(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】接触解析システム、接触解析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20241022BHJP
G06Q 30/0272 20230101ALI20241022BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06Q30/0272
G09F19/00 Z
(21)【出願番号】P 2021024616
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村上 義明
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209898(JP,A)
【文献】特開2015-184791(JP,A)
【文献】特開2014-192813(JP,A)
【文献】特開2016-004336(JP,A)
【文献】特開2006-099722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと対象物との接触を解析する接触解析システムであって、
前記ユーザが携帯するユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報をユーザ位置情報として取得するユーザ位置情報取得部と、
前記対象物の設置位置でアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報である対象物スキャン情報を対象物位置情報として記憶する対象物位置情報記憶部と、
前記ユーザ位置情報取得部により取得したユーザ位置情報と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報とから、前記ユーザが前記対象物に接触したか否かを判定する接触判定部と
を備え、
前記対象物の設置位置において、前記ユーザ端末がアクセス可能な
複数の近距離通信機器の一部または全部はその電波強度が変更可能な近距離通信機器であって、
前記接触判定部は、
まず、前記ユーザ位置情報取得部により取得したユーザ位置情報
と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報との一致により該ユーザが前記対象物に接触したか判定を行い、一致しない場合に、前記ユーザ端末が、当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度
が変化し、
該変化の規則性が該対象物位置情報記憶部に記憶された該対象物の規則性と一致する場合に、該ユーザが
該対象物に接触したと判定することを特徴とする接触解析システム。
【請求項2】
請求項1記載の接触解析システムにおいて、
前記対象物の設置位置において、電波強度が変更可能な近距離通信機器が前記対象物であることを特徴とする接触解析システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の接触解析システムにおいて、
前記対象物が広告媒体であることを特徴とする接触解析システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の前記接触解析システムにおける処理として、前記ユーザと
前記対象物との接触を解析する接触解析方法であって、
前記ユーザが携帯するユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報をユーザ位置情報として取得するユーザ位置情報取得工程と、
前記ユーザ位置情報取得工程により取得したユーザ位置情報から、前記対象物の設置位置でアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報である対象物スキャン情報を対象物位置情報として記憶した対象物位置情報記憶部を参照して、前記ユーザが前記対象物に接触したか否かを判定する接触判定工程と
を備え、
前記対象物の設置位置において、前記ユーザ端末がアクセス可能な
複数の近距離通信機器の一部または全部はその電波強度が変更可能な近距離通信機器である場合において、前記接触判定工程は、
まず、前記ユーザ位置情報取得工程により取得したユーザ位置情報
と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報との一致により該ユーザが前記対象物に接触したか判定を行い、一致しない場合に、前記ユーザ端末が、当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度
が変化し、
該変化の規則性が該対象物位置情報記憶部に記憶された該対象物の規則性と一致する場合に、該ユーザが
該対象物に接触したと判定することを特徴とする接触解析方法。
【請求項5】
ユーザと対象物との接触を解析するプログラムであって、
コンピュータに、
前記ユーザが携帯するユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報をユーザ位置情報として取得させ、
取得したユーザ位置情報から、前記対象物の設置位置でアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報である対象物スキャン情報を対象物位置情報として記憶した対象物位置情報記憶部を参照して、前記ユーザが前記対象物に接触したか否かを判定させ、
前記対象物の設置位置において、前記ユーザ端末がアクセス可能な
複数の近距離通信機器の一部または全部はその電波強度が変更可能な近距離通信機器である場合において、
まず、取得したユーザ位置情報
と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報との一致により該ユーザが前記対象物に接触したか判定を行い、一致しない場合に、前記ユーザ端末が、当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度
が変化し、
該変化の規則性が該対象物位置情報記憶部に記憶された該対象物の規則性と一致する場合に、該ユーザが
該対象物に接触したと判定させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の接触解析システムは、ユーザと対象物との接触を解析するシステムである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接触解析システムとしては、下記特許文献1に示すように、移動履歴として時系列でのユーザの座標を用いて、かかる移動履歴に基づいて広告に接する場所に進入した日時と場所から退去した日時との間の滞在期間を特定し、滞在期間と広告が表示される期間とに重なり合いがある場合に、ユーザが広告に接したと判定する情報処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる従来の情報処理装置では、広告に接する場所に進入した日時と場所から退去した日時がないと接触判定ができないという問題がある。
【0005】
そのため、ユーザが実際にはその広告に接触しているにもかかわらず、侵入または退去の日時が特定できないために、そのユーザは広告に接触していないと判定されてしまう虞がある。
【0006】
以上の事情に鑑みて、本発明は、確実かつ簡易に対象物との接触を判定することができる接触解析システム、接触解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の接触解析システムは、ユーザと対象物との接触を解析する接触解析システムであって、
前記ユーザが携帯するユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報をユーザ位置情報として取得するユーザ位置情報取得部と、
前記対象物の設置位置でアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報である対象物スキャン情報を対象物位置情報として記憶する対象物位置情報記憶部と、
前記ユーザ位置情報取得部により取得したユーザ位置情報と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報とから、前記ユーザが前記対象物に接触したか否かを判定する接触判定部と
を備え、
前記対象物の設置位置において、前記ユーザ端末がアクセス可能な複数の近距離通信機器の一部または全部はその電波強度が変更可能な近距離通信機器であって、
前記接触判定部は、まず、前記ユーザ位置情報取得部により取得したユーザ位置情報と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報との一致により該ユーザが前記対象物に接触したか判定を行い、一致しない場合に、前記ユーザ端末が、当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度が変化し、該変化の規則性が該対象物位置情報記憶部に記憶された該対象物の規則性と一致する場合に、該ユーザが該対象物に接触したと判定することを特徴とする。
【0008】
第1発明の接触解析システムによれば、地下や屋内空間、店舗などでは、対象物GPS情報が取得できないか、取得できてもユーザGPS情報が取得できず、接触判定が不可能であるが、対象物スキャン情報を利用した接触判定が有効であるが、スキャン情報であるWiFiなどの近距離通信機器はその新設・除去により変化するほか、遮蔽物の設置や除去によっても電波強度が変化し得るところ、ユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器の一部または全部の電波強度が変更可能な近距離通信機器として、積極的に電波強度を変化させ、ユーザ端末が当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度の変化を検出した場合に、該ユーザが前記対象物に接触したと判定することで、スキャン情報に変更があった場合にも確実に接触判定を行うことができる。
【0009】
このように、第1発明の接触解析システムによれば、確実かつ簡易に対象物との接触を判定することができる。
【0010】
第2発明の接触解析システムは、第1発明において、
前記対象物の設置位置において、電波強度が変更可能な近距離通信機器が前記対象物であることを特徴とする。
【0011】
第2発明の接触解析システムによれば、電波強度が変更可能な近距離通信機器を対象物そのものとすることで、対象物からの電波強度の変化をユーザ端末が検出している場合に確実に接触したと判定することできる。
【0012】
このように、第2発明の接触解析システムによれば、より確実かつ簡易に対象物と接触を判定することができる。
【0013】
第3発明の接触解析システムは、第1または第2発明において、
前記対象物が広告媒体であることを特徴とする。
【0014】
第3発明の接触解析システムによれば、対象物が広告媒体である場合に、アンケート調査などを不要として、広告媒体とユーザとの接触判定を確実かつ簡易に行うことができ、好適である。
【0015】
このように、第3発明の接触解析システムによれば、確実かつ簡易に広告媒体との接触を判定することができる。
【0016】
第4発明の接触解析方法は、第1~第3発明のいずれかの前記接触解析システムにおける処理として、前記ユーザと前記対象物との接触を解析する接触解析方法であって、
前記ユーザが携帯するユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報をユーザ位置情報として取得するユーザ位置情報取得工程と、
