IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】伸縮システム
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/02 20060101AFI20241022BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
F16C29/02
F16C33/20 Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021505890
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019070800
(87)【国際公開番号】W WO2020025759
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】202018104466.4
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト ムサマー
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00 - 88/994
F16C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(I)に相互に対して直線的に案内され、所定距離にわたって相互に対して可動であり、各々が長手溝(22)及び/又は長手リブ(23)を有する長手プロファイル(21)を有する少なくとも2本のプロファイルレール(2、2a、2b)を有する伸縮システム(1)であって、少なくとも1つの摺動要素(3)が各プロファイルレール(2、2a、2b)に設けられ、前記少なくとも1つの摺動要素(3)によって前記少なくとも2本のプロファイルレール(2、2a、2b)は相互に摺動変位可能に支持し合い、前記少なくとも1つの摺動要素(3)は、少なくともそれに関連付けられる前記プロファイルレール(2、2a、2b)の前記長手プロファイル(21)の前記長手方向(I)に関して軸方向に固定的に配置される、伸縮システム(1)において、
前記摺動要素(3)は、少なくとも前記長手方向(I)及び該長手方向(I)に垂直な第1の横断方向(q1)によって画定される摺動平面(G)に関して前記プロファイルレール(2、2a、2b)上のクランプ要素(4)に変位不能な関係で接続され、該クランプ要素(4)は、前記プロファイルレール(2、2a、2b)の前記長手プロファイル(21)上、長手溝(22)内に若しくは長手溝(22)に及び/又は長手リブ(23)上に、クランプされることを特徴とする伸縮システム(1)。
【請求項2】
前記摺動要素(3)は、前記長手方向(I)に関して前記クランプ要素(4)上に軸方向に係合し、前記クランプ要素(4)の両端において前記クランプ要素(4)を軸方向に支持することを特徴とする請求項1に記載の伸縮システム(1)。
【請求項3】
前記クランプ要素(4)は、円筒状、部分円筒状、半円筒状、角柱状又は球状の形状のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮システム(1)。
【請求項4】
前記クランプ要素(4)は、ボルト、ネジ切りボルト、ピン、ネジ切りピン又はボールの形態であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項5】
前記摺動要素(3)は、受容凹部(331)を有する少なくとも1つのリブ状長手突出部(33)を有し、前記少なくとも1つのリブ状長手突出部(33)は、前記クランプ要素(4)が前記受容凹部(331)に受容されて前記クランプ要素(4)上に係合することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項6】
前記受容凹部(331)は、前記リブ状長手突出部(33)における切込み、ギャップ又は離断部の形態であることを特徴とする請求項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項7】
前記摺動要素(3)は2つのリブ状長手突出部(33)を有し、設置位置における前記摺動要素(3)は、該摺動要素(3)に関連付けられる一方のプロファイルレール(2、2a、2b)の前記長手プロファイル(21)上に前記クランプ要素(4)によって前記少なくとも2つの長手突出部(33)の一方によって固定され、他方のプロファイルレール(2、2a、2b)の前記長手プロファイル(21)に前記少なくとも2つの長手突出部(33)の他方によって前記長手方向(I)に摺動変位可能に結合されたことを特徴とする請求項5又は6に記載の伸縮システム(1)。
【請求項8】
前記摺動要素(3)は、前記摺動平面(G)に平行又は略平行なベース(34)を有する平坦な基礎形状を有し、前記ベース(34)の一方の面から離れる方向に前記少なくとも2つのリブ状長手突出部(33)が前記摺動平面(G)に垂直若しくは略垂直に共通の方向に延在し、及び/又は更なるリブ状長手突出部(336)が前記ベース(34)の一方の面から離れる方向に延在し、さらに前記ベース(34)の一方の面側の前記第1の横断方向(q1)若しくは概ね前記第1の横断方向(q1)に延在することを特徴とする請求項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項9】
前記2つの長手突出部(33)の一方であって第1の長手突出部(332)として特定される前記長手突出部(33)は、前記共通の方向にその自由端領域(333)を有して延在し、前記2つの長手突出部(33)の他方であって第2の長手突出部(334)として特定される前記長手突出部(33)は、関連するプロファイルレール(2、2a、2b)の長手リブ(23)に対して受容溝(335)を設けるように、その自由端領域(333)において前記長手方向(I)に垂直な平面においてフック状に屈曲した構成であることを特徴とする請求項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項10】
前記受容溝(335)は、前記共通の方向とは反対方向に開口されたことを特徴とする請求項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項11】
前記摺動要素(3)の前記更なるリブ状長手突出部(336)は、前記長手方向(I)に垂直な平面においてフック状に屈曲した自由端領域(333)を有し、該自由端領域(333)は、関連するプロファイルレール(2、2a、2b)の受容リブ(231)に対して前記第1の横断方向(q1)に横方向に開口する更なる受容溝(338)を境界付けることを特徴とする請求項から10のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項12】
前記2つの長手突出部(33)の一方であって第1の長手突出部(332)として特定される前記長手突出部(33)は、前記共通の方向にその自由端領域(333)を有して延在し、前記更なる受容溝(338)は、前記第1の長手突出部(332)に向かう前記第1の横断方向(q1)に開口して配置されたことを特徴とする請求項11に記載の伸縮システム(1)。
【請求項13】
前記更なるリブ状長手突出部(336)は、関連するプロファイルレール(2、2a、2b)の更なる長手溝(221)に、前記第1の横断方向(q1)又は概ね前記第1の横断方向(q1)に係合することを特徴とする請求項から12のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項14】
前記更なる長手溝(221)は、前記第1の横断方向(q1)に又は略前記第1の横断方向(q1)に動作可能なアンダーカット構成(339)を有し、設置位置における前記更なるリブ状長手突出部(336)は、前記更なる長手溝(221)に配置されることを特徴とする請求項13に記載の伸縮システム(1)。
【請求項15】
前記更なるリブ状長手突出部(336)は、第2の横断方向(q2)に関して弾性的であることを特徴とする請求項から14のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項16】
前記プロファイルレール(2、2a、2b)に摺動変位可能に取り付けられた前記プロファイルレール(2、2a、2b)を案内するための前記摺動要素(3)は、摺動ガイド面(5)の形態の側面を有し、該側面のうち、第1の摺動ガイド面(51)の形態である一部の摺動ガイド面(5)は前記第1の横断方向(q1)に垂直に配置され、又は第2の摺動ガイド面(52)の形態である一部の摺動ガイド面(5)は前記第1の横断方向(q1)に垂直な前記第2の横断方向(q2)に垂直に配置されたことを特徴とする請求項15に記載の伸縮システム(1)。
【請求項17】
前記摺動要素(3)の少なくとも1つの長手突出部(33)が第1の摺動ガイド面(51)を有し、及び/又は前記摺動要素(3)の前記更なる長手突出部(33)が第2の摺動ガイド面(52)を有することを特徴とする請求項16に記載の伸縮システム(1)。
