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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/37 20060101AFI20241022BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20241022BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241022BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241022BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20241022BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241022BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241022BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20241022BHJP
   B60R 1/04 20060101ALI20241022BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241022BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G09G5/37 100
G09G3/36
G09G5/00 550C
G02F1/1335 520
G02F1/1347
G02F1/133 505
G02F1/13 505
B60R1/20 100
B60R1/04 D
H04N7/18 J
G09G5/00 510A
G09G5/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021181646
(22)【出願日】2021-11-08
(65)【公開番号】P2023069630
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲雄
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-47804(JP,A)
【文献】特開2019-191288(JP,A)
【文献】特開2009-8881(JP,A)
【文献】特開2021-133794(JP,A)
【文献】特開平7-146469(JP,A)
【文献】特開昭59-189317(JP,A)
【文献】特表2018-503549(JP,A)
【文献】実開昭62-143542(JP,U)
【文献】実開昭60-84903(JP,U)
【文献】国際公開第2016/136100(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/175581(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0339677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
G09G 3/36
G09G 3/20
G02F 1/1335
G02F 1/1347
G02F 1/133
G02F 1/13
B60R 1/20
B60R 1/04
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射像に表示オブジェクトの映像を重畳して表示する表示システムであって、
ディスプレイと入射する光の反射率/透過率を制御可能な光学装置とを備えた表示装置と、
前記ディスプレイに表示オブジェクトを表示する表示制御手段と、
前記光学装置の反射率/透過率を変更する光学装置制御手段とを有し、
前記ディスプレイは、前記表示オブジェクトの映像光を出射し、
前記光学装置は、前記ディスプレイの映像光の出射方向を第1方向として、前記ディスプレイの前記第1方向側に、前記第1方向に見て前記ディスプレイの表示面と重なるように配置され、
前記表示制御手段は、前記光学装置の反射率/透過率に応じて、同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、前記光学装置の反射率/透過率の変化に伴う前記表示オブジェクトのユーザに視認される色の変化が抑制されるように変更することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の表示システムであって、
前記表示制御手段は、同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、前記光学装置の透過率が低いほど、明度が高くなるように変更することを特徴とする表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の表示システムであって、
