IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特許7575467コア-シェル構造の多孔性炭素材、その製造方法、それを含む硫黄-炭素複合体、及びリチウム二次電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コア-シェル構造の多孔性炭素材、その製造方法、それを含む硫黄-炭素複合体、及びリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/05 20170101AFI20241022BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241022BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241022BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C01B32/05
H01M4/36 A
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022547749
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2021014801
(87)【国際公開番号】W WO2022086211
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0138507
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨチャン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クォンナム・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャンフン・イ
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513673(JP,A)
【文献】特表2015-525184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170465(US,A1)
【文献】特表2014-511816(JP,A)
【文献】特開2003-034516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0017524(US,A1)
【文献】特表2018-535915(JP,A)
【文献】特開2009-143786(JP,A)
【文献】SONG, Chang et al.,Hierarchical Porous Core-Shell Carbon Nanoparticles,Chemistry of Materials,2009年,Vol.21, No.8,PP.1524-1530,ISSN:0897-4756, DOI:10.1021/cm802852e
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
H01M 4/36-4/60
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェル構造の多孔性炭素材及び硫黄成分を含む硫黄-炭素複合体であって、
前記硫黄-炭素複合体の直径が0.1ないし20μmであり、
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材が、炭素シートが積層された構造を含むコア、及び前記コアを取り囲む炭素を含むシェルを含
前記炭素シートが積層された構造は階層的多孔構造(hierarchical porous structure)であり、
前記多孔性炭素材は内部に気孔を含み、前記気孔の平均直径は1ないし1000nm範囲である、硫黄-炭素複合体
【請求項2】
前記炭素シートはグラフェンシートであることを特徴とする、請求項1に記載の硫黄-炭素複合体
【請求項3】
前記多孔性炭素材は比表面積が300m/gないし2000m/gであることを特徴とする、請求項1または2に記載の硫黄-炭素複合体
【請求項4】
a)融点が130ないし350℃である炭素前駆体と、鋳型として塩基性炭酸亜鉛(BZC:basic zinc carbonazate)及び多孔性構造ZnOの中で選択される1種以上の粒子と、を混合する段階;
b)前記a)段階で得られた混合物を120ないし350℃で加熱して炭素前駆体を鋳型内部に浸透させる段階;
c)前記炭素前駆体が鋳型内部に浸透された構造物を600ないし900℃で加熱して鋳型を取り除きながらコア-シェル形態を形成する段階;及び
d)前記コア-シェル形態の構造物を800ないし1500℃で加熱して亜鉛不純物を気化させて取り除く段階;を含むコア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法。
【請求項5】
前記炭素前駆体は、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、澱粉及びタンニン酸の中で選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載のコア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法。
【請求項6】
前記炭素前駆体と鋳型は1:1ないし1:10の重量比で混合されることを特徴とする、請求項4または5に記載のコア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法。
【請求項7】
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材の製造はワンポット(one-pot)方式で行われることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の多孔性炭素材の製造方法。
