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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】光走査装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/04 20060101AFI20241022BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241022BHJP
   G02B 26/12 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
G03G15/04
G03G21/16 161
G02B26/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021081384
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022175174
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】中尾 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】元山 貴晴
(72)【発明者】
【氏名】山本 弥史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀礼
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-054803(JP,A)
【文献】特開平07-068836(JP,A)
【文献】特開2001-044655(JP,A)
【文献】特開2006-150687(JP,A)
【文献】特開2016-057506(JP,A)
【文献】特開平9-191529(JP,A)
【文献】実開平7-042537(JP,U)
【文献】実開昭64-040224(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/04
G03G 21/16
G02B 26/12
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品と、前記光学部品を収容する光学箱とを備える光走査装置であって、
前記光学箱は、
底壁と、前記底壁の周縁部から立設する枠状の側壁とを有する箱本体、および
前記箱本体の上開口を閉塞する天壁と、前記側壁に外嵌めされる枠状の第1嵌合壁部とを有する蓋部材を含み、
前記側壁に形成される第1係合部、
前記第1嵌合壁部に弾性変形可能に形成され、前記第1係合部と係合して前記箱本体に対して前記蓋部材を係止する第2係合部、
前記第1係合部の内側に空間を形成するように前記箱本体に立設され、両側部が前記側壁と連結される縦壁、および
前記第1係合部と前記縦壁との間の前記空間内に入り込むように前記天壁から前記底壁に向かって突出し、両側部が前記第1嵌合壁部に連結される第1遮壁を備える、光走査装置。
【請求項2】
前記第1係合部は、係止突起を含み、
前記第2係合部は、前記係止突起と係合する係止孔を含む、請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
前記蓋部材は、
前記側壁に内嵌めされる枠状の第2嵌合壁部、および
前記第1遮壁との間に前記縦壁を挟み込むように前記天壁から前記底壁に向かって突出し、両側部が前記第2嵌合壁部に連結される第2遮壁を備える、請求項1または2記載の光走査装置。
【請求項4】
前記側壁は、前記第1係合部の両側に形成されるスリットを有し、
前記第1遮壁と前記第1嵌合壁部との連結部は、前記スリット内に嵌め入れられる、請求項1から3のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項5】
前記天壁は、平面視で矩形状に形成され、
前記第1嵌合壁部は、4つの壁部を有する矩形枠状に形成され、
前記第2係合部は、4つの前記壁部のそれぞれに設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
前記天壁は、前記光学部品から出射された光を通す長方形の窓を有しており、
前記窓の延びる方向において対向する2つの前記壁部に設けられた前記第2係合部は、平面視で前記窓の延長線上から外れた位置に設けられる、請求項5記載の光走査装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の光走査装置を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光走査装置および画像形成装置に関し、特にたとえば、光学部品と光学部品を収容する光学箱とを備える、光走査装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光走査装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の光走査装置(光書込装置)は、光学素子が取付けられているハウジングと、ハウジングの上開口部を閉塞するカバー部材とを備える。そして、ハウジングおよびカバー部材の2部材間の締結部は、複数箇所あり、その締結手段が2部材間を全方位で完全に締結固定しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-150687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、光学箱を構成するハウジング(箱本体)とカバー部材(蓋部材)との締結手段として、部材の撓み(弾性変形)を利用するスナップフィット方式の締結手段が用いられる。すなわち、カバー部材には、ハウジングの突起(係止突起)と係合する孔(係止孔)が形成されているが、この孔は、金型の都合上、カバー部材の天壁まで突き抜けるものとなる。