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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】アクティブ光ボルテックスファイバ
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20241022BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20241022BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20241022BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20241022BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01S3/10 D
H01S3/067
G02B6/036
G02B6/02 411
G02B6/02 376B
G02B6/26
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022571166
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 FI2020050381
(87)【国際公開番号】W WO2021245320
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】522452444
【氏名又は名称】アンプリコニックス オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポフ ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】シャモロフスキー ユリー
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5952740(JP,B2)
【文献】仏国特許出願公開第03016742(FR,A1)
【文献】特許第6294486(JP,B2)
【文献】特開平11-044823(JP,A)
【文献】特表2019-519005(JP,A)
【文献】特開2000-200931(JP,A)
【文献】特開平03-132605(JP,A)
【文献】特開2013-175831(JP,A)
【文献】特表2008-511177(JP,A)
【文献】特開2006-243735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0206912(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0041064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
G02B 6/02-6/10
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
アクティブ光ファイバのセクションを備え、前記アクティブ光ファイバのセクションは、
第1の屈折率nを有する中央部であって、前記中央部の直径が前記アクティブ光ファイバのセクションの長さに沿って徐々に変化し、テーパ状の縦断面形状を形成する、中央部と、
前記中央部を半径方向で囲む環状コアであって、前記環状コアには、少なくとも1つの希土類元素がドープされ、n>nである第2の屈折率nを有し、前記環状コアの複屈折が10-5未満である、環状コアと、
前記環状コアを半径方向で囲み、n<nである第3の屈折率nを有する第1のクラッド層と、
前記第1のクラッド層を半径方向で囲み、n<nである第4の屈折率nを有する第2のクラッド層と、
を備え、前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分が光信号のシングルモード動作をサポートするように構成され、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分が光信号のマルチモード動作をサポートするように構成され、前記装置は、
前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分の前記環状コアから前記装置の出力に出力光信号を提供するためのダイクロイックミラーをさらに備える、装置。
【請求項2】
前記アクティブ光ファイバのセクションの前記第1の部分が、以下の条件:
2a<λ、および
2πbNA/λ<2.405
を満たすように構成され、
式中、aは前記環状コアの内径であり、bは前記環状コアの外径であり、λは前記光信号の波長であり、NAは前記環状コアの開口数であり、
【数1】
である、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記環状コア、前記第1のクラッド層、または前記第2のクラッド層、のうちの少なくとも1つの厚みが、前記テーパ状の縦断面形状に沿って徐々に変化する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記テーパ状の縦断面形状が、放物線状の凸形状を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記中央部が、半径方向において実質的に対称である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記アクティブ光ファイバのセクションを引っ張っている間、ファイバ母材を回転させることによって得られる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記アクティブ光ファイバのセクションのピッチが、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分において2~15mmの範囲にある、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記アクティブ光ファイバのセクションを引っ張っている間の回転角速度が、300~1000rpmの範囲である、請求項6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記環状コアが、前記アクティブ光ファイバのセクションの前記第1の部分で前記光信号を受信するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のクラッド層が、前記アクティブ光ファイバのセクションの前記第1の部分および/または前記アクティブ光ファイバのセクションの前記第2の部分においてポンプ放射を受信するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ポンプ放射λの波長が、前記光信号λの波長より短い、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の装置であって、
