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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H01R13/64
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022169707
(22)【出願日】2022-10-24
(65)【公開番号】P2024061996
(43)【公開日】2024-05-09
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 知哉
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-118178(JP,A)
【文献】特開2011-070799(JP,A)
【文献】特開平10-177880(JP,A)
【文献】特開2019-029079(JP,A)
【文献】特開2019-029080(JP,A)
【文献】特開2020-087906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、
前記ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を検出する検知部材と、
を備え、
前記ハウジングには、被規制部が設けられ、
前記ハウジングには、前記相手ハウジングの被ロック部と係合し、前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を保持するロック部が設けられ、
前記検知部材には、前記検知部材の本係止位置において、前記被規制部と係合し、前記検知部材の仮係止位置への移動を規制する規制部が設けられ、
前記検知部材には、前記検知部材の仮係止位置において、前記ロック部と当接して前記検知部材の本係止位置への移動を規制する係止部を有する検知ロックアームが、弾性変形可能に設けられ、
前記検知ロックアームは、前記被ロック部と前記ロック部とが係合した状態において、弾性変形されて前記ロック部と前記係止部との当接が解除され、
前記規制部は、前記検知ロックアームに設けられ、前記検知部材の本係止位置において、前記検知ロックアームの弾性変形からの復元により、前記被規制部に対して、係合可能に配置され、
前記検知部材には、前記検知部材の本係止位置において、前記検知ロックアームを弾性変形させることで前記規制部と前記被規制部との係合を解除する操作部が設けられているコネクタ。
【請求項2】
前記規制部は、前記検知ロックアームにおいて、前記係止部と異なる位置に配置されている請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングと前記検知部材との間には、前記検知部材の仮係止位置において、前記検知部材の前記ハウジングから離脱する方向への移動を規制する離脱防止部が設けられている請求項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、相手ハウジングとしてのアウターハウジングと嵌合可能なハウジングとしてのインナーハウジングを備えている。また、インナーハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することによりアウターハウジングとインナーハウジングとの嵌合状態を検出する検知部材としてのスライド部材を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合している場合、検知部材を仮係止位置から本係止位置に移動させることができ、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合していることを検出することができる。
【0004】
一方、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合していない半嵌合状態などである場合には、検知部材を仮係止位置から本係止位置に移動させることができず、アウターハウジングとインナーハウジングとが嵌合していないことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-157454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、検知部材の本係止位置において、ハウジングに対して、検知部材の配置位置が保持されていない。このため、相手ハウジングとハウジングとが嵌合した状態で、検知部材に対して、外力などが加わると、検知部材が仮係止位置に向けて移動してしまう可能性があった。仮係止位置に移動した検知部材は、ハウジングから突出した状態となっている。ハウジングから突出された検知部材に外力が加わると、検知部材が破損してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、検知部材を本係止位置に保持することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係るコネクタは、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を検出する検知部材とを備え、前記ハウジングには、被規制部が設けられ、前記検知部材には、前記検知部材の本係止位置において、前記被規制部と係合し、前記検知部材の仮係止位置への移動を規制する規制部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知部材を本係止位置に保持することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置における斜視図である。
