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特許7575355画像復号装置、画像復号方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像復号装置、画像復号方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/107 20140101AFI20241022BHJP
   H04N 19/11 20140101ALI20241022BHJP
   H04N 19/14 20140101ALI20241022BHJP
   H04N 19/167 20140101ALI20241022BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20241022BHJP
   H04N 19/51 20140101ALI20241022BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20241022BHJP
【FI】
H04N19/107
H04N19/11
H04N19/14
H04N19/167
H04N19/176
H04N19/51
H04N19/593
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021108098
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005868
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晴久
【審査官】山▲崎▼ 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-513815(JP,A)
【文献】特開2021-027464(JP,A)
【文献】特開2021-083122(JP,A)
【文献】国際公開第2020/103931(WO,A1)
【文献】MAX, Blaser, et al.,Description of SDR and 360° video coding technology proposal by RWTH Aachen University,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-J0023-r1,2018年04月12日,pp.1, 28-32
【文献】YUE, Chen, et al.,JOINT INTER-INTRA PREDICTION BASED ON MODE-VARIANT AND EDGE-DIRECTED WEIGHTING APPROACHES IN VIDEO C,2014 IEEE International Conference on Acoustic, Speech and Signal Processing (ICASSP),2014年07月14日,pp.7372 - 7376
【文献】KIDANI, Yoshitaka, et al.,AHG 12: GPM with inter and intra prediction,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29,JVET-W0110-v2,2021年07月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像復号装置であって、
予測情報及び量子化値を復号して出力するように構成されている復号部と、
前記復号部によって出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力するように構成されている逆量子化部と、
前記逆量子化部によって出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力するように構成されている逆変換部と、
前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている合成部と、
前記逆変換部によって出力された前記予測残差と前記合成部によって出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力するように構成されている加算器と、
前記加算器によって出力された前記復号済み画素を蓄積するように構成されている蓄積部と、
前記加算器によって出力された前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されているイントラ予測部と、
前記蓄積部によって蓄積されている前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている動き補償部と、を備え、
前記合成部は、前記イントラ予測部によって出力された前記予測画素及び前記動き補償部によって出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成するように構成され
前記合成部は、復号対象ブロックの単位ブロックを分割した複数の小領域の各々において、前記イントラ予測部によって生成された前記予測画素又は/且つ前記動き補償部によって生成された前記予測画素を採用するように構成され、
前記合成部は、前記小領域においてイントラ予測が割り当てられている場合、前記小領域の分割形状に応じた予測モードを用いるように構成されていることを特徴とする画像復号装置。
【請求項2】
前記合成部は、前記分割形状を構成する直線で分割されている方向に基づいて、前記予測モードを選択するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の画像復号装置。
【請求項3】
前記復号部は、前記小領域の分割の種類に応じて限定された予測モードを適応的に復号するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像復号装置。
【請求項4】
前記合成部は、前記予測モードとして、特定のイントラ予測モードを選択肢に含めるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の画像復号装置。
【請求項5】
前記合成部は、前記分割形状を構成する直線で分割されている方向に応じたイントラ予測モードの少なくとも一部を選択肢に含めるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の画像復号装置。
