(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】加工ラインシステム
(51)【国際特許分類】
B21D 43/02 20060101AFI20241022BHJP
B21D 43/28 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B21D43/02 E
B21D43/28
(21)【出願番号】P 2022553907
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2021035134
(87)【国際公開番号】W WO2022071134
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2020165155
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006585
【氏名又は名称】株式会社三共製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 昇悟
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-127956(JP,A)
【文献】実開昭61-67938(JP,U)
【文献】実公昭47-8945(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/02
B21D 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を加工処理する加工装置と、
前記板材を前記加工装置に間欠的に搬送する板材送り装置と、
前記加工装置において加工処理された前記板材を切断するカッターを備える板材切断装置と
を備える加工ラインシステムであって、
前記板材切断装置は、前記加工装置の前記板材に対する工程に応じて、前記カッターを駆動させることができるようになっている、加工ラインシステム。
【請求項2】
前記加工装置の前記板材に対する工程は、前記板材を移動する工程と前記板材に対して加工処理する工程とを含み、前記板材切断装置は、前記加工処理する工程に応じて前記カッターを駆動させることができるようになっている、請求項1に記載の加工ラインシステム。
【請求項3】
前記板材切断装置は、前記板材送り装置による前記板材の間欠搬送に応じて、前記カッターを駆動させることができるようになっている、請求項1又は2に記載の加工ラインシステム。
【請求項4】
前記板材切断装置は、前記板材送り装置による前記板材の搬送停止時に加工処理された前記板材を切断するために前記カッターの駆動を開始させ、前記板材送り装置による前記板材の搬送開始時に前記カッターの駆動を停止させることができるようになっている、請求項3に記載の加工ラインシステム。
【請求項5】
前記板材切断装置は、前記カッターを駆動させるための駆動部を更に備え、前記駆動部は、回転軸線の周りに回転可能なシャフトと、前記シャフトの前記回転軸線の周りの回転に伴って前記カッターを一方向に対して往復運動させるための機構とを備え、前記シャフトは、前記加工装置の前記板材に対する工程に応じて回転することができるようになっている、請求項1~4の何れか一項に記載の加工ラインシステム。
【請求項6】
前記シャフトは、前記加工装置の前記板材に対する工程に応じて回転速度を変更することができるようになっている、請求項5に記載の加工ラインシステム。
【請求項7】
前記シャフトは、前記シャフトの回転角度に応じて回転速度を変更することができるようになっている、請求項5又は6に記載の加工ラインシステム。
【請求項8】
前記シャフトは、前記加工装置の前記板材に対する工程の1周期の間に前記回転軸線の周りを1周回転するように、回転速度を変更することができるようになっている、請求項5~7の何れか一項に記載の加工ラインシステム。
【請求項9】
前記加工装置は、前記加工装置の前記板材に対する工程を検出するためのセンサを備え、前記センサからの出力信号に応じて、前記板材送り装置は、前記板材を前記加工装置に間欠的に搬送することができるようになっている、請求項1~8の何れか一項に記載の加工ラインシステム。
【請求項10】
前記センサからの出力信号に応じて、前記板材切断装置は、前記カッターを駆動させることができるようになっている、請求項9に記載の加工ラインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産効率を向上させるように、加工装置において加工処理された板材を切断することができる板材切断装置を備える加工ラインシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状鋼板をロール状に巻かれた状態で保持して回転するアンコイラと、帯状鋼板から所定形状の鋼板部品を打ち抜く一対の打抜き型を有するプレス装置と、アンコイラから引き出された帯状鋼板を、一対の打抜き型の間に所定の送りピッチで逐次送り込む送り装置と、プレス装置に対する送り方向上流側に配設され、送り装置による送り込みが停止されるときに帯状鋼板に弛みを生じさせる弛み形成装置とを備える打抜きプレス機が開示され、プレス装置の送り方向下流側には、帯状鋼板からコア鋼板部品を打ち抜いた後に残るスクラップを裁断して回収するスクラップカッターが配設されている。
