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特許7575389誘導加熱式エアロゾル発生物品、そのような物品を製造するための方法、およびそのような物品のサセプタを製造するための器具
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  • 特許-誘導加熱式エアロゾル発生物品、そのような物品を製造するための方法、およびそのような物品のサセプタを製造するための器具 図1
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  • 特許-誘導加熱式エアロゾル発生物品、そのような物品を製造するための方法、およびそのような物品のサセプタを製造するための器具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】誘導加熱式エアロゾル発生物品、そのような物品を製造するための方法、およびそのような物品のサセプタを製造するための器具
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20241022BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20241022BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20241022BHJP
   A24C 5/01 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
A24B15/16
A24F40/465
A24F40/70
A24C5/01
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021549831
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020055091
(87)【国際公開番号】W WO2020174029
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】19159891.1
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
(72)【発明者】
【氏名】プレスティア イヴァン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/002084(WO,A1)
【文献】特開平06-210368(JP,A)
【文献】特表2018-530318(JP,A)
【文献】特表2018-523983(JP,A)
【文献】米国特許第05093971(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24F 40/00-47/00
A24C 5/01
A61M 15/06
B21D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱式エアロゾル発生装置で使用するための誘導加熱式エアロゾル発生物品であって、前記物品が、少なくとも1つのエアロゾル形成基体と、前記エアロゾル形成基体と熱的に近接している、または前記エアロゾル形成基体と熱的に接触している、少なくとも1つのサセプタと、を含み、前記サセプタが、平坦化された拡張された金属シートであって、前記シートを通して複数の開口部を含む、平坦化された拡張された金属シートを含む、誘導加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記複数の開口部が、周期的なパターンで配設されている、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記複数の開口部のうちの1つ以上が、菱形を有する、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記菱形が、前記菱形の対向する頂点の第1の対を接続する第1の対角線と、前記菱形の対向する頂点の第2の対を接続する第2の対角線と、を有しており、前記第1の対角線が、前記拡張された金属シートの拡張方向に延在している、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記第1の対角線の長さが1.7ミリメートル~4.7ミリメートルの範囲内にあり、前記第2の対角線の長さが、0.3ミリメートル~3.1ミリメートルの範囲内にある、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記複数の開口部のうちの1つ以上が、前記拡張された金属シートの側面縁部に向かって横方向に開放され、三角形形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記エアロゾル形成基体が、前記サセプタの周りに少なくとも部分的に配設されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記エアロゾル形成基体が、非たばこ植物材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記エアロゾル形成基体が、前記エアロゾル形成基体の12重量パーセント~20重量パーセントの範囲の重量比を有するエアロゾル形成体を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の誘導加熱式エアロゾル発生物品を製造するため方法であって、前記方法が、
-エアロゾル形成基体を提供するステップと、
-複数の開口部を含む平坦化された拡張された金属シートを含むサセプタを提供するステップであって、前記サセプタを提供するステップが、
-金属シートを提供するステップと、
-前記金属シート内に複数の弱体化した領域を作成するステップと、
-前記複数の弱体化した領域に由来する複数の開口部を含む拡張された金属シートを作成するように、少なくとも第1の方向に沿って前記弱体化した金属シートを延伸するステップと、
-延伸の後に、前記拡張された金属シートを平坦化するステップと、を含む、サセプタを提供するステップと、
-前記エアロゾル形成基体と熱的に近接して、または前記エアロゾル形成基体と熱的に接触して前記サセプタを配設するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記複数の弱体化した領域を作成するステップが、前記金属シート内に有限長さの複数のスリットを作成するステップを含み、各スリットの少なくとも一部分が、前記第1の方向に対して横断する第2の方向に沿って延在している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の弱体化した領域のうちの1つ以上が、直線状スリットを、請求項10または11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品のサセプタを製造するための器具であって、前記器具が、
-逆回転する第1のロールの第1の対であって、前記第1のロールのうちの少なくとも1つが、それぞれのロールの外周面上に配設された1つ以上の切断要素を含み、前記1つ以上の切断要素が、前記金属シートが前記第1の対の前記第1のロールの間を通過する時に、前記金属シート内の複数の弱体化した領域を作成するように構成されている、第1の対と、
-前記第1のロールの第1の対の下流に配設されており、第2のロールの第2の対の間で、前記弱体化した金属シートを、前記第2のロールの回転速度に対応する第1の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第2のロールの第2の対と、
-前記第2のロールの前記第2の対の下流に配設されており、第3のロールの第3の対の間で、前記弱体化した金属シートを、前記第3のロールの回転速度に対応する第2の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する前記第3のロールの前記第3の対であって、前記第3のロールの前記回転速度が、前記第2のロールの前記回転速度よりも速く、その結果、前記弱体化した金属シートが、-ロールの前記第2および第3の対によって搬送された時に-、搬送方向に沿って延伸され、それによって、前記複数の弱体化した領域に由来する前記シートを通る複数の開口部を含む、拡張された金属シートになる、逆回転する第3のロールの第3の対と、
-前記第3のロールの前記第3の対の下流に配設されており、第4のロールの第4の対の間で、前記拡張された金属シートを、前記第4のロールの回転速度に対応する第3の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する前記第4のロールの前記第4の対であって、前記第4のロールの前記回転速度が、前記第3のロールの前記回転速度よりも速く、その結果、前記拡張された金属シートが、-ロールの前記第3および第4の対によって搬送された時に-、直線化および平坦化される、逆回転する第4のロールの第4の対と、を含む、器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱式エアロゾル発生装置で使用するための誘導加熱式エアロゾル発生物品に関する。本発明はまた、そのような誘導加熱式エアロゾル発生物品を製造するための方法に関する。本発明は、そのような物品のサセプタを製造するための器具にさらに関する。
【0002】
加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを形成することができる少なくとも1つのエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品は、一般的に公知である。基体を加熱するために、物品は、電気ヒーターを含むエアロゾル発生装置の中に受容されてもよい。ヒーターは、誘導源を含む誘導ヒーターであってもよい。誘導源は、サセプタの電気的および磁気的特性に応じて、渦電流およびヒステリシス損失のうちの少なくとも1つによってサセプタを誘導加熱する交流電磁場を生成するように構成されている。サセプタは、物品と一体型の部分であり、加熱される基体と熱的に近接または直接物理的に接触するように配設され得る。装置の動作中、揮発性化合物は、物品中の加熱されたエアロゾル形成基体から放出され、ユーザのパフ中に物品を通して引き出される気流に流入される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
サセプタは、金属シートを含んでもよく、または金属シートからなってもよい。このようなシート状のサセプタは、容易に製造することができ、その二次元的性質のために広範な熱放射を提供することができるが、そのようなサセプタの総質量は、多くの場合、熱放射面に対して依然として不比例であり得る。そのため、資源は効率的に使用されない。
【0004】
したがって、先行技術の解決策の利点を備えながらも、それらの限界を有さない、誘導加熱式エアロゾル発生物品、およびこのような物品を製造するための方法を有することが望ましい。特に、誘導加熱式エアロゾル発生物品、および資源の改善された使用を伴うこのような物品を製造するための方法を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明によると、誘導加熱式エアロゾル発生装置で使用するための誘導加熱式エアロゾル発生物品が提供されている。物品は、少なくとも1つのエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体と熱的に近接している、またはエアロゾル形成基体と熱的に接触している少なくとも1つのサセプタと、を含む。サセプタは、シートを通して複数の開口部を含む拡張された金属シートを含む。
【0006】
本明細書で使用される場合、用語「拡張された金属シート」は、複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔が作成され、その後、複数の弱体化した領域を、特に複数の穿孔から延伸することに由来する、規則的なパターンの開口部を形成するように延伸された金属シートのタイプを意味する。
【0007】
拡張された金属シートを含むサセプタを使用することは、他のタイプのシート状のサセプタと比較して複数の利点を提供する。
【0008】