【請求項6】
前記合成部は、復号対象ブロックの単位ブロックの右下に行くほど重み係数を小さくするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項7】
前記合成部は、復号対象ブロックの単位ブロックの近傍の単位ブロックがイントラ予測か否かに基づいて、前記単位ブロックの重み係数を適応的に変更するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項8】
前記合成部は、復号対象ブロックの単位ブロックの近傍の単位ブロックのうちイントラ予測が割り当てられている単位ブロックの個数に比例するように重み係数を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項9】
画像復号方法であって、
予測情報及び量子化値を復号して出力する工程Aと、
前記工程Aにおいて出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力する工程Bと、
前記工程Bにおいて出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力する工程Cと、
前記工程Aにおいて出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力する工程Dと、
前記工程Cにおいて出力された前記予測残差と前記工程Dにおいて出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力する工程Eと、
前記工程Eにおいて出力された前記復号済み画素を蓄積する工程Fと、
前記工程Eにおいて出力された前記復号済み画素及び前記工程Aにおいて出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力する工程Gと、
前記工程Fにおいて蓄積された前記復号済み画素及び前記工程Aにおいて出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力する工程Hと、を備え、
前記工程Dにおいて、前記工程Gにおいて出力された前記予測画素及び前記工程Hにおいて出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成し、
前記工程Dにおいて、復号対象ブロックの単位ブロックを分割した複数の小領域の各々において、前記工程Gにおいて生成された前記予測画素又は/且つ前記工程Hにおいて生成された前記予測画素を採用し、
前記工程Dにおいて、前記小領域においてイントラ予測が割り当てられている場合、前記小領域の分割形状に応じた予測モードを用いることを特徴とする画像復号方法。
【請求項10】
コンピュータを、画像復号装置として機能させるプログラムであって、
前記画像復号装置は、
予測情報及び量子化値を復号して出力するように構成されている復号部と、
前記復号部によって出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力するように構成されている逆量子化部と、
前記逆量子化部によって出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力するように構成されている逆変換部と、
前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている合成部と、
前記逆変換部によって出力された前記予測残差と前記合成部によって出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力するように構成されている加算器と、
前記加算器によって出力された前記復号済み画素を蓄積するように構成されている蓄積部と、
前記加算器によって出力された前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されているイントラ予測部と、
前記蓄積部によって蓄積されている前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている動き補償部と、を備え、
前記合成部は、前記イントラ予測部によって出力された前記予測画素及び前記動き補償部によって出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成するように構成され
前記合成部は、復号対象ブロックの単位ブロックを分割した複数の小領域の各々において、前記イントラ予測部によって生成された前記予測画素又は/且つ前記動き補償部によって生成された前記予測画素を採用するように構成され、
前記合成部は、前記小領域においてイントラ予測が割り当てられている場合、前記小領域の分割形状に応じた予測モードを用いるように構成されていることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記合成部は、前記分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向の前記予測モードに限定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項12】
前記合成部は、前記分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向および垂直な方向の前記予測モードに限定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項13】
前記合成部は、前記分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向の前記予測モード、垂直な方向の前記予測モードおよびPlanarモードに限定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項14】
前記合成部は、選択肢に含めるイントラ予測モードの数を復号対象のブロックサイズに基づいて判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項15】
前記合成部は、イントラ予測モードの数を復号対象のブロックの縦横比に基づいて判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像復号装置。
【請求項16】
画像復号装置であって、
