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特許7575343発光ブロック及びそれを用いた発光システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】発光ブロック及びそれを用いた発光システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241022BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241022BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20241022BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20241022BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20241022BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20241022BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20241022BHJP
   A63H 33/08 20060101ALI20241022BHJP
   A63H 33/22 20060101ALI20241022BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241022BHJP
   F21W 131/30 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
F21S2/00 110
F21V23/00 170
F21V23/00 160
F21V23/00 140
F21V23/06
F21S2/00 670
H05B45/10
H05B47/18
H05B45/20
H05B47/105
A63H33/08 Z
A63H33/22 Z
F21Y115:10
F21W131:30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021086253
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022179031
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504386093
【氏名又は名称】株式会社 テルミック
(74)【代理人】
【識別番号】100197147
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 雅美
(74)【代理人】
【識別番号】100110320
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 知子
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(72)【発明者】
【氏名】川又 基木
(72)【発明者】
【氏名】中村 友梨子
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243764(JP,A)
【文献】特表2011-505660(JP,A)
【文献】特開2015-173084(JP,A)
【文献】特開2019-193454(JP,A)
【文献】特開2015-123231(JP,A)
【文献】特開2021-3422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
A63H 33/08
A63H 33/22
F21Y 115/10
F21W 131/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック本体の内部に発光体を組み込んだ、発光ブロックにおいて、
該ブロック本体の表面には、他の発光ブロック又は発光ブロックを配置する基板と機械的に接続するための凸部又は凹部を有し、
該凸部又は該凹部は、前記他の発光ブロック又は該基板と電気的に接続を行うための複数の端子を備え、
全ての該端子は、2つのグループに分けられ、各グループに属する該端子は互いに電気的に接続されて共通の電位となる配線を構成し、
2つの異なる該配線は、該発光体を発光させる電力を供給するために利用されると共に、該発光体の発光状態を制御する調光用制御信号を伝送するために利用されることを特徴とする発光ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ブロックにおいて、一つの該凸部又は一つの該凹部に対応して、一つの該端子を配置したことを特徴とする発光ブロック。
【請求項3】
