(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、地図データ編集装置および経路探索方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20241022BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241022BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241022BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2021086716
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】大槻 幸平
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-286629(JP,A)
【文献】特開2008-261746(JP,A)
【文献】特開平08-327381(JP,A)
【文献】特開2009-162518(JP,A)
【文献】特開2009-210467(JP,A)
【文献】特開2006-250662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進入禁止の交通規制情報が設定されているノードである進入禁止ノードを検出する進入禁止ノード検出部と、
上記進入禁止ノード検出部により検出された上記進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出する道路リンク検出部と、
上記道路リンク検出部により検出された複数の道路リンクに対して経路探索上の走行規制情報を設定する規制情報設定部と備え、
上記規制情報設定部により上記走行規制情報が設定された複数の道路リンクを規制対象区間として経路の探索を行うようにした
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
上記道路リンク検出部は、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、上記進入禁止の交通規制情報が設定されている他のノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記道路リンク検出部は、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、一方通行の属性情報が設定されている複数の道路リンクを検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記道路リンク検出部は、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、上記道なりの道路リンクが存在しなくなる地点に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
上記進入禁止ノード検出部は、現在地から目的地に向かって
順に道路リンクのコストを加算し、枝狩りをしながら複数の経路に沿って探索枝を伸ばしていく過程において
、上記探索枝を伸ばすたびに、伸ばした先のノードが上記進入禁止ノードか否かを判定することによって上記進入禁止ノードを検出し、
上記
道路リンク検出部は、上記進入禁止ノード検出部により上記進入禁止ノードが検出されるたびに、検出された上記進入禁止ノードから縦続的に接続する上記所定区間の複数の道路リンクを検出し、
上記規制情報設定部は、上記道路リンク検出部により検出された複数の道路リンクに対して、上記走行規制情報として所定のコストを設定する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
上記進入禁止ノード検出部は、現在地および目的地を含む所定範囲を設定し、当該所定範囲に含まれる1以上の上記進入禁止ノードを検出し、
上記道路リンク検出部は、上記進入禁止ノード検出部により検出された1以上の上記進入禁止ノードのそれぞれについて、当該進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出し、
上記規制情報設定部は、上記道路リンク検出部により検出された複数の道路リンクに対して、上記走行規制情報として所定のコストを設定
し、
上記進入禁止ノード検出部、上記道路リンク検出部および上記規制情報設定部の処理を、上記現在地から上記目的地に向かって探索枝を伸ばしながらコスト計算を行う経路探索の処理を開始する前に実行し、上記所定区間の複数の道路リンクに対して上記走行規制情報が設定された後に上記経路探索の処理を実行する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
地図データ記憶部から地図データを読み出す地図データ読出部と、
上記地図データ読出部により読み出された地図データを編集し、編集後の地図データを上記地図データ記憶部に記憶させる地図データ編集部とを備え、
上記地図データ編集部は、
上記地図データ読出部により読み出された地図データを対象として、進入禁止の交通規制情報が設定されているノードである1以上の進入禁止ノードを検出する進入禁止ノード検出部と、
上記進入禁止ノード検出部により検出された1以上の上記進入禁止ノードのそれぞれについて、当該進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出する道路リンク検出部と、
上記道路リンク検出部により検出された複数の道路リンクに対して走行規制情報を設定し、設定した走行規制情報を道路リンクの属性情報として記録する規制情報設定部とを備えた
ことを特徴とする地図データ編集装置。
