(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】噴霧塗布器及び噴霧ユニット
(51)【国際特許分類】
B05B 1/14 20060101AFI20241022BHJP
B05B 13/02 20060101ALI20241022BHJP
B05B 1/08 20060101ALI20241022BHJP
B05B 15/652 20180101ALI20241022BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B05B13/02
B05B1/08
B05B15/652
B05B1/04
(21)【出願番号】P 2022550936
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2021052318
(87)【国際公開番号】W WO2021170346
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-25
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519131635
【氏名又は名称】ボールドウィン ジメック アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】クレメンツ ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン ビルガー
(72)【発明者】
【氏名】マンソン フランク
(72)【発明者】
【氏名】マンソン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ペルソン ダニエル
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-535493(JP,A)
【文献】特開2001-040612(JP,A)
【文献】米国特許第05547129(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/14
B05B 13/02
B05B 1/08
B05B 15/652
B05B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のウェブに流体を噴霧する噴霧塗布器であって、
第1の噴霧ノズル軸に沿って配置された第1の噴霧ノズル群と、第2の噴霧ノズル軸に沿って配置された第2の噴霧ノズル群とを含み、前記第1及び第2の噴霧ノズル軸は、前記ウェブが通過する
ウェブ平面の同じ側に配置され、
前記第1及び第2の噴霧ノズル軸は、互いに間隔をあけて、前記ウェブ平面から実質的に同じ距離に配置され、
各噴霧ノズルは、前記ウェブ平面に向かう方向に流体を噴霧するように構成された細長い噴霧口を有し、
前記第1の噴霧ノズル群の各ノズルは、その噴霧口が前記第1の噴霧ノズル軸に対して第1のノズル開口の傾斜角度だけ傾斜しており、
前記第2の噴霧ノズル群の各ノズルは、その噴霧口が前記第2の噴霧ノズル軸に対して第2のノズル開口の傾斜角度だけ傾斜しており、
前記第1のノズル開口の傾斜角度は、前記第2のノズル開口の傾斜角度と異なる、噴霧塗布器。
【請求項2】
前記第1及び第2の噴霧ノズル軸は、前記ウェブ平面に対して実質的に平行である、請求項1に記載の噴霧塗布器。
【請求項3】
各噴霧ノズル群の前記噴霧ノズルは、それらのそれぞれの噴霧ノズル軸に沿って等間隔に配置される、請求項1又は2に記載の噴霧塗布器。
【請求項4】
前記第1及び第2の噴霧ノズル群に対応する噴霧ノズルは、前記ウェブの進行方向に実質的に垂直な方向に分布している、請求項1から3のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項5】
前記第2の噴霧ノズル群は、前記第1の噴霧ノズル群に対してオフセットして配置され、或いは、
前記第1の噴霧ノズル群(10)は、前記第2の噴霧ノズル群(11)に対してオフセットして配置され、
前記オフセットは、前記第1又は第2の噴霧ノズル群の2つの隣接する噴霧ノズルの間の距離の30~70%を構成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項6】
前記第1及び第2の噴霧ノズル群の各噴霧ノズルは、それぞれ、前記ウェブに流体噴霧ゾーンを形成するように構成され、前記第1の噴霧ノズル群は、第1の噴霧コーンセットを画定し、前記第2の噴霧ノズル群は、第2の噴霧コーンセットを画定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項7】
