(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】改善された性質を有する化学線硬化性接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20241022BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20241022BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20241022BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20241022BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241022BHJP
C09J 175/12 20060101ALI20241022BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241022BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20241022BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J4/00
C09J175/08
C09J4/02
C09J11/06
C09J175/12
B32B27/00 D
B32B27/40
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2020520488
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 US2018057472
(87)【国際公開番号】W WO2019084243
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-19
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596024024
【氏名又は名称】サン・ケミカル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,シャオボー
(72)【発明者】
【氏名】アークリオ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】パリス,ジュアニータ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153446(JP,A)
【文献】特開昭56-159266(JP,A)
【文献】特開平10-219224(JP,A)
【文献】特開2009-235388(JP,A)
【文献】特開平06-234184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0362515(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性パッケージング材の密封に好適である化学線硬化性接着剤組成物であって、
(A)不活性ウレタンポリマーであって、前記不活性ウレタンポリマーは、ウレタンプレポリマーと、二官能性アミン、二官能性アミンとモノアミンの混合物、ヒドラジン
、およびこれらの組み合わせから選択される連鎖延長成分との反応生成物から得られるものであ
り、前記ウレタンプレポリマーは少なくとも1種のポリイソシアネートと、第1のジオールおよび高分子ジオールを含む二つ以上のジオールから合成され、前記第1のジオールが50~2000ダルトンの分子量を有し、前記高分子ジオールが425~3000ダルトンの重量平均分子量を有する、不活性ウレタンポリマーと、
(B)
エチレン性不飽和成分であって、前記エチレン性不飽和成分は、少なくとも1種の単官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1種の多官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、およびそれらの組み合わせから選択さ
れ、前記エチレン性不飽和成分が前記不活性ウレタンポリマーを分散させ
る、エチレン性不飽和成分と、を含み、
前記組成物が無溶媒であ
り、前記不活性ウレタンポリマーは、反応性アクリレート又はメタクリレート基を有さず、前記接着剤組成物が遊離のイソシアネートを含まない、
化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項2】
前記第1のジオールが、脂肪族ジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカプロラクトンジオールならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項
1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項3】
前記高分子ジオールが、ポリエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリプロピレングリコール、およびアルファ-ヒドロオメガ-ヒドロキシ-ポリ(オキシ-1,4-ブチルジイル)から選択される、請求項
1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートが、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタ-テトラメチレン-キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびそれらの異性体、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジ-ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、塩素化および臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル;反応性ハロゲン原子を含むジイソシアネート、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項5】
前記連鎖延長成分が、前記不活性ウレタンポリマー中に、前記ウレタンプレポリマー上の未反応イソシアネート(-NCO)基の当量に基づいて、60%~140%の量で存在する、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項6】
前記不活性ウレタンポリマーの前記連鎖延長成分がジアミンおよびモノアミンを含む、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和成分が、単官能性および多官能性のアクリレート、メタクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項8】
前記エチレン性不飽和成分が、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルコキシ化脂肪族ジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化(3)トリメチルオルプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリアクリレート、ジ-(トリメチロールプロパン)-テトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタアクリレートエステルおよびペンタエリスリトールテトラアクリレート、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エトキシ化アクリレートオリゴマー、不飽和ポリエステルオリゴマー、ポリアミドアクリレートオリゴマー、ポリイミドアクリレートオリゴマー、およびウレタンアクリレートオリゴマーおよびメチルアクリレートオリゴマー、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項9】
