(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】プラズマ生成装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241022BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20241022BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241022BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C16/505
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2022570386
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021008137
(87)【国際公開番号】W WO2022005150
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0080596
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517396331
【氏名又は名称】エンツーコア テクノロジー,インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】(Jukdong)77 Jukdong-ro, Yuseong-gu Daejeon 34127 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オム セフン
(72)【発明者】
【氏名】イ ユンソン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヨンフン
(72)【発明者】
【氏名】パク セホン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-204672(JP,A)
【文献】特開2013-191554(JP,A)
【文献】特開2004-158247(JP,A)
【文献】特開2017-174730(JP,A)
【文献】特許第6401839(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第111312574(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
C23C 16/505
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ生成装置において、
プラズマの生成空間を提供するチャンバーと、
前記チャンバーの周辺に配置され、第1電源と接続されて前記チャンバー内に誘導電界を形成するアンテナモジュールと、
前記チャンバーの周辺に配置され、第2電源と接続されて前記プラズマの生成を補助する電極と、
前記プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するセンサーと、
前記第1電源及び前記第2電源を制御するコントローラーと、を含み、
前記コントローラーは、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加し、前記RF電圧の印加による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得し、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御するが、
前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加しない、プラズマ生成装置。
【請求項2】
前記所定の条件により、前記コントローラーは、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されなかったことを指示する場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されたことを指示する場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しない、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項3】
前記センサーによって取得される前記センシング情報は、前記第1電源を介して前記負荷に供給される電力を示す、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力未満であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以上であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しない、請求項3に記載のプラズマ生成装置。
【請求項5】
前記第1電源は、直流電源(DC power source)と、前記直流電源の直流電力(DC power)をRF電力(RF power)に変換するインバータと、を含み、前記センサーは、前記直流電源と前記インバータとの間に位置し、前記直流電源によって出力される第1電圧及び前記直流電源から出力される第1電流を取得し、前記コントローラーは、前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて決定された前記負荷に供給される電力に基づいて前記電極に前記パルス電圧を印加する、請求項3に記載のプラズマ生成装置。
【請求項6】
前記センサーは、前記アンテナモジュールに流れる第2電流に基づいて前記センシング情報を取得する、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しない、請求項6に記載のプラズマ生成装置。
【請求項8】
前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1パルス電圧を印加して前記電極が第1電力を提供するようにし、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第2パルス電圧を印加して前記電極が前記第1電力より大きい第2電力を提供するようにする、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項9】
前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有する第1パルス電圧を印加し、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記第1電圧値より大きい第2電圧値を有する第2パルス電圧を印加する、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項10】
前記コントローラーは、前記第2時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に第1周期で前記パルス電圧を印加し、前記第2時点から第1時間後である第3時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記第1周期より小さい第2周期で高電圧パルスを印加する、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項11】
前記コントローラーは、前記第1時点から前記第1電源を介して前記負荷に第1大きさを有するRF電圧を印加し、前記第1時点以降で前記第2時点以前である第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第1大きさより大きい第2大きさを有するRF電圧を前記負荷に印加する、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項12】
前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有する前記パルス電圧を印加し、前記第2時点より遅れた第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記パルス電圧の印加を中断する、請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項13】
プラズマの生成空間を提供するチャンバーと、チャンバーの周辺に配置され、第1電源と接続されて前記チャンバー内に誘導電界を形成するアンテナモジュールと、前記チャンバーの周辺に配置され、第2電源と接続されて前記プラズマの生成を補助する電極と、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するセンサーと、前記第1電源及び前記第2電源を制御するコントローラーと、を含むプラズマ生成装置の制御方法において、
前記コントローラーが、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加するステップと、
前記コントローラーが、前記RF電圧の印加による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得するステップと、
前記コントローラーが、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御するステップと、を含み、
前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、
前記コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加せず、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加することを含む、プラズマ生成装置の制御方法。
【請求項14】
前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記コントローラーが、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されなかったことを指示する場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されたことを指示する場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことを含む、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【請求項15】
前記センサーによって取得される前記センシング情報は、前記第1電源を介して前記負荷に供給される電力を示し、
前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力未満であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以上であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことを含む、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【請求項16】
前記センサーによって取得される前記センシング情報は、前記第1電源を介して前記負荷に供給される電力を示し、
前記第1電源は、直流電源(DC power source)と、前記直流電源の直流電力(DC power)をRF電力(RF power)に変換するインバータと、を含み、前記センサーは、前記直流電源と前記インバータとの間に位置し、前記直流電源によって出力される第1電圧及び前記直流電源から出力される第1電流を取得し、
前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記コントローラーが前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて決定された前記負荷に供給される電力に基づいて前記第2電源を制御する、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【請求項17】
前記センサーは、前記アンテナモジュールに流れる第2電流に基づいて前記センシング情報を取得し、
前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記コントローラーが前記センシング情報を取得し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことをさらに含む、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【請求項18】
前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、
前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1パルス電圧を印加することによって前記電極が第1電力を提供するようにし、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第2パルス電圧を印加することによって前記電極が前記第1電力より大きい第2電力を提供するようにすることを含む、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【請求項19】
前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、
前記コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有する第1パルス電圧を印加し、前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記第1パルス電圧を印加しないステップと、
前記コントローラーが、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記第1電圧値より大きい第2電圧値を有する第2パルス電圧を印加するステップをさらに含む、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【請求項20】
前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、
前記コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有するパルス電圧を印加するステップと、
前記コントローラーが、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記パルス電圧の印加を中断するステップと、を含む、請求項13に記載のプラズマ生成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、プラズマ生成装置及びその制御方法に関し、よりプラズマの初期放電を補助するプラズマ生成装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ放電は多くの産業応用分野及び科学応用分野で利用されており、プラズマ放電を通じて半導体ウェハー加工など様々な産業分野に用いられる様々なガスの活性種を生成したり、産業工程で生成された副産物の処理が行われたりすることができる。
【0003】
プラズマ放電を行うプラズマソースとして、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)方式または蓄電結合プラズマ(Capacitively Coupled Plasma)方式が大きく用いられる。誘導結合プラズマ方式とは、コイルにRF電力を印加して誘導電界を形成し、誘導電界を介してプラズマ放電を行う方式をいう。
【0004】
プラズマの初期放電(イグニッション)のために、別途のイグナイタを利用したり、より多くの電力を投入したりするなどの方式が用いられている。しかし、プラズマの発生状態を考慮していないイグニッション補助方法によって装置が損傷したり、さらに生成される活性種に不純物が流入したりする可能性があるという問題もある。これに対し、装置の損傷や不純物の発生を最小限に抑えながら、プラズマの初期放電を補助する方法の開発の必要性が認められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書による一課題は、プラズマの初期放電を補助するプラズマ生成装置またはその制御方法を提供することである。
【0006】
本明細書による他の課題は、プラズマの初期放電による装置損傷を最小限に抑えるプラズマ生成装置またはその制御方法を提供することである。
【0007】
本明細書による課題は、上述の課題に限定されるものではなく、言及されていない課題は、本明細書及び図面から本発明が属する技術分野の当業者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施例によれば、プラズマ生成装置において、プラズマの生成空間を提供するチャンバーと、前記チャンバーの周辺に配置され、第1電源と接続されて前記チャンバー内に誘導電界を形成するアンテナモジュールと、前記チャンバーの周辺に配置され、第2電源と接続されて前記プラズマの生成を補助する電極と、前記プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するセンサーと、前記第1電源及び前記第2電源を制御するコントローラーと、を含み、前記コントローラーは、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加し、前記RF電圧の印加による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得し、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御するが、前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加しないプラズマ生成装置を提供することができる。
【0009】
本明細書の一実施例によれば、プラズマの生成空間を提供するチャンバーと、チャンバーの周辺に配置され、第1電源と接続されて前記チャンバー内に誘導電界を形成するアンテナモジュールと、前記チャンバーの周辺に配置され、第2電源と接続されて前記プラズマの生成を補助する電極と、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するセンサーと、前記第1電源及び前記第2電源を制御するコントローラーと、を含むプラズマ生成装置の制御方法において、前記コントローラーが、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加するステップと、前記コントローラーが、前記RF電圧の印加による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得するステップと、前記コントローラーが、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御するステップと、を含み、前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、前記コントローラーが、前記第2時点に前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加しないが、前記第2時点に前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加することを含むプラズマ生成装置の制御方法を提供することができる。
【0010】
本明細書による課題の解決手段は、上述した解決手段に限定されるものではなく、言及されない解決手段は、本明細書及び図面から本発明が属する技術分野の当業者に明確に理解されるべきである。
【発明の効果】
【0011】
本明細書によれば、プラズマの初期放電がより速く行われるプラズマ生成装置を提供することができる。
【0012】
本明細書によれば、プラズマの初期放電の補助による不純物生成が抑制されたプラズマ生成装置を提供することができる。
【0013】
本明細書による効果は、上記の効果に限定されるものではなく、言及されない効果は、本明細書及び図面から本発明が属する技術分野の当業者に明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本明細書の一実施例によるプラズマ生成システムを説明するための図である。
【
図2】本明細書の一実施例によるプラズマ生成システムを説明するための図である。
【
図3】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図4】本明細書の一実施例によるDC電極を説明するための図である。
【
図5】本明細書の一実施例によるDC電源を説明するための図である。
【
図6】本明細書の一実施例によるDC電極を説明するための図である。
【
図7】本明細書の一実施例によるDC電源を説明するための図である。
【
図8】本明細書の一実施例によるアンテナモジュールを説明するための図である。
【
図9】本明細書の一実施例によるアンテナモジュールの動作を説明するための図である。
【
図10】本明細書の一実施例によるアンテナモジュールを説明するための図である。
【