【請求項8】
請求項に記載の硫黄-炭素複合体を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年10月23日付韓国特許出願第10-2020-0138507号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込む。
【0002】
本発明はコア-シェル構造の多孔性炭素材、その製造方法、それを含む硫黄-炭素複合体、及びリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池の応用領域が電気自動車(electric vehicle;EV)やエネルギー格納装置(energy storage system;ESS)などに拡大されていて、これによって理論上で高い重量と対比してエネルギー貯蔵密度(~2,600Wh/kg)を具現することができるリチウム-硫黄二次電池が次世代二次電池技術として注目を浴びている。
【0004】
リチウム-硫黄二次電池は硫黄-硫黄結合(sulfur-sulfur bond)を持つ硫黄系列物質を正極活物質で使用し、リチウム金属を負極活物質として使用した電池システムである。このようなリチウム-硫黄二次電池は正極活物質の主材料である硫黄は全世界的に資源量が豊かで、毒性がなく、単位原子あたり低い重さを持っている長所がある。
【0005】
リチウム-硫黄二次電池は放電の際に負極活物質であるリチウムが電子を出してイオン化されながら酸化され、正極活物質である硫黄系列物質が電子を受け入れて還元される。このとき、リチウムの酸化反応はリチウム金属が電子を出してリチウム陽イオン形態に変換される過程である。また、硫黄の還元反応は硫黄-硫黄結合が2個の電子を受け入れて硫黄陰イオンの形態に変換される過程である。リチウムの酸化反応によって生成されたリチウム陽イオンは電解質を通じて正極に伝達され、硫黄の還元反応によって生成された硫黄陰イオンと結合して塩を形成する。具体的に、放電前の硫黄は環形のS構造を持っているが、これは還元反応によってリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=8、6、4、2)に変換され、このようなリチウムポリスルフィドが完全に還元される場合は、リチウムスルフィド(LiS)が最終的に生成される。
【0006】
正極活物質である硫黄は低い電気伝導率の特性によって、固相(solid-state)形態では電子及びリチウムイオンとの反応性を確保しにくい。既存リチウム-硫黄二次電池は、このような硫黄の反応性を改善するためにLi形態の中間ポリスルフィド(intermediate polysulfide)を生成して液相(liquid-state)反応を誘導して反応性を改善する。この場合、電解液の溶媒としてリチウムポリスルフィドに対する溶解性が高いジオキソラン(dioxolane)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)などのエーテル系溶媒が使用される。また、既存リチウム-硫黄二次電池は反応性を改善するためにカソライト(catholyte)タイプのリチウム-硫黄二次電池システムを構築するが、この場合、電解液に容易に溶けるリチウムポリスルフィドの特性のため、電解液の含量によって硫黄の反応性及び寿命特性が影響を受けるようになる。また、高いエネルギー密度を構築するためには、低い含量の電解液を注液しなければならないが、電解液の含量が減少するにつれ、電解液内のリチウムポリスルフィドの濃度が増加して、活物質の流動性減少及び副反応増加によって正常的な電池駆動が難しい。
【0007】
このようなリチウムポリスルフィドの溶出は電池の容量及び寿命特性に悪影響を及ぼすので、リチウムポリスルフィドの溶出を抑制するための多様な技術が提案された。
【0008】
一例として、特許文献1は、炭素材としてグラフェンでコーティングした3次元構造のカーボンナノチューブ凝集体を使用することでリチウムポリスルフィドが溶けて出ることを遮断し、硫黄-カーボンナノチューブ複合体の導電性を向上させることができることを開示している。
【0009】
また、特許文献2はグラフェンにフッ酸を処理してグラフェン表面に気孔を形成し、前記気孔に硫黄粒子を成長させる方法を通じて製造された硫黄を含むグラフェン複合体を正極活物質で使用することでリチウムポリスルフィド溶出を抑制し、電池の容量減少を最小化することができることを開示している。
【0010】
前記特許は正極活物質で使用される硫黄-炭素複合体の構造または素材を異にすることでリチウムポリスルフィドの溶出を防いでリチウム-硫黄二次電池の性能低下問題をある程度改善したが、その効果が十分ではない。したがって、高エネルギー密度のリチウム-硫黄二次電池を構築するためには、高ローディング、低気孔率の電極を駆動することができる電池システムを要し、該当技術分野ではこのような電池システムに対する研究が持続的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0037084号公報
【文献】韓国登録特許第1379716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は炭素シートが積層されてリチウムイオンの出入りが容易であるコア部とリチウムポリスルフィドの溶出を抑制するシェル部とで構成されるコア-シェル構造の多孔性炭素材を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は前記コア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法及び前記コア-シェル構造の多孔性炭素材を含む硫黄-炭素複合体及びこれを含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、
