(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/08 20120101AFI20241022BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B60W40/08
G08G1/16 F
(21)【出願番号】P 2021555685
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2019044496
(87)【国際公開番号】W WO2021095153
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004440
【氏名又は名称】弁理士法人ソシデア知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公則
(72)【発明者】
【氏名】川島 宏夫
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】青木 良憲
【審判官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-339200(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188398(WO,A1)
【文献】特開2008-197916(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130552(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/08
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムであって、
正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する第1取得手段と、
前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出する第1検出手段と、
前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習する学習手段と、
正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得する第2取得手段と、
前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出する第2検出手段と、
指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、
それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する判定手段と、
前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択する選択手段と、
前記選択された対応策を実行する実行手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを
上げるドライバー異常対応システム。
【請求項2】
前記第1取得手段において、更に正常時のドライバーの生体情報を取得し、
前記第1検出手段において、更に正常時生体情報を検出し、
前記学習手段において、更に正常時生体情報を学習し、
前記第2取得手段において、更に正常時であるか異常時であるか未知のドライバーの生体情報を取得し、
前記第2検出手段において、更にドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかを検出し、
前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記ドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかの度合いを加味して判定を行う請求項1に記載のドライバー異常対応システム。
【請求項3】
前記第1取得手段において、時系列に正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得し、
前記第1検出手段において、前記取得された時系列の正常時画像を解析して、正常時動作を検出し、
前記学習手段において、前記検出された時系列の正常時動作を学習し、
前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記検出された未知動作が、前記学習された時系列の結果と異なる度合いに応じて判定を行う請求項1又は請求項2に記載のドライバー異常対応システム。
【請求項4】
前記第1取得手段において、更に正常時の運転時の場所情報を取得し、
前記学習手段において、更に正常時の運転時の場所情報を含めて学習し、
前記第2取得手段において、更に正常時であるか異常時であるか未知の運転時の場所情報を取得し、
前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記未知動作に前記場所情報を加味して判定を行う請求項1から請求項3の何れか一項に記載のドライバー異常対応システム。
【請求項5】
前記判定手段において、前記検出された未知動作が、前記学習された結果と異なる回数又は時間に応じて、異常レベルを判定する請求項1から請求項4の何れか一項に記載のドライバー異常対応システム。
【請求項6】
前記第1取得手段において、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を複数人分取得し、
前記判定手段において、前記検出された未知動作が、前記学習された結果の平均値又は中央値と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する請求項1から請求項5の何れか一項に記載のドライバー異常対応システム。
【請求項7】
前記対応策は、周囲の人への通知と、緊急機関への通報を含む請求項1に記載のドライバー異常対応システム。
【請求項8】
運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムにより実行されるドライバー異常対応方法であって、
正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得するステップと、
前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出するステップと、
前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習するステップと、
正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得するステップと、
前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出するステップと、
指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、
それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定するステップと、
前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択するステップと、
前記選択された対応策を実行するステップと、
を備え、
前記判定するステップは、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを
上げるドライバー異常対応システムにより実行されるドライバー異常対応方法。
【請求項9】
運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムにおいて、
正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得するステップ、
前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出するステップ、
前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習するステップ、
正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得するステップ、
前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出するステップ、
指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、
それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定するステップ、
前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択するステップ、
前記選択された対応策を実行するステップ、
を実行するためのプログラムであって、
前記判定するステップは、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを
上げるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等のドライバーの異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転中のドライバーの異常が原因の交通事故や不祥事を解決する技術が注目されている。例えば、運転者が、正常姿勢から異常姿勢に遷移する過程で頭部が位置すると想定される範囲に、少なくとも一つの予兆領域を規定して、その予兆領域に頭部が逗留した場合に、運転者が異常姿勢の状態にあると判定する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転中のドライバーの異常が原因の交通事故や不祥事を解決するには、ドライバーの異常の度合い(異常レベル)に応じた対応策を実施することが重要である。しかしながら、特許文献1には、車線逸脱防止機能及び路外逸脱防止機能を有する減速停止型の異常時対応システムについては記載があるが、運転中のドライバーの異常レベルを判定して、異常レベルに応じた対応策を実施することはできないという問題がある。
