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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】多焦点眼用レンズ及び関連の方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/06 20060101AFI20241022BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20241022BHJP
   A61F 9/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G02C7/06
G02C13/00
A61F2/16
A61F9/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022564028
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 GB2021051040
(87)【国際公開番号】W WO2021220007
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/017,975
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521013611
【氏名又は名称】クーパーヴィジョン インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】レイゾン デ ラ ジャラ パーシー
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-514639(JP,A)
【文献】特開平06-324292(JP,A)
【文献】特表2014-528100(JP,A)
【文献】国際公開第2020/053463(WO,A1)
【文献】特開2017-015742(JP,A)
【文献】特表2017-510851(JP,A)
【文献】特表2017-529128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0204472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多焦点眼用レンズであって、
レンズの第1の面が、第1の面度数マップを形成するように成形され、
レンズの第2の面が、第2の面度数マップを形成するように成形され、
前記第1及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成し、
前記第1の面度数マップ、前記第2の面度数マップ、又は前記レンズ度数マップは螺旋を備え、該螺旋は、レンズの少なくとも一部分にわたる変動を有し、
前記螺旋は、前記一部分の中心から外向きに延びる半径方向に第1の周期性成分と前記一部分の前記中心の周りの方位角方向に実質的に一定の周期を有する第2の周期性成分とを有することを特徴とする多焦点眼用レンズ。
【請求項2】
前記第1の周期性成分は、100ミクロンよりも大きい周期を有し、
前記第2の周期性成分は、6度よりも大きい周期を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項3】
前記螺旋の前記変動は、度数のオフセットを備え、該オフセットは、前記一部分の前記中心からの半径方向距離に従って変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項4】
前記螺旋の1又は2以上のアームのピーク度数が、前記一部分の前記中心からの半径方向距離及び前記一部分前記中心の周りの方位角位置のうちの一方又は両方に従って変化することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項5】
前記螺旋の各アームのピーク度数が、前記一部分の前記中心からの半径方向距離と共に変化せず、
前記螺旋の少なくとも1つのアームの前記ピーク度数は、他のアームのものとは異なる、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項6】
前記第1の面度数マップ及び前記第2の面度数マップの各々が、前記一部分にわたって滑らかに変化することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項7】
レンズの前記一部分は、中心領域と該中心領域を取り囲む外側領域とを備え、
前記外側領域内の前記レンズ度数マップは、前記螺旋を備え、
前記レンズ度数マップは、前記中心領域内で周期的に変化しない、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項8】
前記中心領域は、前記一部分の直径の50%よりも小さい直径を有することを特徴とする請求項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項9】
レンズが、移行領域を備え、該移行領域は、前記中心領域と該移行領域を取り囲む前記外側領域とを取り囲み、
前記レンズ度数マップは、前記移行領域が前記中心領域と前記外側領域の間に滑らかな移行を与えるように変化する、
ことを特徴とする請求項又はに記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項10】
前記螺旋の捩れ率が、前記一部分の前記中心からの半径方向距離に従って変化することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項11】
前記螺旋の1又は2以上のアームの幅が、該螺旋の他のアームの対応する幅とは異なることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項12】
前記一部分の前記中心からの予め決められた半径方向距離で、前記螺旋は、その回転方向を変えることを特徴とする請求項11に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項13】
コンタクトレンズ、眼鏡レンズ、又は眼内レンズであることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項14】
多焦点眼用レンズを製造する方法であって、
第1の面度数マップを形成するためにレンズ、レンズのためのモールド、又はレンズのためのモールドを製造するためのインサートのうちの1つの第1の面を成形するように旋盤を作動させる段階と、
第2の面度数マップを形成するために前記レンズ、モールド、又はインサートの第2の面を成形するように旋盤を作動させる段階と、
を備え、
前記第1及び第2の面度数マップの組合せが、レンズ度数マップを形成し、
前記第1の面度数マップ、前記第2の面度数マップ、又は前記レンズ度数マップは螺旋を備え、該螺旋は、前記レンズ、モールド、又はインサートの少なくとも一部分にわたる変動を有し、
前記螺旋は、前記一部分の中心から外向きに延びる半径方向に第1の周期性成分と前記一部分の前記中心の周りの方位角方向に実質的に一定の周期を有する第2の周期性成分とを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
個人の視力を改善する方法であって、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズを視力の改善を必要とする個人に提供する段階、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
中心遠見コンタクトレンズ又は中心近見コンタクトレンズであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項17】
前記中心領域は、遠見視力矯正に対応する光学度数を有することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【請求項18】
前記中心領域は、近見視力矯正に対応する光学度数を有することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の多焦点眼用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多焦点眼用レンズ及び関連の方法に関する。より具体的には、しかし、限定的ではなく、本発明は、レンズの一部分にわたる変動を有する螺旋を備えるレンズ度数マップを有する多焦点眼用レンズに関する。本発明はまた、そのようなレンズを作るかつ使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示の関連では、多焦点眼用レンズは、1よりも多い距離への焦点調節を同時に提供する眼用レンズである。これは、典型的に眼用レンズを複数の領域に再分割することによって達成される。複数の領域のうちの第1の部分集合の領域には、第1の集束距離に対応する第1のレンズ度数(例えば、遠見視力)が設けられる。複数の領域のうちの第2の部分集合の領域には、第2の集束距離に対応する第2のレンズ度数(例えば、近見視力)が設けられる。
【0003】
