(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画素歪みを低減した光学近接感知
(51)【国際特許分類】
G09G 3/30 20060101AFI20241022BHJP
G09G 3/3208 20160101ALI20241022BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G09G3/30 Z
G09G3/3208
G09G3/20 611A
G09G3/20 612T
G09G3/20 642A
G09G3/20 680S
G09G3/20 680T
G09G3/20 Z
(21)【出願番号】P 2021568143
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2020062744
(87)【国際公開番号】W WO2020229306
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-07
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521339201
【氏名又は名称】アー・エム・エス・インターナショナル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ams International AG
【住所又は居所原語表記】Eichwiesstrasse 18b, 8645 Jona, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレイメル-ランゴバー,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ハルパー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】レンハルト,ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】クリーベルネク,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ホールビンガー,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ブリーム,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス,ホイットニー
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032033(JP,A)
【文献】特開平05-035254(JP,A)
【文献】特開2001-175218(JP,A)
【文献】特開2010-049206(JP,A)
【文献】特開2008-242468(JP,A)
【文献】特開2008-251020(JP,A)
【文献】特開2006-301864(JP,A)
【文献】特開2007-024994(JP,A)
【文献】特表2014-522523(JP,A)
【文献】特開2016-061934(JP,A)
【文献】特開2011-028058(JP,A)
【文献】特開2011-107829(JP,A)
【文献】特開2012-145778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0002168(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0257847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0195511(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを有するコンピュータデバイスの光学近接センサを動作させる方法であって、前記光学近接センサは前記ディスプレイの下方
に位置しており、前記方法は、
ディスプレイドライバから垂直同期信号を得ることと、
前記光学近接センサの光エミッタの周期的な照射を前記垂直同期信号に同期させることとを備え、
前記同期させるステップは、前記垂直同期信号に遅延を導入することと、遅延した前記
垂直同期信号のパルスを用いて前記周期的な照射をトリガすることとを含み、
前記周期的な照射をトリガすることは、前記光エミッタを駆動するための駆動パルスを、前記光エミッタの前記照射が重なる前記ディスプレイの表示領域のブランキングよりも前に生成することを含む、
方法。
【請求項2】
前記ディスプレイは有機発光ダイオードディスプレイである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学近接センサは、赤外光学近接センサ、たとえば近赤外光学近接センサである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光エミッタの前記周期的な照射を、前記ディスプレイ上の結果として生じる画像の歪みが低減されるまたはなくなる前記ディスプレイのリフレッシュサイクルにおける時点で開始するように同期させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記遅延の結果として、前記光学近接センサの真上の表示領域のブランキン
グの直前に前記
光エミッタの照射が生じる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記垂直同期信号の各同期パルスの後に前記光エミッタを照射することを備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記垂直同期信号の複数の同期パルスの各シーケンスの後に前記光エミッタを照射することを備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータデバイスであって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイの下方