【請求項18】
前記第1の摺動ガイド面(51)は、前記第2の摺動ガイド面(52)に関して、前記第1の横断方向(q1)に関して離隔して配置されたことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の伸縮システム(1)。
【請求項19】
前記摺動要素(3)の前記摺動ガイド面(5、51、52)の両端は、前記長手方向(I)において面取りされていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項20】
前記2本のプロファイルレール(2、2a、2b)の間に配置された前記摺動要素(3)の前記ベース(34)は、前記摺動平面(G)に平行な共通の平面において配置されたことを特徴とする請求項から19のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項21】
前記2本のプロファイルレール(2、2a、2b)の間に配置された前記摺動要素(3)は、前記第1の横断方向(q1)に垂直に中央の第1の鏡像対称平面(S1)に対して相互に鏡像対称の関係で配置されたことを特徴とする請求項から20のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項22】
前記摺動要素(3)は、同一の構造のものであり及び/又は各々が一体化構造であることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項23】
相互に対して直線的に変位可能に相互に取り付けられた少なくとも3本のプロファイルレール(2、2a、2b)、すなわち、2本の外側プロファイルレール(2a)及び該2本の外側プロファイルレール(2a)の間に変位可能に取り付けられた中央プロファイルレール(2b)が設けられたことを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項24】
前記2本の外側プロファイルレール(2a)は同一構造のものであることを特徴とする請求項23に記載の伸縮システム(1)。
【請求項25】
前記2本の外側プロファイルレール(2a)に対向する前記中央プロファイルレール(2b)の両側部は、同一の長手プロファイル(21)をそれぞれ有し、前記同一の長手プロファイル(21)は、それぞれ、前記中央プロファイルレール(2b)に対向する前記外側プロファイルレール(2a)の側部の長手プロファイル(21)に適合されることを特徴とする請求項23又は請求項24に記載の伸縮システム(1)。
【請求項26】
相互に案内されるとともに相互に対して可動な2本のプロファイルレール(2、2a、2b)の移動距離(W)を制限するために、2つの端部アバットメント(61)及び該端部アバットメント(61)と協働するアバットメント要素(62)を有するアバットメントデバイス(6)が設けられ、前記2つの端部アバットメント(61)はアバットメント溝(63)の長手方向全長にわたってそれぞれの所与の位置において前記2本のプロファイルレール(2、2a、2b)のうちの一方の前記長手プロファイル(32)に設けられた前記アバットメント溝(63)に相互に離隔された関係で固定され、前記アバットメント要素(62)は、他方のプロファイルレール(2、2a、2b)の前記長手プロファイル(22)に設けられた更なるアバットメント溝(64)に適所に固定され、前記アバットメント要素(62)は、前記2つの端部アバットメント(61)に突き当たるように配置されて前記2つの端部アバットメント(61)間で前記更なるアバットメント溝(64)から前記アバットメント溝(63)に突出していることを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載の伸縮システム(1)。
【請求項27】
前記端部アバットメント(61)はクランプ要素(4)によってそれぞれ形成され、及び/又は前記アバットメント要素(62)はそれに関連付けられる前記更なるアバットメント溝(64)にクランプ要素(4)によって適所に固定して配置されたことを特徴とする請求項26に記載の伸縮システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に相互に対して直線的に案内されるとともに所定距離にわたって相互に対して可動な少なくとも2本のプロファイルレールを有する伸縮システムに関し、プロファイルレールの各々は長手溝及び/又は長手リブを有する長手プロファイルを有し、少なくとも1つの摺動要素が各プロファイルレールに設けられ、それにより、少なくとも2本のプロファイルレールは、相互に摺動変位可能に支持し合い、それに関連付けられるプロファイルレールの長手プロファイル上に少なくとも長手方向に関して軸方向に固定的に配置される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、上記の一般的な種類の伸縮システムが開示される。その伸縮システムは、一方が他方の内部にある状態で案内される2つの中空プロファイルを有し、中空プロファイルの間では、各摺動要素は、所定位置でのその場での射出成形ランスによって中空プロファイル間の中間空間に直接射出され、より良好な保持動作のための摺動要素は、径方向外側の中空プロファイルにおける内部溝又は径方向内側の中空プロファイルにおける外側溝上にベースととともに係合する。それは、プロセス技術の観点で精巧であり、アセンブリの点で複雑である。さらに、摺動要素は、使用中に緩くなることがあり、溝内で長手方向にずれることがあり、又はそこから離脱してしまうことさえある。
【0003】
相互内で案内されるとともに中空円筒状摺動要素によって相互に対して支持される2つの中空プロファイルを有する更なる伸縮システムが、特許文献2から知られている。その摺動要素は、横断ボアに係合する横断ボルトによって軸方向の変位に対してそれぞれ固定される。したがって、プロファイルレールにおける構造的修正は、摺動要素を固定するための横断ボアを有することを必要とする。
【0004】
非特許文献1は、摺動要素がレール状構成であり、2本のプロファイルレールの間に及び2本のプロファイルレールに、摺動変位可能に取り付けられる伸縮システムを提示する。摺動要素は伸縮可能であるので、完全に伸長された場合に、相応に大きく撓んで負荷がかかる。したがって、そのような伸縮システムは、より重い負荷を運搬するのには適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102016103566号明細書
【文献】独国特許出願公開第102004010503号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】カタログ「dry-tech Lagertechnik」、本願出願人、2015年、840ページ
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、簡素な構造で組立て容易な、上記の一般的な種類の伸縮システムを提供することである。さらに、本発明は、摺動要素がそれぞれ関連のプロファイルレールに変位不能に保持されるようにするものである。またさらに、本発明は、摺動要素を固定するためにプロファイルレールの構造的修正が必要とならないようにするものである。さらに、本発明の目的は、伸縮システムがより大きな負荷モーメントを運搬するのに適するものとすることである。
【0008】
本発明によると、課題は、請求項1の特徴によって達成される。有利な展開は、付随する特許請求の範囲に記載される。本発明の課題は、摺動要素が、少なくとも長手方向及び当該長手方向に垂直な第1の横断方向によって規定される摺動平面に関してプロファイルレール上に変位可能に固定される関係でクランプ要素に接続され、クランプ要素はプロファイルレールの長手プロファイル上に、より具体的には長手溝内に若しくは長手溝に及び/又は長手リブ上に、クランプ用フィットによって配置されることで、既に達成されている。
【0009】
長手プロファイル上のクランプ要素のクランプ用フィットは、プロファイルレールに対するいずれの更なる予備策又は構造的修正も必要としない。それにより、伸縮システムの構成及び組立ては簡素化する。長手プロファイル上のクランプ要素を介するクランプ用フィットによって、摺動要素は、それぞれ関連するプロファイルレールに変位不能に保持可能となる。少なくとも1つのクランプ要素が各プロファイルレールに関連付けられるので、設置位置における少なくとも2本のプロファイルレールは、少なくとも2つの摺動要素において相互に対して摺動可能に案内されて配置される。
【0010】
