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特許7575486高速MCGリンク回復手順中のサイドリンク通信のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】高速MCGリンク回復手順中のサイドリンク通信のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/19 20180101AFI20241022BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241022BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20241022BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20241022BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W72/0457 110
H04W92/18
H04W4/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022567818
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2020088993
(87)【国際公開番号】W WO2021223159
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】523107950
【氏名又は名称】レノボ・(ベイジン)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】リアンハイ・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ハイミン・ワン
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/057760(WO,A1)
【文献】特表2019-531006(JP,A)
【文献】国際公開第2019/246382(WO,A1)
【文献】Ericsson,Fast MCG recovery via SCells of MCG,3GPP TSG RAN WG2#107 R2-1910273,フランス,3GPP,2019年08月15日
【文献】Huawei, HiSilicon,Considerations on RLM for NR V2X unicast,3GPP TSG RAN WG2#106 R2-1907419,フランス,3GPP,2019年05月02日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)によって実行される方法であって、
以下の条件、
PCellの物理層問題に関連付けられたタイマーの満了、
マスタセルグループ(MCG)のランダムアクセス問題、
MCG無線リンク制御(RLC)で再送信の最大数に達した、
のうちの1つが満たされる場合、MCGの無線リンク障害(RLF)を決定するステップと、
高速MCGリンク回復手順を開始し、前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマーを開始するステップであり、前記UEが、前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーを用いて構成され、サイドリンク通信を送信するように構成され、前記UEが、前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されているときにサイドリンク通信を実行する、開始するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記サイドリンク通信が、新無線(NR)技術を使用したNRサイドリンク通信、および発展型ユニバーサル地上波無線アクセス(E-UTRA)技術を使用したビークルツーエブリシング(V2X)サイドリンク通信を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されている場合、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてデータを送信するステップであり、サイドリンク通信の例外的なリソースプールが、無線リソース制御(RRC)再構成メッセージまたはシステム情報ブロック(SIB)シグナリングによって示される、送信するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されており、サイドリンク論理チャネルのサイドリンク構成済みグラントタイプ1が構成されていない場合、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいて、前記サイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信するステップであり、サイドリンク通信の例外的なリソースプールが、無線リソース制御(RRC)再構成メッセージまたはシステム情報ブロック(SIB)シグナリングによって示される、送信するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記UEが、RRC接続状態にあり、前記UEが、NRサイドリンク送信のためのネットワークスケジューリングを用いて構成されている、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
サイドリンク論理チャネルのサイドリンク構成済みグラントタイプ1を構成するステップと、
前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されている場合、サイドリンク構成済みグラントタイプ1を使用して前記サイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信するステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
サイドリンク論理チャネルのサイドリンク構成済みグラントタイプ1を構成するステップと、
前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されており、例外的なリソースプールが構成されていない場合、サイドリンク構成済みグラントタイプ1を使用して前記サイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信するステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
サイドリンク論理チャネルのサイドリンク構成済みグラントタイプ1を構成するステップと、
前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されており、例外的リソースプールが構成されている場合、前記例外的リソースプールを使用してランダム選択に基づいてデータを送信するステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