に位置しており光エミッタを含む光学近接センサと、
垂直同期信号を生成するためのディスプレイドライバとを備え、
前記デバイスは、前記光エミッタの周期的な照射を前記垂直同期信号に同期させるように構成され、
前記
コンピュータデバイスは、前記光学近接センサに統合されるまたは前記光学近接センサとは別個の構成要素として実装される、前記垂直同期信号を遅延させるための遅延回路をさらに備え、前記遅延回路は前記光エミッタの照射をトリガするように前記光エミッタに結合され、
前記遅延回路は、前記垂直同期信号を遅延させて、前記光エミッタの前記照射が重なる前記ディスプレイの表示領域のブランキングよりも前に、前記光エミッタを駆動するための駆動パルスを生成する、コンピュータデバイス。
【請求項9】
前記ディスプレイは有機発光ダイオードディスプレイである、請求項
8に記載のコンピュータデバイス。
【請求項10】
前記光学近接センサは、赤外光学近接センサ、たとえば近赤外光学近接センサである、請求項
9に記載のコンピュータデバイス。
【請求項11】
前記遅延回路は、前記光エミッタの前記周期的な照射を、前記ディスプレイ上の結果として生じる画像の歪みが低減されるまたはなくなる前記ディスプレイのリフレッシュサイクルにおける時点で開始するように同期させるように構成される、請求項
8~
10のいずれか1項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項12】
前記遅延回路は、前記光学近接センサの真上の表示領域のブランキン
グの直前に前記
光エミッタの照射を生じさせるように前記垂直同期信号を遅延させる、請求項
8~
11のいずれか1項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項13】
前記
コンピュータデバイスは、スマートフォン、タブレット、またはラップトップコンピュータのうちの1つである、請求項
8~
12のいずれか1項に記載のコンピュータデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを有するデバイスにおける光学近接感知に関し、当該ディスプレイの裏側にまたはそうでなければ当該ディスプレイに近接して近接センサが位置している。
【背景技術】
【0002】
背景
多くのスマートフォンは、光学近接センサを用いてディスプレイをいつオンまたはオフにすべきかを判断する。これは典型的に、たとえばスマートフォンがユーザのポケットに入っているときにバッテリ電力を節約するため、または電話がかかってきたときに不要なスクリーン上の表示ボタンを選択しないようにするためである。これは、タブレットおよびラップトップコンピュータといったディスプレイを有する他のコンピュータデバイスの、当該デバイスが閉じられたまたはそうでなければ覆われたときにディスプレイをオフにすることが望ましい場合も同様であり得る。光学近接感知は典型的に、近赤外(NIR)光を放出し、反射された任意の光エネルギを測定することに依存する。一定のしきい値を超える反射は、ディスプレイが覆われている可能性が高いことを示す。
【0003】
従来は、このためのNIR光エミッタがスマートフォンまたは他のデバイスのベゼル内に位置していた。しかしながら、近年、高いスクリーン対ボディ比に対する需要のため、近接センサをホストするために従来使用されていたベゼルは多くのデバイスから除去されている。今日、多くのスマートフォンは有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode)(OLED)ディスプレイを使用している。OLEDディスプレイは、NIR光を含む一部の光を透過させる場合がある。したがって、OLEDディスプレイの裏側に近接センサが位置している場合がある。
【0004】
しかしながら、ディスプレイを通して放出されたNIR光のエネルギによって、たとえば近接センサの位置の上方のディスプレイに明るい点が現れるなど、ディスプレイ上に目に見える歪みが生じる場合がある。これらの歪みは、多くの条件下で、たとえばスクリーンが黒い画像を表示している場合でも、目に見える場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明の第1の局面によれば、ディスプレイを有するコンピュータデバイスの光学近接センサを動作させる方法が提供され、上記光学近接センサは上記ディスプレイの下方にまたはそうでなければ上記ディスプレイに隣接して位置している。上記方法は、ディスプレイドライバから垂直同期信号を得ることと、上記光学近接センサの光エミッタの周期的な照射を上記垂直同期信号に同期させることとを備える。
【0006】
上記ディスプレイは有機発光ダイオードディスプレイであってもよい。
上記光学近接センサは、赤外光学近接センサ、たとえば近赤外光学近接センサであってもよい。
【0007】
上記同期させるステップは、上記垂直同期信号に遅延を導入することと、遅延した上記信号のパルスを用いて上記周期的な照射をトリガすることとを含んでもよい。上記遅延の結果として、上記光学近接センサの真上の表示領域のブランキングまたは減光の直前に上記エミッタの照射が生じてもよい。あるいは、上記遅延の結果として、上記光学近接センサの真上の表示領域のブランキングまたは減光と部分的に同時に上記エミッタの照射が生じてもよい。
【0008】
上記方法は、上記垂直同期信号の各同期パルスの後に上記光エミッタを照射することを備えてもよい。あるいは、上記光エミッタは、上記垂直同期信号の複数の同期パルスの各シーケンスの後に照射されてもよい。
