(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】I/Oユニットおよび通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H04L12/28 203
H04L12/28 400
(21)【出願番号】P 2020214435
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 遼太郎
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-310388(JP,A)
【文献】特開2007-102764(JP,A)
【文献】特開平11-135958(JP,A)
【文献】特開2015-135634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、
前記マスターユニットのマスター処理回路と信号の入出力を行うスレーブ処理回路と、
前記機器と前記スレーブ処理回路との間で信号の入出力を行うインターフェースと、
前記スレーブ処理回路が実装された第1基板と、
前記インターフェースが実装され、前記第1基板とは別の第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを接続するコネクタと、
前記第1基板および前記第2基板を収容するハウジングと、
予め決められた挿抜方向に沿って挿抜可能に前記ハウジングを支持するベース部と、
を備え、
前記ハウジングは、
前記第1基板を収容する第1ハウジングと、
前記第2基板を収容し、前記第1ハウジングに対して前記挿抜方向で着脱可能な第2ハウジングと、
を備え、
前記コネクタは、前記挿抜方向で前記第1基板と前記第2基板とを接続する、I/Oユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載のI/Oユニットであって、
前記第1基板は、前記挿抜方向に沿って前記ベース部に接続され、
前記第2基板は前記挿抜方向に沿って前記第1基板に接続される、I/Oユニット。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のI/Oユニットであって、
前記ベース部の前記挿抜方向に直交する方向には、別のI/Oユニット、または前記マスターユニットと信号の入出力を行うための接続端子が設けられている、I/Oユニット。
【請求項4】
請求項
3に記載のI/Oユニットを複数備えた通信システムであって、
複数の前記I/Oユニットの前記ベース部は、前記挿抜方向と直交する方向に沿って隣接するように設置板に設置され、
複数の前記I/Oユニットの前記ハウジングは、前記設置板とは反対側から前記挿抜方向に沿って複数の前記I/Oユニットの前記ベース部に装着される、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターユニットと機器とを接続し、マスターユニットと機器との間で信号を伝送するI/Oユニット、および複数のI/Oユニットを備えた通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、通信システムにおいては、マスターユニットと、複数のスレーブとが接続されることで、相互に信号の伝送を行う。
【0003】
スレーブの具体例として、マスターユニットと機器とを接続し、マスターユニットと機器との間で信号を伝送する外部信号入出力用の電子機器、いわゆるI/Oユニットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
I/Oユニットは、マスターユニットのマスター処理回路と信号の入出力を行うスレーブ処理回路と、スレーブ処理回路と機器との間で信号の入出力を行うインターフェースとを備える。スレーブ処理回路およびインターフェースは同一の基板に実装され、基板ごとハウジングに収容される。
【0006】
上記の構成を有するI/Oユニットは、オペレータにしてみると保守作業が容易ではなかった。例えばスレーブ処理回路とインターフェースとが同一基板に実装されているために、これらのうちスレーブ処理回路のみを交換することが困難であった。
【0007】
