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  • 特許-船舶、及びメンテナンス構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】船舶、及びメンテナンス構造
(51)【国際特許分類】
   B63B 81/00 20200101AFI20241022BHJP
   B63B 73/60 20200101ALI20241022BHJP
   B63B 73/20 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
B63B81/00
B63B73/60
B63B73/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021044960
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022144101
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】井本 康之
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-203263(JP,A)
【文献】特開2007-084278(JP,A)
【文献】特開平11-086158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0117064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 81/00
B63B 73/60
B63B 73/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設けられたメンテナンス対象物のメンテナンスのためのメンテナンス構造を有する船舶であって、
前記メンテナンス構造は、
天井側に設けられた天井部材と、
前記天井部材に設けられた前記メンテナンス対象物と、
前記天井部材の少なくとも一部を昇降させる昇降部と、を備え
前記天井部材は、作業者が前記天井まで上り下り可能な構造物によって構成され、
前記天井部材の一方側の端部は前記天井側において回転可能に支持され、
前記昇降部は、前記天井部材の他方側の端部に接続され、当該他方側の端部を昇降可能に支持する、船舶。
【請求項2】
前記メンテナンス構造は、機関室に設けられる、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
天井側に設けられた天井部材と、
前記天井部材に設けられたメンテナンス対象物と、
前記天井部材の少なくとも一部を昇降させる昇降部と、を備え
前記天井部材は、作業者が前記天井まで上り下り可能な構造物によって構成され、
前記天井部材の一方側の端部は前記天井側において回転可能に支持され、
前記昇降部は、前記天井部材の他方側の端部に接続され、当該他方側の端部を昇降可能に支持する、メンテナンス構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の船舶は、機関室に収容されたエンジン等の機器を備えている。このようなエンジンに対しては、燃料が供給され、当該燃料によって運転がなされる。その他、船舶には各種機器を配置するための部屋を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-062313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のような船舶の部屋には、灯具や火災報知器などが設置される。このような機器は、所定のタイミングでメンテナンスを行う必要がある。これらのメンテナンス対象物は、天井側の高い位置に設置される場合があるため、作業者は、メンテナンスを行うときには、ポータブル式の梯子等を用いてメンテナンスを行う。しかしながら、天井が高い場合、ポータブル式の梯子等を用いてメンテナンス対象物を行うことは困難である。また、エンジンのメンテナンス用のクレーンは、範囲が限定的であるため、メンテナンス対象物の配置によっては、上手くメンテナンスを行えない場合がある。また、固定式の垂直梯子を用いる場合、垂直梯子の数が大量になる。また、垂直梯子には数m毎に落下防止のフープが必要になるが、天井が高い場合、当該フープが膨大になるという問題がある。以上より、天井が高い場所では、天井側に存在するメンテナンス対象物のメンテナンスが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、天井が高い場所であっても、天井側に存在するメンテナンス対象物を容易にメンテナンスすることができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の船舶は、室内に設けられたメンテナンス対象物のメンテナンスのためのメンテナンス構造を有する船舶であって、メンテナンス構造は、天井側に設けられた天井部材と、天井部材に設けられたメンテナンス対象物と、天井部材の少なくとも一部を昇降させる昇降部と、を備えてよい。
