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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20241022BHJP
   H01Q 5/371 20150101ALI20241022BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q5/371
H01Q1/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022570270
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2021094334
(87)【国際公開番号】W WO2021233285
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202010429809.1
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】付 星
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-199309(JP,A)
【文献】特開平09-214244(JP,A)
【文献】特開2015-111763(JP,A)
【文献】特開2013-223199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H01Q 5/371
H01Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナモジュールを含む電子機器であって、
前記アンテナモジュールは、複数のアンテナブランチを含み、
前記複数のアンテナブランチ間に共通給電構造が設置され、
前記複数のアンテナブランチは、第一のグループのアンテナブランチと第二のグループのアンテナブランチに分けられ、
前記第一のグループのアンテナブランチと前記第二のグループのアンテナブランチは、異なる通信バンドにそれぞれ対応し、
前記共通給電構造と前記第一のグループのアンテナブランチは、前記電子機器のケースの内側面の非金属領域に設置され、前記第二のグループのアンテナブランチは、前記電子機器のケースの外面の非金属領域に設置され、
前記複数のアンテナブランチが逆Fアンテナである場合、前記共通給電構造には、整合回路に接続される給電端と、アース端が設置され、又は、前記複数のアンテナブランチがモノポールMonopoleアンテナタイプである場合、前記共通給電構造には、整合回路に接続される給電端が設置され、
前記整合回路には、異なるアンテナブランチにそれぞれ対応する複数の整合サブ回路が含まれ、使用される必要のあるアンテナブランチに応じて異なる整合サブ回路を切り替えることができる、電子機器。
【請求項2】
前記複数のアンテナブランチのうちの各アンテナブランチの物理的長さは、異なる通信バンドにそれぞれ対応する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第一のグループのアンテナブランチと前記第二のグループのアンテナブランチとの間の最短距離を有する二つのアンテナブランチの第一の方向のピッチは、0.5mm以上であり、前記第一の方向は、前記第一のグループのアンテナブランチに対する前記第二のグループのアンテナブランチの正投影方向である、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記最短距離を有する二つのアンテナブランチに対応する通信バンド間のバンド差は、予め設定される閾値よりも小さく、前記最短距離を有する二つのアンテナブランチの第二の方向のピッチは、0.5mm以上であり、前記第二の方向は、前記第一の方向に垂直である、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記複数のアンテナブランチに対応する通信バンドは、
N1バンドと、
N41バンドと、
N78バンドと、
N79バンドとのうちの少なくとも一つを含む、請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数のアンテナブランチに対応する通信バンドは、
WIFI 2.4Gバンドと、
WIFI 5Gバンドとのうちの少なくとも一つを含む、請求項2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第二のグループのアンテナブランチのうちの一つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちのいずれか一つのバンドに対応し、前記第一のグループのアンテナブランチのうちの三つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちの前記いずれか一つのバンドを除いた他の三つのバンドにそれぞれ対応する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第一のグループのアンテナブランチのうちの二つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちのいずれか二つのバンドに対応し、前記第二のグループのアンテナブランチのうちの二つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちの前記いずれか二つのバンドを除いた他の二つのバンドにそれぞれ対応する、請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年5月20日に中国で提出された中国特許出願番号No.202010429809.1の優先権を主張しており、同出願の内容のすべては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、通信技術分野に関し、具体的に、電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
第4世代移動通信技術(4th generation mobile communication technology、4G)と第5世代移動通信技術(5th generation mobile networks、5th generation wireless systems、又は5th-Generation、5G)において、多入力多出力(multiple-in multiple-out、MIMO)を採用してレートを向上させ、電子機器に複数のアンテナがあることが要求される。従来の4Gバンドに加え、Sub 6Gバンド、即ち5G通信バンド、例えばN77、N78、N79、N1、N41などのバンドを追加し、また、電子機器の高画面占有率及び薄型化を実現するために、アンテナの設計空間を絶えず縮小することが要求され、アンテナレイアウトとアンテナ案の設計に対してより大きな課題をもたらす。
【0004】
従来のアンテナ設計案について、既存のサイズと究極の外観が変わらない前提で、多周波Sub 6Gアンテナが設計され、アンテナ空間の制限のため、各アンテナのピッチが近すぎて、アンテナの作動周波数が近くなると、放射アーム間が相互に影響しやすく、同調しにくくなり、電子機器の通信効果に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例の目的は、従来の電子機器の内部空間が制限され、異なるバンド間のアンテナが干渉し合うことで、電子機器の通信効果が比較的に悪いという問題を解決することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術問題を解決するために、本出願は、以下のように実現される。
【0007】
第一の態様によれば、本出願の実施例は、アンテナモジュールを提供する。このアンテナモジュールは、複数のアンテナブランチを含み、
前記複数のアンテナブランチ間に共通給電構造が設置され、
前記複数のアンテナブランチは、第一のグループのアンテナブランチと第二のグループのアンテナブランチに分けられ、
前記第一のグループのアンテナブランチと前記第二のグループのアンテナブランチは、異なる通信バンドにそれぞれ対応し、
前記共通給電構造と前記第一のグループのアンテナブランチは、前記電子機器のケースの内側面の非金属領域に設置され、前記第二のグループのアンテナブランチは、前記電子機器のケースの外面の非金属領域に設置される。
【発明の効果】
【0008】
本出願の実施例では、第二のグループのアンテナブランチを第一のグループのアンテナブランチと面一にならない位置に折り返すことによって、アンテナブランチの立体配置を形成し、空間多重化の方式を採用して限られた空間内でマルチ通信バンドのカバーを実現し、異なるバンド間のアンテナの相互干渉を回避し、電子機器の通信効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本出願の実施例による電子機器のアンテナモジュールの構造概略図のその一である。
図2a】本出願の実施例による電子機器のアンテナモジュールの構造概略図のその二である。
図2b】本出願の実施例による電子機器のアンテナモジュールの構造概略図のその三である。
図2c】本出願の実施例による電子機器のアンテナモジュールの構造概略図のその四である。
図3】本出願の実施例によるアンテナリターンロス概略図である。
図4】本出願の実施例によるアンテナ効率概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述し、明らかに、記述された実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0011】
本出願の明細書と特許請求の範囲における用語である「第一の」、「第二の」などは、類似している対象を区別するために用いられ、特定の順序又は前後手順を記述するためのものではない。理解すべきこととして、このように使用されるデータは、適切な場合に交換可能であり、それにより本出願の実施例は、ここで図示又は記述されたもの以外の順序で実施されることが可能である。なお、明細書及び請求項における「及び/又は」は、接続される対象の少なくとも一つを表し、文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0012】