前記ユーザ位置情報取得工程により取得したユーザ位置情報から、前記対象物の設置位置でアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報である対象物スキャン情報を対象物位置情報として記憶した対象物位置情報記憶部を参照して、前記ユーザが前記対象物に接触したか否かを判定する接触判定工程と
を備え、
前記対象物の設置位置において、前記ユーザ端末がアクセス可能な複数の近距離通信機器の一部または全部はその電波強度が変更可能な近距離通信機器である場合において、前記接触判定工程は、まず、前記ユーザ位置情報取得工程により取得したユーザ位置情報と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報との一致により該ユーザが前記対象物に接触したか判定を行い、一致しない場合に、前記ユーザ端末が、当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度が変化し、該変化の規則性が該対象物位置情報記憶部に記憶された該対象物の規則性と一致する場合に、該ユーザが該対象物に接触したと判定することを特徴とする。
【0017】
第4発明の接触解析方法によれば、地下や屋内空間、店舗などでは、対象物GPS情報が取得できないか、取得できてもユーザGPS情報が取得できず、接触判定が不可能であるが、対象物スキャン情報を利用した接触判定が有効であるが、スキャン情報であるWiFiなどの近距離通信機器はその新設・除去により変化するほか、遮蔽物の設置や除去によっても電波強度が変化し得るところ、ユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器の一部または全部の電波強度が変更可能な近距離通信機器として、積極的に電波強度を変化させ、ユーザ端末が当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度の変化を検出した場合に、該ユーザが前記対象物に接触したと判定することで、スキャン情報に変更があった場合にも確実に接触判定を行うことができる。
【0018】
このように、第4発明の接触解析方法によれば、確実かつ簡易に対象物との接触を判定することができる。
【0019】
第5発明のプログラムは、ユーザと対象物との接触を解析するプログラムであって、
コンピュータに、
前記ユーザが携帯するユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報をユーザ位置情報として取得させ、
取得したユーザ位置情報から、前記対象物の設置位置でアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報である対象物スキャン情報を対象物位置情報として記憶した対象物位置情報記憶部を参照して、前記ユーザが前記対象物に接触したか否かを判定させ、
前記対象物の設置位置において、前記ユーザ端末がアクセス可能な複数の近距離通信機器の一部または全部はその電波強度が変更可能な近距離通信機器である場合において、まず、取得したユーザ位置情報と、前記対象物位置情報記憶部に記憶された対象物位置情報との一致により該ユーザが前記対象物に接触したか判定を行い、一致しない場合に、前記ユーザ端末が、当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度が変化し、該変化の規則性が該対象物位置情報記憶部に記憶された該対象物の規則性と一致する場合に、該ユーザが該対象物に接触したと判定させることを特徴とする。
【0020】
第5発明のプログラムによれば、地下や屋内空間、店舗などでは、対象物GPS情報が取得できないか、取得できてもユーザGPS情報が取得できず、接触判定が不可能であるが、対象物スキャン情報を利用した接触判定が有効であるが、スキャン情報であるWiFiなどの近距離通信機器はその新設・除去により変化するほか、遮蔽物の設置や除去によっても電波強度が変化し得るところ、ユーザ端末がアクセス可能な近距離通信機器の一部または全部の電波強度が変更可能な近距離通信機器として、積極的に電波強度を変化させ、ユーザ端末が当該電波強度が変更可能な近距離通信機器の電波強度の変化を検出した場合に、該ユーザが前記対象物に接触したと判定することで、スキャン情報に変更があった場合にも確実に接触判定を行うことができる。
【0021】
このように、第5発明のプログラムによれば、確実かつ簡易に対象物との接触を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の接触解析システムの概要を示すシステム構成図。
【
図2】
図1の接触解析システムにおける処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、本実施形態の接触解析システム1は、主にメインサーバ100から構成され、ユーザ2と対象物3との接触をユーザ端末200と対象物管理サーバ300(
図2参照)を介して解析するシステムである。なおメインサーバ100とユーザ端末200と対象物管理サーバ300とはインターネットなどのネットワークNWを介してデータ通信可能に構成されている。
【0024】
ここでユーザ2は、例えば、ユーザ2が携帯するスマートフォンやタブレットなどのユーザ端末200にダウンロードされたアプリケーションを介して、ユーザ200の位置情報(後述するユーザスキャン情報、ユーザGPS情報など)をネットワークNW経由でメインサーバ100の提供を許諾した者である。
【0025】
また、対象物3は、例えば、広告媒体(屋外広告や屋内広告であって紙媒体のような固定表示物のほかデジタルサイネージのような変更表示物のいずれであってもよい)、コンテンツ等が表示されるスクリーンや壁面、店舗、店舗内の特定商品(特定商品のコーナーを含む)等の対象物であって、主として、固定設置された固定対象物であるが、対象物自体が移動する移動対象物であってもよい。