本発明では、プロファイルレールは、単独で伸縮部材を構成する。伸縮システムによって達成される長さの変化は、専らプロファイルレールによってもたらされる。したがって、伸縮システムはまた、より大きな負荷モーメントに対しても設計され得る。摺動要素を伸縮システム内に挿入若しくは固定し及び/又は摺動要素を各プロファイルレールに軸方向に変位不能に固定するために、各プロファイルレールの更なる加工は不要である。例えば、摺動要素を受容するために、摺動要素が嵌合又は螺合されるボアが設けられる必要はない。したがって、プロファイルレールは、プロファイル部分から所与の長さに切断され、更なる予防策なしに伸縮システムに設置され得る。
【0011】
設置位置において、プロファイルレールは、専ら少なくとも2つの摺動要素によって相互に摺動変位可能に支持し合うように配置され得る。特に、少なくとも2つの摺動要素の一方は、少なくとも2本のプロファイルレールの一方に軸方向に変位不能に固定可能であり、少なくとも2つの摺動要素の他方は、少なくとも2本のプロファイルレールの他方に軸方向に変位不能に接続可能となる。2本のプロファイルレールは、実矧ぎ接続によって相互に係合するように配置され得る。実矧ぎ接続では、長手溝がグルーブ座を形成し、長手突出部がトング座を形成し得る。同様に、プロファイルレールは、実矧ぎ接続の形態で結合する摺動要素によって相互に係合するように配置され得る。長手プロファイルの長手溝はグルーブ座を形成し、長手プロファイルの長手リブはタング座を形成し得る。実矧ぎ接続における長手溝と長手リブとの結合は、2本のプロファイルレールが、明らかに異なるが相互に適合される長手プロファイルを有し得ることを示唆する。
【0012】
好ましくは、プロファイルレールは、金属、特にアルミニウム合金、特に高強度アルミニウム合金からなる。その材料の選択は、比較的大きな負荷を運搬及び送達することを可能とする。プロファイル部材は、好ましくは押し出されるが、射出成形されてもよい。その場合、プロファイル部材は、少なくとも2本のプロファイルレールがそれぞれ所定長に切断された伸縮システムをプロファイル部材上に形成するための完全な長手プロファイルを有し得る。
【0013】
望ましくは、力学の観点では、プロファイルレール上に変位不能に配置された摺動要素は、そのプロファイルレール上でその軸方向長さ全体にわたって長手方向に関して支持されるように配置され得る。摺動要素は、自由度なしにそのプロファイルレールに関して設置位置において伸縮システムに固定的に保持されるように配置され得る。クランプ用フィットは、プロファイルレール上における摺動要素の遊び構成を可能とする。
【0014】
設置位置において、長手溝及び/又は長手リブは、それぞれの摺動接続先に向かって横方向に開放するように設計されてもよいし、それに対して延在するように配置されてもよい。長手溝は、摺動平面に対して垂直又は略垂直に横方向に開放され得る。対応する態様で、長手リブは、摺動平面に対して垂直又は略垂直にその自由端領域を有して延在し得る。摺動平面に対して垂直又は略垂直な方向は、第2の横断方向を規定する。それは、第1の横断方向及び長手方向に垂直又は略垂直となり得る。長手溝は、2つの長手リブによって、又は長手リブ及び内壁によって横方向に境界付けられ得る。長手リブを、長手プロファイルの長手突出部ということもできる。重量を抑えるために、長手リブは、中空リブの形態であってもよい。
【0015】
クランプ要素は、長手溝への長手方向に関して横方向又は軸方向に、摺動平面に垂直に長手溝内又は長手溝上に係合し得る。クランプ要素は、横方向関係において、長手方向に又はそれに垂直に長手溝に導入され得る。同様に、クランプ要素は、摺動平面に対して垂直に長手突出部上に嵌合されてもよいし、長手方向に関してその上に適所に軸方向に圧入されてもよい。
【0016】
通常は、相互に対して摺動変位可能に取り付けられるプロファイルレールは、摺動要素によって離隔した関係において伸縮システムに配置可能であり、それにより、摺動ギャップを形成する。有利に低い構造的高さのために、摺動ギャップは、摺動要素の平均壁厚と同等又は略同等となり得る。間隔の大きさは、摺動要素の幾何学形状、特に壁厚によって規定され得る。
【0017】
伸縮システムの展開において、摺動要素及びクランプ要素は、少なくとも長手方向又は摺動平面に関して積極的ロック関係及び/又は強制ロック関係において相互に固定して配置され得る。摺動要素及びクランプ要素は、積極的ロック関係において緩められたままで相互に支持し合うことができる。摺動要素は、2つのクランプ要素間にクランプされることによって強制ロック関係を与えるように配置可能であり、2つのクランプ要素の各々は、長手プロファイル上のクランプ用フィットに配置される。有利には、より堅固な接続によって、好ましくは弾性力の形成によって摺動要素とクランプ要素とが相互に係止するようにすることができる。係止の目的のため、対応してトラフ状凹部に係合するドーム状隆起部又は適切に一致する突出部が係合するアンダーカット構成のような相互に適合した通常の係止手段を摺動要素及びクランプ要素に設けることができる。特に、摺動要素及びクランプ要素は、積極的ロック接続によって、ともに接続され得る。望ましくは、構成及び組立ての観点では、摺動要素は長手方向に関してクランプ要素上に軸方向に係合するように配置可能であり、クランプ要素の両端において軸方向にクランプ要素を支持するように配置可能である。摺動要素は、変位不能に、かつ第1の横断方向に垂直に又は第1の横断方向に垂直な第2の横断方向に垂直に回転不能に配置可能であり、長手方向に関して回転不能に保持可能である。両横断方向は、長手方向に垂直又は少なくとも略垂直に配向され得る。伸縮システムにおける設置位置では、全方向における又は全方向に関する力又は力のモーメントは、摺動要素によって伝達され得る。
【0018】
クランプ要素は、細長い形状のものであり得る。それは、円筒状、部分円筒状、半円筒状、角柱状、楕円状、レンズ状又は球状の形状のものであり得る。クランプ要素は、ボルト、ピン又はボールの形態であってもよい。クランプ要素は、摩擦を増すために粗さを増した表面構造又は周辺リブを有し得る。クランプ要素は、溝形成、ネジ形成又は切り欠き形成された爪のものと同様の径方向外側周囲の表面構造を有し得る。特に、ボルト又はピンは、好ましくはボルト又はピンの軸方向長さ全体にわたって延在する雄ネジを有し得る。ボルト又はピンは、長手溝への導入を容易化するとともに長手溝に堅くクランプするために2つの端部領域の少なくとも一方において円錐状に先細りになる構成のものであってもよい。同様に、設置位置におけるボールは、例えば、楕円構成のものとすることによって長手方向に先細りとなっていてもよい。
【0019】
摺動要素は、それぞれ関連するプロファイルレールの長手プロファイルに対して、圧入接続又は複数の圧入接続によって、特に実矧ぎ原理に基づいて、単に結合され、特に接続され得る。伸縮システムの展開において、摺動要素は、長手プロファイルが設置位置において長手方向に延在したプロファイル部品の形態であり得る。プロファイルレールと同様に、長手プロファイルは、関連のプロファイルレールの関連の長手溝への係合のための長手溝及び/又は特にリブ状長手突出部を有し得る。
【0020】
摺動要素を関連のプロファイルレールにクランプするために、クランプ要素は、クランプ用フィットとともに関連する長手溝に配置され得る。それに関連する1つのプロファイルレールに対する少なくとも長手方向に関するその軸方向に変位不能な接続について、摺動要素は、クランプ要素を有する上記1つのプロファイルレールの長手溝に、及び/又はクランプ要素を有する他方のプロファイルレールの長手溝に係合することができる。摺動要素は、受容凹部を有する少なくとも1つのリブ状長手突出部を有し得る。設置位置において、リブ状長手突出部は、クランプ要素が受容凹部に受容されて、クランプ要素とともに、それと関連する長手溝に係合し得る。逆に、プロファイルレールはまた、摺動要素上の長手溝に係合する長手リブを有していてもよく、クランプ要素は、例えば、その横方向クランプ囲いとともに長手リブに配置される。クランプ要素は、その弾性的拡張で受容溝に受容され得る。したがって、摺動要素は、クランプ要素に積極的ロック関係に加えて強制ロック関係で保持され得る。
【0021】
受容凹部へのクランプ要素の係合は、少なくとも長手方向に関して積極的ロック関係においてもたらされ得る。受容凹部は、リブ状長手突出部における離断部、ギャップ又は切込みの形態であってもよい。受容凹部は、クランプ要素の軸方向長さに長手方向に関して適合され得る。設置位置において、摺動要素のリブ状長手突出部は、第2の横断方向にその自由端領域を有して延在し得る。設置位置において、プロファイルレールの長手方向、摺動要素及びクランプ要素は、同じであってもよい。
【0022】
摺動要素は、摺動平面に平行なベースを有する平坦な基礎形状のものであってもよく、少なくとも一方のリブ状長手突出部及び/又は更なるリブ状突出部は、摺動平面に垂直にベースの一方の面から第1の横断方向にベースの拡張部として延在し得る。設置位置において、ベースは、摺動平面に平行に延在するように配置され得る。平坦な基礎形状において、設置位置における第2の横断方向に延在する摺動要素の高さは、第1の横断方向における摺動要素の全長よりも実質的に短く、例えば、3~10倍短ければよい。摺動要素は、溝が第2の横断方向に横方向に開口する一方のプロファイルレールにおいて追加の長手溝に積極的ロック関係で配置され得る。摺動要素は、そのベースと、追加の長手溝の底部上で平坦表面関係となるように位置し得る。さらに、それは、第1の横断方向に関して両側において追加の長手溝において支持され得る。2つの長手突出部は、追加の長手溝の横方向開口の方向において溝底部から離れる側に延在し得る。