請求項2に記載の発光ブロックにおいて、他の発光ブロック又は該基板に接触する該ブロック本体の一つの平面には、前記2つの異なる該配線に接続された該端子を、各々1つ以上有することを特徴とする発光ブロック。
【請求項4】
請求項1に記載の発光ブロックにおいて、一つの該凸部又は一つの該凹部に対応して、前記2つの異なる該配線に接続された該端子を、各々1つ以上有することを特徴とする発光ブロック。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の発光ブロックにおいて、該ブロック本体は制御手段を備え、該制御手段には、発光ブロック毎に指定される制御番号を保持する機能と、該調光用制御信号を受信し、該調光用制御信号に基づき該発光体の発光状態を制御する機能を備えていることを特徴とする発光ブロック。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の発光ブロックを用いた発光システムにおいて、該発光ブロックの外部に設けられ、該発光ブロックの前記2つの異なる該配線に、該電力と該調光用制御信号とを重畳して供給する信号処理手段を有することを特徴とする発光システム。
【請求項7】
請求項5に記載の発光ブロックを用いた発光システムにおいて、該発光ブロックの外部に設けられ、該制御番号を該制御手段に保持させるため、該制御手段に該制御番号を書き込む制御番号設定手段を有することを特徴とする発光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ブロック及びそれを用いた発光システムに関し、特に、ブロック本体の内部に発光体を組み込んだ発光ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、従来より、発光ダイオード(LED)などの発光体を組み込んだ発光ブロックが提案されている。これらの発光ブロックは、複数の発光ブロックを互に接続して立体的な造形を構成したり、板状部材(基板)の上に発光ブロックを配置し、玩具やインテリアとして楽しむものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1のように、各発光ブロックを個別に発光制御するためには、発光体への電力の供給だけでなく、発光ブロックの連結状態を判断するための信号や発光状態を制御する信号などの伝達が必要となり、一つの発光ブロックに多くの異なる接続端子を必要とする。
【0004】
各発光ブロックに設ける接続端子(電気的コネクタ)の種類が増加すると、発光ブロック自体のサイズを小型化することが難しくなる。さらに、接続端子の配置場所が制限され、レゴ社のプラスチック製ブロックのように多様な形状のブロックを提供することや、ブロックの連結自由度を高く維持することも困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-10363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、接続端子の種類を削減し、発光ブロックの小型化や多種の形状の発光ブロックの提供を可能にすると共に、発光ブロックの連結自由度も高めた、発光ブロック及びそれを用いた発光システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の発光ブロック及びそれを用いた発光システムは以下のような技術的特徴を有する。
(1) ブロック本体の内部に発光体を組み込んだ、発光ブロックにおいて、該ブロック本体の表面には、他の発光ブロック又は発光ブロックを配置する基板と機械的に接続するための凸部又は凹部を有し、該凸部又は該凹部は、前記他の発光ブロック又は該基板と電気的に接続を行うための複数の端子を備え、全ての該端子は、2つのグループに分けられ、各グループに属する該端子は互いに電気的に接続されて共通の電位となる配線を構成し、2つの異なる該配線は、該発光体を発光させる電力を供給するために利用されると共に、該発光体の発光状態を制御する調光用制御信号を伝送するために利用されることを特徴とする。
【0008】
(2) 上記(1)に記載の発光ブロックにおいて、一つの該凸部又は一つの該凹部に対応して、一つの該端子を配置したことを特徴とする。
【0009】
(3) 上記(2)に記載の発光ブロックにおいて、他の発光ブロック又は該基板に接触する該ブロック本体の一つの平面には、前記2つの異なる該配線に接続された該端子を、各々1つ以上有することを特徴とする。
【0010】
(4) 上記(1)に記載の発光ブロックにおいて、一つの該凸部又は一つの該凹部に対応して、前記2つの異なる該配線に接続された該端子を、各々1つ以上有することを特徴とする。
【0011】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の発光ブロックにおいて、該ブロック本体は制御手段を備え、該制御手段には、発光ブロック毎に指定される制御番号を保持する機能と、該調光用制御信号を受信し、該調光用制御信号に基づき該発光体の発光状態を制御する機能を備えていることを特徴とする。
