(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス用の装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20241022BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241022BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20241022BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/57
A24F40/51
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139290
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2021577352の分割
【原出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-09-20
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ホロッド、マーティン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0029078(US,A1)
【文献】国際公開第2018/178113(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147832(US,A1)
【文献】国際公開第2019/122097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/20
A24F 40/57
A24F 40/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスに使用するための装置であって、
サセプタを誘導加熱するインダクタ素子およびコンデンサを含む共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に、共振周波数を有するインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を提供する出力回路と
、を含
み、前記出力信号は、前記サセプタの温度測定値を提供するために使用される装置。
【請求項2】
前記出力信号が前記インパルス応答の共振周波数を示すように、前記出力信号はインパルス応答の振動の時間間隔に依存することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記出力信号は、前記インパルス応答の第1の端部および前記インパルス応答の少なくとも1回のサイクル完了後の第2の端部からの時間間隔に基づくことを特徴とする請求項
1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記出力回路は、前記第1の端部が識別されたときに起動し、前記第2の端部が識別されたときに停止する電圧ランプを含み、前記出力信号はこの電圧ランプの出力に基づくことを特徴とする請求項
3記載の装置。
【請求項5】
さらにインパルス検出回路を含み、
前記インパルス生成回路は、第1のインパルスおよび第2のインパルスを前記共振回路に印加するように構成され、第1のインパルスは第1のインパルス応答を誘導し、第2のインパルスは第2のインパルス応答を誘導し、各インパルス応答は共振周波数を有し、
前記インパルス検出回路は、前記第1のインパルスの印加後の第1の待機期間の終わりから前記インパルス応答のそれぞれのインパルス応答期間の終わりまでの第1の時間間隔、および第2のインパルスの印加後の第2の待機期間の終わりから前記インパルス応答のそれぞれのインパルス応答期間の終わりまでの第2の時間間隔を決定するように構成され、かつ
前記出力回路は、前記第1の待機期間と前記第2の待機期間の間の差および前記第1の時間間隔と前記第2の時間間隔の間の差の合計に依存するインパルス応答期間を決定するように構成されることを特徴とする請求項1乃至
4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記インパルス検出回路は、対応するインパルスの印加に続く待機期間の終わりに電流源を起動し、前記インパルス応答のインパルス応答期間の終わりにこの電流源を停止させる電流源制御回路を含むことを特徴とする請求項
5記載の装置。
【請求項7】
前記電流源に接続されたアナログ-デジタル変換器をさらに含み、このアナログ-デジタル変換器は前記第1の時間間隔および/または前記第2の時間間隔を決定するために使用する出力を提供することを特徴とする請求項
6記載の装置。
【請求項8】
前記インパルス応答期間は前記サセプタの温度測定値を提供するために使用されることを特徴とする請求項
5乃至
7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記出力信号は前記インパルス応答の電圧振動の減衰率に依存することを特徴とする請求項1乃至
8いずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記インパルス応答の測定Q値を決定するプロセッサをさらに含み、前記出力信号は前記測定Q値に基づくことを特徴とする請求項1乃至
9いずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記インパルス応答の測定Q値を決定するプロセッサは、振幅が半分になるインパルス応答の振動サイクル数を決定し、次いで決定されたサイクル数に所定の値を乗じて前記測定Q値を決定することを特徴とする請求項
10記載の装置。
【請求項12】
さらに前記決定されたQ値に基づき1種以上の性能特性を決定することを含むことを特徴とする請求項