そこで本発明は、保守作業が容易なI/Oユニット、およびそのI/Oユニットを複数備えた通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、マスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、前記マスターユニットのマスター処理回路と信号の入出力を行うスレーブ処理回路と、前記機器と前記スレーブ処理回路との間で信号の入出力を行うインターフェースと、前記スレーブ処理回路が実装された第1基板と、前記インターフェースが実装され、前記第1基板とは別の第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを接続するコネクタと、前記第1基板および前記第2基板を収容するハウジングと、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様のI/Oユニットを複数備えた通信システムであって、前記I/Oユニットは、前記ハウジングが予め決められた挿抜方向に沿って挿抜可能に前記ハウジングを支持するベース部を備え、前記ベース部の前記挿抜方向に直交する方向には、別の前記I/Oユニットまたは前記マスターユニットと信号の入出力を行うための接続端子が設けられており、複数の前記I/Oユニットの前記ベース部は、前記挿抜方向と直交する方向に沿って隣接するように設置板に設置され、複数の前記I/Oユニットの前記ハウジングは、前記設置板とは反対側から前記挿抜方向に沿って複数の前記I/Oユニットの前記ベース部に装着される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保守作業が容易なI/Oユニット、およびそのI/Oユニットを複数備えた通信システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の通信システムの概略構成図である。
【
図2】
図2Aは、実施の形態のI/Oユニットの外観図である。
図2Bは、3つのパーツに分離した
図2AのI/Oユニットの外観図である。
【
図3】
図3Aは、ハウジングに収容されるメインモジュールの概略構成図である。
図3Bは、コネクタによる接続が解除された第1基板および第2基板を例示する図である。
【
図4】マスター処理回路から出力された信号に関してスレーブ処理回路が行う処理の例を説明するための図である。
【
図5】マスター処理回路に向けて出力される信号に関してスレーブ処理回路が行う処理の例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態が適用されないI/Oユニットのメインモジュールの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のI/Oユニットおよび通信システムについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0013】
[実施の形態]
まず、本実施の形態で説明に用いる方向について断っておく。本実施の形態で説明に用いる各方向(前・後・幅)は、図面に示した矢印に従っている。各方向の呼称は説明のための便宜的な呼称である。
【0014】
図1は、実施の形態の通信システム10の概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、通信システム10は、マスターユニット12と複数の機器14とを接続する複数のI/Oユニット16と、複数のI/Oユニット16が設置される設置板(レール)18と、を備える。
【0016】
マスターユニット12は、I/Oユニット16を介して機器14との間で信号の入出力を行う電子機器であって、当該信号の入出力処理を行うための処理回路(20)を備える。以下、この処理回路(20)を「マスター処理回路20」と呼ぶ。マスター処理回路20は、限定されないが、例えばプロセッサ等で構成される。なお、本実施の形態では図示を割愛しているが、マスターユニット12には、マスターユニット12(マスター処理回路20)を制御するものとして、例えば工作機械の数値制御装置が接続され得る。
【0017】
機器14は例えば、工作機械に設けられるバルブ、表示器あるいは検出器である。ただし、I/Oユニット16を介してマスターユニット12との間で信号の入出力を行うものである限りにおいて、機器14はこれらに限定されない。
【0018】
図1に示すように、複数のI/Oユニット16は、互いに隣接するように設置板18に設置される。設置板18に設置された複数のI/Oユニット16は、マスターユニット12側を前段側として、マスターユニット12にデイジーチェーンで接続される。複数のI/Oユニット16は、設置板18により後方向側から支持される。マスターユニット12にデイジーチェーンで接続される複数のI/Oユニット16の具体的な数は、本実施の形態では特に限定しない。