前記第1及び第2の噴霧ノズル群は、前記第1及び第2の噴霧コーンセットが前記移動するウェブに少なくとも部分的にオーバーラップするように構成された前記噴霧ゾーンを提供するように配置される、請求項6に記載の噴霧塗布器。
【請求項8】
各噴霧ゾーンは、関連する噴霧ノズル開口の形状に対応する実質的に細長い形状を有する、請求項6又は7に記載の噴霧塗布器。
【請求項9】
前記傾斜角度は、前記第1のノズル開口の傾斜角度の絶対値が前記第2のノズル開口の傾斜角度の絶対値以下となるように関連付けられ、
前記第1及び第2の噴霧ノズル群の噴霧ノズル開口の傾斜角度は、それぞれの群に関連する各噴霧ノズルに対してそれぞれ実質的に等しく、かつ前記第1及び第2の噴霧ノズル軸に対してそれぞれ15~60°の範囲内にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項10】
各噴霧ノズルは、制御ユニットに接続されたバルブに関連付けられる、請求項1に記載の噴霧塗布器。
【請求項11】
前記制御ユニットは、各噴霧ノズル開口から所定の体積流量の流体が各噴霧ノズル開口から噴出されるように、前記バルブをパルス的に開閉するように構成され、
前記制御ユニットは、前記ウェブが前記噴霧塗布器を通過する速度の関数として、パルスを制御するように構成される請求項10に記載の噴霧塗布器。
【請求項12】
長手方向の中心軸を有する細長い室を更に含み、前記ウェブ平面は、前記中心軸を含み、
各バルブに関連する各噴霧ノズルは、前記室の内壁に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項13】
各バルブは、前記関連する噴霧ノズルのノズル開口の傾斜角度が15~60°の範囲内で調整可能であるように回転可能に取り付けられる、請求項10~12のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項14】
デュアル噴霧ノズル装置を含み、前記デュアル噴霧ノズル装置は、前記ウェブの両側に噴霧するために、前記ウェブ平面の一方の側にデュアル噴霧ノズル装置の第1の半部と、前記ウェブ平面の他方の側に前記デュアル噴霧ノズル装置の対応する第2の半部とを形成する前記第1及び第2の噴霧ノズル群を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の噴霧塗布器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の噴霧塗布器を含む、噴霧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、噴霧塗布器を通過する、布帛、紙、板紙などの移動するウェブのような材料に流体を噴霧することに関する。本発明は、特に、ウェブとして噴霧塗布器を通過する布帛などに液体染料又はコーティングを噴霧するように構成された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴霧は、異なる種類の材料をコーティングするときに用いることができる技術である。長年にわたって、様々な流体噴霧装置が提案されてきたが、いずれも均一な噴霧結果を達成することを目的とする。このような装置の一例は、特許文献1に記載されており、多数の噴霧ノズルが噴霧室を通過するウェブに噴霧パターンを提供する。
【0003】
このような既知の流体噴霧装置の噴霧結果は、多くの用途では十分であるが、ウェブに対するより均一な噴霧結果を達成する噴霧塗布器に対する市場からの要求が高まっている。したがって、改良の余地がある。
【0004】
更なる背景技術は、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6にも反映される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2018/073026A1
【文献】WO2018/073025A1
【文献】WO02/090655A1
【文献】WO2013/167771A1
【文献】EP3332955A1
【文献】US5967418A
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術よりも改良された新規な噴霧塗布器を提供することである。この目的は、添付の独立請求項に記載された技術、関連する従属請求項に定義された好ましい実施形態によって達成される。
【0007】