光信号を生成するように構成された光源と、
軌道角運動量を有する光信号を生成するように構成された光変換器と、
第1のポンプ放射源からのポンプ放射の第1の部分および前記光変換器からの光信号を、前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に結びつけるように構成された第1のダイクロイックミラーと、
をさらに備え、
前記ダイクロイックミラーは、第2のポンプ放射源からのポンプ放射の第2の部分を前記アクティブ光ファイバの第2の部分に結びつけ、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から出力光信号を提供するように構成される、装置。
【請求項13】
請求項10または請求項11に記載の装置であって、
光信号を反射するように構成された第1のミラーであって、軌道角運動量を有する光信号を生成するように構成された光変換器に光学的に接続される第1のミラーと、
前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分に光学的に接続される第2のミラーであって、前記第1のミラーの反射率が前記第2のミラーの反射率よりも高い、第2のミラーと、
第1のポンプ放射源からのポンプ放射の第1の部分および前記光変換器からの光信号を前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に結びつけるように構成された第1のダイクロイックミラーと、
をさらに備え、
前記ダイクロイックミラーは、第2のポンプ放射源からのポンプ放射の第2の部分を前記アクティブ光ファイバの第2の部分に結びつけ、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から前記第2のミラーを介して出力光信号を提供するように構成される、装置。
【請求項14】
請求項10または請求項11に記載の装置であって、
光信号を生成するように構成された光源と、
第1のポンプ放射源の1つからのポンプ放射の第1の部分および前記光源からの光信号を、前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に結びつけるように構成された第1のダイクロイックミラーと、
前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に近接し、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分の内部に統合された光変換器であって、前記光信号に対して軌道角運動量(OAM)を生成するように構成される、光変換器と、
をさらに備え、
前記ダイクロイックミラーは、第2のポンプ放射源からのポンプ放射の第2の部分を前記アクティブ光ファイバの第2の部分に結びつけ、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から出力光信号を提供するように構成される、装置。
【請求項15】
請求項10または請求項11に記載の装置であって、
前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に光学的に接続され、前記光信号を反射するように構成された第1のミラーと、
前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分に光学的に接続され、前記光信号を反射するように構成された第2のミラーであって、前記第1のミラーの反射率が前記第2のミラーの反射率よりも高い、第2のミラーと、
第1のポンプ放射源からのポンプ放射の第1の部分を前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に結びつけるように構成された第1のダイクロイックミラーと、
前記アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に近接し、前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分の内部に統合された光変換器であって、前記光信号に対して軌道角運動量(OAM)を生成するように構成される、光変換器と、
をさらに備え、
前記ダイクロイックミラーは、第2のポンプ放射源からのポンプ放射の第2の部分を前記アクティブ光ファイバの第2の部分に結びつけ、前記第2のミラーを介して前記アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から出力光信号を提供するように構成される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な例示的実施形態は、概して、アクティブ光ファイバおよびアクティブ光ファイバを使用するデバイスの分野に関する。特に、いくつかの例示的実施形態は、軌道角運動量(orbital angular momentum)(OAM)を有する光信号の生成および増幅に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザおよび増幅技術は、様々な用途に使用され得る。用途の中には、光信号の軌道角運動量(OAM)を利用することがある。OAMを有する光信号は、種々の手段によって生成することができる。しかしながら、達成可能な光強度およびモーダルコントラストは、全ての用途において十分なものではない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この要旨は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の選択を簡略化された形式で導入するために提供される。この要旨は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。
【0004】
例示的実施形態は、OAMを有する光信号を使用する用途に適したアクティブ光ファイバのセクション(section)を提供する。さらなる実施形態は、従属請求項、明細書、および図面で提供される。
【0005】