図11】本明細書の一実施例によるアンテナモジュールの動作を説明するための図である。
【
図12】本明細書の一実施例によるアンテナモジュールを説明するための図である。
【
図13】本明細書の一実施例によるRF電源を説明するための図である。
【
図14】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図15】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図16】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図17】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図18】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【
図19】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図20】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図21】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【
図22】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図23】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図24】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【
図25】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図26】本明細書の一実施例によるプラズマ生成プロセスを説明するための図である。
【
図27】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【
図28】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図29】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図30】本明細書の一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置における電力信号及び電力信号に基づいて変更される高電圧パルスの制御信号を示す図である。
【
図31】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図32】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図33】本明細書の一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図34】本明細書のいくつかの実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【
図35】本明細書の一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置における電力信号及び電力信号に基づいて変更される高電圧パルスの制御信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書の一実施例によれば、プラズマ生成装置において、プラズマの生成空間を提供するチャンバーと、前記チャンバーの周辺に配置され、第1電源と接続されて前記チャンバー内に誘導電界を形成するアンテナモジュールと、前記チャンバーの周辺に配置され、第2電源と接続されて前記プラズマの生成を補助する電極と、前記プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するセンサーと、前記第1電源及び前記第2電源を制御するコントローラーと、を含み、前記コントローラーは、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加し、前記RF電圧の印加による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得し、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御するが、前記コントローラーは、前記第2時点に前記センシング情報が所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加し、前記第2時点に前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加しないプラズマ生成装置を提供することができる。
【0016】
本明細書の一実施例によれば、前記所定の条件により、前記コントローラーは、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されなかったことを指示する場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されたことを指示する場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しなくてもよい。
【0017】
本明細書の一実施例によれば、前記センサーによって取得される前記センシング情報は、前記第1電源を介して前記負荷に供給される電力を示してもよい。
【0018】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力未満であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以上であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しなくてもよい。
【0019】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電源は、直流電源(DC power source)と、前記直流電源の直流電力(DC power)をRF電力(RF power)に変換するインバータと、を含み、前記センサーは、前記直流電源と前記インバータとの間に位置し、前記直流電源によって出力される第1電圧及び前記直流電源から出力される第1電流を取得し、前記コントローラーは、前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて決定された前記負荷に供給される電力に基づいて前記電極に前記パルス電圧を印加してもよい。
【0020】
本明細書の一実施例によれば、前記センサーは、前記アンテナモジュールに流れる第2電流に基づいて前記センシング情報を取得してもよい。
【0021】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しなくてもよい。
【0022】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1パルス電圧を印加して前記電極が第1電力を提供するようにし、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第2パルス電圧を印加して前記電極が前記第1電力より大きい第2電力を提供してもよい。
【0023】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有する第1パルス電圧を印加し、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記第1電圧値より大きい第2電圧値を有する第2パルス電圧を印加してもよい。
【0024】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第2時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に第1周期で前記パルス電圧を印加し、前記第2時点から第1時間後である第3時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記第1周期より小さい第2周期で前記高電圧パルスを印加してもよい。
【0025】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第1時点から前記第1電源を介して前記負荷に第1大きさを有するRF電圧を印加し、前記第1時点以降で前記第2時点以前である第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第1大きさより大きい第2大きさを有するRF電圧を前記負荷に印加してもよい。
【0026】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有する前記パルス電圧を印加し、前記第2時点より遅れた第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記パルス電圧の印加を中断してもよい。
【0027】
本明細書の一実施例によれば、プラズマの生成空間を提供するチャンバーと、チャンバーの周辺に配置され、第1電源と接続されて前記チャンバー内に誘導電界を形成するアンテナモジュールと、前記チャンバーの周辺に配置され、第2電源と接続されて前記プラズマの生成を補助する電極と、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するセンサーと、前記第1電源及び前記第2電源を制御するコントローラーと、を含むプラズマ生成装置の制御方法において、前記コントローラーが、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加するステップと、前記コントローラーが、前記RF電圧の印加による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得するステップと、前記コントローラーが、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御するステップと、を含み、前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、前記コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加せず、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加することを含むプラズマ生成装置の制御方法を提供することができる。
【0028】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記コントローラーが、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されなかったことを指示する場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されたことを指示する場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことを含んでもよい。
【0029】
本明細書の一実施例によれば、前記センサーによって取得される前記センシング情報は、前記第1電源を介して前記負荷に供給される電力を示してもよい。
【0030】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力未満であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以上であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことを含んでもよい。
【0031】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電源は、直流電源(DC power source)と、前記直流電源の直流電力(DC power)をRF電力(RF power)に変換するインバータと、を含み、前記センサーは、前記直流電源と前記インバータとの間に位置し、前記直流電源によって出力される第1電圧及び前記直流電源から出力される第1電流を取得し、前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記コントローラーが前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて決定された前記負荷に供給される電力に基づいて前記第2電源を制御してもよい。
【0032】
本明細書の一実施例によれば、前記センサーは、前記アンテナモジュールに流れる第2電流に基づいて前記センシング情報を取得してもよい。
【0033】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記コントローラーが前記センシング情報を取得し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことをさらに含んでもよい。
【0034】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1パルス電圧を印加することによって前記電極が第1電力を提供するようにし、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第2パルス電圧を印加することによって前記電極が前記第1電力より大きい第2電力を提供するようにすることを含んでもよい。
【0035】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、前記コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有する第1パルス電圧を印加し、前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記第1パルス電圧を印加しないステップと、前記コントローラーが、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記第1電圧値より大きい第2電圧値を有する第2パルス電圧を印加することをさらに含んでもよい。
【0036】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記第2時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に第1周期で前記パルス電圧を印加し、前記第2時点から第1時間後である第3時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記第1周期より小さい第2周期で前記パルス電圧を印加することをさらに含んでもよい。
【0037】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第1電源を介して前記負荷に前記RF電圧を印加することは、前記第1時点から第1大きさで前記負荷に前記RF電圧を印加し、前記第1時点以降で前記第2時点以前である第3時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第1大きさより大きい第2大きさで前記負荷に前記RF電圧を印加することをさらに含んでもよい。
【0038】
本明細書の一実施例によれば、前記コントローラーが前記第2電源を制御するステップは、前記コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧値を有するパルス電圧を印加するステップと、前記コントローラーが、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記パルス電圧の印加を中断するステップと、を含んでもよい。
(発明を実施するための形態)
【0039】
本明細書の上記の目的、特徴及び長所は、図面に関連する以下の詳細な説明によってより明らかになるであろう。ただし、本明細書で説明する内容は様々な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができ、以下では特定の実施例を図面に例示し、これを詳細に説明する。
【0040】
図面において、層及び領域の厚さは明確にするために誇張されており、また、構成要素(element)または層が他の構成要素または層の「上方(on)」または「上(on)」と指摘される場合、他の構成要素または層の真上だけでなく、中間に他の層または他の構成要素を介在した場合も含まれる。明細書全体にわたって同じ参照番号は原則として同じ構成要素を示す。まお、各実施例の図面に示される同じ思想の範囲内の機能の同じ構成要素は同じ参照符号を用いて説明する。
【0041】
本明細書の説明の過程で使用される数字(例えば、第1、第2等)は、1つの構成要素を他の構成要素と区別するための識別記号に過ぎない。
【0042】
また、以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書の作成の容易さのみが考慮されて付与または混用されるものであり、それ自体が互いに区別される意味または役割を有するものではない。
【0043】
実施例による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実行することができるプログラム命令の形態で実施され、コンピュータ読み取り可能媒体に記録することができる。前記コンピュータ読み取り可能媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム命令は、実施例のために特に設計して構成されたものや、コンピュータソフトウェア当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような光磁気媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を記憶及び実行するように特に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例には、コンパイラによって作成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行することができる高級言語コードも含まれる。上記のハードウェア装置は、実施例の動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成することができ、その逆も同様である。
【0044】
1.プラズマ放電
本明細書では、プラズマ放電を行う装置、システム、または方法などについて説明する。本明細書では、プラズマ放電を補助するために、プラズマメイン放電の実行前にプラズマ放電空間内にイグニッション(ignition)を発生させてプラズマの初期放電を補助する装置、システムないし方法などについて、いくつかの実施例で説明する。
【0045】
1.1 システム
一実施例によれば、プラズマ放電システムを提供することができる。
【0046】
図1はプラズマ放電システムを説明するための図である。
図1を参照すると、プラズマ生成システムは、電力を提供する電力供給部100、電力供給部から電力を取得してプラズマを生成するプラズマ生成部200、プラズマ生成部200にガスを供給するガス供給部300を含むことができる。プラズマ生成システムは、生成されたプラズマを用いて工程を実行する工程部400をさらに含むことができる。
【0047】
電力供給部100は、プラズマの生成に必要な電力を供給することができる。電力供給部100はプラズマ生成部に電力を供給することができる。電力供給部100はDC電源および/またはRF電源を含むことができる。電力供給部100はDC電源を介してプラズマ生成部200に高電圧パルスを提供することができる。電力供給部100は、RF電源を介してプラズマ生成部200にRF電力を提供することができる。
【0048】
プラズマ生成部200はプラズマ放電を実行することができる。プラズマ生成部200は放電ガスを取得し、放電ガスを介してプラズマ放電を実行することができる。プラズマ生成部200は、誘導結合プラズマ放電または蓄電結合プラズマ放電を実行することができる。
【0049】
プラズマ生成部200は遠隔プラズマソースであり得る。プラズマ生成部200は、活性種を形成し、形成された活性種を工程部400に提供することができる。
【0050】
プラズマ生成部200は、大気圧(常圧)下でプラズマ放電を行う常圧プラズマ装置を含むことができる。例えば、プラズマ生成部200は、数百Torr~大気圧(750Torr)下で、プラズマ放電を行う常圧プラズマ装置を含むことができる。
【0051】
プラズマ生成部200は、低圧プラズマ放電を行う低圧プラズマ装置を含むことができる。例えば、プラズマ生成部200は、10-5~10-7Torr以下の初期真空度(Base pressure)の環境を作った後、所望の工程ガスを用いて数mTorr~数Torrの工程圧力でプラズマを発生させる低圧プラズマ装置を含むことができる。
【0052】
プラズマ生成部200は、数十~数百度下で低温プラズマ放電動作を実行することができる。例えば、プラズマ生成部200は、半導体及びディスプレイ工程の洗浄、エッチング、蒸着、表面処理、物質合成などの低圧低温プラズマ放電動作を実行することができる。また、例えば、プラズマ生成部200は、ガラス基板の洗浄工程、親水性/疏水性表面改質、ナノ技術、殺菌、有害物質除去、二酸化炭素低減などのための常圧低温プラズマ放電動作を実行することができる。