【0009】
本発明の第2の局面によれば、ディスプレイと、上記ディスプレイの下方にまたはそうでなければ上記ディスプレイに隣接して位置しており光エミッタを含む光学近接センサとを備えるコンピュータデバイスが提供される。上記デバイスは、垂直同期信号を生成するためのディスプレイドライバをさらに備え、上記光エミッタの周期的な照射を上記垂直同期信号に同期させるように構成される。この同期は、たとえば上記光学近接センサの同期回路によって行われてもよく、またはプロセッサによって行われてもよい。
【0010】
上記ディスプレイは有機発光ダイオードディスプレイであってもよい。
上記光学近接センサは、赤外光学近接センサ、たとえば近赤外光学近接センサであってもよい。
【0011】
上記デバイスは、上記光学近接センサに統合されるまたは上記光学近接センサとは別個の構成要素として実装される、上記垂直同期信号を遅延させるための遅延回路を備えてもよく、上記遅延回路は上記光エミッタの照射をトリガするように上記光エミッタに結合される。上記遅延回路は、上記光学近接センサの真上の表示領域のブランキングまたは減光の直前に上記エミッタの照射を生じさせるように上記垂直同期信号を遅延させてもよい。あるいは、上記遅延回路は、上記光学近接センサの真上の表示領域のブランキングまたは減光と部分的に同時に上記エミッタの照射を生じさせるように上記垂直同期信号を遅延させてもよい。
【0012】
上記デバイスは、スマートフォン、タブレット、またはラップトップコンピュータであってもよい。
【0013】
本発明の実施形態は、光学近接感知のためにディスプレイの裏側に位置するNIR光源を使用することを引き続き可能にしながらディスプレイにおける画素歪みを低減するまたはなくすための手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】近接センサを有するスマートフォンを概略的に示す図である。
【
図2】光学近接感知方法を高レベルで示すフローチャートの図である。
【
図3】
図1のスマートフォンの構成要素の動作の相互作用を概略的に示す図である。
【
図4】
図1のスマートフォンのタイミングスキームを示す図である。
【
図5】
図4のタイミングスキームを用いて生成された例示的なトレースを示す図である。
【
図6】いくつかの表示サイクルにわたる代替の例示的なトレースを示す図である。
【
図7】スマートフォンの構成要素の代替の動作の相互作用を概略的に示す図である。
【
図8】代替の光学近接感知方法を高レベルで示すフローチャートの図である。
【
図9】
図8の方法を用いて生成された例示的なトレースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
OLEDディスプレイのようなディスプレイの下方にNIR近接センサを用いることによって引き起こされる問題については上述した。以下に論じるソリューションは、表示画素の動作状態に対して最適化された時点でのみ近接センサを照射することによって歪みを低減することができるという認識から生じている。
【0016】
ディスプレイの動作時、ディスプレイはピクチャリフレッシュレートで周期的にリフレッシュされる。このレートはたとえば60Hzであってよく、すなわちディスプレイは1秒間に60回更新される。新しいフレームの開始は、デバイスのディスプレイドライバによって生成される垂直同期(Vertical Synchronization)(VSYNC)パルス信号によって示される。VSYNC信号は、プロセッサのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートとを、1秒当たりのフレーム数(FPS)が当該リフレッシュレートによって制限されてフレームがスキップされないように、同期させる。VSYNCパルスは、ディスプレイ上の新しいフレーム(画像)の開始を示す。本提案では、VSYNCパルスを用いて、近接センサからの発光をディスプレイリフレッシュレートに同期させる。具体的には、NIR光放射を、結果として生じる画像の歪みが低減されるまたはなくなるディスプレイのリフレッシュサイクルにおける時点で開始するように同期させる。デバイス内に存在する特定のOLEDディスプレイによっては、最適の発光時間は、近接センサの上方の表示画素が非アクティブになる直前、または非アクティブである間であり得る。本提案は、ベゼルをより薄くするまたは完全になくすことを可能にしながら、かつ、遠赤外(FIR)エミッタまたは超音波ソリューションの使用といったより高価なソリューションの必要性を回避しながら、ディスプレイの下のNIR近接センサを引き続き使用できるようにする。
【0017】
図1は、ディスプレイの平面に垂直な平面を通る断面で示された例示的なスマートフォン1を概略的に示す。スマートフォン1は、OLEDディスプレイ2と、スマートフォンの本体内のOLEDディスプレイの下にあるOLEDディスプレイドライバ3およびNIR光学近接センサモジュール4とを備える。ディスプレイドライバ3は典型的にハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装され、ハードウェアはグラフィカルプロセッシングユニット(GPU)および関連メモリを備えてもよい。近接センサモジュール4は、ディスプレイ2の下面への明確な見通し線が与えられるNIRエミッタ5および隣接する検出器6を備える。図示していないが、センサモジュールはレンズなどの光学部品を備えてもよい。また、近接センサモジュール4は、集積遅延回路7が設けられており、表示画素歪みを低減するために発光のタイミングを最適化するようにレジスタを介して構成可能である。所定のディスプレイの正確な構成は、たとえば製品の試作段階において実験的に求められてもよい。
【0018】
図2は、