一態様では、布帛、紙などの材料のウェブに流体を噴霧する噴霧塗布器が提供される。噴霧塗布器は、第1の軸に沿って配置された第1の噴霧ノズル群と、第2の軸に沿って配置された第2の噴霧ノズル群とを有する。第1及び第2の噴霧ノズル軸は、ウェブが通過する平面の同じ側に配置される。更に、第1及び第2の噴霧ノズル軸は、互いに間隔をあけており、ウェブ平面から実質的に同じ距離に配置される。各噴霧ノズルは、ウェブ平面に向かう方向に流体を噴霧するように構成された細長い噴霧口を有する。また、第1の噴霧ノズル群の各ノズルは、その噴霧口が第1のノズル軸に対して第1のノズル開口の傾斜角度だけ傾斜しており、第2の噴霧ノズル群の各ノズルは、その噴霧口が第2のノズル軸に対して第2のノズル開口の傾斜角度だけ傾斜している。第1のノズル開口の傾斜角度は、第2のノズル開口の傾斜角度と異なる。この態様の噴霧塗布器は、噴霧ノズル群をより多く追加することによって、より高いウェブ速度に対して均一な噴霧結果を達成できるため、好ましいものである。更に、ノズル開口の傾斜により、より広い表面領域に亘る噴霧パターン又は噴霧ゾーンが形成され、噴霧プロセスに必要な流体の体積を減少させる。
【0008】
本発明の背後にある考えは、特に、ウェブの供給方向に対して互いに間隔をあけた少なくとも2つの、互いに整列した噴霧ノズル群又は列を配置することが好ましい、ということを着想したものである。本発明の背後にある他の考えは、特に、2つの間隔をあけた噴霧ノズル群において、異なる傾斜角度を有する噴霧ノズルを配置することが有益である、ということを着想したものである。これらの特徴は、移動するウェブに対する、改良された、より均一な噴霧結果に寄与する。
【0009】
一実施形態では、第1及び第2の噴霧ノズル軸は、ウェブ平面に対して実質的に平行である。これにより、噴霧パターンの間の有益な部分的なオーバーラップを得ることができる。
【0010】
好ましくは、各噴霧ノズル群の噴霧ノズルは、それぞれの噴霧ノズル軸に沿って等間隔に配置される。これは、各噴霧ノズル群から生じる噴霧パターンの間の好適な部分的なオーバーラップが達成されるため、有利である。
【0011】
第1及び第2の噴霧ノズル群に対応する噴霧ノズルは、ウェブの進行方向に実質的に垂直な方向に分布してもよい。これにより、均一な噴霧結果を高めることができる。
【0012】
一実施形態では、第2の噴霧ノズル群は、第1の噴霧ノズル群に対してオフセットして配置され、或いは、その逆も同じである。好ましくは、オフセットは、第1又は第2の噴霧ノズル群の2つの隣接する噴霧ノズルの間の距離の30~70%を構成し、オフセット(OS)は、好ましくは、距離の40~60%であり、最も好ましくは、距離の実質的半分(50%)である。このオフセットにより、ウェブを横切る横方向に均一な噴霧が得られる。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の噴霧ノズル群の各噴霧ノズルは、それぞれ、ウェブに流体噴霧ゾーンを形成するように構成され、第1の噴霧ノズル群は、第1の噴霧コーンセットを画定し、第2の噴霧ノズル群は、第2の噴霧コーンセットを画定する。この設置により、ウェブへの均一な噴霧を更に改良する。
【0014】
第1及び第2の噴霧ノズル群は、第1及び第2の噴霧コーンセットがウェブに少なくとも部分的に互いにオーバーラップするように構成された噴霧ゾーンを提供するように配置されてもよい。更に、各噴霧ゾーンは、関連する噴霧ノズル開口の形状に対応する実質的に細長い形状を有してもよい。これらの特徴も、均一な噴霧に寄与する。
【0015】
一実施形態では、第1及び第2の噴霧ノズル群の噴霧ノズル開口の傾斜角度は、それぞれの群に関連する各噴霧ノズルに対してそれぞれ実質的に等しく、かつ第1及び第2の噴霧ノズル軸に対してそれぞれ15~60°の範囲内にある。これにより、好ましい噴霧パターンを得ることができる。好ましくは、傾斜角度は、20~45°の範囲内にある。
【0016】
傾斜角度は、第1のノズル開口の傾斜角度の絶対値又はモジュラスが第2のノズル開口の傾斜角度の絶対値以下となるように関連付けられてもよい。これにより、例えば、噴霧パターンの均一性に好ましい魚骨状の噴霧パターンを得ることができる。
【0017】
一実施形態では、各噴霧ノズルは、所定量の流体が各噴霧ノズル開口から噴出されるように、制御ユニットに接続されたバルブに関連付けられ、制御ユニットは、好ましくは、バルブをパルス的に開閉するように構成される。
【0018】
パルスは、流体体積の制御に用いられ、ウェブの速度の関数として選択される。このようにして、制御ユニットは、現在の技術における、均一な噴霧パターンを達成できないウェブの速度に適応することができる。
【0019】
一実施形態では、噴霧塗布器は、長手方向の中心軸を有する細長い室を有し、ウェブ平面は、中心軸を含む。
【0020】
他の実施形態では、各バルブに関連する各噴霧ノズルは、室の内壁に配置される。
【0021】
更なる実施形態では、各バルブは、関連する噴霧ノズルのノズル開口の傾斜角度が15~60°の角度範囲内、好ましくは20~45°の範囲内で調整可能であるように回転可能に取り付けられる。
【0022】
