(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A63F7/02 311C
A63F7/02 312A
A63F7/02 304D
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2022037027
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀明
【審査官】山田 克典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131628(JP,A)
【文献】特開2020-156873(JP,A)
【文献】特許第7340571(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外レールと内レールとの間の領域であって、発射された遊技球を遊技領域に案内する案内領域と、
遊技球が前記遊技領域から前記案内領域に戻ることを防止する球戻り防止機構と、を備え、
記号を用いた第1表示
により遊技者へ特定操作を促す旨を表示することが可能であるとともに、記号を用いた第2表示
により前記第1表示と異なる内容を表示することが可能な遊技機において、
前記第1表示と前記第2表示とは、互いに同系色または同一色で構成され、
前記第1表示に用いられる記号の縦幅の中央かつ横幅の中央となる第1中心と、前記第2表示に用いられる記号の縦幅の中央かつ横幅の中央となる第2中心との左右方向における位置が異なり、
前記球戻り防止機構は、第1状態と、第2状態と、に変位可能な変位部材と、前記変位部材を保持可能な保持部材と、を有し、
前記変位部材は、前記遊技領域と対向する側面部と、前記側面部の先端側の先端部と、を有し、
前記先端部から前記外レールまでの距離を特定距離とすると、
前記第1状態は、前記特定距離が前記第2状態よりも短い状態であり、
前記第2状態は、前記特定距離が前記第1状態よりも長い状態であり、
前記保持部材は、前記第2状態において前記側面部と接する接部を有し、
遊技球は、前記第1状態において前記接部と前記側面部に接する場合があり、
前記第1状態において、遊技球と前記接部の接点から遊技球と前記側面部の接点までの距離を第1距離とし、
遊技球の最下点から最左点までの距離を第2距離とすると、
前記第1距離は、前記第2距離よりも短い
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機として、遊技価値である遊技球を遊技領域に発射し、入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると賞球が遊技者に払い出され、さらに、識別情報の変動表示の結果に応じて遊技状態を変更可能な遊技機(例えば、パチンコ機)が知られている。
【0003】
また、遊技価値を用いて1ゲームに対して賭数を設定した後に遊技開始操作を行うと識別情報の変動表示が開始され、変動表示の開始後に停止操作を行うと識別情報の変動表示が停止し、このときに導出された表示結果にもとづいて入賞が発生可能であり、入賞の種類に応じて遊技状態を変更可能な遊技機(例えば、スロットマシン)が知られている。
【0004】
そのような遊技機において、文字(記号)を用いた表示を行うことが可能な遊技機が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-156886号公報
【文献】特開2020-162713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、記号用いて複数の表示を同時期に行う場合、各表示が区別しにくくなり、各表示の視認性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記号を用いた表示に視認性を確保することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、外レールと内レールとの間の領域であって、発射された遊技球を遊技領域に案内する案内領域と、遊技球が前記遊技領域から前記案内領域に戻ることを防止する球戻り防止機構と、を備え、記号を用いた第1表示により遊技者へ特定操作を促す旨を表示することが可能であるとともに、記号を用いた第2表示により前記第1表示と異なる内容を表示することが可能な遊技機において、前記第1表示と前記第2表示とは、互いに同系色または同一色で構成され、前記第1表示に用いられる記号の縦幅の中央かつ横幅の中央となる第1中心と、前記第2表示に用いられる記号の縦幅の中央かつ横幅の中央となる第2中心との左右方向における位置が異なり、前記球戻り防止機構は、第1状態と、第2状態と、に変位可能な変位部材と、前記変位部材を保持可能な保持部材と、を有し、前記変位部材は、前記遊技領域と対向する側面部と、前記側面部の先端側の先端部と、を有し、前記先端部から前記外レールまでの距離を特定距離とすると、前記第1状態は、前記特定距離が前記第2状態よりも短い状態であり、前記第2状態は、前記特定距離が前記第1状態よりも長い状態であり、前記保持部材は、前記第2状態において前記側面部と接する接部を有し、遊技球は、前記第1状態において前記接部と前記側面部に接する場合があり、前記第1状態において、遊技球と前記接部の接点から遊技球と前記側面部の接点までの距離を第1距離とし、遊技球の最下点から最左点までの距離を第2距離とすると、前記第1距離は、前記第2距離よりも短い。
よって、第1表示と第2表示を区別しやすくし、第1表示と第2表示の視認性を確保することができる。
【0009】
なお、前記第1表示と前記第2表示とを重畳して表示してもよい。
この場合も、第1表示と第2表示を区別しやすくし、第1表示と第2表示の視認性を確保することができる。
【0010】
また、前記第1表示に用いる記号と前記第2表示に用いる記号とを同系色または同一色にしてもよい。
この場合も、第1表示と第2表示を区別しやすくし、第1表示と第2表示の視認性を確保することができる。
なお、同系色とは、例えば、明度もしくは彩度だけが異なる色の組み合わせ、トーン(濃度)は異なるが同じ色相の色の組み合わせ、トーンは同じで、色相上隣り合う色(隣接色)の組み合わせということができる。
【0011】
また、前記第1表示はエラー表示とし、前記第2表示は演出表示としてもよい。
この場合は、エラー表示と演出表示を区別しやすくし、エラー表示と演出表示の視認性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るパチンコ機の外観を示す正面図である。
【
図2】前枠を開放状態にしたときの同パチンコ機を示す斜視図である。
【
図4】同パチンコ機に設けられた遊技盤を示す正面図である。
【
図5】
図4に示す遊技盤に取り付けられた内ガイドレールの斜視図である。
【
図6】
図5に示す内ガイドレールに設けられた球戻り防止機構の前面斜視図である。
【
図9】同球戻り防止機構に設けられた球戻り防止部材が閉状態にあるときの正面図である。
【
図10】同球戻り防止部材が開状態にあるときの正面図である。
【
図11】同球戻り防止部材が閉状態から開状態に変位している途中の状態において、遊技領域に進入した遊技球が境界領域に戻ろうとしている様子を示す図である。
【
図14】遊技領域から境界領域に戻ってきた遊技球が球戻り防止部材と衝突している状態を示す図である。
【
図15】
図4に示す遊技盤のアクリル板に取り付けられる始動口ユニットを示す前面斜視図である。
【
図16】同始動口ユニットを示す背面斜視図である。
【
図17】同始動口ユニットのアクリル板への取り付けを示す斜視図である。
【
図18】アクリル板に取り付けられた始動口ベースを示す正面図である。
【
図21】遊技盤に取り付けられた始動口ベースの拡大正面図である。
【
図23】遊技盤のアクリル板に取り付けられた始動口ベースと前枠が保持する透明板との位置関係を示す断面図である。
【
図24】パチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【
図25】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(1/2)である。
【
図26】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(2/2)である。
【
図27】電源断発生チェック処理の手順例を具体的に示すフローチャートである。
【
図28】割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図31】演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図32】作動記憶演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図33】演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図34】演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図35】エラー表示と演出表示の表示例を示す説明図である。
【
図36】エラー表示と演出表示の位置関係を示す説明図である。
【
図37】エラー表示と演出表示の表示位置の変形例を示す説明図である。説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本実施形態に係るパチンコ機(遊技機)の外観を示す正面図、
図2は前枠を開放状態にしたときのパチンコ機を示す斜視図である。
【0015】
図1および
図2に示すように、パチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠1と、外枠1の前面に扉状に開閉可能に取り付けられた内枠2と、内枠2の前面に扉状に開閉可能に取り付けられた前枠3と、を備える。外枠1および内枠2は本体部4を構成する。本体部4は遊技盤5を保持する。
【0016】
外枠1の左側枠部には、上側軸受け体6と下側軸受け体7が固着される。内枠2の左側枠部の上下両端には、第1ピン(図示せず)が設けられる。これら両第1ピンを上側軸受け体6と下側軸受け体7に軸支することで、内枠2を外枠1に対して開閉可能に支持する第1ヒンジ機構が構成される。また、前枠3の左側枠部の上下両端には、第2ピン(図示せず)が設けられる。これら両第2ピンを内枠2の左側枠部に突設した上下の支持板8,9に軸支することで、前枠3を内枠2の左側枠部に対して開閉可能に支持する第2ヒンジ機構が構成される。
【0017】
内枠2の右側枠部は、第1ヒンジ機構および第2ヒンジ機構と反対側の自由端側である。この右側枠部にはシリンダ錠10が設けられる。シリンダ錠10の鍵穴に鍵を差し込み、その鍵の回動方向に応じて、内枠2または前枠3が開錠される。
【0018】
前枠3は、ガラスやプラスチック等からなる透明板11を保持する。透明板11は、前枠3が内枠2に対して閉じられた状態になると、遊技盤5と対向する。前枠3の透明板11の周囲には、各種機器が設けられる。例えば、透明板11の上方には意匠ユニット12が設けられ、透明板11の下方には受皿13が設けられ、受皿13の前方中央に演出操作ユニット14が設けられ、演出操作ユニット14の右下方に操作ハンドル15が設けられる。
【0019】
意匠ユニット12は、左スピーカユニット12aと、右スピーカユニット12bと、これらの間に配置されたロゴユニット12cと、ロゴユニット12cを支持するベースユニット12dと、を有する。左スピーカユニット12aは、透明板11の左上方に配設される。右スピーカユニット12bは、透明板11の右上方に配設される。ロゴユニット12cは、透明板11の上方に配設される。ベースユニット12dは、透明板11の上方であって、ロゴユニット12cの背面側に配設される。なお、ロゴユニット12cの前面には、機種のコンテンツやスペック等に応じたデザインが施される。
【0020】
そして、前枠3には、複数のスピーカSが設けられている。
【0021】
受皿13は、遊技球を収容可能とする。受皿13には、パチンコ機Pの側方に設置された遊技球貸出装置(図示せず)により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pの賞球払出装置(
図3の符号20)から払い出される賞球が導かれる。
【0022】
演出操作ユニット14は、遊技の進行に伴って実行される演出の切り替え等を行うことを可能にする。
【0023】
操作ハンドル15は、遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように構成されている。操作ハンドル15の回転操作が行われると、受皿13に収容されている遊技球が、遊技盤5の下方に配設された発射装置(発射手段)16に送られ、操作ハンドル15の回転角度に応じた強度で発射される。なお、前枠3の背面における透明板11の下方には整流器ユニット17が配設される。整流器ユニット17は、受皿13に収納された遊技球を発射装置16に供給する。
【0024】
図3はパチンコ機Pの背面図である。
図3に示すように、パチンコ機Pは、その背面側に、主制御基板18(
図24に示す主制御装置70)と、副制御基板19(
図24に示す演出制御装置124)と、賞球払出装置20と、払出制御基板21(
図24に示す払出制御装置92)と、発射制御基板(
図24参照)と、外部端子基板(
図24参照)と、を備える。
【0025】
主制御基板18は、遊技に関する主要な処理を行う。副制御基板19は、主制御基板18からの指令を受けて各種演出ユニットを制御する。なお、主制御基板18および副制御基板19は背面カバー部材24によって覆われている。
【0026】
賞球払出装置20は、遊技球が遊技盤5の遊技領域に設けられた所定の入賞口に入球したことに基づいて賞球を払い出す。払出制御基板21は、主制御基板18からの指令を受けて賞球払出装置20を制御する。
【0027】
発射制御基板は、操作ハンドル15の回転角度に応じて発射装置16の作動を制御する。外部端子基板は、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する。
【0028】
このように、パチンコ機Pはその背面側に遊技を進行する際の制御を行う各種基板等を備えており、これらの制御等によって遊技を円滑に進めることができる。
【0029】
次に、
図4を参照して遊技盤5について説明する。
図4は遊技盤5を示す正面図である。
【0030】
図4に示すように、遊技盤5は、略矩形状のアクリル板5aと、盤面ランプ25と、レールベース26と、外ガイドレール27と、内ガイドレール28と、を有する。レールベース26は、アクリル板5aの前面に固定されており、正面視で円弧状の内周面を有する。外ガイドレール27は、レールベース26の内周面に沿って取り付けられており、遊技盤5の中央下部から離れた左側位置から左端部、上端部および右上端部近傍に亘って円弧状に配置される。内ガイドレール28は、アクリル板5aの前面における外ガイドレール27の内側に取り付けられており、遊技盤5の中央下部よりもやや左側位置から遊技盤5の左端部近傍および左上端部近傍に亘って円弧状に配置される。これら外ガイドレール27と内ガイドレール28との間の湾曲形状の領域が、案内通路29となっている。案内通路29は、発射装置16(
図2参照)により発射された遊技球を遊技領域30に案内する。案内通路29と遊技領域30との間には境界領域700が設けられている。境界領域700の出口は遊技領域30と連通しており、境界領域700の入口は案内通路29と連通している。詳細は後述するが、内ガイドレール28の先端部には、球戻り防止機構(
図5の符号50)が設けられており、この球戻り防止機構は境界領域700に配置されている。
【0031】
遊技領域30は、外ガイドレール27および内ガイドレール28よりも内側の領域であり、発射装置16の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする左打ち領域30aおよび右打ち領域30bを含む。左打ち領域30aは、パチンコ機Pに正対した遊技者から見て遊技盤5の左側に位置する。一方、右打ち領域30bは、同遊技者から見て遊技盤5の右側に位置する。
【0032】
遊技領域30には、各種の入賞口等が設けられる。例えば遊技領域30の中央下方には、第1始動入賞口31およびアウト口32が設けられる。また、遊技領域30の左打ち領域30aには、普通入賞口33、ワープ通路34、風車35、複数の遊技釘36等が設けられる。さらに、遊技領域30の右打ち領域30bには、ゲート37、第2始動入賞口38および大入賞口39等が設けられる。なお、詳細は後述するが、第1始動入賞口31は、アクリル板5aに始動口ユニット60が取り付けられることで形成される。
【0033】
遊技盤5のアクリル板5aの略中央には、所定形状に切り抜かれた開口40が形成されている。アクリル板5aの背面側であって、遊技者が開口40を通して臨める位置に、遊技に関する各種演出を表示する液晶表示器42等が設けられている。液晶表示器42の画像表示面は、遊技盤5の盤面よりも奥側に配置されている。
【0034】
また、図示は省略するが、遊技盤5は、遊技領域30の外方であって、かつ遊技者が視認可能な位置に第1特別図柄表示器、第2特別図柄表示器、第1特別図柄保留表示器、第2特別図柄保留表示器、普通図柄表示器、普通図柄保留表示器、および右打ち報知表示器を有する。これらの表示器は遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0035】
遊技者が操作ハンドル15(
図1および
図2参照)を任意角度に回転操作すると、遊技球が発射装置16により遊技領域30に向かって連続的に打ち出される。通常、遊技者は、遊技開始時において、左打ち領域30aに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球は、風車35や複数の遊技釘36に衝突して流下方向を不規則に変えながら左打ち領域30aを流下する。その結果、流下した遊技球が第1始動入賞口31に入球した場合には、大当り遊技状態を実行させるか否かを決定する大当たりの電子抽選が行われるとともに、所定個数(例えば3個)の賞球が付与される。なお、流下した遊技球が、普通入賞口33に入球した場合には所定個数(例えば3個)の賞球が付与され、第1始動入賞口31または普通入賞口33のいずれにも入球しなかった場合には、アウト口32を通って遊技盤5の背面側に排出される。
【0036】
一方、上記した大当たりの電子抽選に当選した場合には、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態おいては、遊技者は右打ち領域30bに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球は右打ち領域30bを流下して、大入賞口39に入球可能となる。大入賞口39には前後方向にスライド可能な大入賞口用スライド板39aが設けられている。大入賞口用スライド板39aが、前方にスライドすると大入賞口39を閉鎖する一方、後方にスライドすると大入賞口39を開放する。大当り遊技状態において、大入賞口用スライド板39aは、所定のタイミングで複数回、大入賞口39を開放する。大当り遊技状態の開始から終了までの間に開放した大入賞口39に遊技球を入球させることにより、多数個(例えば2000個)の賞球が遊技者に付与される。
【0037】