【0012】
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発光ブロックを用いた発光システムにおいて、該発光ブロックの外部に設けられ、該発光ブロックの前記2つの異なる該配線に、該電力と該調光用制御信号とを重畳して供給する信号処理手段を有することを特徴とする。
【0013】
(7) 上記(5)に記載の発光ブロックを用いた発光システムにおいて、該発光ブロックの外部に設けられ、該制御番号を該制御手段に保持させるため、該制御手段に該制御番号を書き込む制御番号設定手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ブロック本体の内部に発光体を組み込んだ、発光ブロックにおいて、該ブロック本体の表面には、他の発光ブロック又は発光ブロックを配置する基板と機械的に接続するための凸部又は凹部を有し、該凸部又は該凹部は、前記他の発光ブロック又は該基板と電気的に接続を行うための複数の端子を備え、全ての該端子は、2つのグループに分けられ、各グループに属する該端子は互いに電気的に接続されて共通の電位となる配線を構成し、2つの異なる該配線は、該発光体を発光させる電力を供給するために利用されると共に、該発光体の発光状態を制御する調光用制御信号を伝送するために利用されるため、各発光ブロックの発光制御に必要な配線が2本のみとなるため、発光ブロックの小型化や多種の形状の発光ブロックの提供が可能となる。また、他の発光ブロックや基板との接続において、発光ブロックの接続する平面には、接続端子が最低限2本あれば良いため、発光ブロックの連結自由度も高めた発光ブロックを提供することが可能となる。
また、このような発光ブロックを用いた発光システムも提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の発光ブロックの一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は裏面図である。
図2】本発明の発光ブロックの他の例を示す図であり、(a)は上側斜視図、(b)は裏側斜視図である。
図3図1の発光ブロックの断面図である。
図4】本発明の発光ブロックに係る電気回路の一例を示すブロック図である。
図5】本発明の発光システムに使用される給電用基板の一例を示す図である。
図6】本発明の発光ブロックを積み上げた様子を示す断面図である。
図7】本発明の発光システムに係る電気回路の一例を示すブロック図である。
図8】本発明の発光システムの実施例の一例を示す図である。
図9】本発明の発光ブロックにおける発光制御方法の一例を説明するフローチャートである。
図10】調光用制御信号で発光体の発光制御する方法を説明する図である。
図11】発光ブロックの駆動方法を説明する図であり、(a)は発光ブロックの発光順番を示す図、(b)は従来の発光ブロックを使用した発光制御方法を説明する図、(c)本発明の発光ブロックを使用した発光制御方法を説明する図である。
図12】発光ブロックの一部が故障した場合の例を示し、(a)は従来の発光ブロックの使用例、(b)は本発明の発光ブロックの使用例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について好適例を用いて詳細に説明する。
本発明は、図1乃至図7に示すように、ブロック本体の内部に発光体(LED)を組み込んだ、発光ブロック(LB)において、該ブロック本体の表面には、他の発光ブロック又は発光ブロックを配置する基板(PB)と機械的に接続するための凸部(10,20)又は凹部(11,21)を有し、該凸部又は該凹部は、前記他の発光ブロック又は該基板と電気的に接続を行うための複数の端子(TM)を備え、全ての該端子は、2つのグループ(G-EP1,G-EP2)に分けられ、各グループに属する該端子は互いに電気的に接続されて共通の電位となる配線を構成し、2つの異なる該配線は、該発光体を発光させる電力を供給するために利用されると共に、該発光体の発光状態を制御する調光用制御信号を伝送するために利用されることを特徴とする。
【0017】
図1は、本発明の発光ブロック1(LB)の一例を示す図であり、図1(a)に示すように、ブロック本体の表面の一部には、凸部10が形成され、他のブロックなどと接合する際に使用される。凸部10の一部には電気的な接続を行う端子(TM)が設けられている。図1の端子TMは、後述するような金属棒で構成でき、その一部が凸部10で露出している。
【0018】