【0053】
プラズマ生成部200は、数千~数万度の高温下で、プラズマ溶接、切断、プラズマ冶金などのための高温プラズマ放電動作を行うこともできる。
【0054】
プラズマ生成部200は、プラズマ生成のために、シード電荷を生成することができる。特に、プラズマ生成部200が常圧プラズマ放電を行う場合、プラズマ生成部200は初期放電のためにシード電荷を生成することができる。プラズマ生成部200は、DC電極を含み、DC電極にDC高電圧パルスが提供されるとシード電荷を生成することができる。
【0055】
プラズマ生成部200は、プラズマ生成のために、初期放電及びメイン放電を実行することができる。プラズマ生成部200は、蓄電結合モード(Eモード)による初期放電または誘導結合モード(Hモード)によるメイン放電を実行することができる。プラズマ生成部200は、コイルを含む誘導結合アンテナを含み、誘導結合アンテナにRF電力が提供されることによって初期放電またはメイン放電を実行することができる。
【0056】
プラズマ生成部200の具体的な構成及び動作については、以下でより詳細に説明する。
【0057】
ガス供給部300は、プラズマ生成部200にプラズマ放電のためのガスを供給することができる。ガス供給部300は、プラズマ生成部200に反応性ガスまたは工程ガスを供給することができる。ガス供給部300は、プラズマ生成部200または工程部400の機能または用途により選択されたガスを供給することができる。
【0058】
例えば、ガス供給部300は、NF3ガス(三フッ化窒素ガス)、Arガス(アルゴンガス)、Xeガス(キセノンガス)、Krガス(クリプトンガス)、N2ガス(窒素ガス)、O2ガス(酸素ガス)、H2ガス(水素ガス)、Heガス(ヘリウムガス)、Neガス(ネオンガス)SiH4ガス(モノシランガス)、NH3ガス(アンモニアガス)、PH3ガス(ホスフィンガス)、B2H6ガス(ジボランガス)、DCSガス(ジクロロシランガス)、C5F8ガス(オクタフルオロペンテンガス)、CF4ガス(四フッ化炭素ガス)、HBrガス(臭化水素ガス)、Cl2ガス(塩素ガス)、Xeガス(キセノンガス)、Krガス(クリプトンガス)、SF6ガス(六フッ化硫黄ガス)、CH4ガス(メタンガス)中のいずれか1つのガスまたはガスとエアの混合気体をプラズマ生成部200に供給することができる。ガス供給部300は、TEOS(tstra-ethyl-ortho-silicate)、Tetrakis ((ethylmethylamino)zirconium)、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminum)、ヘキサメチルジシロキサン(hexamethyldisiloxane)等の液相前駆体を介してプラズマ生成部にガスを供給することもできる。
【0059】
工程部400は、プラズマ放電の前または後の工程を実行することができる。工程部は、プラズマ生成部200によって生成されたプラズマを介して目的工程を実行することができる。または、工程部400は、目的工程の実行によって生成される物質をプラズマ生成部に伝達することができる。
【0060】
目的工程は、プラズマイオン/ラジカルの被処理材料表面衝突を通じて表面の微細油膜除去などを行う洗浄工程、目的による反応性エッチングガスを用いてプラズマを発生させ、これを用いて物質を選択的に除去するエッチング工程、目的に合う蒸着ガス及びプラズマ放電のための添加ガスを注入し、表面に物質を蒸着する蒸着工程、プラズマを用いて表面の特性を変化させる改質工程、プラズマ放電を通じて対象物質を分解する物質分解工程などであり得る。
【0061】
工程部400は、半導体基板処理に関連する目的動作を実行することができる。例えば、工程部400は、プラズマ生成部から活性種(例えば、水素活性種)を供給され、工程室の内部の洗浄工程を実行することができる。
【0062】
工程部400は、工程室、工程室内に配置され、処理対象の半導体基板(例えば、シリコン半導体基板)が位置される基板ホルダ、基板ホルダの上部に位置され、工程室内に基板処理物質を供給するシャワーヘッドおよび/または工程室内の空気を排気する真空ポンプを含むことができる。
【0063】
プラズマ生成システムは、工程部400がプラズマ生成部を介して生成されるプラズマを介して目的工程を実行するか、または工程部400の目的工程によって生成された副産物がプラズマ生成部200によって処理されるように構成することができる。
図2はいくつかの実施例によるプラズマ生成システムを説明するための図である。
【0064】
図2の(a)を参照すると、一実施例によるプラズマ発生システムは、工程部401と、工程部401により生成される物質を処理するプラズマ生成部201と、を含むことができる。例えば、
図2の(a)を参照すると、プラズマ発生システムはガススクラバー(scrubber)装置を含むことができる。工程部401は半導体製造工程を行う装置であり、プラズマ生成部201は、工程部401の半導体製造工程で生成される難分解性ガス、例えば、六フッ化硫黄(SF
6)、四フッ化炭素(CF
4)、過フッ化炭素(PFC)ガスの処理を実行することができる。
【0065】
図2の(b)を参照すると、一実施例によるプラズマ発生システムは、活性種を生成し、工程部402に活性種を供給するプラズマ生成部202と、活性種を用いた工程を行う工程部402と、を含むことができる。例えば、プラズマ生成部202は、NF
3、H
2、N
2、O
2、C
3F
8、CF
4、Cl
2、SiH
4、Arなどのガスをプラズマ放電して活性種を生成することができる。工程部402は、プラズマ生成部202により生成された活性種を介して、ドライエッチング、PECVD、PVD、アッシング(Ashing)、洗浄(Cleaning)などの動作を実行することができる。
【0066】
1.2 プラズマ放電装置
1.2.1 プラズマ放電装置の構造
一実施例によれば、プラズマ放電を行う装置を提供することができる。
【0067】
図3は、一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
図3を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、周波数変動可能なRF電源101と、RF電源101から電力を供給されプラズマを生成するプラズマ生成部と、を含むことができる。
図3を参照すると、プラズマ生成部は、放電チューブ210、放電チューブ210内に位置するガスチューブ211、213、放電チューブ210の周辺に配置され、RF電源部120から電力を供給され誘導電界を形成して放電チューブ210内にプラズマを生成するアンテナを含むアンテナモジュール220を含むことができる。プラズマ生成装置は、DC電源部110により高電圧パルスが印加される電極230を含むことができる。プラズマ生成装置は補助ガス供給ノズル250をさらに含むことができる。
【0068】
RF電源101は、可変周波数範囲内で駆動周波数を変更することができる。RF電源101は、数百kHz~数十MHzの可変周波数範囲及び数十kW以上の電力を有することができる。例えば、RF電源101は8kW以下の電力を提供することができる。例えば、RF電源101は、100kHz~5MHz範囲内の周波数で電力を提供する交流電力源であり得る。
【0069】
RF電源101は、駆動周波数を変更してインピーダンスマッチングを行うことができる。RF電源101は、駆動周波数を変更してプラズマ生成部を共振状態で動作させることができる。
【0070】
RF電源101は、商用交流電源を直流電源に変換する整流器、スイッチング信号を提供して駆動周波数及び電力を制御する制御器、及び制御器のスイッチング信号に基づいて直流電源をRF電力に変換するインバータを含むことができる。
【0071】
放電チューブ210は円筒形のチューブ形態で用意されることができる。放電チューブ210の外径は数センチメートル~数十センチメートルであり得る。放電チューブ210の内径は、外径より数ミリ~数センチメートル小さいこともある。
【0072】
放電チューブ210は誘電体放電チューブであり得る。放電チューブ210は、セラミック(例えば、アルミナまたはAlN)、サファイア、クォーツなどの非導電性物質で用意されることができる。
【0073】
放電チューブ210は、プラズマが位置する放電領域を提供することができる。放電チューブ210の内部の圧力は外部と異なるように調整することができる。放電チューブ210の内部の圧力は、必要に応じて、真空に準拠する超低圧、数ミリトルの低圧~大気圧以上の常圧に調整することができる。
【0074】
ガスチューブ211、213は、放電チューブ210と放電チューブ210の内部にガスを提供するための経路を提供することができる。ガスチューブ211、213は、プラズマの放電チューブ210の内壁接触を抑制し、プラズマ安定性を確保することができる。
【0075】
ガスチューブ211、213は1つ以上であり得る。ガスチューブは第1ガスチューブ211及び第2ガスチューブ213を含むことができる。第1ガスチューブ211及び第2ガスチューブ213は同心構造を有することができる。第1ガスチューブ211は、第1ガス(例えば、メタンガスなどの反応のためのガス)の投入経路を提供することができる。第2ガスチューブ213は、第1ガスと異なる構成を有する第2ガス(例えば、二酸化炭素を主成分とするガス)の投入経路を提供することができる。
【0076】
第1ガスチューブ211及び第2ガスチューブ213はスワール流を提供することができる。例えば、第1ガスチューブ211は内側スワール流を提供し、第2ガスチューブ213は外側スワール流を提供することができる。
【0077】
プラズマ発生装置はアンテナモジュール220を含むことができる。アンテナモジュール220は、RF電源部120から電力を供給され、放電チューブ210の内部にプラズマ放電を起こすことができる。アンテナモジュール220に関しては、以下で
図12に関してより詳細に説明する。
【0078】
アンテナモジュール220は、RF電源部120から電力を供給され、放電チューブ210の内部にプラズマ放電を誘導することができる。アンテナモジュール220は、RF電源部120からRF電力を供給され、放電チューブ210の内部に蓄電結合プラズマおよび/または誘導結合プラズマを発生させることができる。
【0079】
アンテナモジュール220は、放電チューブ210の周囲に連続して数回巻かれたソレノイドコイルを含むことができる。アンテナモジュール220は、放電チューブ210の周囲に巻かれた複数のターンと、各ターン間に配置される補助コンデンサを含むことができる。
【0080】
プラズマ発生装置は、アンテナモジュール220の周辺に位置するDC電極230を含むことができる。プラズマ発生装置は、DC電源部110に接続された1つ以上の電極を含むことができる。DC電極230については、以下でより詳細に説明する。
【0081】
補助ガス供給ノズル250は放電チューブ210内に補助ガスを供給することができる。補助ガス供給ノズル250は、放電チューブ210のガスが投入される一端と対向する他端に近接して位置することができる。補助ガス供給ノズル250は放電チューブ210の周辺に配置され、アンテナモジュール220とガス排出口(放電チューブ210のアウトレット)との間に配置されてもよい。
【0082】
プラズマ発生装置は、放電チューブ210及びアンテナモジュール220を包み込み、外部の影響を遮断するが安全性を確保するための安全ケース190をさらに含むことができる。
【0083】
1.2.2 DC電源及びDC電極
一実施例によるプラズマ放電装置は、高電圧が印加される電極を含むことができる。一実施例によるプラズマ放電装置は、DC電源によって高電圧が印加されるDC電極を含むことができる。DC電極は、DC電源によって電極に高電圧が印加されると放電チューブ内に電界を形成することができる。DC電極は、DC電源によって電極に高電圧が印加されると、所定方向に強い電界を形成し、放電チューブ内にシード電荷を提供することができる。DC電極は、放電チューブ内にシード電荷を提供し、プラズマ放電を誘導、促進ないし補助することができる。
【0084】
DC電極はDC電源から高電圧を取得することができる。DC電源はDC電極に高電圧パルスを印加することができる。DC電源は所定の時間間隔でDC電極に高電圧パルスを印加することができる。高電圧パルスの強度及び振幅は所定の値で与えられてもよい。
【0085】
プラズマ放電装置は、電源(またはDC電源)を介して電極(またはDC電極)に高電圧(または、高電圧パルス)を印加することができる。本明細書全体にわたって、電極に印加される高電圧は様々な形態のDC電圧信号を含むと理解することができる。電極に印加される高電圧は、交流を除く様々な形態のDC電圧信号を含むことができる。例えば、電極に印加される高電圧は、球形(square or rectangular)のパルス波形を有することができる。また、例えば、電極に印加される高電圧は、サイン波の一部(例えば、半周期)によるパルス波形を有することができる。
【0086】
一実施例によれば、プラズマ放電装置は、必要に応じて、電極(またはDC電極)に印加される電圧(または、高電圧パルス)の信号を変更することができる。プラズマ放電装置は、電極に印加される電圧の大きさを漸進的または順次に増加または減少させることができる。
【0087】
以下では、DC電極及びDC電源についていくつかの実施例で説明する。
【0088】
図4は一実施例によるDC電極を説明するための図である。
【0089】
図4の(a)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、プラズマ放電を引き起こすアンテナモジュール220の周辺に位置され、DC電源に接続された1つ以上の電極を含むことができる。プラズマ生成装置は、アンテナモジュール220の上方に位置する第1電極231と、アンテナモジュール220の下方に位置する第2電極233と、を含むことができる。
【0090】
図4の(b)を参照すると、プラズマ生成装置は、放電チューブの外面に位置し、アンテナモジュール220の誘導コイル221の上方に位置する第1電極231と、放電チューブの外面を囲むように配置され、誘導コイル221の下方に位置する第2電極233と、を含むことができる。
図4の(b)を参照すると、第1電極231は四角板の形態であってもよい。第2電極233は「C」字型であってもよい。または、第2電極233は複数のスリットを含むことができる。誘導コイルによって形成される誘導電界E1及びE2の影響で第2電極233に渦流が流れるのを防止するために、第2電極233は放電チューブの外壁を完全に囲まない開放型ループ構造を有することができる。
【0091】
DC電源は、第1電極231に正の高電圧を印加し、第2電極233に負の高電圧を印加することができる。DC電源によって第1電極231と第2電極233との間に高電圧パルスが印加されると、第1電極231と第2電極233との間に蓄電結合プラズマ放電、例えば垂直ストリーマ放電が起こることができる。
【0092】
図5は一実施例によるDC電源を説明するための図である。
【0093】
図5の(a)を参照すると、DC電源は、商用交流電源をDC電圧に変換するAC-DC変換器111、DC電圧を介して正のDC高電圧パルスを生成する高電圧パルス発生器113、及び高電圧パルス発生器を制御する制御器112を含む。
【0094】
図5の(b)は
図5の(a)で説明する高電圧パルス発生器の一実施例を説明するための図である。
【0095】
図5の(b)を参照すると、一実施例による高電圧パルス発生器113は、AC-DC変換器からDC電圧を取得する1次コイルと正のDC高電圧パルスを発生させる2次コイルを含む第1トランスフォーマー113aと、第1トランスフォーマー113aの1次コイルに接続された第1電力トランジスター113bと、AD-DC変換器からDC電圧を取得する1次コイルと負のDC高電圧パルスを発生させる2次コイルを含む第2トランスフォーマー113cと、第2トランスフォーマーの1次コイルに接続された第2電力トランジスター113dと、を含むことができる。制御部112は、第1トランジスター113bと第2トランジスター113dのゲートを制御することができる。第1トランスフォーマー113aの2次コイルの一端は接地され、第1トランスフォーマー113aの2次コイルの他端は正のDC高電圧パルスVo1を出力することができる。第2トランスフォーマー113cの2次コイルの一端は接地され、第2トランスフォーマー113cの2次コイルの他端は負のDC高電圧パルスVo2を出力することができる。
【0096】
DC電圧Vinは12~24Vの直流電源であり得る。制御部112は第1電力トランジスター113bと第2電力トランジスター113dのオンタイムと繰り返し周波数を同期して制御することができる。DC高電圧パルスの電圧は、数十kV、例えば、10~50kVであり得る。DC高電圧パルスの繰り返し周波数は、数kHz~数十kHz、例えば、10kHz~100kHzであり得る。
【0097】
図6は他の一実施例による放電電極を説明するための図である。
【0098】
図6の(a)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、プラズマ放電を引き起こすアンテナモジュール220の周辺に位置され、DC電源110に接続された一電極231を含むことができる。
【0099】
プラズマ生成装置は、DC電源110を介して電極231に高電圧を印加し、電極231と周辺物体(例えば、放電チューブ内/外に位置する金属物体)との間に蓄電結合放電を起こすことができる。プラズマ生成装置は、DC電源110を介して電極231に高電圧を印加し、電極231と放電チューブ内に位置して接地されたガスチューブ211と電極231との間に蓄電結合放電を引き起こすことができる。プラズマ生成装置は、ガスチューブ211と電極231との間に放電を起こしてシード電荷を提供することができる。すなわち、ガスチューブ211が対電極の役割を果たすことができる。ただし、これは一実施例に過ぎず、放電チューブの周辺または放電チューブ内に位置された他の接地された導体が対電極の役割を果たすこともできる。
【0100】
図6の(b)を参照すると、プラズマ生成装置は、放電チューブの外面に位置し、アンテナモジュール220の誘導コイル221の上方に位置する電極231を含むことができる。電極231は四角板の形態であってもよい。プラズマ生成装置は、DC電源を介して放電チューブの外面に位置する四角板の形態の電極231に正の高電圧を印加して、放電チューブ内に位置して接地されたガスチューブ211と電極231との間に放電を誘導することができる。DC電源によって電極231に高電圧パルスが印加されると、電極231とガスチューブ211との間に蓄電結合プラズマ放電、例えばストリーマー放電が起きることができる。
【0101】
図7の(a)は一実施例による電源を説明するための図である。
図7の(b)は
図7の(a)で説明する高電圧パルス発生器の一実施例を説明するための図である。
図7の(a)及び(b)の電源及び高電圧パルス発生器において、特に説明がない限り、
図5で説明した内容を同様に適用することができる。
【0102】
図7の(b)を参照すると、一実施例による高電圧パルス発生器113は、AC-DC変換器からDC電圧を取得する1次コイルと正のDC高電圧パルスを発生させる2次コイルを含むトランスフォーマー113eと、トランスフォーマー113eの1次コイルに接続されたトランジスター113fと、を含むことができる。制御部112はトランジスター113fのゲートを制御することができる。トランスフォーマー113eの2次コイルの一端は接地され、トランスフォーマー113eの2次コイルの他端は正のDC高電圧パルスVoutを出力することができる。
【0103】
1.2.3 RF電源及びアンテナモジュール
プラズマ生成装置は、放電チューブの内部に放電を引き起こす1つ以上の誘導電極を含むことができる。プラズマ生成装置は、RF電源から電力が供給されると誘導結合プラズマ放電を引き起こす1つ以上のアンテナモジュールを含むことができる。アンテナモジュールは、その形態及び入力電力信号の周波数に応じて異なる動作をすることができる。以下では、アンテナモジュールについていくつかの実施例で説明する。
【0104】
1.2.3.1 第1タイプアンテナモジュール
図8は一実施例によるアンテナモジュールの形態を説明するための動作である。
図8を参照すると、一実施例によるアンテナモジュール223は、第1コンデンサ223a、誘導コイル223b及び第2コンデンサ223cを含むことができる。
【0105】
第1コンデンサ223aは、誘導コイル223bの一端とRF電源との間に接続され、第2コンデンサ223cは、誘導コイル223bの他端とRF電源との間に接続することができる。第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cは同一の蓄電容量を有することができる。
【0106】
誘導コイル223bは、第1コンデンサ223aと第2コンデンサ223cとの間に位置することができる。誘導コイル223bは多層構造のソレノイドコイルであり得る。誘導コイル223bは放電チューブの外面に複数回多層で巻かれたソレノイドコイルであり得る。誘導コイル223bを構成する単位ターンは、交流電源に応答して放電チューブ内に補強干渉する磁界を形成するように巻くことができる。誘導コイル223bは、放電チューブの外面に一方向に複数回巻回されたソレノイドコイルであってもよい。