【0005】
この課題に対して、本発明者は、ドライバーの正常時の運転の仕方を学習しておけば、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に、その異なりの度合いに応じて異常レベルを判定することが可能であるため、判定された異常レベルに応じた対応策を実行することが可能である点に着目した。
【0006】
本発明は、車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明は、
運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムであって、
正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する第1取得手段と、
前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出する第1検出手段と、
前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習する学習手段と、
正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得する第2取得手段と、
前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出する第2検出手段と、
指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する判定手段と、
前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択する選択手段と、
前記選択された対応策を実行する実行手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを上げるドライバー異常対応システムを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明によれば、運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムにおいて、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する第1取得手段と、前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出する第1検出手段と、前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習する学習手段と、正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得する第2取得手段と、前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出する第2検出手段と、指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する判定手段と、前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択する選択手段と、前記選択された対応策を実行する実行手段と、を備え、前記判定手段は、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを上げる。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、ドライバー異常対応システムのカテゴリであるが、ドライバー異常対応方法、及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0011】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であるドライバー異常対応システムであって、
前記第1取得手段において、更に正常時のドライバーの生体情報を取得し、
前記第1検出手段において、更に正常時生体情報を検出し、
前記学習手段において、更に正常時生体情報を学習し、
前記第2取得手段において、更に正常時であるか異常時であるか未知のドライバーの生体情報を取得し、
前記第2検出手段において、更にドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかを検出し、
前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記ドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかの度合いを加味して判定を行うドライバー異常対応システムを提供する。
【0012】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明であるドライバー異常対応システムにおいて、前記第1取得手段において、更に正常時のドライバーの生体情報を取得し、前記第1検出手段において、更に正常時生体情報を検出し、前記学習手段において、更に正常時生体情報を学習し、前記第2取得手段において、更に正常時であるか異常時であるか未知のドライバーの生体情報を取得し、前記第2検出手段において、更にドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかを検出し、前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記ドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかの度合いを加味して判定を行う。
【0013】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴又は第2の特徴に係る発明であるドライバー異常対応システムであって、
前記第1取得手段において、時系列に正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得し、
前記第1検出手段において、前記取得された時系列の正常時画像を解析して、正常時動作を検出し、
前記学習手段において、前記検出された時系列の正常時動作を学習し、
前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記検出された未知動作が、前記学習された時系列の結果と異なる度合いに応じて判定を行うドライバー異常対応システムを提供する。
【0014】
第3の特徴に係る発明によれば、第1の特徴又は第2の特徴に係る発明であるドライバー異常対応システムにおいて、前記第1取得手段において、時系列に正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得し、前記第1検出手段において、前記取得された時系列の正常時画像を解析して、正常時動作を検出し、前記学習手段において、前記検出された時系列の正常時動作を学習し、前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記検出された未知動作が、前記学習された時系列の結果と異なる度合いに応じて判定を行う。
【0015】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴の何れかに係る発明であるドライバー異常対応システムであって、
前記第1取得手段において、更に正常時の運転時の場所情報を取得し、
前記学習手段において、更に正常時の運転時の場所情報を含めて学習し、
前記第2取得手段において、更に正常時であるか異常時であるか未知の運転時の場所情報を取得し、
前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記未知動作に前記場所情報を加味して判定を行うドライバー異常対応システムを提供する。
【0016】
第4の特徴に係る発明によれば、第1の特徴から第3の特徴の何れかに係る発明であるドライバー異常対応システムにおいて、前記第1取得手段において、更に正常時の運転時の場所情報を取得し、前記学習手段において、更に正常時の運転時の場所情報を含めて学習し、前記第2取得手段において、更に正常時であるか異常時であるか未知の運転時の場所情報を取得し、前記判定手段において、異常レベルの判定の際に、前記未知動作に前記場所情報を加味して判定を行う。
【0017】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であるドライバー異常対応システムであって、
前記判定手段において、前記検出された未知動作が、前記学習された結果と異なる回数又は時間に応じて、異常レベルを判定するドライバー異常対応システムを提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であるドライバー異常対応システムにおいて、前記判定手段において、前記検出された未知動作が、前記学習された結果と異なる回数又は時間に応じて、異常レベルを判定する。
【0021】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る発明であるドライバー異常対応システムであって、