予測情報及び量子化値を復号して出力するように構成されている復号部と、
前記復号部によって出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力するように構成されている逆量子化部と、
前記逆量子化部によって出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力するように構成されている逆変換部と、
前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている合成部と、
前記逆変換部によって出力された前記予測残差と前記合成部によって出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力するように構成されている加算器と、
前記加算器によって出力された前記復号済み画素を蓄積するように構成されている蓄積部と、
前記加算器によって出力された前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されているイントラ予測部と、
前記蓄積部によって蓄積されている前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている動き補償部と、を備え、
前記合成部は、前記イントラ予測部によって出力された前記予測画素及び前記動き補償部によって出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成するように構成され、
前記合成部は、復号対象ブロックの単位ブロックを分割した複数の小領域の各々において、前記イントラ予測部によって生成された前記予測画素又は/且つ前記動き補償部によって生成された前記予測画素を採用するように構成され、
前記合成部は、前記小領域においてイントラ予測が割り当てられている場合、前記小領域の分割の種類に応じた予測モードを用いるように構成されていることを特徴とする画像復号装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像復号装置、画像復号方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1及び非特許文献2には、GPM(Geometric Partitioning Mode)について開示されている。
【0003】
GPMは、矩形ブロックを斜めに2分割しそれぞれに対して動き補償処理を施すものである。具体的には、分割された2領域は、それぞれマージベクトルにより動き補償処理が施されて重み付き平均処理を施されることで合成される。斜めの分割は、角度及び位置によって64パターンが用意されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ITU-T H.266 VVC
【文献】CE4:Summary report on inter prediction with geometric partitioing、JVET-Q0024
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1及び非特許文献2では、その対象が動き補償を伴うマージモードに限定されているため、符号化性能の向上には改善の余地があるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、より符号化効率を向上させることができる画像復号装置、画像復号方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、画像復号装置であって、予測情報及び量子化値を復号して出力するように構成されている復号部と、前記復号部によって出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力するように構成されている逆量子化部と、前記逆量子化部によって出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力するように構成されている逆変換部と、前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている合成部と、前記逆変換部によって出力された前記予測残差と前記合成部によって出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力するように構成されている加算器と、前記加算器によって出力された前記復号済み画素を蓄積するように構成されている蓄積部と、前記加算器によって出力された前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されているイントラ予測部と、前記蓄積部によって蓄積されている前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている動き補償部と、を備え、前記合成部は、前記イントラ予測部によって出力された前記予測画素及び前記動き補償部によって出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成するように構成されていることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の特徴は、画像復号方法であって、予測情報及び量子化値を復号して出力する工程Aと、前記工程Aにおいて出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力する工程Bと、前記工程Bにおいて出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力する工程Cと、前記工程Aにおいて出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力する工程Dと、前記工程Cにおいて出力された前記予測残差と前記工程Dにおいて出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力する工程Eと、前記工程Eにおいて出力された前記復号済み画素を蓄積する工程Fと、前記工程Eにおいて出力された前記復号済み画素及び前記工程Aにおいて出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力する工程Gと、前記工程Fにおいて蓄積された前記復号済み画素及び前記工程Aにおいて出