(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ブレード付きロータの組み合わされた付加・除去製造
(51)【国際特許分類】
B22F 10/25 20210101AFI20241022BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20241022BHJP
F01D 5/34 20060101ALI20241022BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20241022BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241022BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241022BHJP
B23K 26/342 20140101ALI20241022BHJP
B23K 9/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B22F10/25
B22F10/66
F01D5/34
F01D25/00 X
B33Y10/00
B33Y80/00
B23K26/342
B23K9/04 K
B23K9/04 S
(21)【出願番号】P 2022509158
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2020071427
(87)【国際公開番号】W WO2021028225
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-04-06
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522056149
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィッツァーランド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Turbo Systems Switzerland Ltd
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 71a, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ティーモ シューデライト
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ホック
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016120480(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0348517(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0360292(US,A1)
【文献】特開平02-251389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B33Y 10/00-99/00
F01D 1/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロータブレード(200)を備えるブレード付きロータ(100)を製造するための方法であって、
各ロータブレードは複数のロータブレードセグメントを含み、前記方法は、以下の一連のステップ:
A)1番目のロータブレードセグメント(110)を備える工作物(10)を提供するステップであって、前記1番目のロータブレードセグメント(110)は、該1番目のロータブレードセグメント(110)の半径方向外側の終端部分(114)に1番目のプラットフォーム部分(111)を備えている、ステップと、
B1)
1以上の整数であるNについて、N番目のプラットフォーム部
分に半径方向外向きで
N+1番目のロータブレードセグメン
トを付加製造によって形成するステップと、
B2)前記
N番目のプラットフォーム部
分の側方部分を取り除き、前記
N+1番目のロータブレードセグメン
トの側方部分を取り除き、これによって、前記
N+1番目のロータブレードセグメン
トの半径方向外側の終端部
分にN+1番目のプラットフォーム部
分を残すステップと、
B3)各ロータブレードの半径方向外向きの長さが所望の長さになるまで、整数Nを1から1ずつ増加させて、ステップB1)およびB2)を繰り返すステップと、
C)ステップB3)の終了後に、前記N+1番目のプラットフォーム部分の側方部分を取り除くステップと
を含み、前記方法のステップは、記載された順序で行われ、
ここで、N番目のプラットフォーム部分の側方部分は、N番目のロータブレードセグメントの側方方向の周囲を少なくとも部分的に取り囲んでおり、側方方向とは、半径方向に垂直である、