図2】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置における断面図である。
図3】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置において、検知ロックアームが弾性変形したときの断面図である。
図4】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、検知ロックアームが弾性変形から復元したときの断面図である。
図5】本実施形態に係るコネクタの検知部材の仮係止位置において、検知ロックアームが弾性変形したときの断面図である。
図6】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、検知ロックアームが弾性変形から復元したときの断面図である。
図7】本実施形態に係るコネクタの検知部材の本係止位置において、検知ロックアームが弾性変形したときの断面図である。
図8】本実施形態に係るコネクタのハウジングの一部を断面としたハウジングと端子の斜視図である。
図9】本実施形態に係るコネクタの検知部材の斜視図である。
図10】本実施形態に係るコネクタが嵌合可能な相手コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
図1示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、例えば、車両に搭載された電源や機器などの一方の電気部品に電気的に接続されている。図2図7に示すように、コネクタ1は、他方の電気部品に電気的に接続された相手コネクタ101と嵌合可能となっている。コネクタ1は、相手コネクタ101と嵌合することにより、電気部品の間を電気的に接続する。
【0013】
図2図7図10に示すように、相手コネクタ101は、相手ハウジング103と、相手端子(不図示)とを備えている。
【0014】
相手ハウジング103は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。相手ハウジング103は、内部にハウジング3が嵌合可能な筐体状に形成されている。相手ハウジング103は、一側が、例えば、電気部品(不図示)が内部に収容された筐体105と連続する一部材で形成され、ハウジング3との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出され、他側が開口されている。相手ハウジング103の開口側には、内部に向けて被ロック部107が突出して設けられている。
【0015】
相手端子は、導電性材料からなり、例えば、棒状に形成された相手接続部を有する雄型端子からなる。相手端子は、筐体105内の電気部品と電気的に接続され、例えば、筐体105の壁部に圧入などによって固定され、相手接続部が、相手ハウジング103の内部に配置される。
【0016】
図1図9に示すように、コネクタ1は、ハウジング3と、端子5と、検知部材7とを備えている。
【0017】
図1図8に示すように、ハウジング3は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。ハウジング3は、相手ハウジング103の内部に嵌合可能な筐体状に形成されている。ハウジング3は、端子収容部9と、検知部材収容部11と、ロックアーム13とを備えている。
【0018】
端子収容部9は、ハウジング3の高さ方向の下方に配置され、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出されている。端子収容部9の内部は、ハウジング3の幅方向に沿って複数列に区画されている。端子収容部9の内部には、複数の端子5がそれぞれ収容される。端子収容部9の長さ方向の両側は、それぞれ開口されている。端子収容部9の一側の開口には、ハウジング3と相手ハウジング103とが嵌合した状態で、相手端子の相手接続部が挿入される。端子収容部9の他側の開口には、端子5が内部に向けて挿入される。端子収容部9の内部の下方には、ハウジング3の高さ方向に弾性変形可能な係止ランス15が設けられている。係止ランス15は、端子5と係合し、端子収容部9からの端子5の抜け止めを行い、端子5を端子収容部9に保持する。
【0019】
検知部材収容部11は、ハウジング3の高さ方向の上方に配置されている。検知部材収容部11は、端子収容部9から上方に向けて突出され、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出された一対のガイドリブ17,17を有する。一対のガイドリブ17,17は、検知部材7の移動における幅方向の変動を抑制し、検知部材7の移動を安定化する。一対のガイドリブ17,17の長さ方向一側で下方には、一対のガイドリブ17,17に向けて突出された凸部19がそれぞれ設けられている。一対のガイドリブ17,17の上方には、一対のガイドリブ17,17に向けて突出された上方ガイドリブ21がそれぞれ設けられている。上方ガイドリブ21は、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出されている。上方ガイドリブ21は、検知部材7の移動における高さ方向の変動を抑制し、検知部材7の移動を安定化する。上方ガイドリブ21の長さ方向の凸部19と反対側には、下方に向けて突出された被規制部23が設けられている。被規制部23は、検知部材7の移動方向に対して、傾斜している。
【0020】