多焦点コンタクトレンズでは、複数の領域は、典型的にコンタクトレンズの光軸を中心とする同心円として形成され、同心円は、第1のレンズ度数と第2のものとの間で交替する。すなわち、典型的な多焦点コンタクトレンズの光学ゾーンの度数マップは、第1及び第2のレンズ度数の少なくとも2つの交替同心円を備える。しかし、そのようなコンタクトレンズは、変わりやすい光条件での着用者に対して困難を引き起こす可能性がある。より低い光条件では、着用者の眼球の瞳孔は、入射光に対してより大きい開口を与えるために拡張し、眼球の中に受け入れられる光の量を増大し、それによって改善された低光視力を提供する。条件が明るくなると、瞳孔は、より小さい開口を与えるために収縮し、それによって眼球の中に受け入れられる光の量を制限する。着用者の瞳孔が拡張及び収縮するので、着用者の入射瞳にわたって位置決めされたコンタクトレンズ上の同心リングの個数も変化することになる。瞳孔が拡張すると、より多数の同心リングが着用者の入射瞳にわたって位置決めされることになる。同様に、瞳孔が収縮すると、より少数の同心リングが着用者の入射瞳にわたって位置決めされることになる。同心リングは、第1のレンズ度数と第2のレンズ度数の間で交替するので、着用者の瞳孔が収縮及び拡張する時に着用者の入射瞳にわたって位置決めされた第2のレンズ度数に対する第1のレンズ度数の比率が変化することになる。瞳孔が収縮すると、近見及び遠見焦点調節のうちの一方の量だけが、瞳孔が次に最小の同心円の直径まで収縮するまで低減する。この時点で、近見及び遠見焦点調節のうちの他方の量だけは、瞳孔が次に最小の同心円の直径まで再度収縮するまで低減する。このサイクルは、瞳孔が収縮する時に繰り返され、瞳孔が収縮する時に遠見焦点調節に対する近見焦点調節の比率の変動を引き起こす。瞳孔が拡張する時に同じ効果が逆向きに発生することは認められるであろう。近見対遠見焦点調節の比率のこれらの変動は、着用者に対する動転及び多焦点視力の喪失さえも引き起こす可能性がある。一般的に、着用者の瞳孔がより収縮するほど、比率のこの変動は悪化する。従って、特に瞳孔がその最小サイズの近くまで収縮する時の明るい条件では、そのような多焦点コンタクトレンズの着用者は、近見及び遠見視力の両方で高い鋭さを与える多焦点コンタクトレンズの機能が阻害されることを見出す場合がある。この効果は、多焦点コンタクトレンズのより主流の設計のうちの1つである2ゾーン多焦点コンタクトレンズに対して更に悪化する。2ゾーン多焦点コンタクトレンズは、第1のレンズ度数の内側円と第2のレンズ度数の単一取り囲み周囲リングとを備える。すなわち、そのようなコンタクトレンズの着用者の瞳孔が収縮するほど、第2のレンズ度数のより少ないものが着用者の入射瞳にわたって位置決めされる。一部の場合に、瞳孔は、第2のレンズ度数のいずれも着用者の入射瞳にわたって位置決めされない程度まで更に収縮し、多焦点視力の完全喪失を引き起こす場合がある。他の多焦点コンタクトレンズは、類似の原理を利用する場合があるが、交替同心リングの代わりに、交替リング実施形態と比較して近見視力度数から遠見視力度数へのより緩やかな移行を与える非球面度数プロファイルを含む場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に言及した問題を軽減することを求めるものである。これに代えて又はこれに加えて、本発明は、改善された多焦点眼用レンズを提供することを求めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の態様により、多焦点眼用レンズを提供する。眼用レンズの第1の面は、第1の面度数マップを形成するように成形される。眼用レンズの第2の面は、第2の面度数マップを形成するように成形される。第1及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成する。第1の面度数マップ、第2の面度数マップ、及び/又はレンズ度数マップは螺旋を備える。螺旋は、レンズの少なくとも一部分にわたる変動を有する。
【0006】
螺旋を備える度数マップを有するコンタクトレンズは、着用者の瞳孔サイズの変化の存在下で遠見視力焦点調節に対する近見視力焦点調節のより安定した比率を提供することができる。光条件が変化すると、着用者の瞳孔は、眼球の中に受け入れられる光の量を調整するために拡張及び収縮することになる。条件が明るくなると、瞳孔は、眼球の中に許される光の量を低減するために収縮する。条件が暗くなると、瞳孔は、眼球の中へのより多くの光を許すために拡張する。従来技術の多焦点コンタクトレンズは、近見及び遠見焦点調節の交替同心リング、例えば、近見焦点調節の周囲円によって取り囲まれた遠見焦点調節の中心円を使用することができる。これに代えて、既存の多焦点コンタクトレンズは、光学ゾーン内に非球面度数プロファイルを使用する場合がある。上記で議論したように、これらのコンタクトレンズは、着用者の瞳孔が拡張及び収縮する時に着用者の入射瞳にわたって与えられた遠見焦点調節に対する近見焦点調節の比率の変動を受ける。これらの変動は、着用者に対する動転及び多焦点視力の喪失さえも引き起こす可能性がある。
【0007】
本明細書に開示する螺旋度数マップは、螺旋マップを含む全直径範囲にわたって遠見焦点調節に対する近見焦点調節の一定比率を提供することができる。すなわち、螺旋度数マップを有するコンタクトレンズは、瞳孔が収縮又は拡張する時に近見対遠見焦点調節の実質的に一定の比率(螺旋が、レンズの光学ゾーンの全体を網羅する場合)又は単調に変化する比率(螺旋が、レンズの光学ゾーンの半径方向副部分だけを網羅する場合)のいずれかを維持することができる。すなわち、螺旋度数マップを有するコンタクトレンズは、可変照照明条件の存在下で改善された多焦点視力を提供することができる。
【0008】
度数マップが滑らかに(例えば、正弦波のように)変化する場合に、度数マップが単なる近見視力に対応する第1のレンズ度数及び遠見視力に対応する第2のレンズ度数以外のレンズ度数を備えることになることは当業者によって認められるであろう。そのような場合に、度数マップは、第1及び第2の度数の間のレンズ度数(例えば、中間レンズ度数)を有する領域も備えることになる。これが、着用者の入射瞳にわたって位置決めされた追加度数の一貫したかつ安定な変動を与えるという上述の利点に影響を及ぼさない又はそれを損なわないことは認められるであろう。この利点は、螺旋度数マップに関して、特定の半径での追加度数の構成がレンズの光軸からの半径方向距離に従って変化しないという事実から導出されることは当業者によって認められるであろう。
【0009】
本発明の第2の態様により、多焦点眼用レンズを製造する方法も提供する。本方法は、第1の面度数マップを形成するためにレンズ、レンズのためのモールド、又はレンズのためのモールドを製造するためのインサートのうちの1つの第1の面を成形するように旋盤を作動させる段階を備える。本方法は、第2の面度数マップを形成するためにレンズモールド又はインサートの第2の面を成形するように旋盤を作動させる段階を更に含む。第1の面度数マップ及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成することができる。第1の面度数マップ、第2の面度数マップ、又はレンズ度数マップは、レンズの少なくとも一部分にわたる変動を有する螺旋を形成する。この部分は、レンズの光学ゾーンを備える。
【0010】
本発明の第3の態様では、本明細書に説明する多焦点眼用レンズを使用する方法も提供する。本方法は、老眼レンズ着用者(例えば、40歳又はそれよりも高齢の個人)の視力を改善するのに有効である場合がある。これに代えて、本方法は、近視又は遠視の進行を弱めるような屈折異常の進行を弱めるのに有効である場合がある。本発明のレンズが近視の進行を弱めるのに使用される時に、本方法は、遠近調節することができる眼球を有する個人に眼用レンズを提供する段階を備える。本方法の実施形態は、約5歳から約25歳までの個人に眼用レンズを提供する段階を含むことができる。提供する段階は、検眼技師又は検眼医のような眼球診療者によって実行することができる。これに代えて、提供する段階は、レンズ着用者への眼用レンズの配送を準備するレンズ販売者によって実行することができる。
【0011】
本発明の一態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様に組み込むことができることは勿論認められるであろう。例えば、本発明の方法は、本発明の装置に関して説明した特徴のいずれも組み込むことができ、その逆も同様である。
【0012】
ここで本発明の実施形態を添付の概略図面を参照して単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の例示的実施形態によるコンタクトレンズを示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるコンタクトレンズの光学ゾーンの第1の面の度数マップを示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態によるコンタクトレンズの光学ゾーンの第1の面のレンズ度数マップを示す図である。
図4】本発明の第3の実施形態によるコンタクトレンズの光学ゾーンのレンズ度数マップを示す図である。
図5】本発明の第4の実施形態による方法の段階を例示する流れ図である。
図6】本発明の例示的実施形態による眼鏡レンズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、第1の態様により、多焦点眼用レンズを提供する。レンズの第1の面は、第1の面度数マップを形成するように成形される。レンズの第2の面は、第2の面度数マップを形成するように成形される。面の変動が面の曲率の変動を備えることは当業者によって認められるであろう。第1及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成する。第1の面度数マップ、第2の面度数マップ、及び/又はレンズ度数マップは、レンズの少なくとも一部分にわたる変動を有する螺旋を備える。
【0015】
第1の面度数マップ及び第2の面度数マップのうちのいずれも、度数マップにわたって+0Dの実質的に一定の度数を有することができることは認められるであろう。本説明の目的に対して、レンズのそれぞれの面は、当該面の度数マップが最終的にいずれの焦点調節又は視力の修正も与えなくても依然として面度数マップを形成すると考えられる。
【0016】
眼用レンズはコンタクトレンズである場合がある。これに代えて、眼用レンズは、眼内レンズ又は眼鏡レンズである場合がある。
【0017】
第1の面は、第1の面度数マップを形成するようにレンズの光学ゾーンにわたって変化することができる。同様に、第2の面は、第2の面度数マップを形成するようにレンズの光学ゾーンにわたって変化することができる。従って、レンズの上述の部分は、レンズの光学ゾーンに対応することができる。
【0018】
レンズは、視力矯正を提供する光学ゾーンを備えることになることは認められるであろう。本発明の実施形態によるコンタクトレンズ及び眼内レンズは、いずれの追加の焦点調節矯正又は視力矯正も施さない取り囲む周囲ゾーンを更に含むことができる。そのような実施形態では、周囲ゾーンは、コンタクトレンズを着用者の眼球上又は内の定位置に維持することを助ける役割のみを提供することができる。従って、面度数マップが、レンズの光学ゾーンにわたる第1の面のプロファイルによって定められることは当業者によって認められるであろう。光学ゾーンの外側(例えば、周囲ゾーン内)のレンズ面のプロファイルは、本発明の関連では面度数マップを定めるものとして扱うことはない。類似の考察は、光学ゾーン及び(任意的な)周囲ゾーンを更に含むことができる眼内レンズにも適用される。