第1に、特定の製造ステップにより、拡張された金属シートの単位面積当たりの質量は、そのような開口部のない金属シートと比較して減少する。同時に、拡張された金属シートの表面は、依然として広範囲の熱放射を提供するのに十分な大きさである。結果として、拡張された金属シートを含むサセプタの総質量と熱放射面との間の比例率は、いかなる開口部も有さない金属シートを含むサセプタと比較して改善される。有利なことに、これは、物品の製造のための資源の節約に役立つ。さらに、単位面積当たりの低減された質量はまた、物品の総質量の減少に関して有益であり得る。
【0009】
第2に、材料の除去によって、例えば、パンチングによって作成された開口部を含む金属シートと比較して、上述のように、すなわち、特に、金属シートを穿孔および延伸することなどの弱体化によって作成された開口部を含む拡張された金属シートの製造は、有利には材料の廃棄物を含まない。また、この理由から、本発明による物品のサセプタは、有利には、材料および製造コストを節約し、したがって、資源を節約することを可能にする。
【0010】
第3に、開口部によって、本発明による物品のサセプタは、透過性であり、非透過性のサセプタを含む物品と比較して、物品を通して引き出される気流を増強させる。さらに、サセプタの開口部は、加熱されたエアロゾル形成基体から気流への揮発性である材料の放出および混入を促進する。有利なことに、両方の態様がエアロゾル形成を促進する。
【0011】
第4に、拡張された金属シートを含むサセプタは、溶接または織布サセプタメッシュの等価重量と比較してより堅牢である。これは、シート材料が、弱体化され、特に穿孔および延伸されているが、1つのピースに留まり、それゆえその強度を維持するからである。同時に、拡張された金属シートは、いかなる開口部も有さない金属シートよりもより柔軟で剛性が低い。有利なことに、これは、エアロゾル発生物品の製造中の材料供給を容易にする。
【0012】
第5に、拡張された金属シートの開口部は、物品の製造中にエアロゾル形成基体で充填され得る。有利なことに、これは、エアロゾル形成基体内のサセプタの固定を支持し得る。結果として、エアロゾル形成基体内のサセプタの位置精度および安定性が著しく改善される。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「シート」は、第2の方向および第3の方向における延長部、特に、幅延長部および長さ延長部よりも小さい、特に、少なくとも5倍小さい、好ましくは、少なくとも20倍小さい、より好ましくは、少なくとも50倍小さい、さらにより好ましくは、少なくとも100倍小さい、最も好ましくは、少なくとも150倍小さい、第1の方向における延長部、特に、厚さ延長部を有する、平坦な物体を意味する。さらに、第2の方向におけるシートの延長部は、好ましくは、第3の方向におけるシートの延長部よりも小さい。特に、シートの幅延長部は、シートの長さ延長部よりも小さくてもよい。
【0014】
サセプタの寸法に関して、拡張された金属シートは、0.05ミリメートル~0.4ミリメートル、特に0.15ミリメートル~0.35ミリメートルの範囲の厚さ延長部を有し得る。同様に、拡張された金属シートは、2ミリメートル~8ミリメートルの範囲、特に3ミリメートル~6ミリメートルの範囲、好ましくは、4ミリメートル~5ミリメートルの範囲の幅延長部を有してもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「金属シート」および「拡張された金属シート」は、少なくとも1つの金属または金属材料を含むシートを意味する。このため、サセプタは、導電性であり、したがって少なくとも渦電流により誘導加熱可能である。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「開口部」は、拡張されたシート材料の1つの平面側から反対側の平面側へ、その厚さ延長部に沿って拡張されたシート材料全体を通って延在する開口部として理解されるべきである。同様に、用語「穿孔」は、シート材料の1つの平面側から反対側の平面側へ、その厚さ延長部に沿ってシート材料全体を通って延在する穿孔として理解されるべきである。用語「弱体化領域」は、金属シートの主表面に対して垂直な方向、すなわち、金属の厚さ延長部に沿って、材料の厚さが減少した金属シートの領域を意味する。材料の厚さの減少は、弱体化した金属シートを延伸すると、弱体化した領域が、その厚さ延長部に沿って拡張されたシート材料全体を通して開口部に変形されるようなものである。
【0017】
さらに、用語「開口部」は、2つのタイプの開口部、すなわち、閉じた境界を有する開口部、ならびに部分的に開いた境界を有する開口部を包含し得る。閉じた境界を有する開口部は、開口部の周囲に沿って拡張された金属シートの材料によって完全に境界形成される。対照的に、部分的に開いた境界を有する開口部は、開口部の周囲に沿って拡張された金属シートの材料によって部分的にのみ境界形成される。存在する場合、部分的に開いた境界を有する1つ以上の開口部は、拡張された金属シートの側面縁部に位置する。すなわち、そのような開口部は、拡張された金属シートの側面縁部に向かって横方向に開放される。存在する場合、部分的に開いた境界を有する1つ以上の開口部は、弱体化した領域、特に金属シートの側面縁部を超えて延在し、続いて延伸される金属シート内に作成される穿孔から生じる場合がある。
【0018】
したがって、拡張された金属シートは、閉じた境界を有する複数の開口部、部分的に開いた境界を有する複数の開口部、または閉じた境界を有する1つ以上の開口部、ならびに部分的に開いた境界を有する1つ以上の開口部のうちの1つを含み得る。
【0019】
複数の開口部は、周期的なパターンで配設されてもよい。周期的なパターンは、その製造に関して有利であり得る。特に、開口部の周期的なパターンは、弱体化した領域の周期的なパターン、特に穿孔を、開口部の周期的なパターンに変形させるように、弱体化した領域の周期的なパターン、特にシート材料の穿孔を作成することによって、および続いて、弱体化した、特に穿孔された金属シートを少なくとも一方向に延伸することによって達成され得る。
【0020】
開口部の周期的なパターンは、一次元の周期的なパターンであってもよい。すなわち、周期的なパターンは、第1の(一方の)方向のみに沿って周期性を有してもよい。周期的なパターンは、二次元の周期的なパターンであることが好ましい。すなわち、周期的なパターンは、第1の方向および第2の方向に沿って周期性を有してもよく、第2の方向は、横方向であり、特に第1の方向に対して垂直である。両方の構成で、第1の方向は、拡張されたシート材料の拡張の方向に対応し得る。
【0021】
複数の開口部の周期的なパターンは、0.9ミリメートル~7.8ミリメートルの範囲、好ましくは、1.4ミリメートル~4.8ミリメートルの範囲の第1の方向に沿った周期性の長さを有してもよい。同様に、複数の開口部の周期的なパターンは、3.4ミリメートル~9ミリメートルの範囲、好ましくは、2.6ミリメートル~5.1ミリメートルの範囲の第2の方向に沿った周期性の長さを有してもよい。これらの範囲内の第1の方向および第2の方向に沿った周期性は、サセプタの総質量と熱放射面との間の合理的な比率を提供し得る。
【0022】
複数の開口部は、オフセット配設、特に周期的なオフセット配設で配設されてもよい。有利なことに、オフセット配設は、開口部の非常にコンパクトな配設を可能にし、単位面積当たりの開口部の密度を増加させ、その結果、サセプタの透過性を増加させると同時に、サセプタ材料の単位面積当たりの総質量を減少させることを可能にする。上述のように、後者は、資源のより効率的な使用を可能にする。特に、オフセット配設では、複数の開口部は、第1の方向に沿って複数の列に配設されてもよく、各列は、第1の方向に対して垂直な第2の方向に延在しており、1つ以上の開口部を含み、1つの列における1つ以上の開口部は、それぞれの隣接する列の1つ以上の開口部にオフセットされる。開口部のオフセット配設は、弱体化した領域、特に穿孔の対応するオフセット配設、を作成することによって達成されてもよく、複数の弱体化した領域、特に穿孔は、第1の方向に沿って複数の列に配設されてもよく、各列は、第1の方向に対して垂直な第2の方向に延在しており、1つ以上の弱体化した領域を含み、1つ以上の弱体化した領域、特に1つの列における穿孔は、1つ以上の弱体化した領域、特にそれぞれの隣接する列の穿孔にオフセットされる。
【0023】
一般的に、開口部の形状は、特に、例えば、穿孔の形状などの金属シートの弱体化した領域の形状に基づく、および例えば、開口部を生成するために、弱体化した、例えば、穿孔された金属シートが延伸される拡張の方向に基づく、拡張された金属シートの製造に依存し得る。本明細書で使用される場合、用語「開口部の形状」は、拡張された金属シートの主(平面)表面に対して垂直な方向、すなわち、拡張された金属シートの厚さ延長部である、拡張された金属シートの最小の延長部の方向に沿って見られるような、開口部の(断面)形状を意味する。
【0024】
好ましくは、複数の開口部のうちの1つ以上は、菱形を有してもよい。菱形開口部は、特に金属シート内に有限長さの直線状スリットを作成し、その後、スリット金属シートを横方向に、特にスリットの各々を菱形開口部に変形させる直線状スリットの長さ延長部に対して垂直な方向に延伸することによって、製造が容易であるため有利であり得る。
【0025】
菱形は、菱形の対向する頂点の第1の対を接続する第1の対角線と、菱形の対向する頂点の第2の対を接続する第2の対角線と、を有する。好ましくは、第1の対角線は、拡張された金属シートの拡張方向に対応する第1の方向に延在する。その状況は、上述の直線状スリットの長さ延長部に対して垂直な方向に金属シートを延伸することによって容易に達成され得る。
【0026】
好ましくは、第2の対角線の長さは、特に、第1の対角線が拡張された金属シートの拡張方向に対応する場合、第1の対角線の長さよりも大きい。同じ開口部領域を有するが対角線さえも有する菱形開口部と比較して、上記の構成は、有利には、拡張された金属シートの製造を容易にする、拡張の程度を低減することを可能にする。
【0027】
第1の対角線の長さは、0.3ミリメートル~3.1ミリメートルの範囲、好ましくは、0.5ミリメートル2.5ミリメートルの範囲であり得る。同様に、第2の対角線の長さは、1.1ミリメートル~4.7ミリメートルの範囲、好ましくは、1.7ミリメートル~3.1ミリメートルの範囲である。
【0028】
同様に、第2の対角線の長さは、拡張された金属シートの幅延長部の10パーセント~60パーセント、特に20パーセント~50パーセントの範囲、好ましくは、30パーセント~45パーセントの範囲であり得る。
【0029】
1つ以上の前述の直線状スリットが金属シートの縁部を超えて延在する場合、そのようなスリットの延伸は、上述のように部分的に開いた境界、特に三角形形状を有する開口部をもたらす。これに関して、開口部の境界の部分的に開いている部分は、三角形または三角形形状の縁部のうちの1つにそれぞれ対応することに留意されたい。したがって、複数の開口部のうちの1つ以上は、拡張された金属シートの側面縁部に向かって横方向に開放されてもよく、三角形形状を有してもよい。
【0030】
好ましくは、前述の直線状スリットは、以下でより詳細に説明するように作製される拡張された金属シートである金属シートの側面縁部に対して垂直な方向に延在する。特に、スリットは、作製された拡張された金属シートである金属シートの長さ延長部に対して垂直な方向に延在し得る。金属シートの長さ延長部は、好ましくは、拡張された金属シートの延長部の方向に対応する。あるいは、スリットは、金属シートの側面縁部または長さ延長部に対して5度~85度、特に20度~70度、好ましくは、30度~60度、例えば、45度の範囲の角度で角度付けられてもよい。これらのスリットを、金属シートの側面縁部または長さ延長部に対して平行な方向に延伸することは、拡張された金属シートの主(平面)表面に対して垂直な方向に突出する隆起部分を有する、拡張された金属シートの三次元構成をもたらし得る。有利なことに、そのような隆起部分は、エアロゾル形成基体内のサセプタの固定を支持し得る。望ましい場合、隆起部分は平坦化され得る。すなわち、サセプタは、シートを通して複数の開口部を含む、平坦化された拡張された金属シートを含み得る。特に、サセプタは、シートを通る複数の開口部を含み、かつ拡張された金属シートの主平面表面に対して垂直な方向に突出する隆起部分を有しない、平坦化された拡張された金属シートを含み得る。
【0031】