10又は11記載の装置。
【請求項13】
定義された時間間隔内の振動数を決定する計数器をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至
12いずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記出力回路は、前記決定された振動数に基づいて、取り外し可能な物品が装置内に取り付けられているかどうかを示す出力信号を提供するように構成されることを特徴とする請求項
13記載の装置。
【請求項15】
前記出力信号は増減されて、
温度測定値を提供することを特徴とする請求項
1乃至14いずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記インパルス生成回路は、正電圧源と負電圧源を切り替えて前記インパルスを生成するために使用される第1の切り替え部を含むことを特徴とする請求項1乃至
15いずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記サセプタは、加熱モードの操作で物質をエアロゾル化するように構成されることを特徴とする請求項1乃至
16いずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記インパルス応答に補正値を提供する信号調整回路をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至
17いずれか1項記載の装置。
【請求項19】
前記インダクタ素子に流れる電流を測定するための電流センサをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至
18いずれか1項記載の装置。
【請求項20】
前記サセプタは取り外し可能な
物品の一部として含まれていることを特徴とする請求項1乃至
19いずれか1項記載の装置。
【請求項21】
前記出力信号に基づいて前記装置の性能を決定する制御モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至
20いずれか1項記載の装置。
【請求項22】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのシステムであって、
それぞれがサセプタを誘導加熱するインダクタ素子およびコンデンサを含む複数の共振回路と、
前記複数の共振回路のうちの少なくとも1つにインパルスを印加し、前記印加されたインパルスが選択された共振回路の前記コンデンサとインダクタ素子の間
に、共振周波数を有するインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を提供する出力回路と
、を含
み、
前記出力信号は、前記サセプタの温度測定値を提供するために使用されるシステム。
【請求項23】
前記インパルス応答の1種以上の特性は、前記出力信号が前記インパルス応答の共振周波数を示すように、前記インパルス応答の電圧振動の時間間隔を含むことを特徴とする請求項
22記載のシステム。
【請求項24】
請求項1乃至
21いずれか1項記載の装置または請求項
22または
23記載のシステムを含み、前記出力回路からの出力信号の受信に応答して作動するように構成される、エアロゾル化可能な材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給システム。
【請求項25】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのサセプタを誘導加熱するために適用される方法であって、
サセプタを誘導加熱するインダクタ素子とコンデンサを含む共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路の前記コンデンサとインダクタ素子の間に、共振周波数を有するインパルス応答を誘導することと、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を生成することと
、
温度測定モードの操作中に前記共振回路に前記インパルスを印加することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記出力信号は、前記インパルス応答の振動の時間間隔に依存し、前記出力信号は前記インパルス応答の共振周波数を示すことを特徴とする請求項
25記載の方法。
【請求項27】
加熱モードの操作中に物質をエアロゾル化するために、前記インダクタ素子を用いてサセプタを誘導加熱することをさらに含むことを特徴とする請求項
25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記インパルス応答の測定Q値を決定することをさらに含むことを特徴とする請求項
25乃至27いずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記インパルス応答の測定Q値の決定は、振幅を半分にするインパルス応答の振動サイクル数を決定し、決定されたサイクル数に所定の値を乗じることを
含むことを特徴とする請求項
28記載の方法。
【請求項30】
前記決定されたQ値に基づいて1種以上の性能特性を決定することをさらに含むことを特徴とする請求項
28又は29記載の方法。
【請求項31】
制御信号の上昇端に発生する第1のインパルスを前記共振回路に印加して第1のインパルス応答を誘導することと、
制御信号の下降端に発生する第2のインパルスを前記共振回路に印加して第2のインパルス応答を誘導することと
、をさらに含むことを特徴とする請求項
25乃至
30いずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記第1のインパルス応答の1種以上の特性に依存する第1の出力信号を生成することと、
前記第2のインパルス応答の1種以上の特性に依存する第2の出力信号を生成することと