また、上記した大当り遊技状態が終了した場合には、時短状態に移行する。時短状態においては、遊技者は右打ち領域30bに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球がゲート37を通過すると、普通図柄の電子抽選が実行される。普通図柄の電子抽選に当選すると、第2始動入賞口38に遊技球が入球可能となる。第2始動入賞口38には前後方向にスライド可能な第2始動入賞口用スライド板38aが設けられている。第2始動入賞口用スライド板38aが、前方にスライドすると第2始動入賞口38を閉鎖する一方、後方にスライドすると第2始動入賞口38を開放する。普通図柄の電子抽選に当選すると、第2始動入賞口用スライド板38aが所定のタイミングで複数回、第2始動入賞口38を開放する。遊技球が第2始動入賞口38に入球した場合には、再び大当たりの電子抽選が行われるとともに、所定個数(例えば1個)の賞球が付与される。なお、第2始動入賞口38の入球を契機として大当たりの電子抽選が行われる回数は、予め定められた規定回数(例えば100回)に設定されている。規定回数以内に大当たりの電子抽選に当選しなかった場合には、時短状態を終了させて遊技者は再び左打ち領域30aに向かって遊技球を打ち出すことになる。
【0038】
[遊技の進行の概略]
パチンコ機Pの遊技状態には、通常状態(非時短状態)と、通常状態と大当りの確率は同一であるが通常状態よりも特別図柄の変動効率が向上する時短状態とがある。なお、本実施形態において、特別図柄を特図と省略し、普通図柄を普図と省略することがある。また、第1特別図柄を特
図1、第2特別図柄を特
図2と省略することがある。
【0039】
パチンコ機Pでは、遊技状態が通常状態である場合には、遊技者は遊技領域30の左方を狙って発射操作(いわゆる左打ち操作)を行うのが有利である。通常状態は、パチンコ機Pの初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に所定の復帰処理を実行しなかったとき)と同一に制御される状態である。通常状態において、パチンコ機Pが備える操作ハンドル15への遊技者による回転操作により、左打ち操作を行い、第1始動入賞口31に遊技球が進入すると、第1特別図柄表示装置334(
図24参照)による第1特別図柄の変動表示が開始される。なお、通常状態では第2始動入賞口用スライド板38aが突出する時間が極めて短いため、通常状態中に第2始動入賞口38に遊技球が入賞することは不可能である。
【0040】
なお、特別図柄の変動表示の実行中の期間、大当り遊技状態、小当り遊技状態に制御されている期間に、遊技球が始動入賞口へ入賞した場合(始動入賞が発生したが当該始動入賞に基づく特別図柄の変動表示を直ちに実行できない場合)には、当該入賞に基づく特別図柄の変動表示は所定の上限数(例えば4)までその実行が保留される。
【0041】
第1特別図柄の変動表示において大当り図柄が停止表示されれば、「大当り」となり、大当り図柄とは異なる小当り図柄が停止表示されれば、「小当り」となる。また、はずれ図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。
【0042】
第1特別図柄の変動表示での表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。大当り遊技状態ではパチンコ機Pが備える操作ハンドル15への遊技者による回転操作により、右打ち操作が行われる。
【0043】
大当り遊技状態では、大入賞口39が所定の態様で開放状態となる。当該開放状態は、所定期間(例えば29秒間)の経過タイミングと、大入賞口39に進入した遊技球の数が所定個数(例えば10個)に達するまでのタイミングと、のうちのいずれか早いタイミングまで継続される。前記所定期間は、1ラウンドにおいて大入賞口39を開放することができる上限期間であり、以下、開放上限期間ともいう。このように大入賞口39が開放状態となる1のサイクルをラウンド(ラウンド遊技)という。大当り遊技状態では、当該ラウンドが所定の上限回数に達するまで繰り返し実行可能となっている。
【0044】
大当り遊技状態においては、遊技者は、遊技球を大入賞口39に進入させることで、賞球を得ることができる。従って、大当り遊技状態は、遊技者にとって有利な状態である。大当り遊技状態におけるラウンド数が多い程、また、開放上限期間が長い程遊技者にとって有利となる。
【0045】
なお、「大当り」には、大当り種別が設定されている。例えば、大入賞口の開放態様(ラウンド数や開放上限期間)や、大当り遊技状態後の遊技状態(通常状態、時短状態など)を複数種類用意し、これらに応じて大当り種別が設定されている。大当り種別として、多くの賞球を得ることができる大当り種別や、賞球の少ないまたはほとんど賞球を得ることができない大当り種別が設けられていてもよい。
【0046】
大当り遊技状態が終了した後は、上記大当り種別に応じて、時短状態に制御されることがある。本実施形態では、全ての大当りで時短状態に制御される。大当り遊技を終了し、遊技状態が時短状態に制御されると、遊技者は遊技領域の右方を狙って発射操作(右打ち操作、右打ちとも称する)を行うのが有利である。パチンコ機Pが備える操作ハンドル15への遊技者による回転操作により、右打ち操作を行い、遊技球がゲート37を通過すると、普通図柄表示装置333(
図24参照)による普通図柄の変動表示が開始される。なお、前回の普通図柄の変動表示の実行中の期間等に遊技球がゲート37を通過した場合(遊技球がゲート37を通過したが当該通過に基づく普通図柄の変動表示を直ちに実行できない場合)には、当該通過に基づく普通図柄の変動表示は所定の上限数(例えば4)まで保留される。
【0047】
この普通図柄の変動表示では、普図当り図柄が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図当り」となる。その一方、普図当り図柄以外の普通図柄(普図はずれ図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図はずれ」となる。「普図当り」となると、第2始動入賞口用スライド板38aを所定期間開放状態とする開放制御が行われる(第2始動入賞口38が開放状態になる)。
【0048】
時短状態では、普図図柄の変動表示で「普図当り」となる確率は、通常状態(非時短状態)と同一確率であるが、普通図柄の変動表示で「普図当り」となったときの第2始動入賞口38の開放期間が非時短状態よりも長くなることがある。具体的には、本実施形態では、第2始動入賞口38の開放態様として、遊技球の入賞が不可能なように第2始動入賞口38が極めて短い時間開放されるショート開放と、ショート開放よりも長時間の開放であり、複数の遊技球の入賞が可能なように第2始動入賞口38が開放されるロング開放とがある。そして、非時短状態ではショート開放のみであるが、時短状態ではロング開放が行われることがある。これにより、通常状態で第2始動入賞口用スライド板38aに遊技球を進入させることは不可能であるが、時短状態では第2始動入賞口用スライド板38aに遊技球を進入させることが可能になる。さらに、時短状態では、普通図柄の変動表示の時間も非時短状態より短くなる。
【0049】
そして、ロング開放が行われたときには、第2始動入賞口38に複数の遊技球を入賞させることができるため、特別図柄の保留記憶(以下、「特図保留」と略すことがある)が発生しやすくなる。また、時短状態では、特別図柄の変動時間が通常状態よりも短くなる。よって、時短状態では、ロング開放によって通所状態よりも第2始動入賞口38に遊技球が入賞しやすくなり、また、特別図柄の変動時間が通常状態よりも短くなるので、通常状態よりも特別図柄が変動表示されやすくなる。
【0050】
時短状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるといった、所定の終了条件が成立するまで継続する。そして、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されたことが終了条件となるものを、回数切り(回数切り確変等)ともいう。
【0051】
第2始動入賞口用スライド板38aに形成された第2始動入賞口38に遊技球が進入すると、第2特別図柄表示装置335(
図24参照)による第2特別図柄の変動表示が開始される。
【0052】
第2特別図柄の変動表示において、大当り図柄が停止表示されれば、「大当り」となり、大当り図柄とは異なる小当り図柄が停止表示されれば、「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なるはずれ図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。
【0053】
第2特別図柄の変動表示での表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。また、第2特別図柄の変動表示での表示結果が「小当り」になった後には、小当り遊技状態に制御される。
【0054】
小当り遊技状態では、大入賞口39が所定の態様で開放状態となる。当該開放状態は、所定期間(例えば29秒間)の経過タイミングと、大入賞口39に進入した遊技球の数が所定個数(例えば10個)に達するまでのタイミングと、のうちのいずれか早いタイミングまで継続される。小当り遊技状態では、1ラウンドのみ実行可能となっている。
【0055】
そして、小当り遊技状態において、大入賞口39に進入した遊技球が特定領域39bを通過すると、小当り遊技状態の終了後に大当り遊技状態に制御される。このとき、小当り遊技状態が1ラウンド目とされ、2ラウンド目から大当り遊技状態が開始される。
【0056】
一方で、大入賞口39に進入した遊技球が非特定領域39cを通過すると、大当り遊技状態に発展することなく小当り遊技状態は終了する。大当り遊技状態に制御されることなく小当り遊技状態が終了した後は、遊技状態の変更が行われず、特別図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御される。
【0057】
[演出の進行など]
パチンコ機Pでは、遊技の進行に応じて種々の演出が実行される。当該演出は、液晶表示器42に各種の演出画像を表示することによって行われる。
【0058】
遊技の進行に応じて実行される演出として、液晶表示器42に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア42L、42C、42Rでは、第1特別図柄の変動表示または第2特別図柄の変動表示、普通図柄の変動表示が開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。第1特別図柄の変動表示や第2特別図柄の変動表示において表示結果(確定特別図柄ともいう。)が停止表示されるタイミングでは、演出図柄の変動表示の表示結果となる確定演出図柄(3つの演出図柄の組合せ)も停止表示される。同様に、普通図柄の変動表示において表示結果(確定普通図柄ともいう。)が停止表示されるタイミングでは、演出図柄の変動表示の表示結果となる確定演出図柄(3つの演出図柄の組合せ)も停止表示される。
【0059】
演出図柄の変動表示が開始されてから終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示の態様が所定のリーチ態様となることがある。ここで、リーチ態様とは、液晶表示器42の画面上にて停止表示された演出図柄が後述の大当り組合せや小当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動表示が継続している態様などのことである。
【0060】
また、演出図柄の変動表示中に上記リーチ態様となったことに対応してリーチ演出が実行される。パチンコ機Pでは、演出態様に応じて表示結果(特別図柄の変動表示の表示結果や演出図柄の変動表示の表示結果)が「大当り」となる割合(大当り信頼度、大当り期待度とも呼ばれる。)や「小当り」となる割合(小当り信頼度、小当り期待度とも呼ばれる。)が異なる複数種類のリーチ演出が実行される。リーチ演出には、例えば、ノーマルリーチと、ノーマルリーチよりも大当り信頼度の高いスーパーリーチと、がある。
【0061】
特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」となるときには、液晶表示器42の画面上において、演出図柄の変動表示の表示結果として、予め定められた大当り組合せとなる確定演出図柄が導出される(演出図柄の変動表示の表示結果が「大当り」となる)。例えば、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア42L、42C、42Rにおける所定の有効ライン上に同一の演出図柄(例えば、「7」等)が揃って停止表示される。
【0062】
特別図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となるときには、液晶表示器42の画面上において、演出図柄の変動表示の表示結果として、予め定められた小当り組合せとなる確定演出図柄(例えば、「1 3 5」等)が導出される(演出図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となる)。例えば、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア42L、42C、42Rにおける所定の有効ライン上にチャンス目を構成する演出図柄が停止表示される。
【0063】
特別図柄の変動表示の表示結果が「はずれ」となる場合には、演出図柄の変動表示の態様がリーチ態様とならずに、演出図柄の変動表示の表示結果として、非リーチ組合せの確定演出図柄(「非リーチはずれ」ともいう。)が停止表示される(演出図柄の変動表示の表示結果が「非リーチはずれ」となる)ことがある。また、表示結果が「はずれ」となる場合には、演出図柄の変動表示の態様がリーチ態様となった後に、演出図柄の変動表示の表示結果として、大当り組合せでない所定のリーチ組合せ(「リーチはずれ」ともいう)の確定演出図柄が停止表示される(演出図柄の変動表示の表示結果が「リーチはずれ」となる)こともある。
【0064】
パチンコ機Pが実行可能な演出には、保留表示や変動表示中表示を表示することも含まれる。また、他の演出として、例えば、大当り信頼度を予告する予告演出等が演出図柄の変動表示中に実行される。予告演出には、実行中の変動表示における大当り信頼度を予告する予告演出や、実行前の変動表示(実行が保留されている変動表示)における大当り信頼度を予告する先読み予告演出がある。先読み予告演出(以下、先読み演出と称することもある)として、変動表示対応表示(保留表示やアクティブ表示)の表示態様を通常とは異なる態様に変化させる演出が実行されるようにしてもよい。
【0065】
また、液晶表示器42において、演出図柄の変動表示中に演出図柄を一旦仮停止させた後に変動表示を再開させることで、1回の変動表示を擬似的に複数回の変動表示のように見せる擬似連演出を実行するようにしてもよい。
【0066】
なお、小当り遊技状態中と、一部の大当り種別(小当り遊技状態と同様の態様の大当り遊技状態の大当り種別で、例えばその後の遊技状態を高確状態とする大当り種別)での大当り遊技状態とで、共通の演出を実行することで、現在が小当り遊技状態中であるか、大当り遊技状態中であるかを遊技者に分からないようにしてもよい。そのような場合であれば、小当り遊技状態の終了後と大当り遊技状態の終了後とで共通の演出を実行することで、高確状態であるか低確状態であるかを識別できないようにしてもよい。
【0067】
また、例えば特別図柄の変動表示等が実行されていないときには、液晶表示器42にデモ(デモンストレーション)画像が表示される。
【0068】
次に、
図5を参照して、内ガイドレール28の先端部に設けられた球戻り防止機構の概観構成について説明する。
図5は内ガイドレール28の斜視図である。
【0069】
図5に示すように、内ガイドレール28の先端部には、遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを防止する球戻り防止機構50が設けられている。球戻り防止機構50は、本体ケース52と、カバー53と、球戻り防止部材(変位部材)54と、を備える。本体ケース52、カバー53、および球戻り防止部材54はいずれも合成樹脂材料から成る成形品である。これら本体ケース52、カバー53および球戻り防止部材54が組み合わされることで球戻り防止機構50が形成される。上述したように、球戻り防止機構50は、内ガイドレール28がアクリル板5aに取り付けられた状態では、境界領域700に配置される。
【0070】
次に、
図6~
図8を参照して、球戻り防止機構50の詳細な構成について説明する。
図6は球戻り防止機構50の前面斜視図、
図7は球戻り防止機構50の背面斜視図、
図8は球戻り防止機構50の分解斜視図である。
【0071】
図6~
図8に示すように、本体ケース52は、内ガイドレール28の上端部に一体形成されており、底面部52aと、底面部52aの一端から立設された側面部52bと、を有する。底面部52aおよび側面部52bによって囲まれた空間が、切欠部Sとなっている。切欠部Sは、透明板11と対向する前面側、および境界領域700と対向する上面側を開放している(
図8参照)。切欠部Sの上部開口端は、ストッパ壁52cとなっている。ストッパ壁52cは、遊技領域30の近傍に位置する側面部52bの上端部に形成されており、その上端部を幅方向に横切る円柱状の壁面となっている。
【0072】
本体ケース52の底面部52aには、第1軸受部52d、およびガイド溝52eが形成されている。ガイド溝52eは、第1軸受部52dを中心とする仮想円に沿って略円弧状に延びている。また、底面部52aには、第1ネジ孔52fおよび第1位置決めピン52gが設けられている(
図8参照)。底面部52aの背面側には、第2位置決めピン52hが設けられており(
図7参照)、この第2位置決めピン52hがアクリル板5aの孔部(図示せず)に挿入されることで球戻り防止機構50がアクリル板5aに位置決めされる。
【0073】
カバー53は、板状に形成されており、第2ネジ孔53aおよび位置決め孔53bを有する。また、カバー53の背面側には、第2軸受部53cが形成されている。底面部52aの第1位置決めピン52gを位置決め孔53bに挿入するとともに、ネジ55を第2ネジ孔53aおよび底面部52aの第1ネジ孔52fに挿入することで、カバー53が切欠部Sの前面側を塞いだ状態で本体ケース52に取り付けられる。
【0074】
球戻り防止部材54は、軸孔54aと、開閉弁54bと、錘部54cと、を有する。開閉弁54bおよび錘部54cは、軸孔54aを境にくの字状に屈曲するように形成されている。軸孔54aには支軸56が挿通されており、この支軸56の一端部が底面部52aの第1軸受部52dに係止され、他端部がカバー53の第2軸受部53cに係止されている。これにより、球戻り防止部材54は、本体ケース52およびカバー53に回動可能に支持される。
【0075】
開閉弁54bは略矩形板状に形成されており、その長手方向(鉛直方向)の長さは、遊技領域30から境界領域700に戻ってきた遊技球が衝突するのに十分な長さとなっている。開閉弁54bは、案内通路29と対向する第1側面部540bと、第1側面部540bと反対側であって遊技領域30(左打ち領域30a)と対向する第2側面部541bと、を有する(
図9参照)。第1側面部540bは、発射装置16から発射され、案内通路29を通過した遊技球と衝突する部分である。第2側面部541bは、遊技領域30から案内通路29に戻ろうとする遊技球と衝突する部分である。
【0076】
開閉弁54bの先端部は先細に形成されている。具体的には、第1側面部540bの鉛直方向の長さは、第2側面部541bの鉛直方向の長さよりも長くなっており、第1側面部540bの先端部から第2側面部541bの先端部に向かって下方傾斜している。また、第2側面部541bの中央部には、遊技領域30に向かって突出する突出部541cが形成されている。
