(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】乗りかご及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B66B11/02 F
B66B11/02 J
(21)【出願番号】P 2021074956
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 延明
(72)【発明者】
【氏名】永尾 章
(72)【発明者】
【氏名】小迫 龍朗
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114603(JP,A)
【文献】特開2015-003820(JP,A)
【文献】特開2005-200128(JP,A)
【文献】特開平09-040327(JP,A)
【文献】特開平02-305789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のかご室と、
前記かご室の上部に設置された空調装置と、
前記かご室の天井を構成する天井パネルと、を備え、
前記天井パネルは、
前記かご室の内部を臨む意匠パネルと、
前記意匠パネルよりも上下方向の上方に配置され、前記空調装置から送風された空気を送り出す吹き出し口が形成された天井フレームと、を備え、
前記吹き出し口よりも上下方向の上部には、前記吹き出し口から吹き出される前記空気の風向きを前記かご室の壁面から離反する方向に向ける傾斜面部を有する送風壁が配置され
、
前記天井フレームは、前記吹き出し口が形成された第1フレームと、
前記第1フレームよりも上下方向の下方に配置され、前記意匠パネルを支持する第2フレームと、を有し、
前記第2フレームの水平方向の面積は、前記第1フレームよりも小さく形成されている
乗りかご。
【請求項2】
前記吹き出し口は、前記意匠パネルの外縁部よりも前記かご室の壁面側に形成される
請求項1に記載の乗りかご。
【請求項3】
前記天井フレームの上部には、前記空調装置と配管を介して接続され、前記かご室に空気を送風する送風ダクトが設けられ、
前記送風壁の前記傾斜面部は、前記送風ダクトの内部に形成される
請求項1に記載の乗りかご。
【請求項4】
前記送風ダクトの内部には、
前記傾斜面部が形成された第1送風壁と、
前記第1送風壁と対向して配置されて、送風路を形成する第2送風壁と、が設けられ、
前記第2送風壁には、前記送風路の開口径を狭くする導入面が形成される
請求項3に記載の乗りかご。
【請求項5】
前記第1フレームには、前記吹き出し口に連通する送風路が形成され、
前記送風壁は、前記送風路が配置される
請求項
1に記載の乗りかご。
【請求項6】
前記送風路には、前記送風壁と対向して配置され、前記送風路の開口径を狭くする導入板が配置される
請求項
5に記載の乗りかご。
【請求項7】
前記吹き出し口と前記意匠パネルとの水平方向の間隔の長さは、前記傾斜面部の傾斜角度に応じて設定される
請求項1に記載の乗りかご。
【請求項8】
前記傾斜面部の傾斜角度は、前記吹き出し口と前記意匠パネルとの水平方向の間隔の長さに応じて設定される
請求項1に記載の乗りかご。
【請求項9】
昇降路内を昇降動作する乗りかごを備え、
前記乗りかごは、
中空のかご室と、
前記かご室の上部に設置された空調装置と、
前記かご室の天井を構成する天井パネルと、を備え、
前記天井パネルは、
前記かご室の内部を臨む意匠パネルと、
前記意匠パネルよりも上下方向の上方に配置され、前記空調装置から送風された空気を送り出す吹き出し口が形成された天井フレームと、を備え、
前記吹き出し口よりも上下方向の上部には、前記吹き出し口から吹き出される前記空気の風向きを前記かご室の壁面から離反する方向に向ける傾斜面部を有する送風壁が配置され
、
前記天井フレームは、前記吹き出し口が形成された第1フレームと、
前記第1フレームよりも上下方向の下方に配置され、前記意匠パネルを支持する第2フレームと、を有し、
前記第2フレームの水平方向の面積は、前記第1フレームよりも小さく形成されている
エレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかご、及びこの乗りかごを備えたエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかごには、空調装置が設置されている。この空調装置の吹き出し口は、乗りかごを構成するかご室の天井部に設けられている。乗りかごの空調装置に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、取り付けられた状態で乗りかご室内と乗りかご上部の間に空気流路を構成し、空気流路の水平断面形状が矩形である第1ダクト部材と、第1ダクト部材の上部開口に接続される第2ダクト部材と、を有するダクト装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調装置の吹き出し口は、乗りかごの美観を向上させるために、天井パネルに設けた意匠面を避けて形成されていた。そのため、吹き出し口は、天井パネルの外縁部、すなわちかご室の側面パネルに近接して配置される。その結果、従来の乗りかごでは、吹き出し口からかご室内に吹き出された冷風がかご室の側面パネルにあたり、側面パネルに結露が生じ、冷却効果が低下していた。