図1(b)は、発光ブロックの裏面であり、図1(a)の凸部10が挿入可能な凹部11が形成されている。凹部の中央には端子(TM)が配置されている。凹部に形成する端子の一例として、スプリングピンSPNなどが利用可能である。発光ブロックLBの凸部10が他の発光ブロックLBの凹部11に挿入されることにより、凸部の端子MB(TM)と凹部の端子SPN(TM)が互いに電気的に接続される。
【0019】
発光ブロック本体の形状は、図1に示すような直方体に限らず、多角柱状、一部に曲面を有する形状など、従来の玩具であるプラスチック製ブロックのように多種多様な形状を採用することができる。また、一つの凸部又は凹部に対応して一つの端子を配置する場合には、発光ブロックには複数の凸部又は凹部が形成される。
【0020】
図2は、他の発光ブロックの例を示す図であり、一つの凸部20又は凹部21に2つの端子TM(20aと20b、21aと21b)を形成するものである。図2(a)の発光ブロック2(LB)の上部に凸部20を形成し、凸部の上面中央に金属棒のような端子20a(TM)を配置し、凸部の側面に他の端子20b(TM)を配置している。これに限らず、凸部の上面に同心円状に2つの端子を配置したり、凸部の側面に高さを変えて端子を配置することも可能である。
【0021】
図2(b)は、図2(a)に示した発光ブロック2(LB)の裏面側から見た図である。ブロック2(LB)の下部に凹部21を形成し、凹部の中央部分に、スプリングピンなどの端子21a(TM)を配置し、凹部の内周側面に他の端子21b(TM)を配置している。図2(a)の凸部20が、他の発光ブロックの図2(b)の凹部21に嵌合することで、端子20aと端子21aが電気的に接続し、また、端子20bと端子21bも電気的に接続する。さらに、端子20aを、凸部20の中央に開いた穴の内面に形成し、金属棒のようなピンの端子21aを当該穴に挿入するよう構成することも可能である。図2のような端子を用いる場合には、一つの発光ブロックLBに1つ以上の凸部又は凹部を形成することで発光させることが可能となる。また、一つの凸部又は一つの凹部に対応して、2つの異なる配線に接続された端子は、上述したように各々1つ以上有するだけでなく、複数の端子を設け、発光ブロック間の接続位置(ブロック間の密着度や接続角度等)により接続する端子を変化させることも可能である。
【0022】
図3は、図1に示す発光ブロック1(LB)を縦割りにし、内部の端子構造を示す断面図である。ブロック本体のケースは、例えば、透明又は半透明なプラスチック製のケースで構成し、上部ケースUCに下部ケースLCを嵌め込んで形成される。ブロック本体の内部には、回路基板SBが配置され、回路基板には端子TMやマイコンなどの制御手段(不図示)、さらには発光体(LED)が配置されている。例えば、発光ブロックの凸部に対応した端子TMは、金属棒MBで構成され、回路基板SBに保持される。また、凹部に対応する端子TMは、スプリングピンSPNで構成され、回路基板SBに保持される。スプリングピンSPNの先端は、バネで外方向に付勢されて外力により内側方向に可動するよう構成されている。
【0023】
凸部に形成された端子MB(TM)と凹部に形成された端子SPN(TM)は回路基板を貫通するコンタクトホールCHにより互いに電気的に接続される。これにより、凹部又は凸部に形成された端子でブロック本体内に導入された電気信号(電位)を、当該端子に電気的に接続された他の端子を用いて、他のブロックに伝達できるよう構成される。
【0024】
本発明の発光ブロックの特徴は、図4に示すように、複数の端子TMを2つのグループ(G-EP1とG-EP2)に分け、1つのグループ内では互いの端子TMを電気的に接続し同じ電位になるように配線(図4の実線と点線の2つの配線で表示)することである。これにより、発光ブロック(LB)が他の発光ブロック(LB)や給電用基板(PB)に接続された際、異なるグループ毎に少なくとも1つの端子TMが外部と電気的に接続されることで、発光ブロック(LB)内の2つの配線が外部に電気的に接続されることとなる。2つのグループに分ける方法は任意であるが、図1の8つの凸部10を、4個毎に分け、前後左右に隣接する凸部が同じ電位にならないよう、同じ電位になる端子を含む凸部を千鳥状に選択することも可能である。
【0025】
各発光ブロックの2つの配線には、発光ブロック内の発光体(LED)や電気回路を駆動するための電力が供給されるだけでなく、発光体(LED)の発光状態を制御する調光用制御信号を伝送するためにも利用されている。
【0026】
図4に示すように、発光ブロックLBの内部では、2つのグループの端子(G-EP1とG-EP2)に繋がる配線で入力された、電力と調光用制御信号とが重畳された電気信号は、該電気信号から調光用制御信号を分離する信号分離回路SSに入力される。信号分離回路SSで分離された該調光用制御信号は、マイコンなどの制御手段MCに入力され、調光用制御信号に基づいて発光体(LED)を発光させるRGB信号(三色のRGBに対応した各LEDに印加する電圧信号)を発光体(LED)に印加する。
【0027】