炭素シートが積層された構造を含むコア、及び前記コアを取り囲む炭素を含むシェルを含むコア-シェル構造の多孔性炭素材を提供する。
【0015】
また、本発明は、
a)融点が130ないし350℃である炭素前駆体と、鋳型として塩基性炭酸亜鉛(BZC:basic zinc carbonazate)、亜鉛(II)金属有機構造体(Zinc(II)Metal-Organic Frameworks)及び多孔性構造ZnOの中で選択される1種以上の粒子と、を混合する段階;
b)前記混合物を120ないし350℃で加熱して炭素前駆体を鋳型内部に浸透させる段階;
c)前記炭素前駆体が鋳型内部に浸透された構造物を600ないし900℃で加熱して鋳型を取り除きながらコア-シェル形態を形成する段階;及び
d)前記コア-シェル形態の構造物を800ないし1500℃で加熱して亜鉛不純物を気化させて取り除く段階;を含む、コア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材及び硫黄成分を含む硫黄-炭素複合体を提供する。
【0017】
また、本発明は、
前記硫黄-炭素複合体を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材は、炭素シートが積層されてリチウムイオンの出入りが容易であるコア部とリチウムポリスルフィドの溶出を抑制するシェル部とで構成されることで、リチウムイオンの出入りが容易で、リチウムポリスルフィドの溶出が効果的に抑制され、リチウムイオン電池の容量、充放電、及び寿命特性を著しく向上させる効果を提供する。
【0019】
また、本発明の硫黄-炭素複合体は前記炭素材を含むことで、リチウムイオン電池の容量、充放電及び寿命特性を著しく向上させる効果を提供し、前記硫黄-炭素複合体を含むリチウム-硫黄電池も容量、充放電及び寿命特性を著しく向上させる効果を提供する。
【0020】
また、本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法は、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材を効率的に製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材の構造を撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
図2】従来の多孔性炭素材の構造を撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
図3】本発明の実施例8で製造された硫黄-炭素複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真及びエネルギー分散型分光分析(EDS)元素マッピング写真を示す。
図4】比較例2で製造された従来の硫黄-炭素複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真及びエネルギー分散型分光分析(EDS)元素マッピング写真を示す。
図5】本発明の実施例1で製造されたコア-シェル構造の多孔性炭素材の比表面積を示すグラフである。
図6】本発明の実施例9及び比較例3で製造されたリチウム-硫黄電池の寿命特性を示すグラフである。
図7】本発明の実施例9及び比較例3で製造されたリチウム-硫黄電池の電圧による放電容量を示すグラフである。
図8】本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0023】
本発明は炭素シートが積層された構造を含むコア、及び前記コアを取り囲む炭素を含むシェルを含むコア-シェル構造の多孔性炭素材に関する。
【0024】
本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材は、炭素シートが積層されてリチウムイオンの出入りが容易であるコア部とリチウムポリスルフィドの溶出を抑制するシェル部とで構成されることで、リチウムイオンの出入りが容易であり、リチウムポリスルフィドの溶出を効果的に抑制する特徴を持つ。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記炭素シートはグラフェンシートである。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記炭素シートが積層された構造は階層的多孔構造(hierarchical porous structure)である。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記多孔性炭素材は比表面積が300m/gないし2000m/gである。
【0028】
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材は内部に一定しない気孔を含み、前記気孔の平均直径は1ないし1000nm範囲であり、気孔率または孔隙率は多孔性炭素材全体体積の10ないし90%範囲である。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記コア-シェル構造は塩基性炭酸亜鉛(BZC:basic zinc carbonazate)、亜鉛(II)金属有機構造体(Zinc(II)Metal-Organic Frameworks)及び多孔性構造ZnOなどから選択される1種以上の鋳型粒子の内部に、融点が130ないし350℃である炭素前駆体を浸透させた状態で熱処理して形成されたものである。
【0030】
前記炭素前駆体の融点が130℃未満の場合は、炭素前駆体が固相で鋳型の形状内への注入が不可能なので好ましくないし、350℃を超える場合は鋳型の形状内に注入される前に分解反応が進められるので好ましくない。
【0031】