セカンダリノード(SN)を介してマスタノード(MN)に送信されるべきMCG障害情報メッセージにチャネルビジー率(CBR)測定の結果を含めるステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、チャネルビジー率(CBR)測定構成を維持するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、送信リソースに対してチャネルビジー率(CBR)測定を実行するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
報告がトリガされ、前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されている場合、前記CBR測定の結果をネットワークに報告するステップ
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、チャネルビジー率(CBR)測定を停止するステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
報告がトリガされ、前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されている場合、CBR測定の結果をネットワークに報告しないステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記UEがサイドリンク構成のみを含むRRC再構成メッセージを受信するとき、実行されている場合には前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーを停止しないステップ
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
マスタノードによって実行される方法であって、
ユーザ機器(UE)への高速マスタセルグループ(MCG)リンク回復手順に関連付けられたタイマーを構成するステップと、
前記UEへのサイドリンク通信のためのパラメータを構成するステップと
を含み、前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されているとき、前記サイドリンク通信が実行される、方法。
【請求項17】
前記UEからチャネルビジー率(CBR)測定の結果を含むMCG障害情報メッセージを受信するステップ
をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記高速MCGリンク回復手順に関連付けられた前記タイマーが実行されているとき、前記UEへのサイドリンク通信のための前記パラメータを再構成するステップ
をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、
受信回路と、
送信回路と、
前記非一時的コンピュータ可読媒体、前記受信回路、および前記送信回路に結合されたプロセッサとを含み、
前記コンピュータ実行可能命令が、前記プロセッサに、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を実施させる、
装置。
【請求項20】
コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、
受信回路と、
送信回路と、
前記非一時的コンピュータ可読媒体、前記受信回路、および前記送信回路に結合されたプロセッサとを含み、
前記コンピュータ実行可能命令が、前記プロセッサに、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法を実施させる、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ワイヤレス通信技術に関し、特に、高速マスタセルグループ(MCG)リンク回復手順中のサイドリンク通信のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
UEに対して無線リンク障害(RLF)が発生すると、UEは、高速MCGリンク回復手順を開始することができる。現在、高速MCGリンク回復手順中のサイドリンク通信をどのように扱うかは決定されておらず、構成済みグラントタイプ1をどのように使用するか、または高速MCGリンク回復手順中のチャネルビジー率(CBR)の測定および報告をどのように扱うかも決定されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、高速MCGリンク回復手順中の上記の未決定の問題を解決することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の一実施形態は、ユーザ機器(UE)によって実行される方法を提供し、方法は、以下の条件、PCellの物理層問題に関連付けられたタイマーの満了、マスタセルグループ(MCG)のランダムアクセス問題、MCG無線リンク制御(RLC)で再送信の最大数に達した、のうちの1つが満たされる場合、MCGの無線リンク障害(RLF)を決定するステップと、高速MCG回復手順を開始し、高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマーを開始するステップであり、UEが、高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマーを用いて構成され、サイドリンク通信を送信するように構成されている、開始するステップとを含む。
【0005】
本出願の別の実施形態は、マスタノードによって実行される方法を提供し、方法は、ユーザ機器(UE)への高速マスタセルグループ(MCG)リンク回復手順に関連付けられたタイマーを構成するステップと、UEへのサイドリンク通信のためのパラメータを構成するステップとを含む。
【0006】
本出願のまた別の実施形態は、装置を提供し、装置は、コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、受信回路と、送信回路と、非一時的コンピュータ可読媒体、受信回路、および送信回路に結合されたプロセッサとを含み、コンピュータ実行可能命令が、プロセッサに、ユーザ機器(UE)によって実行される方法を実施させ、方法は、以下の条件、PCellの物理層問題に関連付けられたタイマーの満了、マスタセルグループ(MCG)のランダムアクセス問題、MCG無線リンク制御(RLC)で再送信の最大数に達した、のうちの1つが満たされる場合、MCGの無線リンク障害(RLF)を決定するステップと、高速MCG回復手順を開始し、高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマーを開始するステップであり、UEが、高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマーで構成され、サイドリンク通信を送信するように構成されている、開始するステップとを含む。
【0007】
