(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/08 20060101AFI20241022BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01B21/08
G01B11/06 Z
(21)【出願番号】P 2022109008
(22)【出願日】2022-07-06
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀場 圭人
(72)【発明者】
【氏名】浦上 太一
(72)【発明者】
【氏名】石津 誠二
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 尚也
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298504(JP,A)
【文献】特開平09-159438(JP,A)
【文献】特開平04-364410(JP,A)
【文献】特開平08-128820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対する第1被測定面および第2被測定面を有する測定対象物と、互いに相対する第1基準面および第2基準面を有する基準対象物と、を準備する工程と、
枠状の支持部材によって支持された第1測定ユニットおよび第2測定ユニットによって、前記測定対象物および前記基準対象物を測定する工程と、を備え、
前記第1測定ユニットは、第1方向に対向するように配置された第1変位計および第2変位計を有し、
前記第2測定ユニットは、前記第1方向に対向するように配置された第3変位計および第4変位計を有し、
前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットは、前記第1方向に直交する第2方向に並んだ状態で前記枠状の支持部材に支持されており、
前記測定対象物と前記基準対象物とを準備する工程において、前記第1変位計に前記第1被測定面が対向し、前記第2変位計に前記第2被測定面が対向するように前記測定対象物を配置し、かつ、前記第3変位計に前記第1基準面が対向し、前記第4変位計に前記第2基準面が対向するように前記基準対象物を配置し、
前記測定対象物および前記基準対象物を測定する工程は、前記第1被測定面および前記第2被測定面までの距離をそれぞれ前記第1変位計および前記第2変位計によって測定し、かつ、前記第1基準面および前記第2基準面までの距離をそれぞれ前記第3変位計および前記第4変位計によって測定する工程を含み、
前記枠状の支持部材として、前記第1方向の一方側で、前記第1変位計および前記第3変位計を支持する第1フレーム部と、前記第1方向の他方側で、前記第2変位計および前記第4変位計を支持する第2フレーム部と、前記第2方向の一方側において前記第1フレーム部および前記第2フレーム部の端部同士を接続する第3フレーム部と、前記第2方向の他方側において前記第1フレーム部および前記第2フレーム部の端部同士を接続する第4フレーム部とを含むものを用い
、
前記測定対象物は、金属箔と、前記金属箔が有するおもて面および裏面に形成された活物質層とを含む電極シートであり、
前記第1被測定面は、前記おもて面に形成された前記活物質層によって構成されており、
前記第2被測定面は、前記裏面に形成された前記活物質層によって構成されており、
前記測定対象物および前記基準対象物を測定する工程において、前記電極シートに作用する張力が調整された状態で前記電極シートを測定する、測定方法。
【請求項2】
前記第2測定ユニットによって得られた測定結果に基づき、前記第1測定ユニットによって得られた測定結果を補正する工程を、さらに備えた、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記第1測定ユニットによって得られた測定結果を補正する工程は、前記第2測定ユニットによって検知された測定値がゼロ点から変位した変位量を算出し、前記変位量に基づいて、前記第1測定ユニットによって得られた測定結果を補正する、請求項2に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変位計を用いた測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の変位計を用いた測定方法として、特開2019-2721号公報(特許文献1)には、2つのヘッドユニットを互いに対向して配置して、当該2つのヘッドユニットの間に位置する測定対象物の厚さを測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、2つのヘッドユニットを支持する支持具の具体的な構造については十分に考慮されていない。このため、周辺温度が変化した場合には、支持具の形状の如何によっては、支持具が熱変形し、測定誤差が生じることが懸念される。
