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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】吐出製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/58 20060101AFI20241022BHJP
   A61K 8/02 20060101ALN20241022BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
B65D83/58
A61K8/02
A61Q19/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020198378
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086404
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信也
(72)【発明者】
【氏名】村上 知子
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504971(JP,A)
【文献】国際公開第2013/147064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/58
A61K 8/02
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物と、前記発泡性組成物が充填された吐出容器と、を備え、
前記吐出容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブと、を備え、
前記バルブは、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記発泡性組成物を前記ハウジングに取り込むためのチューブ部材と、を備え、
前記チューブ部材は、第1のチューブ部材、第2のチューブ部材、および、第1のチューブ部材と第2のチューブ部材とを連結する連結部材とからなり
前記第1のチューブ部材は、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の気相部分に開口し、前記気相部分を導入するための気相導入孔が形成されており、
前記連結部材は、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の液相部分に開口し、前記発泡性組成物の液相部分を導入するための液相導入孔形成されており、
前記第2のチューブ部材は、導入された前記発泡性組成物の前記気相部分と前記液相部分とを混合するための混合室を備え、
前記混合室の断面積に対する長さの割合(長さ/断面積)は、2~500である、吐出製品。
【請求項2】
前記混合室の断面積は、0.2~50mm2である、請求項1記載の吐出製品。
【請求項3】
前記混合室の長さは、10~200mmである、請求項1または2記載の吐出製品。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の気相部分と連通した気相連通孔が形成されており、前記バルブは、前記気相連通孔を開閉する開閉部材を備え、前記開閉部材は、前記発泡性組成物を吐出する吐出時に前記気相連通孔を閉止し、前記発泡性組成物を吐出しない非吐出時に前記気相連通孔を開放する、請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出製品に関する。より詳細には、本発明は、圧縮ガスによって、従来よりもきめ細かい泡を吐出することのできる吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液化石油ガス等の液化ガスによって原液を発泡させて吐出する吐出製品が開発されている。このような吐出製品は、容器内では、液体である液化ガスと原液とが混合されており、外部に吐出されると、液化ガスが気化して膨張し、きめ細かな泡状の吐出物を得ることができる。ところで、近年の環境問題等への懸念から、液化ガスの使用量を抑える試みがある。
【0003】
しかしながら、液化ガスの代わりに圧縮ガスを用いる場合、圧縮ガスは原液にほとんど溶解しないため、きめ細かな泡状の吐出物を得ることが難しい。そこで、特許文献1には、発泡性液体及び加圧ガスを用いてマイクロ発泡体を形成する装置が開示されている。この装置は、加圧ガスを入口からガス導管内に導入し、発泡性液体を浸漬管入口から導入し、ガス/液体接合部で混合してからマイクロ発泡部に導入する。マイクロ発泡部は空間的振動流路を備えており、発泡性液体とガスはマイクロ発泡体を形成する。また、特許文献2には、液化ガスを使用せずに微細フォームを吐出できるディスペンサーが開示されている。このディスペンサーは、界面活性剤溶液とガスからフォームを生成する起泡部を有する管を備えており、起泡部は起泡促進剤(複数の球状のビーズ)を含むことにより特定の間隙率を含む内部寸法を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2020-512192号公報
【文献】特表2016-504971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~2に記載の発明は、構造が複雑であり、製造が難しい。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、複雑な構造を用いずに、圧縮ガスを用いた発泡性組成物を吐出し、きめ細かな泡状の吐出物を得ることのできる吐出製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0008】
(1)起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物と、前記発泡性組成物が充填された吐出容器と、を備え、前記吐出容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブと、を備え、前記バルブは、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記発泡性組成物を前記ハウジングに取り込むためのチューブ部材と、を備え、前記チューブ部材は、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の気相部分に開口し、前記気相部分を導入するための気相導入孔と、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の液相部分に開口し、前記液相部分を導入するための液相導入孔と、が形成されており、導入された前記発泡性組成物の前記気相部分と前記液相部分とを混合するための混合室を備え、前記混合室の断面積に対する長さの割合(長さ/断面積)は、2~500である、吐出製品。