前記不活性ウレタンポリマーが、前記接着剤組成物中に10重量%~90重量%の量で存在する、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の光開始剤をさらに含む、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項11】
前記組成物が一成分接着剤系である、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【請求項12】
パッケージを形成するように構成された可撓性基材材料を含む可撓性パッケージであって、可撓性基材材料の端部が、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物で一緒に結合され、前記化学線硬化性接着剤組成物が化学線照射で硬化されている、可撓性パッケージ。
【請求項13】
パッケージを形成するように構成された2枚の可撓性シートを備えた可撓性パッケージであって、前記可撓性シートが、化学線照射で硬化されている請求項1に記載の接着剤組成物で一緒に積層されている、可撓性パッケージ。
【請求項14】
化学線照射に曝露されている、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物で、第2の基材材料に積層された第1の基材材料を含む、積層構造体。
【請求項15】
可撓性パッケージング材の密封に好適である化学線硬化性接着剤組成物の調製方法であって、
(A)
少なくとも1種のポリイソシアネートと、第1のジオール及び高分子ジオールを含む二つ以上のポリオール
からウレタンプレポリマーを合成する工程
であって、前記第1のジオールが50~2000ダルトンの分子量を有し、前記高分子ジオールが425~3000ダルトンの重量平均分子量を有することと、
(B)エチレン性不飽和成分の存在下で、二官能性アミン、二官能性アミンとモノアミンの混合物、ヒドラジン
、およびこれらの組み合わせから選択される連鎖延長成分との反応により前記ウレタンプレポリマーを連鎖延長して不活性ウレタンポリマーを提供する工程であって、前記エチレン性不飽和成分が、少なくとも1種の単官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1種の多官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、およびそれらの組み合わせから選択され、前記エチレン性不飽和成分が前記不活性ウレタンポリマーを分散さ
せ、前記不活性ウレタンポリマーは、反応性アクリレート又はメタクリレート基を有さず、前記接着剤組成物が遊離のイソシアネートを含まない、提供する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記二官能性アミンが、メチレンジアミン、エチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の化学線硬化性接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月25日に出願された米国仮特許出願第62/576,824号に対する優先権を主張し、これはその全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
可撓性パッケージング材に使用される結合積層体の作製に使用されるものなどの化学線硬化性接着剤は、電子ビーム(EB)硬化および紫外線(UV)硬化などにより、硬化時に強い結合を形成する。ラミネートパッケージング材で使用されるラミネートを調製するために使用される様々な技術がある。このような技術には、押出積層と接着積層が含まれる。押出積層では、2つのパッケージング材料のウェブの間にポリエチレンなどのプラスチック樹脂の層を溶融し堆積させる。可撓性パッキング材料を積層するために現在使用されている様々なタイプの接着剤には、1)一成分溶媒ベース、2)二成分溶媒ベース、3)一成分水ベース、4)二成分水ベース、および5)二成分無溶媒が含まれる。
【0003】
有機溶媒ベースの接着剤は、揮発性有機化合物(VOC)を含む可能性があり、高価な焼却または回収装置を必要とするという点で制限され、可燃性である場合があり、パッケージ材に残留溶媒を保持する場合がある。
【0004】
水ベースの接着剤は、基材材料に塗布した後に乾燥装置の使用を必要とする可能性があるという点で制限される場合がある。さらに、接着剤を乾燥させることを適用すると、接着剤の品質と性能に悪影響を及ぼす可能性がある。接着剤の乾燥速度は、周囲の湿度レベルの影響を受ける場合がある。さらに、塗布装置での接着剤の乾燥による生産の開始と一時停止は、管理が難しい場合がある。
【0005】
二成分システム(溶媒ベース、水ベース、または無溶媒)は、2種の成分を一貫して完全に混合する必要があるという点で不利である。さらに、混合成分のポットライフは制限されている。さらに、2つの成分が反応して最終的な接着特性を達成するのに必要な時間は長くなる(2~5日)。二成分無溶媒接着剤に関連する他の制限には、加熱された塗布装置の必要性、およびイソシアネートベースの硬化システムの副産物である残留毒性芳香族アミンの存在が挙げられる。
【0006】
化学線照射で硬化可能な接着剤は、前述の可撓性パッケージング材積層接着剤よりも多くの利点を提供する可能性がある。そのような接着剤は、安定した一液型組成物を提供し、揮発性有機化合物(VOC)をほとんどまたはまったく含まず、硬化後すぐに完全な接着性能を提供し得る。
【0007】
UV硬化型積層接着剤は、接着剤を硬化させるためにUV光の透過を可能にするのに十分透明なパッキング材料の少なくとも1つの層を必要とする。EB照射には、接着剤を硬化させるために不透明材料または印刷されたパッケージング材料を貫通することが可能であるという利点がある。可撓性パッケージング材用の放射線硬化積層接着剤は、十分な結合強度と耐薬品性を提供する必要がある(接着剤が破損する前に積層基材が破損することが好ましい)。接着剤は、食品および医薬品のパッケージングにおける使用に好適であるためには、臭いがほとんどもしくは全くないか、パッケージング材内の材料を汚さない(例えば、パッケージングされた材料を汚染したり混ぜたりしない)必要があり、少量の成分の移行を示す必要がある。成分の移行とは、成分をパッケージから周囲の環境に移行させることである。移行可能な成分には、未反応のモノマーと光開始剤が含まれる。
【0008】
放射線硬化性接着剤、インク、およびコーティングには、低分子量の反応性モノマーおよびオリゴマーが含まれており、それらはUVまたはEB照射に曝露されると高分子量のポリマーに変換される。低分子量モノマーまたはオリゴマーの変換率は一般に高いが、モノマーまたはオリゴマーのいくらかの残留量が変換されない場合がある。残留する未変換のモノマーまたはオリゴマーは、臭気と汚染を引き起こすことが知られている。さらに、未反応モノマーは移行可能な成分であり得る。
【0009】
対象となり得る参考文献には、US2012/0128991、EP2226342、およびSingh et al.Journal of Adhesion Science and Technology,Vol.27,No.14,1511-1524(2013)が含まれる。
【発明の概要】
【0010】
本明細書では、上記の問題を解決する可撓性パッケージング材の密封に好適である化学線硬化性接着剤組成物について説明する。本化学線硬化性接着剤組成物は、