方法。
【請求項2】
前記工作物(10)を提供するステップA)は、
A1)ハブ(300,301)を提供することと、
A2)前記1番目のロータブレードセグメント(110)を形成するために、前記ハブ(301)の一部を取り除くこと、または
A2’)前記ハブ(300)に半径方向外向きで前記1番目のロータブレードセグメント(110)を付加製造によって形成し、次いで、前記1番目のロータブレードセグメント(110)の側方部分を取り除き、これによって、前記1番目のロータブレードセグメント(110)の前記半径方向外側の終端部分(114)に前記1番目のプラットフォーム部分(111)を残すことと、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1番目のプラットフォーム部分(111)の前記側方部分は、横方向に沿って1cm未満延在している、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記1番目のプラットフォーム部分(111)の前記側方部分は、横方向に沿って2mm未満延在している、請求項
3記載の方法。
【請求項5】
前記付加製造は、造形材料を提供することと、該造形材料を集束される熱エネルギーによって融着することとを含む、請求項
2記載の方法。
【請求項6】
前記集束される熱エネルギーは、レーザビーム、電子ビーム、電気アークおよびプラズマアークのうちの1つである、請求項
5記載の方法。
【請求項7】
前記集束される熱エネルギーはレーザビームである、請求項
6記載の方法。
【請求項8】
前記造形材料は、ニッケルおよび/または鉄を含む合金を含み、かつ/または前記ハブ(300,301)は、ニッケルおよび/または鉄を含む合金を含む、請求項
5記載の方法。
【請求項9】
前記ハブ(301)の一部、および/または前記1番目のまたは後続のロータブレードセグメント(110,120)の一部、および/または前記1番目のまたは後続のプラットフォーム部分(111,121)の一部の取除きが、機械加工によって実施されてよい、請求項
2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、ブレード付きロータおよびブレード付きロータを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレード付きロータは、ハブまたはディスクと複数のロータブレードとを別個に生産することによって製造される。ブレードは、例えば樅の木の断面形状を介した形状接続的な接合によってディスクに接続される。
【0003】
前述した従来の方法に基づくブレード付きロータの製造はコストがかかり、特に、ハブまたはディスクとブレードとの両者に形状接続的な接合部を製作するのにコストがかかり、ブレード付きロータの総コストの大部分に関与している。
【0004】
代替的な方法は、工作物を鋳造または成形し、この工作物から除去形式で、つまり、工作物から材料を、ロータブレードとハブまたはディスクとが残されるように切削または機械加工することによって取り除いて、ブレード付きロータを製造することに基づいていてよい。別の代替的な方法は、ハブまたはディスクとロータブレードとを含む工作物を鋳造または成形し、次いで、工作物から切削または機械加工によって材料を取り除くことに基づいていてよい。
【0005】
一般的に、ロータブレード同士は、互いに近い間隔を置いて配置されているため、除去製造工具によるアクセス性が制限されている。特にブレードの底部の領域、言い換えると、ハブまたはディスクに近い領域には、アクセスが不可能であるかまたは特殊な工具でしかアクセスが可能とならない。後者の場合、特殊な工具は、高いアスペクト比(アスペクト比とは、工具直径に対する工具長さの比のことである)を有していなければならない。この高いアスペクト比を有する特殊な工具は、標準的な工具と比較して高価であり、通常、切削力によって生じる振動/チャタリングに起因する好ましくない製造結果を招いてしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要するに、上述した制限のうちの少なくとも幾つかを克服するための、ブレード付きロータを製造する方法およびブレード付きロータが提供される。この目的は、請求項1記載の方法および請求項10記載のブレード付きロータによって達成される。
【0007】
一実施形態によれば、複数のロータブレードを備えるブレード付きロータを製造するための方法が提供される。この方法は、以下の一連のステップを含む:
A)1番目のロータブレードセグメントを備える工作物を提供するステップ。1番目のロータブレードセグメントは、この1番目のロータブレードセグメントの半径方向外側の終端部分に1番目のプラットフォーム部分を備えている。
B1)1番目のプラットフォーム部分に半径方向外向きで2番目のロータブレードセグメントを付加製造によって形成するステップ。