【0003】
特許文献2には、複数枚のアモルファスシートを巻回したリールと、複数個のリールより繰り出したアモルファスシート材を合一し、合一したアモルファスシート材をシート1枚毎に分離するシート分離装置と、シート分離装置を通過したアモルファスシート材を再度合一し、合一したアモルファスシート材を所定の寸法に切断する切断装置と、切断装置により切断したアモルファスシート材を鉄心1個分積層し、計量する計量装置とを備えるアモルファス鉄心製造装置が開示され、制御装置によって、アンコイラ装置のリールの回転、切断装置に送るシート材の送り量、切断するモータ、切断したシート材をクランプシリンダで引っ張るタイミング、等の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-104500号公報
【文献】特開2012-231028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のよるスクラップカッター及び特許文献2による切断装置は、帯状鋼板からコア鋼板部品を打ち抜いた後に残るスクラップ又は合一したアモルファスシート材を単純に切断するための装置であるので、プレス装置又は計量装置の工程に応じてスクラップカッター又は切断装置を駆動させることができず、生産効率を向上させることができないという問題点がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解決するために、生産効率を向上させるように、加工装置において加工処理された板材を適切なタイミングで切断することができる板材切断装置を備える加工ラインシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点によれば、加工ラインシステムが、板材を加工処理する加工装置と、板材を加工装置に間欠的に搬送する板材送り装置と、加工装置において加工処理された板材を切断するカッターを備える板材切断装置とを備え、板材切断装置が、加工装置の板材に対する工程に応じて、カッターを駆動させることができるようになっている。
【0008】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、加工装置の板材に対する工程が、板材を移動する工程と板材に対して加工処理する工程とを含み、板材切断装置が、加工処理する工程に応じてカッターを駆動させることができるようになっている。
【0009】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、板材切断装置が、板材送り装置による板材の間欠搬送に応じて、カッターを駆動させることができるようになっている。
【0010】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、板材切断装置が、板材送り装置による板材の搬送停止時に加工処理された板材を切断するためにカッターの駆動を開始させ、板材送り装置による板材の搬送開始時にカッターの駆動を停止させることができるようになっている。
【0011】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、板材切断装置が、カッターを駆動させるための駆動部を更に備え、駆動部が、回転軸線の周りに回転可能なシャフトと、シャフトの回転軸線の周りの回転に伴ってカッターを一方向に対して往復運動させるための機構とを備え、シャフトが、加工装置の板材に対する工程に応じて回転することができるようになっている。
【0012】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、シャフトが、加工装置の板材に対する工程に応じて回転速度を変更することができるようになっている。
【0013】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、シャフトが、シャフトの回転角度に応じて回転速度を変更することができるようになっている。
【0014】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、シャフトが、加工装置の板材に対する工程の1周期の間に回転軸線の周りを1周回転するように、回転速度を変更することができるようになっている。
【0015】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、加工装置が、加工装置の板材に対する工程を検出するためのセンサを備え、センサからの出力信号に応じて、板材送り装置が、板材を加工装置に間欠的に搬送することができるようになっている。
【0016】