以下では、図面を結び付けながら、具体的な実施例及びその応用シーンを用いて本出願の実施例によるアンテナモジュールを詳細に説明する。
【0013】
本発明の実施例は、電子機器を提供する。図1を参照すると、この電子機器のアンテナモジュールは、複数のアンテナブランチ2を含み、
複数のアンテナブランチ2間に共通給電構造1が設置され、
複数のアンテナブランチ2は、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22に分けられ、
共通給電構造1と第一のグループのアンテナブランチ21は、電子機器のケースの内側面の非金属領域に設置され、第二のグループのアンテナブランチ22は、電子機器のケースの外面の非金属領域に設置され、即ち第二のグループのアンテナブランチ22は、第一のグループのアンテナブランチ21と面一にならないように折り返される。説明すべきこととして、電子機器のケースの一部の領域は、アンテナの引き回しのために非金属材質を採用し、非金属材質を採用することにより、アンテナブランチの放射性能への影響を回避することができる。電子機器のケースのもう一部の領域は、電子機器の構造強度と使用時の手触りを向上させるために金属材質を採用してもよい。
【0014】
第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22は、異なる通信バンドにそれぞれ対応する。
【0015】
本出願の実施例では、共通給電構造1から複数のアンテナブランチ2が外向きに延び、この複数のアンテナブランチ2は、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22に分けられる。ここで、第一のグループのアンテナブランチ21は、一つ又は複数のアンテナブランチを含んでもよく、第二のグループのアンテナブランチ22は、一つ又は複数のアンテナブランチを含んでもよく、即ち本出願の実施例は、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22のうちのアンテナブランチの数に対して具体的に限定しない。
【0016】
第二のグループのアンテナブランチ22は、第一のグループのアンテナブランチ21と面一にならない位置に折り返されることにより、空間多重化を実現するとともに、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22は、異なる通信バンドにそれぞれ対応することにより、コンパクトな空間で5Gをカバーする複数のバンド、例えばN1(2110MHz-2170MHz)、N41(2515MHz-2675MHz)、N78(3400MHz-3600MHz)、N79(4800MHz-5000MHz)などのバンドを実現する。
【0017】
本出願の実施例では、第二のグループのアンテナブランチを第一のグループのアンテナブランチと面一にならない位置に折り返すことによって、アンテナブランチの立体配置を形成し、空間多重化の方式を採用して限られた空間内でマルチ通信バンドのカバーを実現し、異なるバンド間のアンテナの相互干渉を回避し、電子機器の通信効果を向上させる。
【0018】
実際の応用シーンでは、上記アンテナモジュールを電子機器に応用し、例えば、携帯電話、タブレットパソコン、スマートウェアラブルデバイスなどに応用する。第二のグループのアンテナブランチ22が第一のグループのアンテナブランチ21と面一にならない位置に折り返されることを実現するために、第一のグループのアンテナブランチ21を電子機器のケースの内側面、例えば携帯電話のブラケット内側面に設置し、第二のグループのアンテナブランチ22を電子機器のケースの外面、例えば携帯電話の外観面に設置することを採用してもよい。即ち、一部のブランチがブラケットの内側表面に引き回され、他の部分が折り返し又は打ち抜きによってブラケットの外観面に引き回されることによって、アンテナモジュールの空間多重化を実現することができる。
【0019】
理解できるように、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22がそれぞれ電子機器のケースの内側面と電子機器のケースの外面に設置されるので、第一のグループのアンテナブランチ21に含まれる一つ又は複数のアンテナブランチは、第一の平面又は円弧面(電子機器のケースの内側面の形状により決められる)に位置し、第二のグループのアンテナブランチ22に含まれる一つ又は複数のアンテナブランチは、第二の平面又は円弧面(電子機器のケースの外面の形状により決められる)に位置することになる。
【0020】
説明すべきこととして、上記アンテナモジュールは、異なるプロセスを採用して実現されてもよい。例えば、フレキシブル回路板(Flexible Printed Circuit、FPC)プロセスを採用し、即ち共通給電構造1と複数のアンテナブランチ2は、FPCである。また例えば、レーザー直接成形(Laser Direct Structuring、LDS)プロセスを採用し、即ち共通給電構造1と複数のアンテナブランチ2は、LDSアンテナである。