、をさらに含むことを特徴とする請求項
31記載の方法。
【請求項33】
エアロゾル
供給システムで使用するための物品を含み、
前記エアロゾル
供給システムは、請求項1乃至
21いずれか1項記載の装置または請求項
22乃至
24いずれか1項記載のシステムを含む、複数の部品のキット。
【請求項34】
前記物品は、エアロゾル発生材料を含む取り外し可能な物品であることを特徴とする請求項
33記載の複数の部品のキット。
【請求項35】
少なくとも次のことをエアロゾル供給デバイスに使用するための装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラムであって、
サセプタを誘導加熱するインダクタ素子とコンデンサを含む共振回路にインパルスを印加して前記共振回路の前記コンデンサとインダクタ素子の間に、共振周波数を有するインパルス応答を誘導することと、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を生成することと
、
前記出力信号を使用して前記サセプタの温度測定値を提供することと、を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエアロゾル発生デバイス用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、葉巻などの喫煙品は、使用中にタバコ成分が燃えてタバコの煙が発生する。燃焼せずに化合物を放出する製品を作ることで、これらの物品に代わるものを提供する試みがなされてきた。例えば、タバコ加熱装置は、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱して、その基材を加熱するが燃焼させることなくエアロゾルを形成する。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では本明細書は、(サセプタを誘導加熱する)インダクタ素子およびコンデンサを含む共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、前記インパルス応答の1種以上の特性に(少なくとも部分的に)依存する出力信号を提供する出力回路とを含む装置について記載する。
【0004】
前記出力信号が前記インパルス応答の共振周波数を示すように、前記出力信号はインパルス応答の振動の時間間隔に依存してもよい。
【0005】
前記出力回路は、前記インパルス応答の端部を識別する端部検出回路を含んでもよい。前記端部検出回路は、例えば、充電時間測定部(CTMU)の一部として提供されてもよい。前記出力信号は、前記インパルス応答の第1の端部および前記インパルス応答の少なくとも1回のサイクル完了後の第2の端部からの時間間隔に基づいてもよい。さらに前記出力回路は、第1の端部が識別されたときに起動され、第2の端部が識別されたときに停止される電圧ランプを含み、前記出力信号は、前記電圧ランプの出力に基づいてもよい。
【0006】
端部検出回路が設けられる場合、端部検出回路は、共振回路へのインパルスの印加と印加されたインパルスに応答するインパルス応答の検出の間の伝搬遅延を決定するように構成されてもよく、前記出力信号は前記伝搬遅延に依存する。
【0007】
一部の実施態様ではインパルス検出回路が提供され、インパルス生成回路は、第1のインパルスおよび第2のインパルスを共振回路に印加するように構成され、第1のインパルスは第1のインパルス応答を誘発し、第2のインパルスは第2のインパルス応答を誘発し、各インパルス応答は共振周波数を有し、前記インパルス検出回路は、第1のインパルスの印加後の第1の待機期間の終わりからインパルス応答のそれぞれのインパルス応答期間の終わりまでの第1の時間間隔および第2のインパルス印加後の第2の待機期間の終わりからインパルス応答のそれぞれのインパルス応答期間の終わりまでの第2の時間間隔を決定するように構成され、かつ前記出力回路は、第1の時間間隔と第2の時間間隔の間の差と第1と第2の待機期間の間の差の合計に(少なくとも部分的に)依存するインパルス応答期間を決定するように構成される。
【0008】
インパルス検出回路を含む実施態様ではインパルス検出回路は、対応するインパルスの印加に続く待機期間の終わりに電流源を起動し、前記インパルス応答のインパルス応答期間の終わりに電流源を停止させる電流源制御回路を含んでもよい。アナログ-デジタル変換器が提供されて電流源に結合されてもよく、ここでアナログ-デジタル変換器は第1および/または第2の時間間隔を決定する際に使用する出力を提供する。前記インパルス応答期間は、前記サセプタの温度測定を提供するために用いられてもよい。
【0009】
前記出力信号は前記インパルス応答の電圧振動の減衰率に依存してもよい。
【0010】
実施態様によっては、前記インパルス応答の測定Q値を決定するプロセッサをさらに含み、前記出力信号は、前記測定Q値に基づく。インパルス応答の測定Q値を決定するプロセッサは、振幅が半分(または約半分)になる(または他の事前定義された相対値を満たす)インパルス応答の振動サイクル数を決定し、次いで決定されたサイクル数に所定の値を乗じて、前記測定Q値を決定してもよい。前記Q値は、(決定されたQ値に基づいて)1種以上の性能特性を決定するために使用されてもよい。
【0011】
実施態様によっては、定義された時間間隔内の振動の数を決定する計数器をさらに含む。前記出力回路は、前記決定された振動数に基づいて、取り外し可能な物品が装置内に取り付けられているかどうかを示す出力信号を提供するように構成されてもよい。
【0012】
前記出力信号は、前記サセプタの温度測定を提供するために使用されてもよい。前記出力信号は増減されて、前記温度測定値を提供してもよい。
【0013】
前記インパルス生成回路は、正電圧源と負電圧源を切り替えてインパルスを生成するために使用される第1の切り替え部を含んでもよい。