本発明の一具体例によれば、加工ラインシステムにおいて、センサからの出力信号に応じて、板材切断装置が、カッターを駆動させることができるようになっている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加工ラインシステムは、加工処理された板材を適切なタイミングで切断することができ、生産効率を向上させることができる。
【0018】
なお、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態としての加工ラインシステムの概略図である。
【
図2A】
図1の加工ラインシステムにおける、板材送り装置、加工装置、及び板材切断装置の動作関係の一例を示す図である。
【
図2B】
図1の加工ラインシステムにおける、板材送り装置、加工装置、及び板材切断装置の動作関係の別の例を示す図である。
【
図3A】
図1の加工ラインシステムの板材切断装置を一部透過的に示す斜視図である。
【
図3B】
図3Aの板材切断装置の側面から視た一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
図1を参照して、本発明の一実施形態としての加工ラインシステム101を説明する。加工ラインシステム101は、コイル材等の板材105をプレス加工等の加工処理するプレス装置等の加工装置102と、アンコイラからの板材105を加工装置102に間欠的に搬送する板材送り装置(フィーダ)103と、加工装置102において加工処理された板材105を切断するカッターを備える板材切断装置104とを備える。板材105は、アンコイラから取り出され、板材105を矯正して平坦化する板材供給装置(ストックコントローラ)を介して板材送り装置103に供給されてもよい。また、加工ラインシステム101は、加工装置102、板材送り装置103、及び板材切断装置104を制御するための制御装置106を備える。板材送り装置103は、一対のロールと、一対のロールのうちの少なくとも1つを回転駆動するモータと、モータを制御する制御装置とを備えてもよい。板材送り装置103の制御装置はまた、一対のロールに板材105を把持させ、又は一対のロールを離間させて板材105を解放することによって板材105の加工装置102への間欠搬送を制御してもよい。しかし、板材送り装置103は、これに限定されるものではない。なお、板材送り装置103の制御装置は、制御装置106に内蔵されてもよい。
【0022】
板材切断装置104は、加工装置102の板材105に対する工程に応じて、カッターを駆動させることができる。加工装置102の工程には、板材送り装置103によって板材105を目的の長さに応じて移動させる工程と移動してきた板材105に対して加工処理する工程とが含まれる。板材切断装置104は、板材105を移動させる工程が終了し、板材105に対して加工処理する工程を経て、再び板材105に対して加工処理する工程が開始するまでの間に、板材105に対して加工処理する工程に応じて、カッターを駆動させることができる。例えば、加工装置102がプレス装置である場合には、プレス装置は、クランクシャフト107と、上側金型109と、下側金型110と、クランクシャフト107を回転駆動するモータと、モータを制御する制御装置とを備えてもよく、板材105を移動させる工程の後、プレス装置の制御装置は、板材105に対してプレス加工する工程において、モータを制御して偏心カム等が設けられたクランクシャフト107を回転駆動させることによって偏心カム等に係合された上側金型109を鉛直方向の上側及び下側に移動させ、上側金型109と下側金型110との協働によって、移動してきた板材105に対してプレス加工させてもよい。そして、板材105に対してプレス加工する工程の後、再度、板材送り装置103によって板材105を目的の長さに応じて移動させてもよい。しかし、加工装置102は、これに限定されるものではない。なお、加工装置102の制御装置は、制御装置106に内蔵されてもよい。板材切断装置104は、板材105を移動させる工程が終了し、板材105に対してプレス加工する工程を経て、再び板材105に対してプレス加工する工程が開始するまでの間に、板材105に対してプレス加工する工程に応じて、カッターを駆動させることができる。
【0023】
板材送り装置103による板材105の搬送動作は、加工装置102における加工処理に合わせて板材105の進行・停止を繰り返すように間欠的に行われる。板材切断装置104は、板材送り装置103による板材105の間欠搬送に応じて、カッターを駆動させることができる。
図2Aに、加工装置102の工程の1周期における、加工装置102、板材送り装置103、及び板材切断装置104の動作関係の一例を示す。特に、加工装置102がプレス装置である場合に、上側金型109及び下側金型110の一例として金型Aを使用した場合の動作関係の一例を示す。
