(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】皺判定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G01N21/892 A
(21)【出願番号】P 2020195073
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】金田 幸三
(72)【発明者】
【氏名】義元 利典
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼ 秀隆
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-267865(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045423(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194939(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/048171(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皺検査装置と、
プロセッサと、を備え、
前記皺検査装置は、
第一方向に搬送中の
フィルム状又はシート状の形状を有する媒体の表面に入射光を照射する照明装置と、
前記入射光が前記媒体の表面で
正反射した
正反射光を撮像する撮像装置と、を備え、
前記照明装置は、
前記入射光としての
直線状の第一入射光を発する第一光源と、
前記入射光としての
直線状の第二入射光を発する第二光源と、を含み、
前記第一光源は、
前記撮像装置より
前記第一方向及び前記媒体の表面に沿った平面内で前記第一方向と直交する第二方向の両方向と交差する配置方向の第一側
で且つ前記第二方向に対して第一角度傾斜させて設けられ、
前記撮像装置より前記配置方向の第一側から前記媒体の表面
の前記第二方向の第三側の第一部分に照射される前記第一入射光を発し、
前記第二光源は、
前記撮像装置より前記配置方向の第一側とは反対の第二側
で且つ前記第二方向に対して第二角度傾斜させて設けられ、
前記撮像装置より前記配置方向の第二側から
前記第一部分と前記第二方向において重なる領域を含み且つ前記第一部分より前記第一方向の前記媒体が搬送される下流側となる前記媒体の表面
の前記第二方向の第三側とは反対の第四側の第二部分に照射される前記第二入射光を発し、
前記撮像装置は、
前記第一入射光が前記媒体の表面で
正反射した前記
正反射光としての第一
正反射光
の光路で且つ前記第二入射光が前記媒体の表面で
正反射した前記
正反射光としての第二
正反射光
の光路に設けられ、
前記第一正反射光と、前記第二正反射光と、を
含む撮像画像を撮像
し、
前記プロセッサは、
前記撮像画像に対応する撮像データを取得する取得処理と、
取得済みの前記撮像データを画像解析し、前記媒体での皺の発生を判定する判定処理と、を実行し、
前記判定処理では、
前記撮像画像の前記第一正反射光の部分及び前記撮像画像の前記第二正反射光の部分に歪みが認められない場合、前記媒体に皺が発生していないと判定され、
前記撮像画像の前記第一正反射光の部分に歪みが認められる場合及び前記撮像画像の前記第二正反射光の部分に歪みが認められる場合の少なくとも一方の場合、前記媒体に皺が発生していると判定される、皺
判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一方向に搬送中の媒体での皺の発生を検査する皺判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皺の発生を検査する技術が提案されている。例えば、特許文献1は、フィルム検査方法を開示する。フィルム検査方法は、長尺フィルムを巻取ロールで巻き取る最中に行われる。フィルム検査方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程とを有する。第一工程は、長尺フィルムを巻取ロールに巻き取る工程である。第二工程は、フィルム面の凹凸の有無を確認する工程である。第二工程では、巻取ロールのフィルム面に、巻取ロールの回転周期との比がm:1ではなく、1:m(mは自然数)でもない発光周期のストロボ光が当てられる。第三工程は、巻取ロールのフィルム面を撮影する工程である。第三工程では、フィルム面が巻取ロールの巻取量に応じて巻取ロールから離れながら撮影される。この他、特許文献1には、従来、フィルムに発生した凹凸を検査する場合、次の方法で凹凸を探すことが行われていたことが開示されている。前述の方法は、フィルムに光を照射し、明暗として現れるその反射光の状態の変化を発見することである。
【0003】
特許文献2は、シワ検出機を開示する。シワ検出機は、フイルムの表面欠陥の一つである微細な斜めシワを検出する。シワ検出機は、バックアップローラと、ドットパターン表示器と、ビデオカメラと、システムコントローラとを備える。バックアップローラは、検査対象であるフイルムを支持して走行案内する。バックアップローラの周面は、黒色でつや消し加工される。ドットパターン表示器及びビデオカメラは、位置が微調整可能な状態でバックアップローラの周りに配置される。ドットパターン表示器は、平面状光源と、透明なシートとを含む。平面状光源は、面状に配置された多数の発光ダイオードを含む。シートは、平面状光源の発光面に貼り付けられる。シートには、ドットパターンが印刷される。ドットパターンは、複数のドットを千鳥状に配置する。ドットパターン表示器は、バックアップローラ上のフイルムにドットパターンを表示する。ビデオカメラは、バックアップローラで支持されているフイルム上に写されたドットパターンを撮影する。システムコントローラは、画像処理部を含む。画像処理部は、一定タイミングでビデオカメラから画像データを取り込む。画像処理部は、画像データに基づいて画像処理を行い、シワが発生してるか否かを判定する。
【0004】
特許文献3は、しわ検査装置を開示する。しわ検査装置は、連続して走行するフィルム上に発生した筋状のしわを検査する。フィルムの例としては、アルミ箔及びPETがラミネートされたフィルムが挙げられる。しわ検出装置は、CCDカメラと、ライン光源と、画像処理装置とから構成される。CCDカメラは、フィルムの幅方向を光学的に走査する。ライン光源は、CCDカメラの撮像範囲に光を照射する。ライン光源は、直線状の光源である。ライン光源の例としては、次の光源が挙げられる。前述の光源は、直線状の蛍光灯を備えた光源であり、又はLEDが直線状に配列された光源である。ライン光源には、ルーバーが設けられる。ルーバーは、一定間隔で平行に並べた複数枚の細長い羽板を含む。前述の羽板は、プラスチック製である。ルーバーは、光の射出角度を制御する手段として機能する。ライン光源では、羽板が設置された角度とほぼ平行な光以外はルーバーで遮られる。そのため、ライン光源では、照射される光に指向性を持たせることが可能で、しわの横側から光を照射することができる。画像処理装置は、フィルムの走行方向に発生している筋状のしわを検査する。画像処理装置は、CCDカメラから転送された画像を解析し、フィルム上に発生している筋状のしわを抽出する。
【0005】
特許文献4は、画像処理装置及び画像処理方法を開示する。画像処理装置は、シート状の被写体の表面を撮影し、画像処理を行う。例えば、シート状の被写体は、繊維製品(布帛)又はフィルムである。これにより、画像処理装置は、被写体の表面の欠損、欠陥、染めムラがある場所を検出する。
【0006】
特許文献5は、検出装置を開示する。検出装置は、透明粘着シート体の欠陥部を検出する。透明粘着シート体は、製造ライン中でシート長さ方向に走行する。透明粘着シート体の上方には細長光源となる蛍光管が設けられる。蛍光管の長手方向は、透明粘着シート体のシート幅方向に対して鋭角な第一角度に設定される。透明粘着シート体の上方にはCCDカメラが設けられる。CCDカメラの受光方向は、透明粘着シート体のシート長さ方向に対して鋭角な第二角度に設定される。第一角度及び第二角度は、略等しい鋭角である。蛍光管と欠陥部とを結ぶ線と透明粘着シート体の表面とのなす角度及び欠陥部とCCDカメラとを結ぶ線とシート体の表面とのなす角度は、鋭角に設定される。例えば、これら角度は、30°に設定される。蛍光管の照射側には、スリット板が設けられる。これにより、蛍光管は、細長光源となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6430773号公報