【0026】
なお、対象物3は、図面上1つの対象物のみを表しているが、ユーザ2と同様に、実際には、異なる対象物3が複数の存在している。
【0027】
対象物管理サーバ300は、管理対象とする複数の対象物3に関連する情報を収取・管理・更新するサーバであって、例えば、対象物3が広告媒体である場合には、その位置情報である対象物位置情報(対象物スキャン情報・対象物GPS情報)のほか、その対象物3の内容(例えば、デジタルサイネージであればディスプレイにおける表示内容)およびその表示時間(広告掲載期間)を収集・管理・更新する。
【0028】
なお、対象物管理サーバ300をメインサーバ100内(後述する対象物情報記憶部110)に構成して、対象物管理サーバ300を省略してもよい。
【0029】
メインサーバ100は、対象物位置情報記憶部110と、ユーザ情報記憶部120と、判定結果記憶部130と、ユーザ位置情報取得部140と、接触判定部150と、指標算出部160と、属性特定部170とを備える。
【0030】
対象物位置情報記憶部110は、例えば、広告媒体のような接触判定の対象となる対象物3の位置情報を記憶するデータベースである。
【0031】
対象物3の位置情報としては、その対象物3の設置位置およびその一定範囲内(対象物3が広告媒体の場合にはこれを視認できる、概ね対象物3を中心に半径10~15mの範囲。
図1では仮想円X上の空間)において、アクセス可能な近距離通信機器を検出した対象物スキャン情報のほか、対象物3のGPS情報(緯度経度情報)が取得できる場合は、かかる対象物GPS情報が含まれる。
【0032】
また、本実施形態では、後述するように、対象物3そのものに近距離通信機器を設置し、対象物3である近距離通信機器の電波強度を変化させて接触判定の基準となる電波強度を形成している。電波強度の変化は、例えば、時間に紐づけた規則性を有し、かかる規則性は、対象物位置情報として対象物管理サーバ300を介して対象物位置情報記憶部110にも記憶保持される。
【0033】
ここで、近距離通信機器としては、無線LANであるWiFiに対応した機器のほか、Bluetooth、Beacon、IrDA、ZigBeeなど近距離無線通信の一部または全部に対応した機器であってよい。対象物スキャン情報は、その計測位置でアクセス可能な近距離通信機器の一覧と各機器の電波強度である。
【0034】
なお、補足説明すると、スキャン情報は、正確には、WiFiルでいうなら各WiFiルーターのSSID(Service Set Identifier)、BSSID(Basic Service Set Identifier)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、緯度経度である。
【0035】
ユーザ情報記憶部120は、主として、ユーザの基本属性を記憶するデータベースであって、例えば、性別、生年月日および居住地の一部または全部のほか、ユーザ端末の固有IDであるADIDなども記憶される。
【0036】
なお、対象物3の位置情報はその情報の鮮度が明確となるように更新日時が位置情報に併せて記録される。また、その対象物3の内容(例えば、デジタルサイネージであればディスプレイにおける表示内容)も時間に紐づけされて対象物位置情報記憶部110に記憶されてもよく、対象物3の内容については、対象物位置情報記憶部110に記憶することなく、必要に応じて対象物管理サーバ300を参照するようにしてもよい。
【0037】
判定結果記憶部130は、接触判定部150のよるユーザ2と対象物3との接触判定の結果を記憶するデータベースである。
【0038】
ユーザ位置情報取得部140は、ユーザ2が携帯するユーザ端末200がアクセス可能な近距離通信機器を検出したスキャン情報であるユーザスキャン情報のほか、ユーザ2のGPS情報(緯度経度)が取得できる場合にはかかるユーザGPS情報をユーザ位置情報として取得する。
【0039】
ここで、ユーザ位置情報は、計測のタイミングの時間に紐づけされた(タイムスタンプが付された)位置情報となっている。
【0040】
接触判定部150は、ユーザ位置情報取得部140により取得したユーザ位置情報と、対象物位置情報記憶部110に記憶された対象物位置情報とから、ユーザ2が対象物3に接触したか否かを判定する。
【0041】
なお、接触判定部150による接触判定処理の詳細については、後述する。
【0042】
指標算出部160は、判定結果記憶部130に記憶された複数の判定結果に基づいて、対象物3に対する基本指標のほか拡張指標を算出する。
【0043】
例えば、指標算出部160は、基本指標として、複数のユーザ2と特定の対象物3との接触の判定結果に基づいて、その特定の対象物3との接触に関する接触人数、接触回数および平均接触時間の一部または全部を算出する。
【0044】
また、指標算出部160は、第1の拡張指標として、複数のユーザ2をサンプルとして、推計ロジックにより該複数のユーザ2を所望母集団に拡張した場合の日別平均接触率、リーチ、フリークエンシー、GRPおよびこれらの推計人数の一部または全部を算出する。
【0045】
さらに、指標算出部160は、第2の拡張指標として、複数のユーザ2をサンプルとして、他の指標データとのデータ融合により、該他の指標データの指標項目を生成し該指標項目の指標を算出する。
【0046】
なお、指標算出部160による指標算出処理の詳細については、後述する。
【0047】
属性特定部170は、ユーザ情報記憶部120を参照して、接触判定を行ったユーザ2の基本属性のほか拡張属性を特定する。
【0048】
例えば、属性特定部170は、ユーザ情報記憶部120を参照して、接触した(接触しなかった)ユーザ2の基本属性として、ユーザの性別、生年月日および居住地の一部または全部を特定する。
【0049】