不活性ウレタンポリマーと
少なくとも1種の単官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1種の多官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、およびそれらの組み合わせから選択される、エチレン性不飽和成分とを含み、エチレン性不飽和成分が不活性ウレタンポリマーを分散させる。
【0011】
一態様では、不活性ウレタンポリマーは、ポリオールおよびポリイソシアネートを含む。
【0012】
一態様では、ポリオールはジオールである。
【0013】
一態様では、ポリイソシアネートはジイソシアネートである。
【0014】
一態様では、不活性ウレタンポリマーは、第1のポリオールおよび第2の高分子ポリオール、ならびに少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。
【0015】
一態様では、不活性ウレタンポリマーは、第1のジオールおよび第2の高分子ジオール、ならびに少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。
【0016】
一態様では、ポリオールは、好ましくは50~2000ダルトンの分子量を有する第1のジオールを含み、高分子ジオールは、好ましくは425~3000ダルトンの重量平均分子量を有することが好ましい。
【0017】
一態様では、第1のジオールはジオールモノマーである。
【0018】
一態様では、エチレン性不飽和成分は、少なくとも1種の単官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、および少なくとも1種の多官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマーを含む。
【0019】
一態様では、不活性ウレタンポリマーは、接着剤組成物中に10重量%~90重量%、好ましくは25重量%~70重量%の量で存在する。
【0020】
一態様では、未硬化の接着剤組成物の粘度は、3ポアズ~70ポアズ、好ましくは2ポアズ~9ポアズである。
【0021】
一態様では、化学線硬化性接着剤組成物は、連鎖延長成分をさらに含む。
【0022】
一態様では、連鎖延長成分は、ジアミン、ジオール、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0023】
一態様では、連鎖延長成分はジアミンから選択される。
【0024】
一態様では、連鎖延長成分は、プレポリマー上の未反応イソシアネート(例えば、-NCO)基の当量に基づいて、60%~140%、70%~90%、および好ましくは80%の量で存在する。ジアミンの延長が100%未満の場合、連鎖延長ウレタンポリマーに残っている-NCO基は、ターミネーター基としての単官能性アミンでエンドキャップすることができる。
【0025】
一態様では、連鎖延長成分はモノアミンをさらに含む。連鎖延長反応により加えられたモノアミン部分は、不活性ウレタンポリマーを終結させ得る(例えば、エンドキャップ)。
【0026】
一態様では、化学線硬化性接着剤組成物は、少なくとも1つの光開始剤をさらに含む。
【0027】
一態様では、化学線硬化性接着剤組成物は無溶媒である。
【0028】
一態様では、化学線硬化性接着剤組成物は一成分接着剤系である。
【0029】
一態様では、化学線硬化性接着剤組成物は無溶媒であり、かつ一成分接着剤系である。
【0030】
別の態様では、パッケージを形成するように構成される可撓性基材材料を含む可撓性パッケージが本明細書に記載され、その可撓性基材材料の端部は、本明細書に記載される化学線硬化性接着剤組成物と一緒に結合される。一態様では、化学線硬化性接着剤組成物を化学線照射に曝露することにより、可撓性基材材料が互いに結合される。
【0031】
一態様では、可撓性パッケージング材は、パッケージを形成するように構成された少なくとも2枚の可撓性シートを含み、可撓性シートは、本明細書に記載の接着剤組成物を用いて継ぎ目で一緒に結合される。一態様では、化学線硬化性接着剤組成物を化学線照射に曝露することにより、可撓性シートが互いに結合される。
【0032】
本発明の別の態様では、化学線照射に曝露された請求項1の化学線硬化性接着剤組成物で第2の基材に結合された第1の基材を含む積層構造体が本明細書に記載される。
【0033】
本発明の別の態様では、可撓性パッケージング材の密封に好適である化学線硬化性接着剤組成物の調製方法が本明細書に記載され、本方法は、
(A)少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリイソシアネートからウレタンプレポリマーを合成する工程と、
(B)エチレン性不飽和成分の存在下でウレタンプレポリマーを連鎖延長して不活性ウレタンポリマーを提供する工程であって、エチレン性不飽和成分が少なくとも1つの単官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1つの多官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、およびそれらの組み合わせから選択され、エチレン性不飽和成分が不活性ウレタンポリマーを分散させる、提供する工程とを含む。
【0034】
別の態様では、連鎖延長工程において、ウレタンプレポリマー上の未反応イソシアネート基の当量に基づいて、60~140%、好ましくは70~90%、より好ましくは80%当量のジアミンが使用される。
【0035】
別の態様では、上記方法は、ウレタンプレポリマーと反応する連鎖延長成分は、ジアミンとモノアミンを含む。
【0036】
本明細書で使用される「化学線硬化性」は、光硬化または電子ビーム硬化を指す。「光硬化」には、紫外線(UV)光源(従来のUV光源またはUV-LED光源など)が放射するUV光など、硬化を引き起こすのに有効な光への曝露が含まれる。化学線照射には、電子ビーム(EB)源および紫外線(UV)光源から放射されるエネルギーが含まれる。
【0037】
本明細書に記載の化学線硬化性接着剤は、少なくとも1種の単官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、少なくとも1種の多官能性エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー、およびそれらの組み合わせから選択されるエチレン性不飽和成分に分散した不活性ウレタンポリマーで構成され、エチレン性不飽和成分が不活性ウレタンポリマーを分散させる。不活性ウレタンポリマーは、ポリオールおよびポリイソシアネートを含む。不活性ウレタンポリマーは、接着剤組成物の10重量%~90重量%、好ましくはその25重量%~70重量%を構成する。接着剤組成物が、例えば化学線照射への曝露により硬化すると、可撓性パッケージング材用途に適用するために使用される可撓性基材材料の間に強力な積層結合が形成される。
【0038】
本明細書で使用される「不活性ウレタンポリマー」は、ウレタンポリマーが反応性アクリレートまたはメタクリレート基を有しないことを意味する。すなわち、反応性アクリレートまたはメタクリレート基は不活性ウレタンポリマー上に存在しない。
【0039】
パッケージ用途向けの本発明の接着剤は、急速硬化、低収縮、グリーンタック(未硬化時のタック)などの様々な利点を有する。
【0040】
不活性ポリウレタン樹脂がエチレン性不飽和成分に分散され、次いで硬化される本接着剤組成物は、従来の二液型接着剤よりも優れている。1つの利点は、硬化時間が速いことである。すなわち、本接着剤組成物は、従来の二液型接着剤、例えば基材への適用前に一緒に混合される二液型接着剤に必要な長い硬化時間を必要としない。本発明の接着剤組成物を使用すると、従来の二液型接着剤を使用する場合よりもはるかに迅速に強力な積層結合が形成される。