前記第1取得手段において、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を複数人分取得し、
前記判定手段において、前記検出された未知動作が、前記学習された結果の平均値又は中央値と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定するドライバー異常対応システムを提供する。
【0022】
第6の特徴に係る発明によれば、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る発明であるドライバー異常対応システムにおいて、前記第1取得手段において、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を複数人分取得し、前記判定手段において、前記検出された未知動作が、前記学習された結果の平均値又は中央値と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する。
【0023】
第7の特徴に係る発明は、
運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムにより実行されるドライバー異常対応方法であって、
正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得するステップと、
前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出するステップと、
前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習するステップと、
正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得するステップと、
前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出するステップと、
指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定するステップと、
前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択するステップと、
前記選択された対応策を実行するステップと、
を備え、
前記判定するステップは、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを上げるドライバー異常対応システムにより実行されるドライバー異常対応方法を提供する。
【0024】
第8の特徴に係る発明は、
運転中のドライバーの異常レベルを判定して、選択された対応策を実行するドライバー異常対応システムに、
正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得するステップ、
前記取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出するステップ、
前記特定したドライバー毎に前記検出された正常時動作を学習するステップ、
正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を取得するステップ、
前記取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての未知動作を検出するステップ、
指標は顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情を含み、前記特定したドライバーの前記検出された未知動作が、それぞれの指標についての前記特定したドライバーの前記学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定するステップ、
前記判定された異常レベルに応じて、対応策を選択するステップ、
前記選択された対応策を実行するステップ、
を実行するためのプログラムであって、
前記判定するステップは、前記判定された異常レベルが所定時間にわたって継続する場合は、異常レベルを上げるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の好適な実施形態の概要図である。
【
図2】
図2は、コンピュータ100と撮像装置200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【
図3】
図3は、ドライバー異常対応システムが行う、ドライバー異常対応処理のフローチャート図である。
【
図4】
図4は、生体情報をあわせて取得する場合の、コンピュータ100と撮像装置200と生体情報取得装置300の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【
図5】
図5は、同一ドライバーでの異常レベル判定を行う場合の、ドライバー異常対応処理のフローチャート図である。
【
図8】
図8は、異常レベルに対応する異常動作と対応策を示す一例である。
【
図9】
図9は、異常レベルを判定するための回数と時間を示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0028】
[ドライバー異常対応システムの概要]
図1は、本発明の好適な実施形態の概要図である。この
図1に基づいて、本発明の概要を説明する。ドライバー異常対応システムは、コンピュータ100、撮像装置200、通信網400から構成される。
【0029】
なお、
図1において、撮像装置200の数は一つに限らず複数であってもよい。また、コンピュータ100は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよいし、クラウドサービス等であってもよい。
【0030】
コンピュータ100は、
図2に示すように、制御部110、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150から構成される。制御部110には、第1取得手段111、第1検出手段112、学習手段113、第2取得手段114、第2検出手段115、判定手段116、選択手段117、実行手段118、を備える。制御部110は、必要に応じて、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150と協働して、前記各手段の機能を実現する。また、撮像装置200は、同じく
図2に示すように、撮像部20、制御部210、通信部220、記憶部230、入力部240、出力部250から構成される。通信網400は、コンピュータ100と撮像装置200との通信を可能とするネットワークである。
【0031】
コンピュータ100は、撮像装置200とデータ通信可能な計算装置である。ここでは、車載装置を前提として図示しているが、スマートフォン等の携帯端末、ノートパソコン、ウェアラブルデバイス等であってよいし、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。また、クラウド等のサービスであってもよい。
【0032】
撮像装置200は、コンピュータ100とデータ通信可能な、撮像素子やレンズ等の撮像デバイスを備える撮像装置であり、運転中のドライバーを撮像可能なものである。ここでは、車載カメラを前提として図示しているが、デジタルカメラ、デジタルビデオ、携帯端末やノートパソコンやウェアラブルデバイスのカメラ等の必要な機能を備える撮像装置であってよい。また、記憶部230に撮像画像を保存可能としてもよい。撮像する画像は、解析のために必要な解像度であるものとし、基本的には動画であるが、静止画であってもよいものとする。
【0033】
図1のドライバー異常対応システムにおいて、まず、第1取得手段111は、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する(ステップS101)。ここでの取得は、撮像装置200から直接行ってもよいし、正常時画像を集めたデータベースや外部のサーバ等から行ってもよいし、撮像装置200以外のデジタルカメラやビデオカメラ等から行ってもよいし、CD-ROMやDVDやUSBメモリ等の記憶媒体から行ってもよい。動画である場合には、合わせて音声データを取得してもよいものとする。
【0034】
図6は、正常時画像の一例である。正常時画像は、ドライバーの正常時の、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等が確認できる解像度や撮像範囲であるものとする。正常時画像は、基本的には動画であるが、静止画であってもよいものとする。
【0035】
図1に戻り、コンピュータ100の第1検出手段112は、ステップS101で取得された正常時画像を解析して、正常時動作を検出する(ステップS102)。取得された画像が複数ある場合には、画像のそれぞれについて、正常動作を検出する。ここでの正常動作とは、ドライバーの正常時の、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等であるものとする。
【0036】
次に、学習手段113は、ステップステップS102で検出された正常時動作を学習する(ステップS103)。ステップS102で検出された、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等は、正常時のものであるため、それぞれがどのような範囲に収まるのか、どのような頻度で何回行われるのか、どのような時間継続されるのか、等を学習する。正常時動作の学習に、正常時画像が足りない場合には、ステップS101とステップS102を繰り返す。また、逆に、学習が十分に行われている場合には、ステップS101からステップS103は省略してもよいものとする。