図1のスマートフォンにおける画素歪みを低減する光学近接感知のためのプロセスを高レベルで示すフロー図である。スマートフォンの動作時、ディスプレイをリフレッシュするためにVSYNC信号がOLEDディスプレイドライバ3によって周期的に生成される(S1.1)。ここで、VSYNCはさらに、光学近接センサモジュール4の集積遅延回路7に与えられる(S1.2)。遅延回路は、VSYNC信号のタイミング(リフレッシュ)パルスを検出すると、遅延タイマを開始し(S1.3)、遅延タイマの満了後、エミッタ5によるNIR発光(S1.4)を予め定められた期間にわたってトリガする。放出された光はOLEDディスプレイ2を通過して、ディスプレイの真正面にあり得る任意の対象物と相互に作用する。OLEDディスプレイを通して反射された任意の光は検出器6によって検出される。
【0019】
図3は、
図1のスマートフォン1の関連する機能部品を概略的に示す。これらは、OLEDディスプレイドライバ3と、集積遅延回路7を備える光学近接センサモジュール4とを含む。VSYNC信号は、ドライバ3からモジュール4の遅延回路7に送信されるとして示されている。
【0020】
図4は、例示的なタイミングスキームを示す。上側トレース8はOLEDディスプレイドライバ3によって生成されるVSYNC信号を示し、中間トレース9は近接センサモジュール4の上方の位置におけるディスプレイ輝度を示し、下側トレース10は近接センサモジュール4のエミッタ5からの発光を示す。VSYNCパルスの立ち上がり後の所定の時間t
1において、近接センサモジュール4の上方のディスプレイ輝度は、対応する画素ラインがリフレッシュされるまたは「ブランキング」されると一時的に低下する。この状態を利用するために、VSYNCパルスの立ち上がりから時間遅延t
2の後、遅延回路7はエミッタ駆動パルスを生成して近接センサモジュールのエミッタ5を駆動する。この駆動パルスの持続時間はt
3である。期間t
2およびt
3は、ディスプレイ2においてNIR光パルスによって生じる視覚的な歪みを最小化するように最適化される。たとえば、タイミングの結果として、NIR光パルスが、上に重なる表示画素のブランキングの直前に生成される場合がある。
【0021】
図5は、
図2のステップによって生じる例示的なトレースを示す。VSYNCパルスは下側トレースのピーク11によって示されている。VSYNCパルスの立ち上がりから約1.76ms後に、ピーク12によって示されるように近接センサが発光する(この光はディスプレイの上方に位置するNIRセンサを用いてテスト条件下で検出される)。近接感知光の放出から約1.15ms後に、谷13によって示されるように画素がブランキングされる。
【0022】
異なるディスプレイおよびIRエミッタ(複数可)は、最小の歪みを達成するための異なるタイミング要件を有し得る。たとえば、VSYNCパルスの立ち上がりから画素ラインリフレッシュまでの時間t1は、特定のディスプレイに基づいて、およびディスプレイの下のセンサモジュールの位置に基づいて変化する可能性が高い。開始時間t2および持続時間t3はそれに応じて変化する。
【0023】
発光の光パワーは画素歪みを可能な限り低減するように最適化されることが理解されるであろう。
【0024】
タイミングスキームにさらなる変更を加えてもよいことが理解されるであろう。たとえば、いくつかのVSYNCパルスをスキップするように、たとえば10ms以上などの長い遅延t
2を導入してもよい。たとえば
図6に示されるように、NIR光パルス12は1つおきのVSYNCパルス11ごとにのみトリガされてもよい。あるいは、カウンタを短い遅延と組み合わせて用いて、一定数のVSYNCパルスが発生した後にのみ近接測定発光をトリガしてもよい。ディスプレイがVSYNC信号ごとに2回以上ブランキングされる場合(これは、たとえばディスプレイが100%未満の輝度で動作している場合に起こり得る)、近接パルスをVSYNC信号の後の最初のブランキングの前に発生するように同期させることによって画素歪みを最適化してもよい。さらに、近接パルス12はブランキング時間13と重なり合ってもよい。
【0025】
図1および
図3の装置にも変更を加えてもよい。たとえば、
図7に示されるように、遅延機能を近接センサに統合するのではなく、遅延機能を別の遅延回路、たとえばマイクロコントローラ14によって実行してもよい。
図7の装置によって実行されるプロセスは、
図8のフロー図によって高レベルで示されている。VSYNC信号がOLEDディスプレイドライバ3から送信され(S2.1)、マイクロコントローラ14などの外部遅延回路によって受信される(S2.2)。マイクロコントローラはVSYNC信号に遅延を加え(S2.3)、この遅延VSYNC信号をGPIOインターフェースを介して近接センサ15に渡す(S2.4)。近接センサにGPIOパルスが到着する(S2.5)と、NIR発光の開始がトリガされる(S2.6)。GPIOパルスの受信時と発光時との間には、センサの動作に固有のさらなる遅延が存在する場合がある。
【0026】
図7のアーキテクチャおよび
図8のステップを実行することによって生じ得る例示的なトレースを
図9に示す。VSYNCパルス11の立ち上がりから0.650ms後にエミッタ駆動信号(GPIO)パルス16が観察される。GPIOパルスの立ち上がりからさらに1.11ms遅延した後に、ピーク12によって示されるように近接センサが発光する。再び、近接感知光の放出から1.15ms後に、谷13によって示されるように画素がブランキングされる。
【0027】
光学エミッタは、NIR LED(たとえば940nmで発光する)、垂直共振器型面発光レーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)(VCSEL)エミッタ、または不要な画素歪みを生じさせる可能性があるその他の適切な光学エミッタであってよい。