更に他の実施形態では、噴霧塗布器は、デュアル噴霧ノズル装置を有し、デュアル噴霧ノズル装置は、ウェブの両側に噴霧するために、ウェブ平面の一方の側にデュアル噴霧ノズル装置の第1の半部と、ウェブ平面の他方の側にデュアル噴霧ノズル装置の対応する第2の半部とを形成する第1及び第2の噴霧ノズル群を含む。
【0023】
更なる態様では、上述した設計のいずれか1つの噴霧塗布器を有する噴霧ユニットが提供される。
【0024】
以下、例として、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る噴霧塗布器の斜視図である。
【
図2】
図1における、噴霧ノズルを備えた噴霧塗布器の第1のシュラウド部材の内部の斜視図である。
【
図3】
図2に示す第1のシュラウド部材の正面図である。
【
図4】
図2における、第1のシュラウド部材の一部を拡大して示す図である。
【
図5】
図2に対応する図であり、噴霧ノズルがそれらのアクティブモードで傾斜した噴霧コーンを提供する。
【
図6】
図5に示す噴霧コーンにより得られた噴霧パターンの概略図である。
【
図7】
図1に示す噴霧塗布器の2つの噴霧バーの概略側面図である。
【
図8】パルス状の流体噴出後の第1の噴霧バーによって得られた一般的な噴霧パターンの概略図である。
【
図9】パルス状の流体噴出後の第1の噴霧バーによって得られた噴霧パターンの概略図である。
【
図10】
図5に示すような、傾斜したノズルを備えた噴霧塗布器を介して供給されるウェブ上の噴霧オーバーラップフットプリントの概略図である。
【
図11】噴霧塗布器を含む噴霧ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1については、噴霧塗布器1が示され、噴霧塗布器1は、噴霧塗布器1を通過する材料のウェブWに、好ましくは矢印Aに示すように鉛直方向上向きに向けて流体を噴霧するように構成される。言い換えれば、ウェブWは、進行方向(矢印A)に噴霧塗布器1を通って移動するか、又は供給される。ウェブWの材料は、例えば、不織布、編物又は織物であってもよい。ウェブWの厚さは、フィルム状のストリップの場合、約10ミクロン(μm)から、数ミリメートルの厚さの基材までの範囲であり得る。より厚い材料も、噴霧の目的及び狙った噴霧結果に応じて、噴霧塗布器内で噴霧され得る。流体は、ウェブWに噴霧されたときに、ウェブWを少なくとも部分的に浸す染色、仕上げ又は再湿潤の液体であってもよい。また、流体は、ラミネートフローリング基材などの移動するウェブ状の基材にコーティングを形成するように適合された液体であってもよい。
【0027】
ここに記載された噴霧塗布器1は、液体染料が布帛又は織物の移動するウェブWに噴霧される染色プロセスに特に適用されるが、これに限定されるものではない。噴霧流体は、2つの細長いバルブレール又は噴霧バー4、5にそれぞれ接続された2つの流体供給導管2A、3Aを介して、噴霧塗布器1に供給される。更に、各噴霧バー4、5には、流体戻り導管2B、3B及び電源導管2C、3Cが接続される。噴霧塗布器1の反対側には、2つの対応する噴霧バーが設けられ、これらの噴霧バーは、上述したように、対応する供給手段を有する。
【0028】
図11に示すように、噴霧塗布器1は、可撓性ウェブWが噴霧塗布器1を通過するようにガイドするローラ手段301、302、303、304を含む噴霧ユニット内に配置される。噴霧されていないウェブは、供給方向(矢印A)に対して、噴霧塗布器1の前の第1のロール300から巻き戻され、噴霧されたウェブは、噴霧塗布器1の後ろの駆動された第2のロール305に巻き取られる。噴霧ユニットは、流体供給導管2A、3A及び制御ユニット150に接続された流体源手段250も含む。
【0029】
噴霧塗布器1は、構造的には、一体になると、中心軸CAを有する細長い噴霧室6、7の形状のエンクロージャを形成する2つの半部又はシュラウド部材6、7を含む。
図1に示すように、ウェブWは、2つのシュラウド部材6、7の間の中央平面P(
図5における破線で示す平面Pを参照)を通過する。噴霧室は、例えば、上述した出願人の特許文献2に開示された一般的な種類のエンクロージャであってもよい。
【0030】
シュラウド部材6は、
図2においてより詳細に示される。噴霧からの残留流体は、噴霧室6、7の下側部に集められ、排出管8を介して除去又は排出される。
【0031】
シュラウド部材6の内壁9には、2つの噴霧ノズル群又は列10A、10B、10Cなど及び11A、11B、11Cなどが設けられる。第1又は上側の噴霧ノズル群10A、10B、10Cなどは、第1の軸FAに沿って配置されるが、第2又は下側の噴霧ノズル群11A、11B、11Cなどは、第2の軸SAに沿って配置される。整列した噴霧ノズルは、噴霧塗布器1内でウェブWの進行方向に実質的に垂直な方向に分布している。2つの軸FA及びSAは、ウェブの供給方向A(