【0107】
誘導コイル223bは、放電チューブの単位長さ当たりの巻線数が最大になるように、密に巻回されたソレノイドコイルであり得る。
図5では簡単に示されているが、誘導コイル223bは、
図8に示すものよりも多くの巻線数を有するソレノイドコイルであり得る。例えば、誘導コイル223bは、互いに接続された内側ソレノイドコイル、中間ソレノイドコイル、外側ソレノイドコイルを含む3層構造であってもよい。
【0108】
誘導コイル223bは、内部に冷媒が流れることができるパイプ形態を有することができる。誘導コイル223bは銅パイプで用意されることができる。誘導コイル223bの断面は円形または四角形として用意されてもよい。
【0109】
第1コンデンサ223a、誘導コイル223b及び第2コンデンサ223cは直列接続され、第1周波数で共振することができる。第1周波数は、第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cそれぞれの蓄電容量C1及び誘導コイル223bのインダクタンスL1によって決定することができる。
【0110】
図9は、
図8に例示するアンテナモジュールの共振周波数における動作を説明するための図である。
【0111】
図9を参照すると、アンテナモジュールは、第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cそれぞれの蓄電容量C1及び誘導コイル223bのインダクタンスL1によって決定される第1周波数で共振することができる。第1周波数で電力が供給されるとき、第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cは、誘導コイル223bの両端に誘導される電圧Vaの大きさが最小化されるように、誘導コイル223bと逆の電圧降下を誘導することができる。
【0112】
共振状態では、第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cは誘導コイル223bのリアクタンスを相殺することができる。プラズマ生成装置は、第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cによって誘導コイル223bのリアクタンスが相殺されるようにする第1周波数でアンテナモジュールに電力を供給することにより、インピーダンス整合を行うことができる。第1コンデンサ223a及び第2コンデンサ223cは、誘導コイル223bの両端に印加される電圧を減少させるために誘導コイル223bに対して対称的に配置することができる。
【0113】
1.2.3.2 第2タイプアンテナモジュール
図10はいくつかの実施例によるアンテナモジュールの形態を説明するための動作である。
図10の(a)、(b)及び(c)は、放電チューブの単位長さ当たりの誘導コイルのターン数がそれぞれ異なるように用意されたアンテナモジュールを説明するための図である。
図10の(a)、(b)及び(c)に示すアンテナモジュールはそれぞれ異なる放電特性を示すことができる。
【0114】
プラズマ生成装置は、アンテナモジュールを構成する誘導コイルの放電チューブの単位長さ当たりのターン数が小さいほど、エネルギー損失が少なく、放電窓が狭い特性を示すことができる。プラズマ生成装置は、アンテナモジュールを構成する誘導コイルの放電チューブの単位長さ当たりのターン数が大きいほど、放電窓が広く、放電維持により有利であるが、エネルギー損失が高い特性を示すことができる。
【0115】
図10の(a)を参照すると、アンテナモジュール235は、1層当たり1ターンずつ巻かれた単位コイル235bと、各層の単位コイルを接続する層間コンデンサ235aと、を含むことができる。
図10の(a)に示す12*1ターンのアンテナモジュール235は、すべてのアンテナ単位ターンが放電チューブの外面に密接するように構成することができる。
図10の(a)に示すアンテナモジュール235は、少ない単位長さ当たりのターン数(N/L)を有し、これにより、比較的低い放電効率、より少ないエネルギー損失及び比較的高いプロセス性能を有することができる。
【0116】
図10の(b)を参照すると、アンテナモジュール237は1層当たり2ターンずつ巻かれた単位コイル237bと、各層の単位コイルを接続する層間コンデンサ237aと、を含むことができる。
図10の(b)に示す6*2ターンのアンテナモジュール237は、
図10の(a)のアンテナモジュール235に比べて大きい単位長さ当たりのターン数(N/L)を有する。
図10の(b)に示すアンテナモジュール237は、
図10の(a)のアンテナモジュール235に比べて高い放電効率を示すことができる。放電効率は、単位長さ当たりのターン数(N/L)に比例することができる。例えば、
図10の(b)に示すアンテナモジュール237は、
図10の(a)のアンテナモジュール235に2倍の放電効率を有することができる。
【0117】
図10の(c)を参照すると、アンテナモジュール239は1層当たり3ターンずつ巻かれた単位コイル239bと、各層の単位コイルを接続する層間コンデンサ239aと、を含むことができる。アンテナモジュール239は、
図10の(a)及び(b)のアンテナモジュール235、237に比べて大きい単位長さ当たりのターン数(N/L)を有し、
図10の(a)及び(b)のアンテナモジュール235、237より高い放電効率を有することができる。アンテナモジュール239は、
図10の(a)及び(b)のアンテナモジュール235、237よりも、放電が困難なガス条件で放電維持が容易な特性を有することができる。
【0118】
図10の(a)、(b)及び(c)に示すアンテナモジュールは、異なるインダクタンスを有することができる。(a)のアンテナモジュール235は第1インダクタンスを有し、(b)のアンテナモジュール237は第2インダクタンスを有し、(c)のアンテナモジュール239は第3インダクタンスを有することができる。第2インダクタンスは第1インダクタンスより大きく、第3インダクタンスは第2インダクタンスより大きくてもよい。
【0119】
図11は、
図11に例示するアンテナモジュールの共振周波数における動作を説明するための図である。以下では、
図11を参照して、
図11の(c)に例示するアンテナモジュールの共振周波数における電圧分配について説明する。
【0120】
図11を参照すると、一実施例によるアンテナモジュールは、複数の単位コイル239b、複数の単位コイル間に配置された層間コンデンサ239a、及び図示していないが、上端及び下端にそれぞれ位置する単位コイルにそれぞれ接続された末端コンデンサ239cを含むことができる。
【0121】
アンテナモジュールは、層間コンデンサ239aの蓄電容量、単位コイル239bのインダクタンス及び末端コンデンサ239cの蓄電容量によって決定される第2周波数で共振することができる。
【0122】
単位コイル239bに印加される電圧を最小限に抑えるために、末端コンデンサ239cの蓄電容量は層間コンデンサ239aの蓄電容量の2倍と決定することができる。このとき、アンテナモジュールは、層間コンデンサ239aの蓄電容量C2、単位コイル239bのインダクタンスL2及び末端コンデンサ239cの蓄電容量2*C2によって決定される第2周波数で共振することができる。
図11を参照すると、層間コンデンサ239aはそれぞれ2*C2の蓄電容量を有する一対の仮想のコンデンサが直列に接続されたことで表示することができる。
【0123】
共振状態では、複数の層間コンデンサ239a及び末端コンデンサ239cは単位コイル239bの末端に印加される電圧を減少させることができる。アンテナモジュールに第2周波数で電力が提供されるとき、層間コンデンサ239a及び末端コンデンサ239cは誘導コイル239bの両端に誘導される電圧Vbの大きさが最小になるように、誘導コイル239bと逆の電圧降下を誘導することができる。
【0124】
層間コンデンサ239a及び末端コンデンサ239cは誘導コイル239bのリアクタンスを相殺することができる。プラズマ生成装置は、層間コンデンサ239a及び末端コンデンサ239cによって誘導コイル239bのリアクタンスが相殺されるように第2周波数でアンテナモジュールに電力を供給することにより、インピーダンス整合を行うことができる。末端コンデンサ239cは、誘導コイル239bの両端に印加される電圧を減少させるために誘導コイル239bに対して対称的に配置することができる。層間コンデンサ239aは、単位誘導コイル239b間の層間電圧差を最小にして蓄電結合を防止するために誘導コイル239bの各層間に配置することができる。
【0125】
層間コンデンサ239aおよび/または末端コンデンサ239cによって誘導コイル239bのリアクタンスが相殺されるにつれて、各単位コイル239bにおける電圧が対応関係を有することができる。例えば、共振状態において、一単位コイル239bの一端と他端との間の電圧は、他の単位コイル239bの一端と他端との間の電圧に対応することができる。一単位コイル239bの一端における電位は他の単位コイル239bの一端における電位に対応することができる。
【0126】
具体的な例として、アンテナモジュールは、一端及び他端を有する第1単位コイル(または、単位ターン)と、第1単位コイルの他端と直列に接続される第1層間コンデンサと、一端及び他端を有し、その一端が第1層間コンデンサと直列に接続される第2単位コイルと、を含むことができる。アンテナモジュールが共振状態にあるとき、第1単位コイルの一端における電位は、第2単位コイルの一端における電位に対応することができる。アンテナモジュールが共振状態にあるとき、第1単位コイルの一端と他端との間における電圧は、第2単位コイルの一端と他端との間における電位に対応することができる。アンテナモジュールが共振状態にあるとき、第1単位コイルの一端と他端との間における電圧は、第1単位コイルの一端と第2単位コイルの他端との間における電圧に対応することができる。
【0127】
図12は、
図11の(c)に例示するアンテナモジュールの構造を説明するための図である。一実施例によるアンテナモジュールは、複数の単位コイル239bと複数の単位コイルとの間に配置される層間コンデンサ239cを含むことができる。
図12は、一実施例によるアンテナモジュールの単位コイル239bを示している。
【0128】
単位コイル239bは複数のターンTU1、TU2、TU3を含むことができる。単位コイル239bは、第1末端TE1、第1末端TE1に接続された第1ターンTU1、第1ターンTU1に接続された第1突出部PR1、第1突出部PR1に接続された第2ターンTU2、第2ターンTU2に接続された第2突出部PR2、第2突出部PR2に接続された第3ターンTU3、及び第3ターンTU3に接続された第2末端TE2を含むことができる。
【0129】
単位コイル239bは、一方向(
図12を参照すると、x軸方向)に開放された開放部を有することができる。単位コイル239bの第1末端TE1及び第2末端TE2は一方向に開放された開放部を形成することができる。
【0130】
各ターンTU1、TU2、TU3は同一平面に配置することができる。各ターンTU1、TU2、TU3は所定の中心角を有することができる。各ターンの中心角は270度以上であり得る。各ターンTU1、TU2、TU3は、同じ中心軸を有するように配置され、互いに異なる半径を有することができる。
【0131】
各突出部PR1、PR2は、互いに半径の異なるターンを接続し、「U」字型の形態で用意されることができる。第1突出部PR1は、第1ターンTU1の一端と第2ターンTU2の一端とを接続することができる。
【0132】
第1末端TE1または第2末端TE2は、層間コンデンサ239cまたは末端コンデンサ239aに接続することができる。例えば、第1末端TE1は末端コンデンサ239aに接続され、第2末端TE2は層間コンデンサ239cに接続することができる。
【0133】
一方、アンテナモジュールは複数の単位コイル239bを含むことができる。複数の単位コイルは、放電チューブの中心軸に対して回転配置されてもよい。例えば、第1単位コイルは、放電チューブの中心軸に対して突出部PRが第1方向を向くように配置され、第2単位コイルは、放電チューブの中心軸に対して突出部PRが第2方向を向くように配置され、第1方向と第2方向は放電チューブの中心軸に対して所定の角度をなすことができる。例えば、所定の角度は90度であり得る。
【0134】
図13は一実施例によるRF電源を説明するためのブロック図である。
図13を参照すると、一実施例によるRF電源装置1000は、交流電源1100、電源供給装置1200及び負荷1400を含むことができる。
【0135】
交流電源1100は、家庭または産業現場で使用される60Hzの従来の電源であり得る。負荷1400は、家庭または産業現場で使用される電気または電子装置であり得る。負荷1400は、本明細書で説明するプラズマ生成装置であり得る。
【0136】
電源供給装置1200は、第1交流電源を第2交流電源に変換して負荷1400に供給することができる。例えば、第2交流電源は、数百kHz~数十MHzの駆動周波数を有し、数kW以上の電力を提供することができる。電源供給装置1200は、整流器1210、キャパシタ1220、インバータ1230、インピーダンス整合回路1300、及び制御器1250を含むことができる。
【0137】
整流器1210は、交流電源1100の出力を直流電源に変換することができる。整流器1210は、直流電源を接地ノードGNDと電源ノードVPとの間に供給することができる。キャパシタ1220は、電源ノードVPと接地ノードGNDとの間に接続されてもよい。キャパシタ1220は、電源ノードVPに伝達される交流成分を接地ノードGNDに放電することができる。
【0138】
インバータ1230は、電源ノードVP及び接地ノードGNDから直流電源を受信することができる。インバータ1230は、制御器1250からスイッチング信号SWを受信することができる。インバータ1230は、スイッチング信号SWに応答して直流電源を第2交流電源に変換することができる。第2交流電源は、インピーダンス整合回路1300を介して負荷1400に供給することができる。インピーダンス整合回路1300は、負荷1400のインピーダンスに対するインピーダンス整合を提供することができる。
【0139】
制御器1250はインバータ1230にスイッチング信号SWを伝達することができる。制御器1250は、インバータ1230が直流電源を第2交流電源に変換するようにスイッチング信号SWを制御することができる。制御器1250は、インバータ1230から負荷1400に供給される電力量を調整するようにスイッチング信号SWを制御することができる。
【0140】
1.3 プラズマ放電動作
一実施例によれば、プラズマ放電を行う方法を提供することができる。
【0141】
一実施例によるプラズマ放電を行う方法は、シード電荷を提供するステップ及びプラズマ放電を行うステップを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、DC電源を介してDC電極に高電圧パルスを印加して放電チューブ内にシード電荷を形成することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、RF電源を介してアンテナモジュールにRF電圧を印加して放電チューブ内にプラズマ放電を誘導することを含むことができる。
【0142】
以下、
図14を参照して、プラズマ放電装置の動作またはプラズマ放電を行う方法について説明する。以下では、便宜上、電極が1つの場合のDC電極を基準として説明するが、これは必須ではなく、プラズマ放電装置は対電極をさらに含むこともできる。
【0143】
図14は、本明細書で説明するプラズマ放電装置において、一実施例によるプラズマ放電装置の動作を説明するための図である。
【0144】
図14の(a)を参照すると、プラズマ放電を行う方法は、プラズマ放電装置が、DC電源101を介してDC電極231に高電圧を印加することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、DC電源101を介してDC電極231に高電圧を印加して、第1電界E1を形成することを含むことができる。第1電界E1は電極231とガスチューブ211との間に形成することができる。
【0145】
プラズマ放電を行う方法は、プラズマ放電装置が、DC電源101を介してDC電極231に高電圧を印加して放電チューブ内にシード電荷を形成することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、DC電極231に高電圧を印加して、DC電極231とガスチューブ211との間に高密度の電界を形成し、電荷の密集を誘導することによってシード電荷を生成することができる。
【0146】
図14の(b)を参照すると、プラズマ放電を行う方法は、RF電源102を介してアンテナモジュール220にRF電圧を印加することを含むことができる。
【0147】
プラズマ放電を行う方法は、RF電源102を介してアンテナモジュール220にRF電圧を印加して、放電チューブ内に第2電界E2を形成することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、RF電源102を介してアンテナモジュール220にRF電圧を印加して第2電界E2を形成し、シード電荷および/またはプラズマを生成することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、第2電界E2を形成して蓄電結合プラズマを生成することを含むことができる。
【0148】
第2電界E2は、放電チューブの軸と並んで形成することができる。第2電界E2は、アンテナモジュール220の誘導コイルの長さ方向と並んで形成することができる。
【0149】
プラズマ放電を行う方法は、RF電源102を介してアンテナモジュール220にRF電圧を印加して、放電チューブ内に第3電界E3を形成することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、放電チューブ内に第3電界E3を形成して放電チューブ内にプラズマを生成することを含むことができる。プラズマ放電を行う方法は、RF電源102を介してアンテナモジュール220にRF電圧を印加して第3電界E3を形成し、シード電荷および/またはプラズマを生成することを含むことができる。
【0150】
第3電界E3は、アンテナモジュールの誘導コイルに並んだ方向に形成することができる。第3電界E3は、放電チューブの周方向に並んで形成することができる。
【0151】
2.イグニッション補助具体化
上述したように、DC電圧の印加によるシード電荷の供給を通じてプラズマの初期放電(イグニッション)を行う場合、プラズマ発生をより容易に行うことができるという利点がある。
【0152】
ただし、DC電圧の印加によるシード電荷の供給は、蓄電電界の形成による電荷群に基づくことであり、場合によって装置の損傷を招く可能性がある。例えば、DC電圧によって形成される電界は、ガスチューブの内壁または他の構造物に向かうので、電界によって加速された粒子または電子がガスチューブの内壁などに衝突することができる。このような意図しない衝突は、ガスチューブの内壁または他の構造物の損傷及び粒子などの不純物の発生を招く可能性がある。装置の損傷は装置の劣化につながり、装置の寿命に悪影響を及ぼし、不純物の発生は装置によって生成される活性種の品質を低下させる要因として作用する可能性がある。
【0153】
しかし、ガスの種類に応じて、RF電源及びアンテナモジュールを介した誘導電界(または、蓄電電界)の形成だけでは、プラズマの初期放電が起こる環境が十分に組成されない場合がある。一方、特定の放電条件下では、DC電源を介したDC電圧の印加なしに、RF電源及びアンテナモジュールを介した誘導電界(または、蓄電電界)だけでもプラズマ初期放電を円滑に行うことができる。
【0154】
したがって、プラズマ放電状態に応じて、DC電圧の印加可否、DC高電圧パルスの強度またはRF電圧の強度などを適宜変えて装置の損傷や粒子の発生を最小化しながらプラズマの初期放電を補助するための方法の必要性が現れる。
【0155】
以下では、DC高電圧パルスおよび/または交流電力の出力を制御してプラズマ生成を補助するプラズマ生成装置および/またはプラズマ生成装置の制御方法についていくつかの実施例で説明する。以下では、上記の目的を達成するために、プラズマの状態変化に基づいてDC電圧および/またはRF電圧を段階的に印加するプラズマ装置および/またはプラズマ装置の制御方法などについて説明する。
【0156】
本明細書で説明されるプラズマ生成装置の制御方法は、プラズマ生成装置またはプラズマ生成装置に内蔵されたコントローラーによって行うことができる。プラズマ生成装置は、本明細書で説明されるプラズマ生成装置の制御方法を実行するか、またはそのような方法を実行するコントローラーを含むことができる。
【0157】
また、本明細書で説明するプラズマ生成装置の実施例によって対応するプラズマ生成装置の制御方法を提供することができ、本明細書で提供するプラズマ生成装置の制御方法の実施例によって対応するプラズマ生成装置を提供できることは当業者にとって自明であろう。
【0158】
2.1 装置
図15は一実施例によるプラズマ生成装置を説明するための図である。
【0159】