【0023】
摺動要素の壁厚は、その領域の全てにおいて同一又は少なくとも略同一であり得る。とりわけ、ギャップのギャップ寸法は、ベースの壁厚によって設定可能であり、そのギャップによってプロファイルレールは摺動平面に垂直に相互から離隔されて保持される。摺動要素の少なくとも1つのリブ状長手突出部及び更なるリブ状突出部は、第1の横断方向に関して相互から離隔して配置され得る。
【0024】
伸縮システムの更なる実施形態では、摺動要素は、2つのリブ状長手突出部を有し得る。2つの長手突出部の一方は、設置位置において摺動要素が固定されるプロファイルレールの長手プロファイルに結合され得る。2つの長手突出部の他方は、設置位置において摺動要素を摺動可能に支持するプロファイルレールの長手プロファイルに結合され得る。
【0025】
2つの長手突出部は、摺動平面に垂直又は略垂直に共通の方向にベースの同一面から離れる方向に延在するように配置され得る。2つの長手突出部は、その面において完全に配置され得る。2つの長手突出部の一方は、その共通の方向に延在し得る。第1の長手突出部ともいうその長手突出部は、その共通の方向にその自由端領域を有して延在し得る。さらに、第2の長手突出部ともいう長手突出部は、フック状屈曲構成のものであり得る。特に、第2の長手突出部は、その自由端領域において長手方向に平行な曲率軸に関してフック形状構成で折り返されてもよく、それにより関連のプロファイルレールの長手リブに対する受容溝を形成する。受容溝は、共通の方向とは反対方向に横方向に開口し得る。第2の長手突出部は、側部を向くその共通の方向と反対方向にフック形状の自由端領域を有して延在し得る。好ましくは、フック形状の自由端は、そこから第2の長手突出部が延在するベースの面に関して離隔を維持される。第2の長手突出部は、長手方向におけるその全長の90%まで、好ましくは60%以下まで長手方向に平行な曲率軸に関してフック形状構成で屈曲され得る。2つの長手突出部の各々はクランプ要素に対する受容手段を有していてもよく、それは伸縮システムにおける摺動要素の一般的な位置決めに関して望ましい。好ましくは、関連するプロファイルレールの長手プロファイルにおける長手溝が、摺動要素の各長手突出部に関連付けられる。
【0026】
伸縮システムで用いられる全ての摺動要素は、同じ構造のものであり得る。さらに、それらは、一体のものであり得る。長手軸に関して、摺動要素の軸方向全長は、関連のプロファイルレールの対応する軸方向長さの40%以下、20%以下又は5%以下であり得る。
【0027】
摺動要素の更なるリブ状突出部は、関連するプロファイルレールの受容リブに対する、第1の横断方向に横方向に開口する更なる受容溝を画定する自由端領域を有していてもよい。受容溝は、自由端領域のフック状の曲率によって規定され得る。摺動要素の更なるリブ状突出部の自由端領域は、長手方向に平行にフック状に折り返され得る。更なるリブ状長手突出部は、長手方向に垂直に、その全長の90%未満まで、好ましくは60%未満までにわたってフック構成で屈曲され得る。対応する曲率軸は、長手方向に平行に配向され得る。リブは、長手溝を画定する長手リブであってもよい。
【0028】
更なるリブ状突出部は、第1の横断方向又は略第1の横断方向に関連のプロファイルレールにおける更なる長手溝に係合することができる。更なる長手溝は、有利には第1の横断方向に関して外側に配置され得る。更なる長手溝は、第1の横断方向に関して中心に向かって横方向に開口し得る。有利には、更なる長手溝及び更なる長手突出部のプロファイルは、相互に一致する構成のものであり得る。
【0029】
更なるリブ状長手突出部は、摺動平面に主に垂直に弾性的となるように設計され得る。特に、更なるリブ状長手突出部は、板バネ状構成のものであり得る。それに関連付けられたクランプ要素上の摺動平面に対してその受容手段を有する摺動要素を移動可能とするために、摺動要素は、第1のステップにおいて、その端部における摺動平面に対する角度位置決めによって、その弾性的な更なる長手突出部とともに、関連のプロファイルレールの更なる長手溝に導入され得る。そして、摺動要素は、受容手段が第2の横断方向に関してクランプ要素と整列して配置されるまで、更なる長手溝に軸方向に変位可能となる。更なるステップにおいて、摺動要素は、摺動平面に向かって、クランプ要素がその受容手段に同時に受容されて、更なる長手溝に突出するその更なる長手突出部上で枢動され得る。その状況において、クランプ要素への摺動要素の係止が、追加的にもたらされてもよい。
【0030】
摺動平面に垂直に相対移動を防止するようにプロファイルレールを固定するために、一方のプロファイルレールに関する摺動相手としての他方のプロファイルレールがその受容溝に受容突出部とともに係合することが規定され得る。一方のプロファイルレールの受容溝、他方のプロファイルレールの受容突出部及び摺動要素の更なる突出部は、特に、それらが、好ましくは遊びなし又は実質的に遊びなしで、第2の横断方向に対向する摺動ガイド面上で相互に支持し合うように相互に一致する関係で寸法決めされ得る。摺動要素における長手溝による一方のプロファイルレールの受容溝への他方のプロファイルレールの受容突出部の係合によって、長手溝は、受容溝の壁部に対して内部でその壁部の少なくとも各部によって付勢され得る。2本のプロファイルレールは、より詳細を後述する摺動ガイド面において摺動要素によって、特に、遊びなし又はほぼ遊びなしで摺動変位可能に相互に支持し合うことができる。構成要素であるプロファイルレール及び摺動要素は、その同時の案内によって摺動ガイド面において相互に対して摺動することができる。摺動要素の各摺動ガイド面に関連付けられて、少なくとも2本のプロファイルレールの一方の対応する摺動ガイド面があり得る。
【0031】
さらに、受容溝は、好ましくは第1の横断方向、及び特に長手方向に関して径方向内側に動作可能なアンダーカット構成を有し得る。受容溝に適合された更なる突出部は、受容溝にアンダーカット構成において積極的ロック関係で第1の横断方向の起こり得る相対移動に対して保持されるように配置され得る。それらの手段によって、2つの摺動相手及び受容突出部を囲む摺動要素は、少なくとも第1の横断方向の相対移動に関して適所に安定化され得る。特に、それらは、第1の横断方向に関して遊びなく又はほぼ遊びなく相互を支持し合うことができる。
【0032】
少なくとも1つのリブ状長手突出部又は2つのリブ状長手突出部は、第1の横断方向に関して摺動要素の更なるリブ状突出部から離隔して配置され得る。したがって、摺動要素は、第1の横断方向及び/又は長手方向に関して軸方向に別個の2つの領域を有し得る。1つの長手突出部又は2つの長手突出部は、軸方向内側領域に配置され得る。それらは、第1の横断方向に対して垂直な第1の摺動ガイド面を有し得る。2つの軸方向領域の他方における縁部において軸方向に配置されて、更なる長手突出部は、摺動平面に平行な上記第2の摺動ガイド面を有し得る。とりわけ、それらの構造的手段は、全ての摺動要素が同じ構造的構成のものであり得ることを意味する。
【0033】
摺動要素は、プラスチック製であってもよく、特に、摩擦低減プラスチック、耐摩耗プラスチックであってもよい。特に、摺動要素のための材料としてトリボポリマーを用いることができる。化合物に含有された固体潤滑剤によって、例えば、食料品部門での使用にも適する無潤滑乾燥走行に供することができる。さらに、低ノイズレベルを伴うプロファイルレールの相対移動を達成することができる。摺動要素は、射出成形によって生産可能である。それは、例えば、押出し又は射出成形によって事前に作製されたプロファイル部材から、安価に所定長に切断され得る。したがって、摺動要素は、相互に対して変位可能な2本のプロファイルレールのための摺動ベアリング構成を可能とする。摺動ベアリング構成は、材料のペアリングによって、耐腐食性であり、保守不要かつ潤滑剤不要となる。
【0034】
特に、摺動ガイド面の少なくとも一部は、少なくとも対としての関係において又は少なくとも3個体において協働的となり得る。各摺動ガイド面の対又は3面の摺動ガイド面は、相互に平行に、かつ相互に向かって又は相互から離れる方向に対向して配置され得る。特に、第1の摺動ガイド面の形態の一部の摺動ガイド面は第1の横断方向に垂直に設けられ、又は第2の摺動ガイド面の形態の一部の摺動ガイド面は第2の横断方向に垂直となり得る。摺動要素の少なくとも1つの長手突出部は、第1の摺動ガイド面、特に摺動要素上に設けられた全ての第1の摺動ガイド面を有することができ、これは構成及び組立ての観点で簡素である。さらに、摺動要素の更なる長手突出部及びベースは、第2の摺動ガイド面、特に、摺動要素上に設けられた全ての第2の摺動ガイド面を有することができる。第1の摺動ガイド面は、第1の横断方向に関して、第2の摺動ガイド面に対して離隔して配置され得る。