【0005】
本目的は、上記の問題点を考慮し、かご室内を効率的に冷やすことができる乗りかご及びエレベーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるなら、本発明の乗りかごは、中空のかご室と、かご室の上部に設置された空調装置と、かご室の天井を構成する天井パネルと、を備えている。天井パネルは、かご室の内部を臨む意匠パネルと、意匠パネルよりも上下方向の上方に配置され、空調装置から送風された空気を送り出す吹き出し口が形成された天井フレームと、を備えている。そして、吹き出し口よりも上下方向の上部には、吹き出し口から吹き出される空気の風向きをかご室の壁面から離反する方向に向ける傾斜面部を有する送風壁が配置される。
【0007】
また、エレベーターは、昇降路内を昇降移動する乗りかごを備えている。乗りかごは、上述した乗りかごが適用される。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の乗りかご及びエレベーターによれば、かご室内を効率的に冷やすことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態例にかかるエレベーターの乗りかごを示す概略構成図である。
【
図2】第1の実施の形態例にかかるエレベーターの乗りかごのかご室内を示す断面図である。
【
図3】第1の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図である。
【
図4】第2の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図である。
【
図5】第2の実施の形態例にかかる乗りかごにおける送風路を示す分解斜視図である。
【
図6】第3の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図である。
【
図7】第3の実施の形態例にかかる乗りかごにおける送風路を示す分解斜視図である。
【
図8】第4の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態例にかかる乗りかご及びエレベーターについて、
図1~
図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0011】
1.第1の実施の形態例
1-1.乗りかごの構成
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる乗りかごの構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターの乗りかごの構成例を示す概略構成図である。
図2は、乗りかごのかご室内を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、本例のエレベーターの乗りかご1は、かご室10と、かご室10を指示するフレーム枠11と、空調装置12と、ドアユニット24とを備えている。かご室10は、不図示の防振部材を介してフレーム枠11に支持される。
【0013】
図1及び
図2に示すように、かご室10は、天井パネル20と、正面パネル21と、3つの側面パネル22と、床面パネル23とを有している。床面パネル23は、矩形状に形成されており、かご室10の床面となる。床面パネル23の周囲には、正面パネル21と、3つの側面パネル22が床面パネル23に対して垂直に立設されている。
【0014】
正面パネル21には、出入り口が設けられている。正面パネル21の出入り口には、ドアユニット24を構成するかごドアが開閉可能に設置されている。また、正面パネル21の上下方向の下部には、ドアシル25が設置されている。ドアユニット24のかごドアは、ドアシル25に移動可能に支持される。
【0015】
正面パネル21と、3つの側面パネル22で形成された上部の開口を塞ぐようにして、天井パネル20が設置される。そして、天井パネル20は、床面パネル23と上下方向で対向する。
【0016】
天井パネル20の上下方向の上部には、空調装置12に設置されている。空調装置12は、かご室10内で空気を循環させる循環式の空調装置である。空調装置12は、冷気をかご室10内に送風する送風ダクト13と、かご室10内に空気を吸引する吸引ダクト14とを有している。送風ダクト13は、空調装置12に配管15を介して接続されており、同様に、吸引ダクト14は、空調装置12に配管16を介して接続されている。
【0017】