本出願のさらに別の実施形態は、装置を提供し、装置は、コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、受信回路と、送信回路と、非一時的コンピュータ可読媒体、受信回路、および送信回路に結合されたプロセッサとを含み、コンピュータ実行可能命令が、プロセッサに、マスタノードによって実行される方法を実施させ、方法は、ユーザ機器(UE)への高速マスタセルグループ(MCG)リンク回復手順に関連付けられたタイマーを構成するステップと、UEへのサイドリンク通信のためのパラメータを構成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、ワイヤレス通信システム100の概略図である。
図2(a)】本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順を伴わないRLFの例示的なタイムラインを示す図である。
図2(b)】本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順を伴うRLFの例示的なタイムラインを示す図である。
図3】本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順の例示的なフローチャートを示す図である。
図4】本出願のいくつかの実施形態による、例示的なV2X通信システム400を示す図である。
図5(a)】本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順中にサイドリンク通信を実行するフローチャートを示す図である。
図5(b)】本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順中にサイドリンク通信を実行する別のフローチャートを示す図である。
図5(c)】本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順中にサイドリンクにおいてCBR測定を実行するフローチャートを示す図である。
図6】本開示の好ましい実施形態による、ユーザ機器(UE)によって実行される方法を示す図である。
図7】本開示の好ましい実施形態による、マスタノード(MN)によって実行される方法を示す図である。
図8】本開示の実施形態による、UEのブロック図である。
図9】本開示の実施形態による、MNのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面の詳細な説明は、本出願の好ましい実施形態の説明として意図されており、本出願が実施され得る唯一の形態を表すことは意図されていない。本出願の趣旨および範囲内に包含されることが意図される異なる実施形態によって、同じまたは同等の機能が達成され得ることを理解されたい。
【0010】
次に、本出願のいくつかの実施形態について詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。理解を容易にするために、実施形態は、3GPP(登録商標) 5G、3GPP(登録商標) LTE Release 8など特定のネットワークアーキテクチャおよび新しいサービスシナリオ下で提供される。ネットワークアーキテクチャの発展および新しいサービスシナリオとともに、本出願におけるすべての実施形態は、同様の技術的問題にも適用可能であることが企図され、さらに、本出願に列挙された用語は、変わる可能性があるが、本出願の原理には影響しない。
【0011】
次世代無線アクセスネットワーク(NG-RAN)は、複数無線デュアルコネクティビティ(MR-DC)動作をサポートする。MR-DC動作では、複数のトランシーバを有するUEは、非理想的バックホールを介して接続された2つの異なるノードによって提供されるリソースを利用するように構成され得る。一方のノードは、NRアクセスを提供し、他方のノードは、進化型ユニバーサル移動通信システム(UMTS)地上無線アクセス(UTRA)(E-UTRA)またはNRアクセスのいずれかを提供し得る。一方のノードは、マスタノード(MN)として機能し、他方のノードは、セカンダリノード(SN)として機能し得る。MNおよびSNは、ネットワークインターフェース(たとえば、3GPP(登録商標)規格文書において指定されているXnインターフェース)を介して接続され、少なくともMNはコアネットワークに接続されている。
【0012】
たとえば、図1は、本出願のいくつかの実施形態による、ワイヤレス通信システム100の概略図を示す。
【0013】
図1に示すように、ワイヤレス通信システム100は、少なくとも1つのUE101と、少なくとも1つのMN102と、少なくとも1つのSN103とを含むデュアルコネクティビティシステムであり得る。特に、図1のデュアルコネクティビティシステム100は、説明のために、UE101、MN102、およびSN103を含む。特定の数のUE101、MN102、およびSN103が図1に示されているが、任意の数のUE101、MN102、およびSN103がワイヤレス通信システム100に含まれ得ることが企図される。
【0014】
図1を参照すると、UE101は、たとえば、3GPP(登録商標)規格文書において指定されているUuインターフェースなどのネットワークインターフェースを介してMN102およびSN103に接続することができる。MN102およびSN103は、たとえば、3GPP(登録商標)規格文書において指定されているXnインターフェースなどのネットワークインターフェースを介して互いに接続されてもよい。MN102は、ネットワークインターフェース(図1には図示せず)を介してコアネットワークに接続され得る。UE102は、MN102およびSN103によって提供されるリソースを利用して、データ送信を実行するように構成され得る。
【0015】
MN102は、コアネットワークへの制御プレーン接続を提供する無線アクセスノードを指し得る。本出願の一実施形態では、E-UTRA-NR DC(EN-DC)シナリオでは、MNはeNBであり得る。本出願の別の実施形態では、次世代E-UTRA-NR DC(NGEN-DC)シナリオでは、MNはng-eNBであり得る。本出願のまた別の実施形態では、NR-DCシナリオまたはNR-E-UTRA DC(NE-DC)シナリオでは、MNはgNBであり得る。
【0016】
MNは、MCGに関連付けられ得る。MCGは、MNに関連付けられたサービングセルのグループを指し得、プライマリセル(PCell)と、任意選択で1つまたは複数のセカンダリセル(SCell)とを含み得る。PCellは、UE101に制御プレーン接続を提供してもよい。
【0017】
SN103は、コアネットワークへの制御プレーン接続を伴わないが、UEに追加のリソースを提供する無線アクセスノードを指し得る。本出願の一実施形態では、EN-DCシナリオでは、SNはen-gNBであり得る。本出願の別の実施形態では、NE-DCシナリオでは、SNはng-eNBであり得る。本出願のまた別の実施形態では、NR-DCシナリオまたはNGEN-DCシナリオでは、SNはgNBであり得る。
【0018】
SNは、セカンダリセルグループ(SCG)に関連付けられ得る。SCGは、SNに関連付けられたサービングセルのグループを指し得、プライマリセカンダリセル(PSCell)と、任意選択で1つまたは複数のセカンダリセル(SCell)とを含み得る。MCGのPCellおよびSCGのPSCellは、スペシャルセル(SpCell)と呼ばれることもある。