前記表示制御手段は、同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、前記光学装置の反射率/透過率の変化に伴って、前記表示オブジェクトのユーザに視認される明度が変化しないように変更することを特徴とする表示システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の表示システムであって、
前記ディスプレイはバックライトを備えた液晶ディスプレイであることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の表示システムであって、
前記表示装置は、自動車のフロントウインドウシールドの上部に、映像光を前記自動車の後ろ方向に向けて出射するように配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1、2、3または4記載の表示システムであって、
前記表示装置は、自動車のフロントドアの側部に、映像光を前記自動車の後ろ方向に向けて出射するように配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の表示システムであって、
前記自動車の後方から到来する光の強さを検出する光検出手段を備え、
前記光学装置制御手段は、前記光検出手段が検出した光の強さに応じて、前記光学装置の反射率/透過率を、光の強さが強いほど反射率が小さくなり透過率が大きくなるように制御することを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡としての反射像と表示映像とを重畳して表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鏡としての反射像に表示映像を重畳して表示する表示装置としては、液晶ディスプレイの表示面と対向する位置に、入射する光の反射率/透過率を制御可能な光学装置を配置した表示装置が知られている(たとえば、特許文献1)。ここで、この光学装置は、入射する光を反射光と透過光に振り分ける割合を変更することにより反射率/透過率を制御するものであり、反射率を大きくすると透過率が小さくなり、反射率を小さくすると透過率が大きくなる。
【0003】
したがって、この表示装置によれば、反射率/透過率を適当に制御することにより、光学装置による反射像に液晶ディスプレイの表示映像を重畳して表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6624193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した鏡としての反射像に表示映像を重畳して表示する表示装置を自動車に設置し、自動車後方のようすを表す反射像に重畳して、液晶ディスプレイの表示映像による情報を表示することにより、情報表示機能を備えたルームミラーとして用いることが考えられる。
【0006】
また、この場合には、後続車のヘッドライトなどの後方より到来する強い光があるときに、光学装置の反射率を小さくして防眩を行うことが考えられる。
【0007】
しかし、このようにすると、光学装置の液晶ディスプレイの表示映像の映像光に対する反射率/透過率も変化するので、液晶ディスプレイに同じ映像を表示しても、表示装置から出射される映像光の明るさが変化してしまう。そして、このために、液晶ディスプレイの表示映像により表示される情報がユーザにとって見づらい表示となってしまったり、当該情報の表示に対するユーザの違和感を招いてしまったりすることがある。
【0008】
そこで、本発明は、鏡としての反射像に表示映像を重畳して表示する表示装置を備えた表示システムにおいて、表示映像の視認性を維持しつつ、適正な防眩を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、反射像に表示オブジェクトの映像を重畳して表示する表示システムに、ディスプレイと入射する光の反射率/透過率を制御可能な光学装置とを備えた表示装置と、前記ディスプレイに表示オブジェクトを表示する表示制御手段と、前記光学装置の反射率/透過率を変更する光学装置制御手段とを備えたものである。前記ディスプレイは、前記表示オブジェクトの映像光を出射し、前記光学装置は、前記ディスプレイの映像光の出射方向を第1方向として、前記ディスプレイの前記第1方向側に、前記第1方向に見て前記ディスプレイの表示面と重なるように配置され、前記表示制御手段は、前記光学装置の反射率/透過率に応じて、同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、前記光学装置の反射率/透過率の変化に伴う前記表示オブジェクトのユーザに視認される色の変化が抑制されるように変更する。
【0010】
ここで、この表示システムは、前記表示制御手段において、同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、前記光学装置の透過率が低いほど、明度が高くなるように変更するように構成してよい。
【0011】