図2Aに表示される角度(°)は、クランクシャフト107の回転角度を表しており、クランクシャフト107が270°から0°を通って90°まで回転している時が、板材送り装置103によって板材105を目的の長さに応じて移動させる工程を表している。そして、クランクシャフト107が90°から180°を通って270°まで回転している時が、板材送り装置103による加工装置102への板材105の搬送を停止している状態を表しており、クランクシャフト107が180°の周辺を回転している時が、移動してきた板材105に対して加工処理する工程を表している。クランクシャフト107が270°から0°を通って90°まで回転している時、すなわち、板材送り装置103によって板材105を移動させる工程の場合において、板材切断装置104は、カッターの駆動を停止する工程にある。そして、クランクシャフト107が90°から180°を通って270°まで回転している時、すなわち、板材105に対して加工処理する工程を含む場合において、板材切断装置104は、カッターを駆動する工程にある。また、板材切断装置104は、クランクシャフト107の回転角度が90°の時、すなわち、板材送り装置103による板材105の搬送停止時に、加工装置102において加工処理された板材105を切断するためにカッターの駆動を開始させ、クランクシャフト107の回転角度が270°の時、すなわち、板材送り装置103による板材105の搬送開始時に、カッターの駆動を停止させてもよい。
【0024】
図2Bに、加工装置102の工程の1周期における、加工装置102、板材送り装置103、及び板材切断装置104の動作関係の別の例を示す。特に、加工装置102がプレス装置である場合に、金型Aとは異なる、上側金型109及び下側金型110の別の例として金型Bを使用した場合の動作関係の別の例を示す。
図2Bに表示される角度(°)は、クランクシャフト107の回転角度を表しており、クランクシャフト107が240°から0°を通って120°まで回転している時が、板材送り装置103によって板材105を目的の長さに応じて移動させる工程を表している。そして、クランクシャフト107が120°から180°を通って240°まで回転している時が、板材送り装置103による加工装置102への板材105の搬送を停止している状態を表しており、クランクシャフト107が180°の周辺を回転している時が、移動してきた板材105に対して加工処理する工程を表している。クランクシャフト107が240°から0°を通って120°まで回転している時、すなわち、板材送り装置103によって板材105を移動させる工程の場合において、板材切断装置104は、カッターの駆動を停止する工程にある。そして、クランクシャフト107が120°から180°を通って240°まで回転している時、すなわち、板材105に対して加工処理する工程を含む場合において、板材切断装置104は、カッターを駆動する工程にある。また、板材切断装置104は、クランクシャフト107の回転角度が120°の時、すなわち、板材送り装置103による板材105の搬送停止時に、加工装置102において加工処理された板材105を切断するためにカッターの駆動を開始させ、クランクシャフト107の回転角度が240°の時、すなわち、板材送り装置103による板材105の搬送開始時に、カッターの駆動を停止させてもよい。
【0025】
図2Aと
図2Bとを比較すると、板材送り装置103によって板材105を移動させる工程の場合の間のクランクシャフト107の回転角度は、
図2Aは180°である一方で、
図2Bは240°になっている。単位時間当たりの板材送り装置103の板材105の搬送量が同じであれば、板材送り装置103は、
図2Aと比較して
図2Bの方が多くの量の板材105を搬送することができる。そして、板材105に対して加工処理する工程を含む場合の間のクランクシャフト107の回転角度は、
図2Aは180°である一方で、
図2Bは120°になっている。板材切断装置104は、板材送り装置103によって板材105を移動させる工程の場合において(
図2Aの場合は、クランクシャフト107の回転角度が180°の間、
図2Bの場合は、クランクシャフト107の回転角度が240°の間)、カッターの駆動を停止する工程にある。そして、板材切断装置104は、板材105に対して加工処理する工程を含む場合において(
図2Aの場合は、クランクシャフト107の回転角度が180°の間、
図2Bの場合は、クランクシャフト107の回転角度が120°の間)、カッターを駆動する工程にある。また、板材送り装置103によって板材105を移動させる工程の場合の間のクランクシャフト107の回転角度を120°にすれば、板材送り装置103は、
図2Aと比較して少ない量の板材105を搬送することができ、板材切断装置104は、板材送り装置103によって板材105を移動させる工程の場合において、すなわち、クランクシャフト107の回転角度が120°の間に、カッターの駆動を停止する工程にあり、板材105に対して加工処理する工程を含む場合において、すなわち、クランクシャフト107の回転角度が240°の間に、カッターを駆動する工程にある。このように、プレス装置で使用される金型に合わせるように、クランクシャフト107の回転角度に応じて、板材送り装置103による板材105の加工装置102への搬送量が調整されることができ、更には、板材切断装置104によって、加工装置102において加工処理された板材105が切断されることができる。