【0005】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、変位計を用いた被測定対象物の測定方法であって、周辺温度の変化による測定誤差を抑制できる測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく測定方法は、互いに相対する第1被測定面および第2被測定面を有する測定対象物と、互いに相対する第1基準面および第2基準面を有する基準対象物と、を準備する工程と、枠状の支持部材によって支持された第1測定ユニットおよび第2測定ユニットによって、上記測定対象物および上記基準対象物を測定する工程と、を備える。上記第1測定ユニットは、第1方向に対向するように配置された第1変位計および第2変位計を有する。上記第2測定ユニットは、上記第1方向に対向するように配置された第3変位計および第4変位計を有する。上記第1測定ユニットおよび上記第2測定ユニットは、上記第1方向に直交する第2方向に並んだ状態で上記枠状の支持部材に支持されている。
【0007】
上記測定対象物と上記基準対象物とを準備する工程において、上記第1変位計に上記第1被測定面が対向し、上記第2変位計に上記第2被測定面が対向するように上記測定対象物を配置し、かつ、上記第3変位計に上記第1基準面が対向し、上記第4変位計に上記第2基準面が対向するように上記基準対象物を配置する。上記測定対象物および上記基準対象物を測定する工程において、上記第1被測定面および上記第2被測定面までの距離をそれぞれ上記第1変位計および上記第2変位計によって測定し、かつ、上記第1基準面および上記第2基準面までの距離をそれぞれ上記第3変位計および上記第4変位計によって測定する。
【0008】
上記枠状の支持部材として、上記第1方向の一方側で、上記第1変位計および上記第3変位計を支持する第1フレーム部と、上記第1方向の他方側で、上記第2変位計および上記第4変位計を支持する第2フレーム部と、上記第2方向の一方側において上記第1フレーム部および上記第2フレーム部の端部同士を接続する第3フレーム部と、上記第2方向の他方側において上記第1フレーム部および上記第2フレーム部の端部同士を接続する第4フレーム部とを含むものを用いる。
【0009】
上記測定方法を用いる場合には、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットを支持する支持部材として、第2方向における第1フレーム部および第2フレーム部の両端同士が、第3フレーム部および第4フレーム部によって接続されたものを用いる。これにより、周辺温度の変化によって支持部材が熱変形する場合であっても、支持部材の変形量を小さくすることができる。この結果、第1変位計および第2変位計の位置の変動、ならびに第2変位計および第4変位計の位置の変動を抑制し、測定誤差を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、変位計を用いた被測定対象物の測定方法であって、周辺温度の変化による測定誤差を抑制できる測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る電極シートを製造する製造システムの概略を示す概略図である。
【
図2】実施の形態に係る厚さ測定部の概略図である。
【
図3】実施の形態に係る第2測定ユニットにおける測定値と時間との関係を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る第1測定ユニットにおける測定値と時間との関係、および補正後の測定値と時間との関係を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る厚さ測定部による測定手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。また、以下に示す実施の形態では、二次電池に用いられる電極シートを製造する工程において、活性物層が形成された電極シートの厚さを測定する厚さ測定部に本発明を適用した場合を例示して説明するが、測定する対象物は電極シートに限定されない。
【0013】
図1は、実施の形態に係る電極シートを製造する製造システムの概略を示す概略図である。
図1を参照して、電極シートを製造する製造システム100について説明する。
【0014】
図1を示すように、製造システム100は、プレス機10、複数の搬送ローラ2~6、厚さ測定部30、および制御部40を備える。製造システム100では、複数の搬送ローラ2~6等によって搬送される電極シート20をプレス機10でプレスし、後述するように活物質層22,23(
図2参照)を金属箔21(
図2参照)に固定する。続いて、活物質層22,23が固定された電極シート20を厚さ測定部30に搬送し、電極シート20の厚さを測定する。
【0015】
プレス機10は、第1ローラ11および第2ローラ12、および圧力調整機構15を含む。第1ローラ11および第2ローラ12は、互いに対向するように配置されている。第1ローラ11および第2ローラ12は、活物質層22,23が塗工された塗工部を挟み込むことにより、当該塗工部をプレスする。
【0016】
圧力調整機構15は、第1ローラ11と第2ローラ12とが対向する方向において第1ローラ11の位置を調整することで、第1ローラ11および第2ローラ12が塗工部をプレスする圧力を調整する。なお、第1ローラ11および第2ローラ12の圧力は、不図示の圧力検知部によって検知することができる。
