(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】地図画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20241022BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20241022BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241022BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241022BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241022BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G09B29/10 A
G01C21/26 B
G08G1/0969
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022028156
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】西山 恵介
(72)【発明者】
【氏名】安藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 信哉
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-260053(JP,A)
【文献】特開2004-257966(JP,A)
【文献】特開2019-105517(JP,A)
【文献】特開2013-003107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている前記地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示するアイコン表示手段と、
ユーザの操作に基づいて前記特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する選択手段と、
ユーザの移動手段に基づいて、前記表示装置に表示された地図画像に対して前記優先ブランドを優先的に表示対象とする対象領域の形状を設定する形状設定手段と、を有し、
前記アイコン表示手段は、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がある場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当する地点のみを前記アイコンの表示対象とし、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がない場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当しない地点についても前記アイコンの表示対象とする地図画像表示装置。
【請求項2】
地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている前記地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示するアイコン表示手段と、
ユーザの操作に基づいて前記特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する選択手段と、
前記特定のカテゴリの種類に基づいて、前記表示装置に表示された地図画像に対して前記優先ブランドを優先的に表示対象とする対象領域の形状を設定する形状設定手段と、を有し、
前記アイコン表示手段は、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がある場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当する地点のみを前記アイコンの表示対象とし、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がない場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当しない地点についても前記アイコンの表示対象とする地図画像表示装置。
【請求項3】
地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている前記地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示するアイコン表示手段と、
ユーザの操作に基づいて前記特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する選択手段と、
前記特定のカテゴリに該当する地点の密度に基づいて、前記表示装置に表示された地図画像に対して前記優先ブランドを優先的に表示対象とする対象領域の形状を設定する形状設定手段と、を有し、
前記アイコン表示手段は、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がある場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当する地点のみを前記アイコンの表示対象とし、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がない場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当しない地点についても前記アイコンの表示対象とする地図画像表示装置。
【請求項4】
前記対象領域は、ユーザの現在位置
を基準に前記形状設定手段により設定された形状、又はユーザの目的地までの移動予定経路
を基準に前記形状設定手段により設定された形状を有する請求項1
乃至請求項3のいずれかに記載の地図画像表示装置。
【請求項5】
前記形状設定手段は、ユーザの移動手段が移動速度の速い移動手段であるほど、前記対象領域をより大きく設定する請求項
1に記載の地図画像表示装置。
【請求項6】
前記選択手段は、ユーザの操作に基づいて前記優先ブランドを複数選択するとともに、選択された優先ブランド内で優先順位を設定し、
前記アイコン表示手段は、
前記表示装置に対して表示された地図画像内の