【0019】
本出願のいくつかの実施形態では、UE101は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、スマートテレビジョン(たとえば、インターネットに接続されたテレビジョン)、セットトップボックス、ゲームコンソール、セキュリティシステム(セキュリティカメラを含む)、車載コンピュータ、ネットワークデバイス(たとえば、ルータ、スイッチ、およびモデム)などのコンピューティングデバイスを含み得る。本出願のいくつかの他の実施形態では、UE101は、ポータブルワイヤレス通信デバイス、スマートフォン、セルラー電話、折り畳み式携帯電話、加入者識別モジュールを有するデバイス、パーソナルコンピュータ、選択的呼受信回路、またはワイヤレスネットワーク上で通信信号を送受信することが可能な任意の他のデバイスを含み得る。本出願のいくつかの他の実施形態では、UE101は、スマートウォッチ、フィットネスバンド、光学ヘッドマウントディスプレイなどのウェアラブルデバイスを含み得る。さらに、UE101は、加入者ユニット、移動体、移動局、ユーザ、端末、移動端末、ワイヤレス端末、固定端末、加入者局、ユーザ端末、またはデバイスと呼ばれ得、または当技術分野で使用される他の用語を使用して説明され得る。
【0020】
3GPP(登録商標)リリース16では、MR-DCのために高速MCGリンク回復手順が導入されている。この手順の目的は、RRC_CONNECTED状態にあるUEが、再確立手順を実行することなくRRC接続を迅速に回復するために高速MCGリンク回復手順を開始することができるように、MCGにおけるRLFをUEに接続されたSNを介してMNに通知することである。
【0021】
図2(a)は、本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順を伴わないRLFの例示的なタイムラインを示す。
【0022】
UEは、まず、通常動作の段階でデータ送信を実行し、UEが無線問題を検出した場合、たとえば、UEのMAC層が物理層から連続するN310同期外れ指示を受信し、これは無線リンク問題が発生したことを意味する。次いで、UEは、たとえばタイマーT310などのタイマーを開始する。タイマーT310の期間中に、UEのMAC層が物理層から連続するN311同期指示を受信した場合、これは、UEがネットワークに正常に接続されたことを意味し、次いでUEはタイマーT310を停止する。タイマーT310が満了すると、UEは、再確立手順を実行し、セル選択のためのタイマーT311を開始する。タイマーT311の期間中に、UEがネットワークとの接続を再確立する場合、UEはタイマーT311を停止する。タイマーT311が満了すると、UEは、たとえばRRC_IDLEなど、アイドル状態に入る。タイマーT311が満了する前、UEは、RRC_CONNECTED状態にある。タイマーT311が満了すると、UEは、RRC_IDLE状態に入る。
【0023】
デュアルコネクティビティを伴う本開示では、UEは、以下の条件、i)PCellの物理層問題に関連付けられたタイマーの満了、ii)MCGのランダムアクセス問題、iii)MCG無線リンク制御(RLC)で再送信の最大数に達した、のうちの1つが満たされるとき、RLFを決定する。
【0024】
図2(b)は、本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順を伴うRLFの例示的なタイムラインを示す。
【0025】
図2(b)は、タイマーT316の期間がタイマーT310の期間とタイマーT311の期間との間に位置する点で図2(a)と異なる。すなわち、タイマーT310が満了すると、UEは、高速MCGリンク回復手順を開始する。具体的には、UEは、SN103を介してMCG障害情報をMN102に送信し、タイマーT316を開始する。UEがSNを介してMNからRRC再構成を受信した場合、UEはタイマーT316を停止し、これは、高速MCGリンク回復手順が終了することを意味する。UEがサイドリンク構成のみを含むRRC再構成メッセージを受信する場合、UEはタイマーT316を停止しない。UEは、サイドリンク構成およびレジュームT316の指示を含むRRC再構成メッセージを受信する場合、タイマーT316を停止しない。UEは、あるセルに対するハンドオーバコマンドを含むRRC再構成メッセージを受信した場合、セルに対するUEのハンドオーバを実行することができる。UEは、RRC解放メッセージを受信した場合、RRC_IDLE状態に入る。
【0026】
UEがRRC再構成を受信しない場合、タイマーT316が満了すると、UEは、再確立手順を実行し、セル選択のためのタイマーT311を開始する。T311が満了すると、UEは、たとえばRRC_IDLEなど、アイドル状態に入る。タイマーT311が満了する前、UEは、RRC_CONNECTED状態にあり、タイマーT311が満了した後、UEは、RRC_IDLE状態にある。
【0027】
図3は、本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順の例示的なフローチャートを示す。図3に示すように、UEのMCGでRLFが発生した場合、UEは、高速MCGリンク回復手順を開始(またはトリガ)し得る。たとえば、ステップ301において、UEは、RLFに関連付けられた障害情報メッセージをネットワークに、たとえば、SNを介してMNに送信し得る。本出願の一実施形態では、MCGにおけるRLFは、MCGのPCellで起こるRLFを指し得る。本出願の一実施形態では、ステップ301でRLFに関連付けられたメッセージは、3GPP(登録商標)規格文書において指定されているMCGFailureInformationメッセージであってもよい。UEは、RLFに関連付けられたメッセージをMNに直接送信しない場合がある。代わりに、UEは、RLFに関連付けられたメッセージをSNに送信し得、次いで、SNは、UEから受信されたメッセージをMNに転送し得る。
【0028】
たとえば、UEは、MCGにおいてRLFが発生したときにMCG障害情報を報告するために、スプリットシグナリング無線ベアラ(SRB)1またはSRB3を用いて構成され得る。スプリットSRB1が構成される場合、UEは、たとえば、SRB1を介した送信のために、MCGFailureInformationメッセージを下位レイヤにサブミットし得る。SRB3が構成される場合、UEは、SRB3を介した送信のために、MCGFailureInformationメッセージを下位レイヤにサブミットし得る。たとえば、MCGFailureInformationメッセージは、SRB3を介して送信するために、3GPP(登録商標)規格文書において指定されているNR RRCメッセージULInformationTransferMRDCに埋め込まれてもよい。
【0029】
MCGは、MCG障害指示を受信し、同期および解放メッセージの再構成のうちの1つがUEに送信される。
【0030】