B2)1番目のプラットフォーム部分の側方部分を取り除き、2番目のロータブレードセグメントの側方部分を取り除き、これによって、2番目のロータブレードセグメントの半径方向外側の終端部分に2番目のプラットフォーム部分を残すステップ。
任意選択的には、一連のステップB1)およびB2)をN≧1回繰り返してよい。これによって、n=1...Nとして、それぞれ(n)番目の繰返し時に、(n+2)番目のロータブレードセグメントと(n+2)番目のプラットフォーム部分とを形成し、(n+1)番目のプラットフォーム部分の側方部分を取り除く。ステップB1)およびB2)を繰り返さない場合には、N=0である。
方法は、さらに以下のステップを含む:
C1)(N+2)番目のプラットフォーム部分に半径方向外向きで(N+3)番目のロータブレードセグメントを付加製造によって形成するステップ。
C2)(N+2)番目のプラットフォーム部分の側方部分を取り除き、(N+3)番目のロータブレードセグメントの側方部分を取り除くステップ。
【0008】
一実施形態によれば、ブレード付きロータが提供される。このブレード付きロータは、ハブと複数のロータブレードとを備えている。各々のロータブレードは、互いに隣接する複数のロータブレードセグメントを備えている。これらのロータブレードセグメントは、各々のバルク領域と、各々のロータブレードセグメントの半径方向外側の終端部分に隣接して配置された各々の界面領域とを有している。さらに、平均結晶粒径が、少なくとも1つのロータブレードセグメントの界面領域とバルク領域との間で少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%異なっており、かつ/または平均硬さが、少なくとも1つのロータブレードセグメントの界面領域とバルク領域との間で少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%異なっている。
【0009】
当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見れば、付加的な特徴および利点を認識する。
【0010】
図中の構成要素は必ずしも一定の縮尺である必要はなく、その代わりに、本発明の原理を説明することに重点を置いている。さらに、図中、同じ参照符号は、対応する部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態によるブレード付きロータの断面図である。
【
図9】本開示の一実施形態によるロータブレードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、添付の複数の図面を参照する。これらの図面は本明細書の一部を成している。また、図面には、例示によって本発明の特定の実施形態が示してある。
【0013】
本明細書で使用するとき、「有する」、「含有する」、「含む」、「備える」およびこれに類する用語は、記載した要素または特徴の存在を示す非限定的なものであり、付加的な要素または特徴を排除するものではない。
【0014】
当然ながら、別の実施形態が使用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的または論理的な変更が行われてもよい。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈すべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。本明細書に記載した実施形態は特定の言語を使用しているが、この言語は、添付の特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0015】
一実施形態によれば、ブレード付きロータ100を製造するための方法が提供される。ブレード付きロータ100は複数のロータブレード200,201,202,203を備えている。各々のロータブレードは複数のロータブレードセグメント110,120を備えていてよい。
【0016】
各々のロータブレード200,201,202,203は積層方向(または製造方向)を規定していてよい。この積層方向はブレード付きロータ100の半径方向に実質的に対応していてよい。幾つかの実施形態では、ロータブレード200,201は湾曲していてよい。この場合、積層方向は、半径方向と、この半径方向に対して垂直な横方向との組合せであってよい。各々のロータブレードセグメント110,120,130,140は、ブレード付きロータ100の積層方向または半径方向で1つまたは2つの別のロータブレードセグメントに隣接して配置されていてよい。(各々の)ロータブレードセグメントは、ロータブレード200,201の、積層方向または半径方向に対して横断方向の横断面積全体にわたって十分にまたは完全に延在していてよい。言い換えると、ロータブレード200,201は、半径方向または積層方向の制限された範囲内で1つのロータブレードセグメント110,120,130,140から成ってよいかまたは実質的に成っていてよい。