【0077】
錘部54cは開閉弁54bよりも肉厚であって重量が大きい。錘部54cの背面側には、係合ピン54dが突設されており、この係合ピン54dが底面部52aのガイド溝52eに挿入されている(
図7参照)。球戻り防止部材54は、上述したように本体ケース52およびカバー53に回動可能に支持されており、開状態と閉状態との間で変位可能となっている。常態では、球戻り防止部材54は、錘部54cの自重によって支軸56を中心にして一方向(反時計回り)に回動するように付勢されており、係合ピン54dがガイド溝52eの一端部に当接している。これにより、球戻り防止部材54は、それ以上回動できず、閉状態を維持している。一方で、球戻り防止部材54は、発射装置16から発射された遊技球と接触することで、その接触力により支軸56を中心にして他方向(時計回り)に回動して、上述したストッパ壁52cに当接することで開状態となる。
【0078】
次に、
図9および
図10を参照して、球戻り防止部材54が、閉状態(第1状態)にあるときの球戻り防止機構50と、開状態(第2状態)にあるときの球戻り防止機構50について説明する。
図9は球戻り防止部材54が閉状態にあるときの球戻り防止機構50の正面図、
図10は球戻り防止部材54が開状態にあるときの球戻り防止機構50の正面図である。
【0079】
図9に示すように、球戻り防止部材54が閉状態(第1状態)にあるとき、開閉弁54bが切欠部Sの上面開口から境界領域700の出口に向かって略垂直な姿勢で突出している。この状態においては、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)は、遊技球Bの直径よりも短く、かつ、最短となっている。なお、この距離は、球戻り防止部材54の開閉弁54b(第1側面部540b)の先端部から外ガイドレール27までの最短の距離を意味する。そのため、一旦遊技領域30に進入した遊技球が、遊技釘36等に衝突して境界領域700に向かって跳ね戻されても、球戻り防止部材54に衝突することになる。また、球戻り防止部材54は、遊技球に衝突されても閉状態を維持するため、反時計回りに回動することもない。よって、球戻り防止部材54は、閉状態にあるとき、遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを防止する。
【0080】
図9に示した状態で発射装置16から遊技領域30に向かって発射された遊技球Bが案内通路29を上昇し、境界領域700に侵入して開閉弁54bに接触すると、その接触力で球戻り防止部材54は閉状態から開状態に変位可能となる。そして、
図10に示すように、球戻り防止部材54は、境界領域700の出口を開放する方向へ回動していき、ストッパ壁52cに衝突すると、それ以上の回動が規制されて開状態(第2状態)となる。この状態においては、開閉弁54b(第1側面部540b)の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)は、遊技球Bの直径よりも長く、かつ、最長となっている。よって、球戻り防止部材54は、開状態にあるとき、発射装置16により発射された遊技球が境界領域700から遊技領域30に進入することを許容する。なお、球戻り防止部材54は、開状態に変位した後、錘部54cの付勢力を受けて逆方向(反時計周り)へ瞬時に回動して再び
図9に示した閉状態に変位する。
【0081】
上述したように、球戻り防止機構50は、球戻り防止部材54が閉状態にあるときに遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを防止するように構成されているが、本実施形態では、さらに、球戻り防止部材54が閉状態から開状態に変位する途中の状態(第3状態)でも遊技球の案内通路(案内領域)29への戻りを防止できるようになっている。
【0082】
図11は、球戻り防止部材54が閉状態から開状態に変位している途中の状態において、遊技領域30(左打ち領域30a)に進入した遊技球が境界領域700に戻ろうとしている様子を示す図、
図12および
図13は
図11に示す点線で囲まれた領域の拡大図である。
【0083】
図11では、発射装置16から遊技領域30に向けて発射された一の遊技球(第1遊技球)B1が、案内通路29から境界領域700に進入し、球戻り防止部材54(開閉弁54b)、外ガイドレール27および他の遊技球(第2遊技球)B2に接している。
図12では、一の遊技球B1と開閉弁54bの第1側面部540bとの接点を符号P1、外ガイドレール27との接点を符号P2、他の遊技球B2との接点を符号P3で示している。
【0084】
また、他の遊技球B2は、遊技領域30から境界領域700に進入し、球戻り防止部材54の先端部、外ガイドレール27および一の遊技球B1に接している。
図12では、他の遊技球B2と開閉弁54bの先端部との接点を符号P4、外ガイドレール27との接点を符号P5、他の遊技球B2の最下点を符号P6で示している。
【0085】
図12に示す状態では、球戻り防止部材54の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)は、閉状態(
図9参照)のときよりも長く開状態(
図10参照)のときよりも短くなっている。換言すれば、閉状態と開状態との間の距離になっている。しかも、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部から外ガイドレール27までの距離H1は、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27までの距離H2よりも短い。換言すれば、他の遊技球B2と球戻り防止部材54の先端部との接点P4から外ガイドレール27までの距離H1は、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27までの距離H2よりも短い。つまり、球戻り防止部材54の先端部から外ガイドレール27に下した垂線線L1の長さH1は、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27に下した垂線線L2の長さH2よりも短くなっている。
【0086】
また、
図13に示すように、球戻り防止部材54が上記した途中の状態にあるとき、他の遊技球B2と球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部との接点P4から他の遊技球B2と一の遊技球B1との接点P3までの距離H3が、他の遊技球の最下点P6から接点P3までの距離H4よりも短い。つまり、接点P4と接点P3とを結ぶ線分L3の長さは、最下点P6と接点P3とを結ぶ線分L4の長さよりも短くなっている。
【0087】
また、
図12および
図13に示すように、球戻り防止部材54が上記した途中の状態にあるとき、球戻り防止部材54は、その先端部が他の遊技球B2の最下点P6に至るほど回動していない。具体的には、球戻り防止部材54の先端部は、鉛直方向において遊技球B2の最下点P6よりも高い位置にあり、水平方向において遊技球B2の最下点P6よりも左側(案内通路29側)に位置している。つまり、球戻り防止部材54の先端部は、最下点P6に対して左上に位置している。
【0088】
上記のような遊技球B1と遊技球B2との衝突後に、遊技球B2が、案内通路29に戻ろうとしても、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部に遊技領域30側から接触することになる。そのため、球戻り防止部材54は、遊技領域30側から案内通路29側に向かう接触力を付与されて反時計回りに回動する可能性が高くなる。したがって、球戻り防止部材54は遊技球B1と遊技球B2との衝突時よりも境界領域700の出口を塞いでいき、遊技球B2が案内通路29に戻ることは困難となる。その結果、
図11に示すような遊技球B1と遊技球B2との衝突時でも、遊技球B2が案内通路29に戻ることを抑制できる。つまり、遊技球が2球連続して案内通路29に戻ることを抑制できる。
【0089】
なお、
図11に示すような遊技球B1と遊技球B2との衝突時において、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)H1が、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27までの距離H2よりもよりも長くなっていると、その衝突後に遊技球B2が、球戻り防止部材54の先端部と外ガイドレール27との間に入り込むことが可能になる。そうすると、遊技球B2は、球戻り防止部材54の先端部にその上方から接触することが可能になるため、球戻り防止部材54は時計回りに回動する可能性が高くなる。よって、球戻り防止部材54は遊技球B1と遊技球B2との衝突時よりも境界領域700の出口を開いていき、遊技球B2が案内通路29に戻ることを抑制できない。
【0090】
このように、本実施形態に係るパチンコ機Pは、従来のパチンコ機に比べて、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止について十分な改善が行われているが、以下に示すように、球戻り防止機構50と遊技球との引っ掛かりを防止することで更なる戻り防止の改善を図っている。そこで、
図14を参照して、球戻り防止機構50と遊技球との引っ掛かりを防止について説明する。
図14は、遊技領域30から境界領域700に戻ってきた遊技球Bが球戻り防止部材54と衝突している状態を示す図である。
【0091】
図14に示すように、遊技球Bが、遊技領域30から境界領域700に戻ってきて球戻り防止部材54の開閉弁54bおよび本体ケース52と接している。具体的には、遊技球Bは、閉状態にある開閉弁54bの突出部541cと接し、かつ、本体ケース52の上端部(ストッパ壁52c)と接している。
図14では、遊技球Bと、開閉弁54bの突出部541cとの接点を符号P7、本体ケース52の上端部との接点をP8で示し、遊技球Bの最左点をP9で示している。
【0092】
このような状態において、遊技球Bと開閉弁54bの突出部541cとの接点P7は、鉛直方向において遊技球Bの最左点P9よりも下方に位置している。また、遊技球Bと本体ケース52の上端部との接点P8は、水平方向において遊技球Bの最下点P6よりも左側に位置しており、鉛直方向において遊技球Bの最下点P6よりも上方に位置している。つまり、接点P8は、最下点P6に対して左上に位置している。そして、接点P7から接点P8までの距離(第1距離)H5は、遊技球Bの最左点P9から最下点P6までの距離(第2距離)H6よりも短くなっている。そのため、遊技球Bは、本体ケース52における境界領域700と対向する上面側の開口(
図8参照)と、開閉弁54bの第2側面部541bにおける突出部541cよりも基端部側の部分と、の間の隙間領域SPに入り込めないようになっている。しかも、
図14の点線矢印で示すように、遊技球Bは、球戻り防止部材54との衝突時に、開閉弁54bの突出部541cから右方に力を付与され、本体ケース52の上端部から右斜め上方に力を付与されることで、遊技領域30に跳ね返る。そのため、遊技球Bが隙間領域SP内に入り込むことで球戻り防止機構50の開閉弁54bと本体ケース52との間に引っ掛かかることを防止できる。よって、そのような遊技球Bの引っ掛かりに起因する球戻り防止機構50の戻り防止が損なわれることがない。したがって、球戻り防止機構50の戻り防止を安定して確保できので、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止をさらに向上させることができる。
【0093】
このように構成された本実施形態に係るパチンコ機Pによれば、以下の効果を奏することができる。
【0094】
本実施形態に係るパチンコ機Pは、外ガイドレール(外レール)27と内ガイドレール(内レール)28との間の領域であって、発射された遊技球を遊技領域30に案内する案内通路(案内領域)29と、遊技球が遊技領域30から案内通路29に戻ることを防止する球戻り防止機構50と、を備え、球戻り防止機構50は、閉状態(第1状態)と、開状態(第2状態)と、閉状態から開状態に変位する途中の状態(第3状態)と、に変位可能な開閉弁(変位部材)54bを有し、開閉弁54bは、外ガイドレール27と対向する側面部と、側面部の先端側の先端部と、を有し、先端部から外ガイドレール27までの距離を特定距離H1とし、案内通路29から遊技領域30に案内される遊技球を一の遊技球B1とし、遊技領域30から案内通路29に戻ろうとする遊技球を他の遊技球B2とすると、閉状態は、特定距離が開状態より短い状態であり、開状態は、特定距離が閉状態より長い状態であり、閉状態から開状態に変位する途中の状態は、一の遊技球B1が側面部と外ガイドレール27と他の遊技球B2と接し、他の遊技球B2が先端部と外ガイドレール27と一の遊技球B1と接することで、特定距離H1が開状態より長く閉状態より短く、かつ、他の遊技球B2の最下点から外ガイドレール27までの距離H2より短い状態であることを特徴とする。そのため、球戻り防止機構50は、球戻り防止部材54(開閉弁54b)が閉状態にあるときに遊技領域30に進入した遊技球が戻ることを防止するだけでなく、球戻り防止部材54が閉状態から開状態に変位している途中でも、遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを抑制できる。したがって、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pは、外ガイドレール(外レール)27と内ガイドレール(内レール)28との間の領域であって、発射された遊技球を遊技領域30に案内する案内通路(案内領域)29と、遊技球が遊技領域30から案内通路29に戻ることを防止する球戻り防止機構50と、を備え、球戻り防止機構50は、閉状態(第1状態)と、開状態(第2状態)と、に変位可能な開閉弁(変位部材)54bと、開閉弁54bを保持可能な本体ケース(保持部材)52と、を有し、開閉弁54bは、遊技領域30と対向する第2側面部(側面部)541bと、第2側面部541bの先端側の先端部と、を有し、先端部から外ガイドレール27までの距離を特定距離とすると、閉状態は、特定距離が開状態よりも短い状態であり、開状態は、特定距離が閉状態よりも長い状態であり、本体ケース52は、開状態において開閉弁54bの第2側面部541bと当接するストッパ壁(接する接部)52cを有し、遊技球は、閉状態においてストッパ壁52cと第2側面部541b(の突出部541c)に接する場合があり、閉状態において、遊技球とストッパ壁52cの接点P8から遊技球と第2側面部541b(の突出部541c)の接点P7までの距離を第1距離H5とし、遊技球の最下点P6から最左点P9までの距離を第2距離H6とすると、第1距離H5は、第2距離H6よりも短いことを特徴とする。したがって、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止をさらに向上させることができる。
【0096】
次に、
図15および
図16を参照して、上述した始動口ユニット(樹脂部材)60の構成について説明する。
図15は始動口ユニット60を示す前面斜視図、
図16は始動口ユニット60を示す背面斜視図である。
【0097】
図15および
図16に示すように、始動口ユニット60は、遊技盤5(アクリル板5a)の下縁部の形状に合わせて、全体として湾曲した細長い形状をした樹脂製の部材である。始動口ユニット60は、始動口ベース61と、始動口ベース61の全面に固定される第1前飾り部62および第2前飾り部63と、を有する。
【0098】
始動口ベース61は、略台形状の第1板状部64、略三角形状の第2板状部65と、第1板状部64と第2板状部65とを連結する連結部66と、を有する。第1板状部64の前面(第2面)は、遊技領域30を流下する遊技球と接する。第1板状部64の背面(第1面)は、後述する取付ベース部を介してアクリル板5aと接する。
【0099】
第1板状部64の前面には、第1前飾り部62が固定されている。なお、図示は省略するが、第1前飾り部62の背面には固定ピンが突出するように形成されており、この固定ピンを第1板状部64に形成された固定ピン用貫通孔に挿入することで、第1前飾り部62が第1板状部64に取り付けられる。
【0100】
第1前飾り部62は、遊技盤5のアクリル板5aと協働して第1始動入賞口31を形成する略コの字形状の始動口形成部62aと、始動口ベース61と協働してアウト口32を形成する第1アウト口形成部62bおよび第2アウト口形成部62cと、を有する。第1アウト口形成部62bは始動口形成部62の左側に設けられ、第2アウト口形成部62cは始動口形成部62の右側に設けられる。
【0101】
第1板状部64の背面の四隅にはそれぞれ、所定の厚みを有する取付ベース部(第1樹脂部)69が形成されている。各取付ベース部69は、第1板状部64がアクリル板5aに取り付けられたときにアクリル板5aの前面と接する平坦状の部分である。これら取付ベース部69のうち、第1板状部64の背面における右上隅部、右下隅部、および左下隅部に形成された3つの取付ベース部69には、ネジ(固定部材)(
図17の符号71)が挿入されるネジ孔(第1孔部)67と、アクリル板5aに対する始動口ベース61の取り付け位置を決めるピン(位置決め突部)68と、が対を成し、所定間隔を設けて隣接して形成されている。ネジ孔67は、第1板状部64の前面から取付ベース部69の背面に向かって凹んでおり、さらに第1板状部64の前面から取付ベース部69の背面に向かうまで突き抜けている。ピン68は、取付ベース部69の背面から後方に突出するように形成されている。一方、第1板状部64の背面における左上隅部に形成された取付ベース部(第4樹脂部)69には、ネジ孔67だけが形成されており、ピン68は形成されていない。
【0102】
また、第1板状部64は、薄肉部(第2樹脂部)70と、厚肉部(第3樹脂部)75と、を有する。薄肉部70は、第1板状部64の周端部(本例では、上端部)に形成されている部分である。この薄肉部70では、第1板状部64の前面から背面までの長さ(寸法)(つまり、厚み)が、厚肉部75よりも小さく、第1板状部64の周端に向かうほど小さくなっている。一方、厚肉部75は、第1板状部64の周端部以外に形成されている部分である。この厚肉部75では、第1板状部64の前面から背面までの長さが、薄肉部70よりも大きく、概ね一定となっている。
【0103】
第2板状部65の前面には第2前飾り部63が固定されている。第2前飾り部63は、第2板状部65と協働して遊技球を普通入賞口33に案内する通路63aを有する。第2板状部65の背面における右端部には、上記した取付ベース部69が形成されている。この取付ベース部69には、ネジ孔67およびピン68の双方が形成されている。また、第2板状部65は、第1板状部64と同様に、第2板状部65の周端部(本例では、上端部)に形成されている部分である薄肉部70と、第2板状部65の周端部以外に形成されている部分である厚肉部75と、を有する。
【0104】
連結部66は、第1前壁66aおよび第2前壁66bと、これら前壁66a,66bの裏面から突出する複数の湾曲片66cと、を有する。第1前壁66a、第2前壁66bおよび複数の湾曲片66cは、遊技盤5のアクリル板5aと協働して複数の普通入賞口33を形成する。また、第1前壁66aの裏面から突出する湾曲片66cと第2前壁66bの裏面から突出する湾曲片とを接続する接続片66dには、ネジ孔67が形成されている。
【0105】