【0019】
本発明の実施形態によるコンタクトレンズの光学ゾーンは、コンタクトレンズのタイプに依存して4mmと9mmの間の直径を有する場合がある。例えば、光学ゾーンの直径は、約5mm、約6mm、約7mm、又は約8mmとすることができる。コンタクトレンズの光学ゾーンの直径は、7mmと9mmの間とすることができる。光学ゾーンは、その幾何学中心に対応する光軸を備える。
【0020】
眼鏡レンズの場合に、レンズの一部分ではなくレンズ全体が視力矯正を提供するように機能することができる。従って、眼用レンズは、眼鏡レンズである場合がある。第1の面は、第1の面度数マップを形成するようにレンズを通して成形される場合がある。
【0021】
螺旋は、上述の部分の中心から外向きに延びる半径方向に第1の周期性成分と、この部分の中心の周りの方位角方向に第2の周期性成分とを有する場合がある。第1及び第2の成分の各々は、第1及び第2の面のうちの同じ一方のものの上に形成される場合がある。
【0022】
方位角方向は、上述の部分の中心の周りの回転を指すものと理解されるものとする。従って、方位角方向の移動は、この部分の中心の周りの角度位置の変動と同等である。そのような実施形態では、螺旋を形成する度数マップの変動は、第1の周期性成分と第2の周期性成分の和であることは認められるであろう。
【0023】
第1及び第2の周期性成分のうちの一方又は両方は、上述の部分にわたって一定の大きさである場合がある。
【0024】
第1の周期性成分(半径方向での)は、100ミクロンよりも大きい周期を有することができる。第2の周期性成分は、6度よりも大きい周期を有することができる。第1の周期性成分の周期は、200ミクロンよりも大きく、好ましくは、400ミクロンよりも大きく、より好ましくは、800ミクロンよりも大きい場合がある。第2の周期性成分の周期は、2mmよりも小さく、好ましくは、1.5mmよりも小さく、より好ましくは、1mmよりも小さい場合がある。第2の周期性成分の周期(方位角方向での)は、6度よりも大きく、好ましくは、9度よりも大きく、好ましくは、18度よりも大きく、より好ましくは、36度よりも大きい場合がある。第2の周期性成分の周期は、180度よりも小さく、好ましくは、90度よりも小さく、より好ましくは、45度よりも小さい場合がある。
【0025】
従って、実施形態では、第1の周期性成分は、100ミクロンよりも大きい周期を有し、第2の周期性成分は、6度よりも大きく、好ましくは、9度よりも大きく、より好ましくは、18度よりも大きく、更により好ましくは、36度よりも大きい周期を有することができる。他の実施形態では、第1の周期性成分は、200ミクロンよりも大きい周期を有し、第2の周期性成分は、6度よりも大きく、好ましくは、9度よりも大きく、より好ましくは、18度よりも大きく、更により好ましくは、36度よりも大きい周期を有することができる。他の実施形態では、第1の周期性成分は、400ミクロンよりも大きい周期を有し、第2の周期性成分は、6度よりも大きく、好ましくは、9度よりも大きく、より好ましくは、18度よりも大きく、更により好ましくは、36度よりも大きい周期を有することができる。他の実施形態では、第1の周期性成分は、800ミクロンよりも大きい周期を有し、第2の周期性成分は、6度よりも大きく、好ましくは、9度よりも大きく、より好ましくは、18度よりも大きく、更により好ましくは、36度よりも大きい周期を有することができる。
【0026】
螺旋の変動は、度数のオフセットを備える場合がある。オフセットは、上述の部分の中心からの半径方向距離に従って変化することができる。実施形態では、オフセットは、複数の成分のうちの1つを含むことができる。従って、複数の成分は、レンズの中心からの半径方向距離と共に変化する(例えば、線形に、指数関数的に、又は単調に)オフセット成分を更に含むことができる。例えば、オフセットは、例えば、線形に上述の部分の中心から半径方向外向きに減衰する追加度数を与える場合がある。
【0027】
螺旋の1又は2以上のアームのピーク度数は、上述の部分の中心からの半径方向距離及びこの部分の中心の周りの方位角位置のうちの一方又は両方に従って変化する場合がある。周期性成分の大きさは、この部分の中心からの半径方向距離及びこの部分の中心の周りの方位角位置のうちの一方又は両方に従って変化する場合がある。
【0028】
螺旋の各アームのピーク度数は、上述の部分の中心からの半径方向距離と共に変化しない場合がある。螺旋の少なくとも1つのアームのピーク度数は、他のアームとは異なる場合がある。従って、螺旋の各アームは、異なるレンズ度数を与えるということができる。従って、多焦点視力は、螺旋のアームによって与えられる場合がある。螺旋の各アームのピーク度数は、他のアームとは異なる場合がある。そのような特徴は、上述の部分の中心からの半径方向距離とこの部分の中心の周りの方位角位置との両方に関する周期性成分の変動として特徴付けることができることは認められるであろう。従って、周期性成分は、この部分の中心からの半径方向距離とこの部分の中心の周りの方位角位置との両方に関して螺旋の少なくとも1つのアーム(例えば、各アーム)のピーク度数が他のアームとは異なるように変化することができる。
【0029】
第1の面度数マップの度数は、上述の部分にわたって滑らかに変化することができる。第2の面度数マップの度数は、この部分にわたって滑らかに変化することができる。従って、周期性成分は滑らかに変化する(例えば、正弦波又は丸い矩形波のように)場合がある。面度数マップの各々は、いずれの不連続性も持たずに連続的に変化することができる。度数は、上述の部分にわたって80D/mmよりも小さく、好ましくは、40D/mmよりも小さく、より好ましくは、20D/mmよりも小さい変動率で変化することができる。面は、この部分にわたって滑らかに変化することができる。面は、いずれの不連続性も持たずに連続的に変化することができる。度数を滑らかに変えることにより、旋盤を用いて製造することがより容易なレンズ面プロファイルをもたらすことができる。旋盤を用いて眼用レンズを製造する段階は、旋盤を用いてレンズ(例えば、コンタクトレンズ)、レンズのためのモールド(例えば、コンタクトレンズのためのモールド)、及びレンズモールドに対するインサート(例えば、コンタクトレンズモールドに対するインサート)のうちの1又は2以上の面を成形する段階を含むことができることは当業者によって認められるであろう。鋭敏な移行及び特徴部は、旋盤を用いて達成することが困難である場合がある。従って、所期又は所要の定義を有するそのような特徴を有するレンズは、旋盤を用いて製造する時に多くの場合に再現することができない。従って、「滑らかに」という用語は、この関連では旋盤を用いたレンズ、レンズのためのモールド、又はレンズモールドに対するインサートの面の望ましい成形を可能にするほど十分に滑らかなことを意味することも認められるであろう。
【0030】
度数は、半径方向及び方位角方向の一方又は両方に矩形波として変化することができる。度数は、半径方向及び方位角方向の一方又は両方に丸い矩形波として変化することができる。度数は、半径方向及び方位角方向の一方又は両方に正弦波として変化することができる。
【0031】
第1及び第2の周期性成分は、矩形波、正弦波、及び丸い矩形波のうちの1つとして変化することができる。第1及び第2の周期性成分の一方又は両方の周期は、レンズの上述の部分にわたって実質的に一定である場合がある。第1及び第2の周期性成分がこの部分にわたって実質的に一定の周期を有する本発明の実施形態は、半径方向変化及び角度変動が一定ではない実施形態と比較して旋盤を用いて製造することが容易なレンズ面プロファイルをもたらす。本発明の実施形態によるコンタクトレンズの場合に、第1及び第2の周期性成分のうちの一方又は両方は、光学ゾーン周囲から光学ゾーンの光軸に向けて実質的に一定の周期を有することができる。
【0032】
半径方向及び角度方向の各々の度数変動は、それぞれの波形に関連付けられる場合がある。更に、これらの波形の度数マップは、近見視力矯正と遠見視力矯正の間の実質的に等しい均衡度を用いて対称である場合がある。これに代えて、度数マップは、遠見視力矯正又は近見視力矯正のいずれかに向けてバイアスさせることができる。従って、これらの波形の度数マップは、半径方向及び角度方向のうちの一方又は両方に非対称である場合がある。
【0033】
第1及び第2の周期性成分のうちの一方又は両方の周期は、レンズの上述の部分の中心からの半径方向距離及びこの部分の中心の周りの方位角位置のいずれか又は両方に従って変化することができる。第1及び第2の周期性成分のうちの一方又は両方の周期がレンズ上での位置に従って変化する本発明の実施形態は、螺旋の特性(例えば、螺旋の捩れ率又はアーム幅)がレンズの様々な領域で異なるレンズを提供することができる。
【0034】
第1の周期性成分(すなわち、半径方向の周期性成分)の周期の変動は、例えば、滑らかに(例えば、線形に)変化する周期の混合領域によって分離することができる。従って、混合領域は、半径方向変化の第1の周期を有する第1の領域と半径方向変化の第2の周期を有する第2の領域の間に滑らかに(例えば、線形に)変化する周期の同心リングを備えることができる。これに代えて、混合領域は、滑らかに(例えば、線形に)変化するレンズ度数の領域を含むことができる。従って、混合領域は、異なる周期の半径方向変化の領域の間に滑らかな移行を与えることができる。異なる周期の半径方向変化の領域は、2つの混合領域と、実質的に一定のレンズ度数の介在領域とによって分離される場合がある。混合領域は、約25マイクロメートルから約200マイクロメートルまでの幅(平面図内の)を有することができる。
【0035】
螺旋は、2個よりも多いアーム、好ましくは、4個よりも多いアーム、より好ましくは、8個よりも多いアーム、更により好ましくは、16個よりも多いアームを含むことができる。第2の周期性成分の周期が螺旋上のアームの個数を決定することになることは当業者によって認められるであろう。
【0036】
第1の周期性成分の周期は、24mmと2mmの間である場合がある。第1の周期性成分の周期は、16mmと4mmの間である場合がある。螺旋の各アームは、4分の1回転と40回転の間を通しで捩れることができる。螺旋のアームが通しで捩れる回転数が、第1の周期性成分の周期とレンズの上述の部分の半径(又はサイズ)とによって決定されることは当業者によって認められるであろう。この部分(すなわち、コンタクトレンズの光学ゾーン)の半径への言及は、この部分の平面図の直径の半分の距離を指すことは認められるであろう。この関連では、平面図は、レンズの光軸に沿った図として捉えるように意図している。