第1の態様によれば、アクティブ光ファイバのセクションは、第1の屈折率nを有する中央部であって、中央部の直径がアクティブ光ファイバのセクションの長さに沿って徐々に変化し、テーパ状の縦断面形状を形成する、中央部と、中央部を半径方向で囲む環状コアであって、環状コアには、少なくとも1つの希土類元素がドープされ、n>nである第2の屈折率nを有し、環状コアの複屈折が10-5未満である、環状コアと、環状コアを半径方向で囲み、n<nである第3の屈折率nを有する第1のクラッド層と、n<nである第4の屈折率nを有する、第1のクラッド層を半径方向で囲む第2のクラッド層とを備えることができ、アクティブ光ファイバのセクションの第1の部分が光信号のシングルモード動作をサポートするように構成され、アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分が光信号のマルチモード動作をサポートするように構成される。
【0006】
付随する特徴の多くは、添付の図面に関連して考慮される以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるようになるので、より容易に理解されるであろう。
【0007】
例示的実施形態のさらなる理解を提供し、本明細書の一部を構成するために含まれる添付の図面は、例示的実施形態を示し、説明とともに例示的実施形態の理解を助ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・テーパード・ボルテックス・ファイバのセクションの一例を示す。
図2】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・テーパード・ボルテックス・ファイバの第1のクラッド層の切断の例を示す。
図3】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・テーパード・ボルテックス・ファイバのセクション内を伝搬する光信号の電界分布の例を示す。
図4】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備える主発振器電力増幅器(MOPA)の例を示す。
図5】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備えるレーザの例を示す。
図6】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備える主発振器電力増幅器(MOPA)の別の例を示す。
図7】例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備えるレーザの別の例を示す。
【0009】
添付の図面において、同様の参照は同様の部品を示すために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、添付図面に例示されている例示的実施形態について詳細に参照する。以下に提供される添付図面に関する詳細な説明は、本実施例の説明として意図するものであり、本実施例の構成または利用が可能な唯一の形態を表すことを意図するものではない。この説明では、実施例の機能および実施例を構成および動作させるためのステップの順序を示す。しかしながら、同一または同等の機能および順序が異なる実施例によって達成されてもよい。
【0011】
一般に、光ファイバは、コアの屈折率よりも低い屈折率を有する、少なくとも1つのクラッド層によって囲まれたコアを含むことができる。コアおよびクラッド材料の屈折率は、コア内を伝播する光の全内部反射の臨界角に影響を与える。この角度は、光ファイバの端から発射された光がコア内を伝搬できる入射角の範囲も規定する。コアは、例えば、二酸化ケイ素などの透明材料を備えてもよい。
【0012】
アクティブ光ファイバにおいて、コアは、少なくとも1つの希土類元素でドープされ得る。希土類元素は、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ランタン(La)、ルテチウム(Lu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびイットリウム(Y)を含む材料の群を含む。アクティブ光ファイバのコアは、これらの元素の1つ以上、例えば、ErもしくはYb、またはErとYbの組み合わせでドープされ得る。アクティブ光ファイバの動作中、希土類イオンは、光信号に加えて、アクティブ光ファイバ内に発射されるポンプ放射を吸収する。これにより、誘導放出による光信号の増幅が可能となる。異なる波長に対して異なる希土類元素を使用することができる。例えば、980~1100nmの波長域にはYbを使用することができ、1535~1600nmの波長域にはErを使用することができる。
【0013】
光ファイバは、シングルモードまたはマルチモード動作をサポートするように構成することができる。シングルモードファイバは、光のシングルモードを伝送するように構成されてもよく、これは光ファイバのコアを通って伝搬する単一の光線として理解することができる。しかしながら、シングルモードファイバは、1つ以上のシングルモードおよびマルチモードセクションを備え得る。例えば、シングルモードファイバは、アクティブコアの少なくとも1つのより薄い部分が基本的なモードのみを通過するシングルモード動作をサポートするように構成され得、一方、アクティブコアのより厚みのある部分がマルチモード動作をサポートするように構成され得るようにテーパセクションを含み得る。しかしながら、テーパ状のコアのシングルモード部は、より厚い部分にもシングルモードの光信号が伝送される場合がある。
【0014】
複屈折(B)は、材料、例えば、光ファイバのアクティブコアの光学特性である。異なる方向に対して異なる屈折率を有する場合、材料は複屈折である。さらに、例えば、光ファイバを曲げることにより、X方向およびY方向の屈折率がわずかに異なる場合がある。複屈折材料は、光信号の異なる偏光に対して異なる屈折率を有する。複屈折は、異なる偏光に対する屈折率間の最大差に基づいて定義することができる:B=2πΔn、式中、Δnは異なる偏光(例えば、「速い」および「遅い」モード)に対する屈折率間の最大差である。
【0015】
軌道角運動量(OAM)を有する光ビームは、例えば、光通信、光ピンセット、原子操作、および材料加工などの様々な用途に利用され得る。OAMを有する光ビームは、例えば、シリンドリカルレンズモードコンバータ、空間光変調器、または集積シリコンデバイス等のオプティックボリュームによって生成することができる。さらに、OAMビームは、例えば、長周期ファイバグレーティングに基づくシングルモード光ファイバ、および制御されたモード結合によるローモード光ファイバ(2~4モード)において直接生成することができる。しかしながら、このような方法によって獲得される光ビームの光出力は、例えば、数mWのオーダーのようなかなり少量のものとなる場合がある。