送風ダクト13は、天井パネル20における正面パネル21側の端部に設置されている。吸引ダクト14は、天井パネル20における正面パネル21と対向する側面パネル22(以下、背面パネルという)側の端部に設置されている。なお、ここでは、送風ダクト13を正面パネル21側に設置し、吸引ダクト14を背面パネル側に設置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、送風ダクト13を背面パネル側に設置し、吸引ダクト14を正面パネル21側に設置してもよい。または、送風ダクト13と吸引ダクト14を天井パネル20における正面パネル21及び背面パネルとは異なる側面パネル22側の端部に設置してもよい。
【0018】
また、
図2に示すように、天井パネル20は、意匠パネル26と、天井フレーム31と、を有している。意匠パネル26は、かご室10の内部空間を臨むようにして配置されている。意匠パネル26には、照明器具が設置される。意匠パネル26は、床面パネル23よりも小さく形成されている。そのため、意匠パネル26の外縁部と、正面パネル21及び3つの側面パネル22との間には、隙間が形成される。この意匠パネル26は、天井フレーム31によりかご室10の上下方向の上部に支持される。天井フレーム31には、送風ダクト13が設置される。また、天井フレーム31には、送風ダクト13の下部に設けたダクト口13aに連通する吹き出し口31aが形成されている。また、吹き出し口31aは、意匠パネル26の外縁部よりも正面パネル21側、すなわちかご室10を形成する壁面側に形成される。
【0019】
このように、吹き出し口31aを意匠パネル26よりも上下方向の上方に配置される天井フレーム31に設けることで、かご室10内から吹き出し口31aが視認されにくくなる。これにより、吹き出し口31aが露出することで、乗りかご1の美観が低下することを抑制できる。
【0020】
1-2.吹き出し口周りの構成例
図3は、吹き出し口31a周りを拡大して示す説明図である。
図3に示すように、送風ダクト13の内部には、送風路を形成する第1送風壁32と、第2送風壁33が設けられている。第1送風壁32及び第2送風壁33は、送風ダクト13のダクト口13aにおける吹き出し口31a側の端部に配置される。第1送風壁32と第2送風壁33は、互いに対向して配置されている。第1送風壁32は、正面パネル21側、すなわちかご室10の外側に配置されている。第2送風壁33は、第1送風壁32よりもかご室10の内側に配置されている。そして、第1送風壁32と第2送風壁33により、送風ダクト13から送風される空気の送風路を形成する。
【0021】
第1送風壁32における吹き出し口31a側の端部には、傾斜面部32aが設けられている。傾斜面部32aは、第1送風壁32が吹き出し口31aに近づくにつれて、かご室10の正面パネル21から連続して離れる方向に向けて傾斜している。すなわち、傾斜面部32aは、かご室10の内側に向けて傾斜している。
【0022】
第2送風壁33は、傾斜面部33aと、導入面33bとを有している。傾斜面部33aは、第1送風壁32の傾斜面部32aと同様に、吹き出し口31a側の端部に形成されている。そして、傾斜面部33aは、第2送風壁33が吹き出し口31aに近づくにつれて、かご室10の正面パネル21から連続して離れる方向に向けて傾斜している。すなわち、傾斜面部33aは、第1送風壁32の傾斜面部32aと同様に、かご室10の内側に向けて傾斜している。
【0023】
第1送風壁32及び第2送風壁33に傾斜面部32a、33aを設けたことで、
図2に示すように、吹き出し口31aから吹き出される空気の風向きをかご室10の内側、すなわち壁面から離反する方向に向けることができる。これにより、吹き出し口31aから吹き出された空気が正面パネル21や、側面パネル22に当たることを防止でき、正面パネル21や側面パネル22に結露が生じることを抑制できる。その結果、かご室10内の効率的に冷やすことができる。
【0024】
また、風向きを変える傾斜面部32a、33aは、吹き出し口31aよりも上下方向の上方に配置されている。さらに、上述したように、吹き出し口31aは、意匠パネル26よりも上下方向の上方に配置されている。これにより、かご室10内から傾斜面部32a、33aが視認されにくくなり、傾斜面部32a、33aが露出して、乗りかご1の美観が低下することを抑制できる。
【0025】
さらに、空気が吹き出し口31aからかご室10の内側に向けて吹き出されることで、吸引ダクト14から空気を効率よく吸引することができ、空調装置12の循環効率を高めることができる。
【0026】
また、吹き出し口31aと意匠パネル26との水平方向の間隔の長さH1は、第1送風壁32及び第2送風壁33の傾斜面部32a、33aの傾斜角度、すなわち吹き出し口31aから吹き出される空気の向き(以下、単に「風向き」という)L1に応じて設定される。具体的には、吹き出し口31aから吹き出された空気が、意匠パネル26における外縁部26aに当たらない間隔の長さH1に設定される。これにより、意匠パネル26に空気が当たることで、風向きL1が変化したり、冷却効率が低下したりすることを防止することができる。
【0027】