【0026】
なお、クランクシャフト107は、回転角度に応じて速く回転させてもよいし、遅く回転させてもよい。例えば、
図2Aにおいて、クランクシャフト107が270°から0°を通って90°まで回転している時には速く回転させ、板材105を加工装置102に搬送する時間を短くして、板材105の加工装置102への搬送量を少なくする一方で、クランクシャフト107が90°から180°を通って270°まで回転している時には遅く回転させ、その間に、板材切断装置104は、加工装置102において加工処理された板材105を切断するためにカッターを駆動させてもよい。また、クランクシャフト107が270°から0°を通って90°まで回転している時には遅く回転させ、板材105を加工装置102に搬送する時間を長くして、板材105の加工装置102への搬送量を多くする一方で、クランクシャフト107が90°から180°を通って270°まで回転している時には速く回転させ、その間に、板材切断装置104は、加工装置102において加工処理された板材105を切断するためにカッターを駆動させてもよい。
【0027】
図3A~
図3Cに示すように、板材切断装置104は、ハウジング201と、ハウジング201内に収容されたカッターと、一部がハウジング201内に収容され、カッターを駆動させるための駆動部と、駆動部を制御する制御装置とを備えてもよい。駆動部は、回転軸線203の周りに回転可能なシャフト202と、シャフト202の一方の端部に接続された第1のモータ204と、シャフト202の回転軸線203の周りの回転に伴ってカッターを一方向に対して往復運動させるための機構とを備えてもよい。駆動部は、シャフト202の捩れを抑制するために、シャフト202の他方の端部に接続された第2のモータ209を更に備えてもよい。カッターは、ハウジング201に固定された第1の切断刃205と、第1の切断刃205と協働して板材105を切断する第2の切断刃206とから構成されたスクラップカッターであってもよい。機構は、シャフト202に固定されたカム207を備えてもよい。カム207は、シャフト202が回転軸線203の周りに回転すると、それに伴って回転して、第2の切断刃206を第1の切断刃205に対して往復運動させることができる。そして、第2の切断刃206が第1の切断刃205に近づいて、第1の切断刃205と第2の切断刃206とが噛み合うと、ハウジング201に配置された取入口208を介して外部から搬送されてきた板材105が切断される。カム207は、特殊な輪郭曲線を有する板カム、特殊な溝を有する平面カム、等であってもよく、例えば、円板を偏心させた円板カム、三角カム、等であってもよい。カム207は、シャフト202の回転軸線203の周りの回転から要求される第2の切断刃206の往復運動を実現することができる形状であればよい。しかし、板材切断装置104は、これに限定されるものではない。なお、板材切断装置104の制御装置は、制御装置106に内蔵されてもよい。
【0028】
シャフト202は、加工装置102の板材105に対する工程に応じて回転することができる。シャフト202は、板材105を移動させる工程が終了し、板材105に対して加工処理する工程を経て、再び板材105に対して加工処理する工程が開始するまでの間に、板材105に対して加工処理する工程に応じて回転することができる。板材切断装置104の制御装置は、板材105に対して加工処理する工程に応じて、第1のモータ204を制御してカム207が固定されたシャフト202を回転駆動させることによってカム207に係合された第2の切断刃206を第1の切断刃205の方向に対して往復運動させ、第1の切断刃205と第2の切断刃206との噛み合いよって、加工装置102において加工処理された板材105を切断させてもよい。
【0029】
シャフト202は、加工装置102の板材105に対する工程に応じて回転速度を変更することができる。シャフト202は、板材105を移動させる工程が終了すると回転速度を速くし、板材105に対して加工処理する工程を経て、再び板材105に対して加工処理する工程が開始すると遅くするように回転速度を変更してもよい。シャフト202は、板材105を移動させる工程においては回転を停止してもよく、板材105を移動させる工程が終了すると回転を開始してもよい。また、シャフト202は、シャフト202の回転角度に応じて回転速度を変更することができる。シャフト202は、板材105を移動させる工程においてはある所定の回転角度内で遅い回転速度で回転し、板材105に対して加工処理する工程においては別の所定の回転角度内で速い回転速度で回転してもよい。また、シャフト202は、加工装置102の板材105に対する工程の1周期の間に回転軸線203の周りを1周回転するように、回転速度を変更することができる。シャフト202は、板材105を移動させる工程においてはある所定の回転角度内で遅い回転速度で回転し、板材105に対して加工処理する工程においては別の所定の回転角度内で速い回転速度で回転する場合であっても、シャフト202の回転軸線203の周りの1回転の時間と、加工装置102の板材105に対する工程の1周期の時間とが合うように、回転速度を変更してもよい。