【文献】特開2007-192660号公報
【文献】特開2007-248166号公報
【文献】特開2012-215512号公報
【文献】特開平5-312732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第一方向に媒体を搬送する場合、搬送中の媒体に皺が発生することがある。例えば、皺は、筋状の形状を有する。発明者は、第一方向に搬送中の媒体に発生した皺を安定して検査する技術について検討した。
【0009】
本発明は、搬送中の媒体での皺の発生を安定して検査することができる、皺判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、皺検査装置と、プロセッサと、を備え、前記皺検査装置は、第一方向に搬送中のフィルム状又はシート状の形状を有する媒体の表面に入射光を照射する照明装置と、前記入射光が前記媒体の表面で正反射した正反射光を撮像する撮像装置と、を備え、前記照明装置は、前記入射光としての直線状の第一入射光を発する第一光源と、前記入射光としての直線状の第二入射光を発する第二光源と、を含み、前記第一光源は、前記撮像装置より前記第一方向及び前記媒体の表面に沿った平面内で前記第一方向と直交する第二方向の両方向と交差する配置方向の第一側で且つ前記第二方向に対して第一角度傾斜させて設けられ、前記撮像装置より前記配置方向の第一側から前記媒体の表面の前記第二方向の第三側の第一部分に照射される前記第一入射光を発し、前記第二光源は、前記撮像装置より前記配置方向の第一側とは反対の第二側で且つ前記第二方向に対して第二角度傾斜させて設けられ、前記撮像装置より前記配置方向の第二側から前記第一部分と前記第二方向において重なる領域を含み且つ前記第一部分より前記第一方向の前記媒体が搬送される下流側となる前記媒体の表面の前記第二方向の第三側とは反対の第四側の第二部分に照射される前記第二入射光を発し、前記撮像装置は、前記第一入射光が前記媒体の表面で正反射した前記正反射光としての第一正反射光の光路で且つ前記第二入射光が前記媒体の表面で正反射した前記正反射光としての第二正反射光の光路に設けられ、前記第一正反射光と、前記第二正反射光と、を含む撮像画像を撮像し、前記プロセッサは、前記撮像画像に対応する撮像データを取得する取得処理と、取得済みの前記撮像データを画像解析し、前記媒体での皺の発生を判定する判定処理と、を実行し、前記判定処理では、前記撮像画像の前記第一正反射光の部分及び前記撮像画像の前記第二正反射光の部分に歪みが認められない場合、前記媒体に皺が発生していないと判定され、前記撮像画像の前記第一正反射光の部分に歪みが認められる場合及び前記撮像画像の前記第二正反射光の部分に歪みが認められる場合の少なくとも一方の場合、前記媒体に皺が発生していると判定される、皺判定装置である。
【0011】
この皺判定装置によれば、2つの第一正反射光及び第二正反射光を1つの撮像装置で撮像することができる。2つの第一正反射光及び第二正反射光を含む1つの撮像データを取得することができる。撮像装置より配置方向の第一側に設けられる第一光源が発する第一入射光を第一方向に搬送中の媒体の表面に照射することができる。撮像装置より配置方向の第二側に設けられる第二光源が発する第二入射光を第一方向に搬送中の媒体の表面に照射することができる。第一方向に搬送中の媒体の第二方向の全体に入射光を照射することができる。第一方向に搬送中の媒体の第二方向の全体に照射される入射光を2つの第一光源及び第二光源が発することで、この媒体の第二方向の全体に照射される入射光を1つの光源が発する場合と比較して光源を小型化することができる。第一方向に搬送中の媒体に皺が発生している場合、撮像データからこの媒体での皺の発生を検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送中の媒体での皺の発生を安定して検査することができる、皺判定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】皺判定装置の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。媒体は、皺判定装置の皺検査装置に対応する部分を示す。
【
図2】
図1の皺検査装置を配置方向に垂直なA矢視方向から見た部分断面側面図である。照明装置の第一照明器及び第二照明器を切断して示す。
【
図3】照射範囲と撮像範囲との関係を示す斜視図である。媒体の図示範囲は、
図1と一致する。
【
図4】第一照明器及び第二照明器の概略構成の一例を示す図である。第一進行方向の前側から見た第一照明器を示す。第二進行方向の前側から見た第二照明器を示す。
【
図5】操作画面の一例を示す図である。撮像画像を模式的に示す。上段は、皺のない媒体を対象とする。下段は、皺のある媒体を対象とする。
【
図6】第一照明器及び第二照明器の概略構成の他の例を示す図である。第一進行方向の前側から見た第一照明器を示す。第二進行方向の前側から見た第二照明器を示す。
【
図7】皺検査装置の概略構成の他の例を模式的に示す正面図である。第一方向の上流側から見た皺検査装置を示す。
【
図8】第一方向に搬送中の媒体の表面の撮像画像を示す写真である。撮像画像は、表面に光沢を有さない媒体又は表面が低光沢である媒体に対応する。上段は、
図7の皺検査装置によって撮像された撮像画像を示す。下段は、比較例の皺検査装置によって撮像された撮像画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。ハッチングは、切断面を示す。破線は、かくれ線である。二点鎖線は、想像線である。一点鎖線は、中心線又は基準線である。
【0015】
<皺検査装置10>
皺検査装置10について
図1~5を参照して説明する。皺検査装置10は、第一方向に搬送中の媒体70での皺71の発生を検査する。第一方向と同一平面(仮想平面)内で直交する方向を「第二方向」という。第一方向及び第二方向の両方向と直交する方向を「第三方向」という。第一方向及び第二方向を水平方向とし、第三方向を鉛直方向とする。第二方向の一方側を「第三側」といい、第二方向の他方側を「第四側」という。第二方向の第四側は、第二方向の第三側とは反対となる。
図3の中心線L1は第一方向に沿い、
図1,3の中心線L2,L3は第二方向に沿う。
図3で中心線L1は、媒体70の第二方向の中心を通る。第三方向の一方側を「第五側」といい、第三方向の他方側を「第六側」という。第三方向の第六側は、第三方向の第五側とは反対となる。第三方向の第五側を鉛直方向の上側とし、第三方向の第六側を鉛直方向の下側とする。
【0016】
実施形態では、媒体70は、表面が水平な状態で第一方向に搬送される。この場合、第一方向及び第二方向を含む上述の平面(仮想平面)は、水平な媒体70の表面に沿った面(水平面)となる。媒体70が長尺形状である場合、第一方向は媒体70の長手方向に沿い、第二方向は媒体70の短手方向と一致する。但し、媒体70は、短尺形状であってもよい。第一方向とこの平面(仮想平面)内で交差する方向を「配置方向」という。配置方向が第一方向とこの平面(仮想平面)内で直交する場合、配置方向は第二方向と一致する。但し、配置方向は、第一方向及び第二方向の両方向とこの平面(仮想平面)内で交差する方向とする(
図1,3参照)。配置方向の一方側を「第一側」といい、配置方向の他方側を「第二側」という。配置方向の第二側は、配置方向の第一側とは反対となる。
【0017】
媒体70は、表面に光沢を有する。媒体70は、第三方向の第五側の表面が光沢面となる状態で第一方向に搬送される。第一方向への搬送中に第三方向の第六側となる媒体70の表面は、光沢面であってもよく、又は非光沢面であってもよい。光沢は、艶を意味する。媒体70は、表面に艶を有するともいえる。媒体70は、フィルム状又はシート状といった薄手の形状を有する。このような媒体70の例としては、樹脂製フィルム又は金属箔が挙げられる。樹脂製フィルムは、透明であってもよく、又は金属蒸着フィルムであってもよい。金属蒸着フィルムでは、金属薄膜が樹脂製フィルムの表面に形成される。長尺の媒体70の製造工程では、この媒体70は、製造設備内を第一方向に搬送され、その後、巻き取られる。長尺の媒体70には、この搬送中に皺71が発生することがある。皺検査装置10は、第一方向に搬送中に皺71が発生する公知の媒体70を検査対象とする。皺検査装置10での検査は、表面に光沢を有する公知の媒体70に適する。媒体70に関するこの他の説明は省略する。