【請求項8】
上記道路リンク検出部は、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、上記進入禁止の交通規制情報が設定されている他のノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを検出することを特徴とする請求項7に記載の地図データ編集装置。
【請求項9】
上記道路リンク検出部は、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、一方通行の属性情報が設定されている複数の道路リンクを検出することを特徴とする請求項7に記載の地図データ編集装置。
【請求項10】
上記道路リンク検出部は、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、上記道なりの道路リンクが存在しなくなる地点に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを検出することを特徴とする請求項7に記載の地図データ編集装置。
【請求項11】
ナビゲーション装置の経路探索部が、進入禁止の交通規制情報が設定されているノードである進入禁止ノードを検出する第1のステップと、
上記経路探索部が、上記第1のステップで検出された上記進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出する第2のステップと、
上記経路探索部が、上記第2のステップで検出された複数の道路リンクに対して走行規制情報を設定する第3のステップとを有し、
上記経路探索部が、上記第3のステップで上記走行規制情報が設定された複数の道路リンクを規制対象区間として経路の探索を行うようにした
ことを特徴とする経路探索方法。
【請求項12】
上記第1のステップにおいて、上記経路探索部は、現在地から目的地に向かって
順に道路リンクのコストを加算し、枝狩りをしながら複数の経路に沿って探索枝を伸ばしていく過程において
、上記探索枝を伸ばすたびに、伸ばした先のノードが上記進入禁止ノードか否かを判定することによって上記進入禁止ノードを検出し、
上記第2のステップにおいて、上記経路探索部は、上記進入禁止ノードが検出されるたびに、検出された上記進入禁止ノードから縦続的に接続する上記所定区間の複数の道路リンクを検出し、
上記第3のステップの後、上記経路探索部が、上記走行規制情報が設定された複数の道路リンクを上記規制対象区間として、上記探索枝の伸長処理を継続する第4のステップを更に有する
ことを特徴とする請求項11に記載の経路探索方法。
【請求項13】
上記第1のステップにおいて、上記経路探索部は、現在地および目的地を含む所定範囲を設定し、当該所定範囲の中から、進入禁止の交通規制情報が設定されているノードである1以上の進入禁止ノードを検出し、
上記第2のステップにおいて、上記経路探索部は、上記第1のステップで検出された1以上の上記進入禁止ノードのそれぞれについて、当該進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出し、
上記第3のステップの後、上記経路探索部が、上記走行規制情報が設定された複数の道路リンクを上記規制対象区間として、上記現在地から上記目的地までの経路の探索を行う第4のステップを更に有する
ことを特徴とする請求項11に記載の経路探索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、地図データ編集装置および経路探索方法に関し、特に、ノードの属性情報として進入禁止の交通規制情報が設定された地図データを用いて経路探索を行うシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内交差点に一定距離内に近づいたときに交差点拡大図を表示して交差点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0003】
交通規制のある地点または区間には大きなコストが設定され、そこを通る誘導経路が探索されにくくなるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載のナビゲーション装置では、車高または車重を加味して、道路情報を参照して経路探索を行う。すなわち、交通規制情報受信装置が受信する交通規制情報を考慮し、車高や車重に関連する交通規制が行われていれば、規制の対象となっている道路を除外して最短経路の探索を行う。
【0004】
特許文献2に記載のナビゲーション装置では、探索した最適経路である候補経路上から通行制限の有る箇所を検索して通行制限の条件を抽出し、抽出した通行制限の条件と自車の車両情報とを比較し、通行制限の条件に自車が該当する場合は、通行制限が有る箇所の通行を不可として経路の再探索を実行する。そして、再探索により得られた経路を新たな候補経路とし、通行制限の条件に自車が該当しない候補経路が決定されるまで、以上の処理を繰り返し実行する。
【0005】
また、交通規制が設定されていない道路区間においても、自車の車両情報を考慮して適切な経路を探索できるようにした技術も知られている(例えば、特許文献3,4参照)。特許文献3に記載のナビゲーション装置では、操作部から入力された車両の種別(小型車、普通車、大型車、特殊車)に応じて探索条件を設定し、車両が通行不可能な道幅が狭い道路や、高さ制限または重量制限がある道路を避けて誘導経路を探索する。
【0006】
特許文献4に記載のナビゲーション装置では、車両の全長、全幅、全高、通常走行時の総重量、最小回転半径、登坂性能のうちの少なくとも1つが車両情報として記憶されている車両情報記憶部から取得した車両情報と、道路データ記憶部から取得した道路データとに基づいて走行可能な道路を抽出し、抽出した走行可能な道路を用いて経路探索を行う。