【0037】
第1の周期性成分の周期対第2の周期性成分の周期の比率は、0.1mm:6°よりも大きい場合がある。螺旋の各アームは、0.1mmよりも広く、好ましくは、0.5mmよりも広く、より好ましくは、1mmよりも広い場合がある。各アームは、幅が0.1mmと3mmの間である場合がある。各アームは、幅が0.25mmと2mmの間である場合がある。各アームは、幅が0.5mmと1mmの間である場合がある。螺旋のアームの幅は、添付図面に示すように度数マップを平面図で(すなわち、レンズの光軸に沿って)見た場合として決定される。所与の半径の場所のアームの幅は、アームの垂直幅(すなわち、所与の半径に対して垂直な方向の幅)として定められることは当業者によって認められるであろう。アームの幅は、この関連では、当該アームの各側辺の直近にあり、両方共に最大又は最小の勾配のいずれかを有し、単一の正又は負の偏位を受ける度数を挟む2つの点の間の距離として定められる。幅のそのような定義は、所与の半径の円に対するタンジェンシャルに沿ったアーム幅の直線測定値を与えることは当業者によって認められるであろう。更に、この定義の下での幅の測定値は、所与の半径を有する円の弧として取られたアームの幅の測定値とは異なることになることは当業者によって認められるであろう。直線幅定義の下での幅測定値とは異なり、そのような弧に基づく測定値は、第2の周期性成分の周期に比例すると考えられる。これら2つの方法によって得られた幅の間の差の大きさは、目下の特定の場合の第2の周期性成分の周期に依存することになる。
【0038】
螺旋の各アームは、レンズの上述の部分の中心からこの部分の周囲まで延びることができる。螺旋のアームがこの部分の中心からこの部分の周囲まで延びる本発明の実施形態によるコンタクトレンズは、変化する瞳孔拡大の存在下で第2のレンズ度数に対する第1のレンズ度数の実質的に一定の比率を提供することができる。そのような実施形態は、広範囲にわたる光条件下で高鋭敏多焦点視力を提供する。
【0039】
螺旋の捩れ率は、上述の部分の中心からの半径方向距離に従って変化することができる。螺旋の捩れ率は、螺旋のアームが螺旋の中心の周りに回転する率(すなわち、所与の半径方向距離にわたる螺旋の中心の周りのアームの回転数)を意味すると理解されるであろう。螺旋の捩れ率の変動は、第2の周期性成分の周期の変動に比例しない第1の周期性成分の周期の変動の結果である場合があることは認められるであろう(例えば、第2の周期性成分の周期を不変のままに維持しながら第1の周期性成分の周期を変えることによる)。螺旋の1又は2以上のアームの幅は、螺旋の他のアームの対応する幅とは異なる場合がある。そのような特徴は、周期性成分が上述の部分にわたって変化する負荷サイクルを有する周期性成分を提供することとして定めることができることは認められるであろう。
【0040】
レンズは平均レンズ度数を有することになることは認められるであろう。更に、レンズは、平均よりも大きいレンズ度数を有するレンズの第1の区域と平均よりも小さいレンズ度数を有するレンズの第2の区域との間で分割されることになることは認められるであろう。第1の区域対第2の区域の比率は、10:1及び1:10である場合がある。第1の区域対第2の区域の比率は、5:1及び1:5である場合がある。第1の区域対第2の区域の比率は、3:1及び1:3である場合がある。第1の区域対第2の区域の比率は、2:1及び1:2である場合がある。第1の区域対第2の区域の比率は、約1:1である場合がある。
【0041】
光学ゾーンとすることができるレンズの部分は、中心領域と外側領域を含むことができる。中心領域は、レンズの光軸を直接に取り囲むことができる。中心領域は、レンズの幾何学中心からオフセットすることができる。例えば、眼球上でのレンズの自然な偏心に起因して、オフセットされた中心領域の光軸がレンズ着用者の瞳孔に位置合わせすることを可能にするように中心領域を幾何学中心からオフセットすることが望ましい場合がある。外側領域は、中心領域を取り囲む(例えば、直接に取り囲む)ことができる。中心領域の度数は、中心領域にわたって周期的に変化しない(例えば、中心領域にわたって実質的に一定のレンズ度数を有する)場合がある。外側領域内のレンズ度数マップは、螺旋を含むことができる。従って、外側領域は螺旋を備えるということができる。遠見視力に対応するレンズ度数を有し、周期的な度数変動が不在の中心領域を有する光学ゾーンを有するコンタクトレンズを提供することにより、着用者が明るい条件下でさえも高鋭敏遠見視力を維持することを保証することができる。例えば、これは、運転時の着用者に対して特に有利である場合がある。これに代えて、中心領域が螺旋を備え、外側領域の度数が外側領域にわたって周期的に変化しない(例えば、外側領域にわたって実質的に一定のレンズ度数を有する)場合がある。
【0042】
コンタクトレンズは、光学ゾーンを取り囲み、いずれの追加の焦点調節矯正又は視力矯正も施さず、コンタクトレンズを着用者の眼球上の定位置に維持することを助ける役割のみをもたらす周囲ゾーンを含むことができる。従来方式では、眼球上に着用した時に、コンタクトレンズは角膜上に載り、光学ゾーンは着用者の瞳孔をほぼ覆う。すなわち、本発明によるコンタクトレンズは、光学ゾーンとそれを取り囲む周囲ゾーンとを含むことができることは認められるであろう。光学ゾーンは視力矯正を提供する。周囲ゾーンはいずれの視力矯正も施さないが、他の機能(コンタクトレンズを眼球上の定位置に維持することを助けることなど)を提供することができる。光学ゾーン内にあるレンズ面は、第1及び第2の度数マップを提供し、それによってレンズ度数マップも提供する。従って、光学ゾーンは、上述のように、任意的に中心領域と外側領域と移行領域とを含むことができる。光学ゾーンは、上記で言及したように1又は2以上の混合領域を含むことができる。
【0043】
中心領域の直径は、上述の部分の直径の50%よりも小さく、好ましくは、40%よりも小さく、より好ましくは、30%よりも小さい場合がある。従って、本発明の実施形態によるコンタクトレンズでは、中心領域の直径は、コンタクトレンズの光学ゾーンの直径の50%よりも小さく、好ましくは、40%よりも小さく、より好ましくは、30%よりも小さい場合がある。中心領域は、コンタクトレンズの着用者の最小瞳孔サイズよりも小さい場合がある。着用者の最小瞳孔サイズよりも小さい中心領域を有する本発明の実施形態は、変化する光条件の存在下で高鋭敏近見視力及び遠見視力を維持することができる。
【0044】
中心領域の度数は、実質的に一定とすることができる(例えば、度数は、中心領域にわたって基準度数から0.25ジオプトリー(D)よりも小さくしか変化することができない)。中心領域は、遠見視力に対応するレンズ度数を有することができる。中心領域が、遠見視力に対応する実質的に一定のレンズ度数を有する本発明の実施形態によるコンタクトレンズは、瞳孔がその最小サイズにある時の明光条件下で高鋭敏遠見視力を提供することができる。一般的に、明光条件は、着用者が一般的に近見視力よりも遠見視力に対する必要性を有する日中の屋外環境に対応するので、そのような条件下では、高鋭敏遠見視力の方が高鋭敏近見視力よりも着用者に対して一般的に有利である。これに代えて、中心領域は、近見視力に対応するレンズ度数を有することができる。更に、中心領域は、レンズ着用者が必要とする近見視力矯正度数よりも強いレンズ度数を有することができる。例えば、中心領域の度数は、レンズ着用者が必要とする近見視力矯正度数よりも+0.25Dから+1.25Dだけ強くすることができる。
【0045】
レンズは、移行領域を含むことができる。移行領域は、中心領域を取り囲むことができる。外側領域は、移行領域を取り囲むことができる。従って、移行領域は、中心領域と外側領域の間に位置決めすることができる。移行領域の度数は、中心領域と外側領域の間に滑らかな移行を与えるように変化することができる。中心領域と外側領域の間に滑らかな移行を与える本発明の実施形態は、レンズ、そのようなレンズのためのモールド、そのようなレンズモールドに対するインサートのより容易な旋盤を用いた製造を可能にすることができる。この場合に、この関連での「滑らか」は、旋盤を用いて生成するのにレンズプロファイルが十分に滑らかでなければならないことを意味することは当業者によって認められるであろう。
【0046】
螺旋は、完全に第1の面上に形成される(すなわち、螺旋は、完全に第1の面度数マップによって形成される)場合がある。従って、第2の面度数マップは、レンズの上述の部分にわたって周期的に変化しないとすることができる。これに代えて、螺旋は、完全に第2の面上に形成される(すなわち、螺旋は、完全に第2の面度数マップによって形成される)場合がある。従って、第1の面度数マップは、レンズの上述の部分にわたって周期的に変化しないとすることができる。これに代えて、螺旋は、第1の面と第2の面を合わせたものによって形成することができる(すなわち、螺旋は、第1及び第2の面度数マップの重ね合わせによって形成される)。光学ゾーンが螺旋レンズ度数マップを含む本発明の実施形態によるコンタクトレンズは、変化する瞳孔サイズの存在下で第2のレンズ度数に対する第1のレンズ度数の実質的に一定の比率を提供することができる。
【0047】
第1の面度数マップ及び第2の面度数マップのいずれも度数マップにわたる+0Dの実質的に一定の度数を有することができることは認められるであろう。本説明の目的に対して、面度数マップが最終的にいずれの焦点調節修正又は視力修正も施さない場合であっても、レンズの面は、依然として面度数マップを形成すると考えられる。
【0048】
第1の面度数マップは、上述の部分の中心から半径方向外向きに実質的に周期的に変化することができる。第2の面度数マップは、この部分の中心から半径方向外向きに実質的に周期的に変化することができる。レンズ度数マップは、この部分の中心から半径方向外向きに実質的に周期的に変化することができる。これらの面の半径方向変化の周期は、100ミクロンよりも大きく、好ましくは、200ミクロンよりも大きく、より好ましくは、400ミクロンよりも大きく、更により好ましくは、800ミクロンよりも大きい場合がある。
【0049】
第1の面度数マップは、レンズの光軸の周りの方位角方向に実質的に周期的に変化することができる。第2の面度数マップは、レンズの光軸の周りの方位角方向に実質的に周期的に変化することができる。レンズ度数マップは、レンズの光軸の周りの方位角方向に実質的に周期的に変化することができる。面の方位角変動の周期は、6度よりも大きく、好ましくは、9度よりも大きく、より好ましくは、18度よりも大きく、更により好ましくは、36度よりも大きい場合がある。