【0017】
横方向は半径方向に対して垂直であると理解され、ブレード付きロータ100の軸線方向を含んでよい。本明細書に開示されるとき、側方部分とは、横方向に延在する構成要素の部分を指す。
【0018】
ブレード付きロータ100はハブ300,301を備えていてよい。特にこのハブ300,301はディスク状であってよい。
【0019】
ブレード付きロータ100は軸流タービンであってよい。ブレード付きロータ100はラジアルタービンであってよい。ブレード付きロータ100は排気タービンであってよい。ブレード付きロータ100は混流タービンであってよい。ブレード付きロータ100は圧縮機であってよい。
【0020】
方法は、一連の3つのステップA,B,Cを含む。
【0021】
方法のステップA)は、工作物10を提供することを含む。方法のステップA)は、ブレード付きロータ100の一番内側のセクションを提供または製造することと見なされてよい。例えば、
図2および
図5には、工作物10の実施形態が示してある。
【0022】
工作物10は、1番目のロータブレードセグメント110を備えている。この1番目のロータブレードセグメント110は、1番目のプラットフォーム部分111を備えている。この1番目のプラットフォーム部分111(および以下でさらに説明するような同じく他の全てのプラットフォーム部分121,131,141...)は、側方部分を備えていてよい。さらに、1番目のプラットフォーム部分111は、内側部分を備えていてよい。この内側部分は、1番目のロータブレードセグメント110の、1番目のプラットフォーム部分111を備えていない部分の横断面積と実質的に同一の横断面積にわたって延在していてよい。1番目のプラットフォーム部分111(および以下でさらに説明するような同じく他の全てのプラットフォーム部分121,131,141...)は、製造目的のための補助的または一時的な構成要素と実質的に見なされてよい。1番目のプラットフォーム部分111の少なくとも一部、特に側方部分は、製造が終了した後、ブレード付きロータ100に含まれていなくてよい。
【0023】
1番目のプラットフォーム部分111は、1番目のロータブレードセグメント110の半径方向外側の終端部分114に配置されている。例えば、
図2および
図5には、1番目のロータブレードセグメント110の1番目のプラットフォーム部分111および半径方向外側の終端部分114の実施形態が示してある。
【0024】
1番目のプラットフォーム部分111の側方部分は、横方向に沿って、好ましくは横方向全体に沿って1cm未満、好ましくは2mm未満延在していてよい。1つの実施形態では、1番目のプラットフォーム部分111の側方部分を備えた1番目のロータブレードセグメント110は、1番目のプラットフォーム部分111を備えていない1番目のロータブレードセグメント110と比較して、さらに横方向に沿って、任意選択的には横方向全体に沿って最大1cm、好ましくは最大4mmまで延在していてよい。
【0025】
一実施形態によれば、1番目のプラットフォーム部分111の側方部分は、1番目のロータブレードセグメント110の横方向の周囲を部分的または好ましくは完全に取り囲んでいてよい。好ましくは、1番目のプラットフォーム部分111の側方部分は、1番目のロータブレードセグメント110の半径方向で一番外側のセクションを完全に覆っている。1番目のプラットフォーム部分111の前述した特性は、以下でさらに説明するような他のプラットフォーム部分121,131,141...に類似にまたは同様に適用されてよい。
【0026】
工作物10を形成することは、ステップA1):ハブ300,301を提供することを含んでもよい。1番目のロータブレードセグメント110を含む工作物10は、多種の異なる形態で形成されてよい。
【0027】
一実施形態によれば、ステップA1)後にステップA2)が実施されてよい。このステップA2)は、1番目のロータブレードセグメント110を形成するために、ハブ301の一部を取り除くことを含む。この実施形態では、ブレード付きロータ100のハブ300の半径方向の寸法が、ステップA1)で提供されたハブ301の半径方向の寸法と比較して減じられている。ハブ301の一部を取り除くことは、1番目のプラットフォーム部分111が1番目のロータブレードセグメント110の半径方向外側の終端部分114に残されるように実施されてよい。構成要素の一部を取り除くことは、除去製造と呼ばれることもある。
【0028】
図5には、ステップA2)後、つまり、工作物10を形成した後のブレード付きロータの断面図が概略的に示してある。破線は、ステップA1)後のハブ301を示している。実線は、ステップA2)後のハブ300を1番目のロータブレードセグメント110と共に示している。
【0029】