【0019】
図2Aは、実施の形態のI/Oユニット16の外観図である。
図2Bは、3つのパーツに分離した
図2AのI/Oユニット16の外観図である。
【0020】
図2Aに示すように、I/Oユニット16は、ハウジング22と、ハウジング22の後方向側に設けられるベース部24と、ハウジング22の前方向側に設けられるフロント部26とを備える。
図2Bに示すように、ベース部24およびフロント部26は、ハウジング22に対して分離可能である。
【0021】
通信システム10において、複数のI/Oユニット16は、
図2A(
図2B)に示す幅方向で隣接する。また、ベース部24、ハウジング22およびフロント部26は、
図2A(
図2B)に示す前方向に向かって設置板18からこの順序で並ぶ。幅方向、前方向および後方向は、限定されないが、本実施の形態ではいずれも水平面に平行であるものとする。
【0022】
ハウジング22は、マスターユニット12と機器14との間で信号を伝送するためのメインモジュール28を挿抜可能に収容する収容部材である。メインモジュール28の構成については後で説明する。
【0023】
ベース部24は、ハウジング22を挿抜可能に支持する支持部材である。ベース部24は、前述の設置板18に前方向側から設置される。ハウジング22はベース部24の前方向側、すなわち設置板18とは反対側でベース部24に挿抜される。ベース部24に対するハウジング22の挿入方向は、本実施の形態では後方向である。また、ベース部24に対するハウジング22の抜出方向は、挿入方向の反対方向すなわち前方向である。ベース部24に対するハウジング22の挿抜方向(後前方向)は、通信システム10の複数のI/Oユニット16の隣接方向(幅方向)と直交する。
【0024】
ベース部24の幅方向の両側方には接続端子30(一方側:30L、他方側:30R)が設けられている。接続端子30Lは、別のベース部24の接続端子30Rと相互に接続可能である。同様に、接続端子30Rは、別のベース部24の接続端子30Lと相互に接続可能である。さらに、接続端子30Lおよび接続端子30Rのうち少なくとも一方は、マスターユニット12に対して接続可能である。したがって、マスターユニット12と複数のI/Oユニット16とを接続端子30で接続してゆくことにより、
図1に示したデイジーチェーンを構成することが可能である。
【0025】
接続端子30によってマスターユニット12と接続されたI/Oユニット16は、マスターユニット12と信号を相互に入出力することが可能である。また、接続端子30により接続されたI/Oユニット16同士は、相互に信号を入出力することが可能である。したがって、
図1の通信システム10においては、マスターユニット12と複数のI/Oユニット16との間で信号を入出力することが可能である。
【0026】
フロント部26は、ハウジング22に着脱可能に取り付けられる端子台である。ハウジング22に対するフロント部26の取り付け方向は、本実施の形態では後方向である。また、ハウジング22に対するフロント部26の取り外し方向は、取り付け方向の反対方向、すなわち本実施の形態では前方向である。
【0027】
フロント部26の前方向側には、I/Oユニット16と機器14とを接続する接続端子32が設けられている。接続端子32の数は、本実施の形態では特に限定しない。なお、フロント部26は端子台に限定されるわけではなく、例えば機器14を接続するためのコネクタであってもよい。
【0028】
ハウジング22、ベース部24およびフロント部26を組み合わせたI/Oユニット16の外観形状は、限定されないが、幅方向すなわち通信システム10における複数のI/Oユニット16の隣接方向に薄い形状であるとよい。具体的には例えば、I/Oユニット16の形状は、
図2Aに示したような平板状であるとよい。これにより、I/Oユニット16は、通信システム10をコンパクトに構成することに有利となる。なお、
図2AのI/Oユニット16は、幅方向の視点で見たときの短手方向が前後方向になっているが、これに限定されない。
【0029】
図3Aは、ハウジング22に収容されるメインモジュール28の概略構成図である。
【0030】
以下、メインモジュール28の構成について説明する。
図3Aに示すように、I/Oユニット16は、第1基板34Aと、第2基板34Bと、コネクタ36と、スレーブ処理回路38と、インターフェース40とをさらに備える。メインモジュール28はこれらの要素を含んで構成される。