【0018】
皺検査装置10は、皺検査方法を実行する。皺検査装置10は、厚さの異なる各種の媒体70を検査対象とすることができる。皺検査装置10は、長さの異なる各種の媒体70を検査対象とすることができる。皺検査方法は、照明工程と、撮像工程とを含む。皺検査装置10は、照明装置20と、撮像装置40とを備える(
図1参照)。
【0019】
照明装置20は、第一方向に搬送中の媒体70の表面に入射光を照射する(照明工程
図1,2参照)。照明装置20は、第一照明器21と、第二照明器22とを含む。第一照明器21及び第二照明器22は、第一方向に搬送中の媒体70の表面より第三方向の第五側に設けられる。第一照明器21は、第二照明器22より配置方向の第一側に設けられる。換言すれば、第二照明器22は、第一照明器21より配置方向の第二側に設けられる。更に、第一照明器21は、撮像装置40より配置方向の第一側に設けられる。第二照明器22は、撮像装置40より配置方向の第二側に設けられる。第一照明器21は、この位置から第一方向に搬送中の媒体70の表面に第一入射光を照射する。第二照明器22は、この位置から第一方向に搬送中の媒体70の表面に第二入射光を照射する。
【0020】
実施形態で入射光は、第一入射光及び第二入射光の一方又は両方を意味する。第一入射光及び第二入射光を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「入射光」という。入射光としては、可視光を採用することができる。但し、入射光は、可視光とは異なる波長の光であってもよい。例えば、入射光は、赤外線であってもよい。第一入射光が第一方向に搬送中の媒体70の表面で反射した反射光を「第一反射光」といい、第二入射光が第一方向に搬送中の媒体70の表面で反射した反射光を「第二反射光」という。第一反射光及び第二反射光を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「反射光」という。
【0021】
第一入射光が進行する方向を「第一進行方向」といい、第二入射光が進行する方向を「第二進行方向」という(
図2参照)。第一進行方向の前側は配置方向の第二側に対応し、第一進行方向の後側は配置方向の第一側に対応する。第一進行方向は、第三方向の第五側から第六側に向かい且つ配置方向の第一側から第二側に向かう。第二進行方向の前側は配置方向の第一側に対応し、第二進行方向の後側は配置方向の第二側に対応する。第二進行方向は、第三方向の第五側から第六側に向かい且つ配置方向の第二側から第一側に向かう。
【0022】
第一方向に搬送中の媒体70の表面に対する第一入射光の入射角を「第一入射角θ3」といい、この媒体70の表面に対する第一反射光の反射角を「第一反射角θ4」という(
図2参照)。第一入射角θ3は、第一法線N1と第一仮想直線M1とのなす角である。第一法線N1は、第一入射点Q1で次の境界面に垂直な直線である。前述の境界面は、空気と第一方向に搬送中の媒体70との境界面である。第一仮想直線M1は、第一進行方向に沿う。第一反射角θ4は、第一法線N1と第二仮想直線M2とのなす角である。第二仮想直線M2は、第一法線N1を対称軸として第一仮想直線M1と線対称である。
【0023】
第一方向に搬送中の媒体70の表面に対する第二入射光の入射角を「第二入射角θ5」といい、この媒体70の表面に対する第二反射光の反射角を「第二反射角θ6」という(
図2参照)。第二入射角θ5は、第二法線N2と第三仮想直線M3とのなす角である。第二法線N2は、第二入射点Q2で上述の境界面に垂直な直線である。第三仮想直線M3は、第二進行方向に沿う。第二反射角θ6は、第二法線N2と第四仮想直線M4とのなす角である。第四仮想直線M4は、第二法線N2を対称軸として第三仮想直線M3と線対称である。
【0024】
第一入射角θ3及び第二入射角θ5は、「10°<θ3,θ5<80°」の範囲の所定値に設定することが好ましい。第一入射角θ3及び第二入射角θ5は、「20°<θ3,θ5<70°」の範囲の所定値に設定することがより好ましい。第一入射角θ3及び第二入射角θ5は、諸条件を考慮して適宜設定される。例えば、第一入射角θ3及び第二入射角θ5の設定には、次の環境での外界光の状態が考慮される。前述の環境は、皺検査装置10の設置場所である。但し、第一入射角θ3及び第二入射角θ5は、同一角度とすることが好ましい。第一入射角θ3と第一反射角θ4との関係及び第二入射角θ5及び第二反射角θ6との関係については後述する。
図2では、次の部分の図示は省略する。前述の部分は、第一入射点Q1及び第二入射点Q2と重なって図示される皺71の部分である。
【0025】
第一照明器21は、第一光源23と、第一ケース25と、第一遮光体27とを含む(
図1,2参照)。第二照明器22は、第二光源24と、第二ケース26と、第二遮光体28とを含む(
図1,2参照)。第一照明器21及び第二照明器22は、同じ構造を有する。照明装置20は、第一光源23及び第二光源24として同じ光源を採用する。第一ケース25及び第二ケース26は、同じ筐体である。第一遮光体27及び第二遮光体28は、同じ平板状の部材である。
【0026】
第一光源23は、第一入射光を発する。第二光源24は、第二入射光を発する。照明装置20では、上述した通り、第一照明器21及び第二照明器22は、第一方向に搬送中の媒体70の表面より第三方向の第五側に設けられる(
図1,2参照)。更に、第一照明器21は撮像装置40より配置方向の第一側に設けられ、第二照明器22は撮像装置40より配置方向の第二側に設けられる(
図1,2参照)。この場合、第一光源23は、第一方向に搬送中の媒体70の表面より第三方向の第五側及び撮像装置40より配置方向の第一側に設けられ、この位置から第一方向に搬送中の媒体70の表面に照射される第一入射光を発する。第二光源24は、第一方向に搬送中の媒体70の表面より第三方向の第五側及び撮像装置40より配置方向の第二側に設けられ、この位置から第一方向に搬送中の媒体70の表面に照射される第二入射光を発する。
【0027】
第一照明器21は、第一光源23として直線状のライン光源を採用する。第二照明器22は、第二光源24として直線状のライン光源を採用する。これにより、第一光源23は直線状の第一入射光を発し、第二光源24は直線状の第二入射光を発する。即ち、照明装置20は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の2箇所に直線状の第一入射光及び第二入射光をそれぞれ照射する(
図1~3参照)。第一光源23及び第二光源24は、LED発光体を含む。LED発光体としては、拡散光を発するタイプ及び平行光を発するタイプが実用化されている。但し、発明者は、LED発光体は拡散光を発するタイプが好ましいと考える。第一光源23及び第二光源24がこのタイプのLED発光体を含むことで、第一光源23が発する第一入射光及び第二光源24が発する第二入射光を均一性のある直線状の光とすることができる。但し、第一光源23及び第二光源24は、前述の発光体とは異なる公知の発光体を含んでもよい。LED発光体とは異なる公知の発光体の例としては、有機EL発光体が挙げられる。第一光源23及び第二光源24として採用する光源は、複数のモジュールによって形成してもよい。このモジュールは、前述したような発光体を含む光源である。このモジュールは、ライン光源であってもよい。複数のモジュールは、直線状に配置され、単一のライン光源と同様の光源を形成する。
【0028】
実施形態では、入射光の照射範囲を「照射範囲R0」という。照射範囲R0は、第一照射範囲R1と、第二照射範囲R2とを含む(
図1,3参照)。第一照射範囲R1は、第一入射光の照射範囲である。第二照射範囲R2は、第二入射光の照射範囲である。第一照射範囲R1及び第二照射範囲R2は、第一方向に搬送中の媒体70の表面のそれぞれ異なる第一方向に沿った方向の一部である。第二照射範囲R2は、第一照射範囲R1に対して第一方向の下流側に設定される。更に、第一照射範囲R1は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第三側に設定される。第二照射範囲R2は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第四側に設定される。第二照射範囲R2は、第一照射範囲R1より第二方向の第四側となる。