図1を参照)に対して平行であり、かつ互いに間隔をあけている。好ましくは、2つの軸FA及びSAは、噴霧室6、7の中心軸CAにも平行である(
図1を参照)。更に、2つの軸FA及びSAは、ウェブWが通過する平面Pから同じ距離Dに配置される(
図7を参照)。これらの図に示すように、2つの軸FA及びSAは、ウェブの供給方向Aに対して横方向又は垂直な方向に延びている。
【0032】
図3では、2つの噴霧ノズル群10A、10B、10Cなど及び11A、11B、11Cなどは、それぞれ平面図で示される。各噴霧ノズルは、それぞれの噴霧ノズル軸FA及びSAに沿って等間隔に配置される。更に、
図3に示すように、軸SAに沿った第2の噴霧ノズル群11A、11B、11Cなどは、第1の噴霧ノズル群10A、10B、10Cなどに対してオフセットされる。オフセットOSは、例えば、隣接する2つの噴霧ノズルの間の距離の30~70%であってもよく、好ましくは、40~60%の範囲内にある。更に好ましくは、オフセットOSは、2つの隣接する噴霧ノズルの間の距離の実質的半分である。
図4では、オフセットOSは、2つの隣接する噴霧ノズルの間の距離の約半分(50%)で示される。
【0033】
ここに記載された例では、第1の噴霧ノズル群は、12個の整列した噴霧ノズル10A、10B、10Cなどを含み、第2の噴霧ノズル群は、13個の整列した噴霧ノズル11A、11B、11Cなどを含む。しかしながら、噴霧ノズルの数は、噴霧されるウェブWの材料の種類、ウェブWの幅、ウェブWに噴霧される流体の体積などに応じて変化し得る。
【0034】
図4のクローズアップは、第1の噴霧ノズル軸FA及び第2の噴霧ノズル軸SAに沿って整列した噴霧ノズル10A、10B、10Cなど及び11A、11B、11Cなどの設計をより詳細に示す。第1のノズル群の噴霧ノズル10Cを用いて説明すると、
図4において、噴霧ノズル10Cは、長さLの細長い噴霧ノズル開口10C’を有することが示される。フラットな噴霧ノズル開口とも呼ばれる噴霧ノズル開口10C’は、第1の噴霧ノズル軸FAに対して角度αだけ傾斜しているか、又は傾いている。第1の噴霧ノズル群の全ての噴霧ノズル10A、10B、10Cなどは、第1の噴霧ノズル軸FAに対して第1のノズル開口の傾斜角度αとも呼ばれる同じ角度αだけ傾斜した噴霧口を有する。
【0035】
この第1の傾斜角度αは、15~60°、好ましくは、20~45°、特に、25~35°の範囲内にある。ここに記載された噴霧塗布器1を用いて実施した実際のテストでは、約25°の第1の傾斜角度αが用いられた。これにより、当該技術分野における既知の噴霧設備と比較して、ウェブW上のより均一な噴霧パターン又はフットプリントについて良好な結果を達成した。
【0036】
第2の噴霧ノズル群11A、11B、11Cなども同様に配置される。第2のノズル群の噴霧ノズル11Cを用いて説明すると、噴霧ノズル11Cは、長さLの細長い噴霧ノズル開口11C’を有することが示される。フラットな噴霧ノズル開口とも呼ばれる噴霧ノズル開口11C’は、第2の噴霧ノズル軸SAに対して角度βだけ傾斜しているか、又は傾いている。第2の噴霧ノズル群の全ての噴霧ノズル11A、11B、11Cなどは、第2の噴霧ノズル軸SAに対して第2のノズル開口の傾斜角度βとも呼ばれる同じ角度βだけ傾斜した噴霧口を有する。この第2の傾斜角度βは、15~60°、好ましくは、20~45°、特に、25~35°の範囲内にある。実際のテストでは、約25°の第2の傾斜角度βは、上述した実際のテストで好ましい噴霧フットプリントの結果をもたらす。
【0037】
ここに示された例では、第1及び第2のノズル開口の傾斜角度α及びβは、同じ絶対値(約25°)を有するが、それらは2つの平行なノズル軸FA及びSAに対してそれぞれ逆方向に傾斜している。したがって、2つの噴霧ノズル開口の傾斜角度α及びβは、傾斜方向が互いに異なる。
【0038】
他の実施形態(図示せず)では、第1及び第2の噴霧ノズル群の噴霧ノズル開口は、それぞれ同じ方向に傾斜してもよいが、異なる値を有し、例えば、第1の噴霧ノズル群では、20°だけ傾斜しており、第2の噴霧ノズル群では、45°だけ傾斜している。したがって、この場合にも、2つの噴霧ノズル開口の傾斜角度は互いに異なる。
【0039】
第1及び第2の噴霧ノズル群での傾斜方向及び傾斜程度の選択は、それぞれ、2つの整列した噴霧ノズル群によってウェブにどのような噴霧パターンを得ようとするかに応じて変化し得る。
【0040】
図5では、動作中の噴霧プロセスが示される。噴霧ノズル10A、10B、10Cなど及び11A、11B、11Cなどの傾斜した噴霧ノズル開口により、説明のために、破線で示すウェブWに魚骨状の噴霧パターンが得られる。即ち、第1及び第2の噴霧ノズル群の各噴霧ノズルは、それぞれ、ウェブに傾いたフラットな噴霧ゾーンを形成するように構成される。この魚骨状のパターンは、現実には、噴霧プロセス中の瞬間的な「スナップショット」で撮影した場合にのみ見ることができる。また、噴霧塗布器を通って移動するときのウェブW上の均一な噴霧カバレッジを実現するために、他の魚骨状のパターンと重ね合わせた場合にのみ、魚骨状のパターンが望ましい。