なお、基本属性は、これらに限定されるものではなく、これらに代えてまたは加えて、事前にアンケートなどで収集したこれら以外の属性(例えば、年収、職業、家族構成等)ほか、人口統計学的変数、消費行動変数、心理的変数、メディア(コンテンツや広告)接触変数で区分される属性の一部または全部であってもよい。
【0050】
また、属性特定部170は、第1の拡張属性として、ユーザ2の基本属性と(予めデータ取得済みの)他の属性データとのデータ融合により、他の属性データが有する分析項目を生成し該分析項目の属性を付与する。
【0051】
さらに、属性特定部170は、第2の拡張属性として、ユーザの移動履歴から該移動履歴に関連する属性項目を生成し該属性項目の属性を付与する。
【0052】
なお属性特定部170による属性特定処理の詳細については、後述する。
【0053】
以上が本実施形態の接触解析システム1の構成である。なお、以上の構成において、メインサーバ100(本発明のコンピュータに相当する)の各処理部110~170は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、後述する各種処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0054】
また、メインサーバ100を構成する各処理部110~170の一部または全部は、他のサーバ(外部サーバ)により構成し、分散処理により当該接触解析システム1を実現してもよい。
【0055】
次に、
図2を参照して、以上のように構成された接触解析システム1の処理内容について説明する。
【0056】
前提として、対象物位置情報記憶部110に記憶される対象物3の位置情報は、予め収集・辞書化されると共に、随時更新される。
【0057】
特に、地下や屋内空間、店舗などでは、対象物GPS情報が取得できないか、取得できてもユーザGPS情報が取得できず、接触判定が不可能であるところ、対象物スキャン情報を利用した接触判定が有効であるが、スキャン情報であるWiFiなどの近距離通信機器はその新設・除去により変化するほか、遮蔽物の設置や除去によっても電波強度が変化し得る。そのため、特に、対象物スキャン情報については、定期・不定期で更新される。
【0058】
まず、対象物位置情報記憶部110に記憶される対象物3の位置情報の更新処理について、説明する。
【0059】
対象物管理サーバ300は、例えば、一定の周期で(月に1度または週に一度)、対象物位置情報(特に対象物スキャン情報)を再取得し、当該対象物管理サーバ300が管理する対象物位置情報を更新する(
図2/SPEP310)。
【0060】
ここで、対象物位置情報の更新は、その位置情報と一体に更新日時を付与する形で行うことが望ましい。これにより、位置情報の情報鮮度を後述する接触判定に組み合わせることが可能となる。
【0061】
本実施形態では、WiFiなどの近距離通信機器の新設・除去などによるスキャン情報の変化に対応するため、対象物3そのものに近距離通信機器を設置している。これにより、対象物3である近距離通信機器の電波強度を変化させて接触判定の基準となる電波強度を形成し、後述する接触判定の精度向上を図ることができる。
【0062】
ここで、電波強度の変化は、例えば、時間に紐づけた規則性を有し、かかる規則性は、対象物位置情報として対象物管理サーバ300に記憶保持されると共に、後述する対象物更新情報送信によりメインサーバ100の対象物位置情報記憶部110にも記憶保持される。
【0063】
なお、対象物3そのものに近距離通信機器を設置する代わりに、対象物3の周囲の近距離通信機器の一部または全部を電波強度を変化させることができる制御対象機器として、かかる制御対象機器の電波強度を変化させてもよい。この場合にも、電波強度を変化させる近距離通信機器の個々の電波強度の変化は、例えば、時間に紐づけた個々の規則性を有し、かかる個々の規則性は、対象物位置情報として対象物管理サーバ300に記憶保持されると共に、後述する対象物更新情報送信によりメインサーバ100の対象物位置情報記憶部110にも記憶保持される。
【0064】
また、対象物管理サーバ300は、対象物の内容等の情報を定期的に取得し、当該対象物管理サーバ300が管理する対象物情報を更新する(
図2/STEP311)。
【0065】
ここで、対象物情報の更新は、その内容等の情報と一体に更新日時を付与する形で行うことが望ましい。これにより、内容等の情報の情報鮮度を後述する接触判定に組み合わせることが可能となる。
【0066】
そして、対象物管理サーバ300は、定期的にまたは少なくとも対象物位置情報の更新があった場合に、対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性および更新された対象物位置情報(必要に応じて対象物情報)をネットワークNWを介してメインサーバ100に送信する(
図2/STEP312)。
【0067】
対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性および更新情報を受信したメインサーバ100は、対象物位置情報記憶部110に記憶される対象物位置情報(対象物の内容など対象物情報も記憶する場合には対象物情報)を更新する(
図2/STEP110)。例えば、対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性および更新された対象物位置情報(更新日時が一定に付与された対象物スキャン情報など)を対象物位置情報記憶部110に格納する。
【0068】
以上が、対象物位置情報記憶部110に記憶される対象物3の位置情報の更新処理である。
【0069】
次に、ユーザ2と対象物3との接触判定処理について説明する。
【0070】
まず、ユーザ2は、ユーザ端末200を携帯した状態で、通勤、通学、ショッピングなどに出かけると、ユーザ端末200に前もってダウンロードされたアプリケーションを介して、ユーザ200の位置情報であるユーザ位置情報がユーザ端末200に記録される(