図5は、発光ブロックを配置する給電用基板PBを示す図であり、発光ブロックの凹部に結合する凸部10が形成されている。当然、凸部に替えて凹部で構成することも可能である。各凸部10には、図6に示すように端子TMが配置され、全ての端子TMは2つのグループに分けられ、各グループ内では同じ電位(EP1又はEP2)となり、異なるグループ間では異なる電位となるように配線されている。例えば、図5の給電用基板PBの凸部を2つのグループに分ける際、前述した発光ブロックLBと同様に、前後左右に隣接する凸部が同じ電位にならないよう、同じ電位の端子が千鳥状に配置されるよう構成することも可能である。
【0028】
図5に示すように、給電用基板PBの2つの配線には、ケーブルCBを介してコンピュータ等の外部制御ユニットCUが接続されている。図7のように、外部制御ユニットCUには、発光ユニット内の発光体が発光するための電力を供給するための電源PWと、発光体の発光状態を制御するための調光用制御信号を発生する信号発生手段SDと、電力と調光用制御信号とを重畳して出力する信号処理手段SPから構成される。
【0029】
図6は、給電用基板PB上に2つの発光ブロックLBを重ねて組み立てた例の断面図を示している。給電用基板PBの一つの端子TM(例えば電位EP1)に着目すると、当該端子に直列して電気的に接続される各段の発光ブロックLBの端子(MB)も、同じ電位(EP1)となる。図6のように、発光ブロックLBに形成される凸部(凹部)の配置間隔が給電用基板の凸部と同じ場合には、給電用基板PB上に配置される発光ブロックを上側から平面視した場合、各発光ブロックの端子の電位は、給電用基板PBの端子TMの電位の配置パターンと完全に一致している。
【0030】
次に、上述した発光ブロックLBを用いた発光システムについて説明する。
図7は1つの発光ブロックLBに外部制御ユニットCUを接続した状態を示したものである。本発明の発光ブロックLBは2本の配線(実線と点線)で外部と接続されている。発光ブロックLBを駆動(発光)させるには、2本の配線のみを利用して、電力と駆動制御信号(調光用制御信号)を供給する。電力は、DC電圧が利用可能であるが、発光ブロック内に整流回路を組み込む場合はAC電圧を利用しても良い。なお、DC電圧を利用する場合は、2つにグループ分けした端子のどちら側の電位が高いかを判別し、発光体(LED)に適正な電位が印加できるように、端子から入力される電位を切換えるスイッチング素子を発光ブロック内に設ける必要がある。
【0031】
上述したように、外部制御ユニットCUでは、電源PWからの電力と、信号発生手段SDからの調光用制御信号が、信号処理手段SPで重畳され、2本の配線で発光ブロックLBに供給される。発光ブロックLBでは、入力された電気信号から電力と調光用制御信号を信号分離回路SSで分離し、調光用制御信号に基づき制御手段MCで発光体(LED)を発光(調光)制御する。
【0032】
図8は複数の発光ブロックを利用した発光システムの一例である。
外部制御ユニットCUから電気信号を、発光ブロックLBに直接伝送するだけでなく、給電用基板PBを介して、給電用基板PB上に配置された複数の発光ブロック(LB-1~4)に伝送することも可能である。発光ブロック(LB-1~3)は、給電用基板PB上に直接配置され、発光ブロック(LB-4)は、発光ブロック(LB-3)に接続された状態で配置されている。例えば、図6に示すように、下の発光ブロックLBがLB-3に相当し、上の発光ブロックLBがLB-4に相当する。
【0033】
複数の発光ブロックを同時に制御するため、各発光ブロックに制御番号を設定する。制御手段MCは、その一部に記憶部(不揮発性メモリ)を備え、制御番号を保持している。発光ブロックLBに制御番号を設定する方法として、制御番号設定手段を外部制御ユニットCUとは別に専用器として用意することも可能であるが、例えば、図8の外部制御ユニットCUの信号発生手段SDを制御番号設定手段として利用することも可能である。制御番号設定手段(信号発生手段SD)は、発光ブロックの制御手段MC(特に記憶部)に制御番号を書き込むための信号を発生させる。また、外部制御ユニットCU内に制御番号設定手段を設ける場合、信号発生手段SDとは別に設けることも可能である。図5のように、外部制御ユニットCUと給電用基板PBを利用し、発光ブロックを給電用基板PB上に配置し、外部制御ユニットCU内に組み込まれた制御番号設定手段を用いて、当該発光ブロックに制御番号を記憶させることも可能である。
【0034】
各発光ブロックが制御番号を持つことにより、図8の発光ブロックLBのように、一つの発光ブロックLBに調光用制御信号を供給する場合だけでなく、図8の発光ブロック(LB-1~4)のように、複数の発光ブロックに共通の調光用制御信号を供給した場合でも、各発光ブロックが自分の制御番号に基づき、当該調光用制御信号の中から自分に対応する制御信号を抽出でき、自身の発光体の発光状態を制御することができる。