サセプタの拡張された金属シートは、ストリップ形状であってもよい。使用される場合、「ストリップ形状」という用語は、共に厚さ延長部よりも大きな、長さ延長部および幅延長部を有する要素の形状を意味する。さらに、長さ延長部は、幅寸法よりも大きいことが好ましい。厚さ延長部は、その0.05ミリメートル~0.4ミリメートルの範囲、特に0.15ミリメートル~0.35ミリメートルの範囲あり得る。同様に、幅延長部は、2ミリメートル~8ミリメートルの範囲、特に3ミリメートル~6ミリメートルの範囲、好ましくは、4ミリメートル~5ミリメートルの範囲であり得る。好ましくは、ストリップ形状の拡張された金属シートは、その長さ延長部に対して垂直な平面に見られるような長方形の断面を有する。長さ延長部は、好ましくは、拡張された金属シートの延長部の方向に対応する。ストリップの形態のサセプタまたは拡張された金属シートは、低コストで容易に製造することができるため有利である。
【0032】
好ましくは、サセプタは、拡張された金属シート、特にストリップ形状の拡張された金属シートのみからなる。すなわち、サセプタは、拡張された金属シート、特にストリップ形状の拡張された金属シートであることが好ましい。
【0033】
一般的に、「サセプタ」という用語は、交流電磁場内で誘導加熱する能力を有する材料を含む要素を意味する。これは、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、サセプタの中で誘導されたヒステリシス損失および渦電流のうちの少なくとも1つの結果であり得る。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ内で生じる。渦電流は、サセプタが導電性である場合に誘起される場合がある。導電性の強磁性サセプタまたは導電性フェリ磁性サセプタの場合において、渦電流およびヒステリシス損失の両方に起因して熱を発生させることができる。
【0034】
本発明では、サセプタは、その金属の性質により導電性である拡張された金属シートのため、少なくとも渦電流により誘導加熱可能である。したがって、本発明によるサセプタ、特に拡張された金属シートは、導電性である少なくとも1つの材料を含む。導電性材料は、常磁性であってもよい。例えば、導電性材料は、アルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。あるいは、導電性材料は、強磁性であってもよい。この場合、本発明によるサセプタは、渦電流およびヒステリシス損失の両方によって、加熱可能である。例えば、導電性材料は、フェライト鉄、強磁性合金、特に強磁性鋼、好ましくは、強磁性ステンレス鋼であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0035】
好ましいサセプタは、約摂氏40度~約摂氏500度、特に、約摂氏50度~約摂氏450度、好ましくは、約摂氏100度~約摂氏400度の温度に加熱可能であり得る。
【0036】
サセプタは、マルチマテリアルサセプタであってもよい。特に、拡張された金属シートは、マルチマテリアルの拡張された金属シートであってもよい。したがって、サセプタまたは拡張された金属シートはそれぞれ、少なくとも第1の金属材料および第2の金属材料を含み得る。第1の材料は、熱損失に関して、またそれ故に加熱効率に関して最適化されていることが好ましい。例えば、第1の材料はアルミニウムであってもよく、またはステンレス鋼などの鉄材料であってよい。対照的に、第2の材料は、温度マーカーとして使用されることが好ましい。このために、第2の材料は、強磁性であり、サセプタの所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれることが好ましい。そのキュリー温度にて、第2の材料の磁性は強磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が伴う。それ故に、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第2の材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれ故に、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。第2の材料は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の発火点より低いキュリー温度を有し、これは摂氏500度より低いことが好ましい。第2の材料に適切な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。ニッケルは、不純物の性質に応じて、約摂氏354度~摂氏360度の範囲のキュリー温度を有する。この範囲のキュリー温度は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるためにサセプタを加熱するべき温度とほぼ同一であるが、基体の局所的な過熱または燃焼を回避するために依然として十分に低い温度であるため、理想的である。
【0037】
サセプタは、多層サセプタであり得る。同様に、拡張された金属シートは、多層の拡張された金属シートであってもよい。特に、多層サセプタは、多層の拡張された金属シートを含む。多層サセプタまたは多層の拡張された金属シートはそれぞれ、第1の層および第2の層を含んでもよく、前述したように、第1の層は、第1の金属材料を含み、第2の層は、第2の金属材料を含む。例えば、第1の層は、強磁性ステンレス鋼を含んでもよく、または強磁性ステンレス鋼で作製されてもよく、第1の層の少なくとも1つの側面は、ニッケルまたはニッケル合金を含んでもよく、またはニッケル合金で作製されてもよい第2の層としてコーティングを含む。
【0038】
サセプタは、寸法的に安定であることが好ましい。これは、サセプタが、エアロゾル形成ロッドの製造中に実質的に変形されないままであるか、またはエアロゾル形成ロッドを形成するために必要な任意のサセプタの変形が、変形力が除去された時にサセプタがその本来の形状に戻るように弾性のままであることを意味する。このため、サセプタの形状および材料は、十分な寸法安定性を確実にするように選ばれてもよい。有利なことに、これは、エアロゾル形成ロッドの製造全体を通して、元々の所望の断面プロファイルが保持されることを確実にする。高い寸法安定性は、製品性能の変動を低減する。本発明による成形装置に関して、およびさらに以下で詳細に説明するように、成形装置は、成形装置を通過した後、サセプタが実質的に変形しないままであるように構成されている。これは、変形力が除去された時にサセプタがその意図された形状に戻るように、連続ロッドを形成するために必要なサセプタのあらゆる変形が弾性のままであることが好ましいことを意味する。
【0039】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを発生するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出することが可能なエアロゾル形成材料から形成されるか、またはそれを含む基体を意味する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される。
【0040】
エアロゾル形成基体は固体、ペースト様、または液体エアロゾル形成基体であってもよい。これらのいずれの状態においても、エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含み得る。
【0041】
エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ香味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。
【0042】
あるいは、または追加的に、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料、特に、切断された植物性材料もしくは植物性増殖繊維、または植物性繊維もしくはそれらの組み合わせに基づく多孔性基体もしくは発泡体などの非たばこ植物材料を含んでもよい。
【0043】
エアロゾル形成基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこ、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含有する粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ撚糸、細片またはシートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0044】
エアロゾル形成基体はさらに、少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでいてもよい。少なくとも1つのエアロゾル形成体はポリオール、グリコールエーテル、ポリオールエステル、エステル、および脂肪酸から選択されてよく、且つ、次の化合物、すなわちグリセリン、エリスリトール、1,3-ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレンカーボネート、ラウリン酸エチル、トリアセチン、メソ-エリスリトール、ジアセチン混合物、ジエチルスベリン酸塩、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、バニリン酸エチル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリル酸、ミリスチル酸、およびプロピレングリコールのうちの1つ以上を含んでよい。
【0045】
1つ以上のエアロゾル形成体を組み合わせて、その組み合わせたエアロゾル形成体の1つ以上の特性を利用してもよい。例えば、有効成分を運ぶトリアセチンの能力とグリセリンの湿潤剤特性とを利用するために、トリアセチンをグリセリンおよび水と組み合わせてもよい。
【0046】
エアロゾル形成体は、エアロゾル形成基体がたばこベースの産物、特にたばこ粒子をはじめとする産物から構成される時に所望のレベルの水分をその基体内で維持することに役立つある種の保湿特性を有してもよい。特に、一部のエアロゾル形成体は保湿剤として機能する吸湿性材料、すなわち、その保湿剤を含むたばこ基体を湿った状態に保つことに役立つ物質である。
【0047】
特に、エアロゾル形成基体は、12重量パーセント~20重量パーセント、好ましくは16重量パーセント~20重量パーセントの範囲、最も好ましくは17重量パーセント~18重量パーセントのエアロゾル形成基体の重量割合を有する1つ以上のエアロゾル形成基体を含み得る。
【0048】
エアロゾル形成基体は、その他の添加剤および成分を含み得る。エアロゾル形成基体は、ニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される香味剤、特に、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性香味化合物を含み得る。エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性香味化合物を含むカプセルも含有してもよく、そのようなカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。また、エアロゾル形成基体は、結合剤材料を含んでいてもよい。
【0049】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成たばこ基体、すなわちたばこ含有基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性たばこ香味化合物を含有してもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料などの再構成たばこを含んでもよく、もしくはそれから成っていてもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。特に、エアロゾル形成基体は、切断およびブレンドされたたばこ葉を含むか、またはそれから成ってもよい。エアロゾル形成基体は、非たばこ材料、例えばたばこ以外の均質化した植物系材料を追加的に含んでもよい。好ましくは、再構成たばこは、混合されたたばこ材料、特に葉層、加工された茎およびリブ、例えば、鋳造または製紙プロセスを使用してシート形態に作製されるような均質化された植物材料から大部分が作製される。再構成たばこはまた、他の切断されたもの、フィラーたばこ、結合剤、繊維またはケーシングを含んでもよい。再構成たばこは、少なくとも25パーセントの植物葉の葉身、より好ましくは少なくとも50パーセントの植物葉の葉身、さらにより好ましくは少なくとも75パーセントの植物葉の葉身、最も好ましくは少なくとも90パーセントの植物葉の葉身を含む。好ましくは、植物材料は、たばこ、ミント、茶、およびクローブのうちの1つである。しかしながら、植物材料は、加熱に伴い、その後エアロゾルを形成することができる物質を放出する能力を有する他の植物材料であってもよい。