【0031】
第1基板34Aは、ハウジング22がベース部24に挿入されたときに、ベース部24の接続端子30(30L、30R)と接続される。第1基板34Aには、スレーブ処理回路38が実装(形成)される。
【0032】
第2基板34Bは、第1基板34Aとは別の基板である。第2基板34Bは、フロント部26がハウジング22に取り付けられたときに、フロント部26の接続端子32と接続される。第2基板34Bには、インターフェース40が実装(形成)される。
【0033】
コネクタ36は、第1基板34Aと第2基板34Bとを接続する。コネクタ36は、第1基板34Aに設けられる第1コネクタ36Aと、第2基板34Bに設けられており第1コネクタ36Aに接続可能な第2コネクタ36Bとを有する。第1コネクタ36Aと第2コネクタ36Bとが接続されることにより、第1基板34Aと第2基板34Bとが接続される。
【0034】
図3Bは、コネクタ36による接続が解除された第1基板34Aおよび第2基板34Bを例示する図である。
【0035】
図3Bに示すように、第1基板34Aおよび第2基板34Bは、コネクタ36による接続を解除することで、容易に分離可能である。
【0036】
スレーブ処理回路38は、マスター処理回路20と信号の入出力を行うハードウェア(回路、電子部品群)である。スレーブ処理回路38は、これに限定されないが、例えば信号の入出力に関して処理を行うプロセッサを含んで構成される。スレーブ処理回路38は、ベース部24の接続端子30と第1基板34Aとが接続されることで、第1基板34Aを介して接続端子30と接続される。これにより、スレーブ処理回路38は、接続端子30を通じてマスターユニット12のマスター処理回路20、および別のI/Oユニット16のスレーブ処理回路38と信号の入出力を行うことが可能となる。
【0037】
インターフェース40は、機器14とスレーブ処理回路38との間で信号の入出力を行うハードウェア(回路、電子部品群)である。インターフェース40のハードウェア的構成は、接続される機器14の種類に応じて異なる。インターフェース40は、第1基板34Aと第2基板34Bとがコネクタ36によって接続されることで、スレーブ処理回路38と接続される。また、インターフェース40は、接続端子32と機器14とが接続されることで、接続端子32を介して機器14と接続される。これにより、インターフェース40は、機器14とスレーブ処理回路38との間で信号の入出力を行うことが可能となる。
【0038】
以下、メインモジュール28の動作について説明する。
【0039】
図4は、マスター処理回路20から出力された信号に関してスレーブ処理回路38が行う処理の例を説明するための図である。なお、図面が煩雑になることを避けるため、
図4では設置板18(
図1)を省略した。
【0040】
マスター処理回路20は、複数のI/Oユニット16のいずれかを宛先とする信号(S
1)を後段に出力する。以下、この信号を送信信号S
1とも呼ぶ。なお、
図4には、N個のI/Oユニット16(16
1、16
2、…、16
N)を有する通信システム10において、I/Oユニット16
Nを宛先とする送信信号S
1がマスター処理回路20から出力された場合を例示している。送信信号S
1には、限定されないが、この例では宛先のI/Oユニット16(16
N)に接続された機器14に対する指令信号S
Orが含まれているものとする。
【0041】
スレーブ処理回路38は、前段から送信信号S1が入力されると、送信信号S1の宛先が自分(自分のI/Oユニット16)宛てであるか否かを判定する。そして、スレーブ処理回路38は、送信信号S1の宛先が自分でない場合には、自分の後段のI/Oユニット16に向けて送信信号S1を出力する。この動作は、複数のI/Oユニット16の各々のスレーブ処理回路38が実行可能である。したがって、送信信号S1は、最終的には宛先のI/Oユニット16(16N)に到達できる。
【0042】
スレーブ処理回路38は、自分宛ての送信信号S
1が入力された場合には、送信信号S
1の内容に応じた処理を行う。例えば
図4の例では、送信信号S
1に機器14の指令信号S
Orが含まれている。したがって、I/Oユニット16
Nのスレーブ処理回路38は、コネクタ36およびインターフェース40を通じて、機器14に指令信号S
Orを出力する。
【0043】
図5は、マスター処理回路20に向けて出力される信号に関してスレーブ処理回路38が行う処理の例を説明するための図である。なお、