【0041】
本発明の一態様において、化学線硬化性接着剤は、電子ビーム硬化により硬化され、これにより、モノマーのより高い変換がもたらされ得る(すなわち、より効率的な硬化を提供し得る)。電子ビームで硬化される接着剤組成物は、硬化反応を行うために光開始剤を含める必要がなく、UVエネルギーへの曝露による硬化時に結合を形成するのとは異なり、例えば、非透明(つまり不透明)な基材材料の間に使用して硬化に基づく結合を形成することができる。つまり、UV硬化では、UV光が基材材料を貫通できるように、基材が透明である必要がある。EB硬化を用いると、電子ビームはより高いエネルギーを放射し、透明でないフィルムに容易に貫通することができる。
【0042】
本発明の化学線硬化性接着剤組成物は、粘度調整を必要とせず、溶媒ベースまたは無溶媒接着剤と比較してより長い貯蔵寿命を有する。これは、特にEB硬化型接着剤の場合であり、反応性の光開始剤を含む必要がないため、より長い貯蔵寿命を有する。
【0043】
化学線硬化性接着剤組成物は、溶媒ベース、水ベース、および無溶媒の接着剤システムより優れた利点を提供する。化学線硬化性接着剤組成物は、硬化後、積層体の層の間に強い結合をすぐに形成する。化学線硬化性接着剤組成物は、室温で塗布することができる。化学線硬化性接着剤組成物は遊離のイソシアネートを含まず、長い接着剤貯蔵寿命を示す。溶媒ベースの接着剤とは対照的に、本発明に記載されている化学線硬化性接着剤はVOCを含まない。
【0044】
本発明に記載されている化学線硬化性接着剤は、遊離イソシアネートを含まず、有毒であり得る芳香族アミンを含まない。さらに、イソシアネートは水分を吸収する傾向があり、接着剤の特性と硬化の品質を損なう可能性がある。
【0045】
化学線硬化性接着剤は室温で使用することができる。
【0046】
不活性ウレタンポリマーが存在するため、化学線硬化型接着剤は、硬化後のフィルム収縮がほとんど、またはまったくない。これは、技術的に既知の接着剤に比べて大きな利点を提供する。さらに、接着剤中の比較的高分子量の不活性ポリウレタンポリマーは、塗布時に基板に吸収されにくい。
【0047】
本発明に記載されている化学線硬化性接着剤によって提供される1つの利点は、それらが十分なグリーンタックまたは結合強度を提供することである。グリーンタックは、従来の電子ビーム硬化型接着剤によって提供される可能性が低く、それは、タックを提供する高分子材料を含まないと理解される(言い換えれば、従来の接着剤は、タックを供給しないモノマーとオリゴマーのみを含む)。タックとは、2つの材料の表面が圧力下で接触した後に分離に抵抗するその2つの材料の能力を指す。グリーンタックまたは強度とは、接着剤が2つの表面を接触させたとき、および接着剤が硬化したときに最終的な結合特性が発達する前に、2つの表面を保持する能力である。
【0048】
従来の電子ビーム硬化型接着剤は、低分子量のためにグリーンタックを示さず、ラミネート時のウェブ張力の制御が困難である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
一態様では、不活性ポリウレタンは2つの工程で製造される。第1の工程でウレタンプレポリマーが生成され、第2の工程でウレタンプレポリマーが、例えばウレタンプレポリマー、ジアミン、および任意にモノアミンの間で起こる連鎖延長反応で延長される。
【0050】
第1の工程では、ウレタンプレポリマーが少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートから合成される。得られたウレタンプレポリマーが、連鎖延長工程の前にモノマーまたはモノマー混合物に分散される。エチレンジアミンが、プレポリマーを連鎖延長するために使用される。ジブチルアミンおよびn-ブチルアミンも使用することができる。
【0051】
ポリイソシアネート
プレポリマー反応では、少なくとも1種のポリイソシアネートが使用される。一態様では、1種のポリイソシアネート化合物が使用される。別の態様では、2種以上のポリイソシアネート化合物が使用される。好適なポリイソシアネートには、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート;メタ-テトラメチレン-キシレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI);トルエンジイソシアネート(TDI)およびその異性体、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-ジフェニルジメチル-メタンジイソシアネート、ジ-ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、塩素化および臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシーアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル;反応性ハロゲン原子を含むジイソシアネート、例えば1-クロロメチルフェニル-2,4-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,6-ジイソシアネートまたは3,3-ビス-クロロメチルエーテル4,4’-ジフェニルジイソシアネート、およびそれらの混合物が含まれる。IPDIは、好ましい脂肪族ジイソシアネートである。TDIは、好ましい芳香族ジイソシアネートであり、より好ましくは、それぞれ80/20および65/35(w/w)の比率のトルエン2,4-ジイソシアネート/トルエン2,6-ジイソシアネートの異性体ブレンドで使用される。TDI異性体は、トルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートである。一態様では、10~20重量部のジイソシアネート成分が好ましく使用される。
【0052】
ポリオール
本接着剤組成物の一態様では、記載される接着剤組成物中の不活性ウレタンポリマーのポリオール成分は、1種以上のジオールである。別の態様では、記載される接着剤組成物中の不活性ウレタンポリマーのポリオール成分は、第1のジオールおよび高分子ジオールを含む。第1のジオールは、50~2000ダルトンの分子量を有することが好ましい。高分子ジオールは、425~3000ダルトンの重量平均分子量を有することが好ましい。
【0053】
これらの分子量範囲は重複しているが、典型的には、第1のジオールは高分子ジオールよりも分子量が低い。しかしながら、ある場合には、不活性ウレタンポリマーのポリオール成分として2000ダルトン以下の分子量を有する2種の高分子ジオールが使用される場合など、第1のジオールおよび高分子ジオールの分子量は実質的に同じであってもよい。
【0054】
好ましくは、ジオール成分は、ジオール成分中の総ジオール100分子当量ごとに30~80分子当量の高分子ジオールを含む。
【0055】
第1のジオール、または低分子量のジオールは、50~2000ダルトンの分子量を有する。第1の低MWジオールは、好ましくは、短鎖ジオールおよび/または分子量2000ダルトン未満のジオールであることが好ましい、脂肪族ジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカプロラクトンジオールからなる群から選択することができる。好ましい第1のジオールには、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、および1000ダルトンの重量平均分子量を有するアルファ-ヒドロ-オメガヒドロキシ-ポリ(オキシ-1,4-ブチルジイル)が含まれる。第1のジオールまたは低分子量のジオール、例えば第1のジオールまたは低分子量のジオールの混合物の記述を満たす複数のジオールを使用してもよい。