このように、始動口ベース61では、第1板状部64の背面に設けられた3つの取付ベース部69それぞれに1組のネジ孔67およびピン68が形成され、第2板状部65の背面に設けられた1つの取付ベース部69に1組のネジ孔67およびピン68が形成されている。また、第1板状部の背面に設けられた1つの取付ベース部69にネジ孔67のみが形成され、連結部66の接続片66dに1つのネジ孔67が形成されている。
【0106】
次に、
図17を参照して始動口ユニット60の遊技盤5(アクリル板5a)への取り付けについて説明する。
図17は始動口ユニット60のアクリル板5aへの取り付けを示す斜視図である。なお、
図17においては、説明の便宜上、始動口ユニット60において第1前飾り部64および第2前飾り部65は図示していない。
【0107】
図17に示すように、アクリル板5aの前面には、始動口ベース61のネジ孔67に挿入されたネジ71を挿入する複数(本例では6つ)のネジ用貫通孔(第2孔部)72、および始動口ベース61のピン68(
図15および
図16参照)が挿入される複数(本例では4つ)のピン用貫通孔(位置決め孔部)73が形成されている。始動口ユニット60(始動口ベース61)をアクリル板5aの前面に取り付ける際には、まず、始動口ベース61のピン68をアクリル板5aのピン用貫通孔73に挿入する。この際に、始動口ベース61の第1板状部64に形成された3つのピン68と第2板状部65に形成された1つのピンをそれぞれ、アクリル板5aのピン用貫通孔73に挿入することで始動口ユニット60をアクリル板5aに対して位置決めする。次に、ネジ71を始動口ベース61のネジ孔67を通してアクリル板5aのネジ用貫通孔72に螺合する。この際に、第1板状部64に形成された4つのネジ孔67、第2板状部65に形成された1つのネジ孔67、および連結部66の接続片66dに形成された1つのネジ孔67を通してネジ71をアクリル板5aのネジ用貫通孔72に螺合する。これにより、始動口ユニット60をアクリル板5aの前面に固定できる。
【0108】
次に、
図18および
図19を参照して、始動口ベース61のネジ孔67およびピン68の配置について説明する。
図18は、遊技盤5の遊技領域30における始動口ユニット60周辺の拡大正面図、
図19は
図18に示す点線枠部の拡大図である。
【0109】
図18に示すように、第2板状部65において、取付ベース部69のピン68は、厚肉部75に形成されており、薄肉部70に形成されていない。具体的には、取付ベース部69は第2板状部65の厚肉部75の背面に形成されており、この取付ベース部69のピン68も厚肉部75の背面に形成されている。また、
図19に示すように、第1板状部64において、その背面の右上隅部に形成されたピン68は、厚肉部75に形成されており、薄肉部70に形成されていない。具体的には、そのピン68は、厚肉部75と薄肉部70との境界線に沿ってネジ孔67と並ぶように厚肉部75の背面に形成されている。また、第1板状部64の背面における左下隅部および右下隅部は厚肉部75となっており、この厚肉部75の背面の取付ベース部69にピン68が形成されている。
【0110】
なお、第1板状部64の背面における左上隅部の取付部(第4樹脂部)にはピンは形成されていないが、仮にこの位置にピンが形成されると、このピンが遊技領域30を流下した遊技球から比較的大きな衝撃を受けて破損する虞がある。よって、このような事態を予め防ぐため、この位置にピンを形成しないようにしている。
【0111】
次に、
図20を参照して、始動口ベース61に形成されたネジ用貫通孔72の径、ピン用貫通孔73の径、およびピン68の長さ(寸法)の詳細について説明する。
図20は
図18のXX-XX線断面図である。なお、
図20においては、説明の便宜上ハッチングを施していない。
【0112】
図20に示すように、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ用貫通孔72の径R2と概ね等しい(R1≒R2)。また、ピン68の径R3は、始動口ベース61の第2板状部65の厚みT1よりも小さく(R3<T1)、具体的には、ピン68の径R3はD1の70%以下であることが好ましい(R3≦0.7D1)。ここで、第2板状部65の厚みT1は、ピン68が形成された範囲における第2板状部65の前面から取付ベース部69の背面までの長さ(寸法)である。さらに、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、ネジ71がネジ用貫通孔72に挿入されている部分の長さD2よりも小さい(D1<D2)。
【0113】
このように構成された本実施形態に係る遊技盤5によれば、以下の効果を奏することができる。
【0114】
始動口ベース61のピン68の径R3は、第2板状部65の厚みT1よりも小さくなっているので、樹脂材料を射出成型することで形成される始動口ベース61にヒケが生じ難くなる。よって、始動口ベース61の不良を抑制できる。
【0115】
また、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、ネジ71がネジ用貫通孔72に挿入されている部分の長さD2よりも小さくなっているので、仮にピンに予期せぬ外力が付与されても、そのピンが折れて破損する可能性を低減できる。よって、始動口ベース61の不良を抑制できる。
【0116】
また、始動口ベース61のピン用貫通孔73の径R2は、ネジ用貫通孔72の径R1と概ね等しいので、アクリル板5aの製造段階においてこれらの貫通孔72,73を纏めて形成できるため、作業効率を上げるとともに作業コストを低減できる。
【0117】
次に、パチンコ機Pの変形例について説明する。
【0118】
(変形例)
図21および
図22を参照して変形例に係る遊技盤500について説明する。
図21は遊技盤500に取り付けられた始動口ベース61の拡大正面図、
図22は
図21のXXII-XXII線断面図である。なお、
図22においては、説明の便宜上ハッチングを施していない。遊技盤500は、始動口ベース61の第2板状部65において、ピン68の位置およびアクリル板5aのピン用貫通孔73の大きさが上記第1実施形態と異なる。
【0119】
図21に示すように、第2板状部65においては、取付ベース部69のネジ孔67とピン68が形成されている位置が異なっている。具体的には、取付ベース部69は第2板状部65の背面における右端部で、薄肉部70と厚肉部75とに跨るように形成されている。そして、この取付ベース部69のネジ孔67は厚肉部75に形成されている一方、ピン68は薄肉部70に形成されている。また、図示は省略しているが、第1板状部64の背面における右上部の取付ベース部69は、薄肉部70と厚肉部75に跨るように形成され、この取付ベース部69のネジ孔67は厚肉部75に形成されている一方、ピン68は薄肉部70に形成されている。なお、ピン68は少なくとも薄肉部70に形成されていれば良く、例えば薄肉部70と厚肉部75とを跨ぐように形成されても良い。また、複数のピン68が形成される場合、それらの一部のピン68が薄肉部70に形成され、残りのピン68が厚肉部75に形成されても良い。
【0120】
図22に示すように、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ用貫通孔72の径R2よりも大きく(R1>R2)、ネジ71の軸部71aの径R4よりも大きく(R1>R4)、ネジ71の頭部71bの径R5よりは小さい(R1<R5)。
【0121】
図23は遊技盤5のアクリル板5aに取り付けられた始動口ベース61と前枠3が保持する透明板11との位置関係を示す断面図である。なお、
図23においては、説明の便宜上ハッチングを施していない。
【0122】
図23に示すように、前枠3が内枠2(
図2参照)に対して閉じられた状態となると、遊技盤5と透明板11とが対向する。この状態において、始動口ベース61の最前端と透明板11との長さ(最短の長さ(寸法))D3は、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1よりも小さい(D3<D1)。具体的には、始動口ベース61の最前端は、連結部66の第1前壁66aおよび第2前壁66bの前面であり、これらの前面と透明板11の背面との間の長さD3は、上記した長さD1よりも小さい。
【0123】
このように構成された変形例に係る遊技盤500によれば、以下の効果を奏することができる。
【0124】
始動口ベース61のピン68の径R3は、ネジ用貫通孔72の径よりも大きく、ネジのネジ71の軸部71aの径よりも大きくなっているので、ピン68の強度を向上でき、ピン68が破損し難くなる。
【0125】
また、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ用貫通孔72の径R2よりも大きく、ネジ71の軸部71aの径R4よりも大きいため、ピン用貫通孔73に挿入されたピン68の外周面と、ピン用貫通孔73の内周面との間に所定の隙間を形成可能となり、挿入時にピン68が破損し難くなる。また、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ71の頭部71bの径R5よりは小さいため、アクリル板5aの耐久性を保持できる。特に、ネジ用貫通孔72とピン用貫通孔73とは互いに近接した位置に形成される場合が多いため、これら貫通孔72,73が形成されるアクリル板5aの領域は耐久性が低減し易い。そこで、このように設計すれば、アクリル板5aの耐久性を保持できるため、極めて有効である。
【0126】
また、ピン68の径R3は、始動口ベース61の第2板状部65の厚みよりも小さいので、樹脂材料を射出成型することで形成される始動口ベース61にヒケが生じ難くなる。
【0127】
さらに、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、ネジ71がネジ用貫通孔72に挿入されている部分の長さD2よりも小さいので、ピン68の突出量を抑えて、ピン68が折れて破損し難くなる。
【0128】
このように、アクリル板5aに取り付けられる始動口ベース61は、上記のような様々な特徴を有しているので、始動口ベース(樹脂部材)61の不良を抑制できる。
【0129】
また、始動口ベース61の第2板状部65の取付ベース部69には、1組のネジ孔67とピン68が形成されているが、このうちネジ孔67は厚肉部75に形成されている一方で、ピン68は薄肉部70に形成されている。そのため、始動口ベース61の周端部を支持して位置決めが行えるので、位置決めされた始動口ベース61を十分に固定でき、始動口ベース61をネジ71によってアクリル板(盤面板)5aに取り付け易くすることができる。また、周端部の薄肉部70にピン68が形成されていない始動口ベース61に比べて、周端部の薄肉部70にピンを配置できる分だけ始動口ベース61を小型化できる。よって、この小型化により、遊技領域30に新たなスペースを形成でき、遊技領域30の設計の自由度を高めることができる。
【0130】
さらに、始動口ベース61の最前端と透明板11との最短の長さD3は、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1よりも小さいので、遊技領域30の前後方向の幅を可能な限り小さくして、設計通りに遊技球を遊技領域30で流下させることができる。一方、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、始動口ベース61の最前端と透明板11との最短の長さD3よりも大きいので、始動口ベース61の位置決めを行える程度の長さD1を確保でき、始動口ベース(樹脂部材)61の不良を抑制できる。
【0131】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0132】
例えば上記実施形態では、
図11において球戻り防止部材54が閉状態と開状態との間の概ね中間の状態まで変位したときを示しているが、この状態に限られず、閉状態と開状態との間の任意の状態に変位したときについても本発明を適用可能である。
【0133】
また、上記実施形態では、
図11において、球戻り防止部材54によって遊技球B2が案内通路29に戻ることを抑制できることを示したが、仮に遊技領域30から境界領域700に戻ってきた遊技球B2に連続して、もう1球別の遊技球Cが境界領域700に戻ってきた場合でも、勿論、球戻り防止部材54によって2球の遊技球(遊技球B2と遊技球C)が案内通路29に戻ることを抑制できる。
【0134】
また、上記実施形態では、球戻り防止機構50は、内ガイドレール28の上端部に一体形成されていたが、この構成に限定されることなく、内ガイドレール28と別個に形成されても良い。
【0135】
また、上記実施形態では、案内通路29と遊技領域30との間に境界領域700が設けられていたが、この構成に限定されることなく、境界領域700は案内通路29に含まれても良い。
【0136】
また、上記実施形態では、開閉弁54bの第2側面部541bには、突出部541cが形成されていたが、この構成に限定されることなく、突出部541cが形成されることなく、第2側面部541bの表面を平坦状にしても良い。
【0137】
また、上記実施形態では、ストッパ壁(接部)52cは、開状態において開閉弁54bの第2側面部541bと当接するよう構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、ストッパ壁52cは、開状態において開閉弁54bの第2側面部541bと圧接するよう構成されても良いし、近接するよう構成されても良い。
【0138】
また、上記実施形態では、本発明の樹脂部材の一例として、始動口ベース61を挙げて説明したが、本発明の技術的思想は、遊技盤5のアクリル板(盤面板)5aに取り付けられる各種樹脂部材に適用できる。例えば樹脂材料で形成されたワープ通路34に本発明の技術的思想を適用しても良い。また、大入賞口や第2始動口を構成するユニットが設けられる場合には、これらのユニットのうちアクリル板5aに取り付けられるベース部材に本発明の技術的思想を適用しても良い。
【0139】
また、上記実施形態では、始動口ベース61は、第1板状部64の背面に設けられた3つの取付ベース部69それぞれに1組のネジ孔67およびピン68が形成され、第2板状部65の背面に設けられた1つの取付ベース部69に1組のネジ孔67およびピン68が形成されていたが、この構成に限定されない。アクリル板5aに取り付けられる部材の形状に応じて取付ベース部69を適宜形成し、形成された取付ベース部69に1組のネジ孔67およびピン68を形成するか、またはネジ孔のみを形成するかを決定できる。
【0140】
また、上記実施形態では、始動口ベース61の第1板状部64および第2板状部65は、その周端部の一部である上端部に薄肉部70を有していたが、この構成に限定されない。本発明の樹脂部材がアクリル板5aに取り付けられる位置に応じて、薄肉部70の位置を適宜決定できる。
【0141】
また、上記実施形態では、始動口ベース61の第1板状部64および第2板状部65の背面に取付ベース部69が形成され、この取付ベース部69にネジ孔67やピン68が形成されていたが、この構成に限定されない。例えば第1板状部64および第2板状部65の背面に取付ベース部69が形成されることなく、これら板状部64,65の背面に直接ネジ孔67やピン68が形成されても良い。この場合、第1板状部64および第2板状部65の背面が遊技盤5のアクリル板5aと接する面となる。
【0142】
[制御上の構成]
次に、パチンコ機Pの制御に関する構成について説明する。
図24は、パチンコ機Pに装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機Pは、制御動作の中枢となる主制御装置70(主制御用コンピュータ)を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機Pにおける遊技の進行を制御する機能を有している。なお、主制御装置70は、主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0143】
また、主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、特別図柄抽選の大当り判定用や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0~65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお、回路基板上(または内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
【0144】
上述したゲート37には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また、遊技盤5には、第1始動入賞口31に対応する第1始動入賞口スイッチ80、第2始動入賞口38に対応する第2始動入賞口スイッチ82、大入賞口39に対応するカウントスイッチ84、大入賞口39の特定領域39bに対応する特定領域スイッチ85a、大入賞口39の非特定領域39cに対応する非特定領域スイッチ85bが設けられている。
【0145】
第1始動入賞口スイッチ80は第1始動入賞口31への遊技球の入球を検出し、第2始動入賞口スイッチ82は第2始動入賞口38への遊技球の入球を検出するためのものである。第1始動入賞口スイッチ80や第2始動入賞口スイッチ82によって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(1個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0146】
また、カウントスイッチ84は、大入賞口39へ入球した数をカウントするためのものである。カウントスイッチ84によって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0147】
特定領域スイッチ85aは、大入賞口39の特定領域39bに遊技球が入球したことを検出するためのものである。また、非特定領域スイッチ85bは、大入賞口39の非特定領域39cに遊技球が入球したことを検出するためのものである。
【0148】
同様に遊技盤5には、普通入賞口33への遊技球の入球を検出する普通入賞口スイッチ81が設けられている。普通入賞口スイッチ81によって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(6個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0149】
これらスイッチ類の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお、遊技盤5の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、普通入賞口スイッチ81、カウントスイッチ84、特定領域スイッチ85a、非特定領域スイッチ85bからの検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
【0150】
上述した普通図柄表示装置333や普通図柄作動記憶ランプ333a、第1特別図柄表示装置334、第2特別図柄表示装置335、第1特別図柄作動記憶ランプ334a、第2特別図柄作動記憶ランプ335aおよび遊技状態表示装置338は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置333,334,335,338およびランプ333a,334a,335aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置333,334,335,338およびランプ333a,334a,335aは、上述したように1枚の統合表示基板90に実装された状態で遊技盤5に設置されており、この統合表示基板90にはパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0151】