前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点があるか否かを優先順位の高い順に判定し、前記対象領域内について前記対象領域内にあると判定された最も優先順位の高い前記優先ブランドに該当する地点のみをアイコンの表示対象とする請求項1乃至請求項
5のいずれかに記載の地図画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像を表示する地図画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをHDDやメモリなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置では、自車の現在位置の周辺にある施設等のユーザにとって興味を持つ地点(POI:Point of Interest)を案
内する為に、地図画像上の特定のカテゴリ(例えばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファーストフード店等)に該当する地点がある位置に地点を示すアイコンを描画することも行われている。また、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
そして、ユーザは地図画像上に表示されたアイコンを参照することによってユーザが興味のある地点がどこにあるのかを把握することとなるが、特に都市部等の施設が密集して存在するエリアにおいては、地図画像上に上記アイコンが密集して多数表示されることとなり、そのような多数のアイコンの中からユーザが興味のある地点を探すのが困難であった。そこで、例えば特開2008-134079号公報には、ユーザが表示対象とするカテゴリを指定することにより、ユーザが指定したカテゴリに該当する地点を案内するアイコンのみを表示対象とする技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-134079号公報(段落0043)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ユーザの中にはカテゴリに属する複数のブランド(例えばチェーンストア)の内、特定のブランドに興味を有するユーザがいる。そのようなユーザは、特定のブランドに該当する地点に関する情報を優先的に得たいと考える。しかしながら、上記特許文献1ではブランドを識別するアイコンを表示することは行われているが、アイコンの表示対象とするのは特定のブランドに限られないので、特に都市部等の施設が密集して存在するエリアにおいてはアイコンが多数表示され、その中からユーザが興味のある特定のプランドに該当する地点を探すのが困難であった。一方で特定のブランドのみをアイコンの表示対象とすると、仮にユーザの近くに特定のブランドに該当する地点がない場合には、代替となる他のブランドに該当する地点も表示されなくなる問題がある。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、地図画像を表示する際に、地図画像内のユーザの興味のあるブランドに該当する地点についてアイコンを優先して表示することが可能となる一方で、必要に応じて他のブランドに該当する地点のアイコンについても表示対象に加えることが可能な地図画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る第1の地図画像表示装置は、地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、前記表示装置に表示されている前記地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示するアイコン表示手段と、ユーザの操作に基づいて前記特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する選択手段と、ユーザの移動手段に基づいて、前記表示装置に表示された地図画像に対して前記優先ブランドを優先的に表示対象とする対象領域の形状を設定する形状設定手段と、を有し、前記アイコン表示手段は、前記表示装置に対して表示された地図画像内の前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がある場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当する地点のみを前記アイコンの表示対象とし、前記表示装置に対して表示された地図画像内の前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がない場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当しない地点についても前記アイコンの表示対象とする。
尚、「カテゴリ」とは例えば施設のジャンルであり、宿泊施設、ガソリンスタンド、ショッピングモール、スーパーマーケット、ショッピングセンタ、コンビニエンスストア、テーマパーク、ゲームセンタ、レストランなどが該当する。
また、「ブランド」は上記カテゴリの下位概念でカテゴリをより細かく区分するものであり、例えばフランチャイズ等のチェーンストア、同じオーナーや親会社によって運営される店舗群、関連のあるグループ会社、親会社(本店)とその子会社(支店、営業所)、駐車場については駐車の形式(平面式、立体式等)、同じ宗派の寺院等が該当する。
また、本発明に係る第2の地図画像表示装置は、地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、前記表示装置に表示されている前記地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示するアイコン表示手段と、ユーザの操作に基づいて前記特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する選択手段と、前記特定のカテゴリの種類に基づいて、前記表示装置に表示された地図画像に対して前記優先ブランドを優先的に表示対象とする対象領域の形状を設定する形状設定手段と、を有し、前記アイコン表示手段は、前記表示装置に対して表示された地図画像内の前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がある場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当する地点のみを前記アイコンの表示対象とし、前記表示装置に対して表示された地図画像内の前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がない場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当しない地点についても前記アイコンの表示対象とする。