図15を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2000は、プラズマ生成空間を提供するチャンバー2010と、チャンバー2010の周辺に位置し、第1電源P1から電力を供給されるアンテナモジュール2030と、チャンバー2010の周辺に位置し、第2電源P2から電力を供給される電極2050と、センサー2070と、第1電源P1と第2電源P2を制御するコントローラー2090と、を含むことができる。
【0160】
アンテナモジュール2030は、チャンバーの周辺に配置され、第1電源に接続され、前記チャンバー内に誘導電界を形成することができる。電極2050は、チャンバーの周辺に配置され、第2電源に接続され、前記プラズマの生成を補助することができる。
【0161】
センサー2070は、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得することができる。センサー2070は、プラズマ生成装置の一位置で電力、電流または電圧を取得することができる。例えば、センサー2070は、前記第1電源によって負荷に供給される電力を示す前記センシング情報を取得することができる。センサー2070は、第1電源によって負荷に流れる電流および/または負荷に印加される電圧を示すセンシング情報を取得することができる。
【0162】
コントローラー2090は、第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に交流電力(または、交流電圧またはRF電力)を提供することができる。コントローラー2090は、第1電源P1のインバータを制御するためのスイッチング信号を生成し、第1電源P1に伝達して第1電源P1の出力を制御することができる。
【0163】
コントローラー2090は、第2電源P2を介して電極2050に高電圧パルスを印加することができる。コントローラー2090は、第2電源P2のパルス生成器を制御するためのパルス制御信号を生成し、第2電源P2に伝達して第2電源P2の出力を制御することができる。
【0164】
コントローラー2090は、センサー2070を介して、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得することができる。コントローラー2090は、センサー2070を介してセンシング情報を取得し、取得したセンシング情報に基づいて第1電源P1および/または第2電源P2の動作状態を変更することができる。
【0165】
一実施例によれば、コントローラー2090は、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧で前記高電圧パルスを印加し、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記第1電圧より大きい第2電圧で前記高電圧パルスを印加することができる。
【0166】
他の一実施例によれば、コントローラー2090は、前記第2時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に第1周期で前記高電圧パルスを印加し、前記第2時点から第1時間後である第3時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記第1周期より小さい第2周期で前記高電圧パルスを印加することができる。
【0167】
また、他の一実施例によれば、コントローラー2090は、前記第1時点から第1大きさで前記負荷に前記RF電圧を印加し、前記第1時点以降で前記第2時点以前である第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第1大きさより大きい第2大きさで前記負荷に前記RF電圧を印加することができる。
【0168】
一方、コントローラー2090は、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧で前記高電圧パルスを印加し、前記第2時点より遅れた第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記高電圧パルスの印加を中断することができる。
【0169】
2.2 制御方法
図16は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法を説明するための図である。
【0170】
図16を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、負荷にRF電圧を印加するステップS110と、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130と、センシング情報に基づいて第2電源を制御するステップS150と、を含むことができる。
【0171】
一実施例によれば、プラズマ生成装置2000は、プラズマ生成空間を提供するチャンバー2010と、チャンバー2010の周辺に位置し、第1電源P1から電力を供給されるアンテナモジュール2030と、チャンバー2010の周辺に位置し、第2電源P2から電力を供給される電極2050と、センサー2070と、第1電源P1と第2電源P2を制御するコントローラー2090と、を含むプラズマ生成装置2000を制御する方法を提供することができる。
【0172】
負荷にRF電圧を印加するステップS110は、コントローラー2090が、第1時点から、前記第1電源P1を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加することを含むことができる。
【0173】
プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130は、コントローラー2090が、前記RF電圧による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得することを含むことができる。
【0174】
センシング情報に基づいて第2電源P2を制御するステップS150は、コントローラー2090が、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源P2を制御することを含むことができる。
【0175】
コントローラー2090が第2電源P2を制御するステップS150は、コントローラー2090が、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されなかったことを指示する場合、前記第2電源P2を介して前記電極2050に前記パルスを印加し、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されたことを指示する場合、前記電極2050に前記パルスを印加しないように用意された前記所定の条件により動作することを含むことができる。
【0176】
一実施例によれば、コントローラー2090が第2電源P2を制御するステップS150は、コントローラー2090が、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源P2を介して前記電極2050に高電圧パルスを印加せず、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源P2を介して前記電極2050に前記高電圧パルスを印加することを含むことができる。これに関しては、以下の実施例1でより詳細に説明する。
【0177】
コントローラー2090は、センサー2070を介して、第1電源P1から負荷に供給される電力に関するセンシング情報を取得することができる。このとき、前記コントローラー2090が前記第2電源P2を制御することは、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以下であることを示す場合、前記電極2050に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以上であることを示す場合、前記電極2050に前記パルス電圧を印加しないことを含むことができる。
【0178】
一実施例によれば、第1電源P1は直流電源及び前記直流電源をRF電力に変換するインバータを含み、センサー2070は前記第1電源P1の前記直流電源と前記インバータとの間に位置し、前記直流電源によって出力される第1電圧及び前記直流電源から出力される第1電流を取得することができる。このとき、コントローラー2090が前記第2電源P2を制御することは、コントローラー2090が前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて決定された前記負荷に供給される電力に基づいて前記第2電源P2を制御する、ことを含むことができる。
【0179】
一実施例によれば、センサー2070は、前記アンテナモジュール2030に流れる第2電流に関連するセンシング情報を取得することができる。コントローラー2090が前記第2電源P2を制御することは、前記コントローラーが前記センシング情報を取得し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記パルス電圧を印加し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しないことを含むことができる。
【0180】
プラズマ生成装置の制御方法は、電極に単位パルスを印加することに応答してプラズマが発生しない場合、電極に増加した電圧の単位パルスを印加することを含むことができる。
【0181】
一実施例によれば、コントローラー2090が前記第2電源を制御するステップは、コントローラーが、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧で前記高電圧パルスを印加し、前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記高電圧パルスを印加しないステップと、コントローラーが、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記第1電圧より大きい第2電圧で前記高電圧パルスを印加することをさらに含むことができる。
【0182】
プラズマ生成装置の制御方法は、プラズマ放電が発生すると、すなわちプラズマ放電に関するセンシング情報が取得されると、第2電源の動作を中断することをさらに含むことができる。
【0183】
一実施例によれば、コントローラー2090が前記第2電源を制御するステップは、コントローラー2090が、前記第2時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に第1電圧で前記高電圧パルスを印加するステップと、コントローラー2090が、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たす場合、前記高電圧パルスの印加を中断するステップと、を含むことができる。
【0184】
プラズマ生成装置の制御方法は、電極に単位パルスを印加することに応答してプラズマが発生しない場合、減少した時間間隔で電極に単位パルスを印加することを含むことができる。
【0185】
一実施例によれば、コントローラーが前記第2電源を制御することは、前記第2時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に第1周期で前記高電圧パルスを印加し、前記第2時点から第1時間後である第3時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記第1周期より小さい第2周期で前記高電圧パルスを印加することをさらに含むことができる。
【0186】
一方、上記実施例では、プラズマ生成装置の制御方法がセンシング情報に基づいて第2電源P2を制御するステップS150を含む場合を参照して説明したが、本明細書で説明する発明の内容はこれに限定されない。例えば、プラズマ生成装置の制御方法は、センシング情報に基づいて第1電源P1を制御するステップを含むことができる。
【0187】
一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、電極に単位パルスを印加することに応答してプラズマが発生しない場合、増加した振幅でアンテナモジュールにRF電圧を印加することを含むことができる。
【0188】
一実施例によれば、コントローラーが前記第1電源を介して前記負荷に前記RF電圧を印加することは、前記第1時点から第1大きさで前記負荷に前記RF電圧を印加し、前記第1時点以降で前記第2時点以前である第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第1大きさより大きい第2大きさで前記負荷に前記RF電圧を印加することをさらに含むことができる。
【0189】
2.3 DC高電圧印加変調
一実施例によれば、プラズマ生成装置は、所定の条件に基づいてDC高電圧パルスの印加可否を決めることができる。プラズマの状態に応じて、DC高電圧パルスの印加可否を決めることができる。プラズマ生成装置は、プラズマイグニッション(または、生成)か否かに応じて、DC高電圧パルスの印加可否を決めることができる。
【0190】
具体的な例として、プラズマ生成装置の制御方法は、アンテナモジュールにRF電圧を印加して初期放電を誘導するが、所定時間以内に初期放電(または、イグニッション)が発生しないと、電極に高電圧パルスを印加して初期放電を補助することを含むことができる。例示したように、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールにRF電圧を優先的に印加し、初期放電が発生しない場合にのみ電極に高電圧パルスを印加することによって、高電圧パルスによる装置の損傷ないし微細粒子の発生を抑制することができる。
【0191】
他の具体的な例として、プラズマ生成装置は、電極に単位高電圧パルスを少なくとも1回印加した後、プラズマ発生に関する所定の条件が満足されたか否かを判断し、条件が満たさない場合(すなわち、プラズマが発生しない場合)、高電圧パルスの出力状態を変更することができる。例えば、プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点から第1電源を介してアンテナモジュールにRF電圧を印加し、第1時点以降の第2時点で(または、第2時点以降から)センシング情報が所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記高電圧パルスを印加して第1電力を出力し、前記第2時点以降の第3時点で前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極に前記高電圧パルスを印加して前記第1電力より大きい第2電力を出力することができる。プラズマ生成装置が電極に前記高電圧パルスを印加して前記第1電力より大きい第2電力を出力することは、高電圧パルスの電圧を増加させるか、または高電圧パルスの数を増加させることを含むことができる。
【0192】
2.3.1 実施例1
一実施例によれば、アンテナモジュールにRF電圧を印加し、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するが、所定時間内にセンシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するプラズマ生成装置を提供することができる。一実施例によれば、プラズマ生成装置の制御方法は、プラズマ発生が感知されないと、電極に高電圧パルスを印加することを含むことができる。
【0193】
プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点から、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールを含む負荷にRF電圧を印加し、前記RF電圧による前記プラズマの状態に関する前記センシング情報を取得し、前記第1時点から所定時間後の第2時点から、前記センシング情報に基づいて前記第2電源を制御することができる。
【0194】
プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点以降にセンシング情報を取得することができる。プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点以降に、第1時点以降に印加されたRF電圧による変化が反映されたプラズマの状態に関するセンシング情報を取得することができる。プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点から所定時間後の第2時点以降に取得されたセンシング情報に基づいて第2電源を制御することができる。プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第2時点以降に取得されたセンシング情報に基づいて第2電源を制御することができる。
【0195】
プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、前記第2時点で、前記センシング情報が前記所定の条件を満たさない場合、前記第2電源を介して前記電極にパルス電圧を印加するが、前記第2時点で前記センシング情報が所定の条件を満たす場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルス電圧を印加しなくてもよい。
【0196】
プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、前記コントローラーが、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されなかったことを指示する場合、前記第2電源を介して前記電極に前記パルスを印加するが、前記センシング情報が前記チャンバー内に前記プラズマが生成されたことを指示する場合、前記電極に前記パルスを印加しないように用意された前記所定の条件に従って動作することができる。
【0197】
プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以下であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加するが、前記第2時点で前記センシング情報が前記負荷に供給される電力が基準電力以上であることを示す場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しなくてもよい。
【0198】
一実施例によれば、第1電源は直流電源及び前記直流電源をRF電力に変換するインバータを含むことができる。センサーは、前記第1電源の前記直流電源と前記インバータとの間に位置し、前記直流電源によって出力される第1電圧及び前記直流電源から出力される第1電流を取得することができる。
【0199】
コントローラーは、前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて決定された前記負荷に供給される電力に基づいて前記電極に前記パルス電圧を印加することができる。
【0200】
例えば、プラズマ生成装置は、センサーを介して、第1電源から負荷に供給される電力値を取得し、取得された電力値が所定の条件値を超えるかどうかに基づいて第2電源を制御することができる。プラズマ生成装置は、取得された電力値が所定の条件値を超えないと、第2電源を介して電極に高電圧パルスを印加するが、取得された電力値が所定の条件値を超えると、第2電源を介して電極に高電圧パルスを印加しなくてもよい。または、プラズマ生成装置は、取得された電力値が所定の比率を超えるかどうかに基づいて第2電源を制御してもよい。
【0201】
他の一実施例によれば、センサーは、前記アンテナモジュールに流れる第2電流に基づいて前記センシング情報を取得することができる。
【0202】
コントローラーは、前記センシング情報を取得し、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たさない場合、前記電極に前記パルス電圧を印加するが、前記第2時点で前記第2電流及び前記RF電圧の位相差が前記所定の条件を満たす場合、前記電極に前記パルス電圧を印加しなくてもよい。
【0203】
例えば、プラズマ生成装置は、センサーを介してアンテナモジュールに流れる電流の位相情報を取得し、コントローラーによって生成されるスイッチング信号からアンテナモジュールに印加される電圧の位相情報を取得し、アンテナモジュールに流れる電流の位相情報及びアンテナモジュールに印加される電圧の位相情報に基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断することができる。
【0204】
図17は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法を説明するための図である。
【0205】
図17を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、負荷にRF電圧を印加するステップS110と、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130と、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS151と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するステップS152と、を含むことができる。
【0206】