【0014】
前記サセプタは、加熱モードの操作で物質をエアロゾル化するように構成されてもよい。
【0015】
実施態様によっては、前記インパルス応答に補正値を提供する信号調整回路を含む。
【0016】
前記インダクタ素子に流れる電流を測定する電流センサを設けてもよい。
【0017】
前記出力信号に基づいて前記装置の性能を決定する制御モジュールを設けてもよい。
【0018】
第2の態様では本明細書は、それぞれが(サセプタを誘導加熱する)インダクタ素子およびコンデンサを含む複数の共振回路と、前記複数の共振回路のうちの少なくとも1つにインパルスを印加し、前記印加されたインパルスは選択された共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間にインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、共振周波数を有するインパルス応答の1種以上の特性に(少なくとも部分的に)依存する出力信号を提供する出力回路とを含む、システムについて記載する。前記インパルス応答の1種以上の特性は、前記出力信号がインパルス応答の共振周波数を示すように、前記インパルス応答の電圧振動の時間間隔を含んでもよい。
【0019】
第3の態様では本明細書は、エアロゾル化可能な材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給システムについて記載する。このエアロゾル供給システムは、上記の第1の態様の構造のいずれかを含む装置または上記の第2の態様の構造のいずれかを含む装置を含み、このエアロゾル供給システムは、出力回路からの出力信号の受信に応答して作動するように構成される。
【0020】
第4の態様では本明細書は、(サセプタを誘導加熱する)インダクタ素子とコンデンサを含む共振回路にインパルスを印加することと、インパルス応答の1種以上の特性に(少なくとも部分的に)依存する出力信号を生成することとを含み、印加されたインパルスは、共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導する、方法について記載する。この方法は、加熱操作モードで物質をエアロゾル化するために、前記インダクタ素子を用いてサセプタを誘導加熱することをさらに含んでもよい。
【0021】
前記出力信号は、インパルス応答の振動の時間間隔に依存してもよく、前記出力信号は、インパルス応答の共振周波数を示す。
【0022】
前記インパルスを、温度測定モードの操作中に前記共振回路に印加してもよい。
【0023】
実施態様によっては、インパルス応答の測定Q値を決定することをさらに含む。インパルス応答の測定Q値の決定は、振幅を半分(または約半分)にする(または他の事前定義された相対値を満たす)インパルス応答の振動サイクル数を決定し、決定されたサイクル数に所定の値を乗じることを含む。さらに1種以上の性能特性を、決定されたQ値に基づいて決定してもよい。
【0024】
この方法は、制御信号の上昇端に発生する第1のインパルスを共振回路に印加して第1のインパルス応答を誘導することと、制御信号の下降端に発生する第2のインパルスを共振回路に印加して、第2のインパルス応答を誘導することとを含んでもよい。さらにこの方法は、第1のインパルス応答のうちの1種以上の特性に依存する第1の出力信号を生成し、かつ第2のインパルス応答の1種以上の特性に依存する第2の出力信号を生成することを含んでもよい。
【0025】
第5の態様では本明細書は、計算機で実行されると、計算機に、第4の態様を参照して説明したような任意の方法を実行させるコンピュータ可読命令について記載する。
【0026】
第6の態様では本明細書は、不燃性エアロゾル発生システムで使用する物品を含む部品のキットについて記載する。この不燃性エアロゾル発生システムは、上記の第1の態様の構造のいずれかを含む装置または上記の第2の態様の構造のいずれかを含む。前記物品は、例えば、エアロゾル発生材料を含む取り外し可能な物品でもよい。
【0027】
第7の態様では本明細書は、装置に少なくとも(サセプタを誘導加熱する)インダクタ素子とコンデンサを含む共振回路にインパルスを印加すること、およびインパルス応答の1種以上の性質に依存する出力信号を生成することを実行させる命令を含み、印加されたインパルスは、共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間にインパルス応答を誘導し、各インパルス応答は共振周波数を有するコンピュータプログラムについて記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
次に、例示的な実施態様を、例示目的でのみ、以下の概略図を参照して記述する。
【
図1】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図2】例示的な実施態様による不燃性エアロゾル供給装置を示す。
【
図3】例示的な実施態様による不燃性エアロゾル供給装置の図である
【
図4】例示的な実施態様による、不燃性エアロゾル供給装置と共に使用する物品の図である。
【
図5】例示的な実施態様による回路のブロック図である。
【
図6】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図7】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図8】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図9】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図10】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図11】
図10のアルゴリズムの使用例を示すプロットである。
【