【0007】
ところで、経路探索に使用する地図データには、実際の道路に設定されている交通規制と同様の交通規制情報が設定されている。例えば、特許文献1,2に記載されているような高さ制限または重量制限などの交通規制や、一方通行などの交通規制の場合は、これらに対応する交通規制情報が道路リンクに対して設定されている。そのため、交通規制情報が設定されている道路リンクに対して大きなコストが設定され、交通規制がある道路区間を避けて経路の探索が行われる。特許文献3,4に記載のナビゲーション装置においても、道路リンクに設定されている属性情報に基づいて走行可能な道路が抽出されるため、車高や車幅、車重などの観点から走行不可能な道路区間を避けて経路の探索が行われる。
【0008】
これに対し、実際の道路において、大型車進入禁止の規制看板は、進入が禁止されている地点にのみ設置されている。それに対応して地図データも、現地の規制看板が設置されている地点に対応する交差点ノードに対して、リンクtoリンク属性として大型車進入禁止の交通規制情報が設定されている。この大型車進入禁止などのように、ノードの属性情報として交通規制情報が設定されている場合には、その規制地点のノードを避けて経路の探索が行われる。しかしながら、大型車進入禁止の規制地点から始まる道路区間の道路リンクに大型車走行禁止の交通規制情報が設定されていないため、
図11に示すように、規制地点111をピンポイントで迂回して、大型車の走行が規制されている道路区間112を通る経路113が探索されてしまうことがあるという問題があった。
【0009】
特許文献3,4に記載の技術によれば、道路リンクに対して交通規制情報が設定されていなくても、車高や車幅などの観点から大型車が走行不可能な道路区間を避けて経路の探索が行われることになる。しかしながら、大型車進入禁止の規制地点から始まる規制区間が、必ずしも車高や車幅などの観点から走行が規制されているとは限らない。すなわち、大型車が走行可能な高さの高架下がある道路区間や、大型車が走行可能な道路幅の道路区間などであっても、例えば生活道路や街中道路、通学路などであるがゆえに走行が規制されていることもある。この場合には、特許文献3,4に記載の技術を用いると、そのような規制区間を通る経路が探索されてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平11-271078号公報
【文献】特開2007-33331号公報
【文献】特開平11-2535号公報
【文献】特開平8-278157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ノードの属性情報として進入禁止の交通規制情報が設定されている場合に、規制地点を迂回して走行が規制されている道路区間を通る経路が探索されてしまうことを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、進入禁止の交通規制情報が設定されているノードである進入禁止ノードを検出し、当該検出した進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出し、当該検出した複数の道路リンクに対して経路探索上の走行規制情報を設定した上で、当該走行規制情報が設定された複数の道路リンクを規制対象区間として経路の探索を行うようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、ノードの属性情報として進入禁止の交通規制情報が設定されている場合に、そのノードから縦続的に接続していて走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクに対して経路探索上の走行規制情報が設定される。そのため、進入禁止の交通規制情報が設定されているノードを迂回して、走行が規制されている道路区間を通る経路が探索されてしまうことを防止することができ、進入が禁止されている規制地点から接続する規制区間を避けて経路の探索を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態によるナビゲーション装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による経路探索部の具体的な機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】道なりの複数の道路リンクを説明するための図である。
【
図4】他の進入禁止ノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを説明するための図である。
【
図5】本実施形態を適用した場合に探索される経路の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態による経路探索部の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】道路リンク検出部により検出する複数の規制対象道路リンクの別例を示す図である。
【
図8】道路リンク検出部により検出する複数の規制対象道路リンクの別例を示す図である。
【
図9】本実施形態による経路探索部の他の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】本実施形態による地図データ編集装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態のナビゲーション装置100は、車両に搭載されるものであってもよいし、ナビゲーション用アプリケーションがインストールされたスマートフォンまたはタブレット等のモバイル端末であってもよい。