【0029】
第一照射範囲R1は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第三側の第一部分P1でこの媒体70の表面と重なる(
図1,3参照)。即ち、第一照明器21は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第三側の第一部分P1に第一入射光を照射する。この場合、第一光源23は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第三側の第一部分P1に照射される第一入射光を発する。第一入射光の一部は、第一部分P1で反射し、第一反射光となる。
【0030】
第二照射範囲R2は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第四側の第二部分P2でこの媒体70の表面と重なる(
図1,3参照)。即ち、第二照明器22は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第四側の第二部分P2に第二入射光を照射する。この場合、第二光源24は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第四側の第二部分P2に照射される第二入射光を発する。第二入射光の一部は、第二部分P2で反射し、第二反射光となる。
【0031】
第二照射範囲R2は、第二方向において第一照射範囲R1と重なる領域Cを含む(
図3参照)。第一照射範囲R1の第二方向の第三側端は、第一方向に搬送中の媒体70の第二方向の第三側端より第二方向の第三側に設定される(
図3参照)。第二照射範囲R2の第二方向の第四側端は、第一方向に搬送中の媒体70の第二方向の第四側端より第二方向の第四側に設定される(
図1,3参照)。照射範囲R0は、第一照射範囲R1と第二照射範囲R2との組み合わせにより第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の全体(
図3の「寸法W6」参照)に対応する。寸法W6は、第一方向に搬送中の媒体70の第二方向の寸法である。即ち、照明装置20は、第一照射範囲R1と第二照射範囲R2とを組み合わせることで、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の全体に入射光を照射する。
【0032】
図1,3で第一照射範囲R1内の黒塗りは、第一部分P1に対応する。
図1,3で第二照射範囲R2内の黒塗りは、第二部分P2に対応する。第一方向に搬送中の媒体70の表面で第一部分P1と第二部分P2との関係は、第一照射範囲R1と第二照射範囲R2との関係と同様である(
図1,3参照)。即ち、第二部分P2は、第一部分P1より第一方向の下流側となる。第二部分P2は、第一部分P1より第二方向の第四側となる。第二部分P2は、第二方向において第一部分P1と重なる領域Cを含む(
図3参照)。第一部分P1と第二部分P2との組み合わせは、第一方向に搬送中の媒体70の表面を第二方向に横断する。
【0033】
照明装置20で第一角度θ1及び第二角度θ2は、15~45°に設定することが好ましい(
図3参照)。第一角度θ1及び第二角度θ2は、同じ角度とすることが好ましい。第一角度θ1は、第二方向に対する直線状の第一反射光の傾斜角である。第二角度θ2は、第二方向に対する直線上の第二反射光の傾斜角である。換言すれば、第一角度θ1は第二方向に対する第一入射光の傾斜角であり、第二角度θ2は第二方向に対する第二入射光の傾斜角である。
【0034】
第一光源23が直線状のライン光源である場合、第一照明器21は、第
二方向に対して第一光源23の長手方向が第一角度θ1となる状態で配置される(
図1参照)。この場合、第一角度θ1は、第二方向に対する直線状の第一光源23の傾斜角ともいえる。第一照明器21をこのように配置することで、第一照射範囲R1は、第二方向に対して第一角度θ1で傾斜する(
図3参照)。第一入射光は、第二方向に対して第一角度θ1で傾斜する。これに伴い、第一反射光は、第二方向に対して第一角度θ1で傾斜する(
図3参照)。第二光源24が直線状のライン光源である場合、第二照明器22は、第
二方向に対して第二光源24の長手方向が第二角度θ2となる状態で配置される(
図1参照)。この場合、第二角度θ2は、第二方向に対する直線状の第二光源24の傾斜角ともいえる。第二照明器22をこのように配置することで、第二照射範囲R2は、第二方向に対して第二角度θ2で傾斜する(
図3参照)。第二入射光は、第二方向に対して第二角度θ2で傾斜する。これに伴い、第二反射光は、第二方向に対して第二角度θ2で傾斜する(
図3参照)。第一角度θ1及び第二角度θ2が同じ角度である場合、第一光源23及び第二光源24は、平行に配置される。
【0035】
第一ケース25は、第一光源23を収容する(
図1,2参照)。第二ケース26は、第二光源24を収容する(
図1,2参照)。第一ケース25で第一進行方向の前側以外の面は、遮光性を有する面とすることが好ましい。第二ケース26で第二進行方向の前側以外の面は、遮光性を有する面とすることが好ましい。
【0036】
第一遮光体27及び第二遮光体28は、配置方向と直交する方向に直線状のスリット29を有する(
図4参照)。即ち、スリット29は、配置方向と直交する方向を長手方向とする細長い形状を有する。スリット29は、平板状の第一遮光体27及び第二遮光体28をそれぞれ厚さ方向に貫通する(
図2参照)。スリット29は、空間である。但し、第一遮光体27及び第二遮光体28でスリット29には、透明材が充填されていてもよい。透明材は、無色であることが好ましい。スリット29の寸法W1は、1~3mmの範囲の所定値に設定してもよい(
図4参照)。寸法W1は、スリット29の壁面B1,B2の間隔である。壁面B1,B2は、配置方向と直交する方向に沿い且つ配置方向に対向する。
【0037】
第一遮光体27は、次の状態で第一光源23より第一進行方向の前側に設けられる(
図2参照)。前述の状態では、スリット29が第一光源23と一致する(
図1,2,4参照)。第一光源23が発した配置方向と直交する方向に直線状の第一入射光は、第一進行方向に進み、配置方向と直交する方向に直線状のスリット29を通過する(
図2参照)。第一入射光は、第一方向に搬送中の媒体70の表面で第一照射範囲R1と重なり合うこの媒体70の表面の第一部分P1に照射され、この第一部分P1を照らす(
図1,3参照)。
【0038】
第二遮光体28は、次の状態で第二光源24より第二進行方向の前側に設けられる(
図2参照)。前述の状態では、スリット29が第二光源24と一致する(
図1,2,4参照)。第二光源24が発した配置方向と直交する方向に直線状の第二入射光は、第二進行方向に進み、配置方向と直交する方向に直線状のスリット29を通過する(
図2参照)。第二入射光は、第一方向に搬送中の媒体70の表面で第二照射範囲R2と重なり合うこの媒体70の表面の第二部分P2に照射され、この第二部分P2を照らす(
図1,3参照)。
【0039】
第一照明器21及び第二照明器22の寸法W2,W3は、次の寸法W4,W5を考慮して適宜決定される(
図3,4参照)。第一照明器21の寸法W2は、第一光源23の発光領域の外縁の配置方向と直交する方向の寸法である。第二照明器22の寸法W2は、第二光源24の発光領域の外縁の配置方向と直交する方向の寸法である。寸法W2は、第一光源23及び第二光源24の配置方向と直交する方向の寸法に応じて決まる。
図4で寸法W2は、第一光源23及び第二光源24の配置方向と直交する方向の寸法と一致する。第一照明器21及び第二照明器22の寸法W3は、スリット29の配置方向と直交する方向の寸法である(
図4参照)。寸法W4は、第一照射範囲R1の第二方向の寸法であり、第一照明器21の寸法W2に対して「W4=W2cosθ1」の関係を有する(
図3,4参照)。寸法W5は、第二照射範囲R2の第二方向の寸法であり、第二照明器22の寸法W2に対して「W5=W2cosθ2」の関係を有する(
図3,4参照)。第一角度θ1及び第二角度θ2が同じ角度である場合、寸法W5は、寸法W4と同じとなる。実施形態では、寸法W2,W3は、「W2<W3」に設定される(
