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特許7575433特典付与装置、特典付与方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】特典付与装置、特典付与方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241022BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241022BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q50/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022139350
(22)【出願日】2022-09-01
(65)【公開番号】P2024034836
(43)【公開日】2024-03-13
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100169029
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 恵一
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 慶
(72)【発明者】
【氏名】安原 真史
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 盛一
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-055731(JP,A)
【文献】特開2013-009539(JP,A)
【文献】特開2022-062637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられたバッテリに対する充電装置による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報を取得する取得部と、
前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与部と、
を備える、特典付与装置。
【請求項2】
請求項1に記載の特典付与装置であって、
前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率以下の場合に前記ユーザに付与される前記特典は、前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率よりも高い場合に前記ユーザに付与される前記特典よりも大きい、特典付与装置。
【請求項3】
請求項2に記載の特典付与装置であって、
前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率よりも高い場合に前記ユーザに付与される前記特典は、前記バッテリ充電率が高いほど小さい、特典付与装置。
【請求項4】
請求項2に記載の特典付与装置であって、
前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率よりも高い場合、前記特典は前記ユーザに付与されない、特典付与装置。
【請求項5】
請求項1に記載の特典付与装置であって、
前記推奨上限充電率は、前記満充電の60%~80%の範囲内である、特典付与装置。
【請求項6】
請求項2に記載の特典付与装置であって、
前記バッテリ充電率が、前記推奨充電率の下限である推奨下限充電率よりも低い場合、前記バッテリ充電率が低いほど前記特典が小さく、
前記バッテリ充電率が前記推奨下限充電率以上の場合に付与される前記特典は、前記バッテリ充電率が前記推奨下限充電率よりも低い場合に付与される前記特典よりも大きい、特典付与装置。
【請求項7】
請求項2に記載の特典付与装置であって、
前記バッテリ充電率が、前記推奨上限充電率よりも低く予め設定される推奨下限充電率よりも低い場合、前記特典は付与されない、特典付与装置。
【請求項8】
請求項1に記載の特典付与装置であって、
前記バッテリに対する前記充電が行われている際の前記バッテリ充電率情報を、前記ユーザが所持する端末へ通信ネットワークを介して送信する送信部をさらに備える、特典付与装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の特典付与装置であって、
前記特典は、前記ユーザが前記充電装置を利用する際に用いられ得る特典である、特典付与装置。
【請求項10】
請求項9に記載の特典付与装置であって、
前記特典は、前記充電装置の利用料金に対する値引きである、特典付与装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の特典付与装置であって、
前記特典は、前記充電装置に関連する施設を前記ユーザが利用する際に用いられ得る特典である、特典付与装置。
【請求項12】
取得部と特典付与部とを備える特典付与装置によって実行される特典付与方法であって、
移動体に備えられたバッテリに対する充電装置による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報を前記取得部が取得する取得ステップと、
前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率以下の場合、前記移動体のユーザに特典を前記特典付与部が付与する特典付与ステップと、
を備える、特典付与方法。
【請求項13】
移動体に備えられたバッテリに対する充電装置による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報を取得する取得ステップと、