【0050】
たばこ植物材料は、ブライトたばこ葉身、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこのうちの1つ以上の葉身を含むことが好ましい。ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語はフルーキュアリングされたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、ブラジル産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、米国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ(バージニアたばこなど)、インド産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、タンザニア産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、または他のアフリカ産の熱風送管乾燥処理されたたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこはキュアリング後に、スパイスが効いていて活気のある感覚を伴うたばこタイプである。本明細書で使用するブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント~約20パーセントであり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖は、例えばグルコースまたはフルクトースを含む。総アンモニアは、例えばアンモニアおよびアンモニア塩を含む。ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語はエアキュアリングしたたばこに対して使用される。加えて、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みたばこ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。典型的には、これらのダークたばこは、空気乾燥処理され、発酵される可能性がある。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚を伴うたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこの例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、ダークキュアブラジルガルパオ、サンキュアまたはエアキュアインドネシアカストリ(Kasturi)である。本明細書で使用されるダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約5パーセント未満、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.5パーセント以下であるたばこである。アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば精油の含有量が高いその他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて芳しい感覚を伴うたばこタイプである。アロマティックたばこの例には、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこであるが火力乾燥処理されたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドがある。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終生成物に特定の特徴的な芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用されるたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、フルキュアブラジルの下部葉柄のフルーキュアリングされた茎であってもよい。
【0051】
エアロゾル形成基体は、たばこウェブ、好ましくは捲縮したウェブを含んでいてもよいことが好ましい。たばこウェブは、たばこ材料、繊維粒子、結合剤材料、およびエアロゾル形成体を含んでもよい。たばこウェブはキャストリーフであることが好ましい。キャストリーフは、たばこ粒子を含むスラリーから形成される再構成たばこの一形態である。キャストリーフは、繊維粒子もしくはエアロゾル形成体、または繊維粒子とエアロゾル形成体の両方、ならびに結合剤、および例えば、香味もさらに含み得る。たばこ粒子は、所望のシート厚さおよび対応するキャスティングボックスのキャスティングギャップに依存して、10マイクロメートル~250マイクロメートル程度の粒子、好ましくは20マイクロメートル~80マイクロメートル程度の粒子、または50マイクロメートル~150マイクロメートル程度の粒子、または100マイクロメートル~250マイクロメートル程度の粒子を有するたばこ粉末の形態のものであってもよい。キャスティングギャップは、シートの厚さに影響を与える。繊維粒子は、たばこ葉柄材料、茎またはその他のたばこ植物材料、および例えば植物繊維などのその他のセルロース系繊維、好ましくは木材繊維または亜麻繊維または麻繊維を含んでもよい。繊維粒子は、低含有率、例えば、約2パーセント~15パーセントの含有率に対して十分な引張強度をキャストリーフにもたらすという要求に基づいて選択され得る。別の方法として、植物繊維などの繊維を上述の繊維粒子と共に、または代わりに使用してもよく、これには大麻および竹、または様々な繊維タイプの組み合わせが含まれる。キャストリーフを形成するスラリーに含まれるエアロゾル形成体、または他のエアロゾル形成たばこ基体に使用されるエアロゾル形成体は1つ以上の特性に基づいて選択され得る。機能的には、エアロゾル形成体は、そのエアロゾル形成体の特定の揮発温度を超えて加熱された時、そのエアロゾル形成体を揮発させて、かつニコチンもしくは香味剤またはその両方をエアロゾルの状態で運ぶことを可能にする機構を提供する。異なるエアロゾル形成体は通常、異なる温度で気化する。エアロゾル形成体は、使用時に安定したエアロゾルの形成を容易にする、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物であってもよい。安定したエアロゾルは、エアロゾル形成基体を加熱するための動作温度での熱分解に対して実質的に耐性がある。エアロゾル形成体は、その能力(例えば、室温または室温の周辺では安定なままであるが、より高い温度(例えば、摂氏40度~摂氏450度、好ましくは摂氏40度~摂氏250度)では揮発可能である)に基づいて選ばれてもよい。
【0052】
捲縮たばこシート、例えばキャストリーフは、約0.02ミリメートル~約0.5ミリメートルの範囲、好ましくは約0.08ミリメートル~約0.2ミリメートルの範囲の厚さを有してもよい。
【0053】
液体エアロゾル形成基体の場合、エアロゾル発生物品は、液体エアロゾル形成基体を含む液体保持材料を含み得る。本明細書で使用される場合、「液体保持材料」という用語は、液体を貯蔵するための高保持材料または高放出材料(HRM)を意味する。液体保持材料は、液体の少なくとも一部分を本質的に保持し、その結果この部分は保持を離れる前にエアロゾル化のために利用できないように構成される。液体保持材料を使用することで、液体エアロゾル形成基体が保持材料内に安全に保持されるために、エアロゾル発生物品の故障または亀裂の場合の漏れのリスクが減少する。有利なことに、これにより、エアロゾル発生物品を漏れないようにすることができる。
【0054】
エアロゾル発生物品内で、エアロゾル形成基体は、少なくとも部分的にサセプタの周りに配設されてもよい。この構成では、サセプタは、例えば、内側から基体を加熱するために、エアロゾル形成基体によって少なくとも部分的に囲まれる。このため、物品の最も高温の部品、すなわちサセプタは、基体によって物品の外周部から遮蔽される。さらに、サセプタはしっかりと固定され、少なくとも部分的に周囲のエアロゾル形成基体によって保護される。
【0055】
あるいは、サセプタは、エアロゾル形成基体の周りに少なくとも部分的に配設されてもよい。この構成は、外側から囲まれたエアロゾル形成基体の均質な加熱に関して有利であり、周囲のサセプタは、基体の周りに加熱チャンバーを形成する。
【0056】
少なくとも1つのエアロゾル形成基体および少なくとも1つのサセプタに加えて、エアロゾル発生物品は、1つ以上のさらなる基体を含んでもよい。同様に、エアロゾル発生物品は、1つ以上のさらなるサセプタを含んでもよい。
【0057】
さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体、香味材料、および充填剤材料のうちの少なくとも1つをそれぞれ含む、異なる部分を含んでもよい。
【0058】
第1の実施例として、エアロゾル発生物品は、
-第1のエアロゾル形成基体および第1の香味材料のうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つの円筒形コア部分と、
-横方向にシートを通して複数の開口部を含む拡張された金属シートを含み、かつ円筒形コア部分にその長さ延長部に沿って非接合様式で横方向に当接する、少なくとも1つの細長いサセプタと、
-コア部分およびサセプタの周りに配設されている、スリーブ部分であって、スリーブが、充填剤材料、第2のエアロゾル形成基体、および第2の香味材料のうちの少なくとも1つを含む、スリーブ部分と、を含み得る。
【0059】
第2の実施例として、エアロゾル発生物品は、
-第1のエアロゾル形成基体および第1の香味材料を含む、第1の円筒形コア部分と、
-第2のエアロゾル形成基体および第2の香味材料のうちの少なくとも1つを含む、第1のコア部分とは別個の第2の円筒形コア部分と、
-シートを通して複数の開口部を含む拡張された金属シートを含み、かつサセプタが第1のコア部分と第2のコア部分との間に挟まれるように、非接合様式で第1のコア部分および第2のコア部分と横方向に当接している、少なくとも1つの細長いサセプタと、
-第1および第2のコア部分ならびにサセプタの周りに配設されている、スリーブ部分であって、スリーブ部分が、充填剤材料、第3のエアロゾル形成基体、および第3の香味材料のうちの少なくとも1つを含む、スリーブ部分と、を含み得る。
【0060】
第3の実施例として、エアロゾル発生物品は、
-第1のエアロゾル形成基体および第1の香味材料のうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つの円筒形コア部分と、
-シートを通して複数の開口部を含む拡張された金属シートを含み、かつ円筒形コア部分にその長さ延長部に沿って第1の側面で、-好ましくは非接合様式で-横方向に当接する、第1の細長いサセプタと、
-シートを通して複数の開口部を含む拡張された金属シートを含み、かつ円筒形コア部分が第1の細長いサセプタと第2の細長いサセプタとの間に挟まれるように、円筒形コア部分にその長さ延長部に沿って第1の側面に対向する第2の側面で、-好ましくは非接合様式で-横方向に当接する、第2の細長いサセプタと、
-コア部分ならびに第1および第2のサセプタの周りに配設されている、スリーブ部分であって、スリーブが、充填剤材料、第2のエアロゾル形成基体、および第2の香味材料のうちの少なくとも1つを含む、スリーブ部分と、を含み得る。
【0061】
エアロゾル発生物品は、特に、前述の第1、第2、および第3の実施例の部分のうちの少なくとも1つは、
-たばこ繊維に基づく多孔質基体または発泡体であって、たばこ繊維が、それぞれのエアロゾル形成基体を少なくとも部分的に形成する、多孔質基体または発泡体と、
-植物性繊維に基づく多孔質基体または発泡体であって、植物性繊維が、それぞれのエアロゾル形成基体を少なくとも部分的に形成する、多孔質基体または発泡体と、