図2/SEP240)。
【0071】
ここでユーザ位置情報は、例えば、一定の周期でユーザ端末200を介して計測したアクセス可能なWiFi機器の一覧および各電波強度であるスキャンデータ(ユーザスキャン情報)およびGPS測位データ(ユーザGPS情報)であって、これらのデータには、タイムスタンプが付与されている。
【0072】
そして、ユーザ端末200は、記録されたユーザ位置情報をネットワークNWを介してメインサーバ100に送信する(
図2/STEP241)。ユーザ位置情報の送信は、当該アプリケーションでの処理により、所定の周期または一定のデータ量の蓄積毎に実行される。
【0073】
ユーザ位置情報を受信したメインサーバ100は、対象物位置情報取得部140が取得し(
図2/STEP140、本発明のユーザ位置情報取得工程に相当する)、取得したユーザ位置情報に基づいて、接触判定部150が接触判定処理を行う(
図2/STEP150、本発明の接触判定工程に相当する)。
【0074】
ここで、接触判定部150は、取得したユーザ位置情報と対象物位置情報記憶部110に記憶された対象物位置情報と、対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性とを用いて、(A)対象物位置情報との一致(一致の度合い)による手法と、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出による手法とを組み合わせて、そのユーザ2が対象物3に接触したか否かを判定する。
【0075】
例えば、(A)
図1において、ユーザ2が対象物3の一定範囲内である判定対象範囲(仮想円X上の空間)に入った場合は、(1)STEP140で取得したユーザ位置情報には、判定対象範囲(仮想円X上の空間)において測定されたユーザスキャン情報が含まれる。
【0076】
一方、(2)対象物位置情報記憶部110には、対象物3およびの一定範囲内である判定対象範囲(仮想円X上の空間)において複数計測された対象物スキャン情報が記憶されている。
【0077】
接触判定部150は、(1)のユーザスキャン情報が(2)の対象物スキャン情報と一致するものがある場合に、当該ユーザ2は当該対象物3と接触したと判定する。
【0078】
ここで、一致の度合いを示す尤度が閾値の範囲内である場合に、(1)のユーザスキャン情報が(2)の対象物スキャン情報と一致すると判定してもよい。スキャン情報は、アクセス可能なWiFi機器との間の電波の状況が微妙に変化することがあるところ、一致の度合いを示す尤度を用いて、尤度が閾値の範囲内である場合に、ユーザスキャン情報が対象物スキャン情報と一致すると判定することで、より実態に即した接触判定が可能となる。
【0079】
ここで、一致の度合いを示す尤度が閾値は変更可能であるため、閾値を厳しくすると、接触判定の正確性が向上し、接触者数は減少する。そのため、閾値を厳しくした場合には、実質的に、対象物3の一定範囲内である判定対象範囲を仮想円Xからか仮想円Yに変更し、仮想円Y上の空間に基づいて接触判定を行ったのと同様の効果を得ることができる。
【0080】
一方、閾値を緩くすると、接触判定の正確性は低下し、接触者数は増加する。そのため、閾値を緩くした場合には、実質的に、対象物3の一定範囲内である判定対象範囲を仮想円Xからか仮想円Zに変更し、仮想円Z上の空間に基づいて接触判定を行ったのと同様の効果を得ることができる。
【0081】
このように、一致の度合いを示す尤度が閾値を変更することで、改めて計測を行って対象物スキャン情報を取得し直すことなく、対象物3の一定範囲内である判定対象範囲を実質的に変更することができる。
【0082】
なお、一致の度合いを示す尤度の算出は、例えば、スキャン情報のアクセス可能な近距離通信機器を電波強度の強いグループと電波強度の弱いグループに分け、電波強度の強いグループには尤度を相対的に高く、電波強度の弱いグループには尤度を相対的に低く設定し、これらの積算値を一致の度合いを示す尤度とするなど種々の方法が採用され得るが、推定統計学的手法(統計分布)により一致の度合いを示す尤度を算出してもよい。
【0083】
一方、接触判定部150は、(A)ユーザスキャン情報が対象物スキャン情報と一致(尤度による一致を含む)するものがない場合に、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出により、そのユーザ2が対象物3に接触したか否かを判定する。
【0084】
具体的には、ユーザスキャン情報の中に対象物3である近距離通信機器が含まれ、ユーザスキャン情報の時間変化の中で、その対象物3である近距離通信機器の電波強度が変化し、その変化の規則性が対象物位置情報記憶部110に記憶された対象物3の規則性と一致する場合に、当該ユーザ2は当該対象物3と接触したと判定する。
【0085】
これにより、この場合の組み合わせでは、(A)例えば、近距離通信機器の入れ替えなどにより、ユーザスキャン情報が対象物スキャン情報と一致(尤度による一致を含む)するものがないと一時的に判定されてしまう場合でも、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出できた場合には、そのユーザ2が対象物3に接触したと確実に判定することができる。
【0086】
また、接触判定部150は、接触判定と併せて、接触時間量を算出する。
【0087】
具体的には、(A)ユーザスキャン情報が対象物スキャン情報と一致(尤度にによる一致を含む)による接触判定の場合には、対象物3の一定範囲内である判定対象範囲(仮想円X上の空間)の滞在時間である接触時間量を算出する。接触時間量は、主として、判定対象範囲(仮想円X上の空間)において、ユーザスキャン情報が対象物スキャン情報と一致(一致の度合いを示す尤度が閾値の範囲内である場合を含む)し続けた時間であるが、一定の時間の間に判定対象範囲(仮想円X上の空間)に出入りした場合も、一致(一致の度合いを示す尤度が閾値の範囲内である場合を含む)し続けた時間を接触時間量としてもよい。