【0009】
このような構成によれば、バルブを開放すると、容器本体内の圧力により、チューブ部材の混合室において、気相導入孔から導入された発泡性組成物の気相部分と、液相導入孔から導入された発泡性組成物の液相部分とが、自動的に混合される。特に、混合室の断面積に対する長さが特定の割合であるため、気相部分を主に構成する圧縮ガスと液相部分を主に構成する原液は、混合室内を通過する際に流路抵抗を受けて混合され、発泡しながら外部に向かって流れる。その結果、吐出される発泡性組成物は、きめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0010】
(2)前記混合室の断面積は、0.2~50mm2である、(1)記載の吐出製品。
【0011】
このような構成によれば、混合室内で原液と圧縮ガスとが適度に流路抵抗を受けて混合されやすい。そのため、圧縮ガスは、混合室内でより発泡が促進される。その結果、吐出される発泡性組成物は、よりきめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0012】
(3)前記混合室の長さは、10~200mmである、(1)または(2)記載の吐出製品。
【0013】
このような構成によれば、容器本体内に、充分な長さや容積の混合室が形成されやすい。そのため、混合室において、圧縮ガスと原液は、充分に混合され、また充分に発泡した状態で吐出されやすい。その結果、吐出される発泡性組成物は、よりきめ細かな泡状の吐出物がより得られやすい。
【0014】
(4)前記ハウジングは、前記容器本体に充填された前記発泡性組成物の気相部分と連通した気相連通孔が形成されており、前記バルブは、前記気相連通孔を開閉する開閉部材を備え、前記開閉部材は、前記発泡性組成物を吐出する吐出時に前記気相連通孔を閉止し、前記発泡性組成物を吐出しない非吐出時に前記気相連通孔を開放する、(1)~(3)のいずれかに記載の吐出製品。
【0015】
このような構成によれば、吐出動作が終わると、気相連通孔が開放される。その結果、ハウジング内と容器本体の気相部分とが連通し、ハウジング内およびチューブ部材の混合室内が、気相部分と同じ圧力となる。これにより、混合室内に残った混合物(先の吐出によって吐出されずに混合室内に残った原液と圧縮ガスとの混合物)の液面の高さが、容器本体内の液相部分の液面高さと揃うように下降する。その結果、混合室内は、混合物の液密状態から、幾らか空間を有する状態となる。このような空間が設けられた混合室は、液密状態でないため、次の吐出動作においてあらたに原液および圧縮ガスが取り込まれた際に、これらを混合しやすい。その結果、繰り返し使用する場合においても、泡の状態が均一となりやすく、きめ細かな泡状の吐出物が繰り返し得られやすい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧縮ガスを用いて発泡性組成物を吐出しているにもかかわらず、複雑な発泡通路を設けることなく、きめ細かな泡状の吐出物を得ることのできる吐出製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の吐出容器の模式的な断面図である。
図2図2は、吐出時におけるステムラバーおよび気相連通孔の状態を説明するための模式的な断面図である。
図3図3は、非吐出時におけるステムラバーおよび気相連通孔の状態を説明するための模式的な断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の吐出製品の模式的な断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)の吐出製品の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の一実施形態(第1の実施形態)の吐出製品は、起泡剤を含む原液および圧縮ガスからなる発泡性組成物と、発泡性組成物が充填された吐出容器とを備える。吐出容器は、容器本体と、容器本体に取り付けられ、発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブとを備える。バルブは、ハウジングと、ハウジングに取り付けられ、発泡性組成物をハウジングに取り込むためのチューブ部材とを備える。チューブ部材は、容器本体に充填された発泡性組成物の気相部分に開口し、気相部分を導入するための気相導入孔と、容器本体に充填された発泡性組成物の液相部分に開口し、液相部分を導入するための液相導入孔とが形成されている。チューブ部材は、導入された発泡性組成物の気相部分と液相部分とを混合するための混合室を備える。以下、それぞれについて説明する。
【0019】
<発泡性組成物>
発泡性組成物は、容器本体に充填される内容物であり、起泡剤を含む原液と、圧縮ガスとからなる。
【0020】
(原液)
原液は、混合室内で圧縮ガスと混合されて発泡し、泡状で外部に吐出される。原液は、起泡剤を含む。起泡剤は、原液を混合室内で発泡させて、きめ細かな泡を形成する目的で用いられる。
【0021】
起泡剤は特に限定されない。一例を挙げると、起泡剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤などの界面活性剤である。
【0022】
非イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、非イオン性界面活性剤は、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル型;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコールなどのエステル型などである。
【0023】
陰イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、陰イオン性界面活性剤は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどアルカリで中和した脂肪酸石鹸;ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩;POEラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸カリウム、POEトリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などが挙げられる。また、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩;N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩;N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型界面活性剤等である。