【0016】
OAMを有するより強い光ビームを得るために、十分大きなモードスポットサイズ(例えば、25μm)を有するラージモードエリア(LMA)アクティブ光ファイバを用いた主発振器出力増幅器(MOPA)システムを使用することができる。そのようなシステムは、同時にアクティブファイバの適切な曲げを伴う所望のOAMモードの選択励起を適用することもできる。別のアプローチは、バルクOAMコンバータ、例えば、S-プレートまたはQ-プレートを含むMOPAシステムをファイバ増幅段と組み合わせて使用することを含み得る。しかしながら、そのようなアプローチは、アクティブファイバにおけるモードフィールド径のサイズが制限される結果となる場合があり、達成可能な光強度も制限する場合がある。さらに、最後のゲインカスケードで偏光を維持しないローモードファイバを使用する必要がある場合がある。このようなファイバでは、固有の残留ランダム複屈折が存在するため、モードコントラストの劣化、出力ビームの部分的な偏光解消、最終的にはOAMビーム品質の低下を導く場合がある。モードコントラストとは、例えば、OAMを有するモードとOAMを有しないモードのような異なるモード間のパワー分布を指す場合がある。
【0017】
さらに、低開口数のアクティブ少数モードLMAファイバを使用すると、サポートされているすべてのファイバモード、例えば、ドーナツ型モード(OAMによる)および他のモードに対して同様のゲインを生じさせることができる。したがって、このようなシステムでは、モード増幅の選択性を提供できない場合がある。これは、所望のOAMを有するビームの生成だけではなく、他の(望ましくない)モードにポンプ放射パワーを伝達する可能性もある。このことは、最終的に、モード容量のコントラストの低下を招く可能性がある。
【0018】
したがって、本開示の例示的実施形態は、OAMを有する光モードの達成可能な平均およびピークパワーを増加させ、OAMを有しない望ましくない光モードの重量を低減させることによりモードコントラストを改善し、環境影響に対してOAMを有する生成された光ビームの安定性を改善するために使用され得る。
【0019】
例示的実施形態によれば、アクティブ光ファイバは、環状(リング状)のアクティブコアによって囲まれた中央部を含み得る。ファイバは、シングルモード部およびマルチモード部を含むようにテーパ状の長手方向の外形を有し得る。環状のコアは、例えば、ファイバの製造中にファイバ母材を回転(スピニング)させることによって得られる低複屈折を有し得る。環状コアの屈折率は、環状コアを囲む中央部およびクラッド層の屈折率よりも高くなり得る。アクティブ光ファイバは、OAMを有する光モードの選択的な生成または増幅を可能にする。さらに、ファイバは、大きなモードフィールド径(MFD)を有し、ポンプまたは環境影響に起因する内部加熱の影響を受け難くなる。このアクティブ光ファイバは、例えば、レーザまたは主発振器出力増幅器(MOPA)などの様々な装置に適用することができる。
【0020】
図1は、例示的実施形態による、ダブルクラッド・アクティブ・テーパード・ボルテックス・ファイバのセクションの一例を示す図である。図1は、アクティブ光ファイバ100のセクションの縦断面(左)および半径方向の断面(右)の両方を示している。アクティブ光ファイバ100のセクションは中央部101を含み得る。中央部101は、第1の屈折率nを有し得る。中央部101は、半径方向で対称であってもよく、または半径方向で実質的に対称であってもよい。中央部101は、例えば、二酸化ケイ素などの任意の適切な材料を含み得る。中央部101は均一な部分のように図示されているが、中央部101は内部が1つ以上のサブパーツで構造化されていてもよいことが理解される。中央部101の直径がアクティブ光ファイバ100のセクションの長さ(L)に沿って徐々に変化することにより、テーパ状の長手方向の外形が形成され得る。例えば、図1に示されるように、中央部101の直径は、アクティブ光ファイバ100のセクションの長さに沿って左から右に増加し得る。テーパ状の長手方向の外形は、直線状または放物線状の凸形状を備えてもよく、これらの形状はポンプ吸収を改善するため、OAMを有するモードの増幅に有利である。
【0021】
アクティブ光ファイバ100のセクションは、環状コア102をさらに含み得る。環状コア102は、中央部101を半径方向で囲み得る。したがって、環状コア102は、図1の半径方向の断面に示されるように、リング状の断面を有し得る。環状コア102は、第2の屈折率nを有し得る。環状コアの屈折率は、中央部101の屈折率よりも高くてもよく、屈折率105に示されるように、n>nである。
【0022】
環状コア102は、少なくとも1つの希土類元素をさらに含み得る。したがって、環状コア102は、アクティブであり得る。環状コア102は、例えば、ポンプ放射がアクティブ光ファイバ100のセクションに発射されたときに環状コア102に発射された光信号の増幅を可能にするために、希土類元素でドープされ得る。環状コア102の複屈折は、10-5よりも小さくてもよい。例えば、低速偏光モードおよび高速偏光モードの屈折率nslowとnfastの差は、10-5より小さくてもよく、すなわち、B=nslow-nfast<10-5であってもよい。環状コア102は、例えば、二酸化ケイ素などの任意の適切な材料を含み得る。環状コア102の厚みは変わってもよく、例えば、テーパ状の長手方向の外形に沿って徐々に増加してもよい。例えば、環状コア102の厚みは、ファイバセクションの長さに沿って中央部101の直径に比例していてもよい。環状コア102の厚みを増加させることは、モード面積がより大きくなり、非線形効果に対する高い閾値および大きな蓄積エネルギー、例えば、高いピークまたは平均電力をもたらす結果となるので、有利であり得る。
【0023】
アクティブ光ファイバ100のセクションは、第1のクラッド層103をさらに含み得る。第1のクラッド層103は、第3の屈折率nを有してもよい。第1のクラッド層の屈折率は、環状コア101の屈折率nより小さくてもよく、屈折率プロファイル105に示されるように、n<nである。第1のクラッド層103は、例えば、図1の半径方向の断面に示されているように、環状コア102を半径方向に囲み得る。
【0024】
アクティブ光ファイバ100のセクションは、第2のクラッド層104をさらに含み得る。第2のクラッド層104は、第4の屈折率nを有してもよい。第2のクラッド層の屈折率は、第1のクラッド層103の屈折率より低くてもよく、屈折率プロファイル105に示されるように、n<nである。第2のクラッド層104は、例えば、図1の半径方向の断面に示されるように、第1のクラッド層103を半径方向に囲み得る。第1および第2のクラッド層は、例えば、二酸化ケイ素などの任意の適切な材料を含み得る。第1のクラッド層103および第2のクラッド層の厚みは変わってもよく、例えば、テーパ状の長手方向の外形に沿って徐々に増加してもよい。例えば、第1のクラッド層103および/または第2のクラッド層104の厚みは、中央部101の直径に比例してもよい。環状コア102と同様に、第1のクラッド層103および第2のクラッド層104の厚みを増加させることは有益であり得る。