前記炭素前駆体は、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、澱粉及びタンニン酸などから選択される1種以上である。
【0032】
前記熱処理された炭素前駆体は炭素シートが積層された構造を含むコアを形成し、熱処理された鋳型はシェルを形成する。
【0033】
前記熱処理は炭化または黒鉛化処理であり、具体的に例えば、前記炭素前駆体及び鋳型の熱処理は600ないし900℃で1次行われ、2次800ないし1500℃で行われることができる。
【0034】
また、本発明は、
a)融点が130ないし350℃である炭素前駆体と鋳型として塩基性炭酸亜鉛(BZC:basic zinc carbonazate)、亜鉛(II)金属有機構造体(Zinc(II)Metal-Organic Frameworks)及び多孔性構造ZnOの中で選択される1種以上の粒子を混合する段階;
b)前記混合物を120ないし350℃で加熱して炭素前駆体を鋳型内部に浸透させる段階;
c)前記炭素前駆体が鋳型内部に浸透された構造物を600ないし900℃で加熱して鋳型を取り除きながらコア-シェル形態を形成する段階;及び
d)前記コア-シェル形態の構造物を800ないし1500℃で加熱して亜鉛不純物を気化させて取り除く段階;を含むコア-シェル構造の多孔性炭素材の製造方法に関する。
【0035】
前記製造方法には前述されたコア-シェル構造の多孔性炭素材で記述された内容が全て適用されることができるし、前記製造方法は図8によって模式的に説明されることができる。
【0036】
前記b)段階で加熱は130ないし180℃で実施することが好ましく、より好ましくは140ないし160℃で実施されることができるし、0.2ないし3時間、好ましくは0.5ないし2時間、より好ましくは0.5ないし1.5時間行われることができる。前記加熱は大気中または非活性雰囲気で実施されることができる。
【0037】
前記c)段階において、加熱は650ないし850℃で実施されることが好ましく、より好ましくは700ないし800℃で実施されることができるし、0.5ないし4時間、好ましくは1ないし3時間、より好ましくは1.5ないし2.5時間行われることができる。前記加熱は大気中または非活性雰囲気で実施されることができる。
【0038】
前記d)段階において、加熱は850ないし1200℃で実施されることが好ましく、より好ましくは900ないし1000℃で実施されることができるし、0.2ないし3時間、好ましくは0.5ないし2時間、より好ましくは0.5ないし1.5時間行われることができる。前記加熱は非活性雰囲気で実施されることができる。前記非活性雰囲気は、アルゴン、窒素、またはアルゴン/窒素混合ガスなどのガスを使用して形成することができるが、これらに制限されるものではない。
【0039】
前記炭素前駆体は、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、澱粉及びタンニン酸などから選択される1種以上である。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記炭素前駆体と鋳型は1:1ないし1:10の重量比で混合することができる。前記炭素前駆体と鋳型の重量比が上述した範囲を脱する場合、コア部に積層される炭素シートの量が少なすぎて好ましくないか、またはシェルがまともに形成されないため好ましくない。前記炭素前駆体と鋳型の混合重量比は1:4ないし1:8であることがより好ましい。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材の製造はワンポット(one-pot)方式で遂行されることができる。
【0042】
本発明は、また、
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材及び硫黄成分を含む硫黄-炭素複合体に関する。
【0043】
前記硫黄-炭素複合体において、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材を含むものを除いた構成は、この分野に公知された技術が制限されずに適用されることができる。
【0044】
前記硫黄-炭素複合体に含まれる硫黄では、硫黄元素(S)及び硫黄化合物からなる群から選択される1種以上が使用されることができるし、例えば、無機硫黄、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマー((C、x=2.5ないし50、n≧2)などからなる群から選択される1種以上が使用されることができる。
【0045】
前記硫黄の場合、単独では電気伝導性がないため本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材のような伝導性素材と複合化して使用する。
【0046】
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材は、硫黄が均一で安定的に固定されることができる骨格を提供し、硫黄の低い電気伝導率を補完して電気化学的反応が円滑に行われるようにする。
【0047】
また、本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材は積層された炭素シートを含むコアがリチウムイオンの出入りを容易にし、シェルがリチウムポリスルフィドの溶出を抑制する機能を遂行することができる。
【0048】
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材は内部に一定しない気孔を含み、前記気孔の平均直径は1ないし1000nm範囲であって、気孔率または孔隙率は多孔性炭素材全体体積の10ないし90%の範囲である。もし、前記気孔の平均直径が前記範囲未満の場合、気孔の大きさが分子水準に過ぎないため硫黄の含浸が不可能であり、これと逆に前記範囲を超える場合、多孔性炭素材の機械的強度が弱化されて電極の製造工程に適用するに好ましくない。