【0017】
厚さ測定部30は、電極シート20の搬送方向において、プレス機10の下流側に配置されている。厚さ測定部30は、上記搬送方向において、搬送ローラ4と搬送ローラ5の間に配置されている。厚さ測定部30は、不図示の張力制御装置によって張力が調整された状態の電極シート20の厚さを測定する。
【0018】
厚さ測定部30によって測定された結果は、制御部40に入力される。制御部40は、入力された測定結果に基づいて、圧力調整機構15の動作を制御する。
【0019】
図2は、実施の形態に係る厚さ測定部の概略図である。
図2を参照して、厚さ測定部30の具体的な構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、厚さ測定部30は、第1測定ユニット31、第2測定ユニット32および枠状の支持部材35を備える。
【0021】
第1測定ユニット31は、第1方向(
図2中DR1方向)に間隔をあけて配置された第1変位計311および第2変位計312を有する。第2測定ユニット32は、第1方向に間隔をあけて配置された第3変位計321および第4変位計322を有する。なお、第1方向は、たとえば鉛直方向であってもよい。
【0022】
第1測定ユニット31および第2測定ユニット32は、第1方向に直交する第2方向(
図2中DR2方向)に並んだ状態で支持部材35によって支持されている。
【0023】
第1変位計311、第2変位計312、第3変位計321、および第4変位計322は、たとえば、共焦点変位計等の光学変位計である。共焦点変位計は、光源の像が結像する結像面からの反射光に受光する光を絞り込むという共焦点原理と、光源の像に光軸方向の色ずれが生じるという軸上色収差の現象とを利用して計測対象物の変位を計測する光学式の計測装置である。
【0024】
共焦点変位計は、光源からの光を点光源として出射するピンホールと、ピンホールを介して出射された検出光に軸上色収差を発生させ、検出光を測定対象物に向かって収束させる光学部材と、測定対象物からの反射光を分光し、受光信号を生成する分光器とにより構成される。検出光には、複数の波長を有する光、例えば、白色光が用いられる。ピンホールは、光学部材を介して測定対象物に照射された検出光のうち、測定対象物上で合焦しつつ反射された波長の検出光を通過させる。
【0025】
結像面の位置は、軸上色収差により波長ごとに異なるため、ピンホールを通過した検出光の波長を特定することにより、測定対象物の変位が求められる。変位は、予め定められた所定の位置から測定対象物までの光軸方向の距離であり、変位を求めることにより、測定対象物の厚さ等を測定することができる。
【0026】
第1測定ユニット31は、測定対象物として電極シート20の厚さを測定する。電極シート20は、金属箔21と活物質層22,23とを含む。活物質層22は、金属箔21のおもて面21aに形成されており、活物質層23は、金属箔21の裏面21bに形成されている。
【0027】
電極シート20は、互いに相対する第1被測定面20aおよび第2被測定面20bを有する。第1被測定面20aおよび第2被測定面20bは、測定位置において、第1方向に対向する。また、測定位置において、第1被測定面20aは、第1変位計311に対向し、第2被測定面20bは、第2変位計312に対向する。電極シート20の厚さを測定する際には、第1変位計311は、第1被測定面20aまでの距離を測定し、第2変位計312は、第2被測定面20bまでの距離を測定する。
【0028】
第1被測定面20aは、金属箔21が位置する側とは反対側に位置する活物質層22の主面によって構成される。第2被測定面20bは、金属箔21が位置する側とは反対側に位置する活物質層23の主面によって構成される。
【0029】
金属箔21は、帯状形状を有する。金属箔21は、アルミ箔、あるいは銅箔等である。活物質層22,23は、負極活物質層でもよいし、正極活物質層でもよい。
【0030】
負極活物質層は、負極活物質粒子と、バインダとを含む。負極活物質粒子は、たとえば、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素等の炭素系負極活物質でもよいし、珪素(Si)、錫(Sn)等を含有する合金系負極活物質でもよい。バインダは、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)等であってもよい。
【0031】
正極活物質層は、正極活性物質粒子およびバインダ樹脂を含有する。正極活物質粒子は、典型的にはリチウム(Li)含有金属酸化物の粒子である。
【0032】
活物質層22,23は、たとえば、電極シート20の中央部に幅広に設けられており、これにより、幅方向の両端側に位置する金属箔21のおもて面21aおよび裏面21bは、活物質層22,23から露出している。
【0033】
第2測定ユニット32は、基準対象物60の厚さを測定する。基準対象物60は、予め厚さが測定されたものであり、たとえば、PET箔等の箔状部材である。
【0034】