前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特典付与装置、特典付与方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのより多くの人々のアクセスを確保可能にするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には車載の蓄電装置の充電状態が満充電に近くなった場合、緩やかに充電が進行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2010/61465号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の開示のように、緩やかに充電が進行すると、充電時間が長期化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とし、延いてはエネルギーの効率化に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、特典付与装置であって、移動体に備えられたバッテリに対する充電装置による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報を取得する取得部と、前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与部と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、特典付与方法であって、移動体に備えられたバッテリに対する充電装置による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報を取得する取得ステップと、前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与ステップと、を備える。
【0009】
本発明の第3の態様は、プログラムであって、移動体に備えられたバッテリに対する充電装置による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報を取得する取得ステップと、前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バッテリの充電時間の短縮を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、特典付与装置のネットワーク接続の構成を、模式的に示す図である。
図2図2は、特典付与装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図3図3Aは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさを例示するグラフである。図3Bは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさが設定されたテーブルを例示する図である。
図4図4Aは、ユーザが充電装置を利用する際に用いられ得る特典が、ユーザの端末の画面に表示された例を示す図である。図4Bは、充電装置に関連する施設をユーザが利用する際に用いられ得る特典を例示する図である。
図5図5は、特典付与装置が行う特典付与処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6Aは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさを例示するグラフである。図6Bは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさが設定されたテーブルを例示する図である。
図7図7Aは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさを例示するグラフである。図7Bは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさが設定されたテーブルを例示する図である。
図8図8Aは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさを例示するグラフである。図8Bは、バッテリの充電率に応じて付与される特典の大きさが設定されたテーブルを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、特典付与装置10のネットワーク接続の構成を、模式的に示す図である。特典付与装置10には、通信ネットワーク20を介して、ユーザの端末30と、そのユーザの移動体40に備えられたバッテリ42を充電する充電装置50とが接続される。移動体40は、例えば電動車両である。本実施の形態では、移動体40が電動車両である場合を例に説明する。しかし、移動体40は、ロボット、飛行体等の他の移動体であってもよい。
【0013】
充電装置50は、施設60の駐車場(駐機場)62に設置される。施設60は、駐車場62および店舗64を有する。本実施の形態では、充電装置50は施設60に関連し、且つ施設60は商業施設である場合を例に説明する。しかし、施設60は、例えば道路施設等、商業施設以外の施設であってもよい。充電装置50は施設60に関連しない場所に設置されてもよい。
【0014】
本実施の形態では、特典付与装置10は、充電装置50および施設60のいずれとも異なる場所に設置される。しかし、特典付与装置10は、充電装置50或いは施設60に設置されてもよい。
【0015】