MCGがMCG障害情報メッセージを受信した後、ステップ302において、MNは、応答メッセージをUEに送信し得る。ステップ302における応答メッセージは、セルに対するハンドオーバコマンドを含むRRC再構成メッセージまたはRRC解放メッセージであり得る。SNがMN応答(すなわち、RRCReconfigurationまたはRRCReleaseメッセージ)を(SRB3のために)カプセル化してUEに送信できるようにするために、新しいRRCメッセージ、すなわち、DLInformationTransferMRDCが導入される。MNは、応答メッセージをUEに直接送信しない場合がある。代わりに、MNは、応答メッセージをSNに送信し得、次いで、SNは、応答メッセージをUEに転送し得る。
【0031】
いくつかのMCG障害タイプがあり、i)UEが、T310の満了に起因してMCGFailureInformationメッセージの送信を開始する場合、UEは、failureTypeをt310-Expiryに設定する、ii)UEが、MCG MACからランダムアクセス問題指示を提供するためにMCGFailureInformationメッセージの送信を開始する場合、UEは、failureTypeをrandomAccessProblemに設定する、iii)UEが、MCG RLCから、再送信の最大数に達したという指示を提供するために、MCGFailureInformationメッセージの送信を開始する場合、UEは、failureTypeをrlc-MaxNumRetxに設定する。
【0032】
図4は、本出願のいくつかの実施形態による、例示的なV2X通信システム400を示す。
【0033】
図4に示すように、V2X通信システムは、1つのgNB402と、1つのng-eNB403と、いくつかのV2X UE、すなわち、UE401-A、UE401-B、およびUE401-Cとを含む。UE401-Aは、gNB402のカバレージ内にあり、UE401-Bは、ng-eNB403のカバレージ内にあり、UE401-Cは、gNB402およびng-eNB403のカバレージ外にある。PC5インターフェースを介したV2Xサービスのサポートは、NRサイドリンク通信および/またはV2Xサイドリンク通信によって提供され得る。NRサイドリンク通信は、ソース層2 IDと宛先層2 IDとのペアについて、ユニキャスト送信、グループキャスト送信、およびブロードキャスト送信の3つのタイプの送信モードのうちの1つをサポートすることができる。UEがNG-RANカバレージの内側またはNG-RANカバレージの外側のいずれかにあるとき、PC5インターフェースを介したサイドリンク送信および受信がサポートされる。
【0034】
gNB402のカバレージ内のカバレージにあるUE401-Aは、PC5インターフェースを介して、サイドリンクユニキャスト送信、サイドリンクグループキャスト送信、またはサイドリンクブロードキャスト送信を実行し得る。カバレージ外のUE401-Cはまた、PC5インターフェースを介してサイドリンク送信および受信を実行することができる。本出願のいくつかの他の実施形態によれば、V2X通信システムは、より多いまたはより少ないBSと、より多いまたはより少ないV2X UEとを含み得ることが企図される。さらに、図4に図示および示されるV2X UE(Tx UE、Rx UEなどを表す)の名前は、たとえば、UE401c、UE404f、およびUE408gなど、異なり得ることが企図される。
【0035】
加えて、図4に示すような各V2X UEは、携帯電話の形状で示されているが、V2X通信システムは、本出願のいくつかの他の実施形態に従って、任意のタイプのUE(たとえば、ロードマップデバイス、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、IoT(モノのインターネット)デバイス、または他のタイプのデバイス)を含み得ることが企図される。
【0036】
図4のいくつかの実施形態によれば、UE401-AはTx UEとして機能し、UE401-BおよびUE401-CはRx UEとして機能する。UE401-Aは、サイドリンク、たとえば、3GPP(登録商標) TS 23.303において定義されるようなPC5インターフェースを介して、UE401-BまたはUE401-CとV2Xメッセージを交換し得る。UE401-Aは、サイドリンクユニキャスト、サイドリンクグループキャスト、またはサイドリンクブロードキャストを介して、ビークルツーエブリシング(V2X)通信システム内の他のUEに情報またはデータを送信し得る。サイドリンク通信は、NRサイドリンク通信と、V2Xサイドリンク通信とを含む。たとえば、UE401-Aは、NRサイドリンクユニキャストセッションでUE401-Cにデータを送信し得、UE401-Bは、V2XサイドリンクユニキャストセッションでUE401-Cにデータを送信し得る。UE401-Aは、サイドリンクグループキャスト送信セッションによって、グループキャストグループ内のUE401-BおよびUE401-Cにデータを送信し得る。
【0037】
サイドリンク通信は、NRサイドリンク通信と、V2Xサイドリンク通信とを含む。図4は、TS 38.311において指定されているNRサイドリンク通信を示す。V2Xサイドリンク通信は、TS 36.311において指定されている。
【0038】
V2X UEは、異なるモードで動作し得る。サイドリンク通信のために、少なくとも2つのサイドリンクリソース割振りモードが定義され、モードは、以下の通りである。モード1:サイドリンク送信のためにUEによって使用されるサイドリンクリソースを基地局がスケジューリングする、およびモード2:UEは、基地局またはネットワークによって構成されたサイドリンクリソース、または事前構成されたサイドリンクリソース内でサイドリンク送信リソースを決定し、モード2では、基地局は、UEのためのサイドリンクリソースを動的にスケジューリングせず、UEは、測定結果および感知結果に基づいて、リソースプール内のサイドリンク送信リソースおよびタイミングを決定する。図4では、UE101-AおよびUE101-Bはモード1、UE101-Cはモード2であり、本開示では、モード1の送信UEを表すUE101-Aと、モード2の別の送信UEを表すUE101-Cとを使用する。
【0039】
モード1では、UEは、データを送信するために、RRC_CONNECTED状態である必要がある。基地局は、NRサイドリンク通信のための物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を介してUEにリソースを動的にスケジューリングすることができる。加えて、基地局は、2つのタイプの構成されたサイドリンクグラントを使用して、UEにサイドリンクリソースを割り振ることができる。
・タイプ1:RRCは、NRサイドリンク通信のためにのみ、構成されたサイドリンクグラントを直接提供する
・タイプ2:RRCは、構成されたサイドリンクグラントの周期を定義し、PDCCHは、構成されたサイドリンクグラントをシグナリングし、アクティブ化するか、または非アクティブ化することができる。
【0040】
NRサイドリンク通信を実行するUEでは、サイドリンク送信のために構成されたキャリア上で一度にアクティブ化される2つ以上の構成されたサイドリンクグラントが存在し得る。
【0041】
NR Uu上でビーム障害または物理層問題が発生すると、UEは、構成されたサイドリンクグラントタイプ1を使用し続けることができる。ハンドオーバ中、UEは、ハンドオーバコマンドを介して構成されたサイドリンクグラントが提供され得る。提供されると、UEは、ハンドオーバコマンドの受信時に、構成されたサイドリンクグラントタイプ1をアクティブ化する。