【0050】
第2の面の半径方向変化及び方位角変動の周期及び位相は、第1の面と同じである場合がある。第1の面度数マップの方位角変動及び半径方向変化の周期は、第2の面度数マップと必ずしも同じである必要はないことは認められるであろう。第1の面度数マップ及び/又は第2の面度数マップは、螺旋、例えば、上述の部分にわたる変動を有する螺旋を含むことができる。第2の面度数マップは、第1の面度数マップの螺旋に適合する螺旋を含むことができる。そのような実施形態では、全体的なレンズの度数マップも螺旋を備える。螺旋レンズ度数マップを有するコンタクトレンズを備える本発明の実施形態は、変化する瞳孔サイズの存在下で第2のレンズ度数に対する第1のレンズ度数の実質的に一定の比率を提供することができる。
【0051】
第1の面によって与えられる螺旋と第2の面によって与えられる螺旋は、反対方向に捩れることができる。従って、第1及び第2の面度数マップは、逆回転螺旋を備えるということができる。第1の面度数マップによって与えられる螺旋と第2の面度数マップによって与えられる螺旋は、対向する捩れ方向以外は同じとすることができる。第1及び第2の面度数マップが逆回転螺旋を備える本発明の実施形態は、交替する環状リングのダーツ盤状パターンを近似するレンズ度数マップを与えることができる。レンズ度数マップが第1及び第2の面度数マップの重ね合わせによって形成されることは当業者によって認められるであろう。従って、上述の製造のし易さという利点を各々が保持する第1の面度数マップと第2の度数マップとの組合せによって擬似ダーツ盤パターンが与えられることも認められるであろう。従って、そのような実施形態は、擬似ダーツ盤度数マップを有するレンズのより容易な旋盤を用いた製造を可能にすることができる。
【0052】
レンズ度数マップは、複数のセクションを含むことができる。複数のセクションのうちセクションは、遠見視力に対応する第1の度数又は近見視力に対応する第2の度数を与えることができる。これらのセクションは、第1及び第2の度数の間で半径方向及び/又は方位角方向に交替するようにレンズ上に配置することができる。従って、第1の度数は、0ジオプトリー(D)と-10Dの間である場合がある。第1の度数は、-0.25Dから-6.00Dである場合がある。本発明のレンズ内に設けられる第2の度数は、レンズの第1の度数よりも強くすることができ、例えば、第2の度数は、第1の度数よりも1Dから5Dだけ強くすることができる。第2の度数は、第1の度数よりも1Dから4Dだけ強くすることができる。第2の度数は、第1の度数よりも1Dから5Dだけ強くすることができる。第2の度数は、上述のセクションのうちの一部が+1Dの第2の度数を有することができ、一部のセクションが+2Dの第2の度数を有することができ、一部のセクションが+3Dの第2の度数を有することができるように変化することができ、例えば、第1の度数よりも強い度数を有する離散焦点ぼけ調節セクションを設ける時に発生する場合がある。第2の度数の変動は、同じアーム内で発生する場合があり、又は異なるアーム内で発生する場合がある。
【0053】
上述の部分の中心からの予め決められた半径方向距離で、螺旋は、その回転方向を変える場合がある。従って、レンズの第1のセクションは、時計回転螺旋を備え、レンズの第2のセクションは、反時計回転螺旋を含むことができる。そのようなセクションは、例えば、上述の部分の中心に中心が定められた同心リングとして形成することができる。異なる回転方向を有するレンズのセクションは、実質的に一定のレンズ度数の介在セクションによって分離することができる。レンズは、螺旋の回転方向に1よりも多い変動を備える(例えば、各方向変化が実質的に一定のレンズ度数の介在部分を有する)場合がある。
【0054】
多焦点レンズは、近視抑制レンズである場合があり、多焦点レンズは、遠近調節することができる眼球を有する個人での近視の進行を弱めるように構成することができる。多焦点レンズは、視力矯正を提供するのに適する場合があり、十分に遠近調節することができない眼球を有する個人(例えば、40歳又はそれよりも高齢の個人)に遠見視力矯正と近見視力矯正とを提供するように構成することができる。
【0055】
本発明によるコンタクトレンズは、着用者の眼球上に配置された時にレンズの向きを決定するためのバラストを含むことができる。そのようなバラストは、コンタクトレンズの周囲ゾーンによって設けることができる。コンタクトレンズは、所与の向きで着用者に特定の利点をもたらす場合がある。バラストをコンタクトレンズの中に組み込む本発明の実施形態は、着用者の眼球上に配置された時に、着用者の瞼のアクションの下で予め決められた静止角まで回転することになり、例えば、バラストは楔とすることができ、回転は、この楔上での瞼のアクションからもたらすことができる。コンタクトレンズ内にバラストを配置することにより、この静止角が着用者に特定の利点をもたらすレンズの向きに対応することを保証することが可能である。
【0056】
本発明は、第2の態様により、多焦点眼用レンズ(例えば、コンタクトレンズ)を製造する方法を提供する。本方法は、レンズ(例えば、コンタクトレンズ)、レンズのためのモールド(例えば、コンタクトレンズのためのモールド)、又はレンズのためのモールドを製造するためのインサート(例えば、コンタクトレンズのためのモールドに対するインサート)のうちの1つの第1の面を成形するように旋盤を作動させる段階を備える。第1の面は、第1の面度数マップを形成するように成形される。本方法は、レンズ、モールド、又はインサートの第2の面を成形するように旋盤を作動させる段階を更に含む。第2の面は、第2の面度数マップを形成するように成形される。第1及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成する。第1の面度数マップ、第2の面度数マップ、及び/又はレンズ度数マップは、レンズ、モールド、又はインサートの少なくとも一部分にわたる変動を有する螺旋を備える。
【0057】
第1の面は、面度数マップが上述の部分の中心から半径方向外向きと中心の周りの方位角方向との両方に実質的に周期的に変化するように成形することができる。半径方向変化の周期は、100ミクロンよりも大きい場合がある。方位角変動の周期は、6度よりも大きい場合がある。
【0058】
本方法は、レンズの少なくとも一部分の面を成形するように旋盤を作動させる段階を備える場合がある。これに代えて又はこれに加えて、本方法は、レンズのためのモールドの少なくとも一部分の面を成形するように旋盤を作動させる段階を含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、本方法は、レンズのためのモールドの製造のためのインサートの少なくとも一部分の面を成形するように旋盤を作動させる段階を含むことができる。旋盤による成形の対象物がレンズから除去されるほど、得られるレンズ上に再現されることになる特徴部の定義が少なくなることは当業者によって認められるであろう。従って、例えば、旋盤を用いてレンズの面を成形する段階は、レンズのためのモールドの面を、旋盤を用いて成形する時に達成することができることになるものよりも多い面特徴部を定義することを可能にする。
【0059】
本方法は、レンズ、モールド、又はインサートの上述の部分の第2の面を成形するように旋盤を作動させる段階を更に含む。第2の面は、少なくともこの部分にわたって変化して螺旋を備える第2の面度数マップを形成するように成形することができる。第2の面は、第2の面度数マップが上述の部分の中心から半径方向外向きと中心の周りの方位角方向との両方に実質的に周期的に変化するように成形することができる。半径方向変化の周期は、100ミクロンよりも大きい場合がある。方位角変動の周期は、6度よりも大きい場合がある。第2の面は、第2の面度数マップが第1の面の鏡像として変化するように成形することができる。第2の面は、第1の面度数マップによって形成される螺旋が第2の面度数マップによって形成されるものと反対の方向に捩れるように成形することができる。
【0060】
レンズはコンタクトレンズである場合がある。そのような実施形態では、レンズの上述の部分は、コンタクトレンズの光学ゾーンに対応することができる。そのような場合に、モールド又はモールドに対するインサートの光学ゾーンへの言及は、当該モールド又はインサートを用いて製造されたレンズの光学ゾーンに対応するモールドの部分を指すことは認められるであろう。
【0061】
本発明によるレンズ、例えば、コンタクトレンズは、キャストモールド成形工程、スピンキャストモールド成形工程、又は旋盤工程、又はその組合せによって形成することができる。当業者によって理解されるように、キャストモールド成形は、凹レンズ形成面を有する雌モールド部材と凸レンズ形成面を有する雄モールド部材との間にレンズ形成材料を配置することによるコンタクトレンズのモールド成形を指す。
【0062】
眼用レンズがコンタクトレンズを備える実施形態では、コンタクトレンズ材料は、コンタクトレンズの一部又はコンタクトレンズ全体として使用される時に視覚的に透明である(ハンドリング着色を含む場合はあるが)。コンタクトレンズ材料は、当業技術で理解されているように、ヒドロゲル材料、シリコーンヒドロゲル材料、又はシリコーンエラストマー材料である場合がある。言い換えれば、本発明のコンタクトレンズは、ヒドロゲル材料、シリコーンヒドロゲル材料、又はシリコーンエラストマー材料を備える、それで実質的に構成される、又はそれで構成することができる。コンタクトレンズの分野で理解されているように、ヒドロゲルは、平衡状態で水分を保持し、シリコーン含有化学物質が不在の材料である。シリコーンヒドロゲルは、シリコーン含有化学物質を含むヒドロゲルである。本明細書に使用するヒドロゲル材料及びシリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも10%から約90%(wt/wt)までの平衡水分含有量(EWC)を有する。ヒドロゲル材料又はシリコーンヒドロゲル材料は、約30%から約70%(wt/wt)までのEWCを有することができる。これらと比較して本明細書に使用するシリコーンエラストマー材料は、約0%から10%(wt/wt)未満までの水分含有量を有する。一般的に、本方法又は本発明の装置と共に使用されるシリコーンエラストマー材料は、0.1%から3%(wt/wt)までの水分含有量を有する。これに代えて、本発明のコンタクトレンズの例は、ポリメチルメタクリラート(PMMA)などのような剛性ガス透過性材料から製造することができる。