【0035】
組立てについて、プロファイルレールが長手方向に両端で相互に圧入されることが提案される。既に事前嵌合された摺動要素、及び遊びのない又はほぼ遊びのないプロファイルレールの相互での有利にも密着した案内のために、プロファイルレールは、実際には、相互に「ねじ込まれ」なければならない。
【0036】
プロファイルレールの遊びのない又はほぼ遊びのない組立てを形成するように、挿入補助が、所望数の摺動要素で各々が設けられる2本のプロファイルレールの組立てのために与えられてもよい。挿入補助は、摺動要素とともに設けられ、プロファイルレールが両端で長手方向に相互に圧入される組立てのそれぞれの段階を促進する1以上の手段を含み得る。その目的のために既に前述した手段は、第1の摺動ガイド面が、第1の横断方向に関して、第2の摺動ガイド面に対して離隔して配置されることである。更なる手段は、摺動ガイド面を有する壁部の狭い端部が、長手方向に関して第1の横断方向に垂直に離隔して配置され、又は第2の横断方向に垂直に摺動ガイド面を有する壁部の狭い端部に対して変位されることを規定し得る。その変位は、長手方向に及び/又は長手方向とは対向関係で与えられ得る。長手方向を向く摺動ガイド面の狭い端部は、その端部の軸方向変位に対応する変位関係で、摺動要素上で変位されることになるプロファイルレールの端部に達し得る。摺動相手としての2本のプロファイルレールの相互係合は、例えば、第2の横断方向に垂直に摺動ガイド面において、そして第1の横断方向に垂直に摺動ガイド面において、などの種々の摺動ガイド面において連続する配向で実施され得る。更なる手段として、長手方向に向く摺動ガイド面の端部の各々が両側において好適に傾斜されることが規定され得る。それらは、傾斜平面としてそれぞれ作用する傾斜挿入面を有していてもよい。傾斜付けは、長手方向に向く摺動要素の両端において与えられ得る。上述の手段は、伸縮システムにおける摺動要素の一般的な使用を可能とする。結果として、伸縮システムの摺動要素は、同一の構造のものであってもよい。
【0037】
少なくとも2本のプロファイルレール間に配置された少なくとも2つの摺動要素は、共線的にかつ長手方向に関して軸方向に相互に離隔した関係で配置され得る。2つの摺動要素は、長手方向に延在する中心軸上に位置決めされ得る。2つの摺動要素は、第1の横断方向に関して伸縮システムにおいて中心に配置され得る。
【0038】
2本のプロファイルレール間に3つの摺動要素があってもよい。力学の観点で有利には、それらは、摺動平面に関して二等辺三角形の頂点に配置され得る。伸縮システムの有利な展開では、4つの摺動要素があってもよく、それにより、2本のレールが相互に摺動変位可能に支持し合うことができる。摺動要素は、第1の横断方向に垂直に中央の第1の鏡像対称平面に関して相互に鏡像対称関係で配置及び/又は配向され得る。これに対応して、摺動要素が結合される両プロファイルレールの長手プロファイルの少なくとも部分は、その第1の鏡像対称平面に関して鏡像対称構成のものとなり得る。摺動要素は、各々が摺動要素を有する2つの摺動要素対を形成するように、ともに組み合わせられてもよい。2つの摺動要素対は、長手方向に関して相互から離隔して配置され得る。特に、好ましくは各摺動要素対の摺動要素は、長手方向に関して同じ高さに配置され得る。望ましくは、少なくとも2つの摺動要素対のうちの一方の摺動要素対は、少なくとも2本のプロファイルレールの一方に軸方向に変位不能に接続され、少なくとも2対のうちの他方の摺動要素対は少なくとも2本のプロファイルレールの他方に軸方向に変位不能に接続され得る。特に、より大きな幅がプロファイルレールの第1の横断方向に必要となる場合、摺動要素の3個体が、摺動要素におけるその支持の向上のために設けられてもよい。
【0039】
一方のプロファイルレールのクランプ要素を受容するための長手溝は、他方のプロファイルレールのクランプ要素を受容するための長手溝に対して第1の横断方向に関して軸方向に離隔して配置され得る。設置位置において、一方のプロファイルレールの長手溝は、他方のプロファイルレールの長手溝に関して第1の横断方向に対して軸方向内側に配置され得る。
【0040】
特に、摺動要素は、長手方向に関してそれぞれ関連するプロファイルレールの端部領域にそれぞれ配置され得る。それらは、プロファイルレールのそれぞれ関連する端部と、それらの端部において面一で終端してもよい。2本のプロファイルレール間に配置された摺動要素のベースは、摺動平面に平行な共通の平面に配置され得る。
【0041】
したがって、本発明による伸縮システムは、非常に容易に生産及び組立て可能である。例えば、2本のプロファイルレールを有する伸縮システムを生産するために、それらは、各々がプロファイル部材から所定長に切断されることによって提供され得る。この場合、上述したように、2つのプロファイル部材の長手プロファイルは、設置位置でそれらが実矧ぎ接続で相互に係合するように相互に適合される。またさらに、単一のプロファイル部材から所定長に切断され得る少なくとも2つの摺動要素を提供することができる。したがって、少なくとも2つの摺動要素は、同一構造かつ一体のものとなり得る。またさらに、少なくとも1つのクランプ要素が、摺動要素毎に設けられてもよい。クランプ要素は、伸長部分から所定長に切断され得る。クランプ要素は、同一構成かつ一体のものとなり得る。
【0042】
第1の組立てステップにおいて、2つの摺動要素の一方がプロファイルレールに固定され、他方の摺動要素が他方のプロファイルレールに固定され、各々が長手方向に関して少なくとも軸方向に変位不能に固定され得る。その目的のため、第1のサブステップにおいて、クランプ要素のうちの一方は、2本のプロファイルレールの一方において、それと関連付けられた長手溝に導入され、他方のクランプ要素は、2本のプロファイルレールのうちの他方において、それと関連付けられた長手溝に導入され、各場合においてクランプ用フィットにおいて導入され得る。更なるサブステップにおいて、2つの摺動要素は、それに関連付けられたそれぞれのクランプ要素上に移動され得る。その目的のため、それらの各々が長手方向に関して関連するクランプ要素上にそれらの受容手段によって軸方向に移動されるまで、それらの各々は長手方向に平行な枢動軸を中心として枢動可能にそれらの更なる長手突出部とともに更なる長手溝に圧入され得る。そして、摺動要素は、枢動動作によってクランプ要素上に下げられることができ、この場合には、受容開口部においてクランプ要素を受容することができる。したがって、摺動要素は、長手方向にその更なる長手突出部とともにその組立てのために摺動変位可能に、かつ更なる長手溝に長手方向に平行な枢動軸を中心に枢動可能に配置され得る。
【0043】
更なる組立てステップにおいて、少なくとも1つの摺動要素がそれぞれ設けられた2本のプロファイルレールは、それらが少なくとも2つの摺動要素によって相互に支持し合うように、端部において相互に圧入され得る。
【0044】
伸縮システムの展開において、アバットメントデバイスが、直線移動を制限するように設けられ得る。それは、少なくとも2つの端部アバットメントを有し得る。端部アバットメントは、上述の摺動要素を形成し得る。追加の端部アバットメントが、機械的により安定であるものとして考察される。それらは、それぞれのプロファイルレールの更なる長手溝に配置され得る。さらに、端部アバットメントと協働するアバットメント要素があってもよい。アバットメント要素は、他方のプロファイルレールの更なる長手溝において摺動変位可能に配置され、又は適所に固定され得る。アバットメント要素は、クランプ要素によって、それに関連付けられた更なる溝に軸方向に摺動不能に保持され得る。双方の場合において、クランプ要素は、関連の更なる長手溝においてクランプ用フィットに保持され得る。さらに、移動は、アバットメント要素の長手方向全長によって設定可能である。構成及び組立ての観点で有利には、クランプ要素は、前述及び後述するクランプ要素と厳密に同一であってもよく、それは摺動要素の変位不能な取付けに用いられる。それは、端部アバットメントには大きな負荷がかかり得ることを意味する。
【0045】
アバットメント溝は、アバットメント要素と2つの端部アバットメントの一方との間に配置された少なくとも1つのバッファ要素、及びアバットメント要素と他方の端部アバットメントとの間に配置された少なくとも1つのバッファ要素を有し得る。バッファ要素は、アバットメント溝に自由に変位可能に案内されてもよいし、及び/又は端部でアバットメント要素に固定されてもよい。バッファ要素を提供することによって、端部アバットメント及び/又はアバットメント要素の運用寿命が増加し得る。アバットメント要素は、更なるアバットメント溝に係止的に係合し得る。それは少なくとも1つのガイド溝を有していてもよく、そのガイド溝は長手方向に延在し、かつアバットメント要素はガイド溝に適合された長手突出部ととともにそのガイド溝に係合する。