また、本発明に係る第3の地図画像表示装置は、地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、前記表示装置に表示されている前記地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示するアイコン表示手段と、ユーザの操作に基づいて前記特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する選択手段と、前記特定のカテゴリに該当する地点の密度に基づいて、前記表示装置に表示された地図画像に対して前記優先ブランドを優先的に表示対象とする対象領域の形状を設定する形状設定手段と、を有し、前記アイコン表示手段は、前記表示装置に対して表示された地図画像内の前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がある場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当する地点のみを前記アイコンの表示対象とし、前記表示装置に対して表示された地図画像内の前記対象領域内に前記優先ブランドに該当する地点がない場合には、前記対象領域内について前記優先ブランドに該当しない地点についても前記アイコンの表示対象とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る地図画像表示装置によれば、地図画像を表示する際に、地図画像内のユーザの興味のあるブランドに該当する地点についてアイコンを優先して表示することが可能となる。その一方で、必要に応じて他のブランドに該当する地点のアイコンについても表示対象に加えることが可能であり、代替となる他のブランドに該当する地点を探すための操作を別途行う必要もない。その結果、地図画像の視認性と操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図3】地点と属するブランドを紐づけたデータの一例を示した図である。
【
図4】本実施形態に係るPOIアイコンの一例を示した図である。
【
図5】本実施形態に係る通信端末を示したブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る地図画像表示処理プログラムのフローチャートである。
【
図7】表示対象カテゴリと優先ブランドの設定方法について説明した図である。
【
図10】対象領域の設定方法について説明した図である。
【
図11】ディスプレイに表示される移動案内画面を示した図である。
【
図12】POIアイコンの表示対象とする地点を説明した図である。
【
図13】POIアイコンの表示対象とする地点を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る地図画像表示装置を通信端末1について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る通信端末1を含む情報提供システム2の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供システム2を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム2は、情報提供センタ3が有する情報提供サーバ4と、ユーザ5が所持する通信端末1と、を基本的に有する。また、情
報提供サーバ4と通信端末1は通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末1としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、ユーザ5は車両で移動する状態であっても良いし。車両以外の移動手段で移動する状態であっても良いし、徒歩で移動する状態であっても良い。
【0012】
ここで、情報提供サーバ4は、情報提供システム2における情報の送受信を管理するサーバ装置である。情報提供サーバ4は、通信端末1へと提供する対象となる情報として例えば地図情報等を情報DB8に記憶する。尚、情報DB8に格納される地図情報としては、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等を含む。
【0013】
ここで、特に地点データとしては、通信端末1において出発地、目的地、案内対象等となる地点に関する情報が記憶される。例えば、ホテル、旅館等の宿泊施設、ガソリンスタンド等の給油施設、ショッピングモール、スーパーマーケット、ショッピングセンタ、コンビニエンスストア等の商業施設、テーマパーク、ゲームセンタ等の娯楽施設、レストラン、バー、居酒屋等の飲食施設、公共駐車場等の駐車施設、交通施設、寺院、教会等の宗教施設、美術館、博物館等の公共施設等の施設に関する情報が該当する。尚、地点データに情報が格納される地点としては、上記の各種施設に加えて、施設以外に出発地、目的地、案内対象等となり得る地図上のポイント(例えば地名、住所等)についても含まれる。但し、以下では特に通信端末1において出発地、目的地、案内対象等となる地点が施設である場合を例に挙げて説明する。
【0014】
また、地点データは、地点毎に、地点の識別子である地点ID、地点の名称を示す地点名称、施設のジャンル(「駐車場」、「郵便局」、「レストラン」等)を示すカテゴリ(地点が施設である場合のみ)、地点の位置を示す位置座標等から構成されている。ここで、
図2は地点データの一例を示した図である。例えば、
図2に示す地点データの例では、座標(x1,y1)の地点において地点ID:「10001」に該当する『コンビニ○○チェーンA支店(カテゴリ:コンビニエンスストア)』が存在することを示している。また、座標(x2,y2)の地点において地点ID:「10002」に該当する『×○駐車場B町第1(カテゴリ:駐車場)』が存在することを示している。同様に他の地点に関する情報についても記憶されている。
【0015】