【0035】
例えば、調光用制御信号の一部に制御する制御番号を組み込み、各発光ブロックは、該調光用制御信号の中に自身の制御番号が入っている場合に、該調光用制御信号から自身の制御番号に対応する制御信号を抽出し発光状態を制御する。また、別の方法としては、DMX信号(512チャネルの8ビットコード)のように、1回の調光用制御信号に全ての制御番号に対応する制御信号を乗せ、各発光ブロックは制御番号に対応した指定の場所(チャンネル)の制御信号に基づき発光状態を制御する。
【0036】
図9に、発光ブロック内の制御手段MCが行う信号の処理フローの一例を示す。各発光ブロックでは、自身の制御番号を確認し、調光用制御信号を受信した場合、自身の制御番号に対応する調光用制御信号を抽出し、抽出した信号に基づき発光体を制御する電気信号を発生し、発光体に送信(供給)する。
【0037】
図10に、調光用制御信号の一例としてDMX信号を用いた場合を示す。一つの制御番号には、RGBに対応する3つの信号を割り当てるため、3つのチャンネルを割り当てている。また、一つの制御番号に4つ以上のチャンネルを割り当て、輝度や色調に対応するRGB信号だけでなく、点滅等の点灯時間に関する制御信号や、一つの発光ブロック内に複数の発光体を組み込み、それを選択する選択信号などを付与することも可能である。図10では、制御番号1にチャンネル1~3を、制御番号2にチャンネル4~6を各々割り当てている。
【0038】
1つの制御信号に割り当てられた3つのチャンネルは、赤(R)、緑(G)、青(B)に対応し、各チャンネルの数字0~255が明るさ(輝度)に対応している。例えば、図10に示されたDMX信号(調光用制御信号)では、制御番号1において、赤(R)が輝度255で、緑(G)や青(B)は輝度0に設定されているため、制御番号1の発光ブロックは赤色に発光する。
【0039】
図11は、発光ブロックが任意の制御番号で書き換え可能な構成を持つことの利点を説明する図である。例えば、図11(a)に示すような9個の発光ブロックを、矢印で示した順で発光させる場合を検討する。
【0040】
図11(b)は特許文献1に記載された従来の発光ブロックであり、各発光ブロックが接続された順番でブロックの制御番号が設定される。具体的には、制御信号が入力される接続端子(CTM)に接続された発光ブロックが1番となる。1番の発光ブロックには上側の発光ブロックのみが接続されているため、当該発光ブロックが2番となる。白の矢印は電気的な接続関係を示し、制御信号の流れを示している。その結果、従来の発光ブロックでは、黒矢印の順番で発光させるには、発光ブロックの制御番号で1番→3番→5番・・・のように発光するプログラムを作成する必要がある。このような制御は大変煩雑であり、より多くの発光ブロックを多種多様に組み合わせる場合には、プログラム作業に要する時間も長くなり、プログラムミスも発生し易い。
【0041】
これに対し、図11(c)のような本発明の発光ブロックを用いた場合は、発光ブロックに点灯させる順番で制御番号を設定することが可能なため、従来のものと比較し、プログラム作業が極めて簡便となる。
【0042】
しかも、複数の発光ブロックに同じ制御番号を付すことも可能となるため、より複雑な発光制御を容易にプログラムすることもできる。
【0043】
図12は、本発明に使用される給電用基板PBを用いる利点について説明する図である。図12(a)は従来の発光ブロックを組み立てた図であり、白矢印の方向に制御信号が流れている。このような状態で5番の発光ブロックが故障した場合、5番の発光ブロックだけでなく、その後に繋がっている6番から9番の発光ブロックも点灯しない。
【0044】
これに対し、給電用基板PBを用いる場合には、給電用基板に接続される発光ブロック並びに当該発光ブロックに接続される他の発光ブロックの全てに電気信号(電力と調光用制御信号)が供給されるため、5番の発光ブロックが故障しても点灯しない発光ブロックは5番のみとなる。
【0045】
このように、給電用基板PBを用いることで、故障にも柔軟に対応可能な発光システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明によれば、接続端子の種類を削減し、発光ブロックの小型化や多種形状の発光ブロックの提供を可能にすると共に、発光ブロックの連結自由度も高めた、発光ブロック及びそれを用いた発光システムを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
CU 外部制御ユニット
LB 発光ブロック
LED 発光体(発光ダイオード)
MB 金属棒
MC 制御手段
PB 給電用基板
PW 電源
SD 信号発生手段
SP 信号処理手段
SPN スプリングピン
SS 信号分離回路
TM 端子
10,20 凸部
11,21 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12