また、この場合には、前記表示制御手段において、同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、前記光学装置の反射率/透過率の変化に伴って、前記表示オブジェクトのユーザに視認される明度が変化しないように変更してよい。
また、以上の表示システムにおいて、前記ディスプレイはバックライトを備えた液晶ディスプレイとしてよい。
【0012】
また、以上の表示システムにおいて、前記表示装置は、自動車のフロントウインドウシールドの上部に、映像光を前記自動車の後ろ方向に向けて出射するように配置されたものであってよい。
【0013】
または、以上の表示システムにおいて、前記表示装置は、自動車のフロントドアの側部に、映像光を前記自動車の後ろ方向に向けて出射するように配置されたものであってもよい。
【0014】
また、このような自動車に搭載された表示装置に加え、前記自動車の後方から到来する光の強さを検出する光検出手段を設け、前記光学装置制御手段において、前記光検出手段が検出した光の強さに応じて、前記光学装置の反射率/透過率を、光の強さが強いほど反射率が小さくなり透過率が大きくなるように制御することにより防眩機能を備えた表示システムを構成してもよい。
【0015】
以上のような表示システムによれば、光学装置の反射率/透過率を制御して適正な防眩を実現できると共に、前記光学装置の反射率/透過率に応じて同一の表示オブジェクトの前記ディスプレイへの表示色を、光学装置の反射率/透過率の変化に伴うユーザに視認される色の変化が抑制されるように変更することことにより、表示オブジェクトの視認性を維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、鏡としての反射像に表示映像を重畳して表示する表示装置を備えた表示システムにおいて、表示映像の視認性を維持しつつ、適正な防眩を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る表示装置の配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る表示装置の動作を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る防眩時におけるの表示オブジェクト色の設定法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る表示システムの構成を示す。
【0019】
表示システムは、自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、表示装置1、モード制御装置2、表示制御装置3、1台もしくは複数台の映像ソース機器4、制御装置5、複数のセンサ6、入力装置7を備えている。
【0020】
表示装置1は、選択的に鏡として機能させることも、映像を表示する装置としても、鏡としての反射像に表示映像を重畳して表示する装置としても機能させることができる装置であり、映像を表示する液晶ディスプレイ11と、液晶ディスプレイ11が出射する映像光が通過する位置に配置された、光の反射率/透過率を制御可能な光学装置12とを備えている。
【0021】
表示装置1は、たとえば、図2に示すように、自動車のフロントウインドウシールドの上部の伝統的にルームミラーが設けられてきた位置に配置される。
【0022】
表示システムは、動作モードとして、ディスプレイモードとミラーモードを備えており、ディスプレイモードでは、表示装置1を液晶ディスプレイ11の表示映像を表示する装置として機能させ、ミラーモードでは、表示装置1を鏡として機能しつつ鏡としての反射像に液晶ディスプレイ11の表示映像を重畳して表示する装置として機能させる。
【0023】
したがって、ディスプレイモードでは、表示装置1を、各種情報を表示するディスプレイとして用いることができ、ミラーモードでは、表示装置1を、情報表示機能を備えたルームミラーとして用いることができる。
【0024】
ただし、表示装置1は、自動車のフロントドアの側部の伝統的にサイドミラーが設けられてきた位置に配置してもよい。この場合は、ディスプレイモードでは、表示装置1を、各種情報を表示するディスプレイとして用いることができ、ミラーモードでは、表示装置1を、情報表示機能を備えたサイドミラーとして用いることができる。
図1に戻り、映像ソース機器4としては、自動車後方を撮影するバックカメラや、その他の映像を出力する機器を設ける。
【0025】
また、複数のセンサ6としては、周囲の明るさを検出するための照度センサ6や、自動車の後方から到来する光の強さを検出する光センサ6や、自動車の走行状態やシートベルトの着用状態などの自動車の各種状態を検出するセンサ6を設ける。
【0026】
そして、表示制御装置3は、ディスプレイモードにあるときには、制御装置5の制御に従って、映像ソース機器4の出力する映像の液晶ディスプレイ11への表示を行い、ミラーモードにあるときには、制御装置5の制御に従って、アイコン510などの表示オブジェクトの液晶ディスプレイ11への表示を行う。
また、モード制御装置2は、制御装置5の制御に従って、光学装置12の反射率/透過率を調整する。
【0027】
次に、制御装置5は、入力装置7で受け付けたユーザ操作等に従って、表示装置1のディスプレイモードとミラーモードの切り替えを行う。