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力する工程Hと、を備え、前記工程Dにおいて、前記工程Gにおいて出力された前記予測画素及び前記工程Hにおいて出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成することを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の特徴は、コンピュータを、画像復号装置として機能させるプログラムであって、前記画像復号装置は、予測情報及び量子化値を復号して出力するように構成されている復号部と、前記復号部によって出力された前記量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力するように構成されている逆量子化部と、前記逆量子化部によって出力された前記変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力するように構成されている逆変換部と、前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている合成部と、前記逆変換部によって出力された前記予測残差と前記合成部によって出力された前記予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力するように構成されている加算器と、前記加算器によって出力された前記復号済み画素を蓄積するように構成されている蓄積部と、前記加算器によって出力された前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されているイントラ予測部と、前記蓄積部によって蓄積されている前記復号済み画素及び前記復号部によって出力された前記予測情報に基づいて予測画素を生成して出力するように構成されている動き補償部と、を備え、前記合成部は、前記イントラ予測部によって出力された前記予測画素及び前記動き補償部によって出力された前記予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで前記予測画素を生成するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より符号化効率を向上させることができる画像復号装置、画像復号方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る画像復号装置200の機能ブロックの一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る画像復号装置200において単位ブロックを小領域A及び小領域Bに分割するケースの一例を示す図である。
図3】一実施形態に係る画像復号装置200において単位ブロックを小領域A~Cに分割するケースの一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る画像復号装置200において、図2の小領域A及び小領域Bに対してそれぞれイントラ予測及び動き補償を割り当てて予測画素を生成するケースの一例を示す図である。
図5】一実施形態に係る画像復号装置200において、図3の小領域A~Cに対してそれぞれイントラ予測、動き補償及びイントラ予測を割り当てて予測画素を生成するケースの一例を示す図である。
図6図6は、重み係数と重み付き平均処理を用いた算出方法の一例を示す図である。
図7図7は、重み係数と重み付き平均処理を用いた算出方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0013】
(第1実施形態)
以下、図1図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像復号装置200について説明する。図1は、本実施形態に係る画像復号装置200の機能ブロックの一例について示す図である。
【0014】
図1に示すように、画像復号装置200は、符号入力部201と、復号部210と、逆量子化部220と、逆変換部230と、加算器240と、蓄積部250と、イントラ予測部260と、動き補償部270と、合成部280と、画像出力部290とを有する。
【0015】
符号入力部201は、画像符号装置によって出力された符号情報を取得して出力するように構成されている。
【0016】
復号部210は、符号入力部201によって出力された符号情報に対して可変長復号処理を施すことで量子化値及び予測情報を生成して出力するように構成されている。ここで、図1に示すように、復号部210は、逆量子化部220に対して量子化値を出力し、イントラ予測部260、動き補償部270及び合成部280に対して予測情報を出力するように構成されている。
【0017】
逆量子化部220は、復号部210によって出力された量子化値に対して逆量子化処理を施すことで変換係数を生成して出力するように構成されている。ここで、図1に示すように、逆量子化部220は、逆変換部230に対して変換係数を出力するように構成されている。
【0018】
逆変換部230は、逆量子化部220によって出力された変換係数に対して逆変換処理を施すことで予測残差を生成して出力するように構成されている。ここで、図1に示すように、逆変換部230は、加算器240に対して予測残差を出力するように構成されている。
【0019】
加算器240は、逆変換部230によって出力された予測残差及び合成部280によって出力された予測画素を取得するように構成されている。ここで、加算器240は、かかる予測残差と予測画素とを加算して復号済み画素を取得して出力するように構成されている。ここで、図1に示すように、加算器240は、蓄積部250、イントラ予測部260及び画像出力部290に対して復号済み画素を出力するように構成されている。
【0020】
蓄積部250は、加算器240によって出力された復号済み画素について累積的に蓄積するように構成されている。蓄積部250は、動き補償部270からの要求に応じて復号済み画素を出力するように構成されている。
【0021】
イントラ予測部260は、加算器240によって出力された復号済み画素及び復号部210によって出力された予測情報に基づいて、後述する合成部280で設定される小領域における入力画素の近似値としての予測画素を生成するように構成されている。ここで、図1に示すように、イントラ予測部260は、合成部280に対して予測画素を出力するように構成されている。
【0022】