【0037】
次に、第2取得手段114は、正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を撮像装置200から取得する(ステップS104)。ステップS104の取得を開始するタイミングとしては、ドライバーが運転を開始したタイミングが考えられる。ドライバーが運転を開始するタイミングを知るために、撮像装置200から撮像を開始した際にコンピュータ100に対して通知を行うようにしてもよい。
【0038】
図7は、未知画像の一例である。未知画像は、ドライバーの顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等が確認できる解像度や撮像範囲であるものとする。未知画像は、基本的には動画であるが、静止画であってもよいものとする。
【0039】
図1に戻り、コンピュータ100の第2検出手段115は、取得された未知画像を解析して、未知動作を検出する(ステップS105)。ここでの未知動作とは、取得した未知画像のドライバーの、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等であるものとする。
【0040】
次に、コンピュータ100の判定手段116は、ステップS105で検出された未知動作が、ステップS103で学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する(ステップS106)。ここでは、検出された未知動作が学習された正常時動作と、ドライバーの顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等のそれぞれの指標に対してどの程度異なるのかの比較を行い、その度合いに応じて異常レベルを判定する。どの程度異なるのか、という判断は、例えば、それぞれの指標(顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等)について、学習された正常動作の結果と異なる回数や時間に応じて行うことが可能である。また、異常レベルを何段階設けるかは、システムに応じて設定可能であるものとする。
図1では、異常レベルはレベル2の脇見運転と判定したものとする。
【0041】
図8は、異常レベルに対応する異常動作と対応策を示す一例である。
図8の例では、異常レベルをレベル1からレベル5の5段階に設定している。レベル1の異常動作は、「いつもより鼻をこする回数が多い(風邪/アレルギー等)」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの手の動きが鼻の付近に来ることが多い」、「正常時に比べて鼻をこする仕草が多い」等から判定を行うことができる。レベル2の異常動作は、「脇見運転」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が前方を向いていない」、「正常時に比べてドライバーの表情が確認できない」等から判定を行うことができる。レベル3の異常動作は、「怒鳴り散らしている」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの顔が口を激しく動かしている」、「正常時に比べてドライバーが手を大きく振り回している」、「正常時に比べて表情が怒りに満ちている」等から判定を行うことができる。レベル4の異常動作は「意識が飛びかけている(急病/寝不足等)」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの手が運転動作をしていない」、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの頭や体が定期的に傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が確認できない(目を閉じている/フレームアウト)」、「正常時に比べてドライバーの表情が目を閉じたままである」等から判定を行うことができる。レベル5の異常動作は「意識不明」である。この場合、レベル4の状態が長く継続していること等から判定を行うことができる。ここで挙げた異常レベル分けの段階と、それぞれの異常動作の例は、あくまで一例であり、もっと異常レベル分けの段階や異常動作の例を多くしてもよいし、少なくしてもよい。
図8の異常レベルに対応する対応策については、後述する。
【0042】
図9は、異常レベルを判定するための回数と時間を示す一例である。
図9の例でも、
図8の例と同じように、異常レベルをレベル1からレベル5の5段階に設定している。レベル1の異常動作「いつもより鼻をこする回数が多い(風邪/アレルギー等)」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの手の動きが鼻の付近に来ることが多い」、「正常時に比べて鼻をこする仕草が多い」等の指標に対して、未知動作が回数として「5回以上」、時間として「累計3分以上」の場合に異常レベル1と判定することとする。レベル2の異常動作「脇見運転」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が前方を向いていない」、「正常時に比べてドライバーの表情が確認できない」等の指標に対して、未知動作が回数として「3回以上」、時間として「累計3分以上」の場合に異常レベル2と判定することとする。レベル3の異常動作「怒鳴り散らしている」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの顔が口を激しく動かしている」、「正常時に比べてドライバーが手を大きく振り回している」、「正常時に比べて表情が怒りに満ちている」等の指標に対して、未知動作が回数として「2回以上」、時間として「累計1分以上」の場合に異常レベル3と判定することとする。レベル4の異常動作「意識が飛びかけている(急病/寝不足等)」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの手が運転動作をしていない」、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの頭や体が定期的に傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が確認できない(目を閉じている/フレームアウト)」、「正常時に比べてドライバーの表情が目を閉じたままである」等の指標に対して、未知動作が回数として「1回以上」、時間として「累計1分以上」の場合に異常レベル4と判定することとする。レベル5の異常動作「意識不明」を判定するために、レベル4の状態が長く継続していること、すなわちレベル4と判定した状態からさらに、その状態が2分以上つまり時間として「累計3分以上」の場合に異常レベル5と判定することとする。ここで、上記異常レベルの判定の際に、「回数及び時間の条件を満たす場合」で判定するか、「回数又は時間の条件を満たす場合」で判定するかは、システムに応じて設定可能であるものとする。
【0043】
図1に戻り、コンピュータ100の選択手段117は、ステップS106で判定された異常レベルに応じて、対応策を選択する(ステップS107)。ここでの対応策とは、例えば通知を行う通知系と、ドライバーの車両の制御を行う車両制御系等が考えられ、一つの対応策でなく、複数の対応策を同時に行ってもよいものとする。
図1では、「異常レベル2:脇見運転」に対する対応策として、通知系として「ドライバーに通知」と「管理者に通知」を、車両制御系として「スピードダウン」を選択したものとする。
図8を基に、異常レベルに対応する対応策の例を説明する。
図8の例では、レベル1の「いつもより鼻をこする回数が多い(風邪/アレルギー等)」の場合の対応策として、通知系としては「ドライバーに通知(注意喚起/経過観察)」を示している。例えば車両から音声・音・光・画像や文字の表示・振動等の手段を用いてドライバーに対して通知を行うことで、注意喚起が可能となる。また、その後、経過観察として、
図9に示した通常の指標より少ない回数や時間で、再度レベル1の判定を行ってもよいし、同じ状態が続くようであれば異常レベルを上げてもよい。レベル2の「脇見運転」の場合の対応策として、通知系としては「ドライバーに通知」と「管理者に通知」、車両制御系としては「スピードダウン」を示している。通知系の「ドライバーに通知」は前述の通りとして、「管理者に通知」は、例えばメールや電話やSNS(ソーシャルンネットワーキングサービス)等で事前に登録した管理者への通知を行う。これにより、例えば社用車の場合には会社の管理者が状況を把握することが可能となる等利便性が上がるとともに、ドライバーの安全意識を向上することができる。また、車両制御系として車両を直接制御して「スピードダウン」を行うことにより、事故の発生確率を低くするとともに、万が一事故が起こった場合の被害を低減することが可能となる。レベル3の「怒鳴り散らしている」の場合の対応策として、通知系としては「管理者に通知」、車両制御系としては「スピードダウン」と「スピード制限」を示している。通知系の「管理者に通知」と車両制御系の「スピードダウン」の対応内容は前述の通りである。車両制御系の「スピード制限」は、例えば、レベル2の判定後、一定時間は車両を直接制御してスピードを出せる上限の速度を制限することにより、ドライバーによるあおり運転や事故の発生の可能性を下げることができると考える。レベル4の「意識が飛びかけている(急病/寝不足等)」の場合の対応策として、通知系としては「周囲の人への通知」、車両制御系としては「急停止」を示している。通知系の「周囲の人への通知」は、例えば、車両から車両内外に向けて、音声・音・光・画像や文字の表示等の手段を用いて同乗者や車両の周辺の人に対して通知を行うことで、車両のドライバーに対して働きかけてもらう効果を期待できる。また、車両制御系の「急停止」は、急ブレーキを行うということではなく、速やかに安全な場所に停止するということで、事故の発生を防止するためのものである。その際に、あわせてハザードランプ等を点灯させてもよい。レベル5の「意識不明」の場合の対応策として、レベル4の対応策に加えて、通知系として「緊急機関への通報」を示している。「緊急機関への通報」としては、例えば、119番通報等で消防署等の公共機関に、車両の位置情報とドライバーが意識不明であるという内容の通報を行ってもよいし、車両の種類に応じた緊急時の連絡先に、同様の通報を行ってもよい。