【0056】
高分子ジオールは、好ましくは約425~約3000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有し、好ましくはポリエーテルジオールおよびポリカプロラクトンジオールから選択される。ウレタンプレポリマーの調製では、例えば、650、1000または2000ダルトンの重量平均分子量を有するポリテトラヒドラフラン(pTHF)などの長鎖ポリエーテルジオールを使用してもよい。高分子ジオール成分はまた、425、725、1025または2025ダルトンの重量平均分子量のポリプロピレングリコール(PPG)であってもよい。1000~2000ダルトンの重量平均分子量を有する多くのポリカプロラクトンジオールも使用することができる。高分子ジオールは、アルファ-ヒドロ-オメガ-ヒドロキシ-ポリ(オキシ-1,4-ブチルジイル)であってもよい。高分子ジオール、および好ましくは低分子量の第1のジオールは、プレポリマーのジオール成分を構成する。一態様では、高分子ジオールと第1のジオールの比は、100分子当量のジオールに対して55:45である。
【0057】
高分子ジオールの各等価物は、典型的には、第1のジオールの等価物よりも大きい分子量を有するだろう。一態様では、ウレタンプレポリマーは、約40重量部の高分子ジオールおよび約2重量部の第1のジオール、ならびに10~20重量部のポリイソシアネート成分(残りは溶媒である)から調製される。
【0058】
エチレン性不飽和成分
本発明に記載されている化学線硬化性接着剤組成物のエチレン性不飽和成分は、ウレタン成分(ウレタンプレポリマーまたは連鎖延長ウレタンポリマー)の溶媒として作用する。エチレン性不飽和成分の例には、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アルコキシ化脂肪族ジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレートおよびそれらの組み合わせが含まれる。
【0059】
エチレン性不飽和成分として含めることができる三官能性モノマー/オリゴマーの例には、例えば、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリアクリレートおよびその組み合わせが挙げられる。
【0060】
エチレン性不飽和成分として含めることができる四官能性および五官能性モノマー/オリゴマーの例には、例えば、ジ-(トリメチロールプロパン)-テトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタアクリレートエステルおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびその組み合わせが挙げられる。
【0061】
エチレン性不飽和成分として含めることができる異なるレベルの官能性を有するオリゴマーには、例えば、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、エトキシ化アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリアミドアクリレート、ポリイミドアクリレート、およびウレタンアクリレート(脂肪族および芳香族)、および異なるタイプのアクリル酸メチルが挙げられる。
【0062】
BASFから入手可能なアミン修飾ポリエーテルアクリレートオリゴマーであるLAROMER(登録商標)LR 8996 Mは、エチレン性不飽和成分のエチレン性不飽和オリゴマーとしての使用に好適である市販のオリゴマー製品の例である。
【0063】
上記のいずれかの組み合わせをエチレン性不飽和成分として使用してもよい。
【0064】
ジアミン延長
ウレタンプレポリマーは、エチレン性不飽和成分、例えば、単官能アクリレートなどのアクリレートモノマー中の連鎖延長剤(例えば、二官能性アミン)と反応する。一態様において、連鎖延長反応は、プレポリマー上の未反応イソシアネート(-NCO)基の当量に基づいて、60~140%当量のジアミンを用いて実施され、上記のエチレン性不飽和モノマー可溶性ウレタンポリマーを形成する。より好ましくは、連鎖延長反応は、未反応の-NCO基に基づいて、約70%~約90%当量のジアミンを使用して実施される。100%当量未満のジアミンを使用してプレポリマーを連鎖延長し、本発明のモノマー可溶性ポリ(ウレタン/尿素)を形成することが好ましい。一態様では、80%当量のジアミンを使用することが特に好ましい。
【0065】
メチレンジアミン、エチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、ヒドラジンなど、およびそれらの混合物などのヒドラジンおよびアルキレンジアミンを含む多くのジアミンを使用することができる。特に好ましいジアミンは、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、およびそれらの混合物である。
【0066】
ジアミンの延長が100%未満の場合、連鎖延長ウレタンポリマーに残っている-NCO基は、ターミネーター基として単官能性アミンでエンドキャップ(例えば、終端)することができる。アミノアルコール、アンモニア、第一級または第二級の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族または複素環式アミン、特にn-ブチルアミンおよびエチルアミンなどの第一級脂肪族アミンを含む多くの単官能性アミンを使用することができる。好ましいモノアミンは、n-ブチルアミンである。すべての場合において、モノアミンがウレタンプレポリマーを終端またはエンドキャップするわけではないことを理解されたい。
【0067】
光重合開始剤
一態様では、本明細書に記載の化学線硬化性接着剤組成物は、1つ以上の光開始剤を含む。UV光源によって放射されるUVエネルギーなどのUVエネルギーへの曝露により硬化が実施される場合、光開始剤が含まれてもよい。
【0068】
接着剤組成物に含めることができる光開始剤には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、およびベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン、ブチルベンゾイン、およびペンチルベンゾインなどのアルキルベンゾイン;ベンジルベンジルジメチルケタール;2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、例えば2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニル-イミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニル-イミダゾール二量体、2-(/?