プラズマ生成装置の制御方法は、アンテナモジュールにRF電圧を印加し、一定時間間隔でセンサーを介してセンシング情報を取得し、センシング情報に基づいてパルス発生器を含む第2電源の動作状態を変更することを含むことができる。例えば、プラズマ生成装置の制御方法は、アンテナモジュールにRF電圧を印加し、一定時間間隔でセンサーを介してセンシング情報を取得し、センシング情報に基づいてパルス発生器を含む第2電源の動作状態を変更することを含むことができる。
【0207】
図18は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。以下では、
図15を参照して
図18で説明する出力電流及び高電圧パルスの出力について説明する。
【0208】
図18の(a)は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による、アンテナモジュール(または負荷)に流れる出力電流i
RFを示す図である。出力電流i
RFは、プラズマ生成装置2000が第1電源P1の交流電源を駆動することによって負荷またはアンテナモジュールに流れる電流であり得る。出力電流i
RFは、プラズマ生成装置が交流電源を介してアンテナモジュールに交流電圧を印加することによってアンテナモジュール(ないし負荷)で測定される交流電流であり得る。
【0209】
一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1電源P1を介して、アンテナモジュール2030に交流電圧を印加することを含むことができる。
図18の(a)及び(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1からアンテナモジュール2030に交流電圧を印加することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点から第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に交流電圧を印加し、アンテナモジュール2030に流れる出力電流i
RFを取得することを含むことができる。
【0210】
一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第2電源P2を介して、電極2050に高電圧パルスを印加することを含むことができる。
図18の(b)は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による、高電圧パルスV
igの波形を示す図である。
図18の(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2電源P2を介して、電極2050に一定の周期で高電圧パルスを印加することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2以降、プラズマ発生が感知されるまで電極2050に高電圧パルスを一定の周期(以下の例では、第1時間間隔PT1)で印加することを含むことができる。
【0211】
図18の(b)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1から所定の時間間隔PT以降の第2時点t2から電極2050に高電圧パルスを印加することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2で(または、少なくとも第2時点t2以降に)、電極2050に第1単位パルスUP1を印加することを含むことができる。
【0212】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、別途の電力センサー、電流センサーまたは電圧センサーを介してプラズマ発生の有無を示す情報を取得し、取得された情報に基づいて第2電源P2を制御することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、センサー2070を介して取得された情報に基づいて、高電圧パルスが印加されるか否かを決めることを含むことができる。
【0213】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1から第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に交流電圧を印加することに応答して、第2時点t2でチャンバー2010内にプラズマが発生しない場合、少なくとも第2時点t2以降で電極2050に第1単位パルスUP1を印加することを含むことができる。
【0214】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2で電極2050に第1単位パルスUP1を印加し、第2時点t2から第1時間間隔PT1以降で電極2050に第2単位パルスUP2を印加することを含むことができる。
【0215】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2で電極2050に第1単位パルスUP1を印加した後にプラズマが発生しない場合、第2時点t2から第1時間間隔PT1以降に電極2050に第2単位パルスUP2を印加することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2で電極2050に第1単位パルスUP1を印加し、第1単位パルスUP1の印加に応答してプラズマ放電が発生しない場合、第2時点t2から第1時間間隔PT1以降に電極2050に第2単位パルスUP2を印加することを含むことができる。
【0216】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2単位パルスUP2を印加し、第2単位パルスUP2が印加された時から第1時間間隔PT1以降に、電極2050に第3単位パルスUP3を印加することを含むことができる。
【0217】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、高電圧パルス印加を中断することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、チャンバー2010内のプラズマ発生が感知されると、電極2050に高電圧パルスを印加することを中断することを含むことができる。
図18の(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第3単位パルスUP3を印加し、チャンバー2010内にプラズマが発生することに応答して、電極2050に高電圧パルスを印加することを中断することを含むことができる。
【0218】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、別途の電力センサー、電流センサーまたは電圧センサーを介して取得された値に基づいて高電圧パルスの印加を中断することを含むことができる。すなわち、プラズマ生成装置2000の制御方法は、センサー2070を介してプラズマの状態を示す測定値を取得し、プラズマが発生したことを示す測定値を取得することに応答して高電圧パルスの印加を中断することを含むことができる。
【0219】
2.3.2 実施例2
一実施例によれば、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得し、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に印加されるパルスの電圧を増加させるプラズマ生成装置を提供することができる。一実施例によれば、プラズマ生成装置の制御方法は、プラズマ発生が感知されないと、電極に印加されるパルスの電圧を増加させることを含むことができる。
【0220】
図19は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法を説明するための図である。
図19で説明するプラズマ生成装置の制御方法について、
図16の内容を同様に適用することができる。
【0221】
図19を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、上述したプラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130の後に、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS161と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するステップS162と、電極に高電圧パルスを印加した後、再びセンシング情報を取得し、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS163と、高電圧パルスの電圧を増加させるステップS164と、を含むことができる。
【0222】
プラズマ生成装置の制御方法は、周期的にセンシング情報を取得し、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断することを含むことができる。プラズマ生成装置の制御方法は、周期的にセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断し、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、高電圧パルスの電圧値を増加させることを含むことができる。
【0223】
図19を参照すると、プラズマ生成装置の制御方法は、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するステップS162と、電極に高電圧パルスを印加した後、再びセンシング情報を取得し、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS163と、高電圧パルスの電圧を増加させるステップS164と、を繰り返し実行することを含むことができる。
【0224】
図20は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法によるRF電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【0225】
図20を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、上述したプラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130の後に、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS165と、センシング情報が所定の条件を判断しない場合、電極に第1電圧で高電圧パルスを印加するステップS166と、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS167と、電極に第2電圧で高電圧パルスを印加するステップS168と、を含むことができる。
【0226】
図20を参照すると、プラズマ生成装置の制御方法は、第1時点で第1センシング情報を取得するステップS130と、取得された第1センシング情報が所定の条件を満たさない場合、第2電源を介して電極に第1電圧で高電圧パルスを印加するステップS166と、第1時点以降の第2時点で第2センシング情報を取得するステップ(図示せず)と、取得された第2センシング情報が所定の条件を満たさない場合、第2電源を介して電極に第1電圧より大きい第2で高電圧パルスを印加するステップS168と、を含むことができる。
【0227】
図21は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。以下では、
図15に例示するプラズマ生成装置2000を参照して、一実施例によるプラズマ生成装置2000から出力されるRF電流及び高電圧パルスについて説明する。
【0228】
図21の(a)は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による、アンテナモジュール(または、負荷)に流れる出力電流i
RFを示す図である。一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1電源P1を介して、第1時点t1から、アンテナモジュール2030に交流電圧を印加することを含むことができる。出力電流i
RFを生成するか、またはアンテナモジュール2030に交流電圧を印加するプラズマ生成装置2000またはプラズマ生成装置2000の動作については、
図18と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0229】
図21の(b)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第2電源P2を介して、電極2050に高電圧パルスを印加することを含むことができる。高電圧パルス印加動作に関しては、特に説明しない限り、
図18と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0230】
一実施例によれば、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2以降、プラズマ発生が感知される時まで電極2050に高電圧パルスを一定の周期(以下の例では、第1時間間隔PT1)で印加することを含むことができる。このとき、印加される単位高電圧パルスの強度を変更することができる。
【0231】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、別途の電力センサー、電流センサーまたは電圧センサーを介してプラズマ発生の有無を示す情報を取得し、取得された情報に基づいて第2電源P2を制御することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、センサー2070を介して取得された情報に基づいて、高電圧パルスを印加するか否かを決定することを含むことができる。
【0232】
図21の(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1から所定時間PT以降の第2時点t2で(または、少なくとも第2時点t2以降に)、電極2050に第1単位パルスUP1を印加することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1から第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に交流電圧を印加することに応答して、第2時点t2でチャンバー2010内にプラズマが発生しない場合、少なくとも第2時点t2以降で電極2050に第1単位パルスUP1を印加することを含むことができる。
【0233】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2から第1時間間隔PT1以降で、電極2050に第2単位パルスUP2を印加することを含むことができる。第2単位パルスUP2は第1単位パルスUP1より大きい値を有することができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2から決まった時間間隔PT1以内にプラズマが発生しない場合、第2時点t2から所定の時間間隔PT1以降で、電極2050に第1単位パルスUP1より大きい電圧で第2単位パルスUP2を印加することを含むことができる。
【0234】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、第2単位パルスUP2を印加し、第2単位パルスUP2が印加された時から第1時間間隔PT1以降で、電極2050に第2単位パルスUP2より大きい電圧で第3単位パルスUP3を印加することを含むことができる。
【0235】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、センサー2070を介して取得された値に基づいて、電極2050に高電圧パルス印加を中断することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、センサー2070を介して取得された値が所定の条件を満たす場合、電極2050に高電圧パルスを印加することを中断することを含むことができる。
図21の(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第3単位パルスUP3を印加した後に、(例えば、第3時点t3で)チャンバー2010内にプラズマが発生することに応答して、電極2050に高電圧パルスを印加することを中断することを含むことができる。
【0236】
2.3.3 実施例3
一実施例によれば、アンテナモジュールにRF電圧を印加し、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得し、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に印加される高電圧パルスの周期を調整するプラズマ生成装置を提供することができる。一実施例によれば、プラズマ生成装置の制御方法は、プラズマ発生が感知されないと、高電圧パルスを発生させる第2電源の動作周期を減少させることを含むことができる。
【0237】
図22は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法を説明するための図である。
【0238】
図22を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、上述したプラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130の後に、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS171と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するステップS172と、電極に高電圧パルスを印加した後、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS173と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、高電圧パルスの周期を減少させるステップS174と、をさらに含むことができる。
【0239】
プラズマ生成装置の制御方法は、周期的にセンシング情報を取得し、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断し、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に印加される高電圧パルスの周期(時系列的に隣接する高電圧パルス間の時間間隔)を減少させることを含むことができる。
【0240】
図22を参照すると、プラズマ生成装置の制御方法は、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するステップS172と、電極に高電圧パルスを印加した後、再びセンシング情報を取得し、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS173と、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たさない場合、高電圧パルスの電圧を増加させるステップS174と、を繰り返し実行することを含むことができる。
【0241】
図23は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法によるRF電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【0242】
図23を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、上述したプラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130の後に、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS175と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを第1時間間隔で印加するステップS176と、電極に高電圧パルスを第1時間間隔で印加した後、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS177と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを第2時間間隔で印加するステップS178と、をさらに含むことができる。
【0243】
図23を参照すると、プラズマ生成装置の制御方法は、第1時点で第1センシング情報を取得するステップS130と、取得された第1センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS175と、取得された第1センシング情報が所定の条件を満たさない場合、第2電源を介して電極に第1時間間隔で高電圧パルスを印加するステップS176と、第1時点以降の第2時点で第2センシング情報を取得するステップ(図示せず)と、取得された第2センシング情報が所定の条件を満たさない場合、第2電源を介して電極に第1時間間隔より小さい第2時間間隔で高電圧パルスを印加するステップS178と、を含むことができる。
【0244】