動き補償部270は、蓄積部250を参照して得られた復号済み画素及び復号部210によって出力された予測情報に基づいて、後述する合成部280で設定される小領域における入力画素の近似値としての予測画素を生成するように構成されている。ここで、図1に示すように、動き補償部270は、合成部280に対して予測画素を出力するように構成されている。
【0023】
画像出力部290は、加算器240によって出力された復号済み画素を出力するように構成されている。
【0024】
以下、図2図7を参照して、合成部280の機能の一例について説明する。
【0025】
合成部280は、復号部210によって出力された予測情報、イントラ予測部260によって出力された予測画素及び動き補償部270によって出力された予測画素に基づいて、予測画素を生成して出力するように構成されている。
【0026】
また、合成部280は、イントラ予測部260によって出力された予測画素及び動き補償部270によって出力された予測画素に対して重み係数を用いた重み付け平均処理を施すことで、かかる予測画素を生成するように構成されている。
【0027】
ここで、合成部280の役割は、後段の加算器240において復号対象ブロックを高精度に補償するために、かかる復号対象ブロックに最適な複数の予測画素に対する重み係数を選択して、イントラ予測部260及び動き補償部270から取得した複数の予測画素を重み係数に応じて合成することにある。
【0028】
なお、重み係数については、単位ブロックの画素ごとに予め設定した任意の値を設定した複数のパターンを用意しておき、合成部280は、複数のパターンの重み係数から、復号部210から取得した予測情報に従って、画素ごとに使用する重み係数を特定するように構成されている。
【0029】
複数の予測画素に対する重み係数の合計値は、画素ごとに1になるように設計しておき、かかる重み係数を用いて複数の予測画素に対して重み付け平均処理を施して合成した結果を、合成部280による予測画素とする。
【0030】
重み係数を0以外とした画素は、かかる予測画素を採用し、重み係数を0とした画素は、かかる予測画素を用いないことになるため、概念としては、単位ブロックを複数の小領域に分割することに相当し、複数の予測画素のどの画素をどの割合でどこに適用するかを決定することになる。
【0031】
ここで、重み係数の分布は、2等分等の矩形形状分布だとより小さな単位ブロックで表現できるため、非矩形形状に分布させることが望ましい。
【0032】
図2では、単位ブロックを斜めの形状で分布させた場合の例を表し、単位ブロックは、斜めの直線で小領域A及び小領域Bに分割されている。
【0033】
図3の例では、単位ブロックは、複数の直線で小領域Aと小領域Bと小領域Cとに分割されている。分割数は、任意の数であってもよい。
【0034】
図3の例において、それぞれの小領域A~Cに対してイントラ予測又は/且つ動き補償を割り当てて予測画素が生成されてもよい。すなわち、合成部280は、復号対象ブロックの単位ブロックを分割した複数の小領域A~Cの各々において、イントラ予測部260によって生成された予測画素又は/且つ動き補償部270によって生成された予測画素を採用するように構成されていてもよい。
【0035】
このとき、分割数が増加すると、イントラ予測等の予測情報を符号化する必要が生じてしまうため、符号化効率を改善できないという問題がある。この問題を解決するため、小領域の分割に応じた予測モードを用いるという手順を取る。
【0036】
図4は、図2の小領域A及び小領域Bに対してそれぞれイントラ予測及び動き補償を割り当てて予測画素を生成する例を示す。他にも、両方の小領域A及び小領域Bに異なるイントラ予測を割り当てる等の任意の組み合わせを取ることができる。また、イントラ予測に関しては、デブロッキングフィルタ適用前を利用してもよいしデブロッキングフィルタ適用後を利用してもよい。事前にどちらかを決定しておくことが望ましい。
【0037】
イントラ予測は、小領域の分割形状に応じてイントラ予測モードを限定してもよい。すなわち、合成部280は、小領域においてイントラ予測が割り当てられている場合、小領域の分割形状に応じたイントラ予測モードを用いるように構成されていてもよい。
【0038】
例えば、合成部280は、図4に示すように、イントラ予測モードを、分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向のモードの1種類だけに限定することができる。
【0039】
或いは、合成部280は、イントラ予測モードを、分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向のモードと垂直な方向のモードとの2種類だけに限定してもよい。
【0040】
このように、イントラ予測モードを分割形状の方向に応じたものに限定することで、イントラ予測モードを表す符号量を適応的に削減できる効果が得られる。
【0041】
復号部210は、小領域の分割の種類に応じて限定された予測モードを適応的に復号するように構成されていてもよい。
【0042】
例えば、復号部210は、分割形状を構成する直線で分割されている方向と平行な方向及び垂直な方向にイントラ予測モードを限定する場合、復号部210に入力された符号が「0」であれば平行な方向としてイントラ予測モードを復号し、復号部210に入力された符号が「1」であれば垂直な方向としてイントラ予測モードを復号するように構成されていてもよい。かかる構成によれば、イントラ予測モードの予測情報が1ビットで表現できるため、符号化効率を大幅に向上させる効果が得られる。
【0043】
合成部280は、予測モードとして、特定のイントラ予測モードを選択肢に含めるように構成されていてもよい。例えば、合成部280は、PlanarモードやDC等の方向に依存しない特定のイントラ予測モードを常に選択肢に加えるように構成されていてもよい。
【0044】
例えば、合成部280は、イントラ予測モードを、分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向のモードと垂直な方向のモードと方向に依存しないPlanarモードとの3種類だけに限定してもよい。
【0045】
或いは、合成部280は、イントラ予測モードを、分割形状を構成する直線で分割されている方向に対して平行な方向のモードと垂直な方向のモードと方向に依存しないPlanarモードとDCモードとの4種類だけに限定してもよい。
【0046】