バッテリ42に対する充電装置50による充電が完了した際に、充電装置50は、バッテリ42の充電率(SOC:State Of Charge)であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報70を、通信ネットワーク20を介して特典付与装置10へ送信する。特典付与装置10は、バッテリ42の充電率に応じて、移動体40のユーザに特典を付与する。特典付与装置10は、ユーザに付与した特典に関する特典情報80を、通信ネットワーク20を介してユーザの端末30へ送信する。
【0016】
図2は、特典付与装置10の構成を模式的に示すブロック図である。特典付与装置10は、処理回路100と、記憶部102とを有する。処理回路100は、CPUまたはGPU等のプロセッサを含む。記憶部102は、RAM等の揮発性メモリと、ROMまたはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを含む。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして用いられる。不揮発性メモリは、プロセッサが実行するプログラムと、その他必要なデータとを記憶する。
【0017】
処理回路100は、取得部110と、特典付与部112と、送信部114とを有する。処理回路100が記憶部102に保存されたプログラムを実行することにより、取得部110と、特典付与部112と、送信部114とが実現される。取得部110と、特典付与部112と、送信部114とのうちの少なくとも一部は、ASICまたはFPGA等の集積回路、或いはディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0018】
取得部110は、充電装置50または移動体40から送信されたバッテリ充電率情報70を、通信ネットワーク20を介して取得する。バッテリ充電率情報70は、バッテリ42に対する充電装置50による充電が完了した際のバッテリ42の充電率を示す情報である。特典付与部112は、バッテリ42に対する充電装置50による充電が完了した際のバッテリ42の充電率に応じて、移動体40のユーザに特典を付与する。送信部114は、移動体40のユーザに付与された特典に関する特典情報80を、通信ネットワーク20を介してユーザの端末30へ送信する。
【0019】
図3Aは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさを例示するグラフである。図3Aには、推奨される充電率Pとして満充電(100%)よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率PUが示されている。推奨上限充電率PU以下の充電率Pでバッテリ42に対する充電が行われると、充電効率が高いため、充電時間が短くなることが期待される。推奨上限充電率PUは予め設定される。本実施の形態では、推奨上限充電率PUが、60%~80%の範囲内である場合を例に説明する。しかし、推奨上限充電率PUが、バッテリ42の性能等に基づく他の範囲内であってもよい。
【0020】
バッテリ42の充電率Pが、推奨上限充電率PU以下の場合、移動体40のユーザに特典Rが付与される。特典Rの大きさはR1である。充電効率が高いため、充電時間の短縮化をユーザに促すことができる。図3Aに示すように、バッテリ42の充電率Pが推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが推奨上限充電率PUよりも高い場合にユーザに付与される特典Rよりも大きい。より具体的に述べると、充電率Pが推奨上限充電率PUよりも高い場合、特典Rはユーザに付与されない(R=0)。
【0021】
図3Aには、上述した推奨充電率の下限である推奨下限充電率PLが示されている。推奨下限充電率PLは、推奨上限充電率PUよりも低く予め設定される。推奨下限充電率PLよりも低い充電率Pでバッテリ42に対する充電が行われると、バッテリ42の劣化が早まるおそれがある。バッテリ42の充電率Pが、推奨下限充電率PL以上の場合、移動体40のユーザに特典Rが付与される。バッテリ42の劣化を抑制することができる。
【0022】
図3Aに示すように、バッテリ42の充電率Pが推奨下限充電率PL以上の場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが推奨下限充電率PLよりも低い場合にユーザに付与される特典Rよりも大きい。より具体的に述べると、充電率Pが推奨下限充電率PLよりも低い場合、特典Rはユーザに付与されない。充電率Pが推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rの大きさは一定値R1である。
【0023】
図3Bは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさが設定されたテーブル130を例示する図である。図3Bに示すテーブル130は、図3Aに示す充電率Pに応じた特典Rの大きさを示すグラフに対応する。
【0024】
充電率Pが、ゼロ以上であって且つ推奨下限充電率PLよりも低い場合(0≦P<PL)、特典Rの大きさはゼロである。充電率Pが、推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下である場合(PL≦P≦PU)、特典Rの大きさはR1である。充電率Pが、推奨上限充電率PUよりも高い場合(PU<P≦100)、特典Rの大きさはゼロである。
【0025】
テーブル130は、記憶部102に予め保存される。特典付与部112は、取得部110により取得されたバッテリ42の充電率Pと、テーブル130とに基づいて、移動体40のユーザに特典Rを付与する。送信部114は、ユーザに付与された特典Rに関する特典情報80を、ユーザの端末30へ送信する。