【0024】
陽イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、陽イオン性界面活性剤は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などである。
【0025】
両性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどのアミンオキシド型;などである。
【0026】
シリコーン系界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、シリコーン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などである。
【0027】
天然系界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、天然系界面活性剤は、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチンなどである。
【0028】
起泡剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、起泡剤の含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、起泡剤の含有量は、原液中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。起泡剤の含有量が上記範囲内であることにより、原液は、優れた起泡力が得られ、きめ細かな泡を形成しやすい。また、得られる吐出物は、皮膚などの適用箇所において残りにくく、べたつき等を生じにくくなり、使用感が優れる。
【0029】
溶剤は、原液に好適に配合される。溶剤は特に限定されない。一例を挙げると、溶剤は、水、アルコールである。溶剤は、水とアルコールとが併用されてもよい。
【0030】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、海洋深層水などである。
【0031】
水を含有する場合において、水の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水の含有量は、原液中、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、原液中、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、得られる吐出物が、発泡しやすい。また、発泡性組成物は、その他の成分を配合しやすい。
【0032】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、1価アルコール、多価アルコール等である。
【0033】
1価アルコールは、使用感を向上させるという目的だけでなく、溶剤に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒となり、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0034】
1価アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、1価アルコールは、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2~3個の1価アルコールである。
【0035】
多価アルコールは、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0036】
多価アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、多価アルコールは、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの2~4価のアルコールである。
【0037】
アルコールを含有する場合において、アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコールの含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、原液中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、アルコールを配合することによる効果が得られやすく、かつ、発泡性が優れる。
【0038】
本実施形態の原液は、用途や目的などに応じて、有効成分、水溶性高分子、単糖類、油分、粉体などを含有し得る。
【0039】
有効成分は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料;l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐剤;安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤などである。
【0040】
有効成分を含有する場合、有効成分の含有量は、原液中、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、有効成分を配合することによる所望の効果が得られやすい。
【0041】
水溶性高分子は、泡の保持性を高くするなど、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0042】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジメチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩酸塩、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルなどのカチオン性高分子;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系多糖類;カラギーナン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ゼラチン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどである。これらの中でも、水溶性高分子は、吐出物の発泡性が優れる点から、カチオン性高分子を用いることが好ましい。
【0043】