また、遊技盤5には、第2始動入賞口用スライド板38aに対応する普通電動役物ソレノイド88、大入賞口用スライド板39aに対応する大入賞口ソレノイド89が設けられている。これらソレノイド88,89は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ、第2始動入賞口用スライド板38a、大入賞口用スライド板39aを開閉動作(作動)させる。なお、これらソレノイド88,89についてもパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0152】
その他に前枠3にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また、内枠2にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。前枠3が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また、外枠1から内枠2が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号から前枠3や内枠2の開放状態を検出することができる。なお、主制御CPU72は、前枠3や内枠2の開放状態を検出すると、外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
【0153】
パチンコ機Pの裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお、主制御CPU72は賞球指示コマンドとともに、外部情報信号として賞球情報信号を生成する。
【0154】
賞球払出装置20の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(例えばステッピングモータ、払出手段)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、賞球払出装置20内の払出流路を通って受皿13に送られる。
【0155】
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また、賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
【0156】
また、パチンコ機Pには、例えば受皿13の内部(パチンコ機Pの正面からみて奧の位置)に満タンスイッチ161が設置されている。実際に払い出された賞球(遊技球)は賞球払出装置20を通じて受皿13に放出されるが、受皿13が遊技球で満杯になると、それによって満タンスイッチ161がONになり、満タン検出信号が払出制御装置92(払出制御CPU94)に入力される。これを受けて払出制御CPU94は、主制御CPU72から賞球指示コマンドを受信してもそれ以上の賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM98に記憶させておく。なお、RAM98の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
【0157】
また、パチンコ機Pの裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受皿13内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110および球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110および球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受皿13内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また、発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上述したように遊技領域30に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお、遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
【0158】
一方、パチンコ機Pの表側に位置する操作ハンドル15には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114および発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。また、タッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体が操作ハンドル15(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして、発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
【0159】
受皿13には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお、発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120にカードユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
【0160】
また、受皿13には度数表示基板122および貸出および返却スイッチ基板123が内蔵されている。このうち度数表示基板122には、度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。また、貸出および返却スイッチ基板123には球貸ボタンや返却ボタンにそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、球貸ボタンまたは返却ボタンが操作されると、その操作信号が貸出および返却スイッチ基板123から遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニットに送信される。また、カードユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120を経由して度数表示基板122に送信される。度数表示基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。また、カードユニットに有価媒体が投入されていなかったり、あるいは投入された有価媒体の残り度数が0になったりした場合、度数表示基板122の表示回路は表示器を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
【0161】
また、パチンコ機Pは制御上の構成として、演出制御装置124(演出制御用コンピュータ)を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機Pにおける遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお、演出制御装置124は、パチンコ機Pの裏側で裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
【0162】
また、演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて枠ランプや盤面ランプを発光させたり、スピーカSから実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
【0163】
演出制御装置124と主制御装置70とは、例えば図示しない通信用ハーネスを介して相互に接続されている。ただし、これらの間の通信は、主制御装置70から演出制御装置124への一方向のみで行われ、逆方向への通信は行われない。なお、通信用ハーネスには、主制御装置70から演出制御装置124に対して送信される各種コマンドのバス幅に応じてパラレル形式を採用してもよいし、それぞれのドライバIC(I/O)のハード構成に合わせてシリアル形式を採用してもよい。
【0164】
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(またはデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお、各種ランプには、枠ランプの他に、遊技盤5に設置された装飾・演出用の盤面ランプが含まれる。
【0165】
また、音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、スピーカSを駆動して音響出力を行う。
【0166】
本実施形態では前枠3の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種枠ランプ、盤面ランプやスピーカSに印加されている。また、ガラス枠電飾基板136には、演出ボタン45が接続されており、遊技者が演出ボタン45を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。さらに、ガラス枠電飾基板136には、ジョグダイアル45aが接続されており、遊技者がジョグダイアル45aを回転させると、その回転信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。また、演出制御CPU126は、演出ボタン45の操作が促される操作演出が実行されるときは、演出ボタン45の有効ランプを点灯させる。なお、ここではガラス枠電飾基板136に演出ボタン45およびジョグダイアル45aを接続した例を挙げているが、受皿電飾基板を設置する場合、演出ボタン45およびジョグダイアル45aは受皿電飾基板に接続されていてもよい。
【0167】
液晶表示器42は遊技盤5の裏側に設置されており、遊技盤5に形成された略矩形の開口を通じてその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤5の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライト(例えば冷陰極管)に印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤5の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、VDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なお、VRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
【0168】
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上述したように枠ランプ、盤面ランプ等やスピーカSを用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
【0169】
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらに、VDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
【0170】
その他、内枠2の裏側には電源制御ユニット162(電源制御手段)が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また、上述したように電源制御ユニット162は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
【0171】
外部端子板160は払出制御装置92に接続されており、主制御装置70(主制御CPU72)にて生成された各種の外部情報信号は、払出制御装置92を経由して外部端子板160から外部に出力されるものとなっている。主制御装置70(主制御CPU72)および払出制御装置92(払出制御CPU94)は、外部端子板160を通じてパチンコ機Pの外部に向けて外部情報信号を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ(図示していない)で集計される。なお、ここでは払出制御装置92を経由する構成を例に挙げているが、主制御装置70からそのまま外部情報信号が外部端子板160に出力される構成であってもよい。
【0172】
以上がパチンコ機Pの制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
【0173】
[リセットスタート(メイン)処理]
パチンコ機Pに電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機Pの初期状態を整えるための処理である。また、リセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機Pの安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
【0174】
図25および
図26は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
【0175】
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
【0176】
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
【0177】
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1~2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
【0178】
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
【0179】
ステップS105:また、主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
【0180】
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
【0181】
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
【0182】
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域およびスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグおよびサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
【0183】
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また、主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
【0184】
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド、特別図柄確率状態指定コマンド、作動記憶数増加時演出コマンド、作動記憶数減少時演出コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、特別遊技状態指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、内部確率状態、演出図柄の表示態様、作動記憶数の演出表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
【0185】
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また、主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
【0186】
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
【0187】
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域およびスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また、主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
【0188】
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
【0189】
ステップS116:主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は払出制御装置92に対して、賞球の払い出しを開始するための指示コマンドを出力する。
【0190】
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば4ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
【0191】
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は
図26に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
【0192】
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(駆動電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88や大入賞口ソレノイド89等に対応する出力ポートバッファをクリアすると、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグおよびサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、サムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして、主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
【0193】
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数(ハードウェア乱数)、および普通図柄に対応する当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(
図9中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込管理処理(
図9中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお、上記のように、本実施形態において大当り決定乱数および当り決定乱数は乱数発生器75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数および当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。
【0194】
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(
図9)を実行した場合の残り時間で行われる。なお、割込管理処理の内容については後述する。
【0195】
[電源断発生チェック処理]