図8では、異常レベル毎に一つの異常動作という例であるため、レベル毎に対応策を示したが、同じレベルに複数の異常動作がある場合には、異常動作に応じて対応策を設定してよい。
【0044】
図1に戻り、最後にコンピュータ100の実行手段118は、ステップS107で選択された対応策を実行する(ステップS108)。
図1では、通知系として「ドライバーに通知」と「管理者に通知」を、車両制御系として「スピードダウン」を実行したものとする。
【0045】
このように、本発明によれば、車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【0046】
[各機能の説明]
図2は、コンピュータ100と撮像装置200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。コンピュータ100は、制御部110、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150から構成される。制御部110には、第1取得手段111、第1検出手段112、学習手段113、第2取得手段114、第2検出手段115、判定手段116、選択手段117、実行手段118、を備える。制御部110は、必要に応じて、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150と協働して、前記各手段の機能を実現する。撮像装置200は、撮像部20、制御部210、通信部220、記憶部230、入力部240、出力部250から構成される。通信網400は、コンピュータ100と撮像装置200との通信を可能とするネットワークである。
【0047】
コンピュータ100は、撮像装置200とデータ通信可能な計算装置である。ここでは、車載装置を前提として図示しているが、スマートフォン等の携帯端末、ノートパソコン、ウェアラブルデバイス等であってよいし、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。また、クラウド等のサービスであってもよい。
【0048】
制御部110として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。制御部110は、必要に応じて、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150と協働して、前記各手段の機能を実現する。
【0049】
通信部120として、他の機器と通信可能にするためのデバイスを備える。通信は有線接続であっても無線接続であってもよい。また、この通信部120を介して、必要に応じて正常時画像を取得するために外部のサーバやデータベースとの通信を行うものとする。
【0050】
記憶部130として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、正常時画像、正常時動作、学習結果、未知画像、異常レベル、判定結果、対応策等の処理に必要なデータを記憶する。記憶部130は外部のサーバやデータベースやクラウドサービス等であってもよい。
【0051】
入力部140は、ドライバー異常対応システムを管理又は運用するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、キーボード、マウス、ペンタブレット、タッチパネル、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。ネットワークを介して入力を行えるものとしてもよい。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0052】
出力部150は、ドライバー異常対応システムを管理又は運用するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、ディスプレイ、プロジェクターへの投影等の表示と音声出力等の形態が考えられる。ネットワークを介して出力を行えるものとしてもよい。出力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0053】
撮像装置200は、コンピュータ100とデータ通信可能な、撮像素子やレンズ等の撮像デバイスを備える撮像装置であり、運転中のドライバーの画像を撮像する。運転中のドライバーを撮像可能なものである。ここでは、車載カメラを前提として図示しているが、デジタルカメラ、デジタルビデオ、携帯端末やノートパソコンやウェアラブルデバイスのカメラ等の必要な機能を備える撮像装置であってよい。また、記憶部230に撮像画像を保存可能としてもよい。撮像する画像は、解析のために必要な解像度であるものとし、基本的には動画であるが、静止画であってもよいものとする。
【0054】
撮像装置200は、撮像部20として、レンズ、撮像素子、等の撮像デバイス等を備え、動画や静止画等の撮像画像として撮像する。また、撮像して得られる画像は、画像解析に必要なだけの解像度を持った精密な画像であるものする。
【0055】
制御部210として、CPU、RAM、ROM等を備える。
【0056】
通信部220として、他の機器と通信可能にするためのデバイスを備える。通信は有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0057】
記憶部230として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、撮像画像等の必要なデータ等を記憶する。画像を撮影した日時や場所の情報をあわせて記憶してもよい。記憶部230は外部のサーバやデータベースやクラウドサービス等であってもよい。
【0058】
入力部240は、撮像装置200を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、ハードウェアボタン、タッチパネル、マイク等を備えることが可能である。ネットワークを介して入力を行えるものとしてもよい。
【0059】
出力部250は、撮像装置200を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、ディスプレイ等への表示と音声出力等の形態が考えられる。ネットワークを介して出力を行えるものとしてもよい。
【0060】
[ドライバー異常対応処理]
図3は、ドライバー異常対応システムが行う、ドライバー異常対応処理のフローチャート図である。上述した各手段が実行する処理について、本フローチャート図にあわせて説明する。
【0061】
まず、コンピュータ100の第1取得手段111は、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する(ステップS301)。ここでの取得は、撮像装置200から直接行ってもよいし、正常時画像を集めたデータベースや外部のサーバ等から行ってもよいし、撮像装置200以外のデジタルカメラやビデオカメラ等から行ってもよいし、CD-ROMやDVDやUSBメモリ等の記憶媒体から行ってもよい。動画である場合には、合わせて音声データを取得してもよいものとする。
【0062】
図6は、正常時画像の一例である。正常時画像は、ドライバーの正常時の、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等が確認できる解像度や撮像範囲であるものとする。正常時画像は、基本的には動画であるが、静止画であってもよいものとする。
【0063】
図3に戻り、コンピュータ100の第1検出手段112は、ステップS301で取得された正常時画像を解析して、正常時動作を検出する(ステップS302)。取得された画像が複数ある場合には、画像のそれぞれについて、正常動作を検出する。ここでの正常動作とは、ドライバーの正常時の、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等であるものとする。
【0064】
次に、学習手段113は、ステップステップS302で検出された正常時動作を学習する(ステップS303)。ステップS302で検出された、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等は、正常時のものであるため、それぞれがどのような範囲に収まるのか、どのような頻度で何回行われるのか、どのような時間継続されるのか、等を学習する。正常時動作の学習に、正常時画像が足りない場合には、ステップS301とステップS302を繰り返す。また、逆に、学習が十分に行われている場合には、ステップS301からステップS303は省略してもよいものとする。
【0065】
撮像装置200は、ドライバーが運転を開始するタイミングで、撮像を開始する(ステップS304)。撮像装置200は、撮像開始とあわせて、コンピュータ100に対して、撮像開始の通知を行う。
【0066】
コンピュータ100の第2取得手段114は、撮像装置200からの撮像開始の通知を受けて、正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を撮像装置200から取得する(ステップS305)。
【0067】