-刻みたばこ材料を含む充填剤であって、刻みたばこ材料が、それぞれのエアロゾル形成基体を少なくとも部分的に形成する、充填剤と、
-切断された植物性材料を含む充填剤であって、切断された植物性材料が、それぞれのエアロゾル形成基体を少なくとも部分的に形成する、充填剤と、
-エアロゾル形成液体を含む、液体保持材料であって、エアロゾル形成液体が、それぞれのエアロゾル形成基体を少なくとも部分的に形成する、液体保持材料と、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0062】
同様に、エアロゾル発生物品は、特に、前述の第1、第2、および第3の実施例の部分のうちの少なくとも1つは、
-少なくとも1つの香味物質を含む、液体保持材料であって、香味物質が、それぞれの香味材料を少なくとも部分的に形成する、液体保持材料、
-セルロース繊維またはセルロース系繊維(充填剤材料としての)、
-少なくとも1つの香味物質を含む、セルロース繊維もしくはセルロース系繊維であって、香味物質が、それぞれの香味材料を少なくとも部分的に形成する、セルロース繊維またはセルロース系繊維、
-アセテートトウ拡張繊維(充填剤材料としての)、
-植物性拡張繊維(充填剤材料としての)、または
-紙(充填剤材料としての)、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、刻みたばこ材料は、少なくとも1つのたばこラミナ、再構成たばこ、たばこリブの断片、またはたばこ茎の断片を含み得る。同様に、切断された植物性材料は、少なくとも1つの植物ラミナの断片、植物リブの断片、または植物茎の断片を含み得る。
【0064】
一般的に、エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用の消耗品であってもよい。エアロゾル発生物品は、たばこ物品であってもよい。特に、物品は、たばこに似たロッド状の物品であってもよい。
【0065】
誘導加熱式エアロゾル発生物品は、円形または楕円形または長円形の断面を有することが好ましい。しかしながら、物品は、正方形または長方形または三角形または他の多角形の断面も有してもよい。
【0066】
少なくとも1つのエアロゾル形成基体および少なくとも1つのサセプタは、エアロゾル形成ロッドの一体的な部分であってもよい。エアロゾル形成ロッドは、一部ロッド状のエアロゾル発生物品であってもよい。同様に、前述した3つの実施例による異なる部分およびサセプタは、エアロゾル形成ロッドの一体的な部分であってもよく、これはその結果、ロッド状のエアロゾル発生物品の一部であってもよい。サセプタの長さ寸法は、エアロゾル形成ロッドの長軸方向軸に沿って測定されるエアロゾル形成ロッドの長さ寸法に実質的に対応することが好ましい。しかしながら、サセプタの長さ寸法がエアロゾル形成ロッドの長さ寸法よりも小さいサセプタを有することが有利であり得る。
【0067】
エアロゾル形成基体およびサセプタに加えて、特にエアロゾル形成ロッドに加えて、物品は、1つ以上の異なる要素、特に、中央空気通路を有する支持要素、エアロゾル冷却要素、およびフィルター要素のうちの1つ以上をさらに含み得る。これらの要素のうちの任意の1つまたは任意の組み合わせは、エアロゾル形成ロッドに連続的に配設され得ることが好ましい。エアロゾル形成ロッドは、物品の遠位端に配設されることが好ましい。同様に、フィルター要素は、物品の近位端に配設されることが好ましい。さらに、これらの要素は、エアロゾル形成ロッドと同一の外側断面を有してもよい。好ましくは、エアロゾル形成ロッド、フィルター要素、支持要素、およびエアロゾル冷却要素は、5ミリメートル~10ミリメートル、例えば、6ミリメートル~8ミリメートルの外径を有する。好ましい実施形態では、フィルター要素は、7.2ミリメートル±10パーセントの外径を有する。
【0068】
フィルター要素は、マウスピースとして、またはエアロゾル冷却要素と共にマウスピースの一部として機能することが好ましい。本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾルがエアロゾル発生物品から出る物品の一部分を意味する。フィルター要素は、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。フィルター要素は、5ミリメートル~10ミリメートル、例えば6ミリメートル~8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい実施形態では、フィルター要素は、7.2ミリメートル±10パーセント、好ましくは、5パーセントの外径を有する。フィルター要素は、5ミリメートル~25ミリメートルの長さ、好ましくは10ミリメートル~17ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい実施形態では、フィルター要素は、12ミリメートルまたは14ミリメートルの長さを有する。別の好ましい実施形態において、フィルター要素は、7ミリメートルの長さを有する。
【0069】
支持要素は、エアロゾル形成ロッドのすぐ下流に位置し得る。支持要素は、エアロゾル形成ロッドに隣接してもよい。支持要素は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、支持要素は、セルロースアセテート、ボール紙、捲縮した紙(捲縮した耐熱紙または捲縮した硫酸紙など)、および高分子材料(低密度ポリエチレン(LDPE)など)から成る群から選択される1つ以上の材料から形成されてもよい。好ましい実施形態において、支持要素はセルロースアセテートから形成されている。支持要素は中空の管状要素を含んでいてもよい。好ましい実施形態において、支持要素は中空のセルロースアセテートチューブを含む。
【0070】
支持要素は、エアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。支持要素は、5ミリメートル~12ミリメートル、例えば5ミリメートル~10ミリメートル、または6ミリメートル~8ミリメートル外径を有してもよい。好ましい実施形態では、支持要素は7.2ミリメートル±10パーセント、好ましくは、±5パーセントの外径を有する。支持要素は、5ミリメートル~15ミリメートル、特に6ミリメートル~12ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい実施形態において、支持要素は8ミリメートルの長さを有する。
【0071】
本明細書で使用される「エアロゾル冷却要素」という用語は、大きい表面積および低い引き出し抵抗(例えば、15mmWG~20mmWG)を有する要素を記述するために使用される。使用時に、エアロゾル形成ロッドから放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品の口側の端へと運ばれる前にエアロゾル冷却要素を通して引き出される。
【0072】
エアロゾル冷却要素は、50パーセントを超える長軸方向の空隙率を有することが好ましい。エアロゾル冷却要素を通過する気流経路は、比較的に抑制されないことが好ましい。エアロゾル冷却要素は、シートの集合体または捲縮したシートの集合体であってもよい。エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)、およびアルミ箔、またはこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるシート材料を含んでもよい。
【0073】
好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、生物分解性の集合された材料シートを含む。例えば、非多孔性の紙のシートの集合体、または例えば、ポリ乳酸またはMater-Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体。
【0074】
エアロゾル冷却要素は、PLAのシートの集合体を含むことが好ましく、PLAの捲縮したシートの集合体であることがより好ましい。エアロゾル冷却要素は、10マイクロメートル~250マイクロメートル、特に、40マイクロメートル~80マイクロメートル、例えば、50マイクロメートルの厚さを有するシートから形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、150ミリメートル~250ミリメートルの幅を有するシートの集合体から形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、長さ1ミリメートル当たり300平方ミリメートル~1000平方ミリメートル、重量1mg当たり10平方ミリメートル~100平方ミリメートルの比表面積を有してもよい。一部の実施形態において、エアロゾル冷却要素は、重量1mg当たり約35平方ミリメートルの比表面積を有する材料シートの集合体から形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、5ミリメートル~10ミリメートル、例えば7ミリメートルの外径を有してもよい。
【0075】
一部の好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素の長さは、10ミリメートル~15ミリメートルである。エアロゾル冷却要素の長さは、10ミリメートル~14ミリメートル、例えば13ミリメートルであることが好ましい。代替的な実施形態において、エアロゾル冷却要素の長さは、15ミリメートル~25ミリメートルである。エアロゾル冷却要素の長さは、16ミリメートル~20ミリメートル、例えば18ミリメートルであることが好ましい。
【0076】
物品は、それらを一緒に保持し、物品の所望の断面形状を維持するために、上述の異なる要素の少なくとも一部分を囲むラッパーをさらに備えてもよい。ラッパーは、物品の外表面の少なくとも一部分を形成することが好ましい。例えば、ラッパーは、紙ラッパー、特に紙巻たばこ用紙で作製された紙ラッパーであってもよい。別の方法として、ラッパーは、例えばプラスチックで作製された箔であってもよい。ラッパーは、気化したエアロゾル形成基体が物品から放出されることを許容するように流体透過性であってもよい。流体透過性ラッパーはまた、空気がその周囲を通して物品内に引き込まれることを可能にし得る。さらに、ラッパーは、加熱に伴い活性化され、かつラッパーから放出される少なくとも1つの揮発性物質を含んでもよい。例えば、ラッパーは、揮発性風味物質で含浸されてもよい。
【0077】
本発明は、本発明によるおよび本明細書に記載の誘導加熱式エアロゾル発生物品を含む、エアロゾル発生システムにさらに関する。システムは、物品で使用するための、誘導加熱式エアロゾル発生装置をさらに含む。エアロゾル発生装置は、少なくとも部分的に受け入れくぼみに物品を受け入れるための受け入れくぼみを含む。エアロゾル発生装置はさらに、物品が受け入れくぼみ内に受け入れられた時に、物品のサセプタを誘導的に加熱するように、受け入れくぼみ内に交互に、特に高周波の電磁場を生成するための少なくとも1つの誘導コイルを含む誘導源を含む。少なくとも1つの誘導コイルは、円筒形受け入れくぼみの周りに同軸に配設されている、らせん状の誘導コイルであってもよい。
【0078】
装置は、電力を供給し、加熱プロセスを制御するための電源と、コントローラと、をさらに含み得る。本明細書で言及される通り、交流の、特に高周波電磁場は500kHz~30MHz、特に5MHz~15MHz、好ましくは5MHz~10MHzの範囲であってもよい。
【0079】
エアロゾル発生装置は、例えば、国際公開第2015/177256 A1号に記載される装置であってもよい。
【0080】
使用時に、エアロゾル発生物品は、インダクタによって発生された変動電磁場の中にサセプタが位置するように、エアロゾル発生装置と係合する。
【0081】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点については、エアロゾル発生物品に関して説明されており、等しく適用される。
【0082】
本発明は、本発明によるおよび本明細書に記載の誘導加熱式エアロゾル発生物品を製造するための方法にさらに関する。本方法は、
-エアロゾル形成基体を提供するステップと、
-複数の開口部を含む拡張された金属シートを含むサセプタを提供するステップであって、サセプタを提供するステップが、
-金属シートを提供するステップと、
-金属シート内に複数の弱体化した領域を作成するステップと、