また、地点データに記憶された各施設の内、いずれかのブランドに属する施設については、該施設と属するブランドとを紐づけるデータと、そのブランドの名称についても地点データとして記憶される。尚、いずれのブランドにも属さない施設(例えば公共施設や個人経営の店舗等)については、ブランドに関する情報は記憶されない。
【0016】
ここで、施設の属する『ブランド』としては、例えばフランチャイズ等のチェーンストア、同じオーナーや親会社によって運営される店舗群、関連のあるグループ会社、親会社(本店)とその子会社(支店、営業所)、同じ宗派の寺院等がある。駐車場については駐車の形式(平面式、立体式等)をブランドとしても良い。例えば、
図3に示す例では、「コンビニ○○チェーン」のチェーンストアである各施設、「駐車場×○チェーン」のチェーンストアである各施設、「○×スタンドチェーン」のチェーンストアである各施設が、それぞれ属するブランドに紐付けされて記憶されている。
【0017】
また、地点データとしては、地点の内容と位置を特定するために地図画像上に表示されるアイコン(以下、POIアイコンという)についても記憶されている。
図4は施設のP
OIアイコンの一例を示した図である。ここで、
図4に示すようにPOIアイコンは施設のカテゴリ毎に規定されており、施設のカテゴリを示す外観形状(文字、記号、デザイン等も含む)を有している。そして、後述のように情報提供サーバ4から通信により取得した地図情報に基づいて通信端末1において地図画像を表示する際に、地図画像内に表示対象となるカテゴリに属する施設がある場合には、該施設の位置に対して重畳して表示される(
図7参照)。尚、POIアイコンは、全てのカテゴリに対して規定する必要は無く、特定のカテゴリのみに対して規定しても良い。また、POIアイコンは、上述した施設が属する「ブランド」毎に区分しても良い。例えば同じ“コンビニエンスストア”であってもA「コンビニ○○チェーン」のチェーンストアと、「コンビニ××チェーン」のチェーンストアとでは異なるPOIアイコンを規定してもよい。そして、施設が属するブランドにPOIアイコンが規定されている場合については、基本的に施設の属するカテゴリに規定されているPOIアイコンよりも施設が属するブランドに規定されているPOIアイコンを優先して表示する。
【0018】
また、本実施形態では、通信端末1に対して地図画像を表示する場合に、POIアイコンが規定されている全てのカテゴリに該当する施設に対してPOIアイコンが表示されるのではなく、予めユーザにより表示対象に指定されたカテゴリに該当する施設に対してのみ表示される。更に、後述のようにユーザは優先的に表示対象とするブランドを選択することも可能であり、優先的に表示対象とするブランドが選択された場合については表示された地図画像の特定の領域内では基本的に選択されたブランドに該当する施設に対してのみPOIアイコンが表示される。詳細については後述する。尚、地図画像に重畳して表示されるアイコンとしては、上記POIアイコン以外にユーザによって登録された登録地点を示すアイコン、道路上に生じている交通情報を示すアイコン等もあるが以下の説明では省略する。
【0019】
また、情報提供サーバ4は、通信端末1から経路探索要求を受信した場合には、上記情報DB8に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末1において目的地が設定された場合に、通信端末1から情報提供サーバ4へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ4は、情報提供サーバ4の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末1へと送信する。そして、通信端末1は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末1が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末1が地図情報自体を有さない場合であっても、情報提供サーバ4が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0020】
但し、上述した地図情報は予め通信端末1にダウンロードさせるなどの方法により通信端末1が有することも可能である。そして、通信端末1が地図情報を有する場合には、上記経路探索処理を情報提供サーバ4でなく通信端末1で行うことも可能である。また、通信端末1において地図画像を表示する場合において情報提供サーバ4から地図情報を取得する必要もない。即ち、情報提供システム2において情報提供サーバ4は必須ではない。
【0021】
一方、通信端末1は、ユーザ5が所持し、ナビ機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末1がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとしてユーザの現在位置周辺や指定した任意の地点周辺の地図画像を表示することが可能となるアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0022】
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末1との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末1の通信を情報提供サーバ4との間で中継する役割を持つ。
【0023】
次に、ユーザ5が所有する通信端末1の概略構成について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係る通信端末1の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末1がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0024】
図5に示すように通信端末1はデータバスBUSに、CPU11と、通信端末1を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)やユーザの移動履歴や各種設定情報等が記憶されたメモリ12と、通信ネットワーク網7の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)13と、送受信回路部13において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換する