図4と同様の理由により、
図5では設置板18(
図1)を省略した。
【0044】
スレーブ処理回路38は、送信信号S
1に対する応答として、マスター処理回路20を宛先とする信号を前段に出力する。以下、この信号を返信信号S
2とも呼ぶ。
図5には、
図4と同じ通信システム10において、I/Oユニット16
Nのスレーブ処理回路38から返信信号S
2が出力された場合を例示している。返信信号S
2には、例えばI/Oユニット16
Nのインターフェース40を通じて機器14から取得されたデータが含まれる。
【0045】
スレーブ処理回路38は、自分の後段側から返信信号S2が入力された場合には、自分の前段に返信信号S2を出力する。この動作は、複数のI/Oユニット16の各々のスレーブ処理回路38が実行可能である。したがって、返信信号S2は、最終的にはマスターユニット12(マスター処理回路20)に到達できる。
【0046】
図6は、実施の形態が適用されないI/Oユニット16’のメインモジュール28’の概略構成図である。
【0047】
本実施の形態のI/Oユニット16および通信システム10は、オペレータにとって保守作業が容易である。この点について、I/Oユニット16と、
図6に例示したI/Oユニット16’とを対比しつつ説明する。
【0048】
I/Oユニット16’では、メインモジュール28’において、スレーブ処理回路38とインターフェース40とが同一の基板34Cに実装される。この場合、スレーブ処理回路38とインターフェース40とのうち一方のみを交換することは、オペレータにしてみると難しい。
【0049】
例えば、I/Oユニット16’のスレーブ処理回路38に設計変更が生じた場合を仮定する。この場合、オペレータは、スレーブ処理回路38が実装された基板34Cを新しいものに交換することになる。ただし、基板34Cを交換すると、本来であれば交換不要であるはずのインターフェース40までも交換することになってしまう。しかも、スレーブ処理回路38は、複数のI/Oユニット16’の間でハードウェア的構成が変わらない(構成部品はできるだけ共通化される)傾向にある。これは換言すると、スレーブ処理回路38の変更を理由として基板34Cを交換する必要が生じた場合、その交換作業の対象は、オペレータが所有する全てのI/Oユニット16’に及び得ることを意味する。
【0050】
その点、本実施の形態のI/Oユニット16によれば、スレーブ処理回路38およびインターフェース40がそれぞれ第1基板34Aおよび第2基板34Bに分かれて実装されている。オペレータは、コネクタ36による第1基板34Aと第2基板34Bとの接続を解除することで、第1基板34Aと第2基板34Bとを容易に分離可能である(
図3B参照)。したがって、本実施の形態によれば、オペレータはスレーブ処理回路38とインターフェース40とのうちスレーブ処理回路38のみを容易に交換することができる。
【0051】
また、前述したように、インターフェース40は接続される機器14の種類に応じてハードウェア的構成が異なる。本実施の形態のI/Oユニット16によれば、オペレータは、スレーブ処理回路38とインターフェース40とのうちインターフェース40のみを機器14の種類に応じて容易に交換することが可能である。
【0052】
さらに、本実施の形態のI/Oユニット16によれば、ベース部24およびフロント部26を、第1基板34Aおよび第2基板34Bを収容したハウジング22から容易に分離可能である。したがって、本実施の形態によれば、第1基板34Aまたは第2基板34Bを交換する作業がベース部24およびフロント部26に阻害されるおそれが低減される。
【0053】
このように、本実施の形態のI/Oユニット16および通信システム10は、オペレータにとって保守作業が容易である。
【0054】
[変形例]
以上、本発明の一例として実施の形態が説明された。上記実施の形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。また、その様な変更または改良を加えた形態が本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0055】
【0056】
例えば
図7に示すように、I/Oユニット16のハウジング22は、第1ハウジング22Aと、第1ハウジング22Aに対して挿抜方向で着脱可能な第2ハウジング22Bとを備えてもよい。第1基板34Aは第1ハウジング22Aに収容される。また、第2基板34Bは第2ハウジング22Bに収容される。