基準対象物60は、互いに相対する第1基準面60aおよび第2基準面60bを有する。第1基準面60aおよび第2基準面60bは、測定位置において、上記第1方向に対向する。また、測定位置において、第1基準面60aは、第3変位計321に対向し、第2基準面60bは、第4変位計322に対向する。基準対象物60の厚さを測定する際には、第3変位計321は、第1基準面60aまでの距離を測定し、第4変位計322は、第2基準面60bまでの距離を測定する。
【0035】
支持部材35は、第1測定ユニット31および第2測定ユニット32を支持する。支持部材35は、電極シート20の搬送経路の一部を囲むように設けられている。すなわち、支持部材35には開口部35aが設けられており、搬送経路は、当該開口部35aを通過するように設けられている。当該開口部35aには、基準対象物60も配置される。
【0036】
支持部材35は、第1フレーム部351、第2フレーム部352、第3フレーム部353、第4フレーム部354を含む。第1フレーム部351および第2フレーム部352は、第1方向に離間して配置されている。第1フレーム部351および第2フレーム部352は、第2方向に延在するように設けられている。
【0037】
第1フレーム部351は、第1方向の一方側で、第1変位計311および第3変位計321を支持する。第1方向を高さ方向とした場合に、第1変位計311および第3変位計321は、同じ高さ位置で支持されている。
【0038】
第2フレーム部352は、第1方向の他方側で、第2変位計312および第4変位計322を支持する。第1方向を高さ方向とした場合に、第2変位計312および第4変位計322は、同じ高さ位置で支持されている。
【0039】
第3フレーム部353は、第2方向の一方側において、第1フレーム部351および第2フレーム部352の端部同士を接続する。第4フレーム部354は、第2方向の他方側において、第1フレーム部351および第2フレーム部352の端部同士を接続する。
【0040】
図3は、実施の形態に係る第2測定ユニットにおける測定値と時間との関係を示す図である。
【0041】
時間が経過すると、第3変位計321および第4変位計322が発熱したり、環境温度が変化したりすることにより、第3変位計321および第4変位計322の周辺温度が変化する。これにより、第2測定ユニット32によって、予め厚さが判明している基準対象物60を測定する場合であっても、
図3に示すように、測定値が変化する。第2測定ユニット32においては、初期に測定された測定値をゼロ点とすることで、時間の経過に伴う数値変化量を補正量として検出することができる。
【0042】
図4は、実施の形態に係る第1測定ユニットにおける測定値と時間との関係、および補正後の測定値と時間との関係を示す図である。
【0043】
第1測定ユニット31によって電極シート20を測定する場合においても、時間が経過すると、第1変位計311および第2変位計312が発熱したり、環境温度が変化することにより、第3変位計321および第4変位計322の周辺温度が変化する。このため、
図4に示すように、時間の経過に伴って測定値が大きく変動することがある。このような場合において、第1測定ユニット31による測定結果(測定値)を上記補正量に基づいて補正することで、補正後の測定値に示されるように、安定して精度良く測定することができる。なお、第1測定ユニット31による測定と第2測定ユニット32による測定は同時に行われる。
【0044】
図5は、比較例に係る厚さ測定部の概略図である。
図5を参照して、比較例に係る厚さ測定部30Xについて説明する。
【0045】
図5に示すように、比較例に係る厚さ測定部30Xは、実施の形態に係る厚さ測定部30と比較して、第2測定ユニット32が設けられていない点、および支持部材35Xの形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0046】
支持部材35Xは、第1測定ユニット31を支持する。支持部材35Xは、開口端が第2方向の一方側を向く略U字形状を有する。支持部材35Xは、第1フレーム部351、第2フレーム部352、および第3フレーム部353を含む。
【0047】
第1フレーム部351および第2フレーム部352は、第1方向に離間して配置されている。第1フレーム部351および第2フレーム部352は、第2方向に延在するように設けられている。第3フレーム部353は、第2方向の一方側において、第1フレーム部351および第2フレーム部352の端部同士を接続する。
【0048】
第2方向の他方側に位置する第1フレーム部351および第2フレーム部352の端部は、第2方向における電極シート20の中央部と第1方向に重なる位置に位置する。第2方向の他方側に位置する第1フレーム部351および第2フレーム部352の端部に第1変位計311および第2変位計312が支持されている。
【0049】
この場合には、第1変位計311および第2変位計312が発熱したり、環境温度が変化したりすることにより、第3変位計321および第4変位計322の周辺温度が変化する。これにより、支持部材35Xが熱変形する。この際、第2方向の他方側に位置する支持部材35Xの端部は、第2方向の他方側に向けて開放されているので、支持部材35Xの熱変形量が大きくなる。これにより、第1変位計311および第2変位計312の位置が、変動して測定誤差が生じる。