図7は、未知画像の一例である。未知画像は、ドライバーの顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等が確認できる解像度や撮像範囲であるものとする。未知画像は、基本的には動画であるが、静止画であってもよいものとする。
【0068】
図3に戻り、コンピュータ100の第2検出手段115は、取得された未知画像を解析して、未知動作を検出する(ステップS306)。ここでの未知動作とは、取得した未知画像のドライバーの、顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等であるものとする。
【0069】
次に、コンピュータ100の判定手段116は、ステップS306で検出された未知動作が、ステップS303で学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する(ステップS307)。ここでは、検出された未知動作が学習された正常時動作と、ドライバーの顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等のそれぞれの指標に対してどの程度異なるのかの比較を行い、その度合いに応じて異常レベルを判定する。どの程度異なるのか、という判断は、例えば、それぞれの指標(顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等)について、学習された正常動作の結果と異なる回数や時間に応じて行うことが可能である。また、異常レベルを何段階設けるかは、システムに応じて設定可能であるものとする。
図3のフローチャートでは、異常レベルはレベル2の脇見運転と判定したものとする。
【0070】
図8は、異常レベルに対応する異常動作と対応策を示す一例である。
図8の例では、異常レベルをレベル1からレベル5の5段階に設定している。レベル1の異常動作は、「いつもより鼻をこする回数が多い(風邪/アレルギー等)」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの手の動きが鼻の付近に来ることが多い」、「正常時に比べて鼻をこする仕草が多い」等から判定を行うことができる。レベル2の異常動作は、「脇見運転」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が前方を向いていない」、「正常時に比べてドライバーの表情が確認できない」等から判定を行うことができる。レベル3の異常動作は、「怒鳴り散らしている」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの顔が口を激しく動かしている」、「正常時に比べてドライバーが手を大きく振り回している」、「正常時に比べて表情が怒りに満ちている」等から判定を行うことができる。レベル4の異常動作は「意識が飛びかけている(急病/寝不足等)」である。この場合、「正常時に比べてドライバーの手が運転動作をしていない」、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの頭や体が定期的に傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が確認できない(目を閉じている/フレームアウト)」、「正常時に比べてドライバーの表情が目を閉じたままである」等から判定を行うことができる。レベル5の異常動作は「意識不明」である。この場合、レベル4の状態が長く継続していること等から判定を行うことができる。ここで挙げた異常レベル分けの段階と、それぞれの異常動作の例は、あくまで一例であり、もっと異常レベル分けの段階や異常動作の例を多くしてもよいし、少なくしてもよい。
【0071】
図9は、異常レベルを判定するための回数と時間を示す一例である。
図9の例でも、
図8の例と同じように、異常レベルをレベル1からレベル5の5段階に設定している。レベル1の異常動作「いつもより鼻をこする回数が多い(風邪/アレルギー等)」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの手の動きが鼻の付近に来ることが多い」、「正常時に比べて鼻をこする仕草が多い」等の指標に対して、未知動作が回数として「5回以上」、時間として「累計3分以上」の場合に異常レベル1と判定することとする。レベル2の異常動作「脇見運転」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が前方を向いていない」、「正常時に比べてドライバーの表情が確認できない」等の指標に対して、未知動作が回数として「3回以上」、時間として「累計3分以上」の場合に異常レベル2と判定することとする。レベル3の異常動作「怒鳴り散らしている」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの顔が口を激しく動かしている」、「正常時に比べてドライバーが手を大きく振り回している」、「正常時に比べて表情が怒りに満ちている」等の指標に対して、未知動作が回数として「2回以上」、時間として「累計1分以上」の場合に異常レベル3と判定することとする。レベル4の異常動作「意識が飛びかけている(急病/寝不足等)」を判定するために、「正常時に比べてドライバーの手が運転動作をしていない」、「正常時に比べてドライバーの姿勢が傾いている」、「正常時に比べてドライバーの頭や体が定期的に傾いている」、「正常時に比べてドライバーの視線が確認できない(目を閉じている/フレームアウト)」、「正常時に比べてドライバーの表情が目を閉じたままである」等の指標に対して、未知動作が回数として「1回以上」、時間として「累計1分以上」の場合に異常レベル4と判定することとする。レベル5の異常動作「意識不明」を判定するために、レベル4の状態が長く継続していること、すなわちレベル4と判定した状態からさらに、その状態が2分以上つまり時間として「累計3分以上」の場合に異常レベル5と判定することとする。ここで、上記異常レベルの判定の際に、「回数及び時間の条件を満たす場合」で判定するか、「回数又は時間の条件を満たす場合」で判定するかは、システムに応じて設定可能であるものとする。
【0072】
図3に戻り、コンピュータ100の選択手段117は、ステップS307で判定された異常レベルに応じて、対応策を選択する(ステップS308)。ここでの対応策とは、例えば通知を行う通知系と、ドライバーの車両の制御を行う車両制御系等が考えられ、一つの対応策でなく、複数の対応策を同時に行ってもよいものとする。
図3のフローチャートでは、「異常レベル2:脇見運転」に対する対応策として、通知系として「ドライバーに通知」と「管理者に通知」を、車両制御系として「スピードダウン」を選択したものとする。
図8を基に、異常レベルに対応する対応策の例を説明する。
図8の例では、レベル1の「いつもより鼻をこする回数が多い(風邪/アレルギー等)」の場合の対応策として、通知系としては「ドライバーに通知(注意喚起/経過観察)」を示している。例えば車両から音声・音・光・画像や文字の表示・振動等の手段を用いてドライバーに対して通知を行うことで、注意喚起が可能となる。また、その後、経過観察として、
図9に示した通常の指標より少ない回数や時間で、再度レベル1の判定を行ってもよいし、同じ状態が続くようであれば異常レベルを上げてもよい。レベル2の「脇見運転」の場合の対応策として、通知系としては「ドライバーに通知」と「管理者に通知」、車両制御系としては「スピードダウン」を示している。通知系の「ドライバーに通知」は前述の通りとして、「管理者に通知」は、例えばメールや電話やSNS等で事前に登録した管理者への通知を行う。これにより、例えば社用車の場合には会社の管理者が状況を把握することが可能となる等利便性が上がるとともに、ドライバーの安全意識を向上することができる。また、車両制御系として車両を直接制御して「スピードダウン」を行うことにより、事故の発生確率を低くするとともに、万が一事故が起こった場合の被害を低減することが可能となる。レベル3の「怒鳴り散らしている」の場合の対応策として、通知系としては「管理者に通知」、車両制御系としては「スピードダウン」と「スピード制限」を示している。通知系の「管理者に通知」と車両制御系の「スピードダウン」の対応内容は前述の通りである。車両制御系の「スピード制限」は、例えば、レベル2の判定後、一定時間は車両を直接制御してスピードを出せる上限の速度を制限することにより、ドライバーによるあおり運転や事故の発生の可能性を下げることができると考える。レベル4の「意識が飛びかけている(急病/寝不足等)」の場合の対応策として、通知系としては「周囲の人への通知」、車両制御系としては「急停止」を示している。通知系の「周囲の人への通知」は、例えば、車両から車両内外に向けて、音声・音・光・画像や文字の表示等の手段を用いて同乗者や車両の周辺の人に対して通知を行うことで、車両のドライバーに対して働きかけてもらう効果を期待できる。また、車両制御系の「急停止」は、急ブレーキを行うということではなく、速やかに安全な場所に停止するということで、事故の発生を防止するためのものである。その際に、あわせてハザードランプ等を点灯させてもよい。レベル5の「意識不明」の場合の対応策として、レベル4の対応策に加えて、通知系として「緊急機関への通報」を示している。「緊急機関への通報」としては、例えば、119番通報等で消防署等の公共機関に、車両の位置情報とドライバーが意識不明であるという内容の通報を行ってもよいし、車両の種類に応じた緊急時の連絡先に、同様の通報を行ってもよい。
図8では、異常レベル毎に一つの異常動作という例であるため、レベル毎に対応策を示したが、同じレベルに複数の異常動作がある場合には、異常動作に応じて対応策を設定してよい。
【0073】