このため、特許文献1の技術では、カバー部材の孔の部分から粉塵および埃などの異物が光学箱内に侵入してしまう恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、光走査装置および画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、光学箱内への異物の侵入を適切に防止できる、光走査装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、光学部品と、光学部品を収容する光学箱とを備える光走査装置であって、光学箱は、底壁と、底壁の周縁部から立設する枠状の側壁とを有する箱本体、および箱本体の上開口を閉塞する天壁と、側壁に外嵌めされる枠状の第1嵌合壁部とを有する蓋部材を含み、側壁に形成される第1係合部、第1嵌合壁部に弾性変形可能に形成され、第1係合部と係合して箱本体に対して蓋部材を係止する第2係合部、第1係合部の内側に空間を形成するように箱本体に立設され、両側部が側壁と連結される縦壁、および第1係合部と縦壁との間の空間内に入り込むように天壁から底壁に向かって突出し、両側部が第1嵌合壁部に連結される第1遮壁を備える、光走査装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1係合部の内側に空間を形成するように箱本体に縦壁を設けると共に、その空間内に入り込む第1遮壁を蓋部材に設けたので、光学箱内への異物の侵入を適切に防止できる。
【0009】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の第1実施例の画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
図2】露光ユニットの外観を示す斜視図である。
図3】露光ユニットが備える光学箱の箱本体を示す斜視図である。
図4】箱本体の第1係合部周辺部分を示す斜視図である。
図5】光学箱の蓋部材の上面側を示す斜視図である。
図6】蓋部材の下面側を示す斜視図である。
図7】蓋部材の第2係合部周辺部分を上側から見た様子を示す斜視図である。
図8】蓋部材の第2係合部周辺部分を下側から見た様子を示す斜視図である。
図9】光学箱の係合部周辺部分を示す斜視図である。
図10】光学箱の係合部周辺部分を示す縦断面図である。
図11】光学箱の係合部周辺部分を示す横断面図である。
図12】この発明の第2実施例の画像形成装置が備える光学箱の係合部周辺部分を示す縦断面図である。
図13】この発明の第3実施例の画像形成装置が備える光学箱の係合部周辺部分を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。詳細は後述するように、画像形成装置10は、光走査装置の一例である露光ユニット32を備える。
【0012】
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。なお、この第1実施例では、画像形成装置10を操作するユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作パネル(図示せず)が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定する。また、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。前後、左右および上下の各方向は、図中に矢印で示す方向と一致する。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0014】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示などの入力操作を受け付ける操作パネルが設けられる。この操作パネルには、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイおよび各種の操作ボタン等が適宜設けられる。
【0015】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0016】
装置本体12には、CPUやメモリ等を含む制御部(図示せず)および画像形成部30等が内蔵される。制御部は、操作パネル等への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0017】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48等から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ50に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0018】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0019】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体であり、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能とされる。帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。
【0020】
露光ユニット32は、レーザダイオード32aおよびポリゴンミラー32b等の光学部品と、光学部品を所定の配置態様で収容する光学箱60とを含むレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光ユニット32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。なお、光学箱60の具体的構成については、後述する。
【0021】