【0007】
この船舶によれば、メンテナンス対象物が、天井側に設けられた天井部材に設けられている。また、昇降部は、天井部材の少なくとも一部を昇降させることができる。これにより、メンテナンス時には、昇降部は、天井部材の少なくとも一部を低い位置へ移動させることができる。そのため、作業者は、低い位置まで降下したメンテナンス対象物をメンテナンスすることができる、または低い位置まで降下した天井部材を登ることでメンテナンス対象物をメンテナンスすることができる。これにより、天井が高い場合であっても、天井側に存在するメンテナンス対象物を容易にメンテナンスすることができる。
【0008】
天井部材は、作業者が上り下り可能な構造物によって構成され、天井部材の一方側の端部は天井側において回転可能に支持され、昇降部は、天井部材の他方側の端部に接続され、当該他方側の端部を昇降可能に支持してよい。この場合、メンテナンス時に、昇降部が天井部材の他方側の端部を降ろすことで、床の近くへ配置することができる。そのため、作業者は、他方側の端部から天井部材を登り、天井部材に設けられたメンテナンス対象物のメンテナンスを行うことができる。
【0009】
昇降部は、天井部材の全体を昇降可能に支持してよい。この場合、メンテナンス時に、昇降部が天井部材の全体を降ろすことで、メンテナンス対象物を床の近くへ配置することができる。そのため、作業者は、床の近くでメンテナンス対象物のメンテナンスを行うことができる。
【0010】
メンテナンス構造は、機関室に設けられてよい。機関室の天井は高くなる傾向にあるため、メンテナンス構造を採用することの効果がより顕著となる。
【0011】
本発明に係るメンテナンス構造は、天井側に設けられた天井部材と、天井部材に設けられたメンテナンス対象物と、天井部材の少なくとも一部を昇降させる昇降部と、を備える。このメンテナンス構造によれば、上述の船舶と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天井が高い場所であっても、天井側に存在するメンテナンス対象物を容易にメンテナンスすることができる船舶を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る船舶において、メンテナンス構造が設けられた機関室の様子を示す概略図である。
図3】変形例に係る船舶において、メンテナンス構造が設けられた機関室の様子を示す概略図である。
図4】比較例に係る船舶において、メンテナンス構造が設けられた機関室の様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の供給システムの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」の語は船体の進行方向に対応するものであり、「横」の語は船体の左右(幅)方向に対応するものであり、「上」「下」の語は船体の上下方向に対応するものである。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。船舶1は、例えば原油や液体ガス等の石油系液体貨物を運搬する船舶であり、例えば、オイルタンカーである。なお、船舶は、オイルタンカーに限定されず、例えば、バルクキャリア、その他、様々な種類の船舶であってよい。
【0016】
船舶1は、図1に示すように、船体11と、推進器12と、を備えている。船体11は、船首部2と、船尾部3と、機関室4と、ポンプ室5と、貨物室6と、を有している。船体11の上部には(または船内には)甲板19が設けられている。船首部2は、船体11の前方側に位置している。船尾部3は、船体11の後方側に位置している。船首部2は、例えば満載喫水状態における造波抵抗の低減が図られた形状を有している。推進器12は、船体11を推進させるものであり、例えばスクリューシャフトが用いられている。推進器12は、船尾部3における喫水線(海Wの水面)よりも下方に設置されている。また、船尾部3における喫水線よりも下方には、推進方向を調整するための舵15が設置されている。