図27は、上記の電源断発生チェック処理の手順例を具体的に示すフローチャートである。
ステップS130:ここでは先ず、主制御CPU72は、電源断発生チェックのための条件を設定する。このチェック条件は、例えば主電源断検出信号が継続して出力されていることを確認するためのオンカウンタ値として設定することができる。
【0196】
ステップS132:次に主制御CPU72は、主電源断検出スイッチ入力用ポートをリードし、主電源断検出信号が出力されているか否かを確認(特定のビットをチェック)す
る。特に図示していないが、主電源断検出スイッチは例えば主制御装置70に実装されており、この主電源断検出スイッチは、電源制御ユニット162から供給される駆動電圧を監視し、その電圧レベルが基準電圧を下回った場合に主電源断検出信号を出力する。なお、主電源断検出スイッチは電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。主制御CPU72は、現時点で主電源断検出信号が出力されていないことを確認すると(No)、この処理を抜けてリセットスタート処理に復帰する。一方、主電源断検出信号が出力されていることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS134に進む。
【0197】
ステップS134:主制御CPU72は、上記のチェック条件を満たすか否かを確認する。具体的には、先のステップS130で設定したオンカウンタ値を例えば1減算し、その結果が0になったか否かを確認する。現時点で未だオンカウンタ値が0でなければ(No)、主制御CPU72はステップS132に戻って主電源断検出スイッチ入力用ポートを改めて確認する。そして、ステップS134からステップS132へのループを繰り返してチェック条件が満たされると(ステップS134:Yes)、主制御CPU72は次にステップS136に進む。
【0198】
ステップS136:主制御CPU72は、上記のように普通電動役物ソレノイド88や大入賞口ソレノイド89に対応する出力ポートに加え、試験信号端子やコマンド制御信号に対応する出力ポートバッファをクリアする。
【0199】
ステップS138,ステップS140:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域のうち、バックアップ有効判定フラグおよびサムチェックバッファを除く全体の内容を1バイト単位で加算し、全領域について加算を完了するまで繰り返す。
ステップS142:全領域についてサムの算出が完了すると(ステップS140:Yes)、主制御CPU72はサムチェックバッファにサム結果値を保存する。
【0200】
ステップS144:次に主制御CPU72は、上記のようにバックアップ有効判定フラグ領域に有効値を格納する。
【0201】
ステップS146:また、主制御CPU72は、RAM76のプロテクト値にアクセス禁止を表す「01H」を格納し、RAM76のワーク領域(使用禁止領域およびスタック領域を含む)に対するアクセスを禁止する。
【0202】
ステップS148:そして、主制御CPU72は待機ループに入り、主電源断の遮断に備えて他の処理を全て停止する。主電源断の発生後は、図示しないバックアップ電源回路(例えば主制御装置70に実装された容量素子を含む回路)からバックアップ用電力が供給されるため、RAM76の記憶内容は主電源断後も消失することなく保持される。なお、バックアップ用電源回路は、例えば電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。
【0203】
以上の処理を通じて、バックアップ対象(サム加算対象)となるRAM76のワーク領域に記憶されていた情報は、全て主電源断の後もRAM76に記憶として保持されることになる。また、保持されていた記憶は、先のリセットスタート処理(
図25)でチェックサムの正常を確認した上で、電源断時のバックアップ情報として復元される。
【0204】
[割込管理処理(タイマ割込処理)]
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。
図9は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
【0205】
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB~Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A~L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
【0206】
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数等が含まれる。
【0207】
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
【0208】
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力(I/O)ポート79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、第1始動入賞口スイッチ80、普通入賞口スイッチ81、第2始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、特定領域スイッチ85a、非特定領域スイッチ85bからの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
【0209】
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、第1始動入賞口スイッチ80、普通入賞口スイッチ81、第2始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、特定領域スイッチ85a、非特定領域スイッチ85bからの入賞検出信号または通過検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0210】
本実施形態では、第1始動入賞口スイッチ80または第2始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄または第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。また、ゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、第1始動入賞口スイッチ80または第2始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0211】
ステップS205,ステップS206:主制御CPU72は、割込管理処理中において特別図柄遊技処理および普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機Pにおける遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理(ステップS205)では、主制御CPU72は先に述べた第1特別図柄または第2特別図柄に対応する内部抽選の実行を制御したり、第1特別図柄表示装置334および第2特別図柄表示装置335による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて大入賞口用スライド板39aの作動を制御したりする。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0212】
また、普通図柄遊技処理(ステップS206)では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置333による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて第2始動入賞口用スライド板38aの作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)の中でゲート37の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておき、この普通図柄遊技処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置333により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して第2始動入賞口用スライド板38aを作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。
【0213】
ステップS207:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、先の入力処理(ステップS203)において各種スイッチ81,82,84,85a,85bから入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
【0214】
ステップS208:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)をポート出力要求バッファに格納する。
【0215】
なお、本実施形態では、各種の外部情報信号のうち、例えば大当り情報として「大当り1」~「大当り5」を外部に出力することで、パチンコ機Pに接続された外部の電子機器(データ表示器やホールコンピュータ)に対して多様な大当り情報を提供することができる(外部情報信号出力手段)。すなわち、大当り情報を複数の「大当り1」~「大当り5」に分けて出力することで、これらの組み合わせから大当りの種別(当選種類)を図示しないホールコンピュータで集計・管理したり、内部的な確率状態(低確率状態または高確率状態)や図柄変動時間の短縮状態の変化を認識したり、非当選以外であっても「大当り」に分類されない小当り(条件装置が作動しない当り)の発生を集計・管理したりすることが可能となる。また、大当り情報に基づき、例えば図示しないデータ表示装置によりパチンコ機Pの台ごとに過去数営業日以内の大当り発生回数を計数および表示したり、台ごとに現在大当り中であるか否かを認識したり、あるいは台ごとに現在図柄変動時間の短縮状態であるか否かを認識したりすることができる。この外部情報処理において、主制御CPU72は「大当り1」~「大当り5」のそれぞれの出力状態(ONまたはOFFのセット)を詳細に制御する。
【0216】
ステップS209:また、主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
【0217】
ステップS210:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置333、普通図柄作動記憶ランプ333a、第1特別図柄表示装置334、第2特別図柄表示装置335、第1特別図柄作動記憶ランプ334a、第2特別図柄作動記憶ランプ335a、遊技状態表示装置338等の点灯状態を制御する。具体的には、先の特別図柄遊技処理(ステップS205)や普通図柄遊技処理(ステップS206)においてポート出力要求バッファに格納されている駆動信号をポート出力する。なお、駆動信号は、各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
【0218】
ステップS211:また、主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の外部情報処理(ステップS208)でポート出力要求バッファに格納された外部情報信号(バイトデータ)をポート出力する。また、主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている普通電動役物ソレノイド88、大入賞口ソレノイド89の各駆動信号、試験信号等を合わせてポート出力する。
【0219】
ステップS212:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。
【0220】
ステップS213:そして、主制御CPU72は、今回のCTC割込で格納したポート出力要求バッファをクリアする。
【0221】
なお、本実施形態では、ステップS205~ステップS212の処理(遊技制御プログラムモジュール)をタイマ割込処理として実行する例を挙げているが、これら処理をCPUのメインループ中に組み込んで実行している公知のプログラミング例もある。
【0222】
ステップS214:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込終了を指定する値(01H)を割込プログラムカウンタ内に格納し、CTC割込を終了する。
【0223】
ステップS215,ステップS216:そして、主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A~L)の値を復帰し、次回のCTC割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
【0224】
[演出図柄の変動表示の具体例]
次に、液晶表示器42で行われる演出図柄の変動表示について具体的に説明する。パチンコ機Pにおいて特別図柄に関する内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(換言すると、変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる。
【0225】
また、パチンコ機Pにおいて普図抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(換言すると、変動時間)を決定し、普通図柄による変動表示が行われる。
【0226】
ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄、普通図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機Pでは、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
【0227】
図29に示すように、演出図柄43には、例えば左演出図柄43L、中演出図柄43C、右演出図柄43Rの3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば数字の「1」~「9」を表したものとなっている。ここで、左演出図柄43L、中演出図柄43C、右演出図柄43Rは、いずれも数字が「9」~「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。
【0228】
本実施形態では、演出図柄は特別図柄に対応する演出図柄(以下、特図用演出図柄と称することがある)を含んでいる。
【0229】
なお、
図29では、第1特別図柄に対応する特図用演出図柄の変動表示が行われる例について説明するが、第2特別図柄に対応する特図用演出図柄の変動表示や普図用演出図柄の変動表示も同様の態様で行われる。また、特図用演出図柄の表示態様及び普図用演出図柄の表示態様は、識別が困難な態様であれば、同一態様でなくてもよい。例えば、形状が多少変形しているものや、色彩が微妙に異なるとうのもの、透明度が微妙に異なるもの、大きさが微妙に異なるものを挙げることができる。
【0230】
図29および
図30は、特別図柄の変動表示および停止表示に対応させた演出画像の例を示す連続図である。なお、ここでは非当選(はずれ)時の特別図柄の変動について、演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出(結果表示演出)の一例を表している。この変動表示演出は、特別図柄(ここでは第1特別図柄とするが、第2特別図柄でもよい。)が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また、停止表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と停止表示演出の基本的な流れについて説明する。なお、
図29および
図30では背景画像を省略している。
【0231】
[変動表示前]
図29中(a):例えば、第1特別図柄が変動を開始する前の状態(デモ演出中でない状態)で、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄43L,43C,43Rの列が大きく表示されている。このとき第1特別図柄または第2特別図柄の停止表示に合わせて、演出図柄も停止表示された状態にある。
【0232】
また、液晶表示器42の画面下部には、第1特別図柄および第2特別図柄それぞれの作動記憶数(保留記憶数とも称する)を表す保留表示(図中に参照符号M1,M2を付す)が表示されるものとなっている。これら保留表示M1,M2は、特図用演出図柄が変動対象となっているときに表示可能となり、それぞれの表示個数が対応する第1特別図柄、第2特別図柄の作動記憶数(第1特別図柄作動記憶ランプ334a、第2特別図柄作動記憶ランプ335aの表示数)を表しており、遊技中の作動記憶数の変化に連動して表示個数も増減する。また、保留表示M1,M2は、視覚的な判別を容易にするため第1特別図柄に対応する保留表示M1が例えば円(○)の図形で表示され、第2特別図柄に対応する保留表示M2が例えば星(☆)の図形で表示されている。なお、
図29中(a)の例では、保留表示M1が4つとも点灯表示されることで第1特別図柄の作動記憶数が4個であることを表し、保留表示M2が全て非表示(破線で示す)になることで第2特別図柄の作動記憶数が0個であることを表している(記憶数表示演出実行手段)。
【0233】
また、液晶表示器42の画面右上の特
図1保留表示領域Z1には、第1特別図柄の作動記憶数が表示される。また、特
図2保留表示領域Z2には、第2特別図柄の作動記憶数が表示される。さらに、ミニ図柄表示領域Z3には、ミニ図柄が表示される。このミニ図柄は、左・中・右演出図柄に続く「第4の演出図柄」であり、特別図柄の変動表示に同期して変動表示される。
【0234】
図29中(b):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄43L、中演出図柄43C、右演出図柄43Rの列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。また、保留表示M1,M2は、変動開始前は、液晶表示器42の下方部分における帯状部分の変動前表示領域X1に表示されているが、変動開始後は、液晶表示器42の左下部分に表示されている台座画像による変動中表示領域X2に移動して、特別図柄(演出図柄)の変動が停止表示されるまで表示され続ける(当該変動中記憶表示演出)。なお、図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また、変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が視認しやすい状態で表示されている。
【0235】
また、第1特別図柄の変動開始に同期して、特
図1保留表示領域Z1の第1特別図柄の作動記憶数が「1」減算され、ミニ図柄表示領域Z3のミニ図柄の変動表示が開始される。
【0236】
ここで、
図29中(b)に示されているように、変動開始に伴って第1特別図柄の作動記憶数が1個分減少するため、それに連動して保留表示M1の表示個数が1個分減少されている。例えば、それまでに作動記憶数が4個あったとすると、保留表示M1において最も以前(古い)の記憶数表示が1個だけ変動中表示領域X2に移動され、内部抽選によって消費される演出が合わせて行われる。これにより、第1特別図柄に関して作動記憶数が消費されたということを演出上でも遊技者に教示することができる。