【0026】
ユーザの端末30は、特典付与装置10から受信した特典情報80に基づいて、ユーザに付与された特典Rを画面に表示することができる。図4Aは、ユーザが充電装置50を利用する際に用いられ得る特典Rが、ユーザの端末30の画面150に表示された例を示す図である。ユーザが充電装置50を利用する際に用いられ得る特典Rは、例えば充電装置50の利用料金に対する値引きである。
【0027】
図4Aに示すユーザの端末30の画面150には、一番上にタイトル160が表示される。画面150には、タイトル160の下に、充電料金に関するメッセージ172、174および176が表示される。画面150には、一番下にボタン180が表示される。
【0028】
図4Aに示す例において、タイトル160には「充電料金」と記載されている。メッセージ172には、値引き前の通常の充電料金が5,000円であることが記載されている。メッセージ174には、ユーザに付与された特典Rとして、通常の充電料金から10%相当額である500円が値引きされることが記載されている。メッセージ176には、ユーザに対する請求金額が4,500円であることが記載されている。請求金額は、通常の充電料金から10%相当額が値引きされた金額である。ユーザがボタン180を押すと、値引きされた充電料金4,500円が支払われる。
【0029】
図4Bは、充電装置50に関連する施設60をユーザが利用する際に用いられ得る特典Rを例示する図である。施設60が商業施設の場合、施設60をユーザが利用する際に用いられ得る特典Rは、施設60内の店舗64で提供される商品或いはサービスの表示価格に対する値引きである。図4Bに示すユーザの端末30の画面150には、一番上にタイトル200が表示される。画面150には、タイトル200の下に、施設60内の店舗64でユーザが利用可能な特典Rに関するメッセージ202および204が表示される。画面150には、一番下にバーコード206が表示される。
【0030】
図4Bに示す例において、タイトル200には「特典クーポン」と記載されている。メッセージ202には、施設60内の店舗64で提供される商品或いはサービスの表示価格に対する値引きとして、特典Rを利用可能であることが記載されている。メッセージ204には、ユーザが値引きを受けるためには、画面150に表示されたバーコード206を、店舗64での会計時に店員に提示することが必要であることが記載されている。店員がバーコードリーダにバーコード206を読み取らせることにより、ユーザは値引きを受けることができる。
【0031】
特典Rは、施設60内の店舗64で提供される商品或いはサービスの表示価格に対する値引きでなくてもよい。特典Rは、例えば、施設60の駐車場62の利用料金に対する値引きであってもよい。施設60が商業施設ではなく道路施設である場合、特典Rは、例えば道路施設の利用料金(道路通行料金)に対する値引きであってもよい。その場合、特典Rは、道路通行料金の料金収受システムの利用時に適用される。
【0032】
図5は、特典付与装置10が行う特典付与処理の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば特典付与装置10が有する処理回路100が、記憶部102に保存されたプログラムを実行することにより行われる。本処理手順が開始されると、バッテリ42に対する充電装置50による充電が完了した際に、充電装置50または移動体40から特典付与装置10へバッテリ充電率情報70が送信される。
【0033】
ステップS10で、取得部110は、特典付与装置10へ送信されたバッテリ充電率情報70を、通信ネットワーク20を介して取得する。バッテリ充電率情報70には、バッテリ42に対する充電装置50による充電が完了した際のバッテリ42の充電率Pが含まれる。ステップS12で、特典付与部112は、バッテリ42の充電率Pと、記憶部102に保存されたテーブル130とに基づいて、移動体40のユーザに特典Rを付与する。
【0034】
ステップS14で、送信部114は、ユーザに付与された特典Rに関する特典情報80を、通信ネットワーク20を介してユーザの端末30へ送信する。ユーザの端末30の画面150には、図4Aまたは図4Bに示す特典Rが表示される。ステップS14の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0035】
[変形例]
上記実施の形態は、以下のように変形されてもよい。
【0036】
(変形例1)
充電率Pが推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rの大きさは、一定でなくてもよい。図6Aは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさを例示するグラフである。充電率Pが推奨下限充電率PLに等しいとき、特典Rの大きさはR2である。充電率Pが推奨上限充電率PUに等しいとき、特典Rの大きさはR1である。
【0037】
充電率Pが推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが高いほど大きい。図6Aに示すように、バッテリ42の充電率Pが推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが推奨上限充電率PUよりも高い場合にユーザに付与される特典Rよりも大きい。
【0038】
図6Bは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさが設定されたテーブル130Aを例示する図である。図6Bに示すテーブル130Aは、図6Aに示す充電率Pに応じた特典Rの大きさを示すグラフに対応する。