【0016】
図1に示すように、本実施形態によるナビゲーション装置100には、地図データ記憶部10、GPS受信機20およびディスプレイ30が接続されている。なお、地図データ記憶部10は、車両に搭載されるものであってもよいし、インターネットを介してサーバ上に存在するものであってもよい。また、地図データ記憶部10をナビゲーション装置100が内蔵するようにしてもよい。
【0017】
図1に示すように、本実施形態によるナビゲーション装置100は、機能構成として、地図データ取得部11、GPS情報取得部12、自車位置特定部13、地図表示部14、経路探索部15および走行案内部16を備えている。また、本実施形態によるナビゲーション装置100は、記憶媒体として、地図データメモリ101および誘導経路メモリ102を備えている。
【0018】
上記各機能ブロック11~16は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~16は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0019】
地図データ記憶部10は、地図表示や経路探索などに必要な地図データを記憶するものであり、例えばハードディスクにより構成される。なお、地図データ記憶部10を構成する記憶媒体としては、ハードディスクの他に、DVD、CD-ROM、半導体メモリなどを用いても良い。地図データには、地図表示に必要な各種の描画データと、マップマッチングや経路探索、経路案内等の各種の処理に必要な道路データおよび施設データとが含まれている。
【0020】
道路データは、交差点や分岐など、複数の道路が交わる点に対応するノードに関する情報と、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続する、道路や車線等に対応する道路リンクに関する情報とを含んでいる。具体的には、道路データには、全ノードの詳細データを納めた接続ノードテーブルと、全道路リンクの詳細データを納めたリンクテーブルとが含まれている。
【0021】
接続ノードテーブルには、存在するノードのそれぞれ毎に、ノード番号、接続リンク番号、ノードの正規化経度・緯度、属性フラグ、交通規制などの情報が含まれている。接続リンク番号は、そのノードが一方端となっている各道路リンクのリンク番号を、リンク本数分だけ示す。正規化経度・緯度は、区画を基準とした経度方向・緯度方向の相対位置を示す。属性フラグは、そのノードが交差点や分岐点のノードであるか否かを示す交差点フラグを含んでいる。
【0022】
交通規制は、そのノードに接続されている道路リンクについて右折禁止やUターン禁止等の交通規制の内容を示す。本実施形態では、大型車進入禁止の交通規制が存在する規制地点に対応するノードに対して、リンクtoリンク属性として大型車進入禁止の交通規制情報が設定されている。
【0023】
リンクテーブルには、存在する道路リンクのそれぞれ毎に、リンク番号、接続ノード番号、道路リンクの距離、道路属性、道路種別、路線番号、道路リンクのコスト等の情報が含まれている。接続ノード番号は、道路リンクの両端に位置する2つのノードを特定する番号を示す。道路リンクの距離は、当該道路リンクに対応した実際の道路の実距離を示す。道路属性は、その道路リンクに関する各種の属性を示す。道路属性に関する情報として、道路幅、高架までの高さ、一方通行などの情報がある。道路種別は、その道路リンクに対応した実際の道路の種別を示す。道路の種別には、高速道路、国道、主要地方道、都道府県道、一般道、農道、細街路、幹線、側道、分流路などがある。路線番号は、その道路リンクに対応した実際の道路に付された番号を示す。
【0024】
道路リンクのコストは、例えば道路リンクの距離をもとに、道路幅、道路種別、右折および左折などに応じて所定の定数を乗じた値であり、誘導経路として適正の程度を数値化したものである。道路リンクのコストは、その道路リンクに対応した道路上に発生している渋滞や交通規制、経路探索条件(時間優先、距離優先、有料道路優先、一般道路優先、燃費優先など)、その他種々の要因に応じて、重みが適宜付加された値として設定される。ナビゲーション装置100は、現在地から目的地に至る様々な経路上の道路リンクに設定されたコストを用いた計算値に基づいて、誘導経路を探索するように構成されている。
【0025】
地図データ取得部11は、地図データ記憶部10から地図データを取得して地図データメモリ101に一時的に記憶させる。車両の現在位置周辺の地図をディスプレイ30に表示する場合、地図データ取得部11は、GPS情報取得部12から車両の現在位置情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データを地図データ記憶部10から読み出して地図データメモリ101に格納する。また、誘導経路を探索する場合、地図データ取得部11は、現在地から目的地までを含む所定範囲の地図データを地図データ記憶部10から読み出して地図データメモリ101に格納する。
【0026】
GPS情報取得部12は、GPS受信機20で検出されるGPS情報を所定のサンプリング間隔毎に取得する。GPS情報は、緯度経度の位置情報と方位情報と時刻情報とを含む。GPS受信機20は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0027】
なお、ここでは位置検出手段としてGPS受信機20を用いる例について説明したが、GPS受信機20に代えてまたは加えて、自立航法センサおよび位置計算用CPUを用いるようにしてもよい。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車位置および車両方位を計算する。
【0028】