【0041】
第1の軸FAに沿った第1の噴霧ノズル群10A、10B、10Cなどは、噴霧動作モードにおいて、ウェブWに噴霧ゾーンZ-10A、Z-10Bなどを提供するように構成された第1の噴霧コーンセットC-10A、C-10Bなどを画定し、第2の軸SAに沿った第2の噴霧ノズル群11A、11B、11Cなどは、噴霧動作モードにおいて、ウェブWに噴霧ゾーンZ-11A、Z-11Bなどを提供するように構成された第2の噴霧コーンセットC-11A、C-11Bなどを画定する。第1及び第2の噴霧ノズル群は、ウェブWが噴霧塗布器1を通過するとき、第1及び第2の噴霧コーンセットがウェブWに少なくとも部分的に互いにオーバーラップする噴霧ゾーンZ-10、Z-11(
図6を参照)を提供するように配置される。各噴霧ゾーン又はコーンC-10A、C-10Bなど、C-11A、C-11Bなどは、関連する噴霧口の形状に対応する実質的に細長い形状を有する。
【0042】
ウェブWに得られた噴霧パターンフットプリントは、
図6に概略的に示される。互いに間隔をあけており、かつ上述した異なる傾斜角度を有する2つの整列した噴霧ノズル群を有する2つの噴霧バー4、5の設置により、ウェブWへの好ましい均一な噴霧が得られる。
図6では、魚骨状の噴霧パターンは、ウェブW上の異なるフットプリントZ-10A、Z-10Bなど、Z-11A、Z-11Bなどで示されるが、実際には、噴霧フットプリントの特定のオーバーラップが得られ、これは、好ましいことである。このオーバーラップは、以下の
図10に対して更に説明する。
【0043】
図7を参照すると、2つの噴霧バー4及び5は、説明の目的のために別々に示される。第1の軸FAに沿って整列した第1の噴霧ノズル群の噴霧ノズル10C(
図4を参照)は、ウェブWから、第2の軸SAに沿って整列した第2の噴霧ノズル群の噴霧ノズル11C(
図4を参照)と同じ距離Dに配置される。これは、ウェブWへの確実かつ均一な噴霧に寄与する。好ましくは、距離Dは、用いられる傾斜角度、並びに、噴霧される流体のレオロジー特性などの物理的及び/又は化学的特性に応じて調整可能である。
【0044】
図7では、上側の噴霧バー4は、噴霧ノズル(10Cは
図7に示される)に関連する高速バルブ100Cを含み、下側の噴霧バー5は、噴霧ノズル11Cに関連する高速バルブ110Cを含むことも示される。この装置は、以下に更に説明する。
【0045】
図7の装置を更に説明する前に、流体のパルス又は制御の概念の一般的な議論が提供される。流体のパルスは、
図7に示す制御ユニット150によって達成され、制御される。具体的には、制御ユニット150は、所定の体積又は所定量の流体が各噴霧ノズル開口からウェブWに噴出される流速を制御又は調整するように構成される。
【0046】
これは、バルブ100C、110Cを、必要とされる流体体積及び噴霧塗布器を通過するウェブWの速度の関数として選択される特定のパルスレート又は周波数で開閉することによって行われる。更に、制御ユニット150は、第1及び第2の噴霧ノズル群のバルブ100C、110Cが同期して開閉するように、パルスレートを制御するように構成される。流量の制御が必要とされていない場合など、特定の状況では、流体は、同様に連続的な流量で噴出されてもよく、パルスに拘束されない。
【0047】
図7に示すように、制御ユニット150は、それぞれの噴霧ノズル10C、11Cに接続された高速バルブ100C、110Cに連通している。この接続は、2つの電気導管151、152によって示される。制御ユニット150は、バルブ100C、110Cに関連する噴霧ノズル10C、11Cからの目標の体積流量を達成するために、それぞれの噴霧バー4、5のバルブのパルスのために開発されたソフトウェアによって制御される。制御ユニット150は、対応する電気導管によって、第1の噴霧ノズル群10A、10B、10Cなど及び第2の噴霧ノズル群11A、11B、11Cなどに関連する残りの噴霧ノズルに同様に接続されることに留意されたい。更に、第1の軸及び第2の軸に沿った各噴霧ノズルには、それぞれ、例示的なノズル10C及び11Cに関して前述したバルブと同様なものが設けられる。
【0048】
図1に示された供給システム2、3を参照すると、流体供給導管2A、3Aの端部コネクタがバルブ100C、110Cに接続され、電気導管2C、3Cの端部コネクタが
図7に示された方法で噴霧バー4、5に接続されることが言及されるべきである。更なる接続及び供給導管手段は、噴霧バーに含まれるが、これらのアセンブリは、ここでは示されていない。