図4参照)。但し、このような寸法W2,W3の関係は例示である。寸法W2,W3は、「W2≧W3」としてもよい。
【0040】
第一遮光体27で第一進行方向の前側の表面は、第一進行方向に垂直に配置される(
図2参照)。第二遮光体28で第二進行方向の前側の表面は、第二進行方向に垂直に配置される(
図2参照)。第一遮光体27は、第一進行方向の前側の表面を艶消し状としてもよい(
図4参照)。第一遮光体27は、第一進行方向の後側の表面を艶消し状としてもよい(不図示)。第二遮光体28は、第二進行方向の前側の表面を艶消し状としてもよい(
図4参照)。第二遮光体28は、第二進行方向の後側の表面を艶消し状としてもよい(不図示)。実施形態では、艶消し状は、光が拡散反射する状態を意味する。
図4で次の表面に付した斜め格子模様は、この表面が艶消し状であることを示す。
図4に示す構成が第一照明器21である場合、前述の表面は、第一遮光体27の第一進行方向の前側の表面である。
図4に示す構成が第二照明器22である場合、前述の表面は、第二遮光体28の第二進行方向の前側の表面である。
【0041】
撮像装置40は、反射光を撮像する(撮像工程)。即ち、撮像装置40は、第一反射光及び第二反射光を撮像する。撮像装置40の撮像範囲R3は、矩形形状を有する。撮像装置40は、イメージセンサを含む。イメージセンサは、反射光に対する感度を有する。即ち、入射光が可視光である場合、イメージセンサは、可視光に対する感度を有する。入射光が赤外線である場合、イメージセンサは、赤外線に対する感度を有する。イメージセンサの例としては、CMOSセンサが挙げられる。撮像データは、動画データである。撮像データは、撮像装置40で撮像された画像に対応する画像データ(デジタルデータ)である。但し、撮像データは、静止画データであってもよい。撮像データが静止画データである場合、撮像装置40は、反射光の撮像を所定の間隔で繰り返して実行する。撮像装置40としては、公知の撮像装置を採用することができる。撮像装置40として採用する撮像装置及び撮像データの形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。実施形態では、撮像装置40で撮像された画像を「撮像画像」という。
【0042】
撮像装置40は、第一照明器21より配置方向の第二側に設けられ、第二照明器22より配置方向の第一側に設けられる(
図1,2参照)。更に、撮像装置40は、次の位置に設けられる。前述の位置は、第一方向に搬送中の媒体70の表面より第三方向の第五側である。更に、前述の位置では、第一反射角θ4及び第一入射角θ3が「θ4=θ3」の関係を満足することが好ましく、第二反射角θ6及び第二入射角θ5が「θ6=θ5」の関係を満足することが好ましい(
図2参照)。第一反射角θ4及び第二反射角θ6は、諸条件を考慮して適宜設定される。例えば、第一反射角θ4及び第二反射角θ6の設定には、第一入射角θ3と第一反射角θ4との関係及び第二入射角θ5及び第二反射角θ6との関係が考慮される。この他、第一反射角θ4及び第二反射角θ6の設定には、第一入射角θ3及び第二入射角θ5と同様、皺検査装置10の設置場所での外界光の状態が考慮される。
【0043】
即ち、撮像装置40は、第一入射光の正反射光の光路及び第二入射光の正反射光の光路に設けられることが好ましい。
図2の第二仮想直線M2は、第一入射光の正反射光の光路に対応する。
図2の第四仮想直線M4は、第二入射光の正反射光の光路に対応する。撮像装置40は、第一反射光として第一入射光の正反射光を撮像し、第二反射光として第二入射光の正反射光を撮像する。但し、撮像装置40は、第一入射光の正反射光の光路及び第二入射光の正反射光の光路とは異なる位置に設けてもよい。この場合、撮像装置40は、反射光として第一入射光の拡散光及び第二入射光の拡散光を撮像する。第一入射光の反射光及び第二入射光の反射光に対する撮像装置40の位置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0044】
撮像装置40は、第二方向に対して第一角度θ1及び第二角度θ2の一方又は両方と同じ角度で傾斜させた状態で配置させてもよい。実施形態では、第一角度θ1及び第二角度θ2が同じ角度であるから、撮像装置40は、第一照明器21及び第二照明器22と同様、第二方向に対して第一角度θ1及び第二角度θ2と同じ角度で傾斜させた状態で配置される(
図1参照)。この場合、撮像範囲R3は、配置方向に沿った2辺及び配置方向と直交する方向に沿った2辺の合計4辺を含む(
図1,3参照)。撮像データの縦方向は配置方向と一致し、撮像データの横方向は配置方向と直交する方向と一致する。
【0045】
撮像範囲R3は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第一部分P1及び第二部分P2を含む。実施形態では、撮像範囲R3は、照射範囲R0の全体を含む(
図3参照)。即ち、撮像範囲R3は、第一照射範囲R1の全体と、第二照射範囲R2の全体とを含む。この場合、撮像画像は、第一反射光の全体と、第二反射光の全体とを含む(
図5参照)。但し、このような照射範囲R0及び撮像範囲R3は例示である。次の第一の場合又は第二の場合、照射範囲R0及び撮像範囲R3は、第一部分P1の第二方向の第三側端及び第二部分P2の第二方向の第四側端の一方又は両方を含まなくてもよい。第一の場合は、媒体70の第二方向の両端には皺71が発生しない。第二の場合は、媒体70の第二方向の両端に皺71が発生したとしても問題とならない。照射範囲R0及び撮像範囲R3は、諸条件を考慮して適宜設定される。
【0046】
図1,3では、次の部分を二点鎖線で示す。前述の部分は、第一照射範囲R1、第二照射範囲R2及び撮像範囲R3である。更に、前述の部分は、第一光源23と第一照射範囲R1との関係、第二光源24と第二照射範囲R2との関係及び撮像装置40と撮像範囲R3との関係を示す便宜上の図示部分である。
【0047】
<皺判定装置50>
皺判定装置50について
図1,5を参照して説明する。皺判定装置50は、皺検査装置10と、制御装置60とを備える。皺検査装置10は、制御装置60とデータ通信可能に接続され、制御装置60と共に皺判定装置50となる。制御装置60は、情報処理装置である。情報処理装置の例としては、パーソナルコンピュータが挙げられる。制御装置60は、接続インターフェース61と、プロセッサ62と、ストレージ63と、メモリ64と、ディスプレイ65とを備える。実施形態では、接続インターフェース61を「接続I/F61」と記載する。接続I/F61には、撮像装置40が接続される。
図1では、撮像装置40と接続I/F61とを接続する通信ケーブルの図示は省略する。
【0048】
プロセッサ62は、演算処理を実行し、制御装置60で実行される各種動作を制御する。ストレージ63は、プロセッサ62が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ63の例としては、ハードディスク及びフラッシュメモリが挙げられる。ストレージ63は、ROMを含んでもよい。ストレージ63は、各種のプログラムを記憶する。ストレージ63に記憶されるプログラムの例としては、OS(Operating system)及び皺検出処理用のプログラムが挙げられる。皺検出処理用のプログラムは、ストレージ63に事前にインストールされる。メモリ64は、プロセッサ62がストレージ63に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ64は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。ディスプレイ65は、各種の情報及び画像を表示する。ディスプレイ65の例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。
【0049】
制御装置60では、プロセッサ62がストレージ63に記憶された皺検出処理用のプログラムを実行する。皺検出処理は、取得処理と、判定処理と、出力処理とを含む。皺検出処理を開始させたプロセッサ62は、取得処理を繰り返して実行し、判定処理を繰り返して実行する。更に、プロセッサ62は、出力処理を繰り返して実行する。皺検査装置10は、皺検査方法を実行する。照明装置20は照明工程を実行し、撮像装置40は撮像工程を実行する。
【0050】