図12】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図13】
図12のアルゴリズムの使用例を示すプロットである。
【
図14】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図15】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図16】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図17】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図18-1】
図17のアルゴリズムの使用例を示すプロットである。
【
図18-2】
図17のアルゴリズムの使用例を示すプロットである。
【
図19】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図20】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図21】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図22】例示的な実施態様による出力を示すプロットである。
【
図23】例示的な実施態様による出力を示すプロットである。
【
図24】例示的な実施態様による出力を示すプロットである。
【
図25】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図26】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図27】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図28】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。
【
図29】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。
【
図30】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図31】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で使用される場合、「送出システム」という用語は、物質をユーザーに送出するシステムを包含することを意図し、以下のシステムを含む。
可燃性エアロゾル供給システム(巻きタバコ、シガリロ、葉巻、パイプ用タバコ、手巻タバコ、または自作の巻きタバコ)(タバコ、タバコ誘導体、発泡タバコ、再構成タバコ、タバコ代替品、または他の喫煙可能な材料に基づくかには関係無く)、
電子タバコ、タバコ加熱製品、およびエアロゾル化可能な材料の組み合わせを用いてエアロゾルを生成するハイブリッドシステムなど、エアロゾル化可能な材料を燃焼させずにエアロゾル化可能な材料から化合物を放出する不燃性エアロゾル供給システム、
エアロゾル化可能な材料を含み、これらの不燃性エアロゾル供給システムの1つで使用されるように構成された物品、および
ロゼンジ、ガム、パッチ、吸入可能な粉末を含む物品、およびスヌースや嗅ぎタバコなどの無煙タバコ製品などの無エアロゾル送出システム。これらは、エアロゾルを形成せずに材料をユーザーに送出し、材料はニコチンを含む場合と含まない場合がある。
【0030】
本開示では「可燃性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するシステムである。
【0031】
本開示では「不燃性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するまたは燃焼しないシステムである。
【0032】
本明細書に記載の実施態様では送出システムは、不燃性エアロゾル供給システム、例えば動力付きの不燃性エアロゾル供給システムである。
【0033】
一実施態様では不燃性エアロゾル供給システムは、蒸気を吸う装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料中のニコチンの存在は要件ではない。
【0034】
一実施態様では不燃性エアロゾル供給システムは、加熱式タバコシステムとしても知られているタバコ加熱システムである。
【0035】
一実施態様では不燃性エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル化可能な材料のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル化可能な材料および固体のエアロゾル化可能な材料を含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0036】
通常、不燃性エアロゾル供給システムは、不燃性エアロゾル供給装置および不燃性エアロゾル供給システムと共に使用する物品を含んでもよい。ただし、それ自体がエアロゾル発生成分に電力を供給する手段を含む物品は、それ自体が不燃性エアロゾル供給システムを形成してもよい。
【0037】
一実施態様では不燃性エアロゾル供給装置は、動力源および制御装置を含んでもよい。動力源は、電源または発熱電源でよい。一実施態様では発熱電源は、発熱電源に近接するエアロゾル化可能な材料または熱伝達材料に熱の形で電力を分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施態様では発熱電源などの電源は、不燃性エアロゾル供給を形成するように物品に設けられる。
【0038】
一実施態様では不燃性エアロゾル供給装置と共に使用する物品は、エアロゾル化可能な材料、エアロゾル発生成分、エアロゾル発生領域、マウスピース、および/またはエアロゾル化可能な材料を受け入れるための領域を含んでもよい。
【0039】