別の実施形態によれば、ステップA1)後にステップA2’)が実施されてよい。このステップA2’)は、付加製造によって1番目のロータブレードセグメント110を半径方向外向きでハブ300に形成することを含む。その後、1番目のロータブレードセグメント110の側方部分が取り除かれてよく、これによって、1番目のプラットフォーム部分111が、1番目のロータブレードセグメント110の半径方向外側の終端部分114に残される。1番目のロータブレードセグメント110の側方部分を取り除くことは、ハブ300の一部を取り除くことを伴ってよい。
【0030】
図1には、ステップA2’)の一部が終了した後、つまり、1番目のロータブレードセグメント110が半径方向外向きでハブ300に形成された後のブレード付きロータの断面図が概略的に示してある。
図2には、ステップA2’)を終了した後、つまり、工作物10を形成した後のブレード付きロータの断面図が概略的に示してある。点線は、一部を取り除く前のハブ300と1番目のロータブレードセグメント110とを示している。
【0031】
ブレード付きロータ100を製造するための方法は、さらに、ステップB)を含む。方法のステップB)は、ブレード付きロータ100の中間セクションを製造することまたはロータブレード200の中間セクションを製造することと見なされてよい。
【0032】
ステップB)は、付加製造によって2番目のロータブレードセグメント120を半径方向外向きで1番目のプラットフォーム部分111に形成するステップB1)を含む。例えば、
図3および
図6には、本開示の実施形態によるステップB1)後のブレード付きロータ100の断面図が示してある。
【0033】
さらに、ステップB)は、1番目のプラットフォーム部分111の側方部分を取り除くかまたは実質的に1番目のプラットフォーム部分111全体を取り除くステップB2)を含む。1番目のプラットフォーム部分111の側方部分は、1番目のプラットフォーム部分111を備えていない1番目のロータブレードセグメント110の残りの部分と比較して、1番目のプラットフォーム部分111のどの部分もまたは実質的にどの部分も側方に突出しないように取り除かれてよい。ステップB2)は、さらに、2番目のロータブレードセグメント120の側方部分を取り除くことを含む。2番目のロータブレードセグメント120の側方部分は、2番目のプラットフォーム部分121が2番目のロータブレードセグメント120の半径方向外側の終端部分124に残されるように取り除かれてよい。例えば、
図4および
図7には、本開示の実施形態によるステップB2)後のブレード付きロータ100の一部の実施形態が示してある。破線は、1番目のプラットフォーム部分111および2番目のロータブレードセグメント120の、ステップB2)で取り除かれた部分を示している。
【0034】
一実施形態によれば、一連のステップB1),B2)は、1回以上、つまり、N≧1回繰り返されてよい。これによって、3番目のロータブレードセグメント130、4番目のロータブレードセグメント140等が形成されてよい。また、一連のステップB1),B2)を繰り返すことによって、3番目のプラットフォーム部分、4番目のプラットフォーム部分等も形成される。各々の付加的な(3番目の、4番目の、...)ロータブレードセグメントは、特に1番目のプラットフォーム部分111にではなく、直前の(2番目の、3番目の、...)プラットフォーム部分に半径方向外向きで形成される。さらに、2番目のプラットフォーム部分121、3番目のプラットフォーム部分等の側方部分は取り除かれてよい。言い換えると、一連のステップB1),B2)を繰り返すことによって、n=1...Nとして、それぞれ(n)番目の繰返し時に、(n+2)番目のロータブレードセグメントと(n+2)番目のプラットフォーム部分とが形成され、(n+1)番目のプラットフォーム部分の側方部分が取り除かれる。一連のステップB1),B2)が繰り返されない場合には、N=0である。
【0035】
一連のステップB1),B2)は、任意の回数だけ繰り返されてよい。1つの例示的な実施形態によれば、一連のステップB1),B2)は1回繰り返される。別の例示的な実施形態によれば、一連のステップB1),B2)は9回繰り返される。
【0036】
ブレード付きロータ100を製造するための方法は、さらに、ステップC)を含む。方法のステップC)は、ブレード付きロータ100の外側セクション、特に最後のまたは一番外側のセクションを製造することまたはロータブレード200の外側セクション、特に最後のまたは一番外側のセクションを製造することと見なされてよい。
【0037】
ステップC)は、付加製造によって(N+2)番目のプラットフォーム部分に半径方向外向きで(N+3)番目のロータブレードセグメントを形成するステップC1)を含む。一実施形態によれば、ステップC1)は、ステップB1)と実質的に同様に実施される。1つの実施形態では、(N+2)番目のプラットフォーム部分は、最後から2番目のプラットフォーム部分と見なされてよく、(N+3)番目のロータブレードセグメントは、最後のロータブレードセグメントと見なされてよい。
【0038】