取得処理は、撮像データを取得する。撮像装置40は、撮像画像に対応する撮像信号を制御装置60に出力する。撮像信号は、接続I/F61を介して制御装置60に入力される。接続I/F61は、撮像装置40からの撮像信号をプロセッサ62に出力する。プロセッサ62は、接続I/F61を介して撮像信号を取得する。プロセッサ62は、取得済みの撮像信号を処理し、撮像画像に対応する撮像データを取得する。プロセッサ62は、撮像データをメモリ64に記憶させる。
【0051】
判定処理は、取得済みの撮像データを対象とする。判定処理は、この撮像データを画像解析し、媒体70での皺71の発生を判定する。判定処理は、公知の画像処理を採用することができる。例えば、判定処理は、出願人が特許文献4で開示する画像解析を採用してもよい。従って、判定処理で実行される画像解析に関する説明は省略する。
【0052】
取得済みの撮像データが
図5上段の撮像画像に対応する場合、判定処理でプロセッサ62は、判定結果「OK」を取得する。判定結果「OK」は、皺71が発生していないことを示す。取得済みの撮像データが
図5下段の撮像画像に対応する場合、判定処理でプロセッサ62は、判定結果「NG」を取得する。判定結果「NG」は、皺71が発生していることを示す。
図5下段の撮像画像では、第一反射光の部分D1及び第二反射光の部分D2に皺71に起因する歪みが認められる。これに対して、
図5上段の撮像画像では、このような歪みは認められない。判定処理でプロセッサ62は、第一反射光及び第二反射光の両方に前述した歪みが認められない場合、判定結果「OK」を取得し、第一反射光及び第二反射光の少なくとも一方に前述した歪みが認められる場合、判定結果「NG」を取得する。
図5で撮像画像内に示す矩形の設定枠E1は、第一反射光に対する判定処理で画像解析の対象となる範囲を示す。
図5で撮像画像内に示す矩形の設定枠E2は、第二反射光に対する判定処理で画像解析の対象となる範囲を示す。皺検出処理用のプログラムで設定枠E1,E2は、任意に設定できることが好ましい。
【0053】
出力処理は、ディスプレイ65に操作画面66を表示させる。操作画面66は、表示領域F1,F2を含む。表示領域F1は、操作画面66で撮像画像を表示する。表示領域F2は、操作画面66で判定結果を表示する。出力処理でプロセッサ62は、操作画面66の出力指令をディスプレイ65に出力する。出力指令は、次の撮像画像と、次の判定結果とを含む。前述の撮像画像は、判定処理で画像解析の対象とされた撮像データに対応する。前述の判定結果は、前述の撮像画像に対応する撮像データを対象とする画像解析によって判定処理で取得される。ディスプレイ65は、この出力指令に従い前述の撮像画像及び判定結果を含む操作画面66を表示する(
図5参照)。
【0054】
皺検査処理でプロセッサ62は、1つの撮像データを対象とした判定処理の判定結果として、第一反射光及び第二反射光のそれぞれから判定結果を取得してもよい。この場合、操作画面66の出力指令は、判定結果として、第一反射光を対象とした判定結果と、第二反射光を対象とした判定結果とを含む。出力処理でプロセッサ62は、上記同様の撮像画像とこれら2つの判定結果とを含む操作画面66の出力指令をディスプレイ65に出力する。ディスプレイ65は、この出力指令に従い次の操作画面66を表示する。前述の操作画面66は、表示領域F1に前述の撮像画像を含み、表示領域F2に第一反射光を対象とした判定結果及び第二反射光を対象とした判定結果を含む。
【0055】
制御装置60は、皺検出処理用のプログラムをストレージ63に記憶し、プロセッサ62が皺検出処理用のプログラムを実行する点で、公知の情報処理装置と相違する。但し、制御装置60は、ハードウェア的には公知の情報処理装置と同じである。従って、制御装置60は、上述の各部の他に公知の情報処理装置と同様の構成を備える。更に、プロセッサ62は、公知の情報処理装置で実行される処理と同様の処理を実行する。ディスプレイ65は、外部に接続された表示装置であってもよい。ディスプレイ65が制御装置60の外部に接続された表示装置である場合、このディスプレイ65は、接続I/F61に接続される。制御装置60に関するこの他の説明は省略する。
【0056】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0057】
(1)皺検査装置10は、照明装置20と、撮像装置40とを備える(
図1,2参照)。皺検査装置10は、皺検査方法を実行する。照明装置20は、第一方向に搬送中の媒体70の表面に入射光を照射する(皺検査方法の照射工程)。撮像装置40は、入射光が第一方向に搬送中の媒体70の表面で反射した反射光を撮像する(皺検査方法の撮像工程)。照明装置20は、第一光源23と、第二光源24とを含む。第一光源23は、入射光としての第一入射光を発する。第二光源24は、入射光としての第二入射光を発する。第一光源23は、撮像装置40より配置方向の第一側に設けられ、撮像装置40より配置方向の第一側から媒体70の表面に照射される第一入射光を発する。第二光源24は、撮像装置40より配置方向の第二側に設けられ、撮像装置40より配置方向の第二側から媒体70の表面に照射される第二入射光を発する。撮像装置40は、第一入射光が媒体70の表面で反射した反射光としての第一反射光を撮像する(
図2,5参照)。撮像装置40は、第二入射光が媒体70の表面で反射した反射光としての第二反射光を撮像する(
図2,5参照)。媒体70は、第一入射光及び第二入射光の照射時及び第一反射光及び第二反射光の撮像時、第一方向に搬送される(
図1,2参照)。
【0058】
そのため、2つの第一反射光及び第二反射光を1つの撮像装置40で撮像することができる。2つの第一反射光及び第二反射光を含む1つの撮像データを取得することができる(
図5参照)。皺検査装置10及び皺検査方法では、第一方向に搬送中の媒体70での皺71の発生を安定して検査することができる。
【0059】
照明装置20は、第一光源23及び第二光源24に加え、第一ケース25と、第二ケース26と、第一遮光体27と、第二遮光体28とを備える(
図1,2参照)。即ち、照明装置20は、第一照明器21と、第二照明器22とを含む。照明装置20では、第一照明器21が第一光源23、第一ケース25及び第一遮光体27を含み、第二照明器22が第二光源24、第二ケース26及び第二遮光体28を含む。第一照明器21の第一ケース25及び第一遮光体27は、第一光源23と共に、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第三方向の第五側及び撮像装置40より配置方向の第一側に設けられる。第二照明器22の第二ケース26及び第二遮光体28は、第二光源24と共に、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第三方向の第五側及び撮像装置40より配置方向の第二側に設けられる。
【0060】
(2)配置方向は、第一方向及び第二方向の両方向と交差する(
図1,3参照)。第一光源23は、撮像装置40より配置方向の第一側に設けられる(
図1,2参照)。第二光源24は、撮像装置40より配置方向の第二側に設けられる(
図1,2参照)。
【0061】
そのため、撮像装置40より配置方向の第一側に設けられる第一光源23が発する第一入射光を第一方向に搬送中の媒体70の表面に照射することができる。撮像装置40より配置方向の第二側に設けられる第二光源24が発する第二入射光を第一方向に搬送中の媒体70の表面に照射することができる。
【0062】
(3)第一光源23は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第三側の第一部分P1に照射される第一入射光を発する(
図1,2参照)。第二光源24は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二方向の第四側の第二部分P2に照射される第二入射光を発する(
図1,2参照)。第二部分P2は、第一部分P1と第二方向において重なる領域Cを含む(
図3参照)。
【0063】
そのため、第一方向に搬送中の媒体70の第二方向の全体に入射光を照射することができる(W4+W5-C>W6
図3参照)。第一方向に搬送中の媒体70の第二方向の全体に照射される入射光を2つの第一光源23及び第二光源24が発することで、この媒体70の第二方向の全体に照射される入射光を1つの光源が発する場合と比較して光源を小型化することができる。
【0064】
(4)皺検査装置10は、制御装置60と共に皺判定装置50となる(