【0042】
UEがモード2であるとき、UEは、BSのカバレージ内またはカバレージ外、すなわち、NG-RANカバレージ内またはNG-RANカバレージ外のいずれかでデータを送信することができる。UEは、BSのカバレージ内にある間はシステム情報または専用シグナリングによって、またはBSのカバレージ外にある間は事前構成によって提供されるリソースのプールから、サイドリンクグラントを自律的に選択する。
【0043】
NRサイドリンク通信の場合、リソースプールは、少なくともこのプールが、たとえばNR SIBの再利用有効エリアなどSIBによって提供されるとき、UEが有効エリア内で移動しながらリソースの新しいプールを取得する必要がない所与の有効エリアについて提供され得る。UEは、TS 38.331において指定されている例外的な送信リソースプールの構成に基づいて、サイドリンク送信のためのランダム選択を伴うUE自律リソース選択を一時的に使用することが許可される。
【0044】
図5(a)は、本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順中にサイドリンク通信を実行するフローチャートを示す。
【0045】
ステップ501において、UE1は、マスタノードである基地局にアクセスし、サイドリンク通信に関するシステム情報を受信する。ステップ502において、接続されたUE1は、再構成メッセージを受信し、再構成メッセージは、以下のパラメータ、すなわち、タイマーT316の周期値、サイドリンク通信の例外的プール、および構成済みグラントタイプ1のうちの1つまたは複数を含み得る。さらに、UEは、DCとしてSNを追加するように構成され得、UEは、スケジュールされたリソース割振り(sl-ScheduledConfig)を用いて構成されてもよい。
【0046】
ステップ503において、UE1は、UE2とのサイドリンク通信を実行し、特に、UE1は、モード1リソース、たとえば、構成済みグラントタイプ1を介して、サイドリンクを使用して、UE2にデータを送信し、またはUE2からデータを受信し得る。
【0047】
ステップ504において、UE1のMCGリンクにおいて、RLFが発生する。たとえば、タイマーT310が満了する。次いで、ステップ505において、UE1は、高速MCGリンク回復を開始し、たとえばタイマーT316などのタイマーを開始し、たとえばMCGfailureinformationメッセージなど、障害タイプを含むMCG障害を報告するメッセージを、SNを介してMNに送信する。
【0048】
ステップ506において、UE1は、システム情報に含まれる例外的プールからランダムに選択されたリソースを使用して、UE2とのサイドリンク通信を行う。特に、UE1は、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてサイドリンク制御情報および対応するデータを送信するように、たとえば物理層などの下位層を構成する。ステップ506は、2つのオプションのうちのいずれか1つによって実施され得る。オプション1では、UE1への専用シグナリングまたはブロードキャストシグナリングによって例外的プールが構成される場合、UE1は、タイマーT316が実行されているとき、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてサイドリンク制御情報および対応するデータを送信するように、たとえば物理層などの下位層を構成するものとする。オプション2では、例外的プールが専用シグナリングまたはブロードキャストシグナリングによって構成され、構成済みグラントタイプ1が構成されていない場合、UE1は、タイマーT316が実行されているとき、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてサイドリンク制御情報および対応するデータを送信するように、たとえば物理層などの下位層を構成するものとする。すなわち、構成済みグラントタイプ1は、UE1によって使用される例外的プールよりも優先される。
【0049】
ステップ507において、タイマーT316の期間内に、基地局、たとえばMNは、SNを介してUEに再構成メッセージを送信する。ステップ508において、UE1は、ネットワークから再構成メッセージを受信し、次いで、タイマーT316を停止する。ハンドオーバコマンドは、再構成メッセージに含まれ得る。UEが、あるセルに対するハンドオーバコマンドを含むRRC再構成メッセージを受信した場合、UE1は、構成されたセルに対するハンドオーバを実行することができる。ステップ509において、UE1は、ハンドオーバを実行し、タイマーT304を開始する。UE1は、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてサイドリンク制御情報および対応するデータを送信するように、たとえば物理層などの下位層を構成することによって、サイドリンク通信を実行し得る。
【0050】
ステップ507'および508'は、ステップ507~509の代替条件である。ステップ507'において、UE1は、タイマーT316の期間内にネットワークから再構成メッセージを受信せず、UE1は、再確立手順を実行し、タイマーT311を開始する。ステップ508'において、UE1は、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてサイドリンク制御情報および対応するデータを送信するように、たとえば物理層などの下位層を構成し得る。
【0051】
図5(b)は、本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順中にサイドリンク通信を実行する別のフローチャートを示す。具体的には、図5(b)は、高速MCGリンク回復手順中の構成済みグラントタイプ1に焦点を当てている。
【0052】
ステップ511~515およびステップ517~519、ならびにステップ517'および518'は、図5(a)のステップ501~505およびステップ507~509、ならびにステップ507'および508'と同様であり、詳細はここでは省略する。
【0053】
ステップ516において、UE1は、構成済みグラントタイプ1に基づいて、サイドリンク制御情報および対応するデータを送信し得る。ステップ516は、3つのオプションのうちのいずれか1つによって実施され得る。オプション1では、UE1は、タイマーT316が実行されているとき、この論理チャネルに構成された構成済みグラントタイプ1に基づいて、論理チャネルに関連付けられたサイドリンク制御情報および対応するデータを送信する。代替的に、オプション2では、UE1は、タイマーT316が実行されている間、構成済みSLグラントタイプ1を使用することができない。言い換えれば、構成済みSLグラントタイプ1は、タイマーT316が開始した後に使用することができない。オプション3では、UE1は、タイマーT316が実行されており、例外的プールが構成されていないとき、構成済みグラントタイプ1に基づいて、サイドリンク制御情報および対応するデータを送信する。すなわち、例外的プールは、UE1によって使用される構成済みグラントタイプ1よりも優先される。