-メトキシ-フェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(メトキシ-フェニル)-5-フェニル-イミダゾール二量体および2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニル-イミダゾール二量体;アクリジン誘導体、例えば9-フェニルアクリジンおよび1,7-ビス(9,9’-アリジニル)ヘプタン;N-フェニルグリシン;ベンゾフェノン、アントラキノン、チオキサントンおよびその誘導体(クロロベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4メトキシベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノ-ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ))-ベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、イソプロピルヒオキサントン、2-クロロおよび2-エチル-チオキサントン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノ-ブチロフェノンおよびヒドロキシベンゾフェノンを含む);アセトフェノン誘導体(2,2-ジメトキシ-2-フェニル-アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェン、1-ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノンを含む);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン;4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル;2-エチルヒドロキノン;(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(Lucerin TPO、BASF,Munich,Germanyから入手可能);エチル(2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-フェニルホスフィネート;a-ヒドロキシケトン光開始剤、例えば1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン(例えば、Ciba Specialty Chemical(Hawthorne,NY)から入手可能なIrgacure(登録商標)184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロピル-フェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-ドデシルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-プロパノン;(2,6-ジメトキシ-ベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty Chemicalから入手可能な市販のブレンドIrgacure(登録商標)1800、1850、および1700);2,2-ジメトキシル-2-フェニルアセトフェノン(例えば、Ciba Specialty Chemicalから入手可能なIrgacure(登録商標)651);ビスホスフィンオキシド光開始剤、例えばビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニル-ホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty ChemicalからのIrgacure(登録商標)819)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-イソオクチル-ホスフィンオキシドおよびエトキシ(2,4,6-トリメチル-ベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASFからのLucerin(登録商標)TPO-L)が含まれる。本明細書で特定されるような光開始剤の組み合わせを使用してもよい。
【0069】
以下の実施例1~3に従って調製された組成物は、モノマー成分中に不活性ウレタンポリマーを含む有効な化学線硬化性接着剤組成物である。さらに、追加のエチレン性不飽和成分(例えば、単官能性および/または多官能性モノマーまたはオリゴマー)を接着剤組成物に添加して、連鎖延長工程の完了後などの、その特性を改善することができる。追加のエチレン性不飽和成分を含めると、接着剤成分の硬化および架橋を改善することができる。
【0070】
本明細書に記載の化学線硬化性接着剤組成物は、接着剤組成物が積層構造体で可撓性基材材料を一緒に結合する、可撓性基材材料の積層体から可撓性パッケージング材を形成する使用によく適している。例えば、可撓性パッケージング材は、一緒に積層されるパッケージを形成するように構成された2枚の可撓性シートを含むことができ、接着材料は2枚の可撓性シートの間に配置され、シート間に結合を形成する。パッケージング材料の単一のシートを使用して可撓性パッケージング材を形成することもでき、この場合、シートはパッケージの形状に構成され、その端部は接着材料とともに積層されてシートの端部間に結合を形成する。2枚以上のシートを使用して、本原理による可撓性パッケージング材を形成することができる可能性がある。いずれの配置においても、接着剤組成物を化学線照射に曝露すると、積層構造体に強い結合が形成される。
【0071】
本明細書に記載される接着剤組成物は、多くの異なる種類の基材材料を有する積層構造を形成するために使用することができる。例えば、接着剤組成物を使用して、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、PETおよびPET-Gなどのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびパルプボード積層体(Incada Exel boardなどの化学処理されたパルプボード積層体)などの材料から結合積層体を形成することができる。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示するものであり、いかなる点においてもその範囲を限定することを意図するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0073】
本発明の実施例1:アクリル酸2-ヒドロキシエチル中のポリウレタンの調製
工程1-プレポリマー:
重量平均分子量(MW)2000のpolyTHF 2000(BASFから入手可能なポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール)201.15g、触媒としてのTyzor TPT(チタン(IV)イソプロポキシド)0.06gを、1,2ブタンジオール7.47gと予備溶融して窒素ブランケット下、2Lの4つ口フラスコに入れた。61.38gのイソホロンジイソシアネートを、混合しながら添加漏斗を介してフラスコに添加した。イソホロンジイソシアネートを完全に添加したら、フラスコを加熱し、温度を5℃刻みで65℃~70℃の範囲に上げた。滴定によって決定されたときに、プレポリマーのNCO%が3.1~3.5になったら、(2.0Nジブチルトルエン溶液を使用してプレポリマー-NCOをクエンチし、次に1.0N塩酸を使用して過剰のジブチルアミンを滴定し、ブロモフェノールブルーは採用した指示薬である)、セットアップをエアスパージに切り替えて、60℃~65℃まで冷却した。180.0gの2-ヒドロキシエチルアクリレートおよび0.38gの4-メトキシフェノールを、添加漏斗を介して5分間かけて添加し、10分間混合した。
【0074】
工程2-連鎖延長:242.0gの2-ヒドロキシエチルアクリレートおよび0.38gの4-メトキシフェノールを、添加漏斗を介して5分間かけてプレポリマー溶液(上記工程1)に添加し、10分間混合した。温度は30~35℃まで低下する。1つは4.9gのエチレンジアミンと、2つ目は5.2gのジブチルアミンを含む2つの添加漏斗を使用して、両方のアミンを同時に5分間かけて添加し、45分間混合した。連鎖延長反応は発熱性であり、温度は45~50℃まで上昇する。エチレン性不飽和モノマー(2-ヒドロキシエチルアクリレート)中に不活性ウレタンポリマーが取り込まれた。接着剤組成物は、40%の固形分および2500cPの粘度を有することが見出された。
【0075】