【0088】
一方、接触判定部150は、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化により接触判定を行う場合には、電波強度の変化を検出し続けた時間を接触時間量として算出する。
【0089】
さらに、接触判定部150は、接触判定処理および接触時間量の算出処理において、対象物3の設置期間(対象物が広告媒体の場合には広告掲載期間)を考慮してもよい。
【0090】
具体的には、接触判定部150は、接触判定において、上述のようにユーザ位置情報および対象物位置情報に基づいて接触すると判定された場合に、さらに、ユーザ位置情報付与されたタイムスタンプで特定される接触時刻が、対象物管理サーバ300で管理される対象物3の設置期間(広告掲載期間)と重複する場合には接触すると最終判定する、一方、対象物3の設置期間(広告掲載期間)と重複しない場合には接触しないと最終判定するようにしてもよい。
【0091】
加えて、接触判定部150は、その接触時間(接触開始時刻から接触終了時刻まで)と対象物3の設置期間(広告掲載期間)とから接触時間量を算出してもよい。すなわち、接触時間(接触開始時刻から接触終了時刻まで)のすべてが、対象物3の設置期間(広告掲載期間)である場合には、接触時間を接触時間量とする一方、接触時間(接触開始時刻から接触終了時刻まで)の途中で、対象物3の設置期間(広告掲載期間)が終了した場合には、接触開始時刻から設置期間(広告掲載期間)が終了するまでの時間を接触時間量とするようにしてもよい。
【0092】
また、接触判定部150は、対象物3の内容(デジタルサイネージであればディスプレイにおける表示内容)毎に、接触判定処理や接触時間量の算出処理を行ってもよい。
【0093】
なお、本実施形態では、接触判定部150がユーザスキャン情報と対象物スキャン情報とに基づいて接触判定を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ユーザスキャン情報および対象物スキャン情報に代えてまたは加えて、ユーザGPS情報および対象物GPS情報に基づいて、接触判定を行ってもよい。
【0094】
例えば、ユーザスキャン情報および対象物スキャン情報に代えて、ユーザGPS情報および対象物GPS情報に基づいて接触判定を行う場合としては、例えば、GPS情報が取得できる屋外などでは、ユーザGPS情報(緯度経度)が対象物の一定範囲内(対象物の一定範囲内GPS情報(緯度経度)である場合に接触したと判定する場合が挙げられる。
【0095】
また、ユーザスキャン情報および対象物スキャン情報に加えて、ユーザGPS情報および対象物GPS情報に基づいて接触判定を行う場合としては、例えば、スキャン情報に基づく判定精度とGPS情報に基づく判定精度を比較し、判定精度の高いほう選択して接触判定を行う場合が挙げられる。
【0096】
以上が接触判定部150による接触判定の詳細であり、かかる判定結果(接触の有無および接触の場合はその接触時間量)は、判定結果記憶部130に記憶される(
図2/STEP155)。
【0097】
次に、指標算出部160による指標算出処理(
図2/STEP160)について説明する。なお、指標算出処理は、
図2のフローチャート上に記載しているが、任意のタイミングで実行される。
【0098】
指標算出部160は、判定結果記憶部130に記憶された判定結果に基づいて、基本指標および拡張指標を算出する。
【0099】
具体的に、指標算出部160は、判定結果記憶部130に記憶された判定結果から特定の対象物3の判定結果のみを抽出し、その特定の対象物3について、基本指標として、指定した期間における接触人数、接触回数および平均接触時間量の一部または全部を算出する。
【0100】
加えて、特定の対象物3を組みわせたセット対象物についても、基本指標として、指定した期間における接触人数、接触回数および平均接触時間量の一部または全部を算出することもできる。
【0101】
これにより、対象物3を変えて、複数の対象物3のそれぞれについて、全期間または任意の期間における基本指標(接触人数、接触回数および平均接触時間量)を算出することができる。
【0102】
さらに、指標算出部160は、判定結果記憶部130に記憶された判定対象となったユーザをサンプルとして、推計ロジックにより該サンプルを例えば一都三県の居住者全体に拡張した拡張基本指標を算出する。
【0103】
推計ロジックは、種々の手法が採用されるが、例えば、ユーザが一都三県の居住者の縮図となるように、後述するユーザの属性に基づく各種係数を基本指数にかけることで各対象物3について拡張基本指標を算出する。
【0104】
そして、かかる拡張基本指標を用いて、第1の拡張指標として、各対象物3について一都三県居住者全体での日別平均接触率(居住者全体に対して接触した人数の割合)、リーチ、フリークエンシー、GRPおよびこれらの推計人数の一部または全部を算出する。
【0105】
ここで、サンプルであるユーザは、各々個別のID等により把握されるため、これを拡大した拡張基本指標でも各対象物3への接触の実人数としてのリーチを算出することができると共にユーザの各対象物3への接触回数であるフリークエンシーを算出することができる。そして、これらリーチおよびフリークエンシーを掛け合わせることで、GRPも算出することができる。さらに、これらの推計人数も算出することができる。
【0106】
さらに、指標算出部160は、第2の拡張指標として、判定結果記憶部130に記憶された判定対象となったユーザをサンプルとして、他の指標データとのデータ融合により、該他の指標データの指標項目を生成し該指標項目の指標を算出する。