【0050】
これに対して、本実施の形態においては、第2方向における第1フレーム部351および第2フレーム部352の両端同士は、第3フレーム部353および第4フレーム部354によって接続されている。これにより、支持部材35が熱変形する場合であっても、支持部材35の変形量を小さくすることができる。この結果、第1変位計311および第2変位計312の位置の変動、ならびに第3変位計321および第4変位計322の位置の変動を抑制し、周辺温度の変化による測定誤差を抑制することができる。
【0051】
図6は、実施の形態に係る厚さ測定部による測定手順を示すフロー図である。
図6を参照して、実施の形態に係る厚さ測定部30による測定手順について説明する。
【0052】
図6に示すように、厚さ測定部30によって測定対象物を測定する際して、まず工程(S10)において、測定対象物としての電極シート20と、基準対象物60を準備する。具体的には、工程(S10)においては、互いに相対する第1被測定面20aおよび第2被測定面20bを有する電極シート20と、互いに相対する第1基準面60aおよび第2基準面60bを有する基準対象物60と、を準備する。
【0053】
この際、第1変位計311に第1被測定面20aが対向し、第2変位計312に第2被測定面20bが対向するように電極シート20を配置する。より特定的には、第1変位計311と第2変位計312との間に電極シート20を搬送する。
【0054】
また、第3変位計321に第1基準面60aが対向し、第4変位計322に第2基準面60bが対向するように基準対象物60を配置する。
【0055】
続いて、工程(S20)において、枠状の支持部材によって支持された第1測定ユニット31および第2測定ユニット32によって電極シート20および基準対象物60を測定する。
【0056】
第1測定ユニット31としては、第1方向に第1変位計311と第2変位計312が対向配置されるものを用い、第2測定ユニット32としては、第1方向に第3変位計321と第4変位計322が対向配置されるものを用いる。また、支持部材35として、上述のように、第1変位計311および第3変位計321を支持する第1フレーム部351、第2変位計312および第4変位計322を支持する第2フレーム部352、第2方向における第1フレーム部351および第2フレーム部352の両端同士を接続する第3フレーム部353および第4フレーム部354を有する枠状の部材を用いる。
【0057】
工程(S20)は、工程(S21)と、工程(S22)とを含む。工程(S21)においては、第1被測定面20aおよび第2被測定面20bまでの距離をそれぞれ第1変位計311および第2変位計312によって測定し、かつ、第1基準面60aおよび第2基準面60bまでの距離をそれぞれ第3変位計321および第4変位計322によって測定する。
【0058】
工程(S22)においては、第2測定ユニット32によって得られた測定結果に基づき、第1測定ユニット31によって得られた測定結果を補正する。具体的には、第2測定ユニット32によって検知された測定値がゼロ点から変位した変位量を算出し、当該変化量に基づいて、第1測定ユニット31によって得られた測定結果を補正する。
【0059】
以上のように、上記実施の形態に係る測定方法においては、第1測定ユニット31および第2測定ユニット32を支持する支持部材として、枠状の支持部材35を用いることにより、周辺温度が変化した場合に、支持部材35の熱変形を抑制し、測定誤差を抑制することができる。また、第2測定ユニット32の測定結果に基づいて、第1測定ユニット31の測定結果を補正することにより、さらに精度よく電極シート20の厚さを測定することができる。
【0060】
なお、電極シート20を製造する場合には、金属箔21の両端に設けられた活物質層22,23をプレスする工程を実施する。続いて、上記測定方法を用いて、活物質層22,23がプレスされた電極シート20の厚さを測定する工程を実施する。さらに、上記測定方法によって算出された電極シート20の厚さを制御部40にフィードバックする工程を実施する。その後、フィードバックされた値に基づいて、制御部40が電極シート20(より特定的には活物質層22,23)をプレスする圧力を調整する工程を実施する。
【0061】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
2,4,5,6 搬送ローラ、10 プレス機、11 第1ローラ、12 第2ローラ、15 圧力調整機構、20 電極シート、20a 第1被測定面、20b 第2被測定面、21 金属箔、21a おもて面、21b 裏面、22,23 活物質層、30,30X 厚さ測定部、31 第1測定ユニット、32 第2測定ユニット、35,35X 支持部材、35a 開口部、40 制御部、60 基準対象物、60a 第1基準面、60b 第2基準面、100 製造システム、311 第1変位計、312 第2変位計、321 第3変位計、322 第4変位計、351 第1フレーム部、352 第2フレーム部、353 第3フレーム部、354 第4フレーム部。