【0021】
さらに、上記複数のアンテナブランチ2のうちの各アンテナブランチの物理的長さは、異なる通信バンドにそれぞれ対応する。
【0022】
本出願の実施例では、アンテナブランチ2の物理的長さを設定することによって、アンテナモジュールにおける各アンテナブランチ2が、異なる通信バンドにそれぞれ対応するようにすることによって、より多くのバンドのカバーを実現する。
【0023】
上記複数のアンテナブランチに対応する通信バンドは、N1バンドと、N41バンドと、N78バンドと、N79バンドとのうちの少なくとも一つを含む。
【0024】
具体的には、図1に示されたシーンにおいて、第一のグループのアンテナブランチ21は、第一のアンテナブランチ201、第二のアンテナブランチ202、第三のアンテナブランチ203との3つのアンテナブランチを含み、第二のグループのアンテナブランチ22は、第四のアンテナブランチ204との1つのアンテナブランチを含む。
【0025】
上記第一のアンテナブランチ201の物理的長さは、N1バンドに対応し、第二のアンテナブランチ202の物理的長さは、N41バンドに対応し、第三のアンテナブランチ203の物理的長さは、N79バンドに対応し、第四のアンテナブランチ204の物理的長さは、N78バンドに対応し、共通給電構造1、第一のアンテナブランチ201、第二のアンテナブランチ202、第三のアンテナブランチ203は、すべて電子機器のケースの内側面にあり、第四のアンテナブランチ204は、折り返しによって、電子機器のケースの外面に引き回され、空間多重化によって、コンパクトな空間で複数のバンドをカバーすることを実現する。
【0026】
説明すべきこととして、各アンテナブランチと通信バンドとの間の対応関係は、固定されず、当業者は、実際の製品需要に応じて、各アンテナブランチの物理的長さを調整することによって、各アンテナブランチに対応する通信バンドを調整することができる。
【0027】
選択的に、上記複数のアンテナブランチに対応する通信バンドは、WIFI 2.4Gバンドと、WIFI 5Gバンドとのうちの少なくとも一つを含む。
【0028】
本出願の実施例では、各アンテナブランチは、ワイヤレスフィディリティ(Wireless Fidelity、WIFI)MIMOアンテナとして使用されてもよく、これにより、WIFI 2.4G、WIFI 5Gなどのバンドをサポートする。
【0029】
さらに、いくつかの実施の形態では、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22との間の最短距離を有する二つのアンテナブランチの第一の方向のピッチは、0.5mm以上であり、この第一の方向は、第一のグループのアンテナブランチ21に対する第二のグループのアンテナブランチ22の正投影方向である。
【0030】
本出願の実施例では、空間多重化を実現するとともに、面一ではないアンテナブランチ間の干渉を回避するために、面一ではないアンテナブランチ間のピッチを制限する必要がある。
【0031】
上記第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22との間の最短距離を有する二つのアンテナブランチとは、第一のグループのアンテナブランチ21に属する一つのアンテナブランチと、第二のグループのアンテナブランチ22に属するもう一つのアンテナブランチであり、この両方間の直線距離が最も短い。具体的には、図1に示されるシーンにおいて、最短距離を有する二つのアンテナブランチは、それぞれ第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204であり、第三のアンテナブランチ203に対する第四のアンテナブランチ204の正投影方向のピッチを0.5mm以上に確保する必要があり、距離が遠くなるほど、折り返し領域の引き回しブランチ(即ち第四のアンテナブランチ204)により実現されるバンド性能が高くなる。さらに、いくつかの電子機器の究極の外観要求を考慮すると、選択的に、第一の方向のピッチDは、0.5mm≦D≦1.5mmを満たす。
【0032】
説明すべきこととして、電子機器のハウジングの形状に応じて、アンテナブランチの位置する平面が傾いている可能性がある。その上で、ケース内外に位置する2つのアンテナブランチが互いに平行且つ正対している場合、2つのアンテナブランチの正投影方向のピッチは、即ち両方間の距離であり、2つのアンテナブランチ間の距離を0.5mm以上に直接制限することができ、ケース内外に位置する2つのアンテナブランチが互いに平行且つ正対しておらず、両方間の距離が正投影方向のピッチと等しくない場合、2つのアンテナブランチの正投影方向のピッチを0.5mm以上に制限する必要がある。
【0033】
さらに、いくつかの実施の形態では、最短距離を有する二つのアンテナブランチに対応する通信バンド間のバンド差は、予め設定される閾値よりも小さく、この最短距離を有する二つのアンテナブランチの第二の方向のピッチは、0.5mm以上であり、この第二の方向は、第一の方向に垂直である。