自車位置特定部13は、GPS情報取得部12によりサンプリング間隔毎にGPS受信機20から取得されるGPS情報に含まれる位置情報と、地図データメモリ101に記憶された地図データとに基づいて、地図上での自車位置をサンプリング間隔毎に特定する。ここで、自車位置特定部13は、必要に応じてマップマッチングを行う。マップマッチングとは、GPS情報取得部12により取得されたGPS情報(GPS受信機20により検出された位置情報および方位情報)と、地図データメモリ101に記憶された地図データとを用いて、自車の走行位置を地図データの道路上に位置修正する処理をいう。
【0029】
地図表示部14は、地図データメモリ101に記憶された地図データに基づいて、自車位置周辺の地図画像データを生成し、当該地図画像データに基づいて地図画像をディスプレイ30に表示させる。このとき地図表示部14は、指定された縮尺によって地図画像をディスプレイ30に表示させる。
【0030】
経路探索部15は、地図データメモリ101に記憶された地図データを用いて、自車位置特定部13により特定された車両の現在位置から、ユーザにより設定された目的地までを結ぶ誘導経路を探索する処理を行う。例えば、経路探索部15は、現在地から目的地に至る様々な経路のうち、その経路上の道路リンクに設定されたコストの合計値が最も小さくなる経路を探索する。誘導経路メモリ102は、経路探索部15により探索された誘導経路のデータを一時的に記憶する。
【0031】
経路探索部15は、例えばダイクストラ法に基づいて経路の探索を行う。ダイクストラ法では、現在地ノードから目的地ノードまで順に道路リンクのコストを加算しながら、複数の経路に沿って探索枝を伸ばしていく。探索枝を伸ばしていく過程で、途中同じノードに対して異なる経路で到着する場合は、そこまでの累積コストが低い方の経路を採用し、累積コストが高い方の経路はそれ以降の探索を中止する。それ以上探索をしても、現在地ノードから目的地ノードまでの最適経路にはなり得ないと考えられるからである。最適経路にはなり得ないと途中で判断された経路の探索を終了させることを「枝狩り」という。ダイクストラ法では、現在地ノードから目的地ノードまで枝狩りをしながら探索を進めていくため、2地点間の最適経路を効率的に求めることが可能である。
【0032】
走行案内部16は、地図データメモリ101に記憶された地図データと、誘導経路メモリ102に記憶された誘導経路データと、自車位置特定部13により特定された自車位置とを用いて、車両の走行案内を行う。例えば、走行案内部16は、自車位置特定部13により特定された自車位置を示す自車位置マークを地図上に重ねて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにする。また、走行案内部16は、誘導経路メモリ102に記憶された誘導経路データを用いて、誘導経路を他の道路とは色を変えて太く描画する。また、走行案内部16は、車両が誘導経路上の案内交差点の所定距離手前に近づいたときに、ディスプレイ30に交差点拡大画像を表示して進行方向の交差点案内を行う。
【0033】
図2は、経路探索部15の具体的な機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の経路探索部15は、機能構成として、探索枝伸長部21、進入禁止ノード検出部22、道路リンク検出部23および規制情報設定部24を備えている。本実施形態では、自車が大型車に該当するか否かを示す情報をナビゲーション装置100にあらかじめ設定しておき、大型車に該当することを示す情報が設定されている場合に、探索枝伸長部21、進入禁止ノード検出部22、道路リンク検出部23および規制情報設定部24の処理を実行する。大型車に該当することを示す情報が設定されていない場合には、進入禁止ノード検出部22、道路リンク検出部23および規制情報設定部24の処理は行わず、探索枝伸長部21の処理によって経路を探索する。
【0034】
探索枝伸長部21は、現在地ノードから目的地ノードまで順に道路リンクのコストを加算し、枝狩りをしながら複数の経路に沿って探索枝を伸ばしていく処理を実行する。進入禁止ノード検出部22は、探索枝伸長部21が現在地ノードから目的地ノードに向かってコストを加算しながら探索枝を伸ばしていく過程において、大型車進入禁止の交通規制情報が設定されているノード(以下、進入禁止ノードという)を検出する。すなわち、進入禁止ノード検出部22は、探索枝伸長部21により探索枝が伸ばされるたびに、伸ばした先のノードに大型車進入禁止の交通規制情報が設定されているか否かを判定し、交通規制情報が設定されているノードを進入禁止ノードとして検出する。
【0035】
道路リンク検出部23は、進入禁止ノード検出部22により進入禁止ノードが検出された場合に、進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出する。走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクは、例えば、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、進入禁止の交通規制情報が設定されている他のノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクである。
【0036】
図3は、道なりの複数の道路リンクを説明するための図である。
図3において、矢印の1つ1つは道路リンクLK1~LK8を示している。このうち、道路リンクLK1~LK7は道路種別が県道に関するものであり、道路リンクLK8は道路種別が一般道に関するものである。○印は進入禁止ノードND1を示している。なお、他のノードは○印の図示を省略している。進入禁止ノードND1には、大型車が道路リンクLK1に進入することを禁止する交通規制情報が設定されている。