水溶性高分子を含有する場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、原液中、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、水溶性高分子を含有する効果が得られやすい。また、得られる吐出物は、皮膚などの適用箇所において残りにくく、べたつき等を生じにくくなり、使用感が優れる。
【0044】
単糖類は、泡の保持性を高くするなど、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0045】
単糖類は特に限定されない。一例を挙げると、単糖類は、エリスリトール、アラビトール、ガラクチトール、グルシトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール;エリトリトール、D-エリトロース、D-トレオースなどのテトロース類;D-アラビノース、L-アラビノース、D-キシロース、D-リキソース、L-リキソース、D-リボース、D-キシルロース、L-キシルロース、D-リブロース、L-リブロースなどのペントース類;D-アルトロース、L-アルトロース、D-ガラクトース、L-ガラクトース、D-グルコース、D-タロース、D-マンノース、L-ソルボース、D-タガトース、D-プシコース、D-フルクトース、D-マンノースなどのヘキソース類などである。
【0046】
単糖類を含有する場合、単糖類の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、単糖類の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、単糖類の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。単糖類の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、単糖類を含有する効果が得られやすい。
【0047】
油分は、発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0048】
油分は特に限定されない。一例を挙げると、油分は、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、シクロヘキサン1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、エイコサン二酸-テトラデカン二酸ポリグリセリル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、などのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリグリセロール変性シリコーンなどのシリコーンオイル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;イソステアリン酸などの液体脂肪酸;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類などである。
【0049】
油分を含有する場合、油分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油分の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、油分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。油分の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、油分を配合することによる効果が得られやすい。
【0050】
粉体は、滑りを良くするなど使用感を向上させるなどの目的で用いられる。
【0051】
粉体は特に限定されない。一例を挙げると、粉体は、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダーなどである。
【0052】
粉体を含有する場合、粉体の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、粉体の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、粉体の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。粉体の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、粉体を含有することによる効果が得られやすい。また、粉体は、混合室内で溜まりにくい。
【0053】
原液全体の説明に戻り、原液の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、発泡性組成物中、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましい。また、原液は、発泡性組成物中、99.99質量%以下であることが好ましく、99.98質量%以下であることがより好ましい。原液の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性組成物は、混合室内において圧縮ガスと混合されやすく、発泡しやすい。また、発泡性組成物は、きめ細かな泡が形成されやすい。
【0054】
原液の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、溶剤に、起泡剤や有効成分などを溶解させることにより調製し得る。
【0055】
(圧縮ガス)
圧縮ガスは、吐出容器内に充填される原液を加圧して、液相導入孔から原液を混合室に供給するとともに、圧縮ガス自体も気相導入孔から混合室に供給することにより、混合室内で原液を発泡させて発泡物を外部に吐出するために配合される。
【0056】
圧縮ガスは特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、酸素ガスなどであり、窒素ガス、圧縮空気が好ましい。
【0057】
圧縮ガスの平衡圧力は特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、原液を充填した容器本体に充填され、容器本体内の25℃での平衡圧力が、0.4MPa以上であることが好ましく、0.45MPa以上であることがより好ましい。また、圧縮ガスの容器本体内の25℃での平衡圧力は、2.0MPa以下であることが好ましく、1.5MPa以下であることがより好ましい。
【0058】