【0054】
図5(c)は、本出願のいくつかの実施形態による、高速MCGリンク回復手順中にサイドリンクにおいてCBR測定を実行するフローチャートを示す。
【0055】
ネットワークは、サイドリンクにおいてCBR測定を実行するようにUEを構成することができる。測定構成は、以下のパラメータ、すなわち、測定対象、報告構成、および測定IDを含む。
【0056】
NRサイドリンク通信のCBR測定では、測定対象は、NRサイドリンク通信の単一キャリア周波数での送信リソースプールのセットである。V2Xサイドリンク通信のCBR測定では、測定対象は、V2Xサイドリンク通信のキャリア周波数での送信リソースプールのセットである。
【0057】
1つまたは複数の報告構成は、1つの測定対象に関連付けられるように構成される。報告構成のリストが構成され得る。報告構成は、少なくとも報告基準を含む。この基準によって、UEは測定報告を送るようにトリガされる。これは、定期的なまたは単一のイベントの記述のいずれかであり得る。
【0058】
1つの測定IDは、1つの測定対象を1つの報告構成にリンクする。測定IDのリストがUEに構成され得る。一般に、UEは、CBR測定の構成を受信すると、測定を行う。イベント条件が満たされると、UEは、CBR測定結果をgNBに報告する。
【0059】
ステップ521において、UE1は、マスタノードである基地局にアクセスし、サイドリンク通信に関するシステム情報を受信する。システム情報は、モード2リソース、たとえばsl-TxPoolSelectedNormalを含むことができ、または、関連する周波数の例外的プール、たとえばsl-TxPoolExceptionaを含み得る。
【0060】
ステップ522において、接続されたUE1は、再構成メッセージを受信し、再構成メッセージは、以下のパラメータ、すなわち、タイマーT316の周期値、モード2リソース、たとえばsl-TxPoolSelectedNormal、モード1リソース、たとえばsl-TxPoolScheduling、およびサイドリンク通信の例外的プールのうちの1つまたは複数を含み得る。さらに、UEは、DCとしてSNを追加するように構成され得る。
【0061】
ステップ523において、UE1は、UE2とのサイドリンク通信を実行し、特に、UE1は、モード1リソース、たとえば、構成済みグラントタイプ1を介して、またはモード2リソースを介して、サイドリンクを使用して、UE2にデータを送信し、またはUE2からデータを受信する。UE1が使用するモードは、MNからの構成に依存し、UE1は、モード1リソース、モード2リソース、または例外的プールからのリソースでCBR測定を実行する。
【0062】
ステップ524において、UE1のMCGリンクにおいて、RLFが発生する。たとえば、タイマーT310が満了する。次いで、ステップ525において、UE1は、次いで、たとえばタイマーT316などのタイマーを開始し、たとえばMCGfailureinformationメッセージなど、障害タイプおよびCBR測定結果を含むMCG障害を報告するメッセージを、SNを介してMNに送信する。
【0063】
ステップ525は、2つのオプションによって実施され得る。オプション1では、UE1は、高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、CBR測定を継続する。次いで、UEは、T316が実行されているとき、SNを介してMNにCBR測定結果を報告する。現在の測定構成によれば、UEは、CBR測定結果を、たとえばMCGfailureinformationメッセージなどのMCG障害情報メッセージに含める。高速MCGリンク回復手順がトリガされると、UEは、CBR測定構成を維持し、構成に基づいてCBR測定を継続する。
【0064】
オプション2では、UE1は、高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、CBR測定を継続する。しかしながら、UE1は、T316が実行されているとき、測定報告の条件が満たされていても、CBR測定結果をネットワークに報告しない。代替的に、UE1は、高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、CBR測定を実行しない場合がある。すなわち、ステップ525は省略される。
【0065】
ステップ526~528は、図5(a)のステップ507~509と同様であり、ステップ526'および527'は、図5(a)のステップ527'および528'と同様であり、詳細はここでは省略する。
【0066】
MNは、UEからSNを介してCBR測定結果を受信した後、サイドリンク通信のためにリソースプールを再構成し得る。すなわち、UEは、サイドリンク構成のみを含むRRC再構成を受信し、UE1は、サイドリンク構成のみを含むRRC再構成を受信するとき、タイマーT316を停止しない。
【0067】
図6は、本開示の好ましい実施形態による、UEによって実行される方法600を示す。
【0068】
ステップ601において、UEは、以下の条件、i)PCellの物理層問題に関連付けられたタイマーの満了、たとえば、タイマーT310の満了、ii)マスタセルグループ(MCG)のランダムアクセス問題、iii)MCG RLCで再送信の最大数に達した、のうちの1つが満たされる場合、MCGのRLFを決定する。ステップ602において、UEは、高速MCGリンク回復手順を開始し、高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマー、たとえばタイマーT316を開始する。UEは、タイマーT316を用いて構成され、また、サイドリンク通信を送信するように構成される。本開示におけるサイドリンク通信は、NR技術を使用したNRサイドリンク通信と、E-UTRA技術を使用したV2Xサイドリンク通信とを含む。
【0069】
サイドリンク通信の例外的なリソースプールは、RRC再構成メッセージまたはSIBシグナリングによって示される。タイマーT316が実行されている場合、UEは、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてデータを送信してもよく、すなわち、UEは、例外的プールからランダムに選択されたリソースを使用してサイドリンク通信を実行する。代替的に、タイマーT316が実行されており、サイドリンク論理チャネルのサイドリンク構成済みグラントタイプ1が構成されていない場合、UEは、例外的なリソースプールを使用してランダム選択に基づいてサイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信し得る。この実施形態では、UEは、RRC_CONNECTED状態であり、NRサイドリンク送信のためのネットワークスケジューリングを用いて構成されている。
【0070】