【0049】
本発明の硫黄-炭素複合体は、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材以外、この分野で通常使用される1種以上の炭素材をさらに含むことができる。前記炭素材では、例えば、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)などのカーボンナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性化炭素ファイバー(ACF)などの炭素繊維;天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛などの黒鉛及び活性炭素からなる群から選択された1種以上を挙げることができるが、これに制限されない。
【0050】
前記硫黄-炭素複合体において、前述した硫黄と多孔性炭素材の重量比は9:1ないし7:3、好ましくは9:1ないし7.5:2.5である。もし、前記硫黄の含量が硫黄-炭素複合体全体100重量%を基準にして70重量%未満の場合、多孔性炭素材の含量が相対的に増加することにつれ、比表面積が増加して正極製造の際に必要なバインダーの含量が増える。このようなバインダー使容量の増加は結局正極の面抵抗を増加させて電子移動(electron pass)を阻む絶縁体の役目をして電池の性能を低下させることがある。これと逆に90重量%を超える場合、多孔性炭素材と結合できなかった硫黄化合物がそれ同士が一塊となったり多孔性炭素材の表面に再溶出されることによって電子を受けにくくなって電気化学的反応に直接参加することができないし、これによって電池の容量損失が発生することがある。
【0051】
また、前記硫黄-炭素複合体において、前記硫黄は前述した多孔性炭素材の内部及び外部表面の中で少なくともいずれか1ヶ所に位置し、このとき、前記多孔性炭素材の内部及び外部全体表面の100%未満、好ましくは1ないし95%、より好ましくは60ないし90%領域に存在することができる。前記硫黄が多孔性炭素材の内部及び外部表面に前記範囲内で存在するとき、電子伝達面積及び電解質との濡れ性の面で最大効果を示すことができる。具体的に、前記範囲領域で硫黄が多孔性炭素材の内部及び外部表面に薄くて均一に含浸されるので、充放電過程で電子伝達接触面積を増加させることができる。もし、前記硫黄が多孔性炭素材の内部及び外部全体表面の100%領域に位置する場合、前記炭素材が完全に硫黄で覆われて電解質に対する濡れ性が落ちるし、電極内で含まれる導電材との接触性が低下して電子伝達を受けることができず、電気化学反応に参加することができなくなる。
【0052】
本発明の一実施形態において、前記硫黄-炭素複合体の直径は本発明で特に限定せずに様々であるが、好ましくは0.1ないし20μm、より好ましくは1ないし10μmである。前記範囲を満たすとき、高ローディング電極を製造することができる長所がある。
【0053】
前記硫黄-炭素複合体の製造は本発明で特に限定せず、この分野で通常使用される方法で行われることができる。一例として、前記硫黄と多孔性炭素材を単純混合した後、熱処理して複合化する方法が使用されることができる。
【0054】
本発明は、また、
前記コア-シェル構造の多孔性炭素材を含むリチウム二次電池を提供する。
【0055】
また、前記硫黄-炭素複合体を含むリチウム二次電池を提供する。
【0056】
前記本発明のリチウム二次電池は、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材及び/または硫黄-炭素複合体を含むことを除いた他の構成に対してはこの分野のリチウム-硫黄電池に通常適用される公知の構成がそのまま採用されることができる。
【0057】
以下で前記リチウム二次電池について例えて説明する。
【0058】
本発明のリチウム二次電池は、負極;正極;前記正極と負極との間に備えられるセパレーター;及び電解質;を含むことができる。
【0059】
前記負極は、負極活物質、バインダー、導電材を含むことができるし、分散剤をさらに含むことができる。前記負極活物質では、この分野に公知されたものが使用されることができるし、例えば、LiTi(PO、Li(PO、LiVP、LiFeP、LiVPOF、LiVPOO、及び LiFeSOFなどを挙げることができる。前記負極活物質は表面に炭素コーティング層が形成されたものである。
【0060】
前記負極活物質、バインダー、導電材、及び/または分散剤は負極活物質層を形成することができるし、前記負極活物質層は前記成分を含むスラリーを通常の方法によって製造し、集電体に塗布して乾燥させることで負極内に含まれることができる。ここで、前記集電体の非制限的な例では、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどを挙げることができる。
【0061】
前記導電材では特に限定されないが、KS6のような黒鉛系物質、スーパーP(Super-P)、デンカブラック、カーボンブラックのようなカーボン系物質などの伝導性物質またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子を単独または混合して使用することができる。
【0062】
前記負極の製造方法は特に制限されないし、この分野に知られた通常の方法によって負極活物質を集電体に結着させた形態で製造されることができる。
【0063】
前記正極は、正極活物質、バインダー、導電材を含むことができるし、分散剤をさらに含むことができる。前記正極活物質としては公知の正極活物質が使用可能であり、例えば、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウム鉄酸化物、3成分系正極材であるLiNiMnCo(NMC)またはこれらを組み合わせたリチウム複合酸化物などが使用されることができる。前記リチウム二次電池がリチウム-硫黄電池の場合は、前記硫黄-炭素複合体が正極活物質として含まれることができる。