【0017】
機関室4は、船尾部3の船首側に隣り合う位置に設けられている。機関室4は、推進器12に駆動力を付与するためのエンジン16を配置するための区画である。なお、機関室4には、後述のメンテナンス構造100が設けられている。ポンプ室5は、機関室4の船首側に隣り合う位置に設けられている。ポンプ室5は、ポンプ17等が配置される区画である。貨物室6は、船首部2とポンプ室5との間に設けられている。貨物室6は、石油系貨物を収容するための区画である。貨物室6は、外板20と内底板21の二重船殻構造を採用することによって、カーゴオイルタンク26とバラストタンク27とに区画されている。カーゴオイルタンク26は、船舶1によって運搬される石油系貨物を積載する。バラストタンク27は、船の大きさ等に応じた量のバラスト水を収容する。
【0018】
図2は、メンテナンス構造100が設けられた機関室4の様子を示す概略図である。図2(a)は、通常時におけるメンテナンス構造100の様子を示し、図2(b)は、メンテナンス時におけるメンテナンス構造100の様子を示す。メンテナンス構造100は、機関室4に設けられたメンテナンス対象物101のメンテナンスを行うための機構である。
【0019】
機関室4は、床31と、床31から上方に離間した天井32と、前側でポンプ室5と機関室4とを仕切る隔壁33と、後側で船尾部3と機関室4とを仕切る隔壁34と、左右の側壁と、を備える。本実施形態に係る機関室4は、床31から天井32までの空間が上下方向に連通しており、図4(a)に示す機関室4のように二層構造とはなっていない。床31には、エンジン16が設けられている。機関室4には、その他の機器や配管が多数設けられているが、ここでは省略する。
【0020】
床31から天井32までの高さは約10mとなっている。機関室4には、メンテナンス対象物101として、天井32付近の高い位置に、灯具102及び火災報知器103が設けられる。このように、灯具102及び火災報知器103は、床31から上方へ離間した位置に配置されている。
【0021】
メンテナンス構造100は、メンテナンス対象物101が床31から高い位置に存在していても、乗組員が容易にメンテナンス対象物101のメンテナンスを行えるようにするための構造である。具体的に、メンテナンス構造100は、天井部材50と、前述のメンテナンス対象物101と、ヒンジ部51と、昇降部52と、を備える。
【0022】
天井部材50は、天井32側に設けられた部材である。図2(a)に示す例では、天井部材50は、天井32と上下方向に対向した状態で、前後方向に延びている。なお、降ろしたときにエンジン16などの機関室4の機器と干渉しない限り、天井部材50が延びる方向などは特に限定されない。天井部材50は、作業者が上り下り可能な構造物によって構成される。本実施形態では、作業者が上り下り可能な構造物として、階段が採用されている。従って、天井部材50は、複数の段差部を有するように構成される。図2(a)に示す状態では、天井32と対向する上面50aが、作業者が上り下りを行う面となる。なお、天井部材50は、作業者が上り下りを行うことができる構造物であれば階段に限定されず、例えば、梯子や、格子(グレーチング)・縞鋼板(チェッカープレート)であってもよい。
【0023】
メンテナンス対象物101は、天井部材50の下面50b側に設けられる。配置は特に限定されないが、具体例として、灯具102は、天井部材50の略中央位置に設けられ、一対の火災報知器103は、灯具102を挟むように、前後に離間した位置に設けられる。メンテナンス対象物101は、作業者が上面50a側からメンテナンスを行うことができるように取り付けられている。例えば、天井部材50には、作業者が下面50b側に手を回すことができるように開口部が設けられていたり、メンテナンス対象物101の一部が上面50a側まで飛び出すように取り付けられてよい。
【0024】
ヒンジ部51は、天井部材50を回転可能に支持する部材である。ヒンジ部51は、天井32側の位置において、天井部材50の前側の端部50cを回転可能に支持する。本実施形態では、ヒンジ部51の回転軸は船体の幅方向に延びるように設定されている。従って、天井部材50の前側の端部50cは、天井32側において回転可能に支持される。天井部材50は、船体の幅方向から見て、後側の端部50dが旋回するように回転する。
【0025】