【0039】
充電率Pが、ゼロ以上であって且つ推奨下限充電率PLよりも低い場合(0≦P<PL)、特典Rの大きさはゼロである。充電率Pが、推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下である場合(PL≦P≦PU)、特典Rの大きさは式(1)で表される。充電率Pが、推奨上限充電率PUよりも高い場合(PU<P≦100)、特典Rの大きさはゼロである。
R=R2+(P-PL)×(R1-R2)/(PU-PL) ・・・(1)
【0040】
テーブル130Aは、記憶部102に予め保存される。特典付与部112は、取得部110により取得されたバッテリ42の充電率Pと、テーブル130Aとに基づいて、移動体40のユーザに特典Rを付与する。送信部114は、ユーザに付与された特典Rに関する特典情報80を、ユーザの端末30へ送信する。
【0041】
(変形例2)
充電率Pが推奨上限充電率PUよりも高い場合、ユーザに特典Rが付与されてもよい。図7Aは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさを例示するグラフである。充電率Pが推奨上限充電率PUに等しいとき、特典Rの大きさはR1である。充電率Pが満充電に等しいとき、特典Rの大きさはゼロである。
【0042】
充電率Pが推奨上限充電率PUよりも高い場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが高いほど小さい。図7Aに示すように、バッテリ42の充電率Pが推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが推奨上限充電率PUよりも高い場合にユーザに付与される特典Rよりも大きい。
【0043】
図7Bは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさが設定されたテーブル130Bを例示する図である。図7Bに示すテーブル130Bは、図7Aに示す充電率Pに応じた特典Rの大きさを示すグラフに対応する。
【0044】
充電率Pが、ゼロ以上であって且つ推奨下限充電率PLよりも低い場合(0≦P<PL)、特典Rの大きさはゼロである。充電率Pが、推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下である場合(PL≦P≦PU)、特典Rの大きさはR1である。充電率Pが、推奨上限充電率PUよりも高い場合(PU<P≦100)、特典Rの大きさは式(2)で表される。
R=R1-(P-PU)×R1/(100-PU) ・・・(2)
【0045】
テーブル130Bは、記憶部102に予め保存される。特典付与部112は、取得部110により取得されたバッテリ42の充電率Pと、テーブル130Bとに基づいて、移動体40のユーザに特典Rを付与する。送信部114は、ユーザに付与された特典Rに関する特典情報80を、ユーザの端末30へ送信する。
【0046】
(変形例3)
充電率Pが推奨下限充電率PLよりも低い場合、ユーザに特典Rが付与されてもよい。図8Aは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさを例示するグラフである。充電率Pが推奨下限充電率PLよりも低い場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが低いほど小さい。充電率Pが推奨下限充電率PLに等しいとき、特典Rの大きさはR2である。充電率Pがゼロに等しいとき、特典Rの大きさはゼロである。
【0047】
図8Aに示すように、バッテリ42の充電率Pが推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下の場合にユーザに付与される特典Rは、充電率Pが推奨下限充電率PLよりも低い場合にユーザに付与される特典Rよりも大きい。
【0048】
図8Bは、バッテリ42の充電率Pに応じて付与される特典Rの大きさが設定されたテーブル130Cを例示する図である。図8Bに示すテーブル130Cは、図8Aに示す充電率Pに応じた特典Rの大きさを示すグラフに対応する。
【0049】
充電率Pが、ゼロ以上であって且つ推奨下限充電率PLよりも低い場合(0≦P<PL)、特典Rの大きさは式(3)で表される。充電率Pが、推奨下限充電率PL以上であって且つ推奨上限充電率PU以下である場合(PL≦P≦PU)、特典Rの大きさは上述した式(1)で表される。充電率Pが、推奨上限充電率PUよりも高い場合(PU<P≦100)、特典Rの大きさはゼロである。
R=P×R1/PU ・・・(3)
【0050】
テーブル130Cは、記憶部102に予め保存される。特典付与部112は、取得部110により取得されたバッテリ42の充電率Pと、テーブル130Cとに基づいて、移動体40のユーザに特典Rを付与する。送信部114は、ユーザに付与された特典Rに関する特典情報80を、ユーザの端末30へ送信する。
【0051】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0052】
(1)特典付与装置(10)は、移動体(40)に備えられたバッテリ(42)に対する充電装置(50)による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率(P)であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報(70)を取得する取得部(110)と、前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率(PU)以下の場合、前記移動体のユーザに特典(R)を付与する特典付与部(112)と、を備える。これにより、ユーザにとってはバッテリに対する充電効率が低下する前に充電を完了しようとするモチベーションが生まれるため、バッテリの充電時間の短縮を促すことができる。