また、合成部280は、非特許文献1で開示されている復号対象ブロックに隣接する複数の参照画素ラインから予測画素生成に使用する参照画素を選択するMRLが有効な場合、上述の分割形状に応じたイントラ予測モードで参照する参照画素として、MRLで選択される参照画素を使用してもよい。
【0047】
図5は、図3の小領域A~Cに対して、それぞれイントラ予測、動き補償及びイントラ予測を割り当てている。
【0048】
それぞれのイントラ予測では、小領域A~Cを構成する複数の直線で分割されている方向に応じたイントラ予測モードを全て或いは一部を選択肢に含むことができる。すなわち、合成部280は、小領域の分割形状を構成する直線で分割されている方向に応じたイントラ予測モードの少なくとも一部を選択肢に含めるように構成されていてもよい。
【0049】
合成部280は、選択肢に含めるイントラ予測モードの数を復号対象のブロックサイズに基づいて判定してもよい。
【0050】
例えば、合成部280は、単位ブロックのブロックサイズが小さい場合は、小領域の分割形状を構成する直線で分割されている方向に応じた1つのイントラ予測モード及びかかるイントラ予測モード近傍の複数のイントラ予測モードにより生成される予測画素を用いて予測画素を生成してもよい。
【0051】
また、合成部280は、単位ブロックのブロックサイズが大きい場合は、小領域の分割形状を構成する直線で分割されている方向に応じた1つのイントラ予測モードのみより予測画素を生成してもよい。
【0052】
単位ブロックのサイズにより、隣り合うイントラ予測モード間の各参照画素位置(各参照画素間の距離)が変わるため、上記のように各参照画素位置が離れやすい大サイズブロックでは、分割方向に対して、例えば、1つの平行なイントラ予測モードに限定することで、かかる平行なイントラ予測モード近傍の予測モードによって参照される画素、すなわち、分割形状を構成する分割線から離れた参照画素を予測画素生成に使用して、予測性能の劣化が生じてしまう可能性を回避できる。
【0053】
他方、上述の各参照画素位置が離れにくい小サイズブロックでは、分割方向に対して、例えば、1つの平行なイントラ予測モード及びかかる平行なイントラ予測モード近傍の予測モードによって参照される画素を予測画素の生成に使用することで、予測性能の向上効果が期待できる。
【0054】
合成部280は、選択肢に含めるイントラ予測モードの数を復号対象のブロックの縦横比に基づいて判定してもよい。
【0055】
例えば、合成部280は、単位ブロックの縦横比が小さい場合は、小領域の分割形状を構成する直線で分割されている方向に応じた1つのイントラ予測モード及びかかるイントラ予測モード近傍の複数のイントラ予測モードにより生成される予測画素を用いて予測画素を生成してもよい。
【0056】
また、合成部280は、単位ブロックの縦横比が大きい場合は、小領域の分割形状を構成する直線で分割されている方向に応じた1つのイントラ予測モードのみより予測画素を生成してもよい。
【0057】
単位ブロックの縦横比により、隣り合うイントラ予測モード間の各参照画素位置(各参照画素間の距離)が変わるため、上述のように、各参照画素位置が離れやすい非正方ブロックでは、分割方向に対して、例えば、1つの平行なイントラ予測モードに限定することで、かかる平行なイントラ予測モード近傍の予測モードによって参照される画素、すなわち、分割形状を構成する分割線から離れた参照画素を予測画素生成に使用して、予測性能の劣化が生じてしまう可能性を回避できる。
【0058】
他方、上述の各参照画素位置が離れにくい正方ブロックでは、分割方向に対して、例えば、1つの平行なイントラ予測モード及びかかる平行なイントラ予測モード近傍の予測モードによって参照される画素を予測画素の生成に使用することで、予測性能の向上効果が期待できる。
【0059】
それぞれの小領域A~Cの予測画素は、分割形状に応じた重み係数を用いた重み付き平均処理を施すことで算出される。小領域A~Cの合成は、画素単位に重み係数を設定し、複数の予測画素に対して、かかる重み係数を用いた重み付き平均処理を施すことで求められる。
【0060】
図6は、重み係数と重み付き平均処理を用いた算出方法の一例を示す。
【0061】
また、イントラ予測と動き補償との組み合わせの場合、イントラ予測は、右下の予測精度が比較的低いため、図6の重み係数に加えて、図7に示すように、イントラ予測の重み係数は、単位ブロックの右下ほど小さくなる点を加味して設計することもできる。すなわち、合成部280は、復号対象ブロックの単位ブロックの右下に行くほど重み係数を小さくするように構成されていてもよい。この場合、重み係数wを一様に0.5としておくことで明示的な小領域分割を省略することもできる。
【0062】
また、一般的にイントラ予測が選択されるような領域は、近傍の単位ブロックもイントラ予測が選択されることが多いため、近傍の単位ブロックがイントラ予測か否かによって重み係数を適応的に変更してもよい。すなわち、合成部280は、復号対象ブロックの単位ブロックの近傍の単位ブロックがイントラ予測か否かに基づいて、かかる単位ブロックの重み係数を適応的に変更するように構成されていてもよい。
【0063】
例えば、近傍の単位ブロックのイントラ予測の個数に重み係数を比例させてもよい。すなわち、合成部280は、復号対象ブロックの単位ブロックの近傍の単位ブロックのうちイントラ予測が割り当てられている単位ブロックの個数に比例するように重み係数を決定するように構成されていてもよい。近傍にイントラ予測が多い場合は、重みrを大きくしてイントラ予測の影響を強くし、近傍にイントラ予測が少ない場合は、重みrを小さくしてイントラ予測の影響を小さくすることで、予測精度向上の効果が期待できる。
【0064】
また、上述の画像復号装置200は、コンピュータに各機能(各工程)を実行させるプログラムであって実現されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
なお、本実施形態によれば、例えば、動画像通信において総合的なサービス品質の向上を実現できることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
200…画像復号装置
201…符号入力部
210…復号部
220…逆量子化部
230…逆変換部
240…加算器
250…蓄積部
260…イントラ予測部
270…動き補償部
280…合成部
290…画像出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7