【0064】
前記正極活物質、バインダー、導電材、及び/または分散剤は正極活物質層を形成することができるし、前記正極活物質層は前記成分を含むスラリーを通常の方法によって製造し、集電体に塗布して乾燥させることで正極内に含まれることができる。ここで、前記集電体の非制限的な例では、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどを挙げることができる。
【0065】
前記導電材では、例えば、スーパーP(Super-P)、デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンブラックなどのカーボンブラック;カーボンナノチューブやフラーレンなどの炭素誘導体;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子;などが使用されることができる。
【0066】
前記正極の製造方法は特に制限されないし、この分野に知られた通常の方法によって正極活物質を集電体に結着させた形態で製造されることができる。
【0067】
前記正極と負極の間に位置するセパレーターは正極と負極を互いに分離または絶縁させ、正極と負極の間にリチウムイオンの輸送ができるようにする。本発明で使用されるセパレーターは、この分野で通常使用される多孔性高分子基材であればいずれも使用可能であり、例えば、ポリオレフィン系多孔性高分子膜(membrane)または不織布を使用することができるが、これに特に限定されない。
【0068】
前記ポリオレフィン系多孔性高分子膜の例では、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成した膜(membrane)を挙げることができる。
【0069】
前記不織布では、ポリオレフィン系不織布の他、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)などをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成した不織布を挙げることができる。不織布の構造は長繊維で構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布である。
【0070】
前記多孔性高分子基材の厚さは特に制限されないが、5μmないし50μmであり、多孔性高分子基材に存在する気孔の大きさ及び気孔率も特に制限されないが、それぞれ0.01μmないし50μm及び10ないし95%である。
【0071】
また、前記セパレーターの機械的強度向上及びリチウム二次電池の安全性を向上させるために、前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に無機物粒子と高分子バインダーとを含む多孔性コーティング層をさらに含むことができる。
【0072】
本発明のリチウム-硫黄電池において、電解質ではこの分野に公知された電解質が制限されずに使用されることができるし、例えば、リチウム塩を含む非水系電解液、有機固体電解質及び無機固体電解質などが使用されることができる。
【0073】
前記リチウム塩を含む非水系電解液は、リチウム塩と溶媒で構成され、溶媒では非水系有機溶媒、有機固体電解質及び無機固体電解質などが使用されることができる。
【0074】
前記リチウム塩は、非水系有機溶媒に容易に溶解されることができる物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiB(Ph)4、LiCBO、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSOCH、LiSOCF、LiSCN、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(SOF)、クロロボランリチウム、低級地方族カルボン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、リチウムイミドからなる群から一つ以上であってもよい。
【0075】
前記リチウム塩の濃度は、電解液混合物の正確な組成、塩の溶解度、溶解された塩の伝導性、電池の充電及び放電条件、作業温度及びリチウム-硫黄電池分野に公知された他の要因のような多くの要因によって、0.1ないし4.0M、好ましくは0.5ないし2.0Mである。もし、リチウム塩の濃度が前記範囲未満であれば電解液の伝導率が低くなって電池性能が低下されることがあるし、前記範囲超であれば電解液の粘度が増加してリチウムイオン(Li)の移動性が減少されることがあるので前記範囲内で適正濃度を選択することが好ましい。
【0076】
前記非水系有機溶媒は、リチウム塩をよく溶解させることができる物質であって、好ましくは、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1-エトキシ-2-メトキシエタン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキサン、ジエチルエーテル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用されることができるし、これらのうち、一つまたは2つ以上の混合溶媒の形態で使用されることができる。
【0077】
前記有機固体電解質では、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテートリシン(Agitate lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用されることができる。
【0078】
本発明の無機固体電解質では、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用されることができる。