【0107】
例えば、別の広告媒体に対する視認者数(率)がアンケート調査等により他の指標データとして既に得られている場合に、かかる他の指標データの平均値を係数として利用することで、別の広告媒体の指標項目である視認者数(率)の指標を算出することができる。
【0108】
以上が、指標算出部160による指標算出処理(
図2/STEP160)の詳細である。
【0109】
次に、属性特定部170による属性特定処理(
図2/STEP170)について説明する。なお、属性特定処理は、
図2のフローチャート上に記載しているが、任意のタイミングで実行される。
【0110】
属性特定部170は、ユーザ情報記憶部120を参照して、接触判定を行ったユーザ2の基本属性のほか拡張属性を特定する。
【0111】
具体的に、属性特定部170は、ユーザ情報記憶部120を参照して、ユーザ2の基本属性(サンプルプロフィール)として、ユーザの性別、生年月日および居住地の一部または全部を特定する。
【0112】
さらに、属性特定部170は、第1の拡張属性として、当該基本属性と(予めデータ取得済みの)他の属性データとのデータ融合により、他の属性データが有する分析項目を生成し該分析項目の属性を付与する。
【0113】
例えば、詳細デモグラフィックデータや他のメディアとの接触・意識データなど、既に詳細に分類され項目分けされた他の属性データと基本属性とのデータ統合により、他の属性データの項目を生成して該項目に該当する属性を付与することができる。
【0114】
なお、ここでのデータ統合は、種々の手法が採用され得るが、例えば、推計モデルを用いて、他の属性データの項目を生成する方法や、データの共通項目の類似度に基づいてデータを統合した場合に当該項目に該当し得るかと判定することにより実行することができる。
【0115】
また、属性特定部170は、第2の拡張属性として、ユーザ2の位置情報から移動履歴を作成し、かかる移動履歴に基づく属性項目を生成し該属性項目の属性を付与する。
【0116】
具体的には、移動履歴から、平日に保育園への送迎を行っている場合には、子育て世代との属性を生成して付与することができる。さらに、基本属性と組み合わせることで、子育てパパという属性を生成して付与することができる。
【0117】
このように移動履歴に基づく属性項目を生成して付与することで、実際の移動履歴から様々なターゲットを選定した属性項目(野球好き/映画好きなど)を生成して付与することができる。
【0118】
なお、本実施形態では、属性特定部170がユーザ2の位置情報(ユーザスキャン情報および/またはユーザGPS情報)により移動履歴を作成しているが、これに限定されるものではなく、外部サーバから別途ユーザ2の位置情報や移動履歴を取得し、外部サーバからの情報に基づいて属性項目の生成と付与をするようにしてもよい。
【0119】
以上が属性特定部170による属性特定処理(
図2/STEP170)の詳細である。
【0120】
以上詳しく説明したように、本実施形態の接触解析システムによれば、確実かつ簡易に対象物との接触を判定することができる。
【0121】
なお、拡張指標や拡張属性としては、上述の指標や属性やその生成方法に限定されるものではなく、例えば、ユーザ情報記憶部120に記憶されているユーザ2のADIDやIDFAといった広告識別子やCookieをキーにデータに共通する要素によりテレビの視聴ログやWEBの接触データと連携することにより得られる指標を算出したり属性を生成し付与するようにしてもよい。
【0122】
また、本実施形態では、対象物3との接触の判定対象範囲を仮想円X(Y,X)としてその上の空間としたが、これに限定されるものではなく、対象物が横長や複数面の場合には、判定対象範囲をその立体形状に合わせて変更してもよく、複数の対象判定範囲を繋げて一体化させるなどくくり方を変更してもよい。
【0123】
なお、本実施形態では、(A)ユーザスキャン情報と対象物スキャン情報との一致(尤度による一致を含む)がない場合に、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出による接触判定を行っているが、(A)ユーザスキャン情報と対象物スキャン情報との一致(尤度による一致を含む)による接触判定と、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出による接触判定との組み合わせは、これに限定されるものではない。
【0124】
例えば、(A)ユーザスキャン情報と対象物スキャン情報との尤度による一致による接触判定において、尤度の閾値を緩くしておき(一致の幅を広げておいて)、(B)その中で、対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出ができた場合に接触と判定するように組み合わせて用いてもよい。
【0125】
また、(A)ユーザスキャン情報と対象物スキャン情報との一致(尤度による一致を含む)による接触判定を省略して、(B)対象物3である近距離通信機器の電波強度の変化の規則性の検出のみにより接触判定を行ってもよい。これにより、システムや装置構成を大幅に簡略化することができる。
【0126】
なお、本実施形態では、検出の確実性を担保するために対象物3である近距離通信機器の電波強度を変化させ、その変化を検出できた場合に接触したと判定しているが、電波強度の変化を省略し、対象物3である近距離通信機器の電波を検出した場合に接触したと判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…接触解析システム、2…ユーザ、3…対象物(広告媒体)、100…メインサーバ、110…対象物位置情報記憶部、120…ユーザ情報記憶部、130…判定結果記憶部、140…ユーザ位置情報取得部、150…接触判定部、160…指標算出部、170…属性特定部、NW…ネットワーク。X,Y,Z…判定対象範囲。