーフローバルブの下流側の圧力は、140℃の最大プロセス水温度で3バールであってもよい。オーバーフローバルブの全体にわたる差圧によって滅菌限界を監視できる。差圧は0.5バールであってもよい。
【0025】
バイパス内に圧力保持バルブが設けられてもよい。バイパスの圧力保持バルブの全体にわたって0.5バールの差圧が与えられてもよい。
【0026】
更に、加熱回路が脱気及び膨張容器を備えてもよい。脱気及び膨張容器内の圧力が3バールの圧力であってもよい。
【0027】
前述する又は後述する装置を動作させる方法は、
装置の入口を通じて装置にプロセス水を供給するステップと、
向流で流れる滅菌水によって装置の復熱装置内でプロセス水を予熱するステップと、
装置のヒータ内で予熱されたプロセス水を加熱するステップと、
装置の保温セクション内において加熱されたプロセス水を所定の期間にわたって所定の温度で高温に保ち、滅菌水を生成するステップと、
装置の流量制御バルブによって装置の加熱回路内で一定の体積流量を制御して、加熱回路内での保温時間を一定に保つステップと、
復熱装置内で、加熱回路から引き出される第1の部分体積流量の滅菌水を初めて冷却するステップと、
体積流量と第1の部分体積流量との間の差に対応する第2の部分体積流量の滅菌水を装置のバイパスを介して加熱回路内に戻すステップと、
を含む。
【0028】
方法は、装置の冷却器内で滅菌水を再度冷却するステップを更に含んでもよい。
【0029】
方法は、冷却された滅菌水を1人以上の消費者に導くステップを更に含んでもよい。冷却された滅菌水は、第1の冷却ステップによって又は第1及び第2の冷却ステップによって冷却されてしまってもよい。
【0030】
0.5バールの差圧が圧力保持バルブの全体にわたって与えられてもよい。
【0031】
流量制御バルブの下流側で、滅菌水が引き出される場合には3.5バールの圧力が与えられてもよく、又は、滅菌水が引き出されない場合には4.0バールの圧力が与えられてもよい。
【0032】
本発明の更なる利点及び特徴は、以下に続く実施形態の説明並びに以下の図によってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】滅菌水を生成するための装置の概略図を示す。
図2】滅菌水を生成して供給するための装置を動作させる方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、滅菌水を生成するための装置1の概略図を示し、この図では、この装置1の要素が一点鎖線領域内に示される。消費者12が装置1に含まれる必要はないが、随意的に、消費者12が装置1に含まれてもよい。第1の入口2を介して、プロセス水をラインに供給することができ、ラインは減圧バルブ22を含み、ラインを通じてプロセス水を復熱装置3へ導いて復熱装置3に通すことができる。例えば、プロセス水は、10℃~35℃の温度で且つ最大15m/時の体積流量で供給され得る。復熱装置3では、プロセス水を向流で流れる高温滅菌水によって予熱することができる。復熱装置3から、予熱されたプロセス水を、ポンプ4により送出して加熱回路に通し、該加熱回路で滅菌することができる。加熱回路における公称体積流量は7.5m/時~15m/時である。
【0035】
予熱されたプロセス水は、脱気及び膨張容器18を通過して及び/又は脱気及び膨張容器18を介して、ポンプ4へ導かれてポンプ4を通るとともに、ヒータ6へ導かれてヒータ6を通る。脱気及び膨張容器18内に広がる圧力は、3バールの圧力であってもよい。オーバーフローバルブ21がポンプ4の下流側で且つヒータ6の上流側に設けられてもよい。オーバーフローバルブ21の下流側の圧力は、140℃の最大プロセス水温度で3バールであってもよい。オーバーフローバルブ21の全体にわたる差圧によって滅菌限界を監視できる。差圧は0.5バールであってもよい。
【0036】
ヒータ6では、予熱されたプロセス水が蒸気に対して向流で加熱されてもよい。ヒータ6の下流側では、加熱されたプロセス水が保温セクション7に導かれて保温セクション7に通されてもよく、この保温セクション7内で、加熱されたプロセス水を所定の期間にわたって所定の温度に維持して最終的に滅菌することができる。保温セクション7は25mの長さを有してもよく、また、保温セクション7内の圧力は、156℃の最大プロセス水温度で5バールであってもよい。所定の期間は2分であってもよい。
【0037】
保温セクション7の下流側には、保温セクション7の下流側の滅菌水の現在の温度を測定するための温度センサ8が配置される。
【0038】
随意的に、現在の温度が要件を満たすかどうか、例えば、現在の温度が所定の温度に対応するか及び/又は所定の温度範囲内にあるかどうかを決定することができる。これが当てはまる場合には、加熱回路で滅菌水が生成されてしまったと想定し得る。
【0039】