【0037】
図3の例において、進入禁止ノードND1に接続する道路リンクLK1と、これに縦続的に接続する道路リンクLK2は、道路種別が何れも県道であり、リンク接続角度θ
12が閾値以下であるので、道なりの道路リンクである。また、道路リンクLK2に縦続的に接続する道路リンクLK3も、道路種別が県道であり、道路リンクLK2とのリンク接続角度が閾値以下であるので、道なりの道路リンクである。道路リンクLK3に縦続的に接続する道路リンクLK4も、道路種別が県道であり、道路リンクLK3とのリンク接続角度が閾値以下であるので、道なりの道路リンクである。さらに、道路リンクLK4に縦続的に接続する道路リンクLK5も、道路種別が県道であり、道路リンクLK4とのリンク接続角度が閾値以下であるので、道なりの道路リンクである。
【0038】
これに対し、道路リンクLK2に縦続的に接続する道路リンクLK8は、道路種別が一般道であって県道ではないので、道なりの道路リンクではない。また、道路リンクLK4に縦続的に接続する道路リンクLK6は、道路種別は県道であるが、道路リンクLK4とのリンク接続角度θ46が閾値以下ではないので、道なりの道路リンクではない。道路リンクLK4に縦続的に接続する道路リンクLK7も道路リンクLK6と同様、道路種別は県道であるが、道路リンクLK4とのリンク接続角度が閾値以下ではないので、道なりの道路リンクではない。
【0039】
図4は、進入禁止の交通規制情報が設定されている他のノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを説明するための図である。この
図4において、
図3に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。
図4の例では、道路リンクLK5の一端のノードND2も進入禁止ノードであり、大型車が道路リンクLK5に進入することを禁止する交通規制情報が設定されている。
【0040】
この
図4に示す例の場合、進入禁止ノード検出部22により検出された進入禁止ノードND1に対し、これに縦続的に接続する道なりの道路リンクを順次辿っていき、進入禁止の交通規制情報が設定されている他の進入禁止ノードND2に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクLK1~LK5が道路リンク検出部23により検出されることになる。以下、道路リンク検出部23により検出される複数の道路リンクを規制対象道路リンクという。
【0041】
規制情報設定部24は、道路リンク検出部23により検出された複数の規制対象道路リンクに対して経路探索上の走行規制情報を設定する。例えば、規制情報設定部24は、道路リンク検出部23により検出された複数の規制対象道路リンクに対して、走行規制情報として所定のコストを設定する。ここで設定するコストは、規制対象道路リンクが経路として選択されにくくなる(つまり、枝狩りされやすくなる)ようにするために必要十分な重みを持った値である。例えば、無限大のコストを設定するようにすることが可能である。
【0042】
経路探索部15は、規制情報設定部24により走行規制情報が設定された複数の規制対象道路リンクを規制対象区間として経路の探索を行う。すなわち、探索枝伸長部21は、進入禁止ノード検出部22により進入禁止ノードが検出されると、道路リンク検出部23および規制情報設定部24の処理が行われている間は探索枝の伸長処理を停止する。その後、規制情報設定部24により走行規制情報(コスト)が設定されると、探索枝伸長部21は、当該走行規制情報が設定された複数の規制対象道路リンクを規制対象区間として、進入禁止ノード検出部22により検出された進入禁止ノードから探索枝の伸長処理を継続する。
【0043】
このようにすれば、
図5のように、大型車進入禁止の交通規制情報が設定されている規制地点51をピンポイントで迂回して、他の規制地点52に至るまでの規制対象区間53を通る経路(例えば、
図11のような経路113)が探索されてしまうことを防止し、規制対象区間53を回避して通る経路54を探索することができる。
【0044】
図6は、以上のように構成した本実施形態による経路探索部15の動作例を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、ユーザにより目的地が設定され、経路探索の指示が行われたときに開始する。
【0045】
まず、探索枝伸長部21は、現在地のノードから1つ先のノードに探索枝を伸ばす(ステップS1)。ここで、進入禁止ノード検出部22は、伸ばした先のノードに大型車進入禁止の交通規制情報が設定されているか否か、つまり進入禁止ノードか否かを判定する(ステップS2)。
【0046】
ここで、探索枝を伸ばした先のノードが進入禁止ノードではないと判定された場合、探索枝伸長部21は、目的地までの経路探索が終了したか否かを判定する(ステップS3)。目的地までの経路探索がまだ終了していない場合、処理はステップS1に戻り、探索枝伸長部21による探索枝の伸長処理を継続する。
【0047】
一方、ステップS2において、探索枝を伸ばした先のノードが進入禁止ノードであると判定された場合、道路リンク検出部23は、進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、他の進入禁止ノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを規制対象道路リンクとして検出する(ステップS4)。そして、規制情報設定部24は、検出された複数の規制対象道路リンクに対して走行規制情報(コスト)を設定する(ステップS5)。
【0048】
その後、処理はステップS1に戻り、探索枝伸長部21による進入禁止ノードからの探索枝の伸長処理を継続する。そして、ステップS3において、目的地までの経路探索が終了したと判定された場合、