ベースバンド処理部14と、マイクロホン15及びスピーカ16等とのインターフェイスである入出力部17と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ18と、ディスプレイ18の前面に配置されたタッチパネル19と、GPS20と、カメラ21とが接続されることにより構成されている。
【0025】
ここで、通信端末1に内蔵されるCPU11は、メモリ12に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末1の制御手段であり、メモリ12とともに通信端末制御部22を構成する。通信端末制御部22の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ18に表示される。また、通信端末制御部22は、情報提供サーバ4の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、地図画像表示手段は、地図画像をディスプレイ18に対して表示する。アイコン表示手段は、ディスプレイ18に表示されている地図画像内に位置する特定のカテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すアイコンを重畳して表示する。選択手段は、ユーザの操作に基づいて特定のカテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択する。
【0026】
また、メモリ12は通信端末1を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS20やその他のセンサに基づいて検出された位置情報の履歴であるユーザの移動履歴、各種設定情報(例えばPOIアイコンを表示対象とするカテゴリやブランドの選択情報)等が記憶された記憶媒体である。また、後述の地図画像表示処理プログラム(
図6)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。また、メモリ12は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0027】
また、スピーカ16は、通話の音声出力以外に、ナビ機能の実行時においては通信端末制御部22からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。
【0028】
また、ディスプレイ18は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末1にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。特に本実施形態では後述のように情報提供サーバ4から取得した地図情報に基づいて地図画像を表示する際にも用いられる。
【0029】
また、タッチパネル19は、ディスプレイ18の表示領域の前面に配置され、例えば地図画像のスクロール表示を行う場合や表示領域に配置されたボタンを選択する場合、更に地図画像上に表示されたPOIアイコンを選択する場合等に操作される。そして、通信端末制御部22は、タッチパネル19の操作によりタッチパネル19から出力される検出信号に基づき、タッチパネル19にユーザがタッチしていない状態からタッチした状態へと移行する“タッチオン”や、タッチパネル19にユーザがタッチした状態からタッチしていない状態へと移行する“タッチオフ”を検出する。また、ユーザがタッチした地点(タッチ地点)の座標であるタッチ座標や、タッチした状態でタッチ地点を移動させる操作(即ちドラッグ操作やフリック操作)を受け付けた場合のタッチ座標の変位についても検出する。そして、通信端末制御部22は、検出したタッチ操作やタッチ座標等に対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、ユーザのタッチ操作を受け付ける操作手段としては、タッチパネル19の代わりにタブレット等の操作手段を用いても良い。また、タッチパネル19以外に、ユーザの操作を受け付ける手段として、筐体に配置されたハードボタン、マウス、キーボードを含めても良い。
【0030】
また、GPS20は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末1(即ちユーザ5)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS20以外にも通信端末1の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0031】
また、カメラ21は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、通信端末1の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザがタッチパネル19を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。尚、カメラ21で撮像された撮像画像は、メモリ12に格納される。
【0032】
続いて、前記構成を有する通信端末1において通信端末制御部22が実行する地図画像表示処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係る地図画像表示処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図画像表示処理プログラムは通信端末1においてナビゲーションアプリ等の地図画像を表示する為の所定のアプリケーションプログラムが起動された後に実行され、地図画像をディスプレイ18に表示するとともに、地図画像に対してユーザに案内対象となる地点の位置や内容を示す各種アイコンを描画するプログラムである。尚、以下の
図6にフローチャートで示されるプログラムは、通信端末1が備えているメモリ12に記憶されており、CPU11により実行される。
【0033】
先ず、地図画像表示処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU11は、POIアイコンを表示対象とするカテゴリ(以下、表示対象カテゴリという)及び優先的にPOIアイコンを表示するブランド(以下、優先ブランドという)を設定する操作が行われたか否かを判定する。具体的には、例えばタッチパネル19を用いてメニュー画面(図示せず)からPOI設定を選択すると、先ず