【0046】
最終の組立てについて、第1のサブステップでは、まず、好ましくは、一方の端部アバットメントのみが所望の位置に位置決め可能であり、例えば、上述したような2本のプロファイルレールが端部においてアセンブリデバイスに圧入され得る。更なるサブステップでは、第2の端部アバットメントも、更なる長手溝にクランプ用フィットにおいて組立て方向に移動され得る。単一のアバットメントデバイスが、相互に対して摺動変位可能に取り付けられる2本のプロファイルレールの各々に対して設けられてもよい。それは、長手方向に関してプロファイルレール上にその縁部において配置可能である。
【0047】
通常は、プロファイルレールを生産するためのプロファイル部材には、プロファイル部材から構成要素などまでの長さに切断されたプロファイルレールを固定するために長手方向に等間隔に離隔された開口が、工場において設けられ得る。その場合、開口の間隔及び数は、プロファイル部材から所定長に切断された各プロファイルレールが少なくとも2つの開口を有するように、選択され得る。
【0048】
伸縮システムの更なる実施形態は、相互に対して直線的に変位可能に相互に取り付けられる3本のプロファイルレールである、2本の外側プロファイルレール及びその2本の外側プロファイルレールの間に相対変位可能に取り付けられた中央プロファイルレールを有し得る。それらは、長手方向にかつ摺動平面に平行に、相互に対して長手方向に相互に対して摺動可能に配置され得る。したがって、中央プロファイルレールは、長手方向に摺動変位可能に外側プロファイルレールの各々に両側に向かって接続され得る。その目的のため、中央プロファイルレールは、長手プロファイルを有し、それにより、両外側プロファイルレールに向かってそれぞれの外側プロファイルレールに機械的に結合可能となる。
【0049】
プロファイルレール間に設けられた実矧ぎ接続によって、それらの長手プロファイルは相互間で異なる。摺動変位可能な接続を提供するために、異なる構成の2つのそれぞれの長手プロファイルは、ともに接続され得る。その場合、2本の外側プロファイルレールの各々は同一の長手プロファイルを有する一方で、中央プロファイルレールは、第2の横断方向に関して両側に外側プロファイルレールの長手プロファイル、特に同じ構造の長手プロファイルに適合された長手プロファイルを有する。2本の外側プロファイルレールは、同じ構造的構成のものであり得る。
【0050】
中央プロファイルレールは、2本の外側プロファイルレールに向くその側の各々において同一のプロファイルを有し得る。中央プロファイルレールは、第1の横断方向に垂直に鏡像対称の第1の中央平面に関して、及び第2の横断方向に垂直に鏡像対称の第2の中央平面に関して、鏡像対称構造のものであり得る。それは、横断方向に関して両端にガイド溝を有して、摺動平面に平行に配置された横断バーを有し得る。ガイド溝の配置及び構成は、横断バーの両端において同じであってもよい。
【0051】
伸縮システムの拡張のための可能な選択肢の続きとして、それは、例えば6本のプロファイルレールを有していてもよく、その2本の外側プロファイルレールも、実質的に第2の横断方向に一方の側から延在する同じプロファイルのものであり得る。2本の外側プロファイルレールの間の残余の4本のプロファイルレールの各々は、両側において同じ長手プロファイルのものであり得る。設置位置において、第2の横断方向に関して相互に隣接するプロファイルレールの各々は、異なる長手プロファイルを伴い得る。
【0052】
有利な実施形態において、伸縮システムは、上記の特徴の1以上を、より具体的には任意の組合せで有する。本発明の更なる詳細及び有利な効果は、添付図面を参照して好適な実施形態の説明から、保護範囲を限定することなく以下に明らかとなる。上、下、前、後、右及び左などの位置を説明する全ての用語は、特にその逆が具体的に規定されない限り、それぞれの図面自体においてそれが図示される通りのものとして意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】伸縮部材として3本のプロファイルレールを有する、より具体的には展開位置における伸縮システムの実施形態の図を示す(図1A~1D)。
図2図1A~1Dの伸縮システムであるが収縮位置にある実施形態の図を示す(図2A~2D)。
図3】摺動要素を有する2本のプロファイルレールの組立てに関する図を側面図及び断面図を用いて3段階で示すものの一部である(図3A~3C)。
図4】摺動要素を有する2本のプロファイルレールの組立てに関する図を側面図及び断面図を用いて3段階で示すものの一部である(図4A~4B)。
図5】摺動要素を有する2本のプロファイルレールの組立てに関する図を側面図及び断面図を用いて3段階で示すものの一部である(図5A~5B)。
図6】摺動要素の側面図及び断面図を示す(図6A~6C)。
図7】2本の伸縮レールを有する伸縮システムの更なる実施形態の側面図を示す。
図8】5本の伸縮レールを有する伸縮システムの更なる実施形態の側面図を示す。
図9】展開位置であるがアバットメントデバイスを有する図1A~1Dの伸縮システムの実施形態の図を示す(図9A~9C)。
図10図9A~9の伸縮システムであるが収縮位置にある実施形態の図を示す(図10A~10C)。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1~5及び7~10は、伸縮システム1の異なる実施形態の種々の図及び断面図を示す。伸縮システム1は、長手方向Iで相互に対して直線的に案内され、図5Aに示す移動距離wにわたって相互に対して可動な少なくとも2本のプロファイルレールを有する。プロファイルレール2の各々には、長手溝22及び長手リブ23を有する長手プロファイル21が設けられる。図7及び8に示すように、伸縮システム1は、2本及び5本のそれぞれ相対的に相互に可動なプロファイルレール2を有する。伸縮システム1を示す他の図において、3本のプロファイルレール2、ここでは各々がC字形プロファイルの2本の外側の第1のプロファイルレール2a、及び2本の外側の第1のプロファイルレール2aの間に配置された中央の第2のプロファイルレール2bがある。
【0055】
この構成には、相互に対して直線的に案内される2本のプロファイルレール2の間に4個の摺動要素3が設けられ、それによってそれら2本のプロファイルレール2は相互に摺動変位可能に支持し合う。図6A~6Cの各々は、摺動要素3の個々の図を示す。摺動要素3は、設置位置において長手方向Iに延在する長手プロファイル32を有するプロファイル部分の形態である。伸縮システム1の種々の実施形態に示す摺動要素3は、同じ構成のものであり、一体となっている。さらに、それらは、無潤滑乾燥走行のために固体の潤滑剤が化合物に含有されたトリボポリマーを備えるプラスチックプロファイル部材(不図示)から所定長に切断される。プロファイルレール2の各々は、アルミニウム材料のプロファイル部材(ここでは不図示)から所定長に切断される。実矧ぎ接続によって、摺動する相手として結合されるプロファイルレール2の各々は、他方の長手プロファイル21となる。
【0056】
摺動要素3は、長手方向I及び長手方向Iに垂直な第1の横断方向q1によって規定される摺動平面Gに関して、関連するプロファイルレール2においてクランプ要素4に変位不能にそれぞれ接続される。クランプ要素4は、そのプロファイルレール2の長手プロファイル21における長手溝22において、ここではクランプ用フィットで配置される。クランプ要素4のクランプ用フィットによって、摺動要素3は、それぞれ関連するプロファイルレール2に変位不能に保持され得る。全ての摺動要素3は、それぞれ関連するプロファイルレール2にクランプ要素4によってそれぞれ接続される。その手段によって、プロファイルレール2の構成は、各場合において、長手プロファイル21への摺動要素3の固定にもかかわらず変更されていない。
【0057】
ここに示す伸縮システム1の実施形態では、摺動要素3は、少なくとも2本のプロファイルレール2の間で対として配置される。一方の摺動要素対31の摺動要素3は少なくとも2本のプロファイルレール2の一方に軸方向に変位不能に接続され、他方の摺動要素対31のものは少なくとも2本のプロファイルレール2の他方に軸方向に変位不能に接続される。可能な限り大きな移動距離wを有するために、摺動要素3は、それと関連するプロファイルレール2と面一の関係で、ここでは端部において平らに、長手方向Iに関して端部領域にそれぞれ配置される。さらに、摺動要素3は、長手方向Iに関してその軸方向長さ全体にわたって各部においてそのプロファイルレール2に支持されるように構成される。両手段は、図1B、1C及び2Bにおいて例として確認され得る。さらに、摺動要素対31の摺動要素3は、鏡像対称の第1の平面S1に関して、第1の横断方向q1に垂直に鏡像対称関係で配置及び配向される。これに対応して、摺動要素が結合される両プロファイルレールの長手プロファイルの各部は、鏡像対称の第1の平面に関して鏡像対称構成のものとなる。