【0025】
アクティブ光ファイバ100のセクションは、シングルモード(SM)動作をサポートするように構成された第1の部分を含み得る。第1の部分は、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の端部に配置され得る。第1の端部は、ファイバセクションの狭端部を含み得る。ファイバセクションの狭端部において、中央部101は、図1に示されるように半径aを有することができる。環状コア102は、内半径aおよび外半径bを有することができる。第1のクラッド層103は、内半径bおよび外半径cを有することができる。第2のクラッド層104は、内半径cおよび外半径dを有することができる。
【0026】
環状コア102は、例えば、ファイバセクションの第1の部分で光信号を受信するように構成されてもよい。換言すれば、光信号は、アクティブ光ファイバ100のセクションの狭端部で環状コア102に発射され得る。
【0027】
アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分は、以下の条件を満たすように構成され得る:2a<λおよび2πbNA/λ<2.405、式中、aは環状コア102の内半径であり、bは環状コア102の外半径であり、λは光信号の波長であり、NAは環状コアの開口数である。開口数NAは、例えば、
【数1】
によって、第2の屈折率と第3の屈折率の2乗の減算の平方根に基づいて定義することができる。上記条件を満たすことにより、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分における基本的なモードの伝搬が可能となる。第1の部分(SM)の長さは、2つの条件の同時充足に基づいて決定され得る。第1の部分の長さは、例えば0.1~1mであり得る。第1の部分の長さは、テーパ状のファイバの長手方向の外形に依存し得る。
【0028】
アクティブ光ファイバ100のセクションは、マルチモード(MM)動作をサポートするように構成された第2の部分をさらに含み得る。第2の部分において、上記2つの条件が満たされなくてもよく、第2の部分がシングルモードの動作に限定されず、環状コア102において複数のモードの伝搬が許容される。第2の部分は、アクティブ光ファイバ100のセクションの幅広端部を含み得る。ファイバの幅広端部では、中央部101の直径、環状コア102の厚み、第1のクラッド層103の厚み、および/または第2のクラッド層104の厚みは、狭端部における対応する大きさより厚くなってもよい。
【0029】
第1のクラッド層103は、アクティブ光ファイバ100のセクションの、第1の部分、例えば狭端部、においてポンプ放射を受信するように構成され得る。さらに、アクティブ光ファイバ100のセクションの、第2の部分、例えば幅広端部、は、ポンプ放射を受信するように構成され得る。したがって、ポンプ放射は、第1のクラッド層103の一端または両端で第1のクラッド層103に発射され得る。例示的実施形態によれば、第2の部分で発射されるポンプ放射のパワーは、第1の部分で発射されるポンプ放射のパワーより高くてもよい。ポンプ放射の波長λは、光信号の波長λより短くなければならない。アクティブ光ファイバ100のセクションは、様々な用途等で使用されてもよく、または他の類似もしくは他のタイプのファイバ部分と組み合わせて使用されてもよい。
【0030】
図2は、例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・テーパード・ボルテックス・ファイバの第1のクラッド層の切断例を示す。第1のクラッド層103の切断はポンプ放射の吸収を向上させるために適用され得る。第1のクラッド層103は、図2a~hに示されるように、異なる半径方向断面を形成するために、例えば1、2、3、4、5、6、7、または8回切断されてもよい。例えば、1回の切断では、D字型の半径方向断面をもたらすことができる(図2a)。5回の切断では五角形の半径方向断面をもたらすことができ(図2e)、8回の切断では八角形の半径方向断面をもたらすことができる(図2h)。切断は、より多くのポンプ放射が環状コア102を横切ることを可能にし、これによって環状コア102内部を伝搬する光信号の増幅が向上する。
【0031】
図3は、例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・テーパー・ボルテックス・ファイバのセクション内を伝搬する光信号の電界分布の例を示す。第1の部分においてシングルモード動作の条件が満たされる場合、2bの外径を有する環状コア102の第1の部分(シングルモード部)において、ガウス型の電界分布301(M~1)を有する基本的なモードが伝播することが実験的に実証されている。第2の部分(マルチモード部)では、この条件が満たされなくなり、複数のモードが環状コア102にサポートされ得る。モード結合を誘発する強い機械的な外乱がなければ、基本的なモードは、第2の部分(M~1)でも環状コア102内を伝播することができる。モードフィールドは、ファイバセクションの幅広端部における近接フィールドゾーンではリング形状302を有し、ファイバセクションの狭端部における遠方フィールドではガウス形状301を有することができる。例えば、120μmのリング状コアを有するパッシブテーパードファイバでは、十分な品質を有する回折限界ビームが実験的に得られている(M~1.2)。
【0032】
環状コア102の低い複屈折(B<10-5)は、アクティブ・テーパード・ファイバ100のセクションにおける光信号の伝搬および増幅の間の偏光状態の歪みを低減できる。例示的実施形態によれば、アクティブ光ファイバ100のセクションの製造は、アクティブ光ファイバ100のセクションを引っ張っている間、ファイバ母材を回転させる工程を含み得る。スパンファイバを得るために回転が適用されてもよい。母材は、例えば、300~1000rpmの範囲の角速度で回転させることができる。得られるファイバピッチは、テーパード・ファイバセクションの部分の幅広部(第2の部分)において2~15mmの範囲内にすることができる。ファイバのピッチは、回転の周期、例えば、スパンファイバが360度回転する長さを指す場合がある。
【0033】