【0049】
図8は、1つの単一の噴霧バーSB1(詳細には示されていない)からの、非特異的で、一般化された噴霧ノズルによる、簡略化された噴霧パターンを示す。ここで、矩形状の噴霧ゾーン(湿潤領域)は、ウェブがノズルの前を通過する間に距離(乾燥領域)だけ間隔をあけている。これは、論議されている噴霧ノズルに関連するバルブが開いて、閉じた後、特定の期間内に再び開くという、(ウェブの速度に対して)比較的遅いパルスの結果である。言い換えれば、特定のパルスレートが与えられると、
図8における湿潤領域と乾燥領域との間の距離は、ウェブWの速度の関数となる。したがって、より速いパルスを有する低いウェブ速度のために、湿潤領域の部分的なオーバーラップが達成される。
図9では、このオーバーラップを示す別のパターンが示される。
【0050】
高いウェブ速度のために、更なる噴霧バー(図示せず)が導入され得る。したがって、噴霧バーの数は、ウェブの速度と、染色プロセスに用いられる流体の流量又は体積とに合わせて変化し得る。例えば、ウェブの速度が約100m/分を超えると、2つを超える噴霧バーが必要となる可能性がある。
【0051】
例えば、
図7に示す噴霧バー4、5の装置により、
図10に示す一般化された噴霧パターンは、制御ユニット150によって提供されたパルスを通じて、第1のノズル軸FAに対して第1のノズル開口の傾斜角度αを有するノズル開口に対応する形状で実現することができる。
【0052】
例えば、一緒に検討された
図2及び
図7から理解されるように、各バルブ100C及び110Cに関連する各噴霧ノズル10C及び11Cは、それぞれ噴霧室6、7の内壁9に配置される。噴霧ノズルは、バルブを介して、噴霧バー4、5に取り付けられるか、又は固定され、噴霧室の関連するシュラウド部材6、7の内壁9に設けられた開口部(図示せず)を通って突出している。第1の軸FA及び第2の軸SAに沿って配置された全ての噴霧ノズルには、移動するウェブWに流体を噴霧するバルブが設けられる。
【0053】
ウェブW上の異なる噴霧ゾーンZ-10、Z-11の間のオーバーラップを説明する1つの方法は、例えば、ノズル10Cと11Cのような2つの別々のノズル群からの2つのみの噴霧ノズルの作用を観察することであり、この場合の10Cは角度αだけ傾斜した第1の噴霧ノズル群に関連しており、11Cは角度βだけ傾斜した第2の噴霧ノズル群に関連する。
図10では、2つの噴霧ノズルの噴霧パターン又はゾーンは、200として描いた領域でオーバーラップする。これは、第1及び第2のノズル群の位置の間のオフセット及び傾斜角度の選択の結果である。この場合、|α|=|β|であり、第1のノズル開口の傾斜角度αの絶対値が第2のノズル開口の傾斜角度βの絶対値と等しいことを意味する。例えば、ウェブWが通過し、液体がウェブにパルス的に噴出されるとき、ノズル10Cは、ウェブの移動に対応する方向Aに少なくとも部分的に互いにオーバーラップする複数の噴霧パターン又はゾーンを(それ自体で)生じさせる。
【0054】
ノズル11Cについても同じことが起こるが、第1のノズル10Cから特定の距離(
図10の右側)離れている。拡大すると、これらの特徴を組み合わせることで、一部のノズルでカバーされていない噴霧された領域が他のノズルでカバーされる、均一な噴霧パターンをもたらす。
【0055】
第1の軸FA及び第2の軸SAに沿って2つの整列したバルブ群に対応するバルブ100C及び110Cは、それぞれ、それらのシートに回転可能に取り付けられることにより、関連する噴霧ノズル10C、11Cの噴霧ノズル開口10C’、11C’が異なる傾斜角度、好ましくは20°、25°、30°及び35°の間で段階的に調整可能である。これにより、噴霧塗布器は、ウェブWに提供される、狙った噴霧パターンに迅速に適合することができる。代替実施形態では、バルブは、20~45°の好ましい角度範囲内で自由に回転可能であり、この範囲内の任意の適切な傾斜角度に固定することが可能である。この特徴の目的の1つは、異なる流体から生じる可能性のあるレオロジー効果を補償することである。実際のテストでは、この特徴は、当該技術分野における既知の噴霧設備で可能なカバレッジよりも低いカバレッジで均一な噴霧分布を提供するために用いることもできることが示される。
【0056】
噴霧室6、7には、好ましくは、動作中に移動するウェブWと接触する上側及び下側の細長いシール要素が設けられる。
【0057】
これにより、噴霧室からの噴霧流体の漏れが低減される。これらのシール要素は、ここでは、上側弾性シールリップ153及び下側弾性シールリップ154の形状で示される(
図7を参照)。好ましくは、これらのシールリップ153、154は、ある種類のゴム材料から作られる。
【0058】
噴霧バー4、5は、