【0058】
摺動要素3及びクランプ要素4はまた、長手方向I及びさらに摺動平面Gに関して積極的ロック関係で相互に固定される。例えば、図4A~4から分かるように、クランプ要素4は、ここでは円筒状の基礎形状のネジ切りピンの形態である。摺動要素3は、ここでは各々が受容凹部331を有する2つのリブ状長手突出部33を有する、設置位置において長手方向Iに延在する長手プロファイル32を有する。摺動要素3を関連のプロファイルレール2に固定する場合、摺動要素3は、その長手突出部33の1つと、より具体的には、長手溝22におけるクランプ用フィットとともに配置されたクランプ要素4上にその受容凹部331と係合する。ここでは、クランプ要素4は、積極的ロック関係で両端において軸方向に同時に係止して配置されるので、摺動要素3上の受容凹部331に変位不能となる。
【0059】
ここでは、摺動要素3は、各々が受容凹部331を有する2つのリブ状長手突出部33を有する。両リブ状長手突出部33は、プロファイルレール2の長手プロファイル21の関連の長手溝22に係合する。この場合では、関連するクランプ要素4は、摺動要素3が固定される一方のプロファイルレール2の長手溝22においてクランプ用フィットとともに配置される。設置位置において、摺動要素3は、クランプ要素4によって受容凹部331に長手方向Iに関して変位不能に配置される。2つの長手突出部33の他方は、他方のプロファイルレール2の関連の長手溝22に摺動変位可能に係合するだけである。
【0060】
摺動要素3の長手突出部33に関連付けられたプロファイルレール2における長手溝22は、第2の横断方向q2に横方向に開口する。これに対応して、設置位置において、リブ状長手突出部33は、第2の横断方向q2にその自由端領域333を有して延在する。例えば、図3Bから分かるように、受容凹部331は、ここでは、直角長手プロファイルの切込みの形態である。
【0061】
摺動要素3は、第2の横断方向q2に関して平坦な基礎形状のものである。摺動要素3は、ベース34を有する。設置位置において、ここでは、それは摺動平面Gに平行に配置される。伸縮システム1で用いられる全ての摺動要素3のベース34は、ここでは摺動平面Gに平行に延在する。上記摺動要素3によって摺動変位可能に結合された2本のプロファイルレール2の間に配置された摺動要素3のベースは、摺動平面Gに平行に同一平面に延在する。それらの摺動要素によってともに摺動変位可能に結合される2本のプロファイルレール2の摺動要素は、鏡像対称の第1の平面S1に関して鏡像対称の関係で配置及び配向される。
【0062】
図7は、ここでは下方に配置される第1のプロファイルレール2a及びここでは上方に配置される第2のプロファイルレール2bの2本のプロファイルレール2しか有さない伸縮システム1の端部の図を示す。2本のプロファイルレール2は、各々が2つの摺動要素3を有する2つの摺動要素対31によって相互に摺動変位可能に支持し合い、一方の摺動要素対31はここでは上側プロファイルレール2と変位不能に接触し、摺動要素対31はここでは下側プロファイルレール2と変位不能に接触している。図7の端部の図に示す摺動要素3は、ここでは下側プロファイルレール2に変位不能に接続される。両摺動要素3において明確に確認可能であるように、2つの長手突出部33は、ベース34の一方の面から第2の横断方向q2に、より具体的には、ここでは第2の横断方向q2に関して内側にともに延在する。両摺動要素3に関して、第1の長手突出部332ともいう各長手突出部33は、その共通方向にその自由端領域333を有して延在し、図7では上側レールであるプロファイルレール2の関連の長手溝22に係合する。図7から分かるように、長手突出部33の自由端領域333を囲みクランプ要素4を表す黒塗り部によって、クランプ要素4は、上側プロファイルレール2の長手溝22にクランプ用フィットとともに配置される。長手突出部33がそれに合体され、それぞれ関連する摺動要素3自体が摺動平面Gに関して変位不能にそれと合体する。第2の長手突出部334ともいう他方の長手突出部33は、ここでは上側プロファイルレール2に向かう方向に部分337を有するベース34から延在する。部分337に隣接する自由端領域333において、長手突出部は、長手方向Iに平行な曲率軸を中心としてフック状構成で折り返されて受容溝335を形成する。第2の長手突出部334の自由端領域333は、図7における下側プロファイルレール2に向かって延在する。自由端領域333は、下側プロファイルレール2において関連の長手溝22に係合する。ここでは不完全な黒塗りから分かるように、長手溝22における伸縮システム1の、図7に示す当該端部にはクランプ要素4は設けられない。したがって、2つの摺動要素3は、ここでは下側プロファイルレール2に対する位置に摺動変位可能に接続される。それらの長手突出部33に関連付けられた長手溝22は、第2の横断方向q2にそれぞれ横方向に開口する。
【0063】
図7からさらに分かるように、第2の長手突出部334は、ここでは、第1の長手突出部332に対する上側プロファイルレール2の長手溝22と第2の長手突出部334に対する下側プロファイルレール2の長手溝22との間で第2の横断方向q2にその部分337を有して延在する。その領域において、摺動要素3及び各長手溝22は、ここでは第1の摺動ガイド面51ともいう摺動ガイド面5によって相互に遊びなく又はほぼ遊びなく支持し合う。それらの摺動ガイド面51は、ここでは第1の横断方向q1に垂直に配置され、又は図7に関しては縦向きに配置される。そのように、2本のプロファイルレール2は、第1の摺動ガイド面51において摺動要素によって第1の横断方向q1に関して堅固に案内される関係で相互に対して保持される。
【0064】
とりわけ図6及び7から分かるように、更なるリブ状長手突出部336が、ベース34の延長部に、より具体的には、摺動平面Gに平行に延在し、図面に示す伸縮システム1の実施形態では、長手方向Iに関して径方向外側に延在する。更なるリブ状長手突出部は、図7の下側プロファイルレール2に示すように、関連するプロファイルレール2において、ここでは径方向外側の更なる長手溝221に係合する。更なる長手溝221は、第1の横断方向q1に径方向内側に横方向に、より具体的には、ここでは長手方向Iに関して開口する。第2の長手突出部334と同様に、その自由端領域333における更なる長手突出部336は、長手方向Iに平行なフック状構成で折り返される。そのように、それは、更なる受容溝338を画定する。その更なる受容溝338は、第1の横断方向q1において更なる長手溝221と同一であり、ここでより具体的には、長手方向Iに関して径方向内側に横方向に開口した構成のものである。図7における上側プロファイルレール2に設けられた受容リブ231は、設置状態において、更なる受容溝338に係合する。更なる長手突出部336は、長手方向Iに関してその更なる受容溝338の少なくとも軸方向全長にわたって第1の横断方向q1におけるその軸方向全長に関して径方向内側に画定される。したがって、2本の長手プロファイルレール2は、下側プロファイルレール2の更なる長手溝221の壁部及び上側プロファイルレール2の受容リブ231の壁部を、より具体的には摺動要素3の更なる長手突出部336によって、更なる受容溝338の領域において遊びなく又はほぼ遊びなく圧する。その遊びのない又はほぼ遊びのない接触が起こる面は、ここでは、第2の摺動ガイド面52ともいう摺動ガイド面5の形態である。第2の摺動ガイド面52は、第2の横断方向q2に又はそれと対向関係で延在する。それらは、図面では水平方向に配置される。したがって、2本のプロファイルレール2は、摺動要素3によって第2の横断方向q2に関して堅固に案内される関係で相互に対して保持されて配置される。
【0065】
組立てにおいて、長手溝22に関連付けられた2つの長手突出部33の一方は、クランプ要素4上に軸方向にその受容凹部331とともに変位され、クランプ要素4の積極的ロック取付けによってクランプ要素4に向かって受容凹部331内に下げられる。図3A~5は、2本のプロファイルレール2を組み立てて伸縮システム1を形成するための種々の組立てステップの側面図及び断面図を示す。図3A~3C及び図4A~4Bは、プロファイルレール2にそれぞれ関連付けられる摺動要素対31の組立てを示す。この場合、必要なクランプ要素は、以前に、既に各長手溝22において適切な位置でクランプ用フィット内に移動されている。図3Aでは、ここでは右側の摺動要素3は、摺動要素3が関連のクランプ要素4に積極的ロック関係で接続されることによって、下側プロファイルレール2に既に変位不能に接続されている。図3Bでは、左側の摺動要素3は、まず、その更なる長手突出部336とともに更なる長手溝221と係合される。それと並行して、摺動要素3は、関連のクランプ要素4によって受容凹部331を有するその第2の長手突出部334とともに更なる長手溝221において摺動変位可能となるように、ここでは更なる長手溝221において上方に枢動され、クランプ要素4と整列関係において第2の横断方向q2に関してその受容凹部331と位置決めされる。これは、図3Bに示される。そして、摺動要素3はクランプ要素4上に下方に枢動され、それによりクランプ要素4は積極的ロック関係で摺動要素に接続される。これは、図3Cに示される。