図7に示すようにディスプレイ18に対して表示対象カテゴリ設定画面31が表示される。表示対象カテゴリ設定画面31には
図4に示すようなPOIアイコンが紐づけられたカテゴリの一覧が表示され、ユーザはタッチパネル19を操作することによって表示されたカテゴリの一覧からPOIアイコンを表示するカテゴリ、即ちユーザが興味があって立ち寄ることを考えているカテゴリを選択する。尚、表示対象カテゴリとして選択するカテゴリの数は1に限られることなく複数選択しても良い。また、表示対象カテゴリ設定画面31の下部には優先ブランドの設定画面に進むための進行ボタン32が表示されており、ユーザが進行ボタン32を押下すると
図7に示すようにディスプレイ18の表示画面が表示対象カテゴリ設定画面31から優先ブランド設定画面33へと切り替わる。そして、優先ブランド設定画面33には
直前の表示対象カテゴリ設定画面31において表示対象カテゴリとして選択されたカテゴリに属するブランドの一覧が表示される。尚、表示対象カテゴリが複数選択されている場合には、選択された表示対象カテゴリ毎に区分してブランドの一覧が表示される。そして、ユーザはタッチパネル19を操作することによって表示対象カテゴリ毎に表示されたブランドの一覧からPOIアイコンを優先して表示するブランド、即ちユーザが特に興味があって近くにあれば優先的に立ち寄りたいと考えているブランドを優先ブランドとして選択する。尚、優先ブランドとして選択するブランドの数は1に限られることなく複数選択しても良い。また、優先ブランドの選択は必須ではなく例えばユーザが優先ブランドを選択しなかった場合には、ユーザが特にブランドにこだわりがないと推定し、全てのブランドを優先ブランドとみなすことも可能である。また、優先ブランド設定画面33の下部には設定完了ボタン34が表示されており、ユーザが設定完了ボタン34を押下すると表示対象カテゴリ及び優先ブランドの設定を完了する。
【0034】
そして、前記S1では上記表示対象カテゴリ設定画面31及び優先ブランド設定画面33において表示対象カテゴリ及び優先ブランドを設定する操作が行われたか否かを判定し、表示対象カテゴリ及び優先ブランドを設定する操作が行われたと判定された場合(S1:YES)には、操作内容に基づいて表示対象カテゴリ及び優先ブランドを設定(更新)する(S2)。尚、現在設定されている表示対象カテゴリ及び優先ブランドを特定する情報はメモリ12に記憶される。その後、S3へと移行する。
【0035】
一方、前記S1では上記表示対象カテゴリ設定画面31及び優先ブランド設定画面33において表示対象カテゴリ及び優先ブランドを設定する操作が行われていないと判定された場合(S1:NO)には、現在の設定を維持してS3へと移行する。
【0036】
S3においてCPU11は、メモリ12から現在設定されている表示対象カテゴリ及び優先ブランドを取得し、その後は取得した内容に基づいて以下のようにディスプレイ18に地図画像の描画を行う。
【0037】
尚、地図画像表示処理プログラムによりディスプレイ18に地図画像の描画を行うタイミングとしては、基本的にナビゲーションアプリ等の地図画像を表示する為の所定のアプリケーションプログラムが起動された直後、及びその後は一定の時間間隔(例えば1sec毎)とする。但し、ディスプレイ18に対して表示対象となる地図画像のエリア(以下、表示対象エリアという)を変更する操作(例えば、地図画像の縮尺変更操作、地図画像のスクロール操作)を受け付けた場合、及びディスプレイ18に対して表示対象となる対象物を変更する操作(例えば、上述した表示対象となるPOIアイコンのカテゴリやブランドを変更する操作)を受け付けた場合については、当該操作を受け付けたタイミングにおいても実行される。
【0038】
先ずS4においてCPU11は、情報提供サーバ4から取得した地図情報に基づいて、ディスプレイ18に対して地図画像として先ず背景画像を描画する。ここで、前記S4において背景画像の描画対象となる表示対象エリアは、例えば車両の現在位置周辺のエリアとする。また、表示対象エリアのサイズは通信端末1において設定されている地図画像の表示縮尺によって異なり、縮尺が小さい程、より広いエリアとなる。また、表示対象エリアは、その後のユーザの操作(例えば地図画像のスクロール操作、地図画像の縮尺変更操作)や車両の現在位置の移動に伴って適宜変更される。
【0039】
次に、S5においてCPU11は、情報提供サーバ4から取得した地図情報に基づいて、前記S4で描画された背景画像に合わせて表示対象エリア内の道路画像を描画する。尚、道路に関する交通情報(例えば渋滞情報、通行止め情報)が存在する場合には、交通情報を示す画像についても併せて描画しても良い。
【0040】
続いて、S6においてCPU11は、情報提供サーバ4から取得した地図情報に基づいて、前記S4で描画された背景画像及び前記S5で描画された道路画像に合わせて、表示対象エリア内に含まれるエリアや地点に関する各種名称を示す文字列を描画する。ここで、描画対象となる文字列としては、例えば地名、施設名、河川名、道路名称等がある。上記S4~S6によって表示対象エリアの地図画像がディスプレイ18に対して描画される。
【0041】
その後、S7においてCPU11は、ディスプレイ18に地図画像が表示されている表示対象エリア内を対象として、前記S3で読み出した現在の表示対象カテゴリに該当する地点(ブランドは問わない)を抽出する。尚、情報提供サーバ4から取得する地図情報に含まれる地点データには、
図2に示すように地点毎にカテゴリや位置情報について記憶されており、それらの地点データに基づいて表示対象カテゴリに該当する地点の抽出を行う。
【0042】
続いて、S8においてCPU11は、前記S7で抽出した表示対象エリアにある表示対象カテゴリに該当する地点の内、特に対象領域内にある地点を選別し、更にその選別した地点の中に前記S3で読み出した優先ブランドに該当する地点が少なくとも一以上あるか否か判定する。ここで、対象領域41は
図8に示すようにユーザの現在位置から所定距離L以内の領域とする。但し、対象領域41の形状は必ずしも円形に限られることなく矩形形状としても良い。また、ユーザの現在位置ではなく画面の中央地点、あるいはユーザに指定された任意の地点から所定距離L以内の領域としても良い。更に、通信端末1において目的地までの案内経路(移動予定経路)が設定されている場合については、