図3に戻り、コンピュータ100の実行手段118は、ステップS308で選択された対応策を実行する(ステップS309)。
図3では、通知系として「ドライバーに通知」と「管理者に通知」を、車両制御系として「スピードダウン」を実行したものとする。
【0074】
最後に、コンピュータ100の制御部110は、ドライバー異常対応処理を終了するかどうかの確認を行う(ステップS310)。ドライバー異常対応処理を終了しない場合には、ステップS305の未知画像の取得処理を行い、ドライバー異常対応処理を終了する場合には、コンピュータ100の処理を終了する。ドライバー異常対応処理を終了するタイミングとしては、撮像装置200から撮像終了の通知を受け取った場合等が考えられる。
【0075】
図3のフローチャートでは、ステップS307の異常レベル判定でレベル2と判定する場合を例として説明したが、ここで、レベル1からレベル5の何れの異常レベルにも該当しない場合、すなわち正常時には、ステップS308からステップS309をスキップして、ステップS310へと進むものとする。
【0076】
また、ステップS307の異常レベル判定で何れの異常レベルにも該当しない場合の未知画像を、正常時画像として取得しておき、次回の正常時動作の学習に使用してもよい。
【0077】
このように、本発明によれば、車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【0078】
[生体情報を利用したドライバー異常対応処理]
図4は、生体情報をあわせて取得する場合の、コンピュータ100と撮像装置200と生体情報取得装置300の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図2の構成のコンピュータ100と撮像装置200に加え、生体情報取得装置300を備える。
図4では、生体情報取得装置300の機能ブロックのみを図示しているが、コンピュータ100と撮像装置200の機能ブロックは、
図2と同様であるものとする。通信網400は、コンピュータ100と撮像装置200、コンピュータ100と生体情報取得装置300の通信をそれぞれ可能とする。
【0079】
生体情報取得装置300は、生体情報取得部30、制御部310、通信部320、記憶部330、入力部340、出力部350から構成される。生体情報取得装置300は、コンピュータ100とデータ通信可能な、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等の生体情報が取得可能なカメラデバイス又はセンサデバイスを備える装置であり、運転中のドライバーの生体情報を取得する。ここでは、ウェアラブルデバイスを前提として図示しているが、カメラデバイス、医療用端末、車載装置等の生体情報を取得可能な装置であってよい。また、記憶部330に取得した生体情報を保存可能としてもよい。
【0080】
生体情報取得装置300は、生体情報取得部30として、カメラデバイス、センサデバイス等の生体情報が取得可能なデバイス等を備える。ここでの生体情報とは、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等のドライバーの身体又は精神の状態を判断可能な情報であるものとする。生体情報取得部30がカメラデバイスである場合、制御部310によって取得した画像を解析して、心拍・呼吸等の生体情報を得ることが可能である。生体情報取得部がセンサデバイスである場合、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸等をそれぞれのセンサから得ることが可能である。また、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸等を制御部310によって解析することで、交感神経・副交感神経等の生体情報を得ることが可能である。
【0081】
制御部310として、CPU、RAM、ROM等を備える。
【0082】
通信部320として、他の機器と通信可能にするためのデバイスを備える。
【0083】
記憶部330として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、生体情報等の必要なデータ等を記憶する。生体情報を取得した日時や場所の情報をあわせて記憶してもよい。記憶部330は外部のサーバやデータベースやクラウドサービス等であってもよい。
【0084】
入力部340は、生体情報取得装置300を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、ハードウェアボタン、タッチパネル、マイク等を備えることが可能である。
【0085】
出力部350は、生体情報取得装置300を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、ディスプレイ等への表示や音声出力等の形態が考えられる。
【0086】
ここで、上述した各手段が実行する生体情報を利用したドライバー異常対応処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。正常時画像と未知画像に関する処理は、
図3の説明として前述した処理であるため、ここでは、追加で処理を行う生体情報中心に記述する。
【0087】
まず、コンピュータ100の第1取得手段111は、正常時のドライバーが撮像された正常時画像とあわせて、更に正常時のドライバーの生体情報を取得する(ステップS301)。ここでの正常時のドライバーの生体情報の取得は、生体情報取得装置300から直接行ってもよいし、生体時の生体情報を集めたデータベースや外部のサーバ等から行ってもよいし、生体情報取得装置300以外の装置等から行ってもよいし、CD-ROMやDVDやUSBメモリ等の記憶媒体から行ってもよい。取得する生体情報は心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等のドライバーの身体又は精神の状態を判断可能な情報であるものとする。
【0088】
次に、コンピュータ100の第1検出手段112は、正常時動作の検出とあわせて、更に正常時生体情報を検出する(ステップS302)。取得された正常時の生体情報が複数ある場合には、生体情報のそれぞれについて、正常時生体情報を検出する。ここでの正常時生体情報とは、ドライバーの正常時の、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等であるものとする。
【0089】
次に、学習手段113は、正常時動作の学習とあわせて、更に正常時生体情報を学習する(ステップS303)。ステップS302で検出された、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等の生体情報は、正常時のものであるため、それぞれが数値的にどのような範囲に収まるのかを学習する。正常時生体情報の学習に、正常時生体情報が足りない場合には、ステップS301とステップS302を繰り返す。また、逆に、学習が十分に行われている場合には、ステップS301からステップS303は省略してもよいものとする。
【0090】
生体情報をドライバー異常対応処理に利用したい場合、生体情報取得装置300は、ドライバーが運転を開始するより前のタイミングで、生体情報取得を開始する(ステップS304)。また、生体情報取得装置300は、ドライバーが運転を開始するタイミングにあわせて、コンピュータ100に対して、生体情報取得を行っているか行っていないかの通知を行う。
【0091】
生体情報取得装置200が生体情報の取得を行っている場合、コンピュータ100の第2取得手段114は、未知画像の撮像装置200からの取得とあわせて、更に正常時であるか異常時であるか未知のドライバーの生体情報を生体情報取得装置300から取得する(ステップS305)。ここでの未知のドライバー生体情報とは、ドライバーが正常であるか異常であるか未知の場合の、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等のデータであるものとする。
【0092】
コンピュータ100の第2検出手段115は、未知動作の検出とあわせて、更にドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかを検出する(ステップS306)。ここでドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかは、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等のデータが、それぞれ数値的に正常時の範囲に収まっているかどうかによって検出する。
【0093】
次に、コンピュータ100の判定手段116は、未知動作の異常レベルの判定の際に、ドライバーの生体情報が正常であるか異常であるかの度合いを加味して異常レベルの判定を行う(ステップS307)。例えば、心拍・体温・心電図・血圧・呼吸・交感神経・副交感神経等のデータの何れか一つ又は複数が、数値的に正常時の範囲を逸脱している、つまり異常である場合、その異常が数値的に大きいか小さいかや、異常のデータがいくつあるか等を加味して、異常レベルを判定する。異常が数値的に大きい場合や異常のデータが多い場合には、異常レベルをより上げて判定を行う。生体情報をどの程度加味するかは、システムに応じて設定可能とする。
【0094】
このように、本発明によれば、車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定する際に、画像だけでなく生体情報を用いることで、より適切に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【0095】
[時系列を考慮したドライバー異常対応処理]