現像ユニット34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものであって、感光体ドラム36にトナーを供給する現像ローラ等を備える。クリーナユニット38は、中間転写ベルト52へのトナー像の転写後において、感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0022】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト52、駆動ローラ、従動ローラおよび4つの中間転写ローラ54等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト52は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ54を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト52に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト52上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラの近傍には、転写ローラ44が配置されており、中間転写ベルト52と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト52に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0023】
定着ユニット46は、ヒートローラおよび加圧ローラを備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラと加圧ローラとの間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0024】
また、装置本体12内には、給紙トレイ48等からの用紙をレジストローラ56、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ50に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ58が適宜設けられる。
【0025】
次に、露光ユニット32が備える光学箱60の構成について具体的に説明する。なお、この発明で言う「外嵌め」、「内嵌め」、「嵌合」および「嵌め入れる」などの語句は、緊密にぴったりと合うように嵌め合わされるというだけでなく、多少のガタ(隙間)を有する状態で嵌め合わされることも包含する概念で使用するものである。
【0026】
図2に示すように、露光ユニット32は、レーザダイオード32a等の光学部品を収容する光学箱60を備える。光学箱60は、光学部品が所定の配置態様で取り付けられる上側開口の箱本体62と、箱本体62の上部に着脱自在に取り付けられる蓋部材64とを含む。この蓋部材64は、後述する第1係合部72と第2係合部100との係合により、箱本体62に対して係止(抜け止め)される。
【0027】
図2図4に示すように、箱本体62は、平面視で矩形の底壁66と、底壁66の周縁部から立設する側壁68とを有する。側壁68は、前壁68a、後壁68b、左壁68cおよび右壁68dを含む矩形枠状(環状)に形成され、この側壁68の上端部に上向きに開口する上開口62aが形成される。なお、この第1実施例では、箱本体62は、左壁68cから左側に突出する箱突出部70を備えている。そして、蓋部材64は、この箱突出部70を除く箱本体62の上部、つまり側壁68によって形成される上開口62aを覆うように箱本体62に取り付けられる。
【0028】
側壁68の外側面には、複数の第1係合部72が設けられる。この第1実施例では、側壁68を構成する4つの壁部、すなわち前壁68a、後壁68b、左壁68cおよび右壁68dのそれぞれに対して、2つの第1係合部72が水平方向に互いに間隔を隔てて設けられる。また、各第1係合部72は、側壁68の上端から下方へ一定間隔を隔てて設けられる。図4からよく分かるように、この第1実施例では、第1係合部72は、後述する蓋部材64の係止孔104と係合する係止突起である。第1係合部72(係止突起)は、下方へ向かうにつれて側壁68の外側面からの離間距離が長くなるように傾斜して形成された傾斜面72aと、傾斜面72aの下端に繋がって側壁68の外側面に対して略垂直方向に形成されたストッパー面72bとを有する。
【0029】
さらに、箱本体62には、第1係合部72と対応する位置のそれぞれに、縦壁74が形成される。縦壁74は、対応する第1係合部72が形成される側壁68と平行に延びる平板状に形成され、第1係合部72の内側に所定の空間76を形成するように箱本体62に立設される。また、縦壁74の両側部は、縦壁74と直交する方向に延びる連結壁78を介して、側壁68と連結される。すなわち、第1係合部72と縦壁74との間に形成される空間76と、箱本体62の内部空間(光学部品の収容空間)とは、縦壁74および連結壁78によって遮断されている。空間76の幅(側壁68内面と縦壁74外面との距離)は、たとえば3mmであって、空間76の高さ(つまり縦壁74の突出高さ)は、たとえば20mmである。
【0030】
また、側壁68には、第1係合部72の両側に、側壁68の上端から下方に延びるスリット80が形成される。さらに、この第1実施例では、側壁68、縦壁74および連結壁78の上面は、同じ高さ位置に配置され、これら側壁68、縦壁74および連結壁78の上面によって蓋部材64の天壁90の下面が支持される。
【0031】
ただし、縦壁74の側部は、縦壁74が形成される位置に応じて、側壁68と直接連結されてもよいし、縦壁74と面一に延びる連結壁78を介して側壁68と連結されてもよい。また、縦壁74は、必ずしも平板状に形成される必要はなく、半円筒状などに形成されてもよい。さらに、縦壁74および連結壁78の上面は、必ずしも側壁68の上面と同じ高さ位置に配置される必要はなく、側壁68の上面よりも低い位置に配置されてもよい。