ロックアーム13は、ハウジング3の高さ方向の上方に配置され、一対のガイドリブ17,17の間に配置されている。ロックアーム13は、相手ハウジング103との嵌合方向及び離脱方向に沿って延出され、ハウジング3の幅方向に離間して複数(ここでは2つ)配置されている。ロックアーム13は、相手ハウジング103との嵌合方向前側及び嵌合方向後側を端子収容部9及び一対のガイドリブ17,17と連続する一部材で形成された基端とし、中間部分をハウジング3の高さ方向に弾性変形可能に配置された弾性変形部分としている。ロックアーム13と端子収容部9との間は、検知部材7が挿入可能な高さに設定され、検知部材収容部11を構成している。ロックアーム13の弾性変形部分には、複数のロックアーム13を連動可能に連結するロック部25が設けられている。
【0021】
ロックアーム13は、ハウジング3が相手ハウジング103内に挿入されると、ロック部25と被ロック部107とが当接し、ロック部25が被ロック部107を乗り越えるように摺動する。ロック部25と被ロック部107との摺動により、複数のロックアーム13がロック部25を介してハウジング3の下方に向けて弾性変形される。ハウジング3が相手ハウジング103内の正規位置に収容されると、ロック部25が被ロック部107を乗り越える。このとき、複数のロックアーム13は、ロック部25を介してハウジング3の上方に向けて復元され、ロック部25と被ロック部107とが離脱方向に係合される。ロック部25と被ロック部107との係合により、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合状態が保持される。なお、ロックアーム13の弾性変形部分には、押圧により複数のロックアーム13を下方に向けて弾性変形させる解除操作部27が設けられている。解除操作部27を下方に向けて押圧することにより、複数のロックアーム13が下方に向けて弾性変形され、ロック部25と被ロック部107との係合が解除される。ロック部25と被ロック部107との係合解除により、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合を解除することができる。
【0022】
図8に示すように、端子5は、導電性材料からなり、箱状に形成された接続部29を有する雌型端子からなる。端子5は、例えば、電気部品に電気的に接続された電線31の端末部に、接続部29と連続する一部材で形成された電線接続部33が、圧着などによって電気的に接続されている。端子5は、端子収容部9の他側の開口から端子収容部9に挿入され、端子収容部9に収容される。端子収容部9に収容された端子5は、接続部29に係止ランス15が係合されて端子収容部9に保持され、端子収容部9の他側の開口から電線31がハウジング3の外部に引き出される。端子5は、ハウジング3と相手ハウジング103とが嵌合すると、端子収容部9の一側の開口から内部に挿入された相手端子の相手接続部が接続部29の内部に挿入され、相手端子と電気的に接続される。
【0023】
図1図7図9に示すように、検知部材7は、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。検知部材7は、ハウジング3に対して、ハウジング3と相手ハウジング103の嵌合方向及び離脱方向に沿って、仮係止位置(図2参照)と本係止位置(図4参照)との間を移動可能に組付けられる。なお、検知部材7は、CPA(Connector Position Assurance)とも称される。検知部材7は、本体35と、検知ロックアーム37とを備えている。
【0024】
本体35は、検知部材7の移動方向に沿って延出された一対の側部39,39と、一対の側部39,39の一端側で一対の側部39,39を連結するように一対の側部39,39と連続する一部材で形成された連結部41とを有する。一対の側部39,39と連結部41は、ハウジング3の検知部材収容部11内に収容可能に配置される。本体35は、ハウジング3の検知部材収容部11において、検知部材7の仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置される。
【0025】
本体35の一対の側部39,39には、ハウジング3の凸部19と係合される凹部43がそれぞれ設けられている。凹部43と凸部19とは、ハウジング3からの検知部材7の脱落を防止する離脱防止部45を構成する。凹部43は、検知部材7の移動方向に沿って延出され、検知部材7が移動する間、常に、凸部19と係合し、検知部材7の移動を安定化する。凹部43の長さ方向の一端側は、検知部材7の仮係止位置(図2参照)において、凸部19に対して、検知部材7がハウジング3から離脱する方向に対向して配置される。このため、検知部材7が仮係止位置からハウジング3から離脱する方向に移動しようとすると、凹部43の端部と凸部19とが係合し、検知部材7がハウジング3から脱落することがない。
【0026】
本体35の連結部41には、移動操作部47が設けられている。移動操作部47は、ハウジング3の検知部材収容部11から露出して配置されている。移動操作部47は、検知部材7の移動方向に向けて押圧されることにより、検知部材7を移動操作する。
【0027】
検知ロックアーム37は、本体35と連続する一部材で形成され、一対の側部39,39の間に、一対の側部39,39と離間して配置されている。検知ロックアーム37は、検知部材7の移動方向に沿って延出されている。検知ロックアーム37は、連続する一部材で形成された連結部41側を基端とし、延出方向の先端側を自由端とするように、ハウジング3の高さ方向に弾性変形可能に設けられている。検知ロックアーム37の基端側には、操作部49が上方に向けて突出して形成されている。操作部49は、複数のロックアーム13の間を移動可能に配置され、ハウジング3の検知部材収容部11から露出して配置される。操作部49は、下方に向けて押圧することにより、検知ロックアーム37の自由端側を下方に向けて弾性変形させる。このため、操作部49の押圧操作により、検知ロックアーム37を直接的に弾性変形させることができる。検知ロックアーム37の自由端側には、係止部51と、規制部53とが設けられている。