【0053】
(2)前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率以下の場合に前記ユーザに付与される前記特典は、前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率よりも高い場合に前記ユーザに付与される前記特典よりも大きくてもよい。これにより、ユーザにとってはバッテリに対する充電効率が低下する前に充電を完了しようとする高いモチベーションが生まれるため、バッテリの充電時間の短縮を、より促すことができる。
【0054】
(3)前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率よりも高い場合に前記ユーザに付与される前記特典は、前記バッテリ充電率が高いほど小さくてもよい。これにより、ユーザにとってはバッテリに対する充電効率が低下する前に充電を完了しようとする高いモチベーションが生まれるため、バッテリの充電時間の短縮を、より促すことができる。
【0055】
(4)前記バッテリ充電率が前記推奨上限充電率よりも高い場合、前記特典は前記ユーザに付与されなくてもよい。これにより、ユーザにとってはバッテリに対する充電効率が低下する前に充電を完了する高いモチベーションが生まれるため、バッテリの充電時間の短縮を、より促すことができる。
【0056】
(5)前記推奨上限充電率は、前記満充電の60%~80%の範囲内であってもよい。これにより、充電効率が低下する前に充電が完了する可能性が高まる。
【0057】
(6)前記バッテリ充電率が、前記推奨充電率の下限である推奨下限充電率(PL)よりも低い場合、前記バッテリ充電率が低いほど前記特典が小さく、前記バッテリ充電率が前記推奨下限充電率以上の場合に付与される前記特典は、前記バッテリ充電率が前記推奨下限充電率よりも低い場合に付与される前記特典よりも大きくてもよい。これにより、バッテリの劣化を抑えられる可能性が高まる。
【0058】
(7)前記バッテリ充電率が、前記推奨上限充電率よりも低く予め設定される推奨下限充電率(PL)よりも低い場合、前記特典は付与されなくてもよい。これにより、バッテリの劣化を、より抑えられる可能性が高まる。
【0059】
(8)前記特典付与装置は、前記バッテリに対する前記充電が行われている際の前記バッテリ充電率情報を、前記ユーザが所持する端末(30)へ通信ネットワーク(20)を介して送信する送信部(114)をさらに備えてもよい。これにより、ユーザは特典を利用しやすくなる。
【0060】
(9)前記特典は、前記ユーザが前記充電装置を利用する際に用いられ得る特典であってもよい。これにより、電力供給事業者単独で特典を提供しやすくなる。
【0061】
(10)前記特典は、前記充電装置の利用料金に対する値引きであってもよい。これにより、電力供給事業者単独で特典を簡便に提供しやすくなる。
【0062】
(11)前記特典は、前記充電装置に関連する施設を前記ユーザが利用する際に用いられ得る特典であってもよい。これにより、ユーザにとって魅力的な特典が付与される。
【0063】
(12)特典付与方法は、移動体(40)に備えられたバッテリ(42)に対する充電装置(50)による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率(P)であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報(70)を取得する取得ステップと、前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率(PU)以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与ステップと、を備える。これにより、ユーザにとってはバッテリに対する充電効率が低下する前に充電を完了しようとするモチベーションが生まれるため、バッテリの充電時間の短縮を促すことができる。
【0064】
(13)プログラムは、移動体(40)に備えられたバッテリ(42)に対する充電装置(50)による充電が完了した際に、前記バッテリの充電率(P)であるバッテリ充電率に関するバッテリ充電率情報(70)を取得する取得ステップと、前記バッテリ充電率が、推奨される充電率として満充電よりも低く設定される推奨充電率の上限である推奨上限充電率(PU)以下の場合、前記移動体のユーザに特典を付与する特典付与ステップと、をコンピュータに実行させる。これにより、ユーザにとってはバッテリに対する充電効率が低下する前に充電を完了しようとするモチベーションが生まれるため、バッテリの充電時間の短縮を促すことができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0066】
10…特典付与装置 20…通信ネットワーク
30…端末 40…移動体
50…充電装置 60…施設
62…駐車場 64…店舗
70…バッテリ充電率情報 80…特典情報
100…処理回路 102…記憶部
110…取得部 112…特典付与部
114…送信部 130…テーブル
150…画面 160、200…タイトル
172、174、176、202、204…メッセージ
180…ボタン 206…バーコード
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