【0237】
そして、
図29中(b)の例においては、記憶順で先頭にあった保留表示M1が変動中表示領域X2に移動することにより、変動前表示領域X1での表示が残り3個になったため、画面上に残った3つの保留表示M1がそれぞれ1個分ずつ一方向(ここでは左方向)へシフトする演出が行われている。これにより、作動記憶数の変化の前後関係を正確に演出上で表現するとともに、遊技者に対して「作動記憶が消費されて1つ減った」ということや「作動記憶が消費されて特別図柄が変動中である」ということを直感的に分かりやすく教示することができる。
【0238】
図29中(c):例えば、ある程度の時間(変動時間の半分程度)が経過すると、最初に左演出図柄43Lが変動を停止する。この例では、画面の左側位置に数字の「8」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。このとき、ミニ図柄表示領域Z3のミニ図柄も左演出図柄8Lと同一図柄が停止する。
【0239】
図30中(d):左演出図柄43Lに続いて、その後に右演出図柄43Rが変動を停止する。この例では、画面の中側位置に数字の「3」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動が非リーチ(通常)変動であるということが見た目上でほとんど明らかとなっている。このとき、ミニ図柄表示領域Z3のミニ図柄も右演出図柄8Rと同一図柄が停止する。なお、ここではすべりパターン等によるリーチ変動を除くものとする。「すべりパターン」とは、例えば一旦は数字の「7」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するというものである。あるいは、一旦は数字の「9」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が逆向きに1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するパターンもある。また、その他にも例えば「5」等の全くかけ離れた数字を表す演出図柄が一旦停止した後、画面上にキャラクタが出現して右演出図柄列を再変動させると、数字の「8」を表す演出図柄が停止してリーチに発展するといったパターンもある。
【0240】
図30中(e):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄43Cが停止する。今回の内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で停止表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「8」-「1」-「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。このとき、ミニ図柄表示領域Z3のミニ図柄も中演出図柄8Cと同一図柄が停止し、ミニ図柄もはずれに対応する態様で停止表示される。
【0241】
また、停止表示演出が行われると、変動中表示領域X2に移動して表示を継続していた保留表示M1も非表示となる。したがって、遊技者に対して「特別図柄の変動が終了した」ということを直感的に分かりやすく教示することができる。
【0242】
以上は、1回の変動ごとに演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出(非当選時)の一例である。すなわち、本実施形態では3列の演出図柄が変動表示されるとともに、3列の演出図柄が停止表示されたときに1回の変動表示が終了する。このような演出を通じて、遊技者に当選に対する期待感を抱かせるとともに、最終的に内部抽選の結果を演出上で明確に教示することができる。
【0243】
また、上述した例は非当選時についてのものであるが、大当り(当選)時には変動表示演出中にリーチ演出が実行された後、停止表示演出において演出図柄が大当りの態様(例えば、「7」-「7」-「7」など、同一の数字が揃う態様)で停止表示される。このとき演出図柄の停止表示態様は、基本的には主制御CPU72によって内部的に選択された当選図柄(第1特別図柄表示装置334または第2特別図柄表示装置335の停止表示態様)に対応させて選択される。また、小当り(当選)時には停止表示演出において演出図柄が小当りの態様(例えば、「1」-「3」-「5」など、一定の法則で小当りを連想させる態様)で停止表示される。
【0244】
[演出制御処理]
図31は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、リセットスタート処理(サブ)の演出制御メイン処理の実行中に発生するタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。なお、演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs~数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
【0245】
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、作動記憶演出管理処理(ステップS401)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)およびその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0246】
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。
【0247】
なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば、(特別図柄、普通図柄)作動記憶数増加時演出コマンド、(特別図柄、普通図柄)作動記憶数減少時演出コマンド、始動入賞口に入賞したことを示す始動口入賞音制御コマンド、デモ状態に移行したことを示すデモ演出用コマンド、内部抽選や普図抽選の結果を示す抽選結果コマンド、変動パターンを示す変動パターンコマンド、特別図柄や普通図柄が変動開始したことを示す変動開始コマンド、特別図柄や普通図柄が変動表示中であることを示す変動表示中指定コマンド、特別図柄や普通図柄の停止図柄を示す停止図柄コマンド、特別図柄や普通図柄が変動後の停止することを示す図柄停止時コマンド、特別図柄や普通図柄が変動表示中であることを示す図柄停止表示中指定コマンド、遊技状態を示す状態指定コマンド、大当りのラウンド数を示すラウンド数コマンド、発射位置指定コマンド、エラーの発生およびエラーの種類を示すエラー通知コマンド、小当りのオープニング期間であることを示す小当りオープニング指定コマンド、小当りで大入賞口39が開放中であることを示す小当り大入賞口開放指定コマンド、大当りのオープニング期間であることを示す大当りオープニング指定コマンド、大当りで大入賞口39が開放中であることを示す大当り大入賞口開放指定コマンド、大当りの終了時のエンディング期間の演出を行うことを示す大当り終了演出コマンド、残りの時短回数を示す回数切りカウンタ値コマンド、保留された変動表示の変動パターンの判定結果を示す変動パターン先判定コマンド、図柄の変動終了時の停止表示時間が終了したことを示す停止表示時間終了コマンド等がある。
【0248】
ステップS401:作動記憶演出管理処理では、演出制御CPU126は上述した記憶数表示演出や、保留表示M1、M2を用いた先読み予告演出の実行を制御する。なお、作動記憶演出管理処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0249】
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や停止表示演出の内容を制御したり、大入賞口用スライド板39aの開閉動作時の演出内容を制御したりする。また、この処理において、演出制御CPU126は演出図柄の表示態様を初期設定したり(素材設定手段)、初期の設定を変化させたりする(素材設定変化手段)。また、この処理において演出制御CPU126は、各種予告演出(リーチ発生前予告演出、リーチ発生後予告演出等)の演出パターンを選択する。なお、演出図柄管理処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0250】
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、第1特別図柄および第2特別図柄それぞれの作動記憶数、作動記憶演出パターン番号、先読み予告演出パターン番号、変動演出パターン番号、変動時予告演出番号、背景パターン番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146およびVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(演出実行手段)。
【0251】
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて前枠3に設けられている枠ランプや盤面ランプ25等を駆動(点灯または消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
【0252】
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、モード移行演出中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカSから演出内容に応じた音が出力される。なお、演出制御CPU126は、ステップS405で音声データをセットした場合は、本処理において、音声データに応じた音声の出力制御を行う。なお、本処理において出力制御が行われる音声には、演出図柄43L~43Rの図柄停止音や保留変化演出が実行されたときの保留変化音が含まれる。
【0253】
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や通常の背景チェンジ抽選(演出抽選)に用いられる乱数等がある。
【0254】
ステップS412:その他の処理では、例えば演出制御CPU126は演出用の可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。演出用の可動体は対応するソレノイドを駆動源として動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、または単独で演出を行う。
【0255】
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機Pにおける演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される演出図柄管理処理の内容について説明する。
【0256】
[作動記憶演出管理処理]
図32は、作動記憶演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って内容を説明する。
【0257】
ステップS700:先ず演出制御CPU126は、第1始動入賞口31、ゲート37、第2始動入賞口38に遊技球が進入することによって主制御CPU72から送信された作動記憶数増加時演出コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、作動記憶数増加時演出コマンドが保存されているか否かを確認する。作動記憶数増加時演出コマンドが保存されていることを確認した場合(ステップS700:Yes)、演出制御CPU126はステップS702及びステップS703を実行する。なお、作動記憶数増加時演出コマンドが保存されていることを確認できない場合(ステップS700:No)、演出制御CPU126はステップS702及びステップS703を実行しない。
【0258】
ステップS702:演出制御CPU126は、作動記憶数増加時演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は、第1特別図柄や普通図柄、第2特別図柄に対応した保留表示M1,M2を表示させる演出を選択する。
【0259】
ステップS703:演出制御CPU126は、保留表示M1,M2を表示させる場合は、先読み演出管理処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は、先読み演出を実行するか否かを抽選により決定する処理を実行し、先読み演出を実行すると決定した場合には、どのような内容の先読み演出を実行するかを決定する処理を実行する。
【0260】
先読み演出は、特別図柄の場合は大当りや小当りになる場合、普通図柄の場合はロング開放になる場合に実行される割合が高くなるように、抽選確率が設定されている。そして、先読み演出を実行すると決定した場合には、演出制御CPU126は、
図47のステップS404~S408において先読み演出を実行する。
【0261】
なお、普通図柄においてロング開放に対応する停止図柄が選択されると、ロング開放が行われたときに第2始動入賞口38への入賞が容易になる。そして、第2始動入賞口38では小当りの確率が約1/1であり、小当りになった場合は小当りから大当りに発展する可能性があり、小当りにならなかった場合も大当りになるので、先読み演出によってロング開放となる停止図柄が選択されたことを示唆することにより、大当り期待度を示唆していることになる。
【0262】
先読み演出は、例えば、保留表示の態様を変化させる、演出画像をカットインさせる、液晶表示器42での背景表示の態様を変化させる、先読み演出に対応するキャラクタを登場させるなど、種々の態様が設けられている。保留表示の態様が変化する場合は、先読み対象の保留表示より前に記憶された保留記憶が消化されるたびに保留表示の色が変化していき、大当り期待度を示唆する、あるいは、保留表示の形状が異なる形状に変化することにより大当り期待度を示唆する態様も含まれている。
【0263】
ステップS704:演出制御CPU126は、主制御CPU72から作動記憶数減少時演出コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、作動記憶数減少時演出コマンドが保存されているか否かを確認する。作動記憶数減少時演出コマンドが保存されていることを確認した場合(ステップS704:Yes)、演出制御CPU126はステップS706を実行する。なお、作動記憶数減少時演出コマンドが保存されていることを確認できない場合(ステップS704:No)、演出制御CPU126はステップS706を実行しない。
【0264】
ステップS706:演出制御CPU126は、作動記憶数減少時演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は、第1特別図柄及び第2特別図柄に対応した保留表示M1,M2をシフトさせる演出を実行する。また、演出制御CPU126は、内部抽選により消費した抽選要素に対応する保留表示を変動前表示領域X1から変動中表示領域X2に移動させる演出を選択する。変動中表示領域X2に移動させた記憶保留表示は変動終了時に消去される。
【0265】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は、演出制御処理(
図31)に復帰する。
【0266】
[演出図柄管理処理]
図33は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)および可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
【0267】
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502~ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また、可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(
図13中のステップS5000)が選択された場合にジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502~ステップS506は実行されない。
【0268】
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。また、この処理において、演出制御CPU126は各種の条件(抽選結果、当選種類、変動パターン等)に応じてリーチ演出の内容を選択したり、予告演出についての演出パターン(先読み予告演出パターン以外のリーチ発生前予告パターン、リーチ発生後予告パターン等)を選択したりする。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機Pがいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0269】
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出ボタン45を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。また、演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は擬似変動(擬似連続予告)を実行する処理も実行する。
【0270】
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は内部抽選の結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた停止表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と停止表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、停止表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して停止表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(演出実行手段)。なお、小当り時には、はずれと同様か近似した態様で停止表示演出を実行することができる。
【0271】
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は小当り中または大当り中の演出内容を制御する(特別遊技演出実行手段)。この処理において、演出制御CPU126は各種の条件(例えば当選種類)に応じて大役中演出の内容を選択する。例えば10ラウンド大当りの場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として、10ラウンドの大役中演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では大役中演出の画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
【0272】
[演出図柄変動前処理]
図34は、演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0273】
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
【0274】
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機Pがいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