【0028】
また、制御装置5は、ディスプレイモードにあるときに、入力装置7で受け付けたユーザ操作等に従って、表示制御装置3が液晶ディスプレイ11に表示する映像の出力元の映像ソース機器4を切り替える処理を行う。
【0029】
次に、制御装置5は、ミラーモードにあるときに、照度センサ6の検出値が、周囲が暗いことを検出している期間中、光センサ6で検出した後方から到来する光の強さに応じて防眩レベルを、光の強さが大きいほど高くなるように設定する。また、制御装置5は、ミラーモードにあるときに、照度センサ6の検出値が、周囲が暗くないことを検出している期間中、防眩レベルを最低レベルに設定する。
【0030】
ただし、周囲の明るさや、後方から到来する光の強さは、制御装置5において、映像ソース機器4として備えたバックカメラが出力する映像から識別するようにしてもよい。
【0031】
そして、制御装置5は、ディスプレイモードにあるときには、モード制御装置2に、表示装置1が、液晶ディスプレイ11の表示映像を表示する装置として機能するように、光学装置12の反射率/透過率を、低反射率/高透過率に調整させる。
【0032】
また、制御装置5は、ミラーモードにあるときには、モード制御装置2に、表示装置1が、鏡として機能しつつ鏡としての反射像500に液晶ディスプレイ11の表示映像を重畳して表示する装置として機能し、かつ、防眩レベルが高いほど反射率が小さくなり透過率が大きくなるように、光学装置12の反射率/透過率を調整させる。
【0033】
より具体的には、ミラーモードの期間中、防眩レベルが低レベルであるときには、モード制御装置2に、液晶ディスプレイ11の表示映像をユーザが視認可能な程度に透過率が確保される範囲において、光学装置12の反射率/透過率を高反射率/低透過率に調整させる。そして、防眩レベルが高くなるほど、反射率が、より小さくなり透過率がより大きくなるように、モード制御装置2に、光学装置12の反射率/透過率を制御させる。ここで、光学装置12の反射率が小さくなり透過率が大きくなるほど、ミラーモードにあるときの、表示装置1の防眩の程度は強くなる。
したがって、ミラーモードの期間中、後方から到来する光が強いほど、光学装置12の防眩の程度は強くなる。
次に、図3に表示装置1の構成を模式的に示す。
【0034】
図示するように、表示装置1は、表示装置1の裏面側より、表示用照明光を出射するバックライト13、エアギャップまたはOCA(Optical Clear Adhesive:光学用透明粘着シート)14、バックライト用偏光板111、表示用液晶パネル112、映像光用偏光板113、エアギャップまたはOCA15、反射偏光板121、モード切替用液晶パネル122、外光用偏光板123、エアギャップまたはOCA16、カバーガラス17を重ねた構造を備えている。
そして、バックライト用偏光板111と表示用液晶パネル112と映像光用偏光板113より液晶ディスプレイ11が構成されている。
【0035】
液晶ディスプレイ11において、映像光用偏光板113の偏光透過軸の方向を第1方向として、バックライト用偏光板111の偏光透過軸の方向は、第1方向と直交する方向である第2方向に設定されている。バックライト13から出射された表示用照明光の第2方向の直線偏光の成分のみがバックライト用偏光板111を透過して表示用液晶パネル112に入射する。表示用液晶パネル112において表示用照明光の振動面は画素毎に所望の方向に調整された後、着色されて映像光用偏光板113に出射される。映像光用偏光板113は表示用液晶パネル112から入射した表示用照明光の第1方向の直線偏光の成分のみを透過し、映像を表す映像光として出射する。
【0036】
また、表示用液晶パネル112は、表示装置1の裏面側より、裏側透明基板1121、画素電極1122、裏側配向膜1123、液晶層1124、表側配向膜1125、対向電極1126、カラーフィルタ及びブラックマトリックス1127、表側透明基板1128を重ねた構造を備えている。
【0037】
そして、画素電極1122と対向電極1126で液晶層1124に印加する実効電圧を画素毎に制御することにより、画素毎に液晶の向きを制御して、液晶層1124から出射される表示用照明光の振動面を所望の方向に調整することができる。ここで、液晶層1124から出射された表示用照明光は、カラーフィルタ1127で画素毎に着色され映像光用偏光板113に出射される。
次に、このような表示装置1において、反射偏光板121とモード切替用液晶パネル122と外光用偏光板123より光学装置12が構成されている。
【0038】
外光用偏光板123と反射偏光板121の偏光透過軸は、液晶ディスプレイ11の映像光用偏光板113の偏光透過軸と同じ第1方向に設定されている。また、反射偏光板121は、偏光透過軸の方向の直線偏光を透過し、偏光透過軸と直交する方向の直線偏光を反射する光学デバイスであり、ここでは、偏光透過軸が第1方向であるので、第1方向の直線偏光を透過し、第1方向と直交する方向である第2方向の直線偏光を反射する。
【0039】
モード切替用液晶パネル122は、モード切替用液晶パネル122内の液晶の向きを制御して、モード切替用液晶パネル122に入射する直線偏光の振動面を所望の方向に調整して出射することができる。