図1参照)。プロセッサ62は、取得処理と、判定処理とを実行する。取得処理でプロセッサ62は、撮像画像に対応する撮像データを取得する。判定処理でプロセッサ62は、取得済みの撮像データを画像解析し、第一方向に搬送中の媒体70での皺71の発生を判定する。
【0065】
そのため、第一方向に搬送中の媒体70に皺71が発生している場合、撮像データからこの媒体70での皺71の発生を検出することができる。皺判定装置50では、第一方向に搬送中の媒体70での皺71の発生を安定して検査することができる。
【0066】
更に、プロセッサ62は、出力処理を実行する。これに伴い、操作画面66がディスプレイ65に表示される(
図5参照)。そのため、第一方向に搬送中の媒体70での皺71の発生又は未発生を作業者に報知することができる。第一方向に搬送中の媒体70に皺71が発生している場合、作業者は、皺71に対応することができる。
【0067】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0068】
(1)第一遮光体27は第一進行方向の前側の表面を艶消し状とし、第二遮光体28は第二進行方向の前側の表面を艶消し状とする(
図4参照)。第一遮光体の第一進行方向の前側の表面及び第二遮光体の第二進行方向の前側の表面の一方又は両方は、艶消し状でなくてもよい。皺検査装置の設置場所が次のような環境であるとする。前述の環境では、外界光が第一進行方向の前側となる第一遮光体の表面に映り込まない。更に、前述の環境では、外界光が第二進行方向の前側となる第二遮光体の表面に映り込まない。この場合、第一遮光体の第一進行方向の前側の表面は艶消し状でなくてもよく、第二遮光体の第二進行方向の前側の表面は艶消し状でなくてもよい。
【0069】
この他、皺検査装置10は、次のようなカバーを備えてもよい。前述のカバーは、皺検査装置10の一部又は全部を被覆し、撮像範囲R3を含む範囲を外界光から遮光する。皺検査装置10がこのようなカバーを備える場合、第一遮光体の第一進行方向の前側の表面及び第二遮光体の第二進行方向の前側の表面の一方又は両方は、艶消し状でなくてもよい。
【0070】
(2)第一照明器21は第一遮光体27を備え、第二照明器22は第二遮光体28を備える(
図1,2,4参照)。第一照明器21では、第一遮光体27は省略してもよい。第二照明器22では、第二遮光体28は省略してもよい。例えば、第一照明器21より第一進行方向の後側及び第二照明器22より第二進行方向の後側に次の光源を含む次の照明器がない場合、第一遮光体27及び第二遮光体28は省略してもよい。前述の光源は、第一光源23及び第二光源24とは異なる。前述の照明器は、第一照明器21及び第二照明器22とは異なる。この場合、第一照明器21及び第二照明器22は、
図6の態様としてもよい。
図6では、
図1~4との対応を明らかにするため、同一又は対応する各部への符号は上記と同様とする。
【0071】
図6の第一照明器21で第一進行方向の前側の表面は、第一進行方向の前側となる第一ケース25の面によって形成される。第一ケース25の第一進行方向の前側の表面は、第一進行方向に垂直に配置される。
図6の第二照明器22で第二進行方向の前側の表面は、第二進行方向の前側となる第二ケース26の面によって形成される。第二ケース26の第二進行方向の前側の表面は、第二進行方向に垂直に配置される。第一ケース25の第一進行方向の前側の表面及び第二ケース26の第二進行方向の前側の表面は、第一領域R4と、第二領域R5とを含む。
【0072】
図6の第一照明器21及び第二照明器22で第一領域R4は、配置方向と直交する方向に直線状に設けられる。
図6の第一照明器21で第一領域R4は、第一光源23と一致する。
図6の第一照明器21は、第一光源23が発した第一入射光を第一領域R4から照射する。この第一入射光は、配置方向と直交する方向に直線状となる。
図6の第二照明器22で第一領域R4は、第二光源24と一致する。
図6の第二照明器22は、第二光源24が発した第二入射光を第一領域R4から照射する。この第二入射光は、配置方向と直交する方向に直線状となる。
【0073】
図6の第一照明器21で第二領域R5は、第一ケース25の第一進行方向の前側の表面で第一領域R4を除く領域である。
図6の第二照明器22で第二領域R5は、第二ケース26の第二進行方向の前側の表面で第一領域R4を除く領域である。第二領域R5は、遮光性を有する。第二領域R5は、艶消し状としてもよい。
図6で第二領域R5に付した斜め格子模様は、第二領域R5が艶消し状であることを示す。
【0074】
(3)照明装置20は、第一照明器21に第一遮光体27を備え、第二照明器22に第二遮光体28を備える。皺検査装置10は、第三遮光体を備えてもよい。第三遮光体は、第一方向に搬送中の媒体70に対して照明装置20とは反対側(第三方向の第六側)に設けられる。第三遮光体は、次の外界光を遮光する。前述の外界光は、第一方向に搬送中の媒体70に対して第三方向の第六側から撮像装置40に向けて差し込む。
【0075】
第三遮光体は、照明装置20の側(第三方向の第五側)の表面を艶消し状としてもよい。第三遮光体は、この表面に到達した光を拡散する。媒体70が透明材で形成されているとする。この場合、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第一部分P1に照射された第一入射光の一部は、媒体70を透過する。第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二部分P2に照射された第二入射光の一部は、媒体70を透過する。第一入射光及び第二入射光のうち、第一方向に搬送中の媒体70を透過して第三遮光体の第三方向の第五側の表面に到達した入射光を拡散させることができる。
【0076】
更に、第三方向の第五側の表面が艶消し状である第三遮光体は、第一照射範囲R1の全体及び第二照射範囲R2の全体と重なる形状としてもよい。第一照射範囲R1は、第二方向の第三側に第一方向に搬送中の媒体70の表面とは重ならない領域を含む(
図3参照)。第一入射光の一部は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第一部分P1に照射されずに第一進行方向にこの媒体70を通過する。第二照射範囲R2は、第二方向の第四側に第一方向に搬送中の媒体70の表面とは重ならない領域を含む(
図1,3参照)。第二入射光の一部は、第一方向に搬送中の媒体70の表面の第二部分P2に照射されずに第二進行方向にこの媒体70を通過する。第一入射光及び第二入射光のうち、第一方向に搬送中の媒体70を通過して第三遮光体の第三方向の第五側の表面に到達した入射光を拡散させることができる。
【0077】
(4)プロセッサ62は、出力処理を実行し、操作画面66をディスプレイ65に表示させる(
図5参照)。出力処理に伴う報知動作は、操作画面66の表示と共に又は操作画面66の表示に代えて次のような態様としてもよい。前述の態様は、警報音による報知動作である。例えば、判定結果が「OK」である場合、警報音は出力されず、判定結果が「NG」である場合、警報音が出力される。この他、前述の態様は、表示灯による報知動作である。判定結果が「OK」である場合、表示灯は第一状態となり、判定結果が「NG」である場合、表示灯は第二状態となる。第一状態の例としては、第一色での点灯状態及び第一色での点滅状態が挙げられる。第二状態の例としては、第一色とは異なる第二色での点灯状態及びこの第二色での点滅状態が挙げられる。この他、第一状態は、消灯状態としてもよい。この場合、第二状態は、点灯状態又は点滅状態としてもよい。出力処理に伴う報知動作の態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。皺判定装置50は、報知動作に応じた報知器を備える。
【0078】
(5)配置方向を、第一方向及び第二方向の両方向を含む平面(仮想平面)内でこれら両方向と交差する方向とした(
図1~3参照)。配置方向は、第一方向と一致する方向としてもよい。この場合、配置方向と直交する方向は、第二方向と一致する。この他、配置方向は、第一方向とこの平面(仮想平面)内で直交する方向としてもよい。この場合、配置方向は第二方向と一致し、配置方向と直交する方向は第一方向と一致する。
【0079】
配置方向が第一方向及び第二方向の両方向を含む平面(仮想平面)内で第一方向と直交する場合、皺検査装置10は、