図24は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。特に説明がない限り、
図24と関連して説明されるプラズマ生成装置2000の制御方法において、上述した
図18及び
図21の内容を同様に適用することができる。
【0245】
図24の(a)は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法によって、第1電源P1を介して、第1時点t1から、アンテナモジュール2030に交流電圧を印加すると、アンテナモジュール(または、負荷)に流れる出力電流i
RFを示す図である。
図24の(a)に関しては、
図18の(a)と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0246】
一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、交流電圧によって所定時間内にプラズマが発生しないと、高電圧パルスを発生させてプラズマ発生を誘導し、高電圧パルスの印加周期を徐々に減少させることによって装置の損傷及び副産物の発生を最小限に抑えることを含むことができる。高電圧パルス印加動作に関しては、特に説明がない限り、
図18と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0247】
図24の(b)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点から所定時間PT以降の第2時点t2で電極2050に第1単位パルスUP1を印加し、第2時点t2から第1時間間隔PT1以降の第3時点t3で電極に第2高電圧パルスUP2を印加し、第3時点t3から第2時間間隔PT2以降の第4時点で電極に第3高電圧パルスUP3を印加することを含むことができる。このとき、第2時間間隔PT2は第1時間間隔PT1より短くてもよい。
【0248】
一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第2時点t2で電極2050に第1単位パルスUP1を印加し、第2時点t2以降の第1時間間隔PT1の間にプラズマ状態を示すセンシング情報を取得し、センシング情報に基づいて所定の条件を満たすか否かを判断し、所定の条件が満たさない場合(すなわち、プラズマが生成されない場合)、第3時点t3で電極2050に第2単位パルスUP2を印加することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第3時点t3以降の第2時間間隔PT2の間にプラズマ状態を示すセンシング情報を取得し、センシング情報に基づいて所定の条件を満すか否かを判断し、所定の条件が満たさない場合、第4時点t4で電極2050に第3単位パルスUP3を印加することをさらに含むことができる。
【0249】
図24と関連して説明するプラズマ生成装置2000の制御方法に関して、パルスの印加中断に対する内容を同様に適用することができる。
図24の(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第3単位パルスUP3を印加した後に、(例えば、第3時点t5で)プラズマが発生に関連したセンシング情報を取得し、電極2050に高電圧パルスを印加することを中断することを含むことができる。
【0250】
一方、
図24の(b)では、個別の単位パルス間の時間間隔が変更される形態の実施例を基準として説明したが、本明細書で説明する発明の内容はこれに限定されない。例えば、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、プラズマの発生が感知されるまで、電極2050に印加される高電圧パルスの周期を徐々に減少させることを含むことができる。換言すれば、プラズマ生成装置2000の制御方法は、電極2050に第1周期で1つ以上の単位高電圧パルスを印加し、第1周期で1つ以上の単位高電圧パルスを印加することに応答してセンシング情報を取得し、プラズマが発生しない場合、電極2050に第1周期より短い第2周期で1つ以上の高電圧パルスを印加することをさらに含むことができる。
【0251】
2.4 RF信号変調
一実施例によれば、プラズマ生成装置は、センシング情報及び所定の条件に基づいてRF電源を制御することができる。プラズマ生成装置は、プラズマの状態に応じて(例えば、プラズマイグニッション(または、生成)の有無に応じて)RF電源を介して出力される電力を制御することができる。
【0252】
具体的な例として、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールにRF電圧を印加して初期放電を誘導するが、所定時間以内に初期放電(または、イグニッション)が発生しないと、RF電源によって提供される電流の大きさを段階的に増加させることができる。例えば、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールにRF電圧を印加し始めてから所定時間以内に初期放電(または、イグニッション)が発生しないと、アンテナモジュールに印加されるRF電圧の強度を段階的に変更することができる。
【0253】
プラズマ生成装置は、初期放電(または、イグニッション)が発生した場合、RF電圧をこれ以上増加させないことによってアンテナモジュールに過度な電圧が印加されることを防止することができる。
【0254】
他の具体的な例として、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールにRF電圧を一定時間印加した後、プラズマ発生に関する所定の条件が満たされたか否かを判断し、条件が満たさない場合(すなわち、プラズマが発生しない場合)、RF電圧の出力状態を変更することができる。例えば、プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点から第1電源を介してアンテナモジュールにRF電圧を印加して第1電力を出力し、第1時点以降の第2時点でセンシング情報が所定の条件を満たさない場合、前記第1電源を介して前記アンテナモジュールにRF電圧を印加して第1電力より大きい第2電力を出力することができる。プラズマ生成装置がアンテナモジュールに前記RF電圧を印加して前記第1電力より大きい第2電力を出力することは、第2時点からRF電圧の大きさを増加させることを含むことができる。
【0255】
一実施例によるプラズマ生成装置は、アンテナモジュールにRF電圧を印加し始めてから所定時間以内に初期放電(または、イグニッション)が発生しないと、出力されるRF電流(またはRF電圧)の周波数を変更することができる。プラズマ生成装置は、RF電流(またはRF電圧)の周波数を増加させることができる。プラズマ生成装置は、アンテナモジュールに印加されるRF電圧及びRF電流の位相差に基づいてRF電流(またはRF電圧)の周波数を変更することができる。プラズマ生成装置は、アンテナモジュールに印加されるRF電圧及びRF電流の位相差が減るようにRF電流(またはRF電圧)の周波数を変更することができる。
【0256】
具体的な例として、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールにRF電圧を一定時間印加した後、プラズマ発生に関する所定の条件が満たされたか否かを判断し、条件が満たさない場合、RF電力の出力周波数を変更することができる。例えば、プラズマ生成装置またはそのコントローラーは、第1時点から第1電源を介してアンテナモジュールに第1周波数を駆動周波数としてRF電力を提供し、第1時点以降の第2時点でセンシング情報が所定の条件を満たさない場合、駆動周波数を第2周波数に変更することができる。第2周波数は第1周波数より大きくてもよい。プラズマ生成装置は、初期放電(または、イグニッション)が発生した場合、RF電源の駆動周波数を維持することができる。
【0257】
2.4.1 実施例4
一実施例によれば、アンテナモジュールにRF電圧を印加し、プラズマの状態に関するセンシング情報を取得するが、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、電極に高電圧パルスを印加するプラズマ生成装置を提供することができる。一実施例によれば、プラズマ生成装置の制御方法は、プラズマ発生が感知されると、電極に高電圧パルスを印加することを含むことができる。
【0258】
図25は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法を説明するための図である。
【0259】
図25を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、上述したプラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130の後に、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS181と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、RF電圧の大きさを増加させるステップS182と、をさらに含むことができる。
【0260】
プラズマ生成装置の制御方法は、周期的にセンシング情報を取得し、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断し、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、RF電源によって出力される電圧の大きさ(最大値または実効値)を増加させることを含むことができる。
【0261】
図25を参照すると、プラズマ生成装置の制御方法は、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、アンテナモジュールに交流電圧を印加してセンシング情報を取得するステップと、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS181と、取得されたセンシング情報が所定の条件を満たさない場合、RF電源の電圧を増加させるステップS182と、を繰り返し実行することを含むことができる。
【0262】
図26は、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法によるRF電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。
【0263】
図26を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、上述したプラズマの状態に関するセンシング情報を取得するステップS130の後に、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS183と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、負荷に第1大きさでRF電圧を印加するステップS184と、負荷に第1大きさでRF電圧を印加した後、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS185と、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、負荷に第2大きさでRF電圧を印加するステップS186と、をさらに含むことができる。
【0264】
図26を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、第1時点で第1センシング情報を取得するステップS130と、取得された第1センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS183と、取得された第1センシング情報が所定の条件を満たさない場合、第1電源を介してアンテナモジュールに第1大きさを有する交流電圧を印加するステップS184と、第1時点以降の第2時点で第2センシング情報を取得するステップ(図示せず)と、取得された第2センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断するステップS185と、第2センシング情報が所定の条件を満たさない場合、第1電源を介してアンテナモジュールに第1大きさより大きい第2大きさを有する交流電圧を印加するステップS186と、を含むことができる。
【0265】
図27は、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法による出力電流及び高電圧パルスの出力を説明するための図である。以下では、
図15に例示するプラズマ生成装置2000を参照してプラズマ生成装置2000の制御方法について説明する。
【0266】
図27の(a)及び(b)によるアンテナモジュール2030の電流i
RF及び高電圧パルスV
igに関して、以下で特に説明がない限り、
図18の(a)及び(b)と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0267】
図27の(a)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に印加される交流電圧の大きさを順次増加させることを含むことができる。アンテナモジュール2030に印加される電圧の強度を増加させるにつれて、測定されるアンテナモジュールの電流i
RFの強度を増加させることができる。以下では、
図27の(a)を参照して交流電圧の大きさの変更によってプラズマ生成装置2000を制御する方法について説明する。
【0268】
一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1からアンテナモジュール2030に第1電圧を最大電圧とする交流電圧を印加し、第2時点t2からアンテナモジュール2030に第2電圧を最大電圧とする交流電圧を印加することを含むことができる。
【0269】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、プラズマ発生の有無に基づいて、第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に印加する交流電圧の大きさを変更することを含むことができる。
【0270】
例えば、一実施例によるプラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1からアンテナモジュール2030に第1電圧を最大電圧とする交流電圧を印加し、アンテナモジュール2030に第1電圧を最大電圧とする交流電圧を印加することに応答して、第1時点t1から第2時点t2の間に、プラズマ状態を示すセンシング情報を取得することを含むことができる。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第1時点t1から第2時点t2の間に取得されたセンシング情報がプラズマが生成されなかったことを示す場合、第2時点からアンテナモジュール2030に第2電圧を最大電圧とする交流電圧を印加することをさらに含むことができる。第2電圧は第1電圧より大きくてもよい。従って、第2時点以降でアンテナモジュール2030に流れる電流iRFの最大値(または、実効値)は第2時点より前にアンテナモジュール2030に流れる電流iRFの最大値(または、実効値)より大きい値を有することができる。
【0271】
第2時点t2は、第1時点t1から第3時間間隔PT3以降であり得る。第3時間間隔PT3は、第1電源P1によって印加される交流電圧の周期(または、半周期)の整数倍であり得る。
【0272】
図27の(a)を参照すると、第2時点以降の第3時点、第4時点でも上述した実施例と同様な形態で交流電圧(及びこれに伴うアンテナモジュール2030の電流i
RF)が変更されることができる。第3時点t3は、第2時点t2から第3時間間隔PT3以降であり、第4時点t4は、第3時点t3から第3時間間隔PT3以降であり得る。
【0273】
図27の(a)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、所定時間PTが経過すると、アンテナモジュール2030に印加する電圧の強度は維持するが、電極2050に高電圧パルスを印加することをさらに含むことができる。
【0274】
プラズマ生成装置2000の制御方法は、所定時間PTの間に第1電源P1を介してアンテナモジュール2030に印加する電圧の強度を段階的に増加させるが、所定時間PTの間にプラズマが発生しないと、第2電源P2を介して電極2050に高電圧パルスを印加することをさらに含むことができる。
【0275】
例えば、
図27の(b)を参照すると、プラズマ生成装置2000の制御方法は、第4時点t4以降の第5時点t5で、第2電源P2を用いて電極2050に高電圧パルスを印加することを含むことができる。第5時点t5は、第4時点t4から第3時間間隔PT3以降であり得る。プラズマ生成装置2000の制御方法は、第5時点t5以降、
図18、21及び24で説明したのと同様に第2電源P2を制御することをさらに含むことができる。
【0276】
2.5 複合制御
以上の説明では、プラズマの状態変化に基づいて、高電圧パルスの印加可否を調整したり、RF交流電源によって印加される電圧の強度を調整する実施例について説明したが、本明細書によって説明される発明の内容はこれに限定されない。
【0277】
例えば、
図27と関連して説明した実施例でプラズマ生成装置は、所定時間PT以降に、
図18または
図21または
図24で説明した実施例のように第2電源P2を介した高電圧パルスの印加可否、印加間隔または強度を調整することができる。
【0278】
具体的な例として、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、高電圧パルスの強度及び間隔を調整してプラズマ放電を補助することを含むことができる。例えば、プラズマ生成装置の制御方法は、第1時点からアンテナモジュールに交流電圧を印加するステップと、第1時点以降第2時点前にプラズマ発生が感知されないと、第2時点で電極に第1電圧を有する第1高電圧パルスを印加するステップと、第2時点以降第3時点前にプラズマ発生が感知されないと、第3時点で電極に第1電圧より大きい第2電圧を有する第2高電圧パルスを印加するステップと、第3時点以降第4時点前にプラズマ発生が感知されないと、第4時点で電極に第3電圧より大きい第3電圧を有する第2高電圧パルスを印加するステップと、を含むことができる。このとき、第2時点と第3時点との間の時間間隔は、第3時点と第4時点との間の時間間隔より大きくてもよい。
【0279】
他の具体的な例として、一実施例によるプラズマ生成装置の制御方法は、高電圧パルスの強度(または、間隔)及びRF電源の強度を調整してプラズマ放電を補助することを含むことができる。例えば、プラズマ生成装置の制御方法は、第1時点から第2時点の間に、交流電源によって出力される電圧の大きさを段階的に増加させ、第2時点以降、パルス発生器によって生成される高電圧パルスの電圧の大きさを段階的に増加させることを含むことができる。
【0280】
3.プラズマ発生の感知
以上の実施例では、プラズマの状態に基づいて高電圧パルスまたは交流電圧を制御してプラズマの生成を効率的に補助しながら副産物の発生を抑制するためのプラズマ生成装置及びその制御方法などについて、いくつかの実施例で説明した。
【0281】
ただし、上記の実施例によれば、副産物の発生を効果的に抑制するために、電源(高電圧パルスまたは交流電圧)制御の基礎としてプラズマの状態変化感知が先行しなければならない。
【0282】
以下では、プラズマの状態変化を感知するための手段または方法についていくつかの実施例で説明する。
【0283】
3.1 電力変化の検出
一実施例によれば、プラズマが生成されたかどうかによって負荷に伝達される電力情報が変化することに基づいて、負荷に供給される電力に関連したセンシング情報を取得するセンサーを含み、電源によって負荷に供給される電力が変化することに基づいてプラズマ生成の有無を感知し、それに応じて、電源の動作を制御するプラズマ生成装置を提供することができる。
【0284】
以下では、電力変化に基づいて電源を制御するプラズマ生成装置またはその制御方法についていくつかの実施例で説明する。
【0285】
図28は、一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置2100を説明するための図である。
【0286】
図28を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2100は、チャンバー2110、アンテナモジュール2130、電極2150、センサー2170、及びコントローラー2190を含むことができる。プラズマ生成装置2100の各構成及び動作については、
図15のプラズマ生成装置2000と関連して説明した内容を類推適用することができる。
【0287】
図28を参照すると、センサー2170は、第1電源P1からセンシング情報を取得し、取得された情報をコントローラー2190に伝達することができる。コントローラー2190は、センサー2170を介して取得された情報に基づいて第1電源P1および/または第2電源P2を制御することができる。
【0288】
図29は、一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置を説明するための簡略な回路図である。