【0275】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(
図31中のステップS404)、ランプ駆動処理(
図31中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
【0276】
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
【0277】
ステップS604:演出制御CPU126は、今回の変動がはずれ(非当選)であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、非当選時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS612を実行する。逆に、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS606を実行する。なお、今回の変動がはずれか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドがはずれ通常変動又ははずれリーチ変動に該当していれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。あるいは、今回の停止図柄コマンドが非当選の図柄を指定するものであれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。
【0278】
ステップS606:抽選結果コマンドが非当選(はずれ)以外であれば(ステップS604:No)、次に演出制御CPU126は、今回の変動が大当りであるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS610を実行する。逆に、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、残るは小当り時の抽選結果コマンドだけであるので、この場合、演出制御CPU126はステップS608を実行する。なお、今回の変動が大当りであるか否かの確認もまた、変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドが大当り変動に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。また、今回の停止図柄コマンドが大当り図柄に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。
【0279】
ステップS608:演出制御CPU126は、小当り時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「C0H00H」~「D0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。演出パターン番号は、変動パターンコマンドに対応して予め用意されており、演出制御CPU126は図示しない演出パターン選択テーブルを参照して、そのときの変動パターンコマンドに対応した演出パターン番号を選択することができる。なお、演出パターン番号は、変動パターンコマンドと対になって用意されていてもよく、1つの変動パターンコマンドに対して複数のものが用意されていてもよい。なお、本処理で選択される演出パターンの演出には、演出図柄により小当り組合せとなる確定演出図柄を停止させた後に小当りとなることを祝福する祝福演出が含まれる。
【0280】
また、演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチの種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様等を決定する。なお、ここで決定される演出図柄の種類は、全て「小当り時の図柄の組み合わせ」に該当するものとなっている。
【0281】
上述したように、小当り時の演出は、はずれ時の演出と同様の演出としてもよいし、小当り当選を明確に開示する内容の小当り時専用の演出としてもよい。
【0282】
以上の手順は「小当り」に該当した場合であるが、大当りに該当した場合、演出制御CPU126はステップS606で「大当り」であることを確認する(Yes)。この場合、演出制御CPU126はステップS610を実行する。
【0283】
ステップS610:演出制御CPU126は、大当り時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」~「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。大当り時演出パターン選択処理の中では、さらに大当り時停止図柄別に処理を分岐させてもよい。なお、変動パターンが擬似連続予告演出に対応する変動パターンである場合、演出制御CPU126は、変動表示演出の実行中に、擬似連続予告演出を実行する演出パターンを選択する処理を実行する(はずれ時も同様である)。擬似連続予告演出において、演出図柄を仮停止して再変動させる場合、中演出図柄に擬似連図柄を停止させることができる。なお、本処理で選択される演出パターンの演出には、演出図柄により大当り組合せとなる確定演出図柄を停止させた後に大当りとなることを祝福する祝福演出が含まれる。
【0284】
また、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU126はステップS604ではずれであることを確認すると(Yes)、次にステップS612を実行する。
【0285】
ステップS612:演出制御CPU126は、はずれ時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」~「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「時短はずれ変動」、「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU126がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
【0286】
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」-「2」-「4」等)を決定する。
【0287】
以上のステップS608,ステップS610,ステップS612のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU126は次にステップS614を実行する。
【0288】
ステップS614:演出制御CPU126は、演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時間短縮状態)に基づいて決定される。上記のように予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
【0289】
このように、演出制御CPU126は、予告演出を実行するか否かの抽選に当選した場合(規定の演出実行条件が満たされた場合)、変動表示演出(所定の演出)の実行中に当選の態様で演出図柄が停止表示されることを示唆する(所定の演出の成功の可否を示唆する、所定の演出に関する)予告演出を実行する。
【0290】
また、演出制御CPU126は、この予告選択処理において予告演出を実行すると決定した場合には、変動表示中のいずれのタイミングで予告演出を開始するのかを決定する処理を実行する。なお、予告演出には、変動表示中に実行される各種の予告演出(ステップアップ予告演出、会話予告演出、カットイン予告演出、群予告演出、役物落下演出、次回予告演出、タイトル色変更演出)だけでなく、擬似連続予告演出や先読み予告演出、記憶マーカ変化予告演出等も含まれる。
【0291】
ステップS616:演出制御CPU126は、モード演出管理処理を実行する。この処理において、演出制御CPU126は、遊技状態に応じた演出を選択する処理を実行する。例えば、通常状態、大当り遊技状態、小当り遊技状態、時短状態に応じた演出を選択する処理を実行する。
【0292】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。これにより、その後の演出図柄変動中処理(
図33中のステップS504)において、実際に選択された変動演出パターンに基づいて変動表示演出及び停止表示演出が実行されるとともに、各種予告演出パターンに基づいて予告演出が実行される。
【0293】
なお、演出制御CPU126は、第1特別図柄に対応する特図用演出図柄の変動パターンを選択するときは通常状態であるので、通常演出画面の演出データを選択する。また、第2特別図柄に対応する特図用演出図柄の変動パターンを選択するときは小当りや大当りが発生することが確定する状態であるので、小当り準備画面や大当り準備画面の演出データを選択する。また、普通図柄に対応する普図用演出図柄の変動パターンを選択するときは時短状態であるので、時短演出画面の演出データを選択する。
【0294】
通常演出画面、小当り準備画面、大当り準備画面、時短演出画面の演出データを選択するときはそれぞれの画面で表示する演出も選択される。そして、演出制御CPU126は、その後の演出図柄変動中処理(
図32中のステップS504)において、選択した演出画面を表示するとともに、選択した演出を実行する。
【0295】
[演出表示およびエラー表示の表示例]
次に、演出表示およびエラー表示の表示例について
図35を用いて具体的に説明する。
【0296】
本例で示す各表示の画像の表示制御は演出制御CPU126によって行われる。具体的には、演出制御CPU126は、演出表示を表示する場合は、本例で示す演出のデータを
図34のステップS608やステップS610やステップS612でセットし、セットしたデータに基づいて、
図31のステップS404で画像を表示する。また、演出制御CPU126は、エラー表示を表示する場合は、
図31のステップS401で満タンスイッチ161がONになったときに送信されるコマンドを受信したことを識別したときに、
図31のステップS404で画像を表示する。
【0297】
図35(a)に示すように、例えば、液晶表示器42において、演出図柄43L,43C,43Rの変動表示中に演出表示200が表示されることがある。例えば、大当りが発生することを示唆する演出表示200が表示される。具体的には、演出表示200には文字が用いられ、演出表示200として「大当りかも?」という文字列が表示される。
【0298】
また、
図35(b)に示すように、受皿13が遊技球で満杯になり、それによって満タンスイッチ161(
図24参照)がONになると、液晶表示器42において、エラー表示201が表示される。具体的には、エラー表示201には文字が用いられ、エラー表示201として「球を抜いてください」という文字列が表示される。これにより、図示しない球抜きレバーを操作して、受皿13の遊技球を排出することが促される。
【0299】
また、
図35(c)に示すように、演出表示200が表示されているときに、満タンスイッチ161(
図24参照)がONになり、エラー表示201が演出表示200と同時期に表示されることがある。この場合、本例では、エラー表示201は演出表示200に重畳するように表示される。本実施形態では、エラー表示201と演出表示200はソリッドの文字で同系色になっている。なお、同系色とは、例えば、明度もしくは彩度だけが異なる色の組み合わせ、トーン(濃度)は異なるが同じ色相の色の組み合わせ、トーンは同じで、色相上隣り合う色(隣接色)の組み合わせということができるが、本実施形態では、色相上隣り合う色(隣接色)の組み合わせとしている。
【0300】
[演出表示およびエラー表示の表示位置について]
次に、演出表示200とエラー表示201が同時に表示された場合の演出表示200とエラー表示201の表示位置の関係について
図36を用いて説明する。なお、図中の一点鎖線L1,L2や中心を示す点C1,C2は実際に存在する線ではなく、発明の内容を理解しやすくするための補助的に記載した仮想線および仮想点である。また、図中ではエラー表示201の「球」と演出表示200の「大」を例に挙げているが、エラー表示201と演出表示200の他の文字についても同様の関係である。
【0301】
図36(a)に示すように、エラー表示201を構成する文字の縦幅の中央かつ横幅の中央となる中心を第1中心C1とする。そして、第1中心C1を通り、上下に延びる線を線L1とする。また、演出表示200を構成する文字の縦幅の中央かつ横幅の中央となる中心を第2中心C2とする。そして、第2中心C2を通り、上下に延びる線を線L2とする。
【0302】
そして、
図36(b)に示すように、エラー表示201と演出表示200が重畳表示されたときに、線L1と線L2の左右方向の位置が異なっており、線L1と線L2が平行になる。すなわち、エラー表示201に用いた文字の第1中心C1と演出表示200に用いた文字の第2中心C2の左右方向の位置が異なっている。
【0303】
これにより、エラー表示201と演出表示200が重畳表示されても、それぞれの表示を区別しやすくなり、エラー表示201と演出表示200の視認性を確保することができる。
【0304】
特に、本実施形態では、エラー表示201と演出表示200が同系色になっているので重畳表示すると、両者が区別しにくくなるが、エラー表示201に用いた文字の第1中心C1と演出表示200に用いた文字の第2中心C2の左右方向の位置を異ならせても、エラー表示201と演出表示200の視認性を確保することができる。
【0305】
なお、本実施形態では、エラー表示201に用いた全ての文字第1中心C1と演出表示200に用いた全ての文字の第2中心C2との左右方向における位置が異なるようにしたが、一部の文字のみ異なるように構成することも可能である。
【0306】
[変形例]
次に、エラー表示201と演出表示200の位置関係が上記実施形態と異なる変形例1,2について
図37を用いて説明する。
【0307】
図37(a)に示すように、変形例1では、エラー表示201と演出表示200とが近接するように上下2段に表示する。この場合にも、線L1と線L2の左右方向の位置が異なっており、線L1と線L2が平行になる。すなわち、エラー表示201の第1中心C1と演出表示200の第2中心C2の左右方向の位置が異なっている。変形例1では、エラー表示201と演出表示200を上下2段に表示することにより、エラー表示201と演出表示200とが一連の表示(換言すると、一体の表示)と勘違いされるおそれがあるが、それぞれの表示を別な表示として区別しやすくすることができる。
【0308】
図37(b)に示すように、変形例2では、演出図柄43L~43Rを介してエラー表示201を上部に表示するとともに演出表示200を下部に表示する。この場合にも、線L1と線L2の左右方向の位置が異なっており、線L1と線L2が平行になる。すなわち、エラー表示201の第1中心C1と演出表示200の第2中心C2の左右方向の位置が異なっている。変形例2では、演出図柄43L~43Rを介してエラー表示201と演出表示200を表示することにより、エラー表示201と演出表示200とが目立ちにくくなるおそれがあるが、それぞれの表示を目立つように表示することができる。
【0309】
[本実施形態の効果]
(1)記号(本例では、文字)を用いた第1表示(本例では、エラー表示201)を行うことが可能であるとともに、記号(本例では、文字)を用いた第2表示(本例では、演出表示200)を行うことが可能な遊技機(本例では、パチンコ機1)において、
前記第1表示に用いられる記号の縦幅の中央かつ横幅の中央となる第1中心(本例では、
図36に示す第1中心C1)と、前記第2表示に用いられる記号の縦幅の中央かつ横幅の中央となる第2中心(本例では、
図36に示す第2中心C2)との左右方向における位置が異なる。
よって、第1表示と第2表示を区別しやすくし、第1表示と第2表示の視認性を確保することができる。
【0310】
(2)前記第1表示と前記第2表示とを重畳して表示する(本例では、
図35(c)、
図36(b))。
よって、第1表示と第2表示を区別しやすくし、第1表示と第2表示の視認性を確保することができる。
【0311】
(3)前記第1表示に用いる記号と前記第2表示に用いる記号とを同系色にしている。
よって、第1表示と第2表示を区別しやすくし、第1表示と第2表示の視認性を確保することができる。
【0312】
(4)前記第1表示はエラー表示とし、前記第2表示は演出表示としている(本例では、
図35)。
よって、エラー表示と演出表示を区別しやすくし、エラー表示と演出表示の視認性を確保することができる。
【0313】
[その他、変形例]
上記実施形態では、第1表示をエラー表示201、第2表示を演出表示200とする例を挙げて説明したが、例えば、第1表示と第2表示の両方をエラー表示とする、第1表示と第2表示の両方を演出表示とするなど、第1表示と第2表示の態様は上記実施形態と異なる態様にしてもよい。
【0314】
上記実施形態では、記号として文字を例に挙げて説明したが、例えば、マーク、絵、数字、意味が付された図形など、記号の態様は上記実施形態と異なる態様としてもよい。
【0315】
上記実施形態では、エラー表示201と演出表示200をそれぞれ単一色の文字としたが、例えば、白抜きの文字とするなど、エラー表示201と演出表示200の態様が上記実施形態と異なる態様としてもよい。
【0316】
なお、白抜きの文字とした場合に、縁と文字部分の色をエラー表示201と演出表示200で同系色または同一色にした場合に、エラー表示201の第1中心C1と演出表示200の第2中心C2の左右方向の位置を異ならせると、両者を区別するうえで効果的である。
【0317】
上記実施形態では、エラー表示201と演出表示200を同系色にする例を挙げて説明したが、エラー表示201と演出表示200を同一色にしてもよい。
【0318】
上記実施形態では、大入賞口39の特定領域39bを通過したときに小当りから大当りに発展するパチンコ機1を例に挙げて説明したが、例えば、大入賞口39の特定領域39bを通過した場合に大当りの当選確率が変動する確率変動タイプの遊技機に適用してもよい。
【0319】
確率変動タイプのパチンコ機の場合には、STタイプ(確変回数に実質的な上限を設定するタイプ)の遊技機やループタイプ(確変回数に実質的な上限を設定しないタイプ)の遊技機に本発明を適用してもよい。
【0320】
また、本発明は、設定付きパチンコ機、確変リミッタ機、性能表示モニタを備えるパチンコ機に適用することもできる。
【0321】
また、本発明は、管理遊技機に適用してもよい。管理遊技機は、例えば、管理遊技機遊技盤と、管理遊技機枠とを備えており、機械単体内で一定数の遊技球を循環させ、遊技に用いる遊技球や遊技者に遊技球を直接払い出すことを不要とした封入式の遊技機である。管理遊技機は、管理遊技機専用の専用ユニット(ICカードユニット)と接続することで遊技が可能になる。
【0322】
また、上記実施形態では、遊技球を用いるパチンコ機に本発明を適用する例について説明したが、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数を設定し、スタートレバーの操作によりリールを回転させ、回転するリールをストップボタンによる停止操作により停止させ、リールが停止したときの図柄の種類や図柄の組み合わせにより入賞が発生可能なスロットマシンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0323】
P パチンコ機(遊技機)
42 液晶表示器
45 演出ボタン
70 主制御装置
72 主制御CPU
74 ROM
76 RAM
124 演出制御装置
126 演出制御CPU