図7の態様とすることが好ましい。
図1~4の皺検査装置10は、第一方向に搬送されている状態で第三方向の第五側となる表面に光沢を有する媒体70に適する。このことは、配置方向が第一方向と一致する皺検査装置(不図示)についても同様である。
図7の皺検査装置10は、第一方向に搬送されている状態で第三方向の第五側となる表面に光沢を有さない媒体70又はこの表面が低光沢である媒体70に適する。
図7では、
図1~4,6との対応を明らかにするため、同一又は対応する各部への符号は上記と同様とする。
図7の態様では、配置方向の第一側は第二方向の第三側と一致し、且つ配置方向の第二側は第二方向の第四側と一致する。
図7の皺検査装置10の説明では、第二方向の第三側を「配置方向の第一側」といい、第二方向の第四側を「配置方向の第二側」という。
【0080】
図7の皺検査装置10は、
図1~4の皺検査装置10と同様、照明装置30と、撮像装置40とを備える。照明装置30は、第一照明器31と、第二照明器32とを備える。第一照明器31及び第二照明器32は、
図6と同様の態様を採用する。但し、第一照明器31及び第二照明器32は、次の点で照明装置20の第一照明器21及び第二照明器22とは異なる。即ち、照明装置20では第一照明器21で第一光源23が発する第一入射光及び第二照明器22で第二光源24が発する第二入射光は拡散光であることが好ましいのに対し、照明装置30では第一入射光及び第二入射光は平行光とされる。
【0081】
第一照明器31は、第一照明器21の第一光源23とは異なる第一光源33を備え、第一光源33は、第一入射光として平行光を発する。第二照明器32は、第二照明器22の第二光源24とは異なる第二光源34を備え、第二光源34は、第二入射光として平行光を発する。例えば、第一光源33及び第二光源34は、平行光を発するLED発光体を含む。例えば、平行光を発するLED発光体は、平行光LEDと称され、公知である。この他、第一照明器31は、第一照明器21と同様、第一ケース25を含み、第二照明器32は、第二照明器22と同様、第二ケース26を含む。第一ケース25は、第一光源33を収容する。第二ケース26は、第二光源34を収容する。
【0082】
第一照明器31は、撮像装置40より配置方向の第一側に設けられる。第二照明器32は、撮像装置40より配置方向の第二側に設けられる。即ち、第一照明器31の第一光源33及び第一ケース25は、撮像装置40より配置方向の第一側に設けられ、第一光源33はこの位置から媒体70の表面に照射される第一入射光(平行光)を発する。第二照明器32の第二光源34及び第二ケース26は、撮像装置40より配置方向の第二側に設けられ、第二光源34はこの位置から媒体70の表面に照射される第二入射光(平行光)を発する。媒体70は、第一入射光及び第二入射光の照射時、第一方向に搬送される。
【0083】
第一照明器31で第一光源33は、次の第三状態で第一方向に搬送中の媒体70の配置方向の第一側に設けることが好ましい。第一光源33が平行光を発する複数のLED発光体を含むライン光源である場合、複数のLED発光体は、ライン光源の長手方向に整列する。第三状態では、第一光源33として採用するライン光源の長手方向が第一方向に沿い、且つ寸法G1が100~500mmの範囲の所定値に設定される。寸法G1は、第一方向に搬送中の媒体70の配置方向の第一側端と第一光源33との配置方向の距離である。第三状態では、寸法H1が0~100mmの範囲の所定値に設定される。寸法H1は、第一方向に搬送中の媒体70の表面と第一光源33との第三方向の距離である。寸法H1に関して第一光源33の基準位置は、第一光源33の第三方向の第六側端である。但し、この基準位置は、第一照明器31の第一領域R4の第三方向の第六側端としてもよい。
【0084】
第二照明器32で第二光源34は、次の第四状態で第一方向に搬送中の媒体70の配置方向の第二側に設けることが好ましい。第二光源34が平行光を発する複数のLED発光体を含むライン光源である場合、複数のLED発光体は、ライン光源の長手方向に整列する。第四状態では、第二光源34として採用するライン光源の長手方向が第一方向に沿い、且つ寸法G2が100~500mmの範囲の所定値に設定される。寸法G2は、第一方向に搬送中の媒体70の配置方向の第二側端と第二光源34との配置方向の距離である。寸法G2は、寸法G1と同じにすることが好ましい。第四状態では、寸法H2が0~100mmの範囲の所定値に設定される。寸法H2は、第一方向に搬送中の媒体70の表面と第二光源34との第三方向の距離である。寸法H2に関して第二光源34の基準位置は、第二光源34の第三方向の第六側端である。但し、この基準位置は、第二照明器32の第一領域R4の第三方向の第六側端としてもよい。寸法H2は、寸法H1と同じにすることが好ましい。
【0085】
撮像装置40は、第一反射光及び第二反射光を撮像する。第一入射光及び第二入射光は、第一方向に搬送中の媒体70の表面で拡散反射する。撮像装置40は、第一反射光として第一入射光が第一方向に搬送中の媒体70の表面で拡散反射した拡散光を撮像し、第二反射光として第二入射光がこの媒体70の表面で拡散反射した拡散光を撮像する。拡散光は、正反射光を除く反射光である。換言すれば、撮像装置40は、第一反射光として第一入射光が第一方向に搬送中の媒体70の表面で正反射した正反射光を撮像せず、第二反射光として第二入射光がこの媒体70の表面で正反射した正反射光を撮像しない。
【0086】
図7の皺検査装置10によれば、第一方向に搬送中の媒体70の表面が光沢を有さない又は低光沢である場合、撮像画像においてこの媒体70の表面に発生した皺71を明確にすることができる(
図8上段参照)。皺検出処理で皺71を検出することができる。これに対して、比較例の皺検査装置では、撮像画像において第一方向に搬送中の媒体70の光沢を有さない表面又は低光沢な表面に発生した皺71を明確にすることができない(
図8下段参照)。比較例の皺検査装置の照明装置は、第一照明器31及び第二照明器32と同じ1つの照明器を含む。この照明器は、光源として採用するライン光源の長手方向が第一方向と直交する第二方向に沿った状態で第一方向に搬送中の媒体70の表面の第三方向の第五側に設けられる。
図8上下段に示す2つの撮像画像の比較から、第一方向に搬送中の媒体70の光沢を有さない表面に発生する皺71の検出において
図7の皺検査装置10の有効性が確認された。
図8上下段の撮像画像の撮像は、同じ撮像装置を用いて行った。更に、
図8上下段の撮像画像の撮像時、撮像装置に対する設定は同じとした。
【0087】
皺検査装置10を
図1~4及び
図7の何れの態様とするかは、検査対象とする媒体70の表面の光沢に応じて適宜決定される。1台の皺検査装置10に照明装置20,30を設けるようにしてもよく、又は1台の皺検査装置10で照明装置20,30のうちの何れか一方に取り換えられるようにしてもよい。この場合、使用する照明装置は、検査対象とする媒体70を対象とした事前の実験によって照明装置20,30から選択してもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 皺検査装置、 20 照明装置、 21 第一照明器、 22 第二照明器
23 第一光源、 24 第二光源、 25 第一ケース、 26 第二ケース
27 第一遮光体、 28 第二遮光体、 29 スリット、 30 照明装置
31 第一照明器、 32 第二照明器、 33 第一光源、 34 第二光源
40 撮像装置、 50 皺判定装置、 60 制御装置
61 接続インターフェース(接続I/F)、 62 プロセッサ
63 ストレージ、 64 メモリ、 65 ディスプレイ、 66 操作画面
70 媒体、 71 皺、 θ1 第一角度、 θ2 第二角度、 θ3 第一入射角
θ4 第一反射角、 θ5 第二入射角、 θ6 第二反射角、 B1,B2 壁面
C 領域、 D1,D2 部分、 E1,E2 設定枠、 F1,F2 表示領域
G1,G2,H1,H2 寸法、 L1,L2,L3 中心線、 M1 第一仮想直線 M2 第二仮想直線、 M3 第三仮想直線、 M4 第四仮想直線
N1 第一法線、 N2 第二法線、 P1 第一部分、 P2 第二部分
Q1 第一入射点、 Q2 第二入射点、 R0 照射範囲、 R1 第一照射範囲
R2 第二照射範囲、 R3 撮像範囲、 R4 第一領域、 R5 第二領域
W1,W2,W3,W4,W5,W6 寸法