【0028】
係止部51は、検知ロックアーム37の自由端に、検知ロックアーム37と連続する一部材で上方に向けて突出して形成されている。係止部51は、図2に示すように、検知部材7の仮係止位置において、ロックアーム13のロック部25に当接される。係止部51とロック部25との当接により、検知部材7の仮係止位置から本係止位置への移動が規制される。このとき、離脱防止部45において、検知部材7の凹部43の端部に、ハウジング3の凸部19が対向して配置され、ハウジング3からの検知部材7の離脱が防止され、検知部材7が仮係止位置に保持される。係止部51は、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合において、ロック部25と被ロック部107とが係合していない状態では、ロック部25との当接が保持される。このため、検知部材7は、仮係止位置から本係止位置に移動することができず、ハウジング3と相手ハウジング103とが嵌合していないことを検知することができる。
【0029】
係止部51は、図3に示すように、ハウジング3と相手ハウジング103とが正規に嵌合し、ロック部25と被ロック部107とが係合すると、被ロック部107に乗り上げ、検知ロックアーム37を下方に向けて弾性変形させる。このため、検知部材7は、図4に示すように、仮係止位置から本係止位置に移動することができ、ハウジング3と相手ハウジング103とが正規に嵌合したことを検知することができる。検知部材7の本係止位置では、検知ロックアーム37が上方に向けて復元し、係止部51が、ロック部25に対して、検知部材7の仮係止位置への移動方向に係合可能に対向して配置され、検知部材7の本係止位置が保持される。
【0030】
ここで、ハウジング3と相手ハウジング103との嵌合を解除する場合には、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ移動させる必要がある。従来のコネクタでは、検知部材7の本係止位置の保持が、係止部51とロック部25との係合のみで行われていた。従来のコネクタでは、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ移動させることにより、係止部51がロック部25と摺動し、検知ロックアーム37が下方に向けて弾性変形することによって、係止部51とロック部25との係合が解除されていた。このため、従来のコネクタでは、検知部材7に強い外力が加わると、検知部材7が本係止位置から仮係止位置へ移動してしまうことがあった。仮係止位置に移動した検知部材7は、ハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)の端縁から突出した状態となっている。ハウジング3から突出された検知部材7に外力が加わると、検知部材7が破損してしまう可能性があった。そこで、検知部材7には、検知部材7の本係止位置から仮係止位置への移動を規制する規制部53が設けられている。
【0031】
規制部53は、検知ロックアーム37の自由端に、検知ロックアーム37と連続する一部材で側方に向けて突出して一対形成されている。規制部53は、検知部材7の本係止位置において、ハウジング3の被規制部23に対して、検知部材7の仮係止位置への移動方向に係合可能に対向して配置される。規制部53は、検知部材7が、本係止位置から仮係止位置へ移動しようとすると、被規制部23に係合される。このため、検知部材7に強い外力が加わっても、検知部材7が本係止位置から仮係止位置へ移動することがない。従って、検知部材7を本係止位置に安定して保持することができる。このため、検知部材7は、本係止位置において、従来のコネクタのように、ハウジング3の仮係止位置側(離脱方向側)の端縁から突出することがない。従って、突出した検知部材7に外力が加わって、検知部材7が破損してしまうことを防止することができる。
【0032】
ここで、被規制部23は、検知部材7の移動方向に傾斜しており、規制部53に対して、検知ロックアーム37の弾性変形方向に対向して配置されている。このため、規制部53と被規制部23とが係合した状態では、検知ロックアーム37が弾性変形することがなく、規制部53と被規制部23との係合が解除されることがない。規制部53と被規制部23との係合は、操作部49を下方に向けて押圧し、検知ロックアーム37を下方に向けて弾性変形させることによって、解除することができる。
【0033】
加えて、規制部53は、検知ロックアーム37の自由端において、係止部51と異なる位置に配置されている。検知ロックアーム37において、係止部51と規制部53とを同じ位置に配置してしまうと、同一位置で係止部51と規制部53との設計を行う必要があり、コネクタ1が大型化してしまう。このため、検知ロックアーム37において、係止部51と規制部53とを異なる位置に配置することにより、異なる位置で係止部51と規制部53との設計を独立して行うことができ、コネクタ1の大型化を抑制することができる。
【0034】