なお、容器本体内の圧力を調整したり、発泡状態を調整するなどのために、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E)、沸点19℃)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z)、沸点39℃)およびこれらの混合物などのハイドロフルオロオレフィン、イソペンタンやノルマルペンタンなどの炭化水素などをさらに充填されてもよい。
【0059】
発泡性組成物全体の説明に戻り、発泡性組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、発泡性組成物は、原液を容器本体に充填し、容器本体にバルブを取り付け、その後、圧縮ガスを充填することにより製造し得る。
【0060】
<吐出容器>
本実施形態の吐出容器は、上記した発泡性組成物が充填される容器である。図1は、本実施形態の吐出容器1の模式的な断面図である。本実施形態の吐出容器1は、容器本体2と、容器本体2に取り付けられ、発泡性組成物を外部に吐出するための吐出通路が形成されたバルブ3とを備える。なお、本実施形態の吐出製品は、後述するチューブ部材4に、気相導入孔P1および液相導入孔P2が形成されており、混合室42mが設けられている点に特徴を有する。そのため、吐出製品は、これら以外の構成に関しては、適宜、設計変更されてもよい。
【0061】
(容器本体2)
容器本体2は、発泡性組成物を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体2は、汎用の形状であってよい。たとえば、容器本体2は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、原液を充填するための充填口である。容器本体2は、開口に後述するバルブ3を取り付けて閉止することにより吐出容器1となる。
【0062】
容器本体2の材質は特に限定されない。容器本体2は、発泡性組成物を加圧状態で充填できる程度の耐圧性を有していればよい。このような材質は、アルミニウム、ブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂、耐圧ガラス等である。
【0063】
(バルブ3)
バルブ3は、容器本体2の開口を閉止して密封するための部材である。また、バルブ3は、ハウジング5と、容器本体2の内外を連通するステム孔62が形成されたステム6と、ステム孔62の周囲に取り付けられ、ステム孔62を閉止するためのステムラバー7と、ハウジング5に取り付けられ、発泡性組成物をハウジング5に取り込むためのチューブ部材4とを主に備える。バルブ3は、容器本体2の開口を閉止するためのマウンティングカップ8によって、容器本体2に取り付けられている。
【0064】
・ハウジング5
ハウジング5は、略円筒状であり、ステム6を上下方向に摺動可能に収容する。ハウジング5は、容器本体2に充填された発泡性組成物の気相部分と連通した気相連通孔51が形成されている。
【0065】
また、ハウジング5の底面には、後述する原液と圧縮ガスとが混合された発泡性組成物をハウジング5内に導入するための混合物導入孔52が形成されている。ハウジング5の下面には、略円筒状の取付部53が設けられている。取付部53は、チューブ部材4の第2のチューブ部材42の一端が差し込まれる部位である。
【0066】
・ステム6
ステム6は、略円筒状の部位であり、吐出時にハウジング5内に取り込まれた発泡性組成物が通過するステム内通路61が形成されている。ステム内通路61の下端近傍には、ハウジング5内の空間とステム内通路61とを連通するステム孔62が形成されている。ステム6の上端には、発泡性組成物を吐出するための吐出部材9が取り付けられる。
【0067】
ステム孔の面積は、特に限定されない。一例を挙げると、ステム孔の面積は、0.10mm2以上であることが好ましく、0.15mm2以上であることがより好ましい。また、ステム孔の面積は、2.0mm2以下であることが好ましく、1.8mm2以下であることがより好ましい。なお、ステム孔の個数や形等は特に限定されない。ステム孔の面積は、ステム孔が複数個ある場合は、その合計量である。
【0068】
・ステムラバー7
ステムラバー7は、ステム孔62の周囲に取り付けられ、ハウジング5の内部空間と外部とを適宜遮断するための部材である。ステムラバー7は、可撓性を有する円盤状の部材であり、非吐出時において、内周面をステム6のステム孔62が形成された外周面と密着させて、ステム孔62を閉止する。
【0069】
ステムラバー7は、吐出時にステム6が下方へ摺動すると、内周縁が下方に撓む。その結果、撓んだステムラバー7によってステム孔62が開放される。その結果、容器本体2から取り込まれた発泡性組成物は、吐出通路を通過して外部に吐出される。
【0070】
・吐出部材9
吐出部材9は、発泡性組成物を吐出するための部材であり、ステム6の上端に取り付けられる。吐出部材9は、ノズル部91と、使用者が指等により操作する操作部92とを主に備える。ノズル部91は、略円筒状の部位であり、発泡性組成物が通過する吐出通路が形成されている。吐出通路の先端には開口(吐出孔93)が形成されている。吐出孔93からは、発泡性組成物が吐出される。吐出孔93の数および形状は特に限定されない。吐出孔93は、複数であってもよい。また、吐出孔93の形状は、略円形状、略角形状等であってもよい。
【0071】
・チューブ部材4
チューブ部材4は、圧縮ガスと原液とを混合して発泡させ、発泡物をハウジング5に取り込むための部材である。すなわち、容器本体2に充填された発泡性組成物は、圧縮ガスと、原液とに分かれる。チューブ部材4は、これら圧縮ガスと、原液とを別々の導入孔(気相導入孔P1および液相導入孔P2)から導入し、混合室42mにおいて圧縮ガスと原液とを混合して発泡させる。
【0072】
本実施形態のチューブ部材4は、第1のチューブ部材41、第2のチューブ部材42、および、第1のチューブ部材41と第2のチューブ部材42とを連結する連結部材43とからなる。
【0073】
第1のチューブ部材41は、気相導入孔P1の形成された一端と、連結部材43に接続された他端とを有する。本実施形態の第1のチューブ部材41は、チューブ本体41bと、チューブ本体41bの端部に取り付けられたノズル41cとからなる。ノズル41cには、気相導入孔P1が形成されている。気相導入孔P1は、原液および圧縮ガスが充填された状態において、気相部分(原液の液面よりも上位置)において開口している。
【0074】
第1のチューブ部材41の寸法は特に限定されない。気相導入孔P1が気相部分に開口する長さであればよく、一例を挙げると、第1のチューブ部材41の長さは、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。また、第1のチューブ部材41の長さは、150mm以下であることが好ましく、140mm以下であることがより好ましい。また、第1のチューブ部材41の内径の面積は、0.1mm2以上であることが好ましく、0.15mm2以上であることがより好ましい。また、第1のチューブ部材41の内径の面積は、50mm2以下であることが好ましく、20mm2以下であることがより好ましい。