吹き出し口31aと意匠パネル26の間隔の長さH1を、傾斜面部32a、33aの傾斜角度、すなわち風向きL1に応じて設定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、吹き出し口31aと意匠パネル26の間隔の長さH1に応じて、傾斜面部32a、33aの傾斜角度を設定してもよい。すなわち、吹き出し口31aと意匠パネル26の間隔の長さH1に応じて、吹き出し口31aから吹き出された空気が、意匠パネル26における外縁部26aに当たらない角度に傾斜面部32a、33aの傾斜角度を設定する。
【0028】
また、導入面33bは、傾斜面部33aにおける吹き出し口31a側の端部と反対側の端部に連続して形成されている。導入面33bは、傾斜面部33aに近づくにつれて正面パネル21に接近する方向、すなわち第1送風壁32に接近する方向に傾斜している。第1送風壁32と第2送風壁33で形成される送風路には、導入面33bによってその開口径が窄まる箇所(以下、くびれ部という)Q1が形成される。このように、送風路にくびれ部Q1を設けたことで、送風路を通過する空気の流速を高めることができ、空調装置12による冷却効果を高めることができる。
【0029】
2.第2の実施の形態例
次に、
図4及び
図5を参照して第2の実施の形態例にかかる乗りかごについて説明する。
図4は、第2の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図、
図5は、第2の実施の形態にかかる乗りかごの送風路を示す分解斜視図である。なお、第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、第2の実施の形態例にかかる乗りかごの天井フレーム40は、第1フレーム41と、第2フレーム42の二重構造になっている。第1フレーム41は、第2フレーム42の上下方向の上部に重ねて配置されている。第1フレーム41の外縁部は、正面パネル21や側面パネル22(
図2参照)の上部に配置される。
【0031】
第2フレーム42の上下方向の下部には、意匠パネル26が配置される。そして、第2フレーム42は、意匠パネル26を支持する。第2フレーム42の水平方向の面積は、第1フレーム41よりも小さく形成されている。そのため、第2フレーム42の外縁部と、正面パネル21及び3つの側面パネル22との間には、意匠パネル26と同様に、隙間が形成される。
【0032】
第1フレーム41の上下方向の上部には、送風ダクト13が設置される。そして、送風ダクト13のダクト口13aは、第1フレーム41を臨む。また、第1フレーム41におけるダクト口13aを臨む位置には、送風路49が形成されている。ここで、第1フレーム41は、4つの枠体43を四角形状に囲むことで形成されている。枠体43は、上下方向で切断した断面形状がコの字状の鋼材により形成されている。そして、枠体43は、正面パネル21や側面パネル22の上部に配置される。
【0033】
図4及び
図5に示すように、送風路49は、第1フレーム41を構成する枠体43と、吹き出し口形成部44と、送風壁を示す傾斜板45と、風路形成部46により形成されている。吹き出し口形成部44は、略L字状の部材により形成されている。吹き出し口形成部44は、下面部44bと、枠体43に固定される固定面部44cとを有している。固定面部44cは、下面部44bの端部から略垂直に屈曲している。また、固定面部44cは、溶接や、固定ボルトによる締結により枠体43に固定される。
【0034】
下面部44bは、正面パネル21と第2フレーム42との間に形成された隙間を臨む。そして、下面部44bには、吹き出し口44aが形成されている。吹き出し口形成部44における固定面部44cには、傾斜板45が取り付けられる。傾斜板45は、固定面部44cにおける枠体43と対向する一面とは反対側の固定面部44cの他面に取り付けられる。
【0035】
傾斜板45は、傾斜面部45aを有している。傾斜面部45aの上下方向の下端部は、吹き出し口44aの外縁部に接近して配置される。傾斜面部45aは、吹き出し口44aに近づくにつれて正面パネル21から離れる方向に傾斜している。すなわち、傾斜面部45aは、かご室10の内側に向けて傾斜している。
【0036】
図5に示すように、風路形成部46は、主面部46aと、2つの脚部46b、46bとを有している。主面部46aは、吹き出し口形成部44の固定面部44cと対向して配置される。2つの脚部46b、46bは、主面部46aの両端部から固定面部44cに向けて屈曲している。2つの脚部46b、46bは、固定面部44cにおける枠体43と対向する一面とは固定面部44cの反対側の他面に取り付けられる。風路形成部46は、主面部46aと、2つの脚部46b、46bにより傾斜板45を囲む。そして、枠体43と、吹き出し口形成部44と、傾斜板45と、風路形成部46により送風路49が形成される。
【0037】
なお、第2の実施の形態例では、平板状の部材を折り曲げることで送風路49を形成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、筒状の部材で送風路49を形成し、筒状の部材を第1フレーム41に取り付けてもよい。