図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0049】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ノードの属性情報として大型車進入禁止の交通規制情報が設定されている場合に、その進入禁止ノードから縦続的に接続していて走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクに対して経路探索上の走行規制情報を設定するようにしている。これにより、進入禁止ノードの規制地点をピンポイントで迂回して、走行が規制されている道路区間を通る経路が探索されてしまうことを防止することができ、規制区間を避けて経路の探索を行うことが可能となる。
【0050】
なお、上記実施形態では、進入禁止ノード検出部22により検出された進入禁止ノードから道なりに接続する複数の道路リンクであって、大型車進入禁止の交通規制情報が設定されている他の進入禁止ノードに至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを規制対象道路リンクとして検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0051】
例えば、道路リンク検出部23は、
図7に示すように、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、一方通行の属性情報が設定されている複数の道路リンクを検出するようにしてもよい。
図7に示す例において、道路リンクLK11~LK15が、進入禁止ノード検出部22により検出された進入禁止ノードND11から縦続的に接続する道なりの複数の道路リンクである。このうち、道路リンクLK11~LK14に一方通行の道路属性が設定されていて、道路リンクLK15には一方通行の道路属性が設定されていない。つまり、道路リンクLK14の終端のノードND12が一方通行の出口となっている。この場合、道路リンク検出部23は、進入禁止ノードND11から一方通行の出口のノードND12に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクLK11~LK14を規制対象道路リンクとして検出する。
【0052】
また、道路リンク検出部23は、
図8に示すように、道路種別が同じでリンク接続角度が閾値以下となる道なりの複数の道路リンクであって、道なりの道路リンクが存在しなくなる地点に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクを検出するようにしてもよい。
図8(a)に示す例において、道路リンクLK21~LK24が、進入禁止ノード検出部22により検出された進入禁止ノードND21から縦続的に接続する道なりの複数の道路リンクである。道路リンクLK24の終端のノードND22は三叉路の交差点ノードであり、その先に道なりの道路リンクは存在しない。この場合、道路リンク検出部23は、進入禁止ノードND21から三叉路の交差点ノードND22に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクLK21~LK24を規制対象道路リンクとして検出する。
【0053】
また、
図8(b)に示す例において、道路リンクLK31~LK34が、進入禁止ノード検出部22により検出された進入禁止ノードND31から縦続的に接続する道なりの複数の道路リンクである。道路リンクLK34の終端は行き止まりになっていて、その先に道なりの道路リンクは存在しない。この場合、道路リンク検出部23は、進入禁止ノードND31から行き止まりのノードND32に至るまで縦続的に接続する複数の道路リンクLK31~LK34を規制対象道路リンクとして検出する。
【0054】
また、上記実施形態では、現在地から目的地に向かって探索枝を伸ばしていく過程において進入禁止ノードを検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、進入禁止ノード検出部22は、現在地および目的地を含む所定範囲を設定し、当該所定範囲に含まれる1以上の進入禁止ノードを検出するようにしてもよい。
図9は、このように進入禁止ノードを検出する場合における経路探索部15’の機能構成例を示すブロック図である。
【0055】
図9において、進入禁止ノード検出部22’は、ユーザにより目的地が設定され、経路探索が指示されたときに、現在地および目的地を含む所定範囲を設定し、当該所定範囲に含まれる1以上の進入禁止ノードを検出する。ここで、所定範囲は、経路探索の際に一般的に設定される範囲と同様でよい。例えば、現在地と目的地とを結ぶ直線に平行な2辺を長辺とする矩形領域、または現在地を中心とする所定半径の円形領域と目的地を中心とする所定半径の円形領域とを対角部に含む矩形領域などを所定範囲として設定するようにしてよい。
【0056】
道路リンク検出部23’は、進入禁止ノード検出部22’により検出された1以上の進入禁止ノードのそれぞれについて、当該進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを規制対象道路リンクとして検出する。規制情報設定部24’は、道路リンク検出部23’により検出された複数の規制対象道路リンクに対して、走行規制情報として所定のコストを設定する。
【0057】
探索枝伸長部21’は、以上のようにして規制対象道路リンクに走行規制情報が設定された後、現在地から目的地に向かって探索枝を順次伸ばしていき、最もコストが小さくなる経路を探索する。このとき探索枝伸長部21’は、規制情報設定部24’により走行規制情報が設定された複数の道路リンクを規制対象区間として、現在地から目的地までの経路の探索を行う。