次に、このような表示装置1のディスプレイモードとミラーモードにおける動作について説明する。
【0040】
まず、図4aに、ディスプレイモードにおける動作を、当該動作に関わらないカバーガラス17、エアギャップ、OCAを省略して示す。
【0041】
ディスプレイモードにおいて、図4aに示すように、モード切替用液晶パネル122は、入射する直線偏光の振動面を、そのまま維持して出射するようにモード制御装置2によって制御される。
【0042】
外光用偏光板123に入射した外光の第1方向の直線偏光の成分は、偏光透過軸が第1方向の外光用偏光板123を透過し、振動面の方向を第1方向に維持したままモード切替用液晶パネル122を透過する。モード切替用液晶パネル122を透過した第1方向の直線偏光は、偏光透過軸が第1方向の反射偏光板121を透過し、液晶ディスプレイ11に入射し、そのおおよそが吸収される。
【0043】
一方、上述のように、液晶ディスプレイ11からは、第1方向の直線偏光のみを含む映像光が出射される。液晶ディスプレイ11から出射された映像光は、偏光透過軸が第1方向の反射偏光板121を透過を通過してモード切替用液晶パネル122に入射する。モード切替用液晶パネル122に入射した映像光は、振動面の方向を第1方向に維持したままモード切替用液晶パネル122を透過すると共に、そのまま偏光透過軸が第1方向の外光用偏光板123を透過して外部に出射される。そして、この外部に出射された映像光により、映像の表示が達成される。
【0044】
次に、図4bに、モード切替用液晶パネル122を、入射する直線偏光の振動面を90度回転させるようにモード制御装置2によって制御した場合の動作を、当該動作に関わらないカバーガラス17、エアギャップ、OCAを省略して示す。
【0045】
この場合、外光用偏光板123に入射した外光の第1方向の直線偏光の成分は、偏光透過軸が第1方向の外光用偏光板123を透過し、モード切替用液晶パネル122で振動面の方向が90度回転され第2方向の直線偏光として反射偏光板121に入射する。反射偏光板121は、モード切替用液晶パネル122から入射した外光が、第1方向の偏光透過軸と直交する第2方向の直線偏光であるので、その全てを反射する。反射偏光板121で反射した第2方向の直線偏光の反射光は、モード切替用液晶パネル122に入射し、モード切替用液晶パネル122で振動面が90度回転され第1方向の直線偏光として外光用偏光板123に出射され、偏光透過軸が第1方向の外光用偏光板123を、そのまま透過し外部に出射される。そして、この外部に出射された反射光により、表示装置1の鏡としての機能が実現される。
【0046】
一方、この場合、液晶ディスプレイ11の表示を行っても、液晶ディスプレイ11から出射された第1方向の直線偏光の映像光は、反射偏光板121を透過を通過して、モード切替用液晶パネル122で振動面が90度回転され第2方向の直線偏光として外光用偏光板123に入射し、外光用偏光板123で遮断され、外部に液晶ディスプレイ11の映像が表示出力されることはない。
次に、図4cに、ミラーモードにおける動作を、当該動作に関わらないカバーガラス17、エアギャップ、OCAを省略して示す。
【0047】
ミラーモードでは、モード切替用液晶パネル122を図4aと図4bの間の状態に制御する。すなわち、入射する直線偏光の振動面をθa(θa>0)度以上、θb(θb<90)度以下の範囲内において、防眩レベルに応じて定まる角度θ回転させるようにモード切替用液晶パネル122はモード制御装置2によって制御される。
【0048】
このようにモード切替用液晶パネル122を制御するミラーモードにおいて、外光用偏光板123に入射した外光の第1方向の直線偏光の成分は、偏光透過軸が第1方向の外光用偏光板123を透過し、モード切替用液晶パネル122で振動面の方向がθ回転され第1方向と第2方向の間の方向の直線偏光として反射偏光板121に入射する。
【0049】
反射偏光板121は、モード切替用液晶パネル122から入射した外光の第2方向の直線偏光の成分を反射し、入射する外光の第1方向の直線偏光の成分を透過する。したがって、反射偏光板121は、モード切替用液晶パネル122から入射した外光の一部を反射し一部を透過する。
【0050】
反射偏光板121で反射した第2方向の直線偏光の反射光は、モード切替用液晶パネル122に入射し、モード切替用液晶パネル122で振動面がθ回転され外光用偏光板123に出射され、外光用偏光板123は、モード切替用液晶パネル122から入射した反射光の第1方向の直線偏光の成分を外部に出射する。そして、この外部に出射された反射光により、表示装置1の鏡としても機能が実現される。また、モード切替用液晶パネル122において振動面を回転する角度θに応じて光学装置12の反射率を変化させ、防眩レベルに応じた表示装置1の防眩を実現できる。
【0051】
一方、反射偏光板121を透過した第1方向の直線偏光の外光は液晶ディスプレイ11に入射し、その後、そのおおよそが吸収される。
【0052】