【0289】
図29を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、直流電源V
DD及びインバータを含み、センサー2171が位置される第1電源P1と、コントローラー2191と、高電圧パルス発生器を含む第2電源P2と、電極2151と、可変負荷と、を含むことができる。
【0290】
第1電源P1のインバータは、スイッチング信号SA、SB、SC、SDに従って動作することができる。インバータは、スイッチング信号SA、SB、SC、SDに従って直流電源VDDに基づいて負荷に交流電圧VRFを提供することができる。
【0291】
第2電源P2の高電圧パルス発生器は、パルス制御信号SPに従って動作し、電極2151に高電圧パルスを印加することができる。
【0292】
可変負荷は、アンテナモジュール及びチャンバー内に生成されるプラズマによるリアクタンス及びインダクタンスに応じて値が変化する負荷であり得る。
【0293】
センサー2171は、直流電源VDDとインバータとの間に位置し、負荷に伝達される電力に関するセンシング情報を取得することができる。センサー2171は、直流電源VDDによって出力される電圧および/または電流を取得することができる。センサー2171は、電圧および/または電流を取得し、コントローラー2191に伝達することができる。センサー2171は、電圧および/または電流によって決定される電力量Prefを取得し、コントローラー2191に伝達することができる。センサー2171は、電圧計および/または電流計を含むことができる。
【0294】
コントローラー2191は、スイッチング信号SA、SB、SC、SDを生成することができる。コントローラー2191は、スイッチング信号SA、SB、SC、SDを生成して、第1電源P1を介して負荷(または、アンテナモジュール)に交流電圧を印加することができる。
【0295】
コントローラー2191は、パルス制御信号SPを生成することができる。コントローラー2191は、パルス制御信号SPを生成して、第2電源P2を介して電極2151に高電圧パルスを印加することができる。
【0296】
コントローラー2191は、センサー2171を介して取得されたセンシング情報に基づいて第2電源P2の高電圧発生器を制御して、電極2151に高電圧パルスVigを印加することができる。コントローラー2191は、センサー2171を介して取得されたセンシング情報に基づいて、パルス制御信号SPを生成することができる。コントローラー2191は、センサー2171を介して取得されたセンシング情報に基づいて電極2151に印加される高電圧パルスVigの大きさおよび/または周期を調整することができる。コントローラー2191は、センサー2171を介して取得されたセンシング情報に基づいてアンテナモジュールに印加する交流電圧の大きさを調整することができる。
【0297】
例えば、コントローラー2191は、センシング情報を取得し、センシング情報が所定の条件を満たさない場合、パルス制御信号SPを生成して電極2151に高電圧パルスを印加することができる。
【0298】
また、例えば、コントローラー2191は、センシング情報を取得し、センシング情報が所定の条件を満たす場合、電極2151に高電圧パルスを印加しなくてもよい。
【0299】
また、例えば、コントローラー2191は、センシング情報を周期的に取得し、センシング情報が所定の条件を満たさなかったが所定の条件を満たすことになる場合、条件を満たすセンシング情報が取得された時点以降から、パルス制御信号SPの生成を中断して電極2151への高電圧パルスの印加を中断することができる。
【0300】
また、例えば、コントローラー2191は、センシング情報を周期的に取得し、センシング情報が所定の条件を満たしていたが所定の条件を満たさなくなる場合、条件を満たさないセンシング情報が取得された時点以降から、パルス制御信号SPを生成して電極2151に高電圧パルスを印加することができる。
【0301】
コントローラー2191が、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断することは、センシング情報が、プラズマの生成に関連した条件を満たすか否かを判断することを含むことができる。コントローラー2191が、所定の条件を満たすか否かを判断することは、センサー2171を介して取得された値を基準値と比較することを含むことができる。このとき、基準値はプラズマ生成状態を判断するための値であり得る。例えば、基準値は、センシングされた値が基準値以上である場合、プラズマが生成されたと見なされ、センシングされた値が基準値以下である場合、プラズマが生成されなかったと見なされるための閾値または閾値区間であり得る。
【0302】
具体的な例として、コントローラー2191は、センサー2171から電力情報Prefを取得し、電力情報Prefに基づいて、第1電源P1によって負荷に提供される電力が基準値以上か否かを判断することができる。コントローラー2191は、第1電源P1によって負荷に提供される電力が基準値以上か否かに基づいてプラズマ放電可否を判断することができる。コントローラー2191は、プラズマが生成されたことを示す電力値(または、基準値以上の電力値)を取得し、所定の条件が満たされた場合の動作を実行するか、またはプラズマが生成されなかったことを示す電力値(または、基準値未満の電力値)を取得し、所定の条件が満たされない場合の動作を実行してもよい。
【0303】
図30は、一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置における電力信号及び電力信号に基づいて変更される高電圧パルスの制御信号を示す図である。
【0304】
図30の(a)及び(b)は、
図28または
図29に例示するプラズマ生成装置において、負荷に流れる電流i
RF、パルス制御信号S
P及びパルス制御信号S
Pによって電圧に印加される高電圧パルスV
igの経時変化を示す図である。
【0305】
図30の(a)及び(b)を参照すると、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールに交流電圧を印加し、第1時点t
onから電極に高電圧パルスを印加することができる。プラズマ生成装置は、電力信号を取得し、電力信号に基づいてプラズマの放電(t
igで発生)が感知されると、高電圧パルス印加を中断t
offすることができる。
【0306】
図30の(a)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置によれば、プラズマの放電が発生した時点t
igから98ms以降に高電圧パルス印加が中断t
offできる。
図30の(b)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置によれば、プラズマの放電が発生した時点t
igから960ms以降に高電圧パルス印加が中断t
offできる。
【0307】
3.2 位相変化検出
一方、プラズマが発生した時点から、プラズマ発生に基づいてこれに伴う高電圧パルス印加(または、他のプラズマ放電補助動作)が中断されるまでの期間では、プラズマが発生したにも関わらず電極に高電圧パルスが印加され、不要な電力の浪費に加えて、プラズマのチャンバー壁面への衝突を引き起こして装置の損傷や不純物の発生を招く可能性がある。
【0308】
したがって、時間遅延を最小限に抑えることによって、装備の損傷や不純物の発生を最大限に抑えることができる。ただし、プラズマ生成によるセンシング情報として電力を利用する場合、電圧または電流信号のノイズ除去などに要する時間によって、電力変化が発生した時点から電力変化による電源制御が行われるまでの遅延時間が相対的に遅くなる可能性がある。電力変化ではなく、アンテナモジュールで測定される電圧及び電流間の位相差に基づいて電源の動作を制御することによって遅延時間をより短縮することができる。
【0309】
以下では、時間遅延を低減するための方法として、アンテナモジュール(または負荷)に印加される電圧及び電流の位相差に基づいて第1電源または第2電源の動作を制御するプラズマ生成装置またはその制御方法などについていくつかの実施例を説明する。
【0310】
図31は、各実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置2200を説明するための図である。
【0311】
図31を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置2200は、チャンバー2210と、アンテナモジュール2230と、電極2250と、センサー2270と、コントローラー2290と、を含むことができる。プラズマ生成装置2200の各構成及び動作については、
図15のプラズマ生成装置2000に関して上述した内容を類推適用することができる。
【0312】
図31を参照すると、センサー2270は、アンテナモジュール2230(または負荷)からセンシング情報を取得し、取得された情報をコントローラー2290に伝達することができる。コントローラー2290は、センサー2270を介して取得された情報に基づいて第1電源P1および/または第2電源P2を制御することができる。センサー2270は、アンテナモジュール2230(または負荷)に流れる電流、電流の位相、アンテナモジュール2230(または負荷)に印加される電圧及び電圧の位相のうち少なくとも1つを含むセンシング情報を取得し、コントローラー2290に伝達することができる。
【0313】
図32は、一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置を説明するための簡略な回路図である。
【0314】
図32を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、直流電源V
DD及びインバータを含む第1電源P1と、コントローラー2291と、高電圧パルス発生器を含む第2電源P2と、電極2251と、負荷に流れる電流を取得するセンサー2271と、可変負荷と、を含むことができる。
図32に例示するプラズマ生成装置と関連して、直流電源V
DD、第1電源P1、コントローラー2291、第2電源P2、電極2251及び可変負荷について、
図29と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0315】
図32を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、アンテナモジュール(または負荷)に流れる電流i
RFまたは電流i
RFの位相を取得するセンサー2271を含むことができる。センサー2271は、変流器、フィルター及び比較器を含むことができる。
【0316】
センサー2271は、負荷周辺に位置されてもよく、アンテナモジュールに接続され、アンテナモジュール(または負荷)に流れる電流iRFまたは電流iRFの位相を取得してもよい。センサー2271は、電流iRFまたは電流iRFの位相を取得し、コントローラー2291に伝達することができる。
【0317】
コントローラー2291は、センサー2271を介して取得されたセンシング情報に基づいて第1電源P1または第2電源P2を制御することができる。コントローラー2291は、センサー2271を介して電流iRFまたは電流iRFの位相を取得し、電流iRFまたは電流iRFの位相が所定の条件を満たすか否かを判断し、第1電源P1または第2電源P2を制御することができる。
【0318】
一方、負荷に流れる電流iRF及び負荷に印加される電圧VRFの位相差からプラズマ発生の有無を判断してもよい。例えば、一実施例によれば、チャンバー内にプラズマ放電が発生しない状態では、アンテナモジュールに交流電圧VRFを印加することによってアンテナモジュールに流れる電流iRFは、アンテナモジュールに印加される電圧VRFとほぼ同様の位相を有することができる。チャンバー内にプラズマ放電が発生した状態では、アンテナモジュールに交流電圧VRFを印加することによってアンテナモジュールに流れる電流iRFは、アンテナモジュールに印加される電圧VRFとは異なる位相を有することができる。
【0319】
コントローラー2291は、負荷に流れる電流iRF及び負荷に印加される電圧VRFの位相差に基づいて、第1電源P1または第2電源P2を制御することができる。
【0320】
コントローラー2291は、インバータに出力されるスイッチング信号SA、SB、SC、SDから、負荷に印加される電圧VRFまたは電圧VRFの位相を取得することができる。コントローラー2291は、センサー2271を介して電流iRFまたは電流iRFの位相を取得し、負荷に印加される電圧VRFと負荷に流れる電流iRFの位相差に基づいて、第1電源P1または第2電源P2を制御することができる。
【0321】
コントローラー2291が、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断することは、電流iRF情報が、プラズマの生成に関する条件を満たすか否かを判断することを含むことができる。コントローラー2291が、所定の条件を満たすか否かを判断することは、センサー2271を介して負荷に流れる電流iRFの位相を取得し、負荷に流れる電流iRFの位相を負荷に印加される電圧VRFの位相と比較することを含むことができる。コントローラー2291が、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断することは、負荷に流れる電流iRFの位相と負荷に印加される電圧VRFの位相の位相差が基準値以上か否かを判断することを含むことができる。
【0322】
コントローラー2291は、プラズマ放電の有無に応じて第1電源P1および/または第2電源P2を制御するために、負荷に流れる電流iRFの位相と負荷に印加される電圧VRFの位相の位相差が基準値以上か否かを判断し、位相差が基準値以上の場合(すなわち、プラズマ放電が発生した場合)、放電補助動作を行わず、位相差が基準値以下の場合(すなわち、プラズマ放電が発生しない場合)、放電補助動作を行うことができる。
【0323】
コントローラー2291は、負荷に流れる電流iRFの位相と負荷に印加される電圧VRFの位相の位相差が基準値以上か否かを判断し、位相差が基準値より大きいと、第2電源P2を介して電極2251に高電圧パルスを印加しなくてもよい。
【0324】
コントローラー2291は、センシング情報が所定の条件を満たすか否かを判断することは、負荷に流れる電流iRFの位相と負荷に印加される電圧VRFの位相の位相差が基準値以上か否かを判断し、位相差が基準値より小さいと、第2電源P2を介して電極2251に高電圧パルスを印加することができる。
【0325】
図33は、一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置を説明するための簡略な回路図である。
図33に例示するプラズマ生成装置に関連して、
図29及び
図32と関連して説明した内容を同様に適用することができる。
【0326】
図33を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置は、アンテナモジュール(または負荷)に流れる電流i
RFまたは電流i
RFの位相を取得するセンサー2273を含むことができる。センサー2273は、アンテナモジュール(または負荷)と直列に接続されたセンシング用抵抗R
SEN、フィルター及び比較器を含み、センシング用抵抗R
SENの電圧を測定してアンテナモジュール(または負荷)に流れる電流i
RFまたは電流i
RFの位相を取得することができる。
【0327】
一方、上の実施例では、コントローラーがスイッチング信号からアンテナモジュールに印加される電圧の位相を取得する場合を基準として説明したが、これは必須の構成ではない。本明細書で説明するプラズマ生成装置は、アンテナモジュールに印加される電圧の位相を取得するセンサーをさらに含むことができる。以下では、アンテナモジュールに印加される電圧の位相を取得するセンサーについて、いくつかの実施例を説明する。
【0328】
図34は、センサーを含むプラズマ生成装置のいくつかの実施例を説明するための簡略な回路図である。
図34の(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、アンテナモジュールに印加される電圧V
RFの位相を取得するセンサー2275、2277、2279を含むプラズマ生成装置を説明するための図である。
【0329】
図34の(a)を参照すると、一実施例によるセンサー2275は、アンテナモジュールの両端に接続された抵抗分配回路を含むことができる。センサー2275は、抵抗分配回路を介してアンテナモジュールに印加される電圧V
RFの位相を取得することができる。必要に応じて、センサー2275はフィルターおよび/または比較器をさらに含むことができる。
【0330】
図34の(b)を参照すると、一実施例によるセンサー2277は、アンテナモジュールの両端に接続されたキャパシタ分配回路を含むことができる。センサー2277は、キャパシタ分配回路を介してアンテナモジュールに印加される電圧V
RFの位相を取得することができる。必要に応じて、センサー2277はフィルターおよび/または比較器をさらに含むことができる。
【0331】
図34の(c)を参照すると、一実施例によるセンサー2279は、アンテナモジュールの両端に接続された変圧器を含むことができる。センサー2279は、変圧器を介してアンテナモジュールに印加される電圧V
RFの位相を取得することができる。必要に応じて、センサー2279はフィルターおよび/または比較器をさらに含むことができる。
【0332】
一方、
図34には示されていないが、各プラズマ生成装置はコントローラー、第2電源及び電極を含むことができる。コントローラーは、センサー2275、2277、2279を介してアンテナモジュールに印加される電圧V
RFの位相を取得し、アンテナモジュールに流れる電流i
RFの位相とアンテナモジュールに印加される電圧V
RFの位相差に基づいてインバータおよび/または高電圧パルス発生器の動作を制御することができる。
【0333】
図35の(a)及び(b)は、
図31に例示するプラズマ生成装置において、負荷に流れる電流i
RF、パルス制御信号S
P及び電圧に印加される高電圧パルスV
igの経時変化を示す図である。
【0334】
図35は、一実施例によるセンサーを含むプラズマ生成装置において、アンテナモジュールに印加される電圧及びアンテナモジュールに流れる電流の位相差に基づいて変更される高電圧パルスの制御信号を示す図である。
【0335】
図35の(a)及び(b)は、
図28または
図29に例示するプラズマ生成装置において、負荷に流れる電流i
RF、パルス制御信号S
P及びパルス制御信号S
Pに応じて電圧に印加される高電圧パルスV
igの経時変化を示す図である。
【0336】
図35の(a)及び(b)を参照すると、プラズマ生成装置は、アンテナモジュールに交流電圧を印加し、第1時点t
onから電極に高電圧パルスを印加することができる。プラズマ生成装置は、アンテナモジュールに印加される電圧及びアンテナモジュールに流れる電流の位相を取得し、位相差から信号に基づいてプラズマの放電(t
igで発生)が感知されると、高電圧パルス印加を中断t
offすることができる。例えば、プラズマ生成装置は、位相差が基準値を超えると、高電圧パルス印加を中断t
offすることができる。
【0337】
図35の(a)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置によれば、プラズマの放電が発生した時点t
igから0.8ms以降に高電圧パルス印加が中断t
offできる。
図30の(b)を参照すると、一実施例によるプラズマ生成装置によれば、プラズマの放電が発生した時点t
igから0.6ms以降に高電圧パルス印加が中断t
offできる。
【0338】
図35の(a)、(b)及び
図30の(a)、(b)を参照すると、消費電力量に基づいて高電圧パルスの印加を中断(
図30)するよりも、アンテナモジュールの電流及び電圧の位相差に基づいて高電圧パルスの印加を中断(
図35)したとき、プラズマの放電が発生した時点t
igから高電圧パルス印加が中断t
offされるまでの時間が短いことが確認できる。すなわち、位相差に基づいて高電圧パルス印加を中断t
offすることで、プラズマの放電が発生した時点t
igから高電圧パルス印加が中断t
offされるまでの時間を最小化し、装置の損傷または不要な粒子の発生を最小限に抑えることができる。
【0339】
以上の実施例で説明したように、異なる放電特性を有する複数のアンテナモジュールを用いることによって、様々な放電環境に応じて選択的なプラズマ放電を実行できる。複数のアンテナモジュールを用いてプラズマ放電を行うことによって、様々な環境下で放電を行うことが可能なプラズマ生成装置を提供することができる。
【0340】
以上のように実施例が限定された実施例と図面によって説明されたが、当該技術分野の当業者ならば上記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術は、説明された方法とは異なる順序で実行され、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合または組合わせたり、他の構成要素または均等物によって取替または置換されても適切な結果を達成することができる。
【0341】
したがって、他の構成、他の実施例及び特許請求の範囲と同等のものも後述する特許請求の範囲の範囲に属する。