【0075】
気相導入孔P1は気相部にある圧縮ガスの導入量を調整する。気相導入孔P1の面積は特に限定されない。一例を挙げると、気相導入孔P1の面積は、0.01mm2以上であることが好ましく、0.1mm2以上であることがより好ましい。また、気相導入孔P1の面積は、5mm2以下であることが好ましく、3mm2以下であることがより好ましい。なお、気相導入孔P1は、気相部分において開口していればよく、その位置および個数等は特に限定されない。
【0076】
気相導入孔P1の孔径は、第1のチューブ部材41の内径に比べて小さい。そのため、気相導入孔P1からは、吐出部材9を転倒したり振とうする場合であっても、液相部分が導入されにくく、気相部分のみが導入されやすい。また、気相導入孔P1の孔径を変えることにより、気相の導入量は、調整されやすい。
【0077】
連結部材43は、第1のチューブ部材41と第2のチューブ部材42とを連結する部材である。連結部材43は、第1のチューブ部材41を差し込んで固定するための第1差込部43pと、第2のチューブ部材42を差し込んで固定するための第2差込部43qが形成されている。また、連結部材43は、第1差込部43pおよび第2差込部43qの設けられた本体部43uと、本体部43uの底部に装着される底蓋43vとを含む。底蓋43vが本体部43uに装着されることにより、連結部材43の内部には、第1差込部43pと第2差込部43qとを連結する内部管路43rが形成される。底蓋43vの中心部には、容器本体2内から内部管路43rに連通する液相導入孔P2が形成されている。第1差込部43pおよび第2差込部43qと連結部材43との間の孔の大きさを変えることにより、流量は、調整されても良い。
【0078】
連結部材43は、ハウジング5に一端が接続された第2のチューブ部材42の他端が、第2差込部43qに差し込まれることによって、容器本体2内において、原液に浸るように位置決めされている。液相導入孔P2は、原液を導入するための開口であり、容器本体2の内底面の近傍において開口している。これにより、液相導入孔P2からは、使用により原液の量が減った状態でも、原液を導入しやすい。
【0079】
液相導入孔P2は液相部にある原液の導入量を調整する。液相導入孔P2の内側面積は特に限定されない。一例を挙げると、液相導入孔P2の内側面積は、0.01mm2以上であることが好ましく、0.03mm2以上であることがより好ましい。また、液相導入孔P2の内側面積は、2mm2以下であることが好ましく、1mm2以下であることがより好ましい。
【0080】
第2のチューブ部材42は、連結部材43に接続された一端と、ハウジング5の取付部53に差し込まれる他端とを有する。第2のチューブ部材42の内部空間は、気相導入孔P1から導入された圧縮ガスと、液相導入孔P2から取り込まれた原液とを混合するための混合室42mである。
【0081】
第2のチューブ部材42の寸法は特に限定されない。圧縮ガスと原液が混合する長さであればよく、一例を挙げると、第2のチューブ部材42の長さは、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。また、第2のチューブ部材42の長さは、200mm以下であることが好ましく、150mm以下であることがより好ましい。また、第2のチューブ部材42の内側面積は、0.2mm2以上であることが好ましく、0.5mm2以上であることがより好ましい。また、第2のチューブ部材42の内側面積は、50mm2以下であることが好ましく、10mm2以下であることがより好ましく、特に5mm2以下であることが好ましい。
【0082】
ここで、本実施形態の第2のチューブ部材42の長さは、すなわち混合室42mの長さに相当し、第2のチューブ部材42の内径の面積は、混合室42mの断面積に相当する。混合室42mの断面積に対する長さの割合(長さ/断面積)は、2以上であればよく、10以上であることがより好ましい。また、混合室42mの断面積に対する長さの割合(長さ/断面積)は、500以下であればよく、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましい。混合室42mの断面積に対する長さの割合(長さ/断面積)が上記範囲内であることにより、混合室内で原液と圧縮ガスとが混合されやすく、また発泡しやすい。特に、混合室42mの断面積に対する長さの割合(長さ/断面積)が10~500である場合、吐出された発泡性組成物は、泡密度が0.1(g/mL)より小さく、きめ細かな泡状の吐出物がより得られやすい。
【0083】
<吐出動作の説明>
次に、本実施形態の吐出製品を用いて発泡性組成物を吐出する場合の吐出動作について説明する。
【0084】
(吐出時の機序)
本実施形態の吐出製品は、吐出部材9が押し下げられると、バルブ3のステム6が下方に押し下げられる。これにより、ステムラバー7が下方に撓み、ステム孔62が開放される。その結果、容器本体2内と外部とが連通する。容器本体2内と外部とが連通すると、気相部分を構成する圧縮ガスの圧力と、大気圧との圧力差にしたがって、原液の液面が下方に加圧される。この際、気相部分を構成する圧縮ガスは、気相導入孔P1から第1のチューブ部材41内に導入され、第1のチューブ部材41内および連結部材43の内部管路43rを通過し、第2のチューブ部材42の混合室42mに向かう。一方、加圧された原液は、連結部材43の液相導入孔P2から連結部材43の内部管路43rに導入され、内部管路43rを通過し、第2のチューブ部材42の混合室42mに向かう。
【0085】
圧縮ガスおよび原液は、混合室42m内に導入され、ハウジング5に向かう。また、圧縮ガスと原液が混合室42m内をハウジング側に流れる際に、混合室から流路抵抗を受けて流速が制限されて、原液と圧縮ガスが混合されやすく、また外部との圧力差により圧縮ガスが膨張して発泡しやすく、安定したきめ細かな泡を形成する。
【0086】
ハウジング5に導入された、圧縮ガスと原液との混合物は、次いで、ステム孔62、ステム内通路61を通過し、吐出部材9に送られる。吐出部材9に取り込まれた発泡性組成物は、吐出孔93から泡状で吐出される。
【0087】
本実施形態の発泡性組成物は、混合室42m内において原液と圧縮ガスとが混合されて発泡するため、吐出孔93から吐出される時点において、ほとんど起泡しており、泡状である。その結果、得られる吐出物は、液化ガスを用いることが必須でないにもかかわらず、きめ細かな泡状となる。
【0088】
(非吐出時の機序)
吐出部材9の押し下げが終わると、ステムラバー7の撓みが解消され、再び、ステム孔62が閉止される。その結果、容器本体2と外部とは、再び遮断され、発泡性組成物の吐出が終わる。