-複数の弱体化した領域に由来する複数の開口部を含む拡張された金属シートを作成するように、少なくとも第1の方向に沿って弱体化した金属シートを延伸するステップと、を含む、サセプタを提供するステップと、
-エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触してサセプタを配設するステップと、を含む。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「弱体化した領域」は、金属シートの主表面に対して垂直な方向、すなわち、金属の厚さ延長部に沿って、材料の厚さが減少した金属シートの領域を意味する。材料の厚さの減少は、弱体化した金属シートを延伸すると、弱体化した領域が、その厚さ延長部に沿って拡張されたシート材料全体を通して開口部に変形されるようなものである。
【0084】
特に、弱体化した領域は、局所的に弱体化した領域である。したがって、金属シート内に複数の弱体化した領域を作成すると、金属シートは、弱体化した、特に局所的に弱体化した金属シートとなる。
【0085】
弱体化した領域で、材料の厚さは、弱体化していない領域での金属シートの材料の厚さの少なくとも50パーセント、特に少なくとも60パーセント、特に少なくとも70パーセント、特に少なくとも80パーセント、特に少なくとも90パーセント、特に少なくとも95パーセントだけ減少され得る。したがって、弱体化した領域は、凹部または切り込みまたはスリットであり得、凹部、切り込み、またはスリットは、それぞれ、弱体化していない領域での金属シートの材料の厚さの少なくとも50パーセント、特に少なくとも60パーセント、特に少なくとも70パーセント、特に少なくとも80パーセント、特に少なくとも90パーセント、特に少なくとも95パーセントである、金属シートの主表面に対して垂直な方向における、すなわち、金属の厚さ延長部に沿った奥行きを有する。
【0086】
弱体化した領域はまた、シート材料の1つの平面側から反対側の平面側へ、その厚さ延長部に沿ってシート材料全体を通って延在する穿孔であってもよい。したがって、サセプタを提供するステップは、
-金属シートを提供するステップと、
-金属シート内に複数の穿孔を作成するステップと、
-複数の穿孔に由来する複数の開口部を含む拡張された金属シートを作成するように、少なくとも第1の方向に沿って穿孔された金属シートを延伸するステップと、を含む。
【0087】
物品に関して既に上述したように、複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔を作成するステップは、有利には、金属シート内に有限長の複数のスリットを作成するステップを含み、各スリットの少なくとも一部分は、第2の方向に沿って横方向に、好ましくは、第1の方向、すなわち横方向に対して垂直に、好ましくは、拡張方向に対して垂直に延在する。スリットは、弱体化していない領域での金属シートの材料の厚さの少なくとも50パーセント、特に少なくとも60パーセント、特に少なくとも70パーセント、特に少なくとも80パーセント、特に少なくとも90パーセント、特に少なくとも95パーセントである、金属シートの主表面に対して垂直な方向における、すなわち、金属の厚さ延長部に沿った奥行きを有してもよい。スリットは、シート材料の1つの平面側から反対側の平面側へ、その厚さ延長部に沿ってシート材料全体を通って延在していることが好ましい。
【0088】
複数の弱体化した領域のうちの1つ以上、特に複数の穿孔のうちの1つ以上、-好ましくは、すべての弱体化した領域、特にすべての穿孔-は、直線状スリットである。直線状スリットは、製造が非常に簡単である。物品に関して上述したように、直線状スリットは、特に、第1の方向(すなわち、拡張の方向)に対して垂直な方向に延在している時に、弱体化した、特に穿孔された金属シートが第1の方向に延伸されると、菱形開口部をもたらす。
【0089】
開口部の他の形状は、弱体化した領域、特に穿孔の他の形状を選択することによって達成され得る。例えば、複数の弱体化した領域のうちの1つ以上、特に複数の穿孔のうちの1つ以上、-好ましくは、すべての弱体化した領域、特にすべての穿孔-は、C字形状スリットまたはU字形状スリット、または鎌形状スリットなどの湾曲したスリットであってもよい。同様に、複数の弱体化した領域のうちの1つ以上、特に複数の穿孔のうちの1つ以上、-好ましくは、すべての弱体化した領域、特にすべての穿孔-は、十字形状スリットまたはT字形状スリットであってもよい。十字形状スリットに関しては、十字形状の一方の棒に対応するスリットのうちの1つは、第1の方向に対して垂直に延在していてもよく、一方で、十字形状の他方の棒に対応するそれぞれの他のスリットは、第1の方向に対して平行に延在していてもよい。あるいは、各々が十字形状の棒のうちの1つに対応する両方のスリットは、第1の方向に対して横方向に、ならびに第1の方向に対して垂直な方向に対して横方向に延在していてもよい。
【0090】
複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔は、弱体化した、特に穿孔された金属シートを延伸する際に、周期的なパターンで配設された複数の開口部をもたらすように周期的なパターンで配設されてもよい。
【0091】
複数のスリットの作成ステップは、複数のスリットを切断することを含み得る。
【0092】
複数のスリットの作成ステップは、本発明によるエアロゾル発生物品のサセプタを製造するための、スリッター、特に、-上述した-器具の一部であるスリッターによって実現され得る。以下に記載される器具と同様に、スリッターは、連続的なスルーフィードプロセスのために構成されることが好ましい。
【0093】
スリッターは、逆回転する第1のロールの第1の対を含んでもよく、第1のロールのうちの少なくとも1つは、それぞれのロールの外周面上に配設された1つ以上の切断要素を含み、1つ以上の切断要素は、例えば、金属シートが第1の対の第1のロールの間を通過する時に、金属シート内の複数のスリットなどの、複数の弱体化した領域、特に、複数の穿孔を作成するように構成されている。
【0094】
弱体化した、特に、穿孔された金属シートを延伸するステップは、本発明による、特に連続的なスルーフィードプロセスにおける、エアロゾル発生物品のサセプタを製造するための、拡張ユニット、特に、-上述した-器具の一部である拡張ユニットによって実現され得る。したがって、拡張ユニットは、連続的なスルーフィードプロセスのために構成されていることが好ましい。有利なことに、拡張ユニットは、記載されるスリッターの下流に配設される。
【0095】
拡張ユニットは、好ましくは、第1のロールの第1の対の下流に配設されており、第2のロールの第2の対の間で、弱体化した、特に穿孔された金属シートを、第2のロールの回転速度に対応する第1の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第2のロールの第2の対を含んでもよい。拡張ユニットは、第2の対の下流に配設されており、第3のロールの第3の対の間で、弱体化した、特に穿孔された金属シートを、第3のロールの回転速度に対応する第2の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第3のロールの第3の対をさらに含んでもよく、第3のロールの回転速度は、第2のロールの回転速度よりも速く、その結果、弱体化した、特に穿孔された金属シートは、-ロールの第2および第3の対によって搬送された時に-、搬送方向に沿って延伸され、それによって、複数の弱体化した領域に由来する、特に、複数の穿孔を形成するシートを通る複数の開口部を含む、拡張された金属シートになる。
【0096】
サセプタを提供するステップは、延伸後に拡張された金属シートを平坦化するステップをさらに含み得る。
【0097】
このステップは、本発明による、特に連続的なスルーフィードプロセスにおける、エアロゾル発生物品のサセプタを製造するための、平坦化ユニット、特に、-上述した-器具の一部である平坦化ユニットによって実現され得る。したがって、平坦化ユニットは、連続的なスルーフィードプロセスのために構成されていることが好ましい。有利なことに、平坦化ユニットは、上述の拡張ユニットの下流に配設される。
【0098】
平坦化ユニットは、第3のロールの第3の対の下流に配設されており、第4のロールの第4の対の間で、拡張された金属シートを、第4のロールの回転速度に対応する第3の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第4のロールの第4の対をさらに含んでもよく、第4のロールの回転速度は、第3のロールの回転速度よりも速く、その結果、拡張された金属シートは、-ロールの第3および第4の対によって搬送された時に-、直線化および平坦化される。
【0099】
エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触してサセプタを配設するステップは、少なくとも部分的にサセプタの周りにエアロゾル形成基体を配設することを含み得る。
【0100】
あるいは、エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触してサセプタを配設するステップは、少なくとも部分的にサセプタの周りにエアロゾル形成基体を配設すること、または少なくとも部分的にエアロゾル形成基体の周りにサセプタを配設することを含む。
【0101】
有利には、本発明による方法、または本発明による方法の少なくとも一部は、例えば、国際公開第2016/184928 A1号または国際公開第2016/184929 A1に概して記載されるように、連続的なプロセスとして実現され得る。そのような連続的なプロセスでは、エアロゾル形成基体は、基体ウェブとして提供されてもよく、一方でサセプタは、前述したような連続的なサセプタプロファイルとして提供されてもよい。後者は、複数の開口部を含む連続的な拡張された金属シートを含み得る。特に、連続的なサセプタプロファイルは、例えば、以下に記載される器具を使用することによって、前述したような連続的なスルーフィードプロセスから生じる場合がある。
【0102】
連続的なプロセスの一実施例として、本発明による方法は、
-エアロゾル形成基体を含む基体ウェブを提供するステップと、
-複数の開口部を含む連続的な拡張された金属シートを含む連続的なサセプタプロファイルを提供するステップであって、連続的なサセプタプロファイルを提供するステップが、
-連続的な金属シートを提供するステップと、
-複数の弱体化した領域、特に連続的な金属シートにおける複数の穿孔を作成するステップと、
-複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔に由来する複数の開口部を含む連続的な拡張された金属シートを作成するように、少なくとも第1の方向に沿って弱体化した、特に穿孔された連続的な金属シートを延伸するステップと、を含む、連続的なサセプタプロファイルを提供するステップと、
-一定の断面を有する円筒形状を有する連続的なロッド状のストランドを形成するように、サセプタプロファイルの周りに基体ウェブを集めるステップと、
-連続的なロッド状のストランドを、個々のエアロゾル形成ロッドに切断するステップと、を含み得る。
【0103】
この方法から生じるエアロゾル形成ロッドは、エアロゾル発生物品として直接的に使用され得る。あるいは、エアロゾル形成ロッドを使用して、エアロゾル発生物品、特に上述のようなロッド状の物品を形成することができ、これは、エアロゾル形成ロッドに加えて、中央空気通路、エアロゾル冷却要素、およびフィルター要素を有する支持要素のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0104】
拡張された金属シートをサセプタとして使用することは、固体金属サセプタと比較して少ない材料を切断するので、連続的なロッド状のストランドを、個々のエアロゾル形成ロッドに切断するステップに関して有利である。このため、機械力があまり必要とされないため、切断の難しさは低くなる。結果として、最終ロッド内のサセプタの位置精度および安定性がさらに改善される。さらに、切断される材料の量が減少すると、有利には、このプロセスステップに使用される切断手段の寿命が長くなる。さらに、切断される材料の量が減少すると、粒子がエアロゾル形成基体内に移動するリスクが減少する。こうした粒子移動は、切断プロセス中のサセプタまたは切断手段からの粒子除去によって生じ得る。
【0105】