光ファイバの固有の残留複屈折は、主にそのコアの幾何学的欠陥、例えば、楕円度、凍結した機械的応力、または局所的なファイバの曲がりによって決定される。このような複屈折の局所的な固有状態は、一般的に直線偏光にある。ファイバ母材が延伸中に回転すると、幾何学的な異方性を有する軸が何度もその角度位置を変え、各偏光成分が高速波および低速波とほぼ同じ時間をかけて伝搬する。結果として、このようなスパンファイバの固有複屈折は非常に小さくなることがある(B<10-5)。固有の偏光状態は、円偏光に近い場合がある。結果として、このようなファイバを伝搬する光の偏光は、非常にわずかにのみ乱れることがある。したがって、このようなファイバは、むしろ偏光をもたらさない場合があり、好ましくは、それに伴って増幅中の偏光の歪みが減少する。これは、OAMを用いた波の増幅に有利である。
【0034】
低複屈折は、他の手段によって代替的に得ることもできる。低い固有複屈折を得るための1つの方法は、光ファイバをできるだけ理想に近づけること、例えば、内部応力が低いレベルでファイバを実質的に対称にすることである。低い固有複屈折を得るための別の方法は、補償ファイバを適用することである。低いレベルの内部複屈折は、例えば、応力複屈折(B)と幾何学的形状複屈折(B)の合計がゼロになるようにファイバドーパント材料を選択することで達成できる。
【0035】
OAMビームの増幅および生成のための1つの解決策は、ステップ屈折率LMAアクティブファイバを使用することである。例えば、25μmコアを有するPANDA(偏波保持および吸収低下(polarization maintaining and absorption reducing))タイプのLMAファイバを適用することができる。しかしながら、このようなアプローチは、ビーム形成に関して最適でない場合がある。例えば、高複屈折PANDAファイバにおける高速波および低速波は伝搬定数が大きく異なる場合があり、ドーナツ型のOAMビームを形成するためには、アクティブファイバを予測不可能な方法で曲がらせる必要があり得る。高複屈折LMAファイバは、また、温度に強い影響を受ける場合がある。ポンプ放射が吸収されるとき、このような光ファイバは加熱され、ファイバ出力における偏光状態の変化をもたらす場合がある。
【0036】
したがって、別の解決策は、OAMを有するビームを増幅するために均一な等方性のアクティブLMAファイバを使用することである。これは、OAMモードの形成をシンプルにすることができる。しかしながら、等方性のアクティブファイバを使用する場合、放射の偏光解消がランダム複屈折の存在の結果として生じる場合があり、次いで、ファイバ曲げによって引き起こされる場合がある。強複屈折およびステッププロファイルを有する均一なLMAファイバの両方の欠点は、屈折率のプロファイル(ドーパント分布)を重ねる積分が、すべてのサポートされるモードにおいて実質的に同じになることと考えられる。したがって、低モードファイバに存在する望ましくないモードも増幅を経ることになるので、光信号の増幅は、モードコントラストに関して最適ではない。これは、OAMビームのパワーが制限される場合がある。これは、また、OAMビームの品質を低下させる場合がある。したがって、本開示の例示的実施形態は、ドーナツ型モード、例えば、OAMを有するモードにのみ有意な増幅を有する、環状コアを有するアクティブ・テーパード・ファイバを提供する。アクティブ光ファイバの開示されたセクションは、SPUNリングコア・テーパード・ダブルクラッド・ファイバ(SPUN rcT-DCF)と呼ばれ得る。
【0037】
本開示の例示的な実施形態は、少なくとも以下の利点を提供する。
【0038】
1)リング状のドープコアにより、SPUN rcT-DCFはドーナツ型モードに対して空間的に選択的増幅が可能である。SPUN rcT-DCFは実質的に重なり積分を有するモード、すなわちリング状モードのみを効果的に獲得する。これは、良好なモードコントラストをもたらし、それによってOAMビームのために励起および増幅を排他的または主要なものにすることが可能になる。中央部101に最大電界を有するモードに対しては実質的に利得を与えないことができ、それによって、例えば基本的なモードの過度の増幅を避けることができる。
【0039】
2)SPUN rcT-DCFは、増幅された光の高輝度(回折限界に近いビーム品質)を維持しながら、例えば、幅部分において少なくとも120μmの大きなモードフィールド径(MFD)を有する。これにより、高い平均出力およびピーク出力を達成することができる。
【0040】
3)SPUN rcT-DCFは、固有複屈折が小さく(<10-5)、その結果、増幅された光の偏光状態を実質的に乱さなくなる。したがって、OAMビームの増幅および伝搬は最小限の歪みで起こる。また、低複屈折のために、SPUN rcT-DCFは、ポンプ吸収による加熱の影響を受けにくい。さらに、SPUN rcT-DCFは、振動および温度変化等の環境の影響を受けにくい。
【0041】
図1に示されていないが、アクティブ光ファイバ100のセクションは、例えば、クラッド層を半径方向に囲む1つ以上のコーティング層等の追加の構造をさらに含んでもよい。コーティング層は、例えば、ポリマーコーティングを含んでもよい。コーティング層は、低い固有複屈折を有する環状コア102において外部複屈折を導入する原因になり得る環境影響を低減するように構成され得る。したがって、低内部複屈折が1つ以上のコーティング層とともに結合して、(内部/外部)温度変化および機械的屈曲等の他の環境影響の下で、OAMを有するモードに対して安定的であるが、選択的な伝搬および増幅を提供するアクティブ光ボルテックス・ファイバを提供する。上記の例示的実施形態では、ポンプ放射は、光信号と同じ方向もしくは実質的に同じ方向に、および/または光信号と反対もしくは実質的に反対方向に、第1のクラッド層103内を伝搬するように構成され得る。
【0042】
図4は、例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備える主発振器電力増幅器(MOPA)の例を示す。MOPA400は、光信号、例えば、シードレーザビームを生成するように構成された、例えばシードレーザ(主発振器)等の光源401を含み得る。光信号は、波長λを有し得る。MOPA400は、光信号に軌道角運動量を生成または導入するように構成された光変換器402をさらに含み得る。光(ビーム)変換器402は、シードレーザビームに基づくOAMを有するビームを形成するための自由空間バルク光学スキームを含み得る。光変換器402は、例えば、SプレートまたはQプレートを含み得る。また、MOPA400は、アクティブ光ファイバ100のセクションを含み得る。
【0043】