一方、液晶ディスプレイ11から出射された第1方向の直線偏光の映像光は、反射偏光板121を透過を通過して、モード切替用液晶パネル122で振動面がθ回転され外光用偏光板123に入射し、外光用偏光板123は、モード切替用液晶パネル122から入射した映像光の第1方向の直線偏光の成分を外部に出射する。
【0053】
したがって、ミラーモードにおいて、ユーザには、反射偏光板121で反射した像と液晶ディスプレイ11が表示した映像が重畳して視認される。
【0054】
表示装置1から外部に出射される映像光の光学装置12の透過率は、モード切替用液晶パネル122において振動面を回転する角度θに応じて変化し、光学装置12の反射率が大きいほど小さくなり、光学装置12の反射率が小さいほど大きくなる。したがって、防眩レベルに応じて、表示装置1から外部に出射される液晶ディスプレイ11の映像光の透過率が変化する。
【0055】
次に、上述のように、制御装置5は、ミラーモードにあるときに、表示制御装置3の表示オブジェクトの液晶ディスプレイ11への表示を制御する。
図5aは、ミラーモードにあるときに、表示オブジェクトを表示しない場合について示したものである。
【0056】
この場合、制御装置5は、図5a1に示すように、黒画面を表示制御装置3に液晶ディスプレイ11に表示させる。図5a2は、このときに、ユーザから視認される表示装置1のようすを表したものであり、この場合、表示装置1には後方のようすを表す反射像500のみが表れる。
次に、図5bは、ミラーモードにあるときに、表示オブジェクトを表示する場合について示したものである。
ここで、以下では、シートベルトの未着用を通知するアイコン510である場合を例にとり説明する。
【0057】
この場合、制御装置5は、たとえば、センサ6で自動車の走行中の運転席のシートベルトの未着用を検出したときに、図5b1に示すシートベルトの未着用を通知するアイコン510を黒い背景上に配置した画像を、図5b2に示すように表示制御装置3に液晶ディスプレイ11に表示させる。図5b3は、このときに、ユーザから視認される表示装置1のようすを表したものであり、この場合、上述したミラーモードのときの表示装置1の動作によって、表示装置1には後方のようすを表す反射像500とアイコン510とが重畳して表れる。
【0058】
ここで、上述のように、ミラーモードのとき、防眩レベルに応じて光学装置12の反射率/透過率は変更され、これに伴い表示装置1から外部に出射される液晶ディスプレイ11の映像光の透過率も変化する。
【0059】
したがって、防眩レベルに関わらずにアイコン510の表示色を同一とすると、防眩レベルに応じてアイコン510が異なった色でユーザに視認されることになる。
【0060】
そこで、制御装置5は、ミラーモードのとき、制御している光学装置12の反射率/透過率に応じて、防眩レベルに関わらずに同様な色として視認されるように、表示制御装置3にアイコン510の表示色を変更させる。
光学装置12の反射率/透過率の変化が、視認されるアイコン510の明度のみに関わる場合、制御装置5は、次のような制御を行う。
【0061】
すなわち、制御装置5は、防眩レベルの変化に伴い光学装置12の反射率/透過率を変更したときに、変更後の透過率から、ユーザに同じ色のアイコン510が視認されるように、アイコン510の表示色の明度を調整する率である明度調整率k(%)を算出し、表示制御装置3に設定する。
【0062】
そして、表示制御装置3は、明度調整率k(%)が表す割合分、予め定められているアイコン510の基本表示色の明度を調整した色をアイコン510の現用表示色として算定し、アイコン510を現用表示色で液晶ディスプレイ11に表示する。なお、アイコン510の基本表示色は、アイコン510の色データ(RGB等)によって表される色である。
ここで、透過率に応じた明度調整率k(%)の算出と、明度調整率k(%)に応じた現用表示色の算定は、透過率が小さいほど現用表示色の明度が大きくなるように行う。
【0063】
より具体的には、たとえば、図6aに光学装置12の透過率と明度調整率k(%)の関係を示すように、ミラーモードにおいて用いる最小の透過率がMN%(図では、約20%)、最大の透過率がMX%(図では、約80%)であるときには、透過率がMN%のとき明度調整率(%)が0%となり、透過率がMX%に近づくにつれて、明度調整率(%)が大きくなるように、透過率に応じて明度調整率(%)を算出する。
そして、表示制御装置3では、たとえば、
現用表示色明度=基本表示色明度×{1-(k/100)}
となるように、現用表示色を設定する。
【0064】
また、この場合、アイコン510の基本表示色は、その色で液晶ディスプレイ11にアイコン510を表示すると、透過率が最大のMN%のときに、設計者がアイコン510の色として意図した色がユーザに視認される色とする。設計者は、この基本表示色を予め選定し、選定した基本表示色の色データをアイコン510の色データとして設定する。
【0065】
そして、図6aの光学装置12の透過率と明度調整率k(%)の関係は、ミラーモードにおいて、MX%とMN%の間の各透過率において、当該透過率に対して上述のように定まる現用表示色のアイコン510の液晶ディスプレイ11への表示によって、透過率が最大のMN%のときと同じ色(設計者が意図した色)がユーザに視認される関係として、予め実験や計算によって予め設定する。