前述の特定の実施例による方法は、サセプタプロファイルおよび基体ウェブを互いに対して位置付ける前に基体ウェブを捲縮するステップをさらに含み得る。特に、基体ウェブは長軸方向に捲縮されてもよい。すなわち、基体ウェブには、連続的なシートの長軸方向軸に沿って、すなわち基体ウェブの搬送方向に沿って長軸方向の折り曲げ構造が提供されてもよい。長軸方向の折り曲げ構造は、基体にジグザグまたは波様の断面を提供することが好ましい。有利なことに、基体ウェブを捲縮することは、基体ウェブを、最終的なロッド形状へと長軸方向軸に対して横断方向に集合させるステップを容易にする。特に、長軸方向の折り曲げ構造は、サセプタの周りのエアロゾル形成基体の適切な折り曲げを支援する。これは、再現可能な仕様を有するエアロゾル形成ロッドを製造するために有利であり得る。さらに、基体ウェブを捲縮することは、基体ウェブ内に周期的に間隔を置いた狭い部分を有するサセプタプロファイルの正確な位置決めを容易にする。結果として、エアロゾル形成基体内のサセプタプロファイルの位置精度および安定性が著しく改善される。
【0106】
連続的なサセプタプロファイルおよび基体ウェブを提供するステップ、サセプタプロファイルおよび基体ウェブを互いに対して位置付けるステップ、サセプタプロファイルの周りに基体ウェブを集めるステップ、および連続的なロッド状のストランドを個々のエアロゾル形成ロッドに切断するステップは、特に国際公開第2016/184928 A1号または国際公開第2016/184929 A1号に記載される方法または装置のうちの1つを使用することによって、異なる方法で実現され得る。
【0107】
連続的なプロセスの代わりに、本方法は、不連続なプロセスとして少なくとも部分的に実現されてもよい。この場合、拡張された金属は、有限サイズを有してもよい。特に、拡張された金属シートを製造するために使用される金属シートは、有限サイズを有してもよい。したがって、本方法は、
-エアロゾル形成基体を提供するステップと、
-複数の開口部を含む有限サイズの拡張された金属シートを含むサセプタを提供するステップであって、サセプタを提供するステップが、
-有限サイズの金属シートを提供するステップと、
-複数の弱体化した領域、特に金属シートにおける複数の穿孔を作成するステップと、
-複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔に由来する複数の開口部を含む有限サイズの拡張された金属シートを作成するように、少なくとも第1の方向に沿って弱体化した、特に穿孔された金属シートを延伸するステップと、を含む、サセプタを提供するステップと、
-エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触してサセプタを配設するステップと、を含み得る。
【0108】
あるいは、有限の拡張された金属シートを製造するために使用される金属シートは、連続的な金属シートであってもよく、これは、延伸するステップの後に、有限サイズの複数の拡張された金属シートに切断されてもよい。したがって、本方法は、
-エアロゾル形成基体を提供するステップと、
-複数の開口部を含む有限サイズの拡張された金属シートを含むサセプタを提供するステップであって、サセプタを提供するステップが、
-連続的な金属シートを提供するステップと、
-複数の弱体化した領域、特に連続的な金属シートにおける複数の穿孔を作成するステップと、
-複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔に由来する複数の開口部を含む連続的な拡張された金属シートを作成するように、少なくとも第1の方向に沿って弱体化した、特に穿孔された連続的な金属シートを延伸するステップと、
-連続的な拡張された金属シートを、有限サイズの複数の拡張された金属シートに切断するステップであって、そのうちの1つが、サセプタを提供するために使用される、切断するステップと、を含む、サセプタを提供するステップと、
-エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触してサセプタを配設するステップと、を含み得る。
【0109】
誘導加熱式エアロゾル発生物品を製造するための方法のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生物品に関して上述されており、等しく適用される。
【0110】
本発明は、特に連続的なプロセスにおいて、本発明によるエアロゾル発生物品のサセプタを製造するための器具にさらに関する。装置は、
-逆回転する第1のロールの第1の対であって、第1のロールのうちの少なくとも1つが、それぞれのロールの外周面上に配設された1つ以上の切断要素を含み、1つ以上の切断要素が、例えば、金属シートが第1の対の第1のロールの間を通過する時に、金属シート内の複数のスリットである、複数の弱体化した領域、特に、複数の穿孔を作成するように構成されている、第1の対と、
-第1のロールの第1の対の下流に配設されており、第2のロールの第2の対の間で、弱体化した、特に穿孔された金属シートを、第2のロールの回転速度に対応する第1の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第2のロールの第2の対と、
-第2のロールの第2の対の下流に配設されており、第3のロールの第3の対の間で、弱体化した、特に穿孔された金属シートを、第3のロールの回転速度に対応する第2の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第3のロールの第3の対であって、第3のロールの回転速度が、第2のロールの回転速度よりも速く、その結果、弱体化した、特に穿孔された金属シートが、-ロールの第2および第3の対によって搬送された時に-、搬送方向に沿って延伸され、それによって、複数の弱体化した領域、特に複数の穿孔に由来するシートを通る複数の開口部を含む、拡張された金属シートになる、逆回転する第3のロールの第3の対と、を含む。
【0111】
第1のロールの回転速度は、第1のロールの第1の対と第2のロールの第2の対との間に拡張が発生しないように、第2のロールの回転速度と等しいことが好ましい。
【0112】
さらに、装置は、第3のロールの第3の対の下流に配設されており、第4のロールの第4の対の間で、拡張された金属シートを、第4のロールの回転速度に対応する第3の搬送速度で搬送するように構成されている、逆回転する第4のロールの第4の対をさらに含んでもよく、第4のロールの回転速度は、第3のロールの回転速度よりも速く、その結果、拡張された金属シートは、-ロールの第3および第4の対によって搬送された時に-、直線化および平坦化される。
【0113】
本発明による方法に関して上述したように、第1のロールの第1の対は、スリッターの一部であってもよく、またはスリッターを形成してもよい。同様に、ロールの第2および第3の対は、拡張ユニットの一部であってもよく、または拡張ユニットを形成してもよく、一方でロールの第4の対は、場合により、ロールの第3の対と組み合わせて、平坦化ユニットの一部であってもよく、または平坦化ユニットを形成してもよい。
【0114】
器具は、ロールの第1、第2、第3、および第4の対のうちの少なくとも1つ、好ましくは、それらの各々に対する調整機構をさらに含んでいてもよい。それぞれの調整機構は、それぞれの対のロールまたはロール間の距離、および配向、特に各ロールの回転軸、ロールのそれぞれの対の傾斜、のうちの少なくとも1つを調整するように構成され得る。それぞれの調整機構は、前述したそれぞれのユニットの一部であってもよい。
【0115】
好ましくは、器具は、本発明による、および本明細書に記述されるような方法の少なくとも一部を実施するために、特に、方法が連続的なプロセスとして、または少なくとも部分的に不連続なプロセスとして実現される場合に、使用され得る。
【0116】
器具のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生物品および方法に関して上記に記載されており、等しく適用される。
【0117】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態による誘導加熱式エアロゾル発生物品の概略図である。
図2図2は、エアロゾル発生装置と、図1によるエアロゾル発生物品と、を含む、エアロゾル発生システムの例示的な実施形態の概略図である。
図3図3は、図1によるエアロゾル発生物品を形成するために使用され得る、サセプタのさらなる例示的な実施形態を示している。
図4図4は、本発明によるエアロゾル発生物品を形成するために使用され得る、サセプタを製造するための器具の例示的な実施形態を概略的に示している。
【0119】
図1は、本発明による誘導加熱式エアロゾル発生物品1の例示的な実施形態を概略的に示している。エアロゾル発生物品1は、ロッド形状を実質的に有し、同軸アライメントで連続的に配設された4つの要素、すなわち、サセプタ20およびエアロゾル形成基体30を含むエアロゾル形成ロッドセグメント10と、支持要素40と、エアロゾル冷却要素50と、フィルター要素60と、を含む。エアロゾル形成ロッド10は、物品1の遠位端2に配設されており、一方で、フィルター要素60は、物品1の近位端3に配設されている。支持要素40は、エアロゾル形成ロッド10内で発生する任意のエアロゾルの混合および均質化を可能にする、中央空気通路41を有する、カートゥーンまたはセルロースベースのチューブを含んでもよい。別の方法として、支持要素40は、エアロゾル冷却要素50に到達するまで、エアロゾル形成ロッド内の異なる場所で発生した別個の異なるエアロゾルを別個に維持するために使用され得る。エアロゾル冷却要素50は主に、物品1の近位端3に向かってエアロゾルの温度を低下させる役割を果たす。エアロゾル形成要素は、例えば、生分解性高分子材料、低空隙率のセルロース系材料、またはこれらの組み合わせを含み得る。フィルター要素60は、可能であれば、エアロゾル冷却要素50の少なくとも一部分と共にマウスピースとして機能し、それを通してエアロゾルは、エアロゾル発生物品1から出る。フィルター要素60は、標準的なフィルター材料、例えば、低密度のアセテートトウを含み得る。4つの要素10、40、50、60の各々は、実質的に円筒形状であり、これらすべては実質的に同一の直径または円周を有する。さらに、4つの要素は、4つの要素をまとめて保持し、ロッド様物品1の所望の円形断面形状を維持するように、外側ラッパー70によって包囲される。ラッパー70は紙製であることが好ましい。
【0120】
ロッド状のエアロゾル発生物品1は、30ミリメートル~110ミリメートル、好ましくは、40ミリメートル~60ミリメートルの長さを有してもよい。同様に、物品1は、3ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは5.5ミリメートル~8ミリメートルの直径を有してもよい。物品のさらなる詳細は、ロッド10内のサセプタ20の詳細を除く、特に4つの要素の詳細が、国際公開第2015/176898 A1号に開示されている。
【0121】
図2に示すように、エアロゾル発生物品1は、誘導加熱式エアロゾル発生装置80で使用するように構成されている。装置80および物品1は共に、エアロゾル発生システム90を形成する。エアロゾル発生装置80は、その中に物品1の最も遠位な部分を受けるための装置ハウジング81の遠位部分内に画定された円筒形の受け入れくぼみ82を含む。装置80はさらに、交流の、特に高周波電磁場を生成するための誘導コイル83を含む誘導源を含む。本実施形態では、誘導コイル83は、物品1がくぼみ82内に受け入れられた時に物品1のサセプタ20がコイルの電磁場を経験し得るように、円筒形の受け入れくぼみ82を円周方向に囲むらせん状のコイルである。したがって、誘導源を活性化すると、サセプタ要素20は、サセプタ20を囲むエアロゾル形成基体30から材料を放出するのに十分な温度に達するまで加熱される。
【0122】
図2にさらに見られるように、装置80は、加熱プロセスに電力を供給し、および加熱プロセスを制御するための電源85およびコントローラ84(図2にのみ概略的に示されている)をさらに含む。誘導源は、コントローラ84の少なくとも部分的に一体型の部品であることが好ましい。
【0123】
本発明によれば、サセプタ20は、エアロゾル形成基体30と熱的に接触している。図1および図2に示す物品1の実施形態では、エアロゾル形成基体30は、ロッド10の全体的な円筒形状を画定するようにサセプタ20を囲む。細長いサセプタ20は、実質的にストリップ形状であり、物品1の中心軸に沿って配設されている。