MOPA400は、第1のダイクロイックミラー403をさらに含み得る。第1のダイクロイックミラー403は、第1のポンプ放射源404からのポンプ放射の第1の部分を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバ部分の狭端部における第1のクラッド層103に結合するように構成され得る。第1のダイクロイックミラー403はまた、光変換器402からの光信号を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバセクションの狭端部における環状コア102に結合するように構成され得る。
【0044】
MOPA400は、第2のダイクロイックミラー405をさらに含み得る。第2のダイクロイックミラー405は、第2のポンプ放射源406からのポンプ放射の第2の部分を、アクティブ光ファイバの第2の部分、例えば、ファイバセクションの幅広端部における第1のクラッド層103に結合するように構成され得る。第2のダイクロイックミラー405は、さらに、アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から出力光信号を提供するように構成され得る。第2のダイクロイックミラー405は、例えば、ファイバ100の幅広端部における環状コア102から受信した光信号をMOPA400の出力に伝達するように構成され得る。出力光信号は、OAMモードが選択的に増幅された光信号の増幅バージョンを含み得る。MOPA400は、ポンプ放射源404、406のうちの少なくとも1つを含んでもよい。代替として、MOPA400は、外部ポンプ放射源に結合されるように構成され得る。したがって、MOPA400は、ポンプ放射源404、406を含まなくてもよい。
【0045】
図5は、例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備えるレーザの例を示す。レーザ500は、少なくとも2枚のミラーおよびSPUN rcT-DCFによって形成されるキャビティ内にOAMビームを生成するように構成され得る。レーザ500は、第1のミラー501を含み得る。第1のミラー501は、高反射率、例えば、実質的に100%の反射率であり得る。第1のミラー501は、光変換器502に光学的に接続されてもよく、この光変換器502は光変換器402と同様のものであってもよい。第1のミラー501は、光信号を反射するように構成され得る。例えば、第1のミラー501は、光変換器502から受信した光信号を光変換器502に反射して戻すように構成され得る。光信号は、波長λを有し得る。また、レーザ500は、アクティブ光ファイバ100のセクションを含み得る。
【0046】
レーザ500は、さらに第2のミラー505を含み得る。第2のミラー505は、アクティブ光ファイバ100のセクションの第2の部分、例えば、ファイバセクションの幅広端部に光学的に接続および/または物理的に結合してもよい。例えば、第2のミラー505は、SPUN rcT-DCFの幅広端面に配置することができる。第2のミラー505は、ファイバセクションの環状コア102を退出する光信号の部分が第2のミラー505を通過できるように、部分的に透明であってもよい。したがって、第2のミラー505は、光信号を部分的に反射するように構成されてもよい。したがって、第1のミラー501の反射率は、第2のミラー505の反射率よりも高くてもよい。
【0047】
レーザ500は、さらに、第1のダイクロイックミラー503を含んでもよい。第1のダイクロイックミラー503は、第1のポンプ放射源504からのポンプ放射の第1の部分を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバ部分の狭端部における第1のクラッド層103に結びつけるように構成されてもよい。第1のダイクロイックミラー503は、また、光変換器502からの光信号を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバセクションの狭端部における環状コア102に結びつけるように構成されてもよい。さらに、第1のダイクロイックミラー503は、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバセクションの狭端部における環状コア102からの光信号を光コンバータ502に結びつけるように構成されてもよい。
【0048】
レーザ500は、さらに、第2のダイクロイックミラー507を含んでもよい。第2のダイクロイックミラー507は、第2のポンプ放射源506からのポンプ放射の第2の部分を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第2の部分、例えば、ファイバセクションの幅広端部における第1のクラッド層103に結びつけるように構成されてもよい。第2のダイクロイックミラー507は、さらに、第2のミラー505を介してアクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から出力光信号を提供するように構成されてもよい。第2のダイクロイックミラー507は、例えば、環状コア102を退出し、ファイバ100の幅広端部で第2のミラー505を伝搬する光信号を、レーザ500の出力に伝達するように構成されてもよい。レーザ500は、OAMモードの高出力のレーザビームを生成することを可能にする。
【0049】
図6は、例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備える主発振器電力増幅器(MOPA)の別の例を示す。MOPA600は、MOPA400と同様であってもよい。しかしながら、OAM変換機603は、この例示的実施形態においては、アクティブ光ファイバ100のセクション内にまとめてもよい。
【0050】
MOPA600は、光源401と同様の光源601、例えば、シードレーザを含んでもよい。MOPA600は、第1のポンプ放射源604の1つからのポンプ放射の第1の部分を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバ部分の狭端部における第1のクラッド層103に結びつけるように構成された第1のダイクロイックミラー602をさらに含んでもよい。第1のダイクロイックミラー602は、さらに、光源601からの光信号を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバセクションの狭端部における環状コア102に結びつけるように構成されてもよい。MOPA400と同様に、ポンプ放射源604、606は、MOPA600の内部または外部にあってもよい。
【0051】