【0034】
上記第二の方向は、第一の方向に垂直であり、即ち第二の方向は、第一のグループのアンテナブランチ21に対する第二のグループのアンテナブランチ22の正投影方向に垂直であり、この第二の方向は、水平方向と呼ばれてもよい。
【0035】
本出願の実施例では、正投影方向のピッチを制限する必要がある他に、水平方向のピッチを制限する必要もある。具体的には、図1に示されるシーンにおいて、最短距離を有する二つのアンテナブランチは、それぞれ第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204であり、第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204の水平方向のピッチを制限する場合、第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204に対応する通信バンドを考慮する必要がある。第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204に対応する通信バンド間のバンド差が予め設定される閾値よりも小さい場合、この第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204の第二の方向のピッチは、0.5mm以上である。
【0036】
上記通信バンド間のバンド差が予め設定される閾値よりも小さいか否かは、最短距離を有する二つのアンテナブランチに対応する通信バンドが近接バンドに属するか否かを判断するためのものであり、この予め設定される閾値は、実際の製品需要に応じて設定することができ、本出願の実施例は、この予め設定される閾値の具体的な数値に対して限定しない。
【0037】
例えば、ケースの内側面に引き回される第三のアンテナブランチ203がN78バンドに対応し、ケース外観面に折り返されて引き回される第四のアンテナブランチ204がN41バンドに対応し、N78バンドとN41バンドが近接するバンドである場合、第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204との水平ピッチは、二つのアンテナブランチが相互に影響することを回避し、二つのバンド性能が悪くなることを防止するために、できるだけ離す必要がある(0.5mm以上である必要がある)。また例えば、第三のアンテナブランチ203がN78バンドに対応し、ケース外観面に折り返されて引き回される第四のアンテナブランチ204がN1バンドに対応し、N78バンドとN1バンドが近接しないバンドである場合、第三のアンテナブランチ203と第四のアンテナブランチ204との水平ピッチは、限定しなくてもよく、即ち裏返された引き回し領域が重なることが許容され、第三のアンテナブランチ203を第四のアンテナブランチ204の正投影領域内で引き回すことができる。
【0038】
図2aと図2bを参照すると、図には、図1に示される立体アンテナモジュールを平面アンテナパターンに展開した構造が示された。ここで、破線20は、第一のグループのアンテナブランチ21と第二のグループのアンテナブランチ22を区画するために用いられ、第二のグループのアンテナブランチ22のうちの一つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちのいずれか一つのバンドに対応し、第一のグループのアンテナブランチ21のうちの三つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちの他の三つのバンドにそれぞれ対応する。具体的には、破線以上の部分は、電子機器のケースの内側面に引き回される第一のグループのアンテナブランチ21と共通給電構造1であり、破線以下の部分は、電子機器のケースの外面に引き回される第二のグループのアンテナブランチ22であり、複数のアンテナブランチ2のタイプによって、異なる接続端を共通給電構造1に設置する必要がある。
【0039】
具体的には、図2aを参照すると、複数のアンテナブランチ2が逆Fアンテナ(Inverted F Antenna、IFA)タイプである場合、共通給電構造1には、給電端11とアース端12が設置され、この給電端11は、使用される通信バンドを切り替えるための整合回路に接続されるために用いられる。
【0040】
本出願の実施例では、各アンテナブランチをIFAタイプにするために、共通給電構造1に給電端11とアース端12を設置する必要があり、ここで、給電端11は、整合回路を外部接続し、この整合回路は、コンデンサ及び/又はインダクタンスを含む従来の回路を採用してもよく、この整合回路には、異なるアンテナブランチにそれぞれ対応する複数の整合サブ回路が含まれ、使用される必要のあるアンテナブランチに応じて異なる整合サブ回路を切り替え、本出願の実施例は、整合回路の具体的な構造に対して限定しない。このようにして、異なる通信バンドを使用する必要がある場合、整合回路によって異なるアンテナブランチを切り替えて使用し、Sub 6Gアンテナの多周波カバー需要を実現することができる。
【0041】