【0089】
本実施形態の吐出製品は、吐出動作を終えて非吐出状態に戻ると、混合室42m内に導入された混合物の一部が容器本体2内に押し戻されるように排出される。図2は、吐出時におけるステムラバー7および気相連通孔51の状態を説明するための模式的な断面図である。図3は、非吐出時におけるステムラバー7および気相連通孔51の状態を説明するための模式的な断面図である。
【0090】
図2に示されるように、吐出時にステム6が下方に押し下げられると、ステムラバー7の内周縁が撓む。その結果、撓んだステムラバー7の底面とハウジング5の側周壁の上部とが当接し、気相連通孔51が閉止される。このように、吐出時には、気相部分とハウジング5内とが閉止されているため、気相部分の圧縮ガスは、気相連通孔51からハウジング5内に取り込まれることが防がれ、第1のチューブ部材41の気相導入孔P1(図1参照)から導入されることとなる。
【0091】
一方、図3に示されるように、吐出動作が終わると、ステムラバー7の撓みが解消され、ステム孔62(図1参照)が閉止されるとともに、気相連通孔51が再び開放される。このように、本実施形態において、ステムラバー7は、気相連通孔51を開閉する開閉部材として機能する。これにより、ハウジング5内と、容器本体2(図1参照)の気相部分とが連通し、第1のチューブ部材41内と第2のチューブ部材42内が同圧になる。その結果、吐出動作を終えた直後にハウジング5内や混合室42m内に残っていた混合物(先の吐出によって吐出されずに混合室42m内に残った原液と圧縮ガスとの混合物)は、液面の高さが、容器本体2内の液相部分の液面高さと揃うように下降する。その結果、混合室42m内には、混合物で満たされていた状態から、幾らか空間を有する状態となる。このような空間が設けられた混合室42mは、液密状態でないため、次の吐出動作においてあらたに原液および圧縮ガスが取り込まれた際に、これらを混合しやすい。その結果、繰り返し使用する場合においても、泡の状態が均一となりやすく、きめ細かな泡状の吐出物が繰り返し得られやすい。
【0092】
なお、本実施形態の吐出製品の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、吐出製品は、原液を容器本体2に充填し、バルブ3を取り付けて容器本体2を閉止し、次いで、圧縮ガスを充填することにより調製することができる。
【0093】
以上、本実施形態によれば、チューブ部材4の混合室42mにおいて、気相導入孔P1から導入された発泡性組成物の気相部分と、液相導入孔P2から導入された発泡性組成物の液相部分とが、混合される。これにより、気相部分を主に構成する圧縮ガスは、液相部分を主に構成する原液と混合されて発泡する。その結果、吐出される発泡性組成物は、きめ細かな泡状の吐出物が得られやすい。
【0094】
[第2の実施形態]
本発明の一実施形態(第2の実施形態)の吐出製品は、チューブ部材の構成が異なる以外は、第1の実施形態の吐出製品と同様である。そのため、重複する構成については、説明が適宜省略される。
【0095】
図4は、本実施形態(第2の実施形態)の吐出製品の模式的な断面図である。本実施形態の吐出製品において、チューブ部材4aは、第1のチューブ部材41a、第2のチューブ部材42a、第1のチューブ部材41aと第2のチューブ部材42aとを連結する連結部材43a、連結部材43aに取り付けられた第3のチューブ部材44aとからなる。
【0096】
第1のチューブ部材41aは、長さが短い以外は、第1の実施形態の第1のチューブ部材41(図1参照)と同様である。また、第2チューブ部材42aは、長さが短く、かつ、厚みが大きいことにより内側面積(径方向の内側断面積)が小さい以外は、第1の実施形態の第2のチューブ部材42(図1参照)と同様である。
【0097】
本実施形態の連結部材43aは、底蓋43vに、底面方向に貫通する貫通孔43sが形成されている。また、貫通孔43sと対応する位置に、第3のチューブ部材44aを差し込むための第3差込部43tが形成されている。貫通孔43sは、内部管路43rに導入される原液が流量を制御する液相導入孔P2として作用する。
【0098】
第3のチューブ部材44aは、原液を吸い込むための開口が形成された一端と、連結部材43aの第3差込部43tに差し込まれた他端とを有する。開口は、容器本体2の内底面の近傍において開口している。これにより、開口からは、使用により原液の量が減った状態でも、原液を導入しやすい。
【0099】
本実施形態のチューブ部材4aは、第2のチューブ部材42aの長さが短いため、連結部材43aの位置が、第1の実施形態における連結部材43の位置(図1参照)よりも、上位置であり、容器本体2の内底面から離れている。そのため、連結部材43aには、原液を吸い上げる開口が容器本体2の内底面の近傍において開口するように、第3のチューブ部材44aが取り付けられている。
【0100】
第1のチューブ部材41aおよび第2のチューブ部材42aの長さと、第3のチューブ部材44aの長さとは、所望する混合室42nの長さや、混合の程度によって、適宜調整される。すなわち、図1および図4に示されるように、第1の実施形態の混合室42mは、第2の実施形態の混合室42nよりも長く、圧縮ガスと原液とを充分に混合することができた。一方、本実施形態の場合、第2チューブ部材42a(混合室)の内側面積が小さい。その結果、第2チューブ部材42aの混合室42nにおいて、原液と圧縮ガスに加わる流路抵抗を大きくすることができ、短い混合室42nであっても充分に圧縮ガスと原液とを混合し、発泡させ得る。このような場合は、混合室42nの長さは短くてもよいため、適宜、第3のチューブ部材44aを用いることにより、混合室42nの長さを調整し、泡の性状も調整することができる。また、混合室42nは容積が小さいため、噴射後に残る内容物が比較的少なくなる。これにより、図5に示されるようにハウジングに気相連通孔を設けなくてもよく、安定して発泡性組成物を吐出することができる。
【0101】
[第3の実施形態]
本発明の一実施形態(第3の実施形態)の吐出製品は、チューブ部材およびハウジングの構成が異なる以外は、第1の実施形態の吐出製品と同様である。そのため、重複する構成については、説明が適宜省略される。
【0102】
図5は、本実施形態(第3の実施形態)の吐出製品の模式的な断面図である。本実施形態の吐出製品において、チューブ部材4dは、第1のチューブ部材41d、第2のチューブ部材42d、第1のチューブ部材41dと第2のチューブ部材42dとを連結する連結部材43d、第1のチューブ部材41dと第2のチューブ部材42dとを保持する保持部材45とからなる。第2のチューブ部材42dの内部空間は、気相導入孔P1から導入された圧縮ガスと、液相導入孔P2から取り込まれた原液とを混合するための混合室42eである。