光変換器603は、例えば、制御されたモード結合のための機械的デバイス、ファイバの制御された曲げを提供するためのデバイス、または音響光学デバイス等の全てのファイバデバイスを含んでもよい。光変換器603は、アクティブ光ファイバ100のセクションの第2(マルチモード)の部分内に統合されてもよい。光変換器603は、光ファイバ100のセクションの第1(シングルモード)の部分の近くに配置されてもよい。光変換器402と同様に、光変換器603は、光信号に軌道角運動量(OAM)を生成するように構成されてもよい。光変換器603は、ファイバが既に2a<λおよび2πbNA/λ<2.405という2つの条件を満たしているのでOAMを有するモードを形成できる複数のモードをサポートする、マルチモード部の先頭に配置されてもよい。
【0052】
MOPA600は、第2のダイクロイックミラー605をさらに含んでもよい。第2のダイクロイックミラー605は、第2のポンプ放射源606からのポンプ放射の第2の部分を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第2の部分に結びつけるように構成されてもよい。第2のダイクロイックミラー605は、さらに、ダイクロイックミラー405と同様に、アクティブ光ファイバのセクションの第2の部分から出力光信号を提供するように構成されてもよい。MOPA600は、光源601とアクティブ光ファイバ100のセクションとの間の外部光変換器なしで、強力なOAMビームの発生を可能にする。
【0053】
図7は、例示的実施形態によるダブルクラッド・アクティブ・ボルテックス・ファイバを備えるレーザの別の例を示す。レーザ700は、レーザ500と同様であり得る。しかしながら、OAM変換器703は、この例示的実施形態では、アクティブ光ファイバ100のセクション内に統合されてもよい。
【0054】
レーザ700は、ミラー501と同様の第1のミラー701を含んでもよい。第1のミラー701は、ミラー501と同様に、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分に光学的に接続され、光信号を反射するように構成されてもよい。レーザ700は、ミラー505と同様の第2のミラー705をさらに含んでもよい。第1のミラー701の反射率は、第2のミラー705の反射率より高くてもよい。第2のミラー707は、ミラー505と同様に、アクティブ光ファイバ100のセクションの第2の部分に光学的に接続され、光信号を反射するように構成されてもよい。
【0055】
レーザ700は、第1のポンプ放射源704からのポンプ放射の第1の部分を、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分、例えば、ファイバセクションの狭端部における第1のクラッド層103に結びつけるように構成された第1のダイクロイックミラー702をさらに含んでもよい。第1のダイクロイックミラー702は、さらに、アクティブ光ファイバ100のセクションの第1の部分から第1のミラー701への光信号、および第1のミラー701からアクティブ光ファイバのセクションの第1の部分に反射された光信号を結びつけるように構成されてもよい。第1のダイクロイックミラー702は、ファイバセクションの環状コア102から光信号を受信するように構成されてもよい。第1のダイクロイックミラー702は、反射された光信号をファイバセクションの環状コア102に結びつけるように構成されてもよい。
【0056】
レーザ700は、光変換器603と同様の光変換器703をさらに備え、同様の方法でアクティブ光ファイバ100のセクション内に統合されていてもよい。レーザ700は、ダイクロイックミラー507と同様であり、同様の機能を有し得る第2のダイクロイックミラー707をさらに含んでもよい。例えば、ダイクロイックミラー507は、第2のポンプ放射源706からのポンプ放射をアクティブ光ファイバ100のセクションに結びつけ、レーザ700からの出力を提供するように構成されてもよい。レーザ700は、第1のミラー701とアクティブ光ファイバ100のセクションとの間に外部光変換器を設けることなく、OAMモードのための高出力のレーザビームを生成することを可能にする。
【0057】
本明細書に開示される例示的実施形態は、光信号のOAMモードの生成および増幅に適したアクティブ光ファイバおよび装置を提供する。
【0058】
本明細書に与えられた範囲またはデバイスの値は、求める効果を失うことなく拡張または変更することができる。また、明示的に禁止されていない限り、任意の実施形態を他の実施形態と組み合わせることができる。
【0059】
本主題は、構造的特徴および/または動作について特有の言語で説明されたが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴または動作に限定されないことが理解される。むしろ、上述した特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例として開示されており、他の同等の特徴および動作が特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0060】
上述した利点および長所は、1つの実施形態に関するものであってもよいし、複数の実施形態に関するものであってもよいことが理解される。実施形態は、上述の問題のいずれかもしくはすべてを解決するもの、または上述の利益および利点のいずれかもしくはすべてを有するものに限定されない。さらに、「1つ」の項目への言及は、1つ以上の項目を指す場合があることが理解される。
【0061】
本明細書では、「含む」という用語は、特定のブロックまたは要素を含むことを意味するが、そのようなブロックまたは要素が限定的なリストを構成するものではないことを意味するために用いられる。したがって、装置は、追加のブロックまたは要素を含むことができる。
【0062】
対象は、「第1」または「第2」の対象と参照されることがあるが、これは必ずしも対象の順序または重要度を示すものではない。代わりに、このような限定詞は、単に、対象間の違いを明確にする目的で使用されることがある。
【0063】
上記の説明は例示としてのみ与えられ、当業者によって種々の変更を行うことができることが理解される。上記の明細書、例およびデータは、例示的実施形態の構造および使用に関する完全な説明を提供するものである。様々な実施形態は、一定程度詳細に、または1つ以上の個別の実施形態の参照を伴って上記に記載されているが、当業者は、本明細書を逸脱しない範囲で、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図2(e)】
図2(f)】
図2(g)】
図2(h)】
図3
図4
図5
図6
図7