図2bを参照すると、複数のアンテナブランチがモノポール(Monopole)タイプである場合、共通給電構造1には、給電端11が設置され、この給電端11は、複数のアンテナブランチのうちの作動状態にあるアンテナブランチに切り替えるための整合回路に接続されるために用いられる。
【0042】
本出願の実施例では、各アンテナブランチをMonopoleタイプにするために、共通給電構造1に給電端11を設置するだけでよく、ここで、給電端11は、複数のアンテナブランチのうちの作動状態にあるアンテナブランチに切り替えるための整合回路を外部接続し、この整合回路は、コンデンサ及び/又はインダクタンスを含む従来の回路を採用してもよく、この整合回路には、異なるアンテナブランチにそれぞれ対応する複数の整合サブ回路が含まれ、使用される必要のあるアンテナブランチに応じて異なる整合サブ回路を切り替え、本出願の実施例は、整合回路の具体的な構造に対して限定しない。このようにして、異なる通信バンドを使用する必要がある場合、整合回路によって異なるアンテナブランチを切り替えて使用し、Sub 6Gアンテナの多周波カバー需要を実現することができる。
【0043】
図2cを参照すると、図には、別のアンテナモジュールの平面構造が示された。このアンテナモジュールと図1から図2bに示すアンテナモジュールとの違いは、このアンテナモジュールの第一のグループのアンテナブランチと第二のグループのアンテナブランチに含まれるアンテナブランチの数が同じであり、いずれも2つであり、第一のグループのアンテナブランチのうちの二つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちのいずれか二つのバンドに対応し、第二のグループのアンテナブランチのうちの二つのアンテナブランチは、N1バンドとN41バンドとN78バンドとN79バンドのうちの他の二つのバンドにそれぞれ対応する点にある。図2cにおける各アンテナブランチがMonopoleタイプであるため、共通給電構造に給電端11が設置され、他の構造特徴及びアンテナブランチ間のピッチ制限については、図1から図2bに示すアンテナモジュールにおける該当する記述を参照すればよく、ここでこれ以上説明しない。
【0044】
図3を参照すると、図には、図1におけるアンテナモジュールを採用するアンテナリターンロスが示された。ここで、破線は、リターンロスの概略曲線であり、実線は、スミスチャートである。
【0045】
図4を参照すると、図には、図1におけるアンテナモジュールを採用する場合のアンテナ効率が示された。ここで、破線は、放射効率(Radiation Efficiency)であり、実線は、全放射効率(Total radiation Efficiency)である。
【0046】
図3図4を結びつけると、本出願の実施例のアンテナモジュールを採用することにより、アンテナリターンロスを効果的に低減し、アンテナ効率を向上させることができることが分かる。
【0047】
本出願の実施例は、図1から図2cのいずれか一つに示すアンテナモジュールを含む電子機器をさらに提供した。
【0048】
具体的には、アンテナモジュールの共通給電構造と第一のグループのアンテナブランチは、電子機器のケースの内側面に設置され、アンテナモジュールの第二のグループのアンテナブランチは、電子機器のケースの外面に設置される。
【0049】
説明すべきこととして、本明細書では、用語である「含む」、「包含」又はその他の任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものであり、それによって一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素を含むだけではなく、明確にリストアップされていない他の要素も含み、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素も含む。それ以上の制限がない場合に、「……を1つ含む」という文章で限定された要素について、この要素を含むプロセス、方法、物品又は装置には他の同じ要素も存在することが排除されるものではない。なお、指摘すべきこととして、本出願の実施の形態における方法と装置の範囲は、図示又は討論された順序で機能を実行することに限らず、関わる機能に基づいて基本的に同時である方式又は逆の順序で機能を実行することを含んでもよく、例えば記述されたものとは異なる手順で記述された方法を実行することができるとともに、様々なステップを追加、省略又は組み合わせることができる。また、いくつかの例を参照しての記述された特徴は、他の例で組み合わせられることができる。
【0050】

以上は、図面を結び付けながら、本出願の実施例を記述したが、本出願は、上記の具体的な実施の形態に限らない。上記の具体的な実施の形態は、例示的なものに過ぎず、制限性のあるものではない。当業者は、本出願の示唆で、本出願の趣旨と請求項が保護する範囲から逸脱しない限り、多くの形式を行うこともでき、いずれも本出願の保護範囲に属する。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4