【0063】
本方法は、互いに組み付けられた第1のモールド部品と第2のモールド部品とを備えるモールド成形アセンブリ内でコンタクトレンズを形成する段階を含むことができる。ヒドロゲルレンズ又はシリコーンヒドロゲルレンズの場合に、レンズは、第1のモールド部品と第2のモールド部品の間に形成されたレンズ形キャビティ内に重合開始剤を含むヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲルのレンズ配合物を重合することによって製造することができる。シリコーンエラストマーレンズでは、レンズは、第1のモールド部品と第2のモールド部品の間に形成されたレンズ形キャビティ内で液体シリコーンエラストマー材料を硬化させる、加硫する、又はその反応をヒドロシリル化等によって触媒することによって製造することができる。コンタクトレンズ形キャビティを形成する各モールド部品の面は、凸、凹、平面、又はその組合せである場合がある。コンタクトレンズの形成後に、2つのモールド部品は、コンタクトレンズがこれらのモールド部品の一方の面に取り付けられたままに留まるように分離される。その結果、第1又は第2のモールド部品の面上にコンタクトレンズが提供される。一部の他の実施形態では、第1のレンズ部材を生成するのに使用されなかったモールド部品の面上にレンズを配置することを望ましいとすることができるが、これは、このモールド部品に対するこの部材の望ましい位置合わせを達成するための追加の段階を必要とする場合がある。その後に、これらのレンズは、取り付けられたモールド部品から取り外され、抽出及び水和等によって更に処理され、検査され、パッケージに梱包され、かつ滅菌することができる。
【0064】
図1は、本発明の実施形態によるコンタクトレンズ10を示している。コンタクトレンズ10は、光学ゾーン11と周囲ゾーン13を備える。光学ゾーン11は、コンタクトレンズの着用者がそれを通して見るレンズの部分を備える。光学ゾーン11は、着用者に視力矯正を提供するように設計されたレンズを形成する。周囲ゾーン13は、光学ゾーン11を取り囲み、着用者にいずれの視力矯正も施さない。周囲ゾーン13は、他の機能を実施することができる。例えば、周囲ゾーン13は、コンタクトレンズを着用者の眼球上に維持することを助けるように機能することができる。周囲ゾーン13は、着用者の眼球上でコンタクトレンズの予め決められた向きを維持するためのバラストを含むことができる。
【0065】
コンタクトレンズの2つの面は、第1及び第2の面度数マップを形成するように光学ゾーン11にわたって変化するように成形される。第1及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成する。従って、光学ゾーンは、第1の面度数マップと、第2の面度数マップと、レンズ度数マップとを提供するということができる。光学ゾーンの中に、度数マップは、1又は2以上の明確に異なる領域を含むことができる。図1に示す例示的コンタクトレンズは、中心領域15と、外側領域17と、移行領域19とを備える。外側領域17は、移行領域19を取り囲む。移行領域19は、中心領域15を取り囲む。中心領域15と外側領域17は、異なる視力矯正を提供するように異なるレンズ度数配置を設けることができる。移行領域19は、中心領域15と外側領域17の間に滑らかな移行を与えるように機能することができる。図1に示すコンタクトレンズは、単なる例として提示したものであり、本発明による他のコンタクトレンズは、より多いか又はより少ない領域を含むことができることは認められるであろう。例えば、本発明の実施形態による一部のコンタクトレンズは、移行領域を除外することができ、又は一部のコンタクトレンズは、光学ゾーン11を通して単一領域のみを含むことさえ可能である。本発明の実施形態による他のコンタクトレンズは、例えば、同心円として形成された追加の領域を含むことができる。
【0066】
本発明の第1の例示的実施形態により、多焦点コンタクトレンズを提供する。代替実施形態は、眼内レンズ又は眼鏡レンズを備えることができることは認められるであろう。多焦点コンタクトレンズは、第1の面と第2の面を備える。この例示的実施形態では、第1の面は、コンタクトレンズの外面を含み、第2の面は、コンタクトレンズの内面を備える。外面が着用者の瞼に隣接するコンタクトレンズの凸面であり、内面が着用者の眼球に隣接するコンタクトレンズの凹面であることは当業者によって認められるであろう。
【0067】
第1の面の一部分は、第1の面度数マップを形成するように成形される。レンズの対応する部分(例えば、対向する部分)は、第2の面度数マップを形成するように成形される。従って、レンズの一部分は、第1及び第2の面を含み、それぞれの第1及び第2の面度数マップを形成するということができる。この例示的実施形態では、この部分は、コンタクトレンズの光学ゾーンに対応する。従って、この例示的実施形態では、光学ゾーンの第1の面が第1の面度数マップを形成し、光学ゾーンの第2の面が第2の面度数マップを形成するということができる。第1の面度数マップは、全体コンタクトレンズ度数マップに対してこの面の形状によって与えられる修正を示すことは認められるであろう。従って、2つの面(内面及び外面)を有するコンタクトレンズは、2つの面度数マップを備え、その組合せは、全体コンタクトレンズ度数マップを決定する。
【0068】
図2は、第1の面度数マップ100を示している。第1の面度数マップ100は螺旋を形成する。螺旋は、下記でより詳細に説明するように上述の部分にわたって変化する。螺旋は、複数の(この例では4つの)アーム101を備える。アーム101の各々は、ピークアーム101aとトラフアーム101bを備える。ピークアーム101aは、レンズ度数の正の偏位を備えるアームであり、トラフアーム101bは、レンズ度数の負の偏位を備えるアームであることは認められるであろう。
【0069】
この螺旋は、複数の成分の和によって形成されると考えることができる。この場合に、複数の成分は、上述の部分の中心から外向きに延びる半径方向に第1の周期性成分と、この部分の中心の周りの方位角方向に第2の周期性成分とを備える。これに加えて、複数の成分は、この部分の中心からの半径方向距離に従って変化する度数オフセットを更に備える。従って、螺旋は、この部分にわたる変動を備えるということができる。この例示的実施形態では、この部分の中心は、レンズの光軸の上に位置する。レンズの光軸は、そのレンズの光学ゾーンの光軸に対応することは認められるであろう。
【0070】
この例示的実施形態では、オフセットは、この部分の内側部分での+0Dからこの部分の周囲での-3.0Dまでこの部分にわたって変化する。中心領域と外側領域とを含むこの例示的実施形態では、レンズの内側部分は、外側領域の最内側部分に対応することは認められるであろう。この例示的実施形態では、オフセットは線形に変化する。他の実施形態では、オフセットは、他の方法で、例えば、指数関数的及び/又は単調に変化することができる。周期性成分は、+0Dと+3.0Dの間で変化する。第1の面度数マップの所与の点での度数は、オフセットと周期性成分との組合せによって決定されることは認められるであろう。本発明の他の実施形態は、単なるオフセット以外の成分と、半径周期性成分及び方位角周期性成分とを含むことができる。そのような実施形態では、全体面度数マップは、これらの成分の全ての組合せによって形成されることは認められるであろう。従って、この例示的実施形態では、面度数マップ上の点の度数は、上述の部分にわたって-3.0Dから+3.0Dまで変化する。同様に、度数オフセットに起因して、度数の変動がこの部分上での位置に依存することにも注意されるであろう。具体的には、度数は、この部分の周囲で-3.0Dと+0Dの間で変化し、この部分の内側部分では+0Dと+3.0Dの間で変化する。従って、この例示的実施形態の多焦点コンタクトレンズは、この部分の中心での+0Dからこの部分の周囲での-3.0Dまでこの部分にわたって変化するベースレンズ度数と、周期性成分によって与えられる+3.0Dの追加度数とを有すると考えることができる。そのようなコンタクトレンズは、近視と遠視の両方に苦しむ患者に適切である場合がある。着用者が十分に遠近調節することができない時に、-3.0Dのベースレンズ度数は、着用者の遠見視力を矯正するように機能し、それに対して+3.0Dの追加度数は、着用者の近見視力を矯正するように機能する。提示した第1のレンズ度数及び第2のレンズ度数(従って、ベースレンズ度数及び追加度数)の特定の値が単なる例であり、所与の関連で使用される実際の値は、意図する着用者に対する必要性によって決定することになることは当業者によって認められるであろう。
【0071】
この例示的実施形態では、半径方向変化の周期は1.2mmであり、方位角変動の周期は90度である。しかし、代替実施形態では、半径方向変化及び/又は方位角変動の他の周期を使用することができることは認められるであろう。
【0072】
この特定の実施形態では、度数は、第1の面度数マップ100にわたって半径方向と方位角方向との両方に実質的に正弦波のように滑らかに変化する。レンズの上述の部分にわたって面度数マップを滑らかに変えることにより、コンタクトレンズの又はコンタクトレンズを製造するための装置(例えば、モールド又はモールドに対するインサート)の旋盤を用いるより容易な製造を可能にする。しかし、代替実施形態では、度数は、他の波形に従って変化することができる。例えば、度数は、半径方向及び方位角方向の一方又は両方に矩形波又は丸い矩形波として変化することができる。従って、代替実施形態では、度数は、レンズの上述の部分にわたって必ずしも滑らかに変化する必要はない。
【0073】
この例示的実施形態では、周期性成分の正及び負の偏位は、50%の負荷サイクルを有するということができるような等しい長さのものである。代替実施形態は、他の負荷サイクルを有する周期性成分を備える。従って、そのような実施形態では、正の偏位は、負の偏位とは異なる長さである場合がある。そのような実施形態は、例えば、第2のレンズ度数よりも大きい量の第1のレンズ度数を与えることによって周期性成分を特定のレンズ度数に向けてバイアスさせることができる。
【0074】