【0079】
本発明のリチウム-硫黄電池用非水系電解液は、添加剤として硝酸または亜硝酸系化合物をさらに含むことができる。前記硝酸または亜硝酸系化合物はリチウム電極に安定的な被膜を形成し、充放電効率を向上させる効果がある。このような硝酸または亜硝酸系化合物では、本発明で特に限定しないが、硝酸リチウム(LiNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸セシウム(CsNO)、硝酸バリウム(Ba(NO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸セシウム(CsNO)、亜硝酸アンモニウム(NHNO)などの無機系硝酸または亜硝酸化合物;メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラートなどの有機系硝酸または亜硝酸化合物;ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエンなどの有機ニトロ化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種が可能であり、好ましくは硝酸リチウムを使用することができる。
【0080】
また、前記非水系電解液は、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、その他添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の例示としては、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、プロペンスルトン(PRS)、ビニレンカーボネート(VC)などを挙げることができる。
【0081】
前記リチウム二次電池は、前記本発明の特徴的な技術を除いては、この分野に公知された技術を適用して構成されることができる。
【0082】
前記リチウム二次電池は、一般的な工程である巻取(winding)以外にもセパレーターと電極のスタック(stack)、積層(lamination)、フォールディング(folding)及びスタック/フォールディング工程を適用して製造することができる。そして、リチウム二次電池の外形は特に制限しないが、カンを使用した円筒状、角形、ポーチ(pouch)型またはコイン(coin)型などで製造されることができる。
【0083】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変更及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0084】
製造例1:塩基性炭酸亜鉛(BZC:basic zinc carbonazate)製造
Zn(NO・6HO、尿素(urea)、L-アスパラギン(L-asparagine)を1:5:1のモル(mol)比で混合及び撹拌した後、120℃で3時間水熱反応を進めた後、フィルタリング及び乾燥してBZCを製造した。前記モル比は1:1:1ないし1:10:1の範囲で選択して進めることも可能である。
【0085】
前記BZCは購入して使用することもできる(例:Sigma-Arich社、alfa社、商品名:Zinc carbonate basic)。
【0086】
実施例1~5:コア-シェル構造の多孔性炭素材の製造
炭素前駆体としてグルコース(C12)と鋳型としてBZCを下記表1の重量比でそれぞれ混合した。以後、前記混合物を150℃で1時間加熱してグルコースを鋳型であるBZCに浸透させた。以後、前記グルコースがコアに浸透されたBZCを750℃で2時間加熱し、鋳型を取り除きながらコア-シェル構造の多孔性炭素材形態を形成した(morphology imprinting)。以後、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材を非活性雰囲気で950℃で1時間加熱し、亜鉛不純物を気化させて取り除いてコア-シェル構造の多孔性炭素材を製造した。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例6~10:コア-シェル構造の多孔性炭素材の製造
炭素前駆体としてスクロース(C122211、T:186℃)と鋳型としてBZCを下記表2の重量比でそれぞれ混合した。以後、前記混合物を200℃で1時間加熱してスクロースを鋳型であるBZCに浸透させた。以後、前記スクロースがコアに浸透されたBZCを750℃で2時間加熱し、鋳型を取り除きながらコア-シェル構造の多孔性炭素材形態を形成した(morphology imprinting)。以後、前記コア-シェル構造の多孔性炭素材を非活性雰囲気で950℃で1時間加熱し、亜鉛不純物を気化させて取り除いてコア-シェル構造の多孔性炭素材を製造した。
【0089】
【表2】
【0090】
比較例1:多孔性炭素材の製造
1.6gのBZCを140mlの脱イオン水に分散した後、ここに6.9gのCTAB、1.05gのレゾルシノール(Resorcinol)、84.6mlのエタノール及び0.2mlのアンモニアを入れて35℃で30分間混合した後、1.5mlホルマリンを追加した後で6時間撹拌した。次いで、12時間撹拌せずにエイジング(aging)した後、遠心分離して、水とエタノールで数回洗浄した後乾燥させた。
【0091】
次いで、前記炭素前駆体(レゾルシノール-ホルムアルデヒドポリマー樹脂(RF polymer resin))と前記BZC混合物を150℃で1時間、300℃で30分、そして800℃で2時間熱処理した。前記熱処理は非活性雰囲気で進められ、収得されたサンプルを1M HClで洗浄した後、乾燥して多孔性炭素材F2SMCを製造した。
【0092】
実験例1:コア-シェル構造の多孔性炭素材の比表面積測定