【0038】
吹き出し口44aと意匠パネル26との水平方向の間隔の長さH2は、傾斜板45の傾斜面部45aの傾斜角度、すなわち吹き出し口44aから吹き出される空気の向き(以下、単に「風向き」という)L2に応じて設定される。これにより、意匠パネル26に空気が当たることで、風向きL2が変化したり、冷却効率が低下したりすることを防止することができる。また、吹き出し口44aと意匠パネル26の間隔の長さH2に応じて、傾斜面部45aの傾斜角度を設定してもよい。
【0039】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する第2の実施の形態例にかかる乗りかごにおいても、上述した第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
なお、第2の実施の形態例にかかる乗りかごによれば、天井フレーム40を二重構造にし、その最上部のパネルである第1フレーム41に吹き出し口44a及び傾斜板45を設けている。これにより、かご室10内から吹き出し口44a及び傾斜板45を、より見えにくくすることができ、乗りかご1の美観の向上を図ることができる。
【0041】
3.第3の実施の形態例
次に、
図6及び
図7を参照して第3の実施の形態例にかかる乗りかごについて説明する。
図6は、第3の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図、
図7は、第3の実施の形態にかかる乗りかごの送風路を示す分解斜視図である。なお、第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と共通する部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、第3の実施の形態例にかかる乗りかごの天井フレーム40Bは、第2の実施の形態例にかかる天井フレーム40と同様に、第1フレーム41Bと、第2フレーム42の二重構造になっている。第2フレーム42の構成は、第2の実施の形態例にかかる第2フレーム42と同様であるため、その説明は省略する。
【0043】
第1フレーム41Bの上下方向の上部には、送風ダクト13が設置される。そして、送風ダクト13のダクト口13aは、第1フレーム41Bを臨む。また、第1フレーム41Bにおけるダクト口13aを臨む位置には、送風路59が形成されている。
【0044】
第1フレーム41Bは、第2の実施の形態例にかかる第1フレーム41と同様に、4つの子の字状の枠体53により形成されている。枠体53は、接続面部53aと、上面部53bと、下面部53cとを有している。上面部53bと下面部53cは、上下方向で対向している。そして、上面部53bと下面部53cは、接続面部53aにより接続される。また、下面部53cの一部は、正面パネル21や側面パネル22の上部に配置される。そして、下面部53cの残りの一部は、正面パネル21と第2フレーム42との間に形成された隙間を臨む。
【0045】
図6及び
図7に示すように、送風路59は、枠体53と、傾斜板55と、風路形成部56により形成されている。枠体53の上面部53bには、上部吹き出し口53dが形成されており、下面部53cには、下部吹き出し口53eが形成されている。
【0046】
風路形成部56は、主面部56aと、2つの脚部56b、56bとを有している。主面部56aは、枠体53の接続面部53aと対向して配置される。2つの脚部56b、56bは、主面部56aの両端部から接続面部53aに向けて屈曲している。2つの脚部56b、56bは、枠体53の接続面部53aに取り付けられる。そして、風路形成部56と、接続面部53aにより、上部吹き出し口53dと下部吹き出し口53eを連通する送風路59が形成される。このように、第2の実施の形態例にかかる乗りかごでは、第1フレーム41の内側に送風路49が形成されているのに対して、第3の実施の形態例にかかる乗りかごでは、第1フレーム41Bの外縁部に送風路59が形成される。
【0047】
また、風路形成部56には、送風壁を示す傾斜板55が取り付けられる。傾斜板55は、風路形成部56の主面部56aにおける接続面部53aと対向する一面に取り付けられる。傾斜板55は、第2の実施の形態例にかかる傾斜板45と同様に、傾斜面部55aを有している。傾斜面部55aの上下方向の下端部は、下部吹き出し口53eの外縁部に接近して配置される。傾斜面部55aは、下部吹き出し口53eに近づくにつれて正面パネル21から離れる方向に傾斜している。すなわち、傾斜面部55aは、かご室10の内側に向けて傾斜している。
【0048】
また、下部吹き出し口53eと意匠パネル26との水平方向の間隔の長さH3は、傾斜板55の傾斜面部55aの傾斜角度、すなわち下部吹き出し口53eから吹き出される空気の向き(以下、単に「風向き」という)L3に応じて設定される。これにより、意匠パネル26に空気が当たることで、風向きL3が変化したり、冷却効率が低下したりすることを防止することができる。また、下部吹き出し口53eと意匠パネル26の間隔の長さH3に応じて、傾斜面部55aの傾斜角度を設定してもよい。