昇降部52は、天井部材50の少なくとも一部を昇降させる機器である。昇降部52は、天井部材50の後側の端部50dに接続され、当該後側の端部50dを昇降可能に支持する。昇降部52は、天井32に設けられた駆動装置53と、天井部材50と接続されるワイヤ54と、を備える。駆動装置53は、ワイヤ54の巻き上げ及び巻き下げを行うことができる。昇降部52は、通常時においては、図2(a)に示すように、天井部材50の後側の端部50dを天井32側の位置にて保持する。昇降部52は、メンテナンス時においは、図2(b)に示すように、ワイヤ54を巻き下げることによって、天井部材50の後側の端部50dを床31へ降ろす。
【0026】
図2(b)に示すように、メンテナンス時において、天井部材50の前側の端部50cは、天井32側の位置にてヒンジ部51によって支持される。また、天井部材50の後側の端部50dは、床31に設置される。これにより、作業者は、天井部材50を階段として上り下りすることが可能となる。また、階段の中途位置には、灯具102及び火災報知器103が設けられている。従って、作業者は、階段を上って灯具102、又は火災報知器103の位置まで到達したら、それらのメンテナンス対象物101のメンテナンスを階段上で行う。なお、作業者は、階段を上ることで天井32にもアクセス可能となるので、天井32のヒンジ部51付近の位置にメンテナンス対象物101を設けてもよい。また、天井部材50を降ろした結果、床31の近くに配置されたメンテナンス対象物101については、作業者は床31からメンテナンスを行ってもよい。メンテナンスの作業が完了したら、昇降部52は、ワイヤ54を巻き上げて、天井部材50の後側の端部を天井32側の位置まで上昇させる。
【0027】
次に、メンテナンス構造100を用いてメンテナンス対象物101のメンテナンスを行うタイミングについて説明する。メンテナンス構造100は、機関室4内に存在するため、エンジン16の運転タイミングを考慮してメンテナンスを行ってもよい。例えば、メンテナンス構造100は、エンジン16の停止時に、天井部材50を降ろしてメンテナンスを可能としてよい。あるいは、船舶1の停船中に、メンテナンス構造100は、天井部材50を降ろしてメンテナンスを可能としてよい。これらの場合、昇降部52が天井部材50を降ろしている途中の、及び降ろした後の天井部材50の揺動を抑制することができる。その他、寿命や故障などのタイミングでメンテナンス構造100によるメンテナンスを行ってよい。
【0028】
次に、本実施形態に係る船舶1、及びメンテナンス構造100の作用・効果について説明する。
【0029】
まず、図4を参照して、比較例に係る船舶について説明する。図4(a)に示す船舶では、機関室4が二層構造になっており、一層と二層を区切るデッキ36が設けられる。この場合、一層の空間には、天井であるデッキ36側にメンテナンス対象物101が設けられる。また、二層の空間には、天井32側にメンテナンス対象物101が設けられる。一層の天井高さ、及び二層の天井高さはそれぞれ5m程度である。この場合、各層のメンテナンス対象物101は、床からそれほど高い位置に設けられないため、作業者は、メンテナンスを行うときには、ポータブル式の梯子等を用いてメンテナンスを行うことができる。
【0030】
これに対し、図4(b)に示す船舶では、機関室4にデッキ36が設けられておらず、床31から天井32が高い位置に配置される。この場合、メンテナンス対象物101が床31から高い位置に配置される。しかしながら、このように天井32が高い場合、ポータブル式の梯子等を用いてメンテナンス対象物を行うことは困難である。また、エンジン16のメンテナンス用のクレーンは、範囲が限定的であるため、メンテナンス対象物101の配置によっては、上手くメンテナンスを行えない場合がある。また、固定式の垂直梯子を用いる場合、垂直梯子の数が大量になる。また、垂直梯子には数m毎に落下防止のフープが必要になるが、天井32が高い場合、当該フープが膨大になるという問題がある。以上より、天井32が高い場所では、天井32側に存在するメンテナンス対象物101のメンテナンスが困難になるという問題がある。
【0031】
本実施形態に係る船舶1によれば、メンテナンス対象物101が、天井32側に設けられた天井部材50に設けられている。また、昇降部52は、天井部材50の少なくとも一部を昇降させることができる。これにより、メンテナンス時には、昇降部52は、天井部材50の少なくとも一部を低い位置へ移動させることができる。そのため、作業者は、低い位置まで降下したメンテナンス対象物101をメンテナンスすることができる、または低い位置まで降下した天井部材50を登ることでメンテナンス対象物101をメンテナンスすることができる。これにより、天井32が高い場合であっても、天井32側に存在するメンテナンス対象物101を容易にメンテナンスすることができる。