実施例1で製造したコア-シェル構造の多孔性炭素材の比表面積をBrunauer-Emmett-Teller法を活用して77KでN収着(sorption)(MicrotracBEL社製造、商品名:BELSORP-max)測定し、その結果を図5に示す。図5で確認されるように、本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材は1050m/gの比表面積を持つものとして確認された。図5でAdsは吸着(Adsorption)を示し、Desは脱着(Desorption)を示す。
【0093】
実施例8:硫黄-炭素複合体の製造
前記実施例1で製造されたコア-シェル構造の炭素材と硫黄(S)を2.5:7.5の重量比で均一に混合した後、155℃のオーブンに入れて30分間処理して硫黄-炭素複合体を製造した。
【0094】
比較例2:硫黄-炭素複合体の製造
前記比較例1で製造された炭素材と硫黄(S)を2.5:7.5の重量比で均一に混合した後、155℃のオーブンに入れて30分間処理して硫黄-炭素複合体を製造した。
【0095】
実験例2:多孔性炭素材及び硫黄-炭素複合体の構造確認
前記実施例1及び比較例1で製造された多孔性炭素材の構造を確認するために、走査電子顕微鏡(SEM)装置を使用して、前記実施例1で製造されたコア-シェル構造の多孔性炭素材及び比較例1で製造された多孔性炭素材の形態を撮影して比較した(図1及び2)。また、実施例8及び比較例2で製造された硫黄-炭素複合体に対して、走査電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型分光分析(EDS)装置を使用して、走査電子顕微鏡(SEM)写真及び元素マッピング写真を撮影して比較した(図3及び4)。
【0096】
具体的に、図1は実施例1で製造されたコア-シェル構造の多孔性炭素材の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。前記図1から本発明のコア-シェル構造の多孔性炭素材はコアに炭素シートが積層された構造を含み、前記コアを取り囲む炭素を含むシェルを含むことを確認することができる。
【0097】
図2は比較例1で製造された多孔性炭素材の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。前記図2から比較例1の多孔性炭素材はシェルが形成されていないフラワータイプの開放構造を持つことを確認することができる。
【0098】
図3は実施例8で製造された硫黄-炭素複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真及びエネルギー分散型分光分析(EDS)元素マッピング写真を示す。図3から確認されるように、本発明の実施例8で製造されたコア-シェル構造の多孔性炭素材を含む硫黄-炭素複合体はシェルで炭素が検出され、コアでは硫黄が検出されるし、コアに含まれた硫黄が一塊となったり結晶で析出されず、均一に担持されたものとして確認された。
【0099】
図4は比較例2で製造された硫黄-炭素複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真及びエネルギー分散型分光分析(EDS)元素マッピング写真を示す。前記図4から比較例1の硫黄-炭素複合体はシェル構造が形成されていないものとして確認され、メソポーラス構造内で一塊となった結晶で析出された硫黄の姿も観察された。
【0100】
実施例9及び比較例3:リチウム-硫黄電池の製造
正極活物質として実施例8及び比較例2で製造された硫黄-炭素複合体88重量%、導電材でカーボンナノチューブ5重量%、バインダーでポリアクリル酸及び増粘剤でポリビニルアルコール(PAA:PVA=6.5:0.5重量%)7重量%を投入して混合し、正極スラリー組成物を製造した。
【0101】
前記製造された正極スラリー組成物をアルミニウム集電体上に塗布し、50℃で12時間乾燥してロールプレス(roll press)機器で圧搾してリチウム-硫黄電池用正極を製造した。
【0102】
前記それぞれ製造された正極と一緒に、負極で45μm厚さのリチウム金属薄膜を使用し、電解質で1,3-ジオキソランとジメチルエーテル(DOL:DME=1:1(体積比))からなる有機溶媒に1M濃度のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)と1重量%の硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた混合液を使用した。
【0103】
具体的に、前記製造された正極と負極を対面するように位置させ、その間に分離膜で厚さ16μm、気孔率45%のポリエチレンを載せた後、前記製造された電解質を注入してそれぞれ実施例9及び比較例3のリチウム-硫黄電池を製造した。
【0104】
実験例3:リチウム-硫黄電池の性能評価
実施例9及び比較例3で製造されたリチウム-硫黄電池を充放電測定装置(LAND CT-2001A、武漢(Wuhan)、中国)を利用してそれぞれ0.1C、0.2C、及び0.5Cの電流密度で放電と充電を進めた後、放電容量及びクーロン効率を測定して電池の特性を評価した。この時、得られた結果を図6及び7に示す。
【0105】
前記実験結果、図6及び図7に示すように、比較例3の電池(既存の炭素材S75 F2SMC複合体使用(比較例1))の場合、初期0.1C放電容量が725mAh/gに計算されたが、以後、充電遅延現象が発生して、これ以上は駆動不可能であった。これは既存の開放構造(open structure)のメソポーラス炭素材の限界に起因したものと見られる。一方、本発明の実施例9の電池(実施例1のコア-シェル構造の多孔性炭素材使用)の場合は、初期0.1C放電容量が1036mAh/gに計算され、以後にも可逆的に反応が進められて電池の容量及び寿命特性が明らかに改善されたことが確認された。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5
図6
図7
図8