螺旋のアーム101の幅は、方位角変動の周期に対する半径方向変化の周期の比率によって少なくとも部分的に決定されることは認められるであろう。この例示的実施形態では、螺旋の各アーム101は、幅が約500ミクロンである。代替実施形態は、異なる幅を有するアーム101を組み込むことができることは認められるであろう。同様に、アーム101の幅は、その垂直な幅として定められることも認められるであろう。この実施形態では、螺旋のアームの全てが等しい幅のものであるが、他の実施形態では、螺旋の1又は2以上のアームは、螺旋の他のアームとは異なる幅である場合がある。
【0075】
同様に、この例示的実施形態では、第1及び第2の周期性成分の周期の各々は、上述の部分にわたって実質的に一定である。しかし、代替実施形態では、第1及び第2の周期性成分のうちの少なくとも一方の周期は、この部分の中心からの半径方向距離及びこの部分の中心の周りの方位角位置の一方又は両方に従って変化することができる。
【0076】
代替実施形態では、第2の周期性成分の周期は、180°よりも小さい。第2の周期性成分の周期が螺旋上のアーム101の個数を決定することは当業者によって認められるであろう。従って、そのような実施形態では、螺旋は少なくとも2つのアームを備える。従って、第2の周期性成分の周期のある一定の値、特に360度の単位分数であるものは、方位角不連続性を持たない面度数マップを与える点で特に有利とすることができることも認められるであろう。
【0077】
この例示的実施形態では、螺旋の各アーム101は、270度の角度(又は0.75回転)を通しで捩れる。本発明の代替実施形態では、螺旋の各アーム101は、4分の1回転(90度)と40回転の間を通して捩れることができる。この例示的実施形態では、螺旋のアームは、上述の部分にわたって一定の率で捩れる。従って、アームは、一定の捩れ率を有するということができる。他の実施形態では、アームの捩れ率は、この部分にわたって変化することができる。
【0078】
この特定の実施形態では、第1の面度数マップ100は、中心領域103と外側領域105を備える。中心領域103は、コンタクトレンズの光軸を直接に取り囲む。外側領域105は、中心領域103を取り囲む。中心領域103の度数は、この領域にわたって周期的に変化せず、例えば、実質的に一定である場合がある。外側領域105は、螺旋度数マップを備える。本発明の代替実施形態では、螺旋の各アーム101は、レンズの上述の部分の中心からこの部分の周囲まで延びる。従って、そのような実施形態は、明確に異なる中心領域と外側領域を含まない。
【0079】
上記で言及したように、この例示的実施形態では、レンズの上述の部分は、コンタクトレンズの光学ゾーンに対応する。この例示的実施形態では、中心領域103は、光学ゾーンの8mmの直径の25%に対応する2mmの直径を有する。着用者がそれを通して見る光学ゾーンは、図1に示す第1の面度数マップを提供する。更に、コンタクトレンズは、追加の焦点調節矯正又は視力矯正を施さず、着用者の眼球上の定位置にコンタクトレンズを維持することを助ける役割のみをもたらす取り囲み周囲ゾーンを含むことができる。中心領域の直径は、光学ゾーンの直径の25%よりも小さい場合がある。しかし、本発明の代替実施形態では、中心領域103の直径は、他の値を取ることができることは認められるであろう。同様に、光学ゾーンの直径に対する中心領域103の直径の比率も他の値を取ることができることも認められるであろう。例えば、中心領域103の直径は、光学ゾーンの直径の30%よりも小さい場合がある。
【0080】
中心領域103は、コンタクトレンズの着用者の最小瞳孔サイズよりも小さい場合がある。そのような実施形態は、着用者の瞳孔がその最小サイズまで収縮した時でさえも多焦点視力を維持する。中心領域103が最小瞳孔サイズよりも大きい場合に、着用者の瞳孔がその最小サイズまで収縮した時に、中心領域103のみが着用者の入射瞳にわたって位置決めされることになる。中心領域103の度数はこの領域にわたって螺旋として変化しないので、レンズは、中心領域103よりも小さいいずれの瞳孔サイズに対しても多焦点視力を提供することにはならない。
【0081】
有意なことに、この例示的実施形態では、中心領域103は、遠見視力に対応するレンズ度数を与える。一般的に、明るい条件は、屋外環境に対応する。従って、着用者の瞳孔は、一般的に屋内時よりも屋外時に大きく収縮する。更に、着用者は、一般的に屋内時よりも屋外時に遠見視力への高い必要性を有する。遠見視力に対応するレンズ度数を有する中心領域103を有することにより、着用者の瞳孔がその最小サイズまで収縮した時でさえも、コンタクトレンズが高鋭敏遠見視力を提供することを可能にすることができる。
【0082】
この例示的実施形態は、移行領域107を更に備える。移行領域107は、中心領域103を取り囲む。外側領域105は、移行領域107を取り囲む。移行領域107の度数は、中心領域103と外側領域105の間に滑らかな移行を与えるように変化する。そのような移行領域107は必須ではなく、従って、代替実施形態は、移行領域107を含まないことは認められるであろう。この関連での「滑らか」は、対応するレンズ曲率が旋盤によって再現されるほど十分に滑らかであるとして定められることは認められるであろう。この例示的実施形態では、移行領域は、幅が約300ミクロンである。しかし、他の幅の移行領域を使用することができることは認められるであろう。
【0083】
コンタクトレンズの上述の部分の第2の面(すなわち、この例示的実施形態のコンタクトレンズの光学ゾーンの第2の面)が第2の面度数マップを形成することは当業者によって認められるであろう。この例示的実施形態では、第2の面度数マップは、この部分にわたって周期的に変化せず、この部分にわたって実質的に一定の+0Dの度数を与える。従って、コンタクトレンズは、第1の面度数マップに適合するレンズ度数マップを有する。従って、コンタクトレンズは、着用者の瞳孔がサイズを変える時に遠見焦点調節に対する近見焦点調節の比率の小さい変化しか与えない。
【0084】
この例示的実施形態では、第1の面はコンタクトレンズの外面に対応し、第2の面はコンタクトレンズの内面に対応するが、代替実施形態では、第1の面が内面に対応することができ、第2の面が外面に対応することができることを当業者は認めるであろう。従って、実施形態では、内面は、螺旋を形成する面度数マップを備え、外面は、面度数マップにわたって実質的に一定の度数を有する面度数マップを備える。
【0085】
図3は、本発明の第2の例示的実施形態による第2の多焦点コンタクトレンズを示している。コンタクトレンズは、以下の特徴以外は第1の実施形態に関して説明したものと実質的に同じ第1の面度数マップ200を備える。第2の実施形態の第1の面度数マップ200は、度数オフセットを備えない。従って、第1の面度数マップは、上述の部分にわたって実質的に一定のベースレンズ度数を備えるということができる。更に、螺旋の大きさは、この部分の中心からの半径方向距離に関してこの部分にわたって変化する。すなわち、周期性成分の各々の大きさは、この部分の中心からの半径方向距離に従って変化する。この例示的実施形態では、周期性成分の大きさは、外側領域の最内側部分で最大であり、この部分の中心からの半径方向距離と共に線形に減衰する。従って、ここでもまた、螺旋は、この部分にわたる変動を備える。第2の面度数マップ200は、第1の実施形態と同じである。従って、レンズ度数マップは、第1の面度数マップ200に適合する。
【0086】
本発明の第3の例示的実施形態は、第3の多焦点コンタクトレンズを提供する。第3の多焦点コンタクトレンズは、以下の特徴を除いて第1の実施形態に関して説明したものと実質的に同じである。この場合に、度数オフセットは、第1の面度数マップに基づいて与えられず、代わりに第2の面度数マップによって与えられる。従って、第1の面度数マップは、上述の部分にわたる変動を含まない螺旋を備えるということができる。しかし、レンズ度数マップ(第1及び第2の面度数マップの組合せによって形成される)は、依然としてこの部分にわたる変動を有する螺旋を備え、この変動は、第2の面度数マップによって与えられる度数オフセットによって与えられる。従って、この実施形態のコンタクトレンズは、第1の実施形態のものに適合するレンズ度数マップを提供する。
【0087】
本発明の第4の例示的実施形態により、第4の多焦点コンタクトレンズを提供する。第4のコンタクトレンズの第1の面度数マップは、第2の実施形態のコンタクトレンズのものに等しい。この実施形態では、第2の面度数マップも、複数の成分の和によって形成された螺旋を備える。複数の成分は、上述の部分の中心から外向きに延びる半径方向に第1の周期性成分と、この部分の中心の周りの方位角方向に第2の周期性成分とを備える。第1の面の場合と同様に、螺旋は、ピークアームとトラフアームとを含む複数のアームを備える。この例示的実施形態では、第2の面度数マップの周期性成分は、第1の面度数マップと同じである。しかし、代替実施形態は、第1の面度数マップの周期のうちの一方又は両方とは異なる周期を第2の面度数マップ上に有する周期性成分を組み込むことができることは当業者によって認められるであろう。この例示的実施形態では、第2の面度数マップも、中心領域と外側領域と移行領域とを備える。
【0088】
この例示的実施形態では、第2の面度数マップによって形成される螺旋は、第1の面度数マップによって形成される螺旋とは反対の方向に捩れる。従って、この特定の実施形態では、第1の面度数マップによって与えられる螺旋と第2の面度数マップによって与えられる螺旋とは反対の捩れ方向を有する。この例示的実施形態では、第1の度数マップ上に形成される螺旋と第2の度数マップ上に形成される螺旋とは、対向する捩れ方向以外は実質的に同一である。コンタクトレンズの度数マップは、第1及び第2の面度数マップの重ね合わせによって決定される。
【0089】
図4は、コンタクトレンズのレンズ度数マップ300を示している。第1及び第2の面度数マップによって形成された2つの逆回転螺旋の重ね合わせは、交替する環状リングの擬似ダーツ盤パターンを近似するレンズ度数マップ300をもたらす。コンタクトレンズは、着用者の瞳孔が収縮する時に第2のレンズ度数に対する第1のレンズ度数の比率の単調な変動も与える。従って、コンタクトレンズは、可変光条件の存在下で改善された多焦点視力も与える。第1の面度数マップと第2の面度数マップとの両方が中心領域と外側領域と移行領域とを含むので、コンタクトレンズの全体レンズ度数マップ300も、中心領域303と、外側領域305と、移行領域307とを備える。
【0090】