【0032】
天井部材50は、作業者が上り下り可能な構造物によって構成され、天井部材50の一方側の端部50cは天井32側において回転可能に支持され、昇降部52は、天井部材50の他方側の端部50dに接続され、当該他方側の端部50dを昇降可能に支持してよい。この場合、メンテナンス時に、昇降部52が天井部材50の他方側の端部50dを降ろすことで、床31の近くへ配置することができる。そのため、作業者は、他方側の端部から天井部材50を登り、天井部材50に設けられたメンテナンス対象物101のメンテナンスを行うことができる。
【0033】
昇降部52は、天井部材50の全体を昇降可能に支持してよい。この場合、メンテナンス時に、昇降部52が天井部材50の全体を降ろすことで、メンテナンス対象物101を床の近くへ配置することができる。そのため、作業者は、床31の近くでメンテナンス対象物101のメンテナンスを行うことができる。
【0034】
メンテナンス構造100は、機関室4に設けられてよい。機関室4の天井32は高くなる傾向にあるため、メンテナンス構造100を採用することの効果がより顕著となる。
【0035】
本実施形態に係るメンテナンス構造100は、天井32側に設けられた天井部材50と、天井部材50に設けられたメンテナンス対象物101と、天井部材50の少なくとも一部を昇降させる昇降部52と、を備える。このメンテナンス構造100によれば、上述の船舶1と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0036】
本発明に係る船舶1は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0037】
例えば、図3に示すメンテナンス構造100が採用されてもよい。図3に示すメンテナンス構造100において、昇降部52は、天井部材60の全体を昇降可能に支持する。図3の天井部材60は、図2に示すような上り下り構造としての機能は有しておらず、メンテナンス対象物101を取り付けるだけの機能を有する。
【0038】
天井32には、天井部材60の長手方向に互いに離間するように、一対の昇降部52が設けられる。前側の昇降部52は、天井部材60の前側の端部60aを昇降させる。後側の昇降部52は、天井部材60の後側の端部60bを昇降させる。ただし、昇降部52の数は限定されず、三つ以上であってもよい。
【0039】
図3(a)に示すように、通常時においては、一対の昇降部52は、天井部材60が天井32側の位置にて水平となるように、天井部材60を支持する。メンテナンス時には、図3(b)に示すように、一対の昇降部52は、天井部材60を水平に保った状態で、全体的に降ろす。一対の昇降部52は、作業者が床31上でメンテナンス対象物101のメンテナンスを行える高さまで降ろす。これにより、作業者は、床31上に居たままで、メンテナンス対象物101のメンテナンスを行うことができる。
【0040】
以上のように、昇降部52は、天井部材60の全体を昇降可能に支持してよい。この場合、メンテナンス時に、昇降部52が天井部材50の全体を降ろすことで、メンテナンス対象物101を床31の近くへ配置することができる。そのため、作業者は、床31の近くでメンテナンス対象物101のメンテナンスを行うことができる。
【0041】
なお、天井部材50,60の配置は特に限定されない。例えば、図2及び図3に示す例では、天井部材50,60は、長手方向に延びるような構成を有していたが、船舶1の幅方向に延びる構成を有していてもよい。このとき、天井部材50を回転可能に支持するヒンジ部51の回転軸の方向も変更される。天井部材50の場合、ヒンジ部51の位置は特に限定されず、天井部材50の後側の端部を支持してもよい。また、室内の天井部材50,60の数は限定されず、室内に複数の天井部材50,60が設けられてもよい。
【0042】
メンテナンス構造100が設けられる部屋は、機関室4に限定されない。例えば、ポンプ室5、その他船舶1の室内にメンテナンス構造100が設けられてもよい。
【0043】
なお、本発明のメンテナンス構造は、二層構造の機関室(室内)に適用してもよいし、更に多層構造の機関室に適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…船舶、4…機関室、50,60…天井部材、52…昇降部、100…メンテナンス構造、101…メンテナンス対象物。
図1
図2
図3
図4