図9に示すように対象領域41は案内経路42を基準にした所定距離L以内の領域としても良い。
【0043】
ここで、所定距離Lは固定距離(例えば1km)としても良いが、通信端末1の地図画像の表示態様やユーザの移動状況に基づいて適宜設定するのが望ましい。具体的には、ユーザの移動手段、地図画像をディスプレイ18に対して表示する表示縮尺、表示対象カテゴリの種類、表示対象カテゴリに該当する地点の密度、の少なくとも一以上に基づいて所定距離Lを設定するのが望ましい。
【0044】
例えば、
図10は所定距離Lの設定方法の一例を示した図である。例えば、表示対象カテゴリがコンビニエンスストアである場合についてまず説明すると、周辺の表示対象カテゴリ(即ちコンビニエンスストア)に該当する地点の密度が10件/km
2以下の場合、即ち郊外などの施設過疎エリアではユーザの移動手段が車である場合L=5km、徒歩である場合L=100mとする。一方、周辺の表示対象カテゴリ(即ちコンビニエンスストア)に該当する地点の密度が10件/km
2より高い場合、即ち都市部などの施設密集エリアではユーザの移動手段が車である場合L=15km、徒歩である場合L=300mとする。次に、表示対象カテゴリがガソリンスタンドである場合について説明すると、周辺の表示対象カテゴリ(即ちガソリンスタンド)に該当する地点の密度が10件/km
2以下の場合、即ち郊外などの施設過疎エリアではユーザの移動手段が車である場合にL=10kmとする。一方、周辺の表示対象カテゴリ(即ちガソリンスタンド)に該当する地点の密度が10件/km
2より高い場合、即ち都市部などの施設密集エリアではユーザの移動手段が車である場合にL=30kmとする。
【0045】
ここで、ユーザの移動手段を比較すると、同じカテゴリに対してはユーザの移動手段が移動速度の速い移動手段であるほど、対象領域をより大きく設定する。即ち、ユーザの移動手段が速い車である場合にはユーザの行動範囲が広がり、遠くにあってもお気に入りのブランドに優先して立ち寄ることが予想されるので、対象領域をより大きく設定する(即ち優先ブランドのみを表示する領域を広くする)。一方、ユーザの移動手段が遅い徒歩で
ある場合にはユーザの行動範囲が狭くなり、お気に入りのブランドが遠くにしかない場合にはお気に入りのブランドよりも近くにある他のブランドに立ち寄ると予想されるので、対象領域をより小さく設定する(即ち優先ブランドのみを表示する領域は小さくする)。尚、ユーザの移動手段については、ユーザに入力させることも可能であるが、ユーザの移動速度から推定することも可能である。
【0046】
また、地点密度を比較すると、同じカテゴリに対しては地点密度が高いほど、対象領域をより大きく設定する。即ち、都市部などの施設密集エリアでは表示対象カテゴリに該当する地点の数が多くなり、表示対象となるPOIアイコンの数も多くなるので、対象領域をより大きく設定する(即ち視認性を上げるために優先ブランドのみを表示する領域を広くする)。一方、郊外などの施設過疎エリアでは表示対象カテゴリに該当する地点の数が少なくなり、表示対象となるPOIアイコンの数も少なくなるので、対象領域をより小さく設定する(即ち表示するアイコンを増やす為に優先ブランドのみを表示する領域は小さくする)。
【0047】
尚、所定距離Lの設定方法については
図10に開示した方法に限られることなく、例えば地図画像をディスプレイ18に対して表示する表示縮尺で所定距離Lを設定しても良い。例えば、表示縮尺を小さくすると表示対象となるPOIアイコンの数も多くなるので、対象領域をより大きく設定することが可能である(即ち視認性を上げるために優先ブランドのみを表示する領域を広くする)。
【0048】
そして、対象領域内に前記S3で読み出した優先ブランドに該当する地点が少なくとも一以上あると判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、対象領域内に前記S3で読み出した優先ブランドに該当する地点がないと判定された場合(S8:NO)には、S10へと移行する。尚、前記S8では対象領域内に優先ブランドに該当する地点が少なくとも一以上あるか否かを判定しているが、所定数以上(例えば3個以上)あるか否かを判定しても良い。
【0049】
S9においてCPU11は、対象領域内の表示対象カテゴリに該当する地点については、優先ブランドに該当する地点のみをアイコンの表示対象とし、対象領域外については優先ブランドか否かに関わらず全ての表示対象カテゴリに該当する地点をアイコンの表示対象とし、その結果に従って、POIアイコンを描画する。また、POIアイコン以外にユーザによって登録された登録地点を示すアイコン、道路上に生じている交通情報を示すアイコン等も必要に応じて描画される。その結果、ユーザ周辺の地図画像を地図画像内にある地点情報とともに表示した移動案内画面50がディスプレイ18に表示されることとなる。
【0050】
ここで、
図11はディスプレイ18に表示される移動案内画面50の一例について示した図である。
図11に示すように、移動案内画面50には、車両の現在位置周辺の地図画像51と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク52と、通信端末1に設定されている案内経路(案内経路が設定されている場合にのみ表示される)の形状を示す経路画像53が表示される。また、地図画像51上には施設の位置やジャンルを示すPOIアイコン54、ユーザによって登録された登録地点を示す登録地点アイコン等の各種アイコンが描画される。尚、地図画像上に描画されるPOIアイコン54は、
図12に示すように基本的に地図画像51の表示対象エリア内にあって、且つPOIアイコンの表示対象に設定されている表示対象カテゴリ(例えば、駐車場、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン)の施設を示すPOIアイコンが表示される。但し、該当する全てのPOIアイコンが表示されるのではなく、対象領域41内については優先ブランドに該当する地点のPOIアイコンのみが表示対象となる。
【0051】
一方、S10においてCPU11は、対象領域41内についても優先ブランドか否かに関わらず全ての表示対象カテゴリに該当する地点をアイコンの表示対象とし、その結果に従って、POIアイコンを描画する。従って、地図画像上に描画されるPOIアイコン54は、