【0124】
物品1の中心軸に対して垂直な平面に見られるように、ストリップ形状のサセプタ20は、長方形の断面プロファイルを有しており、サセプタ20の厚さ延長部は、幅延長部27よりも小さく、次に、幅延長部27は、中心軸に沿った長さ延長部28よりも小さい。図1および図2に見られるように、長さ28は、エアロゾル形成基体30の長さ、すなわち、ロッド10の長さとほぼ同じである。
【0125】
本発明によれば、サセプタは、その厚さ延長部に沿ってシート21を通って延在している複数の開口部22、23を含む、拡張された金属シート21を含む。以下でより詳細に説明するように、拡張された金属シート21の開口部22、23は、金属シートを局所的に弱体化して、特に穿孔して、その後、金属シートの局所的に弱体化した領域の拡張、特に金属シートの穿孔から生じる、開口部の規則的なパターンを形成するように金属シートを延伸することから生じる。
【0126】
上述のように、拡張された金属シートをサセプタ20として使用することは、有利には、材料および製造コストを節約し、したがって資源を節約することを可能にする。さらに、複数の開口部22、23により、サセプタ20は、透過性であり、非透過性サセプタを含む物品と比較して、物品1を通して引き出される気流を強化する。さらに、開口部22、23は、加熱されたエアロゾル形成基体30から物品1を通る気流へと揮発する材料の放出および混入を促進する。
【0127】
本実施形態では、サセプタ20の拡張された金属シート21は、2つのタイプの開口部、すなわち、拡張された金属シート21の材料によって完全に囲まれた閉じた境界を有する開口部22と、部分的に開いた、すなわち、拡張された金属シート21の材料によって部分的にのみ囲まれる境界を有する開口部23と、を含む。後者は、ストリップ形状のサセプタ20の両側縁部に位置する。すなわち、開口部23は、それぞれの側面縁部に向かって横方向に開放される。
【0128】
図1および図2に示すように、開口部22は、実質的に菱形を有しており、一方で、開口部23は、実質的に三角形形状を有している。本実施形態では、開口部22、23の両方のタイプは、拡張前に金属シート内に作製された穿孔の拡張から生じる。穿孔は、拡張前に金属シートに切断された有限長さの実質的に直線状のスリットである。拡張時に部分的に結合されていない開口部23をもたらすスリットは、金属シートの側面縁部を越えて延在するように切断されている。対照的に、結合されている開口部22をもたらすスリットは、金属シートの境界内に完全にあるように切断されている。本実施形態では、両方のタイプのスリットは、金属シートに沿った方向に対して垂直に配向されており、これは、拡張された金属シート21の長さ延長部である。
【0129】
図1および図2でさらに分かるように、拡張された金属シート21は、ストリップ形状のサセプタ20の中心線に沿って、すなわち、その長さ延長部に対して平行な菱形開口部22の単一の列を含む。各隣接する菱形開口部22の間に、2つの部分的に結合した開口部23が、ストリップ形状のサセプタ20の対向する側面縁部にオフセット構成で配設されている。開口部22、23のこの周期的なオフセットパターンにより、サセプタ20は、有利には、単位面積当たり高い透過性および単位面積当たり低い総質量をもたらす、単位面積当たり開口部の密度を増加させる。菱形開口部22は、菱形の対向する頂点の第1の対を接続する第1の対角線と、菱形の対向する頂点の第2の対を接続する第2の対角線と、を有する。上述のように、第1の対角線は、拡張された金属シートの拡張方向に対応する第1の方向に延在しており、これは次に、拡張時に菱形開口部22が結果として生じる直線状スリットの長さ延長部に対して垂直である。第1の対角線の長さは、0.3ミリメートル~3.1ミリメートルの範囲、好ましくは、0.5ミリメートル2.5ミリメートルの範囲であり得る。同様に、第2の対角線の長さは、1.7ミリメートル~4.7ミリメートルの範囲、好ましくは、1.1ミリメートル~3.1ミリメートルの範囲である。菱形開口部と、スセプター20のストリップ形状の金属シート21の最も近い側面縁部との間の最短距離は、1.7ミリメートル~4.3ミリメートルの範囲、好ましくは、1.5ミリメートル2.0ミリメートルの範囲であり得る。サセプタ20の側面縁部に沿った三角形の開口部23の開口縁部の長さは、0.2ミリメートル~2.7ミリメートルの範囲、好ましくは、0.3ミリメートル1.1ミリメートルの範囲であり得る。
【0130】
ストリップ形状のサセプタの幅および開口部のサイズに応じて、サセプタは、1列を超える完全に結合した開口部を含んでもよい。そのような構成は、ストリップ形状のサセプタ120の代替的な実施形態を示す図3に示されている。この実施形態によるストリップ形状のサセプタ120は、その長さ延長部に対して平行なサセプタ120の中心線に沿って対称的に配設されている2列の菱形開口部122を含む。隣接するそれぞれの菱形開口部122の間に、サセプタ120は、1つの中央菱形開口部124と、サセプタ120の対向する側面縁部に2つの部分的に結合した開口部123と、を含む。中央菱形開口部124および2つの部分的に結合した開口部123は、それぞれの隣接する列の菱形開口部122に対してオフセット構成で配設されている。
【0131】
サセプタ20、120の両方の実施形態に関して、それぞれの拡張された金属シート21、121は、好ましくは、少なくとも一方の側に、二層シートの第2の層を形成するニッケルコーティングを含む、強磁性ステンレス鋼で作製された第1の層を含む、二層シートである。強磁性ステンレス鋼の磁気特性および電気的特性により、第1の層は、渦電流およびヒステリシス損失の両方のために誘導加熱される。したがって、第1の層は、熱損失に関して最適化され、したがって、主加熱を提供する。対照的に、第2の層は、主として温度マーカーとして使用される。これは、基体30からエアロゾルを発生させるためにサセプタ20を加熱する必要がある温度とほぼ同じキュリー温度を有するが、基体30の局所的な過熱または燃焼を回避するために依然として十分に低い温度である、ニッケルの磁気特性に基づいている。
【0132】
図4は、本発明によるエアロゾル発生物品を形成するために使用され得る、サセプタ120を製造するための器具200の例示的な実施形態を概略的に示している。
【0133】
好ましくは、器具200は、特に複数の開口部を含む拡張された金属シートを含むサセプタを提供するステップを実施するために、誘導加熱式エアロゾル発生物品を製造するための本発明による方法の少なくとも一部を実施するために使用され得る。
【0134】
図4の上部は、器具200自体を示しており、一方で、図4の下部は、器具200の異なるユニットおよびサセプタ120を提供する異なるサブステップの機能および結果を示している。
【0135】
本発明によれば、サセプタ120を提供するステップは、金属シート190を提供することで始まる。金属シート190は、連続的な金属シートとして、例えば、ボビン上に金属テープとして提供されることが好ましい。このために、器具は、連続的な金属シートをボビン(図示せず)から巻き出すための巻出しユニットを含んでいてもよい。
【0136】
次に、サセプタ120を提供するステップは、金属シート内に複数の弱体化した領域を作成するステップを含む。実施形態では、弱体化した領域は、金属シートの穿孔である。このために、器具200は、スリッター201を含む。スリッター201は、逆回転する第1のロール211、212の第1の対210を含み、その間に、金属シート190が、器具200の上流端で送られる。第1のロール211、212のうちの少なくとも1つは、それぞれのロール211、212の外周面上に配設された1つ以上の切断要素(図示せず)を含む。1つ以上の切断要素は、金属シート190が第1のロール211、212の間を通過する時に、金属シート190内に複数の穿孔を作成するように構成されている。したがって、このプロセスは、スリッター201の下流端に穿孔された金属シート180をもたらす。器具200の本実施形態では、スリッター201の切断要素は、器具200を通る金属シートの移動方向に対して垂直に延在する、直線状スリット182、183の周期的なパターンを作成するように構成されている。図4の下部(右から2つ目のサブ図)に示されるように、結果として得られる穿孔された金属シート180は、完全に金属シートの境界内にあるスリット182、ならびに金属シートの側面縁部を越えて延在するスリット183を含む。
【0137】
次に、サセプタ120を提供するステップは、複数の穿孔182、183に由来する複数の開口部を含む拡張された金属シート190を作成するように、少なくとも第1の方向に沿って、弱体化した、特に穿孔された金属シート180を延伸するステップを含む。このために、器具200は、拡張ユニット202を含む。
【0138】
拡張ユニット202は、第1のロール211、212の第1の対210の下流に配設された逆回転する第2のロール221、222の第2の対220を含む。第2のロール221、222は、第2のロール221、222の回転速度に対応する第1の搬送速度V1で、弱体化した、特に穿孔された金属シート180を第2のロールの間に搬送するように構成されている。第1のロール211、212の回転速度は、第1のロール211、212の第1の対210と第2のロール221、222の第2の対220との間に延伸が発生しないように、第2のロール221、222の回転速度と等しいことが好ましい。
【0139】
第2のロール221、222の第2の対220の下流で、拡張ユニット202は、第3のロール231、232の回転速度に対応する第2の搬送速度V2で、第3のロールの間で、弱体化した、特に穿孔された金属シート180を搬送するように構成されている、逆回転する第3のロール231、232の第3の対230を含む。第3のロール231、232の回転速度は、第2のロール221、222の回転速度よりも速いため、弱体化した、特に穿孔された金属シート180は、-第2のロール220および第3のロール230の対によって搬送された時に-、搬送方向に沿って延伸される。それによって、弱体化した、特に穿孔された金属シート180は、複数の穿孔182、183に由来する複数の開口部172、173を含む、拡張された金属シート170になる。
【0140】
第3のロール231、232の第3の対230の下流で、器具200は、平坦化ユニット203を含む。平坦化ユニット203は、第4のロール241、242の回転速度に対応する第3の搬送速度V3で、第4のロールの間で、拡張された金属シート170を搬送するように構成されている、逆回転する第4のロール241、242の第4の対240を含む。第4のロール241、242の回転速度は、第3のロール231、232の回転速度よりも速いように選択されており、その結果、拡張された金属シート170は、-ロールの第3および第4の対230、240によって搬送された時に-、直線化および平坦化される。
【0141】
器具200の下流端で、上述のステップは最終的に、図3に示すようなサセプタ120を形成するために使用され得る、(連続的な)平坦化された拡張された金属シート200をもたらす。
【0142】
図4にさらに示すように、器具200は、ロールの第1、第2、第3、および第4の対210、220、230、240の各々に対して、調整機構215、225、235、245をさらに含み得る。それぞれの調整機構215、225、235、245は、それぞれの対210、220、230、240のロール間の距離、ならびに配向、特に各ロールの回転軸、ロールのそれぞれの対210、220、230、240の傾斜を調整するように構成されている。
【0143】
上述のように、器具200は、特に方法が連続的なプロセスとして実現される場合に、本発明の方法に従ってサセプタを提供するステップを実施するために使用されることが好ましい。この態様によれば、方法は、-並行して、サセプタを提供する前または後に-、エアロゾル形成基体を含む基体ウェブを提供するステップをさらに含んでもよい。続いて、方法は、連続的な断面を有する円筒形状を有する連続的なロッド状のストランドを形成するために、サセプタプロファイルの周りに基体ウェブを集めるステップと、連続的なロッド状のストランドを個々のエアロゾル形成ロッドに切断するステップと、を含んでもよい。この方法から生じるエアロゾル形成ロッドは、エアロゾル発生物品として直接的に使用され得る。あるいは、図1に示すように、エアロゾル形成ロッド10を使用して、エアロゾル発生物品1を形成してもよい。
図1
図2
図3
図4