図1に示す噴霧室6、7の外側に着脱可能に取り付けられる。したがって、噴霧ノズルの洗浄又はバルブの交換などのために、各噴霧バー4、5は、それぞれ、それらのシュラウド部材6、7から取り外すことができる。噴霧バー4、5は、説明した噴霧塗布器1に対して容易に行うことができる計画的なメンテナンスの対象とすることもできる。
【0059】
概略
図11を参照すると、上記の例で説明した噴霧装置又は噴霧ユニットは、以下の方式で動作する。
【0060】
1)加圧された流体源250は、
図1に示す接続部2A及び3Aを介して噴霧塗布器1の噴霧バー4、5に接続される。
【0061】
2)可撓性ウェブWは、噴霧塗布器1の前後でガイドローラ301、302、303、304を用いて、進行方向Aに供給される。
【0062】
3)コントローラ150に接続されたインタフェースパネル400を用いて、オペレータは、ウェブWの各側に塗布される流体のカバレージレートを入力する。この流体のカバレージレートは、重量を面積で割った値で表される。メートル法では、一般的には、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される。ヤード・ポンド法では、1平方ヤード当たりのオンス(oz)が慣用される。
【0063】
4)システムから利用可能な最大の流体のカバレージレートは、各ノズルのサイズ、ひいては体積流量定格によって決まる。例えば、噴霧塗布器1に用いられる標準的な噴霧ノズルは、100m/分のウェブ速度で片側当たりに70gsmの最大のカバレージレートを提供する。最大の流量で、各ノズルの後ろのバルブは完全に開いている。
【0064】
5)コントローラ150は、速度範囲にわたって一定のカバレージレート(gsm)を提供する機能を提供するために、各ノズルの後ろのバルブを個別にパルスする。例えば、50m/分(=半速)のウェブ速度で70gsmが必要とされる場合、バルブが50%の時間で開き、50%の時間で閉じるようなパルスが行われる。
【0065】
6)コントローラ150は、70gsmより低いカバレッジを達成することも可能である。例えば、オペレータが35gsmを選択し、ウェブ速度が50m/分である場合、コントローラアルゴリズムは、25%の時間でバルブを開き、75%の時間でバルブを閉じる。
【0066】
7)上記アイテム(5)及び(6)で概説したロジックを用いて、コントローラ150は、オペレータが典型的に最大の定格(この例では70gsm)の20%~100%の間に所望のカバレッジレートを選択することを可能にし、このカバレッジレベルが噴霧ユニットの速度範囲にわたって維持されることを保証する。実際のテストでは、10%未満から100%までのカバレッジレートを達成できることが示される。
【0067】
8)必要に応じて、コミッショニング試行中に噴霧ノズル開口の傾斜角度は、噴霧塗布器1を通って供給されるウェブWに流体の噴霧フットプリントを達成するように調整され、設定される。これは、異なるレオロジー特性を有する流体を用いる場合に必要となる可能性がある。これは、ここに記載された噴霧ユニットの好ましい特徴である。実際のテストでは、この特徴により、当該技術分野における既知の噴霧設備で可能なカバレッジよりも低いカバレッジ(ノズル容量の10%)で均一な噴霧分布を得ることができることが示される。
【0068】
図11に示す細長い噴霧塗布器1は、噴霧ラインが設けられる建物の床に置かれたフレーム構造500(破線で概略的に示す)により、その両端部で支持される。
【0069】
上に概説した接続、選択、調整及び設定の1つ以上は、ここに記載されていない更なる制御手段によって制御できることが言及されるべきである。更に、いくつかの設定は、適切であれば、噴霧ユニットの操作を担当するオペレータによって手動で行うことができる。
【0070】
本発明の概念は、ここに記載された実施形態に限定されず、多くの変更が添付の特許請求の範囲内で可能であることが理解される。例えば、本発明の噴霧塗布器は、上記の例に示されるように、2つの平行な噴霧ノズル群に拘束されない。また、ウェブの同じ側に2つを超える噴霧ノズル群、例えば3つ又は4つの平行な噴霧バーがあってもよい。なお、以上の記載は、ウェブに片側から噴霧することに関するが、両側から噴霧することも可能であり、多くの場合、両側から噴霧することが好ましい。その場合、2つの同様の噴霧バーがウェブ平面の両側で動作する。
【0071】
更に、第1のノズル軸と第2のノズル軸とは、噴霧室の中心軸に対して、及び/又は互いに対して、わずかに傾斜していてもよい。例えば、第1の軸に関する噴霧バーは、中心軸に対して特定の角度だけ傾斜しているが、同じ噴霧バー上のノズル開口は、傾斜角度がゼロ又はそれ以上であってもよい。最後に、噴霧塗布器は、デジタル印刷などのための紙又は織物の前処理に用いることができることが言及されるべきである。本発明の噴霧概念は、様々な種類の材料に適用可能であることが理解される。