別の実施形態では、UEは、サイドリンク論理チャネルのために、モード1リソース、たとえば、サイドリンク構成済みグラントタイプ1を構成してもよい。UEは、タイマーT316が実行されている場合、サイドリンク構成許可タイプ1を使用してサイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信し得る。代替的に、UEは、タイマーT316が実行されており、例外的なリソースプールが構成されていない場合、サイドリンク構成許可タイプ1を使用してサイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信し得る。または、UEは、タイマーT316が実行されており、例外的なリソースプールが構成されている場合、サイドリンク構成許可タイプ1を使用してサイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信し得る。すなわち、UEは、例外的なリソースプールが構成されているかどうかにかかわらず、タイマーT316が実行されている場合、サイドリンク構成済みグラントタイプ1を使用してサイドリンク論理チャネルに関連付けられたデータを送信する。
【0071】
UEは、たとえばMCGFailureInformationメッセージなどMCG障害情報メッセージにCBR測定の結果を含め、次いで、SNを介してMNにその結果を送信し得る。一実施形態では、高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、CBR測定構成が維持される。UEは、高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、送信リソースに対してCBR測定を実行し得る。報告がトリガされ、タイマーT316が実行されている場合、UEは、CBR測定の結果をネットワークに報告する。
【0072】
別の実施形態では、UEは、高速MCGリンク回復手順がトリガされた後、CBR測定を停止する。代替的に、UEは、報告がトリガされ、タイマーT316が実行されている場合、CBR測定の結果をネットワークに報告しない。すなわち、UEは、CBR測定を依然として実行し得るが、結果を報告しないか、またはUEは、CBR測定を実行せず、結果を報告しない。
【0073】
さらに別の実施形態では、UEは、UEがサイドリンク構成のみを含むRRC再構成メッセージを受信するとき、タイマーT316が実行されている場合、タイマーT316を停止しない。
【0074】
図7は、本開示の好ましい実施形態による、BSによって実行される方法700を示す。
【0075】
ステップ701において、MNは、UEにタイマーT316を構成し、ステップ702において、MNは、UEへのサイドリンク通信のためのパラメータをさらに構成する。
【0076】
MNは、UEからCBR測定の結果を含むMCG障害情報メッセージを受信し得る。MNは、次いで、タイマーT316が実行されているとき、UEへのサイドリンク通信のためのパラメータを再構成する。
【0077】
図8は、本開示の実施形態による、UEのブロック図を示す。UE101は、受信回路と、プロセッサと、送信回路とを含み得る。一実施形態では、UE101は、コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、受信回路と、送信回路と、非一時的コンピュータ可読媒体、受信回路、および送信回路に結合されたプロセッサとを含み得る。コンピュータ実行可能命令は、受信回路、送信回路、およびプロセッサを用いて方法(たとえば、図6の方法)を実施するようにプログラムされ得る。すなわち、コンピュータ実行可能命令を実行すると、プロセッサは、以下の条件、i)PCellの物理層問題に関連付けられたタイマーの満了、たとえば、タイマーT310の満了、ii)マスタセルグループ(MCG)のランダムアクセス問題、iii)MCG RLCで再送信の最大数に達した、のうちの1つが満たされる場合、MCGのRLFを決定し得る。次いで、プロセッサは、高速MCGリンク回復手順を開始し、高速MCGリンク回復手順に関連付けられたタイマー、たとえばタイマーT316を開始する。
【0078】
図9は、本開示の実施形態による、MNのブロック図を示す。MN102は、受信回路と、プロセッサと、送信回路とを含み得る。一実施形態では、MNは、コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、受信回路と、送信回路と、非一時的コンピュータ可読媒体、受信回路、および送信回路に結合されたプロセッサとを含み得る。コンピュータ実行可能命令は、受信回路、送信回路、およびプロセッサを用いて方法(たとえば、図7の方法)を実施するようにプログラムされ得る。すなわち、コンピュータ実行可能命令を実行すると、プロセッサは、タイマーT316をUEに構成し得、UEへのサイドリンク通信のためのパラメータをさらに構成する。
【0079】
本開示の方法は、プログラムされたプロセッサ上で実施することができる。しかしながら、コントローラ、フローチャート、およびモジュールは、汎用または専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラおよび周辺集積回路素子、集積回路、ディスクリート素子回路などのハードウェア電子回路または論理回路、プログラマブル論理デバイスなどに実装されてもよい。一般に、図に示されるフローチャートを実装することが可能な有限状態機械を有する任意のデバイスが、本開示の処理機能を実装するために使用され得る。
【0080】
本開示をその特定の実施形態で説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであることは明らかである。たとえば、実施形態の様々な構成要素は、他の実施形態において交換、追加、または置換されてもよい。また、各図に示される要素のすべてが、開示される実施形態の動作のために必要なわけではない。たとえば、開示された実施形態の当業者は、独立請求項の要素を単に使用することによって、本開示の教示を作成および使用することができるであろう。したがって、本明細書に記載の本開示の実施形態は、限定ではなく例示を意図するものである。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得る。
【0081】
本開示では、「第1の」、「第2の」などの関係用語は、ある実体または行為を別の実体または行為から区別するためにのみ使用され得、そのような実体または行為間の任意の実際のそのような関係または順序を必ずしも要求または暗示することはない。用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、またはその任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図する。「a」、「an」などで始まる要素は、それ以上の制約がなければ、要素を含むプロセス、方法、物品、または装置における追加の同一要素の存在を排除しない。また、「別の」という用語は、少なくとも2番目またはそれ以上として定義される。本明細書で使用される「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、「含む(comprising)」と定義される。
【符号の説明】
【0082】
100 ワイヤレス通信システム
101 UE
102 MN
103 SN
400 V2X通信システム
401 UE
402 gNB
403 ng-eNB
600 方法
700 方法
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6
図7
図8
図9