実施例1~3で提供される組成物の粘度は、25℃で100RPMの#64スピンドルを使用するブルックフィールドDV-E粘度計で測定された。
【0076】
発明例2:2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート中のポリウレタンの調製
工程1-プレポリマー:1005.75gのpolyTHF 2000、37.35gの1,4-ブタンジオール、0.08gのTyzor TPTを事前に溶融し、窒素ブランケット下、5 Lの4口フラスコに入れた。イソホロンジイソシアネート306.9gを、混合しながら添加漏斗を介してフラスコに添加した。イソホロンジイソシアネートが完全に添加された後、フラスコを加熱した。温度は5℃刻みで65℃~70℃の範囲まで上昇させた。プレポリマーのNCO%が前述の滴定法で3.1~3.5になったら、セットアップをエアスパージに切り替えて、60℃~65℃まで冷却した。900.0gの2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレートおよび1.9gの4-メトキシフェノールを、添加漏斗を介して5分間かけて添加し、次いで10分間混合した。
【0077】
工程2-連鎖延長:2351.6gの2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレートおよび1.9gの4-メトキシフェノールを、添加漏斗を介して5分間かけてプレポリマー溶液(上記の工程1)に添加し、10分間混合した。温度は30~35℃まで低下した。1つは25.7gのエチレンジアミン、2つ目は27.7gのジブチルアミンを含む2つの添加漏斗を使用して、アミンを同時に5分間かけて添加し、45分間混合した。連鎖延長反応は発熱性であり、温度は45~50℃まで上昇する。エチレン性不飽和モノマー(2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート)中に不活性ウレタンポリマーが取り込まれた。接着剤組成物は、30%の固形分および6400cPの粘度を有することが見出された。
【0078】
本発明実施例3:
4-ヒドロキシブチルアクリレート中のポリウレタンの調製
工程1-プレポリマー:201.15gのpolyTHF 2000、7.47gの1,4-ブタンジオール、0.02gのTyzor TPTを事前に溶融し、窒素ブランケット下、2Lの4口フラスコに入れた。61.38gのイソホロンジイソシアネートを、混合しながら添加漏斗を介してフラスコに添加した。イソホロンジイソシアネートを完全に添加した後、フラスコを加熱し、温度を5℃刻みで65℃~70℃の範囲に上げた。プレポリマーのNCO%が前述の滴定法で3.1~3.5になったら、セットアップをエアスパージに切り替えて、60℃~65℃まで冷却した。180.0gの4-ヒドロキシブチルアクリレートおよび0.38gの4-メトキシフェノールを、添加漏斗を介して5分間かけて添加し、10分間混合した。
【0079】
工程2-連鎖延長:242.0gの4-ヒドロキシブチルアクリレートおよび0.38gの4-メトキシフェノールを、添加漏斗を介して5分間かけてプレポリマー溶液(上記の工程1)に添加し、10分間混合した。温度は30~35℃まで低下した。1つは5.05gのエチレンジアミンと、2つ目は5.43gのジブチルアミンの2つの添加漏斗を使用して、アミンを同時に5分間かけて添加し、45分間混合した。連鎖延長反応は発熱性であり、温度は45~50℃まで上昇する。エチレン性不飽和モノマー(4-ヒドロキシブチルアクリレート)中に不活性ウレタンポリマーが取り込まれた。接着剤組成物は、40%の固形分および4300cPの粘度を有することが見出された。
【0080】
EB硬化接着剤の評価
実施例1のエチレン性不飽和モノマー中の80gの不活性ウレタンポリマーおよび20gのプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートを4オンスのプラスチック瓶に加えた。混合物は、DAKミキサーで、3000RPMで2分間混合することにより均質化した。接着剤混合物は、実施例2および3のエチレン性不飽和モノマー中の不活性ウレタンポリマーと同じ方法で作られた。表1に報告されている接着剤組成物の粘度は、25℃でV1=1秒
-1およびV2=-100秒
-1の剪断速度で、AR1000回転式粘度計で測定した。
【表1】
【0081】
接着剤A、B、およびCのそれぞれを7.0 BCMアニロックスのフレキソハンドプルーフでSBSボードとポリエステルフィルムに塗布することにより、SBSボードとポリエステルフィルムでラミネート構造体を調製した。次に、接着剤コーティングされた基材を、接着剤層の上に第2の基材層を配置し、得られた積層構造体にゴムローラーで圧力を加えることにより、SBSボードまたはポリエステルフィルムの別の基材層に積層した。構造物は、実験室の電子ビームユニットであるEBBEAM EB Lab-200を使用して、15メートル/分の速度で、100KVで30KGYの線量で硬化させた。
【0082】
積層体の積層結合強度は、ASTM D1876のT型剥離試験を使用して、次のように決定した。積層体の1インチ幅のストリップを切断した。ストリップの一端は、酢酸エチル溶媒を使用して剥離した。ストリップの剥離した端部は、インストロン(Mode 13342)引張試験機のジョーに取り付けした。積層構造体を12インチ/分の分離速度で引き剥がした。積層体を剥離するのに必要な力は、直線インチ当たりのグラム力として記録した。記録された力が大きければ大きいほど、積層結合は強力である。
【0083】
積層体の破損モードは、破損の発生場所を示す。「デカール」破損とは、接着剤が主基材にくっつかず、2つの基材を分離するのに力がほとんど必要ないことを意味する。「ボードの破れ」とは、インストロンのテスターでボードが破れ、接着強度がボードのそれを上回ることを意味する。「接着剤の破損」とは、界面で接着剤が破損し、Instronテスターで積層基材が分離することを意味する。「デカール」および「接着剤の破損」よりも「ボードの破れ」のほうが望ましい。
【0084】
トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)モノマーに基づく市販のEB接着剤を比較例1として使用した。さらに、Sartomer CN131(比較例2)およびSartomer CN3100(比較例3)に基づいて、2つの他の比較ラミネート接着剤例の積層結合強度を試験した。Sartomer CN131は、低粘度の芳香族モノアクリレートオリゴマーである。Sartomer CN3100は低粘度のオリゴマーである。どちらもSartomer Americasから入手可能である。それらは接着性オリゴマーとして使用することができる。上記のように、これらの接着剤を使用して積層構造体を作成した。
【表2】
【0085】
中央と右の列の数値は、T型剥離試験で決定された直線インチ当たりのグラム力である。
【0086】
硬化した接着剤は構造体を接着し、層間剥離を防ぐ。結果は、EB硬化後の本明細書に記載の接着剤組成物A、B、およびCにより優れた積層結合強度が呈されることを示している。対照的に、不活性ウレタンポリマーを含まないオリゴマー/モノマー組成物に基づく比較例の接着剤1~3は、「デカール」破損グレードによって示されるように、不十分な強度の結合を形成する。
【0087】
UV硬化後の実施例2の接着剤組成物の結合強度の評価