また、シャフト202は、加工装置102の板材105に対する工程の1周期の整数倍の間に回転軸線203の周りを1周回転するように、回転速度を変更してもよい。この場合、カム207は、この整数倍の頂点を有する形状のカムであってもよい。例えば、シャフト202が加工装置102の板材105に対する工程の1周期の3倍の間に回転軸線203の周りを1周回転する場合には、カム207は三角カムであってもよい。カム207の頂点の近傍部分が第2の切断刃206に係合している時に、第1の切断刃205と第2の切断刃206との噛み合いよって、加工装置102において加工処理された板材105は切断される。
【0030】
加工装置102は、加工装置102の工程を検出するためのセンサを備えてもよい。例えば、加工装置102がプレス装置である場合には、センサとして、クランクシャフト107の回転角度を検出するエンコーダ等の角度検出器108が設けられてもよい。角度検出器108によって、
図2A及び
図2Bに示すようなクランクシャフト107の回転角度が検出される。そして、角度検出器108によって検出された回転角度の出力信号は、制御装置106に送信される。これによって、制御装置106は、加工装置102の工程を認識することができる。例えば、
図2Aに示すように、クランクシャフト107の回転角度が270°から0°を通って90°までの間にある場合には、板材送り装置103によって板材105を目的の長さに応じて移動させる工程にあることを、制御装置106は認識することができる。そして、クランクシャフト107の回転角度が180°の周辺である場合には、移動してきた板材105に対して加工処理する工程にあることを、制御装置106は認識することができる。制御装置106は、クランクシャフト107の回転角度が90°であることを認識すると、板材送り装置103に対して、板材105の加工装置102への搬送を停止させる。そして、制御装置106は、クランクシャフト107の回転角度が270°であることを認識すると、板材送り装置103に対して、板材105の加工装置102への搬送を再び開始させ、板材105を加工装置102に一定の速度で搬送させる。このようにして、制御装置106は、角度検出器108からの出力信号に応じて、板材送り装置103に対して、板材105を加工装置102に間欠的に搬送させることができる。
【0031】
制御装置106は、クランクシャフト107の回転角度が270°から0°を通って90°までの間にあること、すなわち、板材送り装置103によって板材105を目的の長さに応じて移動させる工程にあることを認識する場合には、板材切断装置104にカッターの駆動を停止させる。また、制御装置106は、クランクシャフト107の回転角度が90°から180°を通って270°までの間にあること、すなわち、板材105に対して加工処理する工程を含むことを認識する場合には、板材切断装置104にカッターを駆動させる。制御装置106は、クランクシャフト107の回転角度が90°であることを認識すると、板材切断装置104に対して、加工装置102において加工処理された板材105を切断するためにカッターの駆動を開始させる。そして、制御装置106は、クランクシャフト107の回転角度が270°であることを認識すると、板材切断装置104に対して、カッターの駆動を終了させる。このようにして、制御装置106は、角度検出器108からの出力信号に応じて、板材切断装置104に対して、加工装置102において加工処理された板材105を切断するためにカッターを駆動させることができる。
【0032】
上記に説明されたような本発明の加工ラインシステム101を使用することによって、板材送り装置103から高精度に間欠的に搬送された板材105を、プレス装置等の加工装置102は、プレス加工等の加工処理を行って、携帯電話、パソコン、等の情報関連機器に使用される小型部品、自動車、産業用モータ部品、家電製品、等の構成部品、等の構造物を製造することができる。そして、板材切断装置104は、プレス装置等の加工装置102においてプレス加工等の加工処理された板材105を適切なタイミングで切断して、生産効率を向上させることができる。
【0033】
上記記載は特定の実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の原理と添付の特許請求の範囲の範囲内で種々の変更及び修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0034】
101 加工ラインシステム
102 加工装置
103 板材送り装置
104 板材切断装置
105 板材
106 制御装置
107 クランクシャフト
108 角度検出器
109 上側金型
110 下側金型
201 ハウジング
202 シャフト
203 回転軸線
204 第1のモータ
205 第1の切断刃
206 第2の切断刃
207 カム
208 取入口
209 第2のモータ