本発明の第5の実施形態により、眼鏡レンズを提供する。眼鏡レンズは、本発明の第1の実施形態に関して説明したものと実質的に同じレンズ度数マップを備える。しかし、眼鏡レンズは、第1の実施形態のコンタクトレンズと同じ意味での光学ゾーンを含まないことは当業者によって認められるであろう。眼鏡レンズの場合に、一般的に、レンズの実質的に全てをレンズの光学ゾーンと考えることができる。コンタクトレンズの光学ゾーンに関して上記で定めたレンズプロファイルの特性をこの実施形態の眼鏡レンズの当該部分に関して同じく当て嵌めることができることは当業者によって更に認められるであろう。本発明の代替実施形態は、本発明の第2、第3、及び第4の実施形態に関して説明したものと実質的に同じ面度数マップを有する眼鏡レンズを備えることは認められるであろう。眼鏡レンズ700は、中心領域715と、外側領域717と、移行領域719とを備える。この例示的実施形態では、第1及び第2の面度数マップのうちの一方又は両方によって形成される螺旋は、眼鏡レンズ717の最も左の縁部まで延びない。最も左の縁部まで延びる代わりに、螺旋は破線701までしか延びない。螺旋は、破線701まで外向きに延びる時に移行領域719と外側領域717の間の境界から大きさが減衰する場合がある(例えば、線形に)。他の実施形態では、螺旋は、外側領域717にわたって実質的に一定の大きさを有することができる。そのような実施形態では、眼鏡レンズ700は、破線701に沿って延びる狭い混合領域を更に備えることができる。他の実施形態では、螺旋は、眼鏡レンズ700の縁部まで外向きに続くことは更に認められるであろう。この例示的実施形態では、中心領域715(及びそれを取り囲む移行領域719及び外側領域717)は、眼鏡レンズ700の幾何学中心には位置決めされず、眼鏡レンズ700の幾何学中心からオフセットされるということができる。そのようなオフセットは、中心領域を着用者が最も多くの場合にそれを通して注視する眼鏡レンズ700の部分に置くように機能することができることは当業者によって認められるであろう。
【0091】
本発明の第6の実施形態により、眼内レンズを提供する。眼内レンズは、本発明の第1の実施形態に関して説明したものと実質的に同じ螺旋度数を備える。本発明の代替実施形態は、本発明の第2、第3、及び第4の実施形態に関して説明したものと実質的に同じ面度数マップを有する眼内レンズを備えることは認められるであろう。
【0092】
図5は、本発明の第7の実施形態によるレンズ、例えば、コンタクトレンズを製造する方法500の段階を示す流れ図を示している。
【0093】
要素501で表す方法500の第1の段階は、レンズ、レンズのためのモールド、又はレンズのためのモールドを製造するためのインサートのうちの1つの一部分の第1の面を成形するように旋盤を作動させる段階を備える。第1の面は、レンズのこの部分(例えば、コンタクトレンズの光学ゾーンとすることができる)にわたって変化して第1の面度数マップを形成するように成形される。
【0094】
要素503で表す方法500の第2の段階は、上述の部分の第2の面を成形するように旋盤を作動させる段階を備える。すなわち、第2の段階は、レンズ、レンズのためのモールド、又はレンズのためのモールドを製造するためのインサートのうちの1つの対応する(例えば、対向する)部分の第2の面を成形するように旋盤を作動させる段階を備える。第2の面は、レンズの少なくともこの部分にわたって変化して第2の面度数マップを形成するように成形される。
【0095】
第1及び第2の面度数マップは、一緒にレンズ度数マップを形成する。第1の面度数マップ、第2の面度数マップ、又はレンズ度数マップは螺旋を備える。螺旋は、上述の部分にわたって変化する。
【0096】
第1の面度数マップは、螺旋を備える場合がある。これに代えて又はこれに加えて、第2の面度数マップが螺旋を備える場合がある。レンズ度数マップは、螺旋を備える場合がある(すなわち、螺旋は、第1及び第2の面度数マップの組合せによって形成される)。第2の面は、第1の面の鏡像として変化するように成形することができる。これに代えて、第2の面は、第1の面度数マップ上に形成される螺旋が第2の面度数マップ上に形成される螺旋と反対の方向に捩れるように成形することができる。
【0097】
第1の面(及び第2の段階503が実施された場合の第2の面)がレンズのためのモールド又はレンズのためのモールドに対するインサート上に含まれる時に、方法500は、要素505で表す任意的な第3の段階を含むことができる。第3の段階505は、レンズのためのモールドに対するインサートのモールドを用いてレンズを製造する段階を備える。
【0098】
本発明を特定の実施形態を参照して説明及び図示したが、本発明は、本明細書に具体的に例示しない多くの異なる変形に役立つことは当業者によって認められるであろう。ここで単なる例としてある一定の可能な変形を以下に説明する。
【0099】
第1の実施形態では、螺旋レンズ度数マップを有するレンズは、螺旋を備えるコンタクトレンズの第1の面度数マップと、面度数マップにわたって実質的に一定の度数を有するコンタクトレンズの第2の面度数マップとによって提供された。しかし、代替実施形態では、螺旋レンズ度数マップを有するレンズは、螺旋を備える第1の面度数マップ及び第2の面度数マップの各々によって提供される。そのような実施形態では、第2の面度数マップの周期性成分の周期及び位相は、第1の面度数マップと同じである。従って、第1及び第2の面度数マップは、互いの鏡像を含むということができる。従って、第1及び第2の面度数マップは、重ねられて単一螺旋度数マップを形成し、それによって螺旋レンズ度数マップを有するコンタクトレンズを形成する。
【0100】
第1、第2、第3、及び第4の実施形態の全てでは、コンタクトレンズのレンズ度数マップの各々は、実質的に一定の度数プロファイルを有する中心領域と、螺旋度数プロファイルを組み込む外側領域と、中心領域と外側領域の間に滑らかな移行を与える移行領域とを備える。しかし、一部の代替実施形態は、移行領域を組み込まない。更に別の代替実施形態は、明確に異なる中心領域と外側領域を組み込まない。これらを組み込む代わりに、そのような実施形態では、螺旋プロファイルは、レンズの上述の部分の中心からこの部分の半径周囲ゾーンまでの全てを延びる。
【0101】
第1の実施形態では、第1の面度数マップによって形成される螺旋は、反時計方向に捩れる。しかし、代替実施形態では、第1の面度数マップによって形成される螺旋は、時計方向に捩れる。第1及び第2の面度数マップ上に鏡像螺旋が形成される実施形態では、これらの螺旋は、時計方向又は反時計方向のいずれかに回転することができる。同様に、第4の実施形態では、第1の面度数マップ上に形成される螺旋は反時計方向に捩れ、第2の面度数マップ上に形成される螺旋は時計方向に捩れる。しかし、代替実施形態では、第1の面度数マップ上に形成される螺旋は時計方向に捩れ、第2の面度数マップ上に形成される螺旋は反時計方向に捩れる。
【0102】
本発明の一部の実施形態では、第1及び第2の面度数マップのうちの一方又は両方の上に形成される螺旋は、上述の部分の中心からの予め決められた半径方向距離でその回転方向を変える。例えば、螺旋は、この部分の中心と予め決められた半径方向距離との間で時計方向に及びこの予め決められた半径方向距離を超えると反時計方向に回転することができる。一部の実施形態では、レンズは、螺旋の回転方向に1よりも多い変化を組み込んでいる。従って、螺旋は、例えば、時計回転から反時計回転に変化し、その後に、再び時計回転に戻ることができる。レンズは、いずれの回数の螺旋回転方向変化も組み込むことができることは当業者によって認められるであろう。これらの方向変化の各々は、上述の部分の中心からのいずれの選択半径方向距離でも発生することができることも認められるであろう。従って、度数マップは、時計回転螺旋と反時計回転螺旋の間で交替する環状リングを備えることができる。
【0103】
一部の実施形態では、異なる回転方向を有する眼用レンズの複数の領域の間に度数マップが螺旋として変化しない領域が存在する。例えば、この領域は、実質的に一定の度数を有することができる。例えば、上述の部分の中心から第1の半径方向距離までレンズ(又は面)度数マップは時計回転螺旋として変化し、それに実質的に一定の度数の領域が続き、その後に反時計回転螺旋として変化することができる。従って、度数マップは、例えば、螺旋度数と実質的に一定の度数との間で交替する複数の環状リングを備えるように出現することができ、螺旋領域も、時計回転と反時計回転の間で交替する。
【0104】
同様に、一部の実施形態では、螺旋は、度数マップが螺旋として変化しない1又は2以上の領域、例えば、リングによって分断することができる。例えば、この領域は、実質的に一定の度数を有することができる。従って、例えば、度数マップは、螺旋度数と実質的に一定の度数の間で交替する環状リングを備えることができる。そのような実施形態では、螺旋は、各分断の間で回転方向を変えることができ、又は直前の回転方向で続行することができる。従って、螺旋は、レンズにわたって一定の回転方向を維持することができるが、実質的に一定のレンズ度数の領域によって分断される場合がある。
【0105】
本発明の実施形態をコンタクトレンズ、コンタクトレンズのためのモールド、又はコンタクトレンズのためのモールドに対するインサートを、旋盤を用いて製造する方法に関して上述したが、他の製造方法も可能であることは認められるであろう。特に、これらのモールド又はインサートは、付加製造技術を用いて、例えば、3D印刷によって製造することができる。
【0106】
以上の説明で公知の明白である又は予想可能な均等物を有する完全体又は要素に言及した場所では、そのような均等物は、それが個々に示されているかのように本明細書に組み込まれている。あらゆるそのような均等物を包含するものとして解釈される本発明の真の範囲を決定するための特許請求の範囲を参照されたい。同様に、好ましい、有利である、又は便利であるなどと説明する本発明の完全体又は特徴が任意的であり、独立請求項の範囲を限定しないことも読者によって認められるであろう。更に、そのような任意的な完全体又は特徴は、本発明の一部の実施形態では可能な利益である一方で他の実施形態では望ましくない場合もあり、従って、不在である場合があることも理解されるものとする。
【符号の説明】
【0107】
100 第1の面度数マップ
101a ピークアーム
101b トラフアーム
103 中心領域
105 外側領域
107 移行領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6