【0032】
図5図8に示すように、蓋部材64は、箱本体62の上開口62aを閉塞する天壁90と、箱本体62の側壁68の上部に嵌合される一対の嵌合壁部92,94とを備える。一対の嵌合壁部92,94は、側壁68に外嵌めされる第1嵌合壁部92と、側壁68に内嵌めされる第2嵌合壁部94とを含む。
【0033】
天壁90は、平面視で矩形の板状に形成される。この天壁90には、光学部品から出射された光を通す4つの長方形の窓90aが、前後方向へ延び、かつ左右方向に互いに間隔を隔てて形成される。この窓90aには、ガラス板96が貼り付けられる。また、天壁90の下面側には、格子状に延びる補強リブ98が形成される。
【0034】
第1嵌合壁部92は、天壁90の周縁部から下方へ突出して設けられる。第1嵌合壁部92は、前壁部92a、後壁部92b、左壁部92cおよび右壁部92dを含む矩形枠状に形成される。一方、第2嵌合壁部94は、第1嵌合壁部92の内側に所定間隔をあけた位置において、天壁90の周縁部から下方へ突出して設けられる。第2嵌合壁部94も、第1嵌合壁部92と同様に、前壁部、後壁部、左壁部および右壁部を含む矩形枠状に形成される。矩形枠状に形成した一対の嵌合壁部92,94によって箱本体62の側壁68を挟み込むようにすることで、箱本体62に対する蓋部材64の前後方向および左右方向の動きを効果的に規制できる。
【0035】
また、第1嵌合壁部92には、箱本体62に設けられた複数の第1係合部72のそれぞれと係合する複数の第2係合部100が設けられる。この第1実施例では、第2係合部100は、第1嵌合壁部92を構成する4つの壁部、すなわち前壁部92a、後壁部92b、左壁部92cおよび右壁部92dのそれぞれに、第1係合部72に対応して2つずつ設けられる。また、窓90aの延びる方向(前後方向)において対向する2つの壁部(前壁部92aおよび後壁部92b)に設けられた第2係合部100は、平面視で窓90aの延長線上から外れた位置に設けられる。矩形枠状に形成した第1嵌合壁部92の4つの壁部のそれぞれに第2係合部100を形成することで、蓋部材64を効果的に抜け止めできる。また、天壁90における窓90aの延長線上に位置する部分は、他の部分に比べて強度が低くなるが、平面視で窓90aの延長線上から外れた位置に第2係合部100を設けることで、当該部分の破損を抑制できる。
【0036】
図7からよく分かるように、複数の第2係合部100のそれぞれは、第1嵌合壁部92の下端から下方へ突出して設けられた突出部102と、第1係合部72(係止突起)と係合する係止孔104とを有する。この係止孔104の上部は、天壁90を突き抜けている。また、係止孔104の底部には、第1係合部72のストッパー面72bに下方から当接する位置決め突部106が上方へ突出して設けられる。このような複数の第2係合部100のそれぞれは、蓋部材64の第1嵌合壁部92に、外側へ向けて弾性変形可能に設けられる。つまり、蓋部材64の全体は、合成樹脂の射出成形によって形成され、これにより、第2係合部100はその厚さ方向に弾性変形可能となる。第1嵌合壁部92および第2係合部100の厚さは、たとえば1.5mmである。
【0037】
さらに、蓋部材64には、複数の縦壁74と対応する位置(つまり第1係合部72および第2係合部100と対応する位置)のそれぞれに、縦壁74を挟み込むように設けられる一対の遮壁108,110が形成される。図8(および図11)からよく分かるように、一対の遮壁108,110は、縦壁74の外側に配置される第1遮壁108と、縦壁74の内側に配置される第2遮壁110とを含む。
【0038】
第1遮壁108は、箱本体62に形成される第1係合部72と縦壁74との間の空間76内に入り込むように、つまり縦壁74と高さ方向(上下方向)において少なくとも一部が重複する位置まで延びるように、天壁90から下方に(つまり箱本体62の底壁66に向かって)突出する平板状に形成される。この第1遮壁108の両側部は、第1遮壁108と直交する方向に延びる第1連結壁112を介して、第1嵌合壁部92と連結される。一方、第2遮壁110は、第1遮壁108との間に縦壁74を挟み込むように、つまり縦壁74と高さ方向において少なくとも一部が重複する位置まで延びるように、天壁90から下方に(つまり箱本体62の底壁66に向かって)突出する平板状に形成される。この第2遮壁110の両側部は、第2遮壁110と直交する方向に延びる第2連結壁114を介して、第2嵌合壁部94と連結される。第1遮壁108および第2遮壁110のそれぞれの厚みは、たとえば1.0mmであり、第1遮壁108および第2遮壁110のそれぞれの天壁90からの突出高さ(つまり高さ方向において縦壁74と重複する長さ)は、たとえば5.0mmである。
【0039】
ただし、第1遮壁108の側部は、第1嵌合壁部92と直接連結されてもよいし、第1遮壁108と面一に延びる第1連結壁112を介して第1嵌合壁部92と連結されてもよい。また、第1遮壁108は、必ずしも平板状に形成される必要はなく、縦壁74の形状に合わせて半円筒状などに形成されてもよい。さらに、第1遮壁108は、その下面が縦壁74の上面よりも下方に配置されていればよく、第1遮壁108の天壁90からの突出高さは、適宜変更可能である。これらのことは、第2遮壁110についても同様である。
【0040】
上述のような光学箱60において、箱本体62に蓋部材64を装着する際には、第2係合部100の突出部102が第1係合部72の傾斜面72aに乗り上げることで、第2係合部100が箱本体62から離れる方向に弾性変形する。その後、第2係合部100の突出部102が第1係合部72の傾斜面72aを乗り越えたときに、第2係合部100の弾性変形が解除されて係止孔104に第1係合部72が嵌め入れられる。すなわち、第1係合部72と第2係合部100とは、撓み(弾性変形)を利用するスナップフィット方式にて係合する。
【0041】