【0066】
摺動要素3を図4A~4Bに示す他のプロファイルレール2に取り付ける場合も、手順は同様である。ここでは、右側の摺動要素3は他方のプロファイルレール2に既に変位不能に接続されている一方で、左側の摺動要素3は未だ嵌合過程にある。その目的のため、左側の摺動要素3は、長手方向に他方のプロファイルレール2の受容リブ231上にその更なる長手突出部336の受容溝335とともに押圧され、同時に、ここでも受容凹部331が第2の横断方向q2に関して関連のクランプ要素4と整列されて位置決めされるまで、第2の横断方向q2に受容リブ23に対して枢動される。そして、摺動要素3は、その積極的ロック嵌合によってクランプ要素4上に再び下方に枢動される。
【0067】
効果的な実矧ぎ接続は、とりわけ第1の横断方向q1において、第2の横断方向q2におけるそれぞれ摺動要素3の2つの長手突出部、すなわち、第1の長手突出部及び第2の長手突出部の、それぞれのプロファイルレールのそれぞれ関連する長手溝22への係合によって達成される。とりわけ第2の横断方向q2に関して動作可能な実矧ぎ接続は、関連の更なる長手溝221への摺動要素3の更なる長手突出部336の係合、及び更なる長手突出部336の更なる受容溝338へのリブ231の係合によって達成される。これは、2本のプロファイルレールが組立て手順において端部で長手方向Iに相互に圧入されなければならないことを意味する。図5A~5では、摺動要素3が装備された2本のプロファイルレールは、端部で相互に圧入される。この組立て手順を容易化するために、前述のように、多数の手段が提供される。それらの1つは、摺動要素3の摺動ガイド面5の各々が、傾斜挿入部35の形態で、長手方向Iに動作可能な傾斜を有することである。さらに、第1の摺動ガイド面51の傾斜挿入部35は、第2の摺動ガイド面52の傾斜挿入部35に対して長手方向Iに図6Cに示す量aだけ離隔して配置される。このように、それぞれの摺動ガイド面51及び52におけるプロファイルレール2への「ねじ込み」の動作は、摺動要素3の軸方向全長にわたって、長手方向Iに関する動作の軸方向挿入経路に関して適所に変位される。さらに、第1の摺動ガイド面51は長手方向Iに関して径方向内側に配置され、第2の摺動ガイド面52は径方向外側に配置され、それは、第2の摺動ガイド面52に対する第1の摺動ガイド面51において、変位したねじ込み係合も可能とする。
【0068】
更なる長手溝221は、第1の横断方向q1に動作可能なアンダーカット構成339を有する。そのアンダーカット構成において、更なる長手溝に適合された更なる長手突出部332は、第1の横断方向q1において起こり得る相対移動を防止するように、積極的ロック関係で保持されて配置される。これらの手段によって、2本のプロファイルレール2及び受容リブ231を囲む摺動要素は、第1の横断方向における相対移動に関して少なくとも適所に安定化され得る。
【0069】
第2の横断方向q2に横方向に開口する追加の長手溝222は、摺動要素3に対する図7の下側プロファイルレール2の長手プロファイルに、転倒防止安全策を与えるように設けられる。摺動要素3は、追加の長手溝222に積極的ロック関係において配置される。その目的のため、それは、長手溝222の底部をそのベース34によって面接触状態で、かつ両側で第1の横断方向q1において圧する。支持効果が、更なる長手溝221におけるその更なる長手突出部336によって一方側に与えられる。他方側において、支持は、第2の長手突出部334に関連する長手溝22において、より具体的には、その長手突出部336の部分337によって外部的に与えられる。
【0070】
相互に対して案内されるとともに相互に対して可動な2本のプロファイルレール2の移動距離wを規定するために、図9A~10Cに主に示すアバットメントデバイス6がある。アバットメントデバイス6は、長手方向Iに関して軸方向に離隔した2つの端部アバットメント61、及び端部アバットメント61と協働するアバットメント要素62を有する。ここで、上述のクランプ要素4のようなクランプ要素が、端部アバットメント61として作用する。さらに、ここでは図示しないクランプ要素4は、長手方向Iに動作可能なダンパーを有する。クランプ要素4は、アバットメント溝63において2本のプロファイルレール2の一方の端部領域にそれぞれ固定される。アバットメント要素62は、ここでは、更なるクランプ要素4によって更なるアバットメント溝64に長手方向Iに関して中心に固定される。アバットメント要素62は、更なるアバットメント溝64から2つの端部アバットメント61間で更なるアバットメント溝63へと、2つの端部アバットメント61に突き当たるために突出する。例えば、図2Cから分かるように、更なるアバットメント溝63は2本のガイド溝65を有し、2本のガイド溝65は第2の横断方向q2に設けられ、摺動平面Gと鏡像対称関係となり、組み立てられるとアバットメント要素62が係止的に係合する。組立ての目的のため、クランプ要素4は、更なるアバットメント溝63内の所与の位置において堅くクランプされる。そして、アバットメント要素62は、ガイド溝65におけるその受容凹部331との係止的係合によって第1の横断方向q1にクランプ要素4上に置かれる。
【0071】
図1A~5及び8A~9Cを参照すると、伸縮システム1は、3本のプロファイルレール2、すなわち、ここでは外側に配置された2本の第1のプロファイルレール2a及びその2本の第1のプロファイルレール2aの間に配置された第2のプロファイルレール2bを有する。一般的には、長手プロファイル21の一方側のみに2本のプロファイルレール2を設ければ充分である。一方側においてアバットメントデバイス6の構成を有するアバットメント溝63及び64のために、下側の第1のプロファイルレール2aの断面に関して非対称性がある。図2Dを参照すると、上側外側プロファイルレール2と中央プロファイルレール2の間の移動を制限するためのアバットメントデバイス6は伸縮システム1の左手側に配置され、下側外側プロファイルレール2と中央プロファイルレール2の間の移動を制限するためのアバットメントデバイス6は伸縮システム1の右手側に配置される。それでも、2本の外側の第1のプロファイルレール2aは、それらの長手プロファイル21が相互に対向して配置されるとともに第2の横断軸に関して相互に対して完全に180度回転される限り、同一の構造のものとなり得る。中央の第2のプロファイルレール2bは、2本の外側の第1のプロファイルレール2aに向かうその面において、図7を参照して説明した上側の第2のプロファイルレール2bの長手プロファイル21と同じのそれぞれ同一の長手プロファイル21を有する。
【0072】
図8の端部の図に示す伸縮システム1は、5本の伸縮レール2:2本の外側に配置された第1のプロファイルレール2a、同一の長手プロファイル21で両面に設けられ、中央に配置された第1のプロファイルレール2a、及び同一の長手プロファイル21が両端に設けられ、外側に配置された第1のプロファイルレール2aの一方と中央に配置された第1のプロファイルレール2aとの間にそれぞれある2本の第2のプロファイルレール2bを有する。プロファイルレール2の数は、摺動要素が組み合わされることによって摺動変位可能に取り付けられるプロファイルレール2によって相互に対して増設可能であることはそこから明らかであり、その組合せは、相互に対向する面の一方において第1のプロファイルレール2aの長手プロファイル21を有し、相互に対向する面の他方において第2のプロファイルレール2bの長手プロファイル21を有するものである。
【符号の説明】
【0073】
1 伸縮システム
2 プロファイルレール
21 長手プロファイル
22 長手溝
221 更なる長手溝
222 追加の長手溝
23 長手リブ
231 受容リブ
2a 第1のプロファイルレール
2b 第2のプロファイルレール
3 摺動要素
31 摺動要素対
32 長手プロファイル
33 長手突出部
331 受容凹部
332 第1の長手突出部
333 自由端領域
334 第2の長手突出部
335 受容溝
336 更なる長手突出部
337 部分
338 更なる受容溝
339 アンダーカット構成
34 ベース
35 傾斜挿入部
4 クランプ要素
5 摺動ガイド面
51 第1の摺動ガイド面
52 第2の摺動ガイド面
6 アバットメントデバイス
61 端部アバットメント
62 アバットメント要素
63 アバットメント溝
64 更なるアバットメント溝
65 ガイド溝
G 摺動平面
S1 鏡像対称の第1の平面
S2 鏡像対称の第2の平面
a 間隔
I 長手方向
q1 第1の横断方向
q2 第2の横断方向
w 移動距離
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C