【0049】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と同様であるため、それらの説明は省略する、このような構成を有する第3の実施の形態例にかかる乗りかごにおいても、上述した第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
4.第4の実施の形態例
次に、
図8を参照して第4の実施の形態例にかかる乗りかごについて説明する。
図8は、第4の実施の形態例にかかる乗りかごの吹き出し口周りを拡大して示す説明図である。なお、第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と共通する部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
この第4の実施の形態例にかかる乗りかごは、第3の実施の形態例にかかる送風路59にくびれ部Q2を設けたものである。そのため、第3の実施の形態例にかかる乗りかごと共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0052】
図8に示すように、天井フレーム40Cは、第1フレーム41Cと、第2フレーム42とを有している。第1フレーム41Cの外縁部には、送風路59Cが形成されている。送風路59Cは、枠体53と、傾斜板55と、風路形成部56により形成される。また、送風路59C内には、導入板57が設けられている。導入板57は、傾斜板55と対向して配置される。
【0053】
導入板57は、傾斜板55と同様に、傾斜面部57aを有している。傾斜面部57aは、下部吹き出し口53e側の端部に形成されている。そして、傾斜面部57aは、導入板57が下部吹き出し口53eに近づくにつれて、かご室10の正面パネル21から連続して離れる方向に向けて傾斜している。すなわち、傾斜面部57aは、傾斜板55の傾斜面部55aと同様に、かご室10の内側に向けて傾斜している。
【0054】
また、導入板57は、導入面57bを有している。導入面57bは、傾斜面部57aにおける下部吹き出し口53e側の端部と反対側の端部に連続して形成されている。導入面57bは、傾斜面部57aに近づくにつれて正面パネル21に接近する方向、すなわち傾斜板55に接近する方向に傾斜している。導入面57bにより、送風路59Cには、開口径が狭くなったくびれ部Q2が形成される。その結果、送風路59Cにくびれ部Q2を設けたことで、送風路59Cを通過する空気の流速を高めることができる。
【0055】
なお、第4の実施の形態例にかかる乗りかごでも、他の実施の形態例と同様に、下部吹き出し口53eと意匠パネル26との水平方向の間隔の長さH4は、傾斜板55及び導入板57の傾斜面部55a、57aの傾斜角度、すなわち風向L4に応じて設定される。これにより、意匠パネル26に空気が当たることで、風向きL4が変化したり、冷却効率が低下したりすることを防止することができる。また、下部吹き出し口53eと意匠パネル26の間隔の長さH4に応じて、傾斜面部55aの傾斜角度を設定してもよい。
【0056】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する第4の実施の形態例にかかる乗りかごにおいても、上述した第1の実施の形態例にかかる乗りかご1と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
また、第2の実施の形態例にかかる送風路49に、第4の実施の形態例にかかる送風路59Cと同様に、導入板57を設けてもよい。なお、第2の実施の形態例にかかる送風路49では、風路形成部46の主面部46aを折り曲げることで、傾斜面部及び導入面を形成してもよい。
【0058】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0059】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…乗りかご、10…かご室、 12…空調装置、 13…送風ダクト、 13a…ダクト口、 14…吸引ダクト、 15、16…配管、 20…天井パネル、 21…正面パネル(壁面)、 22…側面パネル(壁面)、 23…床面パネル、 26…意匠パネル、 26a…外縁部、 31、40、40B、40C…天井フレーム、 31a、44a…吹き出し口、 32…第1送風壁、 32a、33a、55a、57a…傾斜面部、 33…第2送風壁、 33b、57b…導入面、 41、41B、41C…第1フレーム、 42…第2フレーム、 43、53…枠体、 44…吹き出し口形成部、 45、55…傾斜板(送風壁)、 46…風路形成部、 49、59、59C…送風路、 53d…上部吹き出し口、 53e…下部吹き出し口 57…導入板