接着剤は、2つのバッチの、実施例2のエチレン性不飽和モノマー中の不活性ウレタンポリマーを、ベースとしてGENORAD 26(Rahn AGからのUV光抑制剤)、およびOMNIRAD 2959光開始剤(OMNIRAD 2959は1-[4-(2-ヒドロキシエトキシル))-フェニル]-2-ヒドロキシ-メチルプロパノンであり、IGM Resinsから入手可能である)とブレンドすることにより調製した。Thermo Scientific Heraeusオーブンで140°Fに加熱して混合物を均質化し、Silverson L5M-Aで10,000RPMで5分間分散させた。次に、得られた溶液を、BASFから入手可能なアミン変性ポリエーテルアクリレートオリゴマーであるオリゴマーLAROMER(登録商標)LR 8996 Mで希釈して、5ポアズ未満の粘度の接着剤を作製した(このLAROMER(登録商標)製品は、LAROMER(登録商標)PO 8996 Mとして現在入手可能である)。粘度は、77°F(25℃)および10RPMでBrookfield DV1粘度計で測定した。バッチは、例DおよびEで示す。
【表3】
【0088】
積層構造体は、バッチ1および2の接着剤組成物を、Incada Exelボード(パルプから調製された化学処理ボード積層体)およびコロナ処理された延伸ポリプロピレンフィルム(フィルムは、Corona Supplies LtdのタイプFP6000コロナ処理機で0.9kWの1パスで処理された)に塗布して調製した。次に、初期基板の上に別のフィルム層を配置し、構造体全体に0KBARを使用して2つの間に接着剤を引き下げて塗布した。構造体は、645.2mj/in2で2パスの線量の水銀ランプを備えたIST UV硬化装置を使用して硬化した。
【0089】
積層体の積層結合強度は、ASTM D1876のT型剥離試験を使用して、次のように決定した。積層体のストリップを切断し、積層体化されていない端部をLloyd InstrumentsのLRX Plus材料試験機のジョーに取り付けた。構造体は、毎分9.84インチの分離速度で剥離させた。積層体を剥離するのに必要な力をグラム力で記録した。この力を積層体の直線幅で除算し、線形インチ当たりのグラム力を求めた。繰り返しになるが、必要な力が大きければ大きいほど、積層結合は強力である。破損モードは上記のとおりである(つまり、「デカール」、「ボードの破れ」、および「接着剤の破損」)。ボードの破れは、デカールおよび接着剤の破損よりも望ましい。
【0090】
比較例1として、市販のUV積層体化接着剤を使用した。
【表4】
【0091】
表4は、本発明の実施例DおよびEが、基板上で使用される場合、比較例1に匹敵する積層結合強度を有することを示している。
【0092】
実施例4および5
実施例4のUV接着剤は、実施例1のエチレン性不飽和モノマー中の不活性ウレタンポリマーを、光開始剤ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドおよび2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンを有する2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレートとブレンドすることにより調製した。実施例5のUV接着剤は、実施例2のエチレン性不飽和モノマー中の不活性ウレタンポリマーを、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレートおよび同じ光開始剤とブレンドすることにより調製した。成分の量を以下の表5に示す。
【表5】
【0093】
接着剤は、実施例4および5の組成物20.5gを4オンスのプラスチック瓶中に計量し、それぞれ27.5gの2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート、0.5gのジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドおよび1.5gの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンと組み合わせて、調製した。DAKミキサーで、3000RPMで2分間混合することにより、成分を均質化した。
【0094】
Ashlandから入手可能な市販のPureRad(商標)L7000 EBおよびUV硬化性接着剤が比較例として提供されている。粘度は、25℃でV1=1秒
-1およびV2=-100秒
-1のせん断速度でAR1000回転式粘度計によって測定した。
【表6】
【0095】
不透明なポリエチレンフィルムに7.19 BCMのアニロックスを備えたフレキソハンドプルーファーで接着剤を塗布することにより、積層構造体を調製した。次に、ポリプロピレンフィルムを接着剤層の上に置き、ゴムローラーで転がして良好な接触を確保することにより、接着剤の付いた基材をポリプロピレンフィルムに積層した。フィルムは、Corona Supplies LtdのタイプFP6000コロナ処理機で0.9kWの1パスで処理された。構造体は、水銀灯を備えたUV硬化装置により、400WPIおよび200fpmで1パスの線量で硬化された。
【0096】
積層体の積層結合強度は、ASTM D1876のT型剥離試験を使用して、次のように決定した。積層体の1インチ幅のストリップを切断し、ストリップの一端を、酢酸エチル溶媒を使用して剥離した。ストリップの剥離された端部は、インストロン(Mode 13342)引張試験機のジョーに取り付けられ、積層構造は12インチ/分の分離速度で引き剥がされた。積層体を剥離するのに必要な力は、直線インチ当たりのグラム力として記録した。得られた結合強度は、平均および最大値として表7に報告されている。表7は、本明細書に記載の接着剤組成物が、選択された条件でAshlandのPureRad L7000接着剤よりも良好に機能することを示している。
【表7】
【0097】
実施例6および7-UV LED接着剤の評価
実施例1のエチレン性不飽和モノマー中の78.4gの不活性ウレタンポリマーを、4オンスのプラスチック瓶中で、19.6gのプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、および2.0gのジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドと組み合わせて、実施例6の接着剤組成物を調製した。この組み合わせは、DAKミキサーで、3000RPMで2分間混合することにより均質化した。実施例7の接着剤を同じ方法で調製したが、実施例7では、実施例2のエチレン性不飽和モノマー中の78.4gの不活性ウレタンポリマーを使用した。粘度は、25℃でV1=1秒
-1およびV2=-100秒
-1のせん断速度でAR1000回転式粘度計によって測定した。
【表8】
【0098】
積層構造体は、Incada Exelボードまたは延伸ポリプロピレンフィルムのいずれかに接着剤を塗布することにより調製した。フィルムは、Corona Supplies LtdのタイプFP6000コロナ処理機で0.9kWの1パスで処理された。次に、フィルムの層を最初の基板の上部に配置し、構造全体に0KBARを使用して2つの間に接着剤を引き下げて塗布した。構造は、16ワット100FPMのGEW UV LEDユニットを使用して硬化した。
【0099】
積層体の積層結合強度は、ASTM D1876のT型剥離試験を使用して、次のように決定した。積層体の1インチ幅のストリップが切断された。酢酸エチル溶媒を使用して、各ストリップの一端を剥離した。ストリップの層間剥離された端部を、インストロン(Mode 13342)引張試験機のジョーに取り付けた。積層構造体を、12インチ/分の分離速度で引き剥がした。積層体を剥離するのに必要な力は、直線インチ当たりのグラム力として記録された。力が大きければ大きいほど、積層結合は強力である。得られた結合強度は、表9に報告されている。
【表9】
【0100】
本発明を、その好ましい実施形態を含めて詳細に説明した。しかしながら、当業者は、本開示を考慮すると、本発明の範囲および趣旨に含まれる本発明に対して修正および/または改善を行うことができることを理解されたい。