さらに、ステップC)は、(N+2)番目のプラットフォーム部分の側方部分を取り除くステップC2)を含む。(N+2)番目のプラットフォーム部分の側方部分は、(N+2)番目のプラットフォーム部分を備えていない(N+2)番目のロータブレードセグメントの残りの部分と比較して、(N+2)番目のプラットフォーム部分のどの部分もまたは実質的にどの部分も側方に突出しないように取り除かれてよい。ステップC2)は、さらに、(N+3)番目のロータブレードセグメントの側方部分を取り除くことを含む。一実施形態では、(N+3)番目のロータブレードセグメントの半径方向外側の終端部分に((N+3)番目の)プラットフォーム部分が残されないように、(N+3)番目のロータブレードセグメントの側方部分が取り除かれてよい。(N+3)番目のロータブレードセグメントの側方部分は、(N+2)番目のロータブレードセグメントと比較して、(N+3)番目のロータブレードセグメントのどの部分もまたは実質的にどの部分も側方に突出しないように取り除かれてよい。
【0039】
ハブ301の一部および/または1番目のもしくは後続のロータブレードセグメント110,120,...の一部および/または1番目のもしくは後続のプラットフォーム部分111,121,...の一部の取除きは、機械加工によって実施されてよい。好ましくは、この機械加工は、荒フライス加工および仕上げフライス加工を含む。
【0040】
このような付加製造は当業者に知られている。例えば、付加製造技術のための標準的な用語は、ASTM F2792-12aに開示されている。
【0041】
付加製造は、造形材料を提供することを含んでもよい。この造形材料は、粉末および線材のうちの一方であってよい。一実施形態によれば、造形材料は、ニッケル(例えば少なくとも50質量%のニッケル)を含有した合金、特にニッケル基合金を含んでいてよい。付加的にまたは代替的に、ハブ300,301が、ニッケル(例えば少なくとも50質量%のニッケル)を含有した合金、特にニッケル基合金を含んでいてよい。例えば、造形材料は、合金NiCr22Mo9Nb(合金625,2.4856とも呼ばれる)および/または合金NiCr19NbMo(合金718,2.4668とも呼ばれる)を含んでいてよい。例えば、ハブ300,301が、合金NiCr22Mo9Nb(合金625,2.4856とも呼ばれる)および/または合金NiCr19NbMo(合金718,2.4668)および/または合金NiCrAlMoTiNbZr(合金713LC,UNS N07713とも呼ばれる)および/または合金NiFeCr12Mo(合金901,2.4975とも呼ばれる)を含んでいてよい。一実施形態によれば、造形材料は、鉄(例えば少なくとも50質量%の鉄)を含有する合金、特に鉄基合金を含んでいてよい。付加的または代替的には、ハブ300,301が、鉄(例えば少なくとも50質量%の鉄)を含有する合金、特に鉄基合金を含んでいてよい。一実施形態では、造形材料およびハブ300,301は、互いに同じ合金を含んでいてよい。
【0042】
付加製造は、集束される熱エネルギーによって造形材料を融着することを含んでもよい。集束される熱エネルギーは、レーザビーム、電子ビーム、電気アークおよびプラズマアークから成る群から選択されてよい。好ましくは、集束される熱エネルギーはレーザビームである。集束される熱エネルギーが電気アークである場合には、造形材料が線材であってよい。
【0043】
本開示の実施形態によるブレード付きロータ100を製造するための方法は、多くの理由で有利である。ブレード付きロータ100の製造には、形状接続的な接合部の製作も必要ないし、形状接続的な接合部によってロータブレードをハブまたはディスクに形成したり取り付けたりする必要もない。有利には、本開示の実施形態による方法によって、ブレード付きロータをより低いコストで製造することが可能となる。製造コストは最大30%削減することができる。ロータブレード200,201は、集束される熱エネルギーによってハブ300,301に融着され、その結果、より頑丈なブレード付きロータ100が得られる。このブレード付きロータ100は、形状接続的な接合部を備えたブレード付きロータと比較して、破折または破損しにくい傾向にある。
【0044】
さらに、ロータブレードを複数回の連続的なステップで製造し、特に後続のロータブレードセグメントが形成される前に各々のロータブレードセグメントの側方部分を取り除くことによって、特にロータブレードの全てのセグメントが低いコストまたは標準的な工具で形成されると、事後的にはアクセスすることができないロータブレードのセクションにアクセスすることが可能となる。有利には、本開示の実施形態によるブレード付きロータ100を製造するために、高いアスペクト比を有する特殊かつ/または高価な工具は不要である。多くの用途では、被削性不良の造形材料、特に多くのニッケル基合金を含有したロータブレードを製造することが適切であるかまたは所望されている。ロータブレードを複数の連続的なステップで製造し、特に各々のロータブレードセグメントの側方部分を個別に取り除くことによって、何らかの造形材料が有する被削性不良は、著しく小さな問題である。