【0103】
第1のチューブ部材41dおよび第2のチューブ部材42dは、内径が小さい(すなわち内側面積が小さい)以外は、第1の実施形態の第1のチューブ部材41および第2のチューブ部材42(図1参照)と同様である。図5に示されるように、第1のチューブ部材41dと第2のチューブ部材42dとは、内径が小さいため、保持部材45によって隣接するよう保持されている。これにより、内径が小さくて細い第1のチューブ部材41dおよび第2のチューブ部材42dは、容器本体2内でも、安定して位置決めされ、折れ曲がったりしにくい。また、チューブのみで保持できる場合や保持部材によって安定して位置決めされる場合は、2つのチューブを隣接させず、互いに離間させてもよい。
【0104】
連結部材43dは、隣接された第1のチューブ部材41dおよび第2のチューブ部材42dが差し込まれる差込部43eが形成されている。また、連結部材43dは、第1のチューブ部材41dにより導入された圧縮ガスの気相部分が第2のチューブ部材42dへ向かう際に通過する内部管路43fが設けられている。さらに、連結部材43dの底部には、ノズル43gが取り付けられている。ノズル43gには、液相導入孔P2が形成されている。液相導入孔P2は、容器本体2内から内部管路43fに連通している。
【0105】
本実施形態のバルブは、ハウジングに気相連通孔(図1参照)が設けられていない。これは、本実施形態の混合室42eの内径が小さく、内側面積が小さいため、噴射後に残る内容物が比較的少ないためである。これにより、本実施形態では、気相部分の圧縮ガスが消費されにくい。その結果、吐出製品は、長期にわたって、安定して発泡性組成物を吐出することができる。また、第1のチューブ部材41dは内径が小さいため上端にノズル41cが装着されていない。第1のチューブ部材41dの上端開口が気相導入孔P1として作用し、圧縮ガスの導入量を調整する。
【0106】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明した。本発明の吐出製品は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0107】
(1)上記実施形態では、内径の均一なチューブ状の混合室が設けられている場合について例示した。これに代えて、混合室は、たとえば、第2のチューブ部材の途中に、内径の大きな膨張部が設けられてもよい。このような膨張部が設けられることにより、混合室は、第2のチューブ部材の長さが充分でない場合であっても、圧縮ガスと原液とを膨張部において充分に混合することができる。
【0108】
(2)上記実施形態では、内径の均一な直線状の混合室が設けられている場合について例示した。これに代えて、混合室は、たとえば、らせん状に捲回された第2のチューブ部材に設けられてもよい。これにより、たとえば、容器本体の高さがそれほど大きくない場合であっても、充分な長さの混合室を確保することができ、圧縮ガスと原液とを充分に混合しやすい。
【実施例
【0109】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0110】
(実施例1~14、比較例1~3)
アルミニウム製容器本体(容器本体2(図4参照)、φ45、高さ140mm、満注量200mL)に以下の処方の原液50gを充填し、以下の表1に記載の仕様にしたがって、バルブ3を固着した。ステム6から窒素ガスを充填して容器本体内の圧力を0.5MPa(25℃)にし、ステム6に吐出部材9を取り付けて吐出製品を製造した。なお、チューブ部材は図4に示すように、第2のチューブ部材(混合室)と第1のチューブ部材の長さを同じにし、第3のチューブは連結部材の底部から缶底の近辺まで延びる長さにした。
【0111】
(実施例15)
原液の充填量を70gにし、窒素ガスにて容器本体内の圧力を0.85MPa(25℃)にしたこと以外は、実施例1と同様にして吐出製品を製造した。
【0112】
(実施例16)
原液の充填量を90gにし、窒素ガスにて容器本体内の圧力を1.2MPa(25℃)にしたこと以外は、実施例1と同様にして吐出製品を製造した。
【0113】
<原液>
ラウリルリン酸(*1) 15.0
ソルビト-ル 10.0
ジプロピレングリコール 10.0
コカミドプロピルベタイン(*2) 3.0
ラウレス-11カルボン酸(*3) 1.2
ポリクオタニウム-52/PEG-32/精製水(*4) 1.0
トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン(*5) 0.5
メチルパラベン 0.1
精製水 59.2
合計 100.0(質量%)
*1:プライオリー B650D、花王(株)製
*2:レボン2000HG、三洋化成工業(株)製
*3:カオーアキポRLM100、花王(株)製
*4:ソフケアKG-301W、花王(株)製
*5:レオドールTW-IS399C、花王(株)製
【0114】
【表1】
【0115】
実施例1~16および比較例1~3の吐出製品について、以下の評価方法により、吐出状態を評価した。
【0116】
(吐出状態)
吐出製品を25℃に調整し、満注量25mLのカップに吐出して泡で満たし、泡の重量を測定して泡密度(g/mL)を算出し、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:泡密度は、0.10(g/mL)未満であり、非常にきめ細かな泡を形成した。
○:泡密度は、0.10~0.15(g/mL)であり、きめ細かな泡を形成した。
×:泡密度は、0.16(g/mL)以上であり、きめ細かな泡を形成できなかった。
【0117】
表1に示されるように、本発明の実施例1~16のエアゾール製品は、きめ細かな泡を形成していた。一方、混合室の長さ/断面積が2未満であった比較例1~3のエアゾール製品は、吐出状態は泡密度が0.16以上であり、きめ細かな泡を形成できなかった。
【符号の説明】
【0118】
1 吐出容器
2 容器本体
3 バルブ
4、4a、4d チューブ部材
41、41a、41d 第1のチューブ部材
41b チューブ本体
41c、43g ノズル
42、42a、42d 第2のチューブ部材
42e、42m、42n 混合室
43、43a、43d 連結部材
43e 差込部
43p 第1差込部
43q 第2差込部
43f、43r 内部管路
43s 貫通孔
43t 第3差込部
43u 本体部
43v 底蓋
44a 第3のチューブ部材
45 保持部材
5 ハウジング
51 気相連通孔
52 混合物導入孔
53 取付部
6 ステム
61 ステム内通路
62 ステム孔
7 ステムラバー
8 マウンティングカップ
9 吐出部材
91 ノズル部
92 操作部
93 吐出孔
P1 気相導入孔
P2 液相導入孔
図1
図2
図3
図4
図5