【0058】
図2のように経路探索部15を構成した場合、探索枝を伸ばしていく過程で、例えば
図5に示す大型車進入禁止の交通規制情報が設定された進入禁止ノード51に探索枝が伸ばされず、規制対象区間53の途中にあるノードに探索枝が伸ばされると、進入禁止ノード検出部22、道路リンク検出部23および規制情報設定部24の処理が実行されないので、規制対象区間53の一部を通る経路が探索されてしまう。進入禁止ノード51に探索枝が伸ばされたとしても、それより先に規制対象区間53の途中にあるノードに探索枝が伸ばされた場合も同様である。これに対し、
図9のように経路探索部15’を構成すると、探索枝を伸ばす経路探索の処理を開始する前に、規制対象区間53の全域の道路リンクに走行規制情報が設定されることになるので、規制対象区間53の一部を通る経路が探索されてしまうことを防止することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、ユーザにより経路探索の実行が指示されたときに進入禁止ノード検出部22、道路リンク検出部23および規制情報設定部24の処理を実行する例について説明したが、ユーザにより経路探索の実行が指示される前にあらかじめ実行するようにしてもよい。すなわち、地図データ記憶部10に地図データが記憶されたときに、その地図データを対象として上述の処理を行い、規制対象道路リンクに走行規制情報を付加した地図データを生成して地図データ記憶部10に再記憶させるようにしてもよい。この場合、
図1の地図データ取得部11は、編集後の地図データを地図データ記憶部10から取得して地図データメモリ101に記憶させ、経路探索部15はこの編集後の地図データを用いて経路探索を実行する。
【0060】
図10は、このような地図データの編集を行う地図データ編集装置200の機能構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、本実施形態の地図データ編集装置200は、地図データ記憶部10から地図データを読み出す地図データ読出部31と、地図データ読出部31により読み出された地図データを編集し、編集後の地図データを地図データ記憶部10に記憶させる地図データ編集部32とを備えて構成される。
【0061】
地図データ読出部31は、地図データ記憶部10に記憶されている地図データの全体を読み出す。あるいは、地図データ読出部31は、直近にアップデートされた領域の地図データを読み出すようにしてもよい。地図データ編集部32は、機能構成として、進入禁止ノード検出部22”、道路リンク検出部23”および規制情報設定部24”を備え、これらの機能構成によって地図データの編集を実行する。
【0062】
進入禁止ノード検出部22”は、地図データ読出部31により読み出された地図データを対象として、大型車進入禁止の交通規制情報が設定されている1以上の進入禁止ノードを検出する。この進入禁止ノード検出部22”は、
図9に示した進入禁止ノード検出部22’と同様の処理を行う。ただし、
図9の進入禁止ノード検出部22’は、現在地および目的地を含む所定範囲を対象として進入禁止ノードの検出を行うのに対し、
図10の進入禁止ノード検出部22”は、地図データ読出部31により読み出された地図データの全域を対象として進入禁止ノードの検出を行う点で異なる。
【0063】
道路リンク検出部23”は、進入禁止ノード検出部22”により検出された1以上の進入禁止ノードのそれぞれについて、当該進入禁止ノードから縦続的に接続する複数の道路リンクであって、走行が規制されていることが推定され得る所定区間の道路リンクを検出する。この道路リンク検出部23”は、
図9に示した道路リンク検出部23’と同様の処理を行う。
【0064】
規制情報設定部24”は、道路リンク検出部23”により検出された複数の規制対象道路リンクに対して走行規制情報を設定し、設定した走行規制情報を道路リンクの属性情報として地図データのリンクテーブルに記録する。ここで記録する走行規制情報は、上記実施形態で説明した経路探索上のコストとすることが可能であるが、それに限定されない。例えば、大型車の走行が規制されていることを示すフラグ情報等であってもよい。走行規制情報としてコストを記録した場合、経路探索部15は、そのコストを規制対象道路リンクに付加して経路探索を実行する。一方、走行規制情報としてフラグ情報を記録した場合、経路探索部15は、所定のコストを規制対象道路リンクに付加して経路探索を実行する。
【0065】
このように、地図データ編集装置200によって地図データ記憶部10の地図データをあらかじめ編集しておけば、ユーザにより経路探索の実行が指示されたときに進入禁止ノード検出部22、道路リンク検出部23および規制情報設定部24の処理を行う必要がなく、経路探索処理に要する時間を短縮化することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、進入禁止ノードに設定されている交通規制が大型車進入禁止である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、特種車、二輪車などの進入を禁止する交通規制の場合にも、上記実施形態を同様に適用することが可能である。
【0067】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
15,15’ 経路探索部
21,21’,21” 探索枝伸長部
22,22’,22” 進入禁止ノード検出部
23,23’,23” 道路リンク検出部
24,24’,24” 規制情報設定部
31 地図データ読出部
32 地図データ編集部
100 ナビゲーション装置
200 地図データ編集装置