【0045】
有利には、後続のロータブレードセグメントが付加製造される前にプラットフォーム部分がロータブレードセグメントに残されるように、ロータブレードセグメント(の側方部分)を除去形成する(取り除く)ことによって、不正確さが回避される。プラットフォーム部分は、集束される熱エネルギーと造形材料とによって生じる、ロータブレード200および/またはハブ300の表面品質にマイナスの影響を与える溶接スパッタから、先行するロータブレードセグメントを保護または防護する。さらに、集束される熱エネルギーによって、先行するロータブレードセグメントに熱影響ゾーンが生じる。この熱影響ゾーンは、熱歪みひいては不正確さにつながってしまう。プラットフォーム部分は支持体として働き、先行するロータブレードセグメントを熱影響ゾーンから局所的に分離する、つまり、言い換えると、熱はプラットフォーム部分全体にわたって十分に分配され、したがって、先行するロータブレードセグメントに対する熱歪みが回避される。さらに、後続のロータブレードセグメントが付加製造される前にプラットフォーム部分がロータブレードセグメントに残されるように、ロータブレードセグメント(の側方部分)を除去形成する(取り除く)ことによって、有利には、ロータブレードの「ねじれ」セクション同士の間の移行部、つまり、積層方向が半径方向と横方向との組合せである(ロータブレードの半径方向の範囲にわたって完全に真っ直ぐではない)場合の移行部の製作が促進される。特に連続的なロータブレードセグメント同士の間の移行領域の表面品質は、「ねじれ」セクションの場合に平滑な移行領域を可能にすることによって改善することができる。
【0046】
本開示は、複数のロータブレード200を備えたブレード付きロータ100を製造するための方法に関する。上述した実施形態は、1つのロータブレードを製造するための一連のステップに関する。第1のロータブレード200を製造するための一連のステップは、第2のロータブレード201を製造するための一連のステップと比較して、任意の順序で実施されてよい。
【0047】
1つの実施形態によれば、方法は、さらに、連続的なステップを実施する前に、A2),A2’),B1),B2),C1),C2)から選択される1つ、好ましくは全てのステップが全てのロータブレード200に対して実施されることを含んでもよい。例えば全てのロータブレード200,201に対してステップB1)を実施する前に、ステップA2’)が全てのロータブレード200,201に対して実施されてよい。
図8には、本開示の一実施形態によるブレード付きロータ100の断面図が示してある。ステップB1)が実施される前に、1番目のロータブレードセグメント110が全てのロータブレード200,201,202,203に対して形成されている(
図8には、ブレード付きロータ100の断面図ひいては幾つかのロータブレードの一部のみが示してある)。A2),A2’),B1),B2),C1),C2)から選択される1つのステップの一部または全てさえ、一ステップの連続的な部分を実施する前に、全てのロータブレード200に対して実施されてもよい。
図8には、1番目のロータブレードセグメント110の側方部分が取り除かれる前に、1番目のロータブレードセグメント(110)が全てのロータブレード200,201,202,203に対して形成される実施形態が示してある。
【0048】
一実施形態では、方法は、さらに、A2),A2’),B1),B2),C1),C2)から選択される全ての製造ステップが、第1のロータブレード200に対して実施され、その後、A2),A2’),B1),B2),C1),C2)から選択される任意の製造ステップが、第2のロータブレード201に対して実施されることを含んでもよい。第2のロータブレード201を形成するための任意の製造ステップを実施する前に、第1のロータブレード200は完全に形成すらされていてよい。
【0049】
一実施形態によれば、ブレード付きロータ(100)を備えたターボチャージャを製造するための方法が提供される。ブレード付きロータ(100)は複数のロータブレードを備えており、本明細書に開示された実施形態のいずれか1つによって製造される。
【0050】
一実施形態によれば、ブレード付きロータ100が提供される。このブレード付きロータ100は、ハブ300と、複数のロータブレード200,201,202,203とを備えていてよい。各々のロータブレード200は、互いに隣接する複数のロータブレードセグメント110,120,130,140を備えていてよい。
【0051】
各々のロータブレードセグメント110,120,130,140は、各々のバルク領域112,122,132,142を有していてよい。さらに、各々のロータブレードセグメント110,120,130,140は、各々のロータブレードセグメント110,120,130,140の半径方向外側の終端部分114,124,134に隣接して配置された界面領域113,123,133,143を備えていてよい。この界面領域113,123,133,143は、同じロータブレードセグメント110,120,130,140のバルク領域112,122,132,142と、隣接するロータブレードセグメント110,120,130,140のバルク領域112,122,132,142とに隣接して配置されていてよい。