規制部53は、図5に示すように、検知部材7の仮係止位置において、被ロック部107に係止部51が乗り上げ(図3参照)、検知ロックアーム37が下方に弾性変形した状態で、被規制部23の下方に配置される。このため、検知部材7は、仮係止位置から本係止位置に移動することができる。規制部53は、図6に示すように、検知部材7の本係止位置において、検知ロックアーム37の上方に向けた復元により、被規制部23に対して、検知部材7の仮係止位置への移動方向に係合可能に対向して配置される。このため、規制部53が被規制部23に係合することにより、外力などによって、検知部材7が仮係止位置へ移動することがなく、検知部材7を本係止位置に安定して保持することができる。規制部53は、図7に示すように、検知部材7の本係止位置において、操作部49(図4参照)を下方に向けて押圧し、検知ロックアーム37を下方に向けて弾性変形させることにより、被規制部23との係合を解除することができる。このため、操作部49による検知ロックアーム37の弾性変形操作により、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ容易に移動することができる。
【0035】
このようなコネクタ1では、相手ハウジング103と嵌合可能なハウジング3を備えている。また、ハウジング3に移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を検出する検知部材7を備えている。さらに、ハウジング3には、被規制部23が設けられている。そして、検知部材7には、検知部材7の本係止位置において、被規制部23と係合し、検知部材7の仮係止位置への移動を規制する規制部53が設けられている。
【0036】
検知部材7の本係止位置において、検知部材7に外力などが加わっても、規制部53と被規制部23との係合により、検知部材7が、本係止位置から仮係止位置へ移動することがない。このため、検知部材7を本係止位置に安定して保持することができる。従って、検知部材7が、本係止位置において、ハウジング3から突出することがなく、突出した検知部材7に外力が加わって、検知部材7が破損してしまうことを防止することができる。
【0037】
従って、このようなコネクタ1では、ハウジング3の被規制部23と、検知部材7の規制部53とによって、検知部材7を本係止位置に保持することができる。
【0038】
また、ハウジング3には、相手ハウジング103の被ロック部107と係合し、相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を保持するロック部25が設けられている。さらに、検知部材7には、検知部材7の仮係止位置において、ロック部25と当接して検知部材7の本係止位置への移動を規制する係止部51を有する検知ロックアーム37が、弾性変形可能に設けられている。また、検知ロックアーム37は、被ロック部107とロック部25とが係合した状態において、弾性変形されてロック部25と係止部51との当接が解除される。そして、規制部53は、検知ロックアーム37に設けられ、検知部材7の本係止位置において、検知ロックアーム37の弾性変形からの復元により、被規制部23に対して、係合可能に配置される。
【0039】
規制部53は、相手ハウジング103とハウジング3との嵌合状態を保持する相手ハウジング103の被ロック部107とハウジング3のロック部25とが係合した状態で、弾性変形する検知ロックアーム37に設けられている。規制部53は、検知部材7の本係止位置において、検知ロックアーム37の弾性変形からの復元により、被規制部23に対して、係合可能に配置される。このため、検知部材7を仮係止位置から本係止位置に移動するだけで、被規制部23に対して、規制部53を係合可能に配置することができる。
【0040】
さらに、検知部材7には、検知ロックアーム37を弾性変形させる操作部49が設けられている。このため、操作部49による検知ロックアーム37の弾性変形操作により、被規制部23と規制部53との係合を解除することができ、検知部材7を本係止位置から仮係止位置へ容易に移動することができる。
【0041】
また、規制部53は、検知ロックアーム37において、係止部51と異なる位置に配置されている。このため、検知ロックアーム37の異なる位置で係止部51と規制部53との設計を独立して行うことができ、コネクタ1の大型化を抑制することができる。
【0042】
さらに、ハウジング3と検知部材7との間には、検知部材7の仮係止位置において、検知部材7のハウジング3から離脱する方向への移動を規制する離脱防止部45が設けられている。このため、検知部材7が、離脱防止部45によって、仮係止位置からハウジング3から離脱する方向へ移動することがなく、検知部材7を仮係止位置に安定して保持することができる。
【0043】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0044】
例えば、ロックアームは、ハウジングに2つ設けられているが、これに限らず、ロックアームを1つ、或いは3つ以上としてもよい。また、検知ロックアームは、検知部材に1つ設けられているが、これに限らず、検知ロックアームを2つ以上としてもよい。検知ロックアームを複数設ける場合には、複数の検知ロックアームが連動するように、複数の検知ロックアームを連結すればよい。
【0045】
また、検知部材の移動方向は、相手ハウジングとハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と同一方向となっているが、これに限るものではない。例えば、検知部材の移動方向を、相手ハウジングとハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と直交する方向にしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 コネクタ
3 ハウジング
7 検知部材
23 被規制部
25 ロック部
29 接続部
37 検知ロックアーム
45 離脱防止部
49 操作部
51 係止部
53 規制部
103 相手ハウジング
107 被ロック部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10