ドライバー異常対応処理において、取得する画像の時系列を考慮することで、例えば取得する画像が動画像ではなくて静止画像である場合にも、適切なドライバー異常対応処理を行うことが可能である。ここで、時系列を考慮したドライバー異常対応処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。ここでは、時系列を考慮する処理を中心に記述するものとする。
【0096】
まず、コンピュータ100の第1取得手段111は、時系列に正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する(ステップS301)。
【0097】
次に、コンピュータ100の第1検出手段112は、ステップS301で取得された時系列の正常時画像を解析して、正常時動作を検出する(ステップS302)。
【0098】
次に、学習手段113は、ステップS302で検出された時系列の正常時動作を学習する(ステップS303)。
【0099】
そして、コンピュータ100の判定手段116は、未知動作の異常レベルの判定の際に、ステップS306で検出された未知動作が、前記学習された時系列の結果と異なる度合いに応じて判定を行う(ステップS307)。例えば、時系列に未知画像01、未知画像、02、未知画像03、未知画像04、未知画像05と取得した場合、5枚の未知画像それぞれについては異常レベルがレベル1以上であると判定されない場合にも、時系列の順番を考慮して、時系列の正常時動作と比較した場合に異常レベルがレベル1以上である可能性がある。
【0100】
このように、本発明によれば、時系列を考慮して車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定する際に時系列を考慮することで、たとえ静止画像を用いた場合にも、より適切に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【0101】
[場所情報を加味したドライバー異常対応処理]
ドライバー異常対応処理において、画像とあわせてGPS情報や地図情報等の場所情報を取得して、それを加味することで、より適切なドライバー異常対応処理を行うことが可能である。ここで、場所情報を加味したドライバー異常対応処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。ここでは、場所情報に関連する処理を中心に記述するものとする。
【0102】
まず、コンピュータ100の第1取得手段111は、正常時のドライバーが撮像された正常時画像とあわせて、更に正常時の運転時の場所情報を取得する(ステップS301)。ここでの正常時の運転時の場所情報の取得は、画像情報にあらかじめGPS情報や地図情報を付加しておくことを想定しているが、他の手段で取得してもよい。取得する場所情報はGPS情報や地図情報等の、運転時の場所を判断可能な情報であるものとする。
【0103】
学習手段113は、正常時動作の学習時に、更に正常時の運転時の場所情報を含めて学習する(ステップS303)。これは、例えば、見晴らしが良い道路と、見晴らしが悪い道路とでは、正常時でもドライバーの動作が顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等が異なるためである。他にも、一般道路と高速道路、街中と山道等でドライバーの動作は異なると考えられる。
【0104】
第2取得手段114は、未知画像の撮像装置200からの取得とあわせて、更に場所情報を取得する(ステップS305)。
【0105】
そして、判定手段116は、未知動作の異常レベルの判定の際に、前記未知動作に前記場所情報を加味して判定を行う(ステップS307)。場所条件を加味する判定を行うための手法の例としては、未知動作の場所情報が、見晴らしが良い道路か見晴らしが悪い道路か、一般道路か高速道路か、街中か山道か、等に応じて、同様の条件で学習した正常時動作と比較して判定を行うこと等が考えられる。
【0106】
このように、本発明によれば、場所情報を加味して車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを判定する際にも場所情報を加味して、より適切に異常レベルを判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【0107】
[同一ドライバーでの異常レベル判定を行う場合のドライバー異常対応処理]
図5は、同一ドライバーでの異常レベル判定を行う場合の、ドライバー異常対応処理のフローチャート図であり、
図2と同様の構成で実現可能である。前述した各手段が実行する処理について、本フローチャート図にあわせて説明する。ここでは、主に
図3のフローとの差分について説明する。
【0108】
まず、コンピュータ100の第1取得手段111は、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を取得する(ステップS501)。
【0109】
次に、第1検出手段112は、ステップS501で取得された正常時画像を解析してドライバーを特定し、そのドライバーについての正常時動作を検出する(ステップS502)。ドライバーを特定するために、正常時画像に写っている人物の画像データだけでなく、車両内の内装等の画像データを使用してもよいし、画像データ以外にドライバーを特定するために有用なデータをあらかじめ付加しておいてもよい。
【0110】
次に、学習手段113は、特定したドライバー毎にステップS502で検出された正常時動作を学習する(ステップS503)。ステップS502で検出された、ドライバー毎の顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等について、それぞれがどのような範囲に収まるのか、どのような頻度で何回行われるのか、どのような時間継続されるのか、等を学習する。
【0111】
撮像装置200は、ドライバーが運転を開始するタイミングで、撮像を開始する(ステップS504)。撮像装置200は、撮像開始とあわせて、コンピュータ100に対して、撮像開始の通知を行う。
【0112】
コンピュータ100の第2取得手段114は、撮像装置200からの撮像開始の通知を受けて、正常時であるか異常時であるか未知のドライバーが撮像された未知画像を撮像装置200から取得する(ステップS505)。
【0113】
次に、第2検出手段115は、取得された未知画像を解析してドライバーを特定し、未知動作を検出する(ステップS506)。
【0114】
次に、判定手段116は、特定したドライバーのステップS506で検出された未知動作が、特定したドライバーのステップS503で学習された結果と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定する(ステップS507)。ここでは、検出された未知動作が学習された正常時動作と、ドライバーの顔や手の動き、仕草、姿勢、視線、表情等のそれぞれの指標に対してどの程度異なるのかの比較を行い、その度合いに応じて異常レベルを判定する。
【0115】
選択手段117は、ステップS507で判定された異常レベルに応じて、対応策を選択する(ステップS508)。
【0116】
実行手段118は、ステップS508で選択された対応策を実行する(ステップS509)。
【0117】
最後に、コンピュータ100の制御部110は、ドライバー異常対応処理を終了するかどうかの確認を行う(ステップS510)。ドライバー異常対応処理を終了しない場合には、ステップS505の未知画像の取得処理を行い、ドライバー異常対応処理を終了する場合には、コンピュータ100の処理を終了する。ドライバー異常対応処理を終了するタイミングとしては、撮像装置200から撮像終了の通知を受け取った場合等が考えられる。
【0118】
このように、本発明によれば、ドライバーを特定して、ドライバー毎に車両等のドライバーの正常時の運転の仕方を学習することにより、ドライバーの運転の仕方が学習の結果と異なる時に異常レベルを高精度に判定し、判定された異常レベルに応じて対応策を選択し、選択された対応策を実行することが可能なドライバー異常対応システム、ドライバー異常対応方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【0119】
図5のフローチャートでは、同一ドライバーでの異常レベル判定を行う場合の、高精度のドライバー異常対応処理について説明したが、逆に、多数の正常時のドライバーとあるドライバーの比較を行うことも可能である。その場合には、新規のドライバーに対しても、ドライバー異常対応処理を行うことができるという利点がある。多数の正常時のドライバーとあるドライバーの比較を行う場合には、
図3のステップS301の正常時画像取得時に、正常時のドライバーが撮像された正常時画像を複数人分取得し、ステップS307の異常レベル判定時に、ステップS306で検出された未知動作がステップS303で学習された正常時動作の結果の平均値又は中央値と異なる度合いに応じて、異常レベルを判定することが可能である。
【0120】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末、仮想装置、クラウドサービスを含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される形態であってもよいし、読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される形態であってもよい。
【0121】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0122】
100 コンピュータ、200 撮像装置、300 生体情報取得装置、400 通信網