【0052】
例えば、
図9には、1番目のロータブレードセグメント110の半径方向外側の終端部分114に隣接して配置された界面領域113を備えたロータブレード200の断面図が示してある。界面領域113は、1番目のロータブレードセグメント110の第1のバルク領域112と、2番目のロータブレードセグメント120の第2のバルク領域122とに隣接して配置されている。
【0053】
界面領域113,123,133,143は、半径方向で1mm未満、好ましくは200μm未満延在していてよい。
【0054】
本開示の実施形態によるブレード付きロータ100は、特にハブ300,301へのロータブレード200の取付けもしくは組付けおよび/またはロータブレード200の特性の点で、既知のブレード付きロータ100と異なっている。本開示によるブレード付きロータ100のロータブレード200は、少なくとも1つのロータブレードセグメント110,120,130,140の界面領域113,123,133,143とバルク領域112,122,132,142との間で異なる少なくとも1つの特性を有していてよい。
【0055】
一実施形態によれば、ブレード付きロータ100は一体部材として提供される。特にブレード付きロータ100は、ハブ300とロータブレード200との間になんら形状接続的な接合部なしに提供される。
【0056】
1つの実施形態では、平均結晶粒径が、少なくとも1つのロータブレードセグメント110,120,130の界面領域113,123,133とバルク領域112,122,132との間で少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%異なっている。平均結晶粒径は、ASTM E112-13 Section 11(Planimetric or Jeffries’(3) Procedure)に従って特定される。好ましくは、平均結晶粒径は、少なくとも1つのロータブレードセグメント110,120,130,140のバルク領域112,122,132,142と比較して、界面領域113,123,133で少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%低い。
【0057】
1つの実施形態では、平均硬さが、少なくとも1つのロータブレードセグメント110,120,130,140の界面領域113,123,133とバルク領域112,122,132,142との間で少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%異なっている。硬さと平均硬さとを特定するための方法は当業者に知られている。好ましくは、平均硬さは、DIN EN ISO 6507に従って特定される。平均硬さは、顕微鏡写真を記録し、所定のサイズ(例えば5000mm2)を有する領域を選択する、例えば円または方形を刻み込むことによって特定されてよい。好ましくは、平均硬さは、少なくとも1つのロータブレードセグメント110,120,130のバルク領域112,122,132と比較して、界面領域113,123,133で少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%大きい。
【0058】
各々の界面領域113,123,133の特性は、有利な製造法の結果および/または少なくとも2つの各々の方法ステップでの製造プロセス中の集束される熱エネルギーから生じる熱に界面領域113,123,133を曝すことの結果であってよい。ブレード付きロータ100は付加製造によって得られる。好ましくは、ブレード付きロータ100は、本明細書に開示された実施形態のいずれか1つによって製造される。
【0059】
ブレード付きロータ100は、軸流タービンまたはラジアルタービンであってよい。ブレード付きロータ100は、排気タービンであってよい。ブレード付きロータ100は、混流タービンであってよい。ブレード付きロータ100は、圧縮機であってよい。一実施形態によれば、ターボチャージャが提供される。このターボチャージャは、本明細書に開示された実施形態のうちのいずれか1つによるブレード付きロータ(100)を備えている。
【0060】
本明細書に開示された寸法および値は、列挙した正確な数値に厳密に限定されると理解すべきではない。そうではなく、特に明示しない限り、このような各々の寸法は、列挙した値と、その値付近の機能的に等価の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「100μm」と開示された寸法は、「約100μm」を意味することを意図している。