滅菌水が必要とされる場合には、例えば1人又は複数の消費者によって、必要とされる部分体積流量を流量制御バルブ9の下流側に配置される滅菌水システムから引き出すことができる。そうすることで、滅菌水は、第1の入口20を介して復熱装置3を通じて導かれ、復熱装置3で滅菌水が冷却される。滅菌水が必要とされない場合には、滅菌水がバイパス10を介して圧力保持バルブ5を通じて元のヒータ6へ導かれてヒータ6を通る。
【0040】
流量制御バルブ9の下流側において、広く行き渡る圧力は、滅菌水が引き出される場合には3.5バール、滅菌水が引き出されない場合には4.0バールであってもよく、また、滅菌水は135℃の温度を有してもよい。流量制御バルブ9のKv値は、滅菌水が引き出される場合には12、滅菌水が引き出されない場合には7.5であってもよい。
【0041】
滅菌水が復熱装置3から出てしまった場合、滅菌水は、40℃の温度を有するとともに、冷却器11に導かれて冷却器11を通ってもよく、この冷却器11において、向流で流れる氷水によって又は何らかの他の種類の冷却水、例えば冷却塔水によって滅菌水を依然として更に冷却できる。炭酸製品の製造では、充填タンクを冷却するために、冷却器11による滅菌水の冷却が必要となる場合がある。随意的に、滅菌水が冷却されずに冷却器11を通過してもよい。冷却器11の下流側に広がる圧力が3.5バールの圧力であってもよく、また、滅菌水が使用のために1人以上の消費者12に供給されてもよい。
【0042】
必要とされない滅菌水、例えば、一例としてどの消費者にも供給されない滅菌水は、バイパス10を介して戻され、圧力保持バルブ5及びヒータ6を通って導かれ得る。消費者12により滅菌水が消費されるのと同じ程度に、プロセス水を加熱回路に供給し、新たな滅菌水を生成して供給することができる。
【0043】
1人以上の消費者12に続くライン13の下流側には蒸気バリア23が設けられ、この蒸気バリア23は、バルブ24、ガリーバルブ25、及び、ポペットバルブ26を備える。
【0044】
ヒータ6のための蒸気を、例えば9バールで第2の入口14を通じて供給するとともに、ヒータ6に導いてヒータ6に通すことができる。ヒータ6では、予熱されたプロセス水に対して蒸気が向流で熱を放出できる。第1の出口15を介して、凝縮された蒸気を例えば2バール未満で凝縮物として排出できる。
【0045】
冷却器11のための氷水又は他の種類の冷却水、例えば冷却塔水は、第3の入口16を通じて供給され、冷却器11に導かれて冷却器11に通され得る。例えば、氷水又は他の種類の冷却水、例えば冷却塔水は、5℃未満の温度及び25m/時の速度を有してもよい。冷却器11では、氷水又は他の種類の冷却水、例えば、冷却塔水が、加熱された滅菌水から向流で熱を吸収することができる。冷却器11内で加熱される氷水又は他の種類の冷却水、例えば冷却塔水は、第2の出口17を介して排出され得る。
【0046】
図2は、滅菌水を生成するための装置を動作させる方法のフローチャートを示す。
【0047】
ステップ100では、プロセス水が装置に供給される。
【0048】
続いて、ステップ101では、プロセス水が復熱装置で予熱される。
【0049】
次に、ステップ102では、予熱されたプロセス水がヒータ内で加熱される。
【0050】
その後、ステップ103では、加熱されたプロセス水が、保温セクション内において所定の期間にわたって所定の温度で高温に保たれる。このようにして、滅菌水を生成することができる。
【0051】
ステップ104において、装置の加熱回路内の一定の体積流量は、加熱回路内の保温時間を一定に保つように装置の流量制御バルブによって制御される。加熱回路内の一定の体積流量の制御は、滅菌水を生成するための装置を動作させるための全プロセス中にわたって行なわれてもよい。
【0052】
ステップ105では、加熱回路から引き出される滅菌水の第1の部分体積流量が復熱装置内で初めて冷却される。このステップ105は、滅菌水が生成されてしまった後、例えば、第1の部分体積流量が1人の消費者/複数の消費者によって加熱回路から引き出されるときに行なわれ得る。
【0053】
ステップ106では、体積流量と第1の部分体積流量との間の差に対応する、滅菌水の第2の部分体積流量が、装置のバイパスを介して加熱回路に戻される。
【0054】
随意的に、ステップ107では、滅菌水の第1の部分体積流量の第2の冷却が、第1の冷却後に冷却器内で行なわれてもよい。第1の冷却に続き或いは第1及び第2の冷却に続き、ステップ108において、冷却された滅菌水が1人以上の消費者に導かれる。
【符号の説明】
【0055】
1…装置、2…第1の入口、3…復熱装置、4…ポンプ、5…圧力保持バルブ、6…ヒータ、7…保温セクション、8…温度センサ、9…流量制御バルブ、10…バイパス、11…冷却器、12…消費者、13…ライン、14…第2の入口、15…第1の出口、16…第3の入口、17…第2の出口、18…膨張容器、20…第1の入口、21…オーバーフローバルブ、22…減圧バルブ、23…蒸気バリア、24…バルブ、25…ガリーバルブ、26…ポペットバルブ
図1
図2