【0066】
さて、制御装置5における、光学装置12の透過率からの明度調整率k(%)の算定は、予め制御装置5に、図6aに示すような透過率と明度調整率k(%)の関係を設定しておき、制御装置5において設定された関係に従って、明度調整率k(%)を算定する。
【0067】
ここで、以上のように制御において明度調整率k(%)を算定し、表示制御装置3において、明度調整率k(%)を用いてアイコン510の現用表示色を算定することに代えて、次のようにアイコン510の現用表示色を算定してもよい。
【0068】
すなわち、制御装置5は、防眩レベルの変化に伴い光学装置12の反射率/透過率を変更したときに、変更後の透過率を表示制御装置3に通知する。
【0069】
表示制御装置3には、図6bに示すような、アイコン510の基本表示色として用いる色ごとに、各透過率に対して、その透過率においてアイコン510の現用表示色として用いるべき色を登録したテーブルを予め設定する。
【0070】
そして、表示制御装置3は、表示しようとするアイコン510の基本表示色に対応するテーブルにおいて、制御装置5から通知された透過率に対して登録されている色を、現用表示色として算定し、アイコン510を現用表示色で液晶ディスプレイ11に表示する。
【0071】
ここで、図6bに示すような各基本表示色のテーブルにおいて、各透過率に対して登録する現用表示色として用いるべき色は、光学装置12がその透過率にあるときに、その色でアイコン510を表示することにより、そのアイコン510が視認されるべき色として設計者が意図した色がユーザに視認される色である。また、この現用表示色として用いるべき色は、透過率が低いほど明度が大きくなる。
さて、以上のようなミラーモードにあるときの制御装置5と表示制御装置3の動作によるアイコン510の表示例を示す。
【0072】
図5bはミラーモード、防眩レベル低、反射率高/透過率低の場合を、図5cはミラーモード、防眩レベル中、反射率中/透過率中の場合を、図5dはミラーモードで防眩レベル高、反射率低/透過率高の場合について示したものである。
【0073】
また、図5b1、図5c1、図5d1は、それぞれの場合の現用表示色のアイコン510を示している。図示するように、アイコン510の現用表示色は、透過率が高いほど明度が暗くなる。
【0074】
したがって、各場合における現用表示色のアイコン510は、それぞれ、図5b2、図5c2、図5d2のように、透過率が高いほど暗くなる明度で液晶ディスプレイ11に表示される。
【0075】
図5b3、図5c3、図5d3に各場合においてユーザから視認される表示装置1のようすを示すように、液晶ディスプレイ11に表示されたアイコン510は、表示装置1には後方のようすを表す反射像500とアイコン510とが重畳して表れる。
【0076】
ここで、光学装置12の透過率が低いほど、光学装置12を通過する光量が小さくなりユーザから視認されるアイコン510は、液晶ディスプレイ11に表示されたアイコン510の現用表示色よりも明度が暗くなる。
一方、上述のように、アイコン510は、透過率が低いほど明るくなる明度で液晶ディスプレイ11に表示される。
【0077】
したがって、図5b3の防眩レベル低、反射率高/透過率低の場合に視認される表示装置1のようす、図5c3の防眩レベル中、反射率中/透過率中の場合に視認される表示装置1のようす、図5d3の防眩レベル高、反射率低/透過率高の場合に視認される表示装置1のようすに示されるように、防眩レベル、光学装置12の反射率/透過率に関わらずに、アイコン510は、ほぼ同様の色/明度のアイコン510としてユーザに視認される。
以上、本発明の実施形態について説明した。
【0078】
ここで、以上の実施形態では、光学装置12の反射率/透過率の変化が、視認されるアイコン510の明度の変化のみに関わる場合について示したが、光学装置12の反射率/透過率の変化が、色相や彩度といった明度以外の他の色属性の変化にも関わる場合には、以上の実施形態において、反射率/透過率の変化が関わる全ての色属性について、その基本表示色からの反射率/透過率の変化に伴う変化がキャンセルされるように現用表示色を設定するようにしてよい。
【符号の説明】
【0079】
1…表示装置、2…モード制御装置、3…表示制御装置、4…映像ソース機器、5…制御装置、6…センサ、7…入力装置、11…液晶ディスプレイ、12…光学装置、13…バックライト、14…エアギャップまたはOCA、15…エアギャップまたはOCA、16…エアギャップまたはOCA、17…カバーガラス、111…バックライト用偏光板、112…表示用液晶パネル、113…映像光用偏光板、121…反射偏光板、122…モード切替用液晶パネル、123…外光用偏光板、500…反射像、510…アイコン、1121…裏側透明基板、1122…画素電極、1123…裏側配向膜、1124…液晶層、1125…表側配向膜、1126…対向電極、1127…カラーフィルタ及びブラックマトリックス、1128…表側透明基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6