【0057】
第1ハウジング22Aはベース部24側(後方向側)であり、第2ハウジング22Bはフロント部26側(前方向側)である。これにより、ベース部24の接続端子30と接続される第1基板34Aをベース部24側に配置しつつ、フロント部26を介して機器14と接続される第2基板34Bをフロント部26側に配置することができる。コネクタ36は、挿抜方向で第1基板34Aと第2基板34Bとを接続する。
【0058】
図7のI/Oユニット16は、オペレータにとって保守作業がより容易である。つまり、オペレータはI/Oユニット16の第1基板34Aまたは第2基板34Bを交換する際には第1ハウジング22Aごと、または第2ハウジング22Bごと交換すればよいので、交換作業を容易に達成できる。
【0059】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0060】
<第1の発明>
マスターユニット(12)と機器(14)とを接続し、前記マスターユニット(12)と前記機器(14)との間で信号を伝送するI/Oユニット(16)であって、前記マスターユニット(12)のマスター処理回路(20)と信号の入出力を行うスレーブ処理回路(38)と、前記機器(14)と前記スレーブ処理回路(38)との間で信号の入出力を行うインターフェース(40)と、前記スレーブ処理回路(38)が実装された第1基板(34A)と、前記インターフェース(40)が実装され、前記第1基板(34A)とは別の第2基板(34B)と、前記第1基板(34A)と前記第2基板(34B)とを接続するコネクタ(36)と、前記第1基板(34A)および前記第2基板(34B)を収容するハウジング(22)と、を備える。
【0061】
これにより、保守作業が容易なI/Oユニット(16)が提供される。
【0062】
I/Oユニット(16)は、前記ハウジング(22)が予め決められた挿抜方向(後前方向)に沿って挿抜可能に前記ハウジング(22)を支持するベース部(24)を備えてもよい。
【0063】
前記ハウジング(22)は、前記第1基板(34A)を収容する第1ハウジング(22A)と、前記第2基板(34B)を収容し、前記第1ハウジング(22A)に対して前記挿抜方向(後前方向)で着脱可能な第2ハウジング(22B)と、を備え、前記コネクタ(36)は、前記挿抜方向(後前方向)で前記第1基板(34A)と前記第2基板(34B)とを接続してもよい。これにより、保守作業がより容易なI/Oユニット(16)が提供される。
【0064】
前記第1基板(34A)は、前記挿抜方向(後前方向)に沿って前記ベース部(24)に接続され、前記第2基板(34B)は前記挿抜方向(後前方向)に沿って前記第1基板(34A)に接続されてもよい。これにより、第1基板(34A)をベース部(24)側に配置しつつ、第2基板(34B)を機器(14)側に配置することができる。
【0065】
前記ベース部(24)の前記挿抜方向(後前方向)に直交する方向(幅方向)には、別のI/Oユニット(16)、または前記マスターユニット(12)と信号の入出力を行うための接続端子(30)が設けられてもよい。これにより、ベース部(24)の接続端子(30)によって複数のI/Oユニット(16)とマスターユニット(12)とをデイジーチェーンで接続することができる。
【0066】
<第2の発明>
I/Oユニット(16)を複数備えた通信システム(10)であって、I/Oユニット(16)は、前記ハウジング(22)が予め決められた挿抜方向(後前方向)に沿って挿抜可能に前記ハウジング(22)を支持するベース部(24)を備え、複数の前記I/Oユニット(16)の前記ベース部(24)は、前記挿抜方向(後前方向)と直交する方向(幅方向)に沿って隣接するように設置板(18)に設置され、複数の前記I/Oユニット(16)の前記ハウジング(22)は、前記設置板(18)とは反対側から前記挿抜方向(後前方向)に沿って複数の前記I/Oユニット(16)の前記ベース部(24)に装着される。
【0067】
これにより、保守作業が容易なI/Oユニット(16)を複数備えた通信システム(10)が提供される。
【符号の説明】
【0068】
10…通信システム 12…マスターユニット
14…機器 16…I/Oユニット
18…設置板 20…マスター処理回路
22…ハウジング 22A…第1ハウジング
22B…第2ハウジング 24…ベース部
30…接続端子 34A…第1基板
34B…第2基板 36…コネクタ
38…スレーブ処理回路 40…インターフェース