そして、図9から図11に示すように、箱本体62の第1係合部72と蓋部材64の第2係合部100とが係合することによって、蓋部材64が箱本体62に対して係止(抜け止め)される。この際、蓋部材64の第1遮壁108が箱本体62の空間76内に入り込むと共に、第2遮壁110が第1遮壁108との間に箱本体62の縦壁74を挟み込むように配置される。また、箱本体62の側壁68に形成されるスリット80に対して、蓋部材64の第1遮壁108と第1嵌合壁部92との連結部(この第1実施例では第1連結壁112)が嵌め入れられる。
【0042】
このような光学箱60では、図10に示すように、仮に、第2係合部100の係止孔104を通って第1係合部72の内側に塵および埃などの異物Xが侵入しても、その異物Xは、第1遮壁108によって遮断されてその移動方向を下向きに変えられ、空間76内に留まる。この際、空間76内での異物Xの移動方向は下向きであるのに対して、異物Xが縦壁74を超えて箱本体62の内部(つまり光学部品の収容空間)に侵入するには上向きに移動方向を変更する必要があるため、異物Xが縦壁74を超えることは困難である。したがって、異物Xの光学箱60内への侵入が適切に防止される。また、万一、異物Xが縦壁74を超えても、異物Xは、第2遮壁110によって遮断されてその移動方向を下向きに変えられ、光学箱60内の周縁部(つまり側壁68の近傍)に留まる。したがって、異物Xが光学部品に影響を及ぼすことを低減ないし防止できる。すなわち、この第1実施例では、第1係合部72および第2係合部100の内側に縦壁74および一対の遮壁108,110を設け、光学箱60の外部と内部との間に空間76を設ける二重構造とすることで、係止孔104を通過した異物Xを空間76内に留めて、光学箱60内への異物Xの侵入を防止している。
【0043】
言い換えると、この第1実施例では、箱本体62の側壁68および蓋部材64の一対の嵌合壁部92,94のそれぞれに内側に向かって窪む凹部を設け、その凹部に第1係合部72および第2係合部100を配置することで、第2係合部100の係止孔104を介した光学箱60内への異物Xの侵入を防止しているとも言える。
【0044】
以上のように、この第1実施例によれば、第1係合部72の内側に空間76を形成するように箱本体62に縦壁74を設けると共に、その空間76内に入り込む第1遮壁108を蓋部材64に設けたので、光学箱60内への異物Xの侵入を適切に防止できる。これにより、箱本体62と蓋部材64とをねじ等の締付部材で締め付けたり、箱本体62と蓋部材64との間に緩衝材を設けたりすることなく、光学箱60(露光ユニット32)の防塵性を確保できる。
【0045】
また、第1遮壁108との間に縦壁74を挟み込む第2遮壁110を蓋部材64に設けたので、万一、異物Xが光学箱60内に侵入しても、異物Xを側壁68の近傍に留めることができ、異物Xが光学部品に影響を及ぼすことを低減ないし防止できる。
【0046】
[第2実施例]
次に、図12を参照して、この発明の第2実施例である画像形成装置10について説明する。この第2実施例では、露光ユニット32が備える光学箱60の構成が上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0047】
第2実施例では、光学箱60の蓋部材64は、一対の遮壁108,110のうち、第1遮壁108のみを有し、蓋部材64に第2遮壁110は形成されない。
【0048】
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、光学箱60内への異物Xの侵入を適切に防止できる。
【0049】
[第3実施例]
続いて、図13を参照して、この発明の第3実施例である画像形成装置10について説明する。この第3実施例では、露光ユニット32が備える光学箱60の構成が上述の第2実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例または第2実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0050】
第3実施例では、縦壁74(第1の縦壁)に加えて、光学箱60の蓋部材64には、縦壁74との間に第1遮壁108を挟み込むように、空間76に立設される第2の縦壁120を形成した。
【0051】
この第3実施例においても、第1実施例および第2実施例と同様に、光学箱60内への異物Xの侵入を適切に防止できる。また、第2の縦壁120によって、異物Xをより確実に空間76内に留めることができる。
【0052】
なお、上述の各実施例では、箱本体に係止突起を設け、蓋部材に係止突起と係合する係止孔を設けるようにしたが、蓋部材に係止突起を設け、箱本体に係止突起と係合する係止孔を設けてもよい。すなわち、箱本体に形成する第1係合部が係止孔を含み、蓋部材に形成する第2係合部が係止突起を含んでもよい。
【0053】
また、本明細書中で挙げた、画像形成装置の具体的な構成は、いずれも単なる一例であり、実際の製品の仕様に応じて適宜変更可能である。たとえば、画像形成装置は、必ずしも複合機である必要はなく、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。また、画像形成装置は、記録媒体に対して単色の画像を形成するモノクロ機であってもよい。
【0054】
また、上で挙げた具体的な部品形状および寸法などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
14 …画像読取装置
30 …画像形成部
32 …露光ユニット(光走査装置)
30 …画像形成部
60 …光学箱
62 …箱本体
64 …蓋部材
66 …底壁
68 …側壁
72 …第1係合部
74 …縦壁
76 …空間
90 …天壁
92 …第1嵌合壁部
94 …第2嵌合壁部
100 …第2係合部
104 …係止孔
108 …第1遮壁
110 …第2遮壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13