図13に示すように地図画像51の表示対象エリア内にあって、且つPOIアイコンの表示対象に設定されている表示対象カテゴリ(例えば、駐車場、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン)の施設を示す全てのPOIアイコンが表示される。
【0052】
その結果、ユーザはディスプレイ18に表示された移動案内画面50を参照することによって、ユーザ周辺の道路形状や施設、目的地までの経路等を把握することが可能となる。また、特にユーザに近い対象領域41内については予め設定された優先ブランドに該当する地点が存在する場合については、
図12に示すように優先ブランドに該当する地点のPOIアイコン54のみが表示されるので、POIアイコン54の表示数を制限できる。従って、視認性を確保しつつユーザが立ち寄る候補となる地点についてはPOIアイコン54によって適切に案内することが可能となる。尚、
図12に示す例では、対象領域41が地図画像の表示対象となる表示対象エリアよりも狭くなっているが、地図画像の縮尺によっては対象領域41が表示対象エリアより大きくなる場合もある。その場合には、ディスプレイ18の画面全体において優先ブランドに該当する地点のPOIアイコン54のみが表示されることとなる。一方で、対象領域41内に優先ブランドに該当する地点が存在しない場合については、
図13に示すように優先ブランド以外の地点に該当するPOIアイコン54についても表示されるので、代替となる他のブランドの地点についてPOIアイコン54によって適切に案内することが可能となる。
【0053】
尚、
図11に示す移動案内画面50が表示された後に、地図画像51上に描画されたいずれかのPOIアイコン54を選択する操作を受け付けた場合には、CPU11は例えばユーザによって選択されたPOIアイコン54に対応する地点を新たな目的地や経由地に設定すること、その地点に関するより詳細な情報提供を行うこと等を行う。
【0054】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る通信端末1及び通信端末1で実行されるコンピュータプログラムでは、ディスプレイ18に表示されている地図画像51内に位置する表示対象カテゴリに該当する地点を対象として、該地点のある位置に該地点を示すPOIアイコン54を重畳して表示し(S9、S10)、ユーザの操作に基づいて表示対象カテゴリに属する複数のブランドの内からユーザが優先的にアイコンの表示対象とするブランドを優先ブランドとして選択し(S2)、ディスプレイ18に対して表示された地図画像内の対象領域41内に優先ブランドに該当する地点がある場合には、対象領域41内について優先ブランドに該当する地点のみをPOIアイコン54の表示対象とする一方で、対象領域41内に優先ブランドに該当する地点がない場合には、対象領域41内について優先ブランドに該当しない地点についてもPOIアイコン54の表示対象とするので、地図画像を表示する際に、地図画像内のユーザの興味のあるブランドに該当する地点についてアイコンを優先して表示することが可能となる。その一方で、必要に応じて他のブランドに該当する地点のアイコンについても表示対象に加えることが可能であり、代替となる他のブランドに該当する地点を探すための操作を別途行う必要もない。その結果、地図画像の視認性と操作性を向上させることが可能となる。
また、対象領域は、ユーザの現在位置周辺又はユーザの目的地までの移動予定経路周辺の領域とするので、地図画像を表示する際に、特にユーザの現在位置周辺や移動予定経路の周辺については、ユーザの興味のあるブランドに該当する地点のアイコンを優先して表示することが可能となる。その結果、ユーザが立ち寄る候補となる地点についての情報をアイコンを用いて適切に提供することが可能となる。
また、ユーザの移動手段、地図画像をディスプレイ18に対して表示する表示縮尺、表示対象カテゴリの種類、表示対象カテゴリに該当する地点の密度、の少なくとも一以上に基づいて対象領域の形状を設定するので、地図画像の表示態様やユーザの移動状況を考慮
してユーザの興味のあるブランドに該当する地点のアイコンを優先して表示する範囲を適切に設定することが可能となる。
また、ユーザの移動手段が移動速度の速い移動手段であるほど、対象領域をより大きく設定するので、ユーザが立ち寄り可能な範囲を移動手段から推定し、その結果に基づいてユーザの興味のあるブランドに該当する地点のアイコンを優先して表示する範囲を適切に設定することが可能となる。
【0055】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、優先ブランドの設定(S2)において表示対象カテゴリに属するブランド毎に優先ブランドとするか否かのみを設定しているが、優先ブランドを複数選択するとともに、選択された優先ブランド内で優先順位を設定するようにしても良い。更にS8においてCPU11は、ディスプレイ18に対して表示された地図画像内の対象領域内に優先ブランドに該当する地点があるか否かを優先順位の高い順に判定し、対象領域内について対象領域内にあると判定された最も優先順位の高い優先ブランドに該当する地点のみをPOIアイコン54の表示対象とすることも可能である。
【0056】
また、本実施形態では、対象領域内に優先ブランドに該当する地点が存在する場合には、対象領域内の優先ブランド以外の地点に該当するPOIアイコンは完全に非表示となるが、表示形態を変えて表示対象としても良い。例えば、半透過状態で表示したり、サイズを小さくして表示することなどが可能である。
【0057】
また、本発明は地図画像表示装置としてスマートフォン以外に、地図画像の表示機能を有する各種装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等に適用することも可能である。また、表示対象となる地図画像のデータは、通信端末が予め持っていても良いし、表示を行う際にその都度外部のサーバから取得しても良い。
【0058】
また、サーバと通信端末から構成されるシステムに対しても適用することも可能である。その場合には、上述した地図画像表示処理プログラム(
図5)の各ステップは、サーバと通信端末のいずれが実施する構成としても良い。
【符号の説明】
【0059】
1…通信端末、2…情報提供システム、4…情報提供サーバ、5…ユーザ、8…情報DB、11…CPU、12…メモリ、22…通信端末制御部、50…移動案内画面、51…地図画像、54…POIアイコン