一実施態様ではエアロゾル発生成分は、エアロゾル化可能な材料から1種以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル化可能な材料と相互作用することができるヒーターである。一実施態様ではエアロゾル発生成分は、加熱することなくエアロゾル化可能な材料からエアロゾルを生成することができる。例えば、エアロゾル発生成分は、例えば、振動的、機械的、加圧または静電的手段のうちの1つ以上を介して、エアロゾル化可能な材料に熱を加えることなくエアロゾルを生成することができるようにしてもよい。
【0040】
一実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、活性物質、エアロゾル形成材料、および必要に応じて1種以上の機能性材料を含んでもよい。活性物質は、ニコチン(必要に応じてタバコまたはタバコ誘導体に含まれる)または1種以上の他の非嗅覚的生理学的活性物質を含んでもよい。非嗅覚の生理学的に活性な材料は、嗅覚以外の生理学的反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。
【0041】
エアロゾル形成材料は、グリセリン(グリセロール)、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含み得る。
【0042】
1種以上の機能性材料は、1種以上の風味料、担体、pH調整剤、安定剤、および/または抗酸化剤を含んでもよい。
【0043】
一実施態様では不燃性エアロゾル供給デバイスと共に使用する物品は、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル化可能な材料を受け入れる領域を含んでもよい。一実施態様では不燃性エアロゾル供給デバイスと共に使用する物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能な材料を受け入れる領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵する貯蔵領域でもよい。例えば、貯蔵領域は貯蔵容器でもよい。一実施態様ではエアロゾル化可能な材料を受け入れる領域は、エアロゾル発生領域から分離していても、それと結合していてもよい。
【0044】
本明細書でエアロゾル発生材と呼ばれることもあるエアロゾル化可能な材料は、例えば、加熱、照射、または他の方法でエネルギーを与えられたときにエアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル化可能な材料は、例えば、ニコチンおよび/または風味料を含む場合も含まない場合もある、固体、液体、またはゲルの形体であればよい。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、「無定形固体」を含んでもよく、この固体は、「一体型固体」(即ち、非繊維性)とも呼ばれる。実施態様によっては、無定形固体は、乾燥ゲルであってもよい。無定形固体は、液体などの流体を内部に保持する可能性のある固体材料である。
【0045】
エアロゾル化可能な材料は、基材面に存在してもよい。基材は、例えば、紙、カード、板紙、ボール紙、再構成されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、または金属合金であるか、これらを含んでもよい。
【0046】
図1は、例示的な実施態様による、概ね参照番号10で示すシステムのブロック図である。システム10は、直流(DC)電圧供給部11、切り替え部13、共振回路14、サセプタ部16、および制御回路18の形体の電源を含む。切り替え部13および共振回路14は、誘導加熱装置12内に結合されていてもよい。
【0047】
共振回路14は、サセプタ装置16を誘導的に加熱するコンデンサと1つ以上のインダクタ素子を備え、エアロゾル発生材料を加熱してもよい。エアロゾル発生材料を加熱すると、それによりエアロゾルが発生する。
【0048】
切り替え部13は、DC電圧供給装置11から交流を生成することができる。交流電流は1つ以上のインダクタ素子を流れ、サセプタ装置16の加熱を引き起こす。この切り替え部は複数のトランジスタを含んでもよい。DC-AC変換器には、例えば、Hブリッジまたはインバータ回路が含まれる。これらの例については、後に説明する。なお、疑似AC信号が生成されるDC電圧供給11の提供は、本質的な特徴ではない。例えば、制御可能なAC電源またはAC-ACコンバータが提供されてもよい。したがって、(主電源やインバータなどから)AC入力を提供することができる。
【0049】
切り替え部13および共振回路14の構成例は、後により詳細に説明される。
【0050】
なお、システム10のDC電圧供給装置11は、すべての例示的な実施態様に必須ではない。例えば、(主電源またはインバータなどから)AC入力を提供することができる。
【0051】
図2および3は、例示的な実施態様による、概ね参照番号20で示す不燃性エアロゾル供給装置を示す。
図2は、外カバーを備えたエアロゾル供給デバイス20Aの斜視図である。エアロゾル供給デバイス20Aは、サセプタの加熱を可能にするためにエアロゾル供給デバイス20Aに挿入し得る交換可能な物品21を含んでもよい(これは、以下でさらに説明するように、物品21内に含まれてもよい)。エアロゾル供給デバイス20Aは、エアロゾル供給デバイス20Aのスイッチを入れたり切ったりするために使用される起動スイッチ22をさらに備えてもよい。
【0052】
図3は、外カバーが取り外されたエアロゾル発生デバイス20Bを示す。エアロゾル発生デバイス20Bは、物品21、起動スイッチ22、複数のインダクタ素子23a、23b、および23c、ならびに1つ以上の空気管延長部24および25を含む。1つ以上の空気管延長部24および25は必須ではない。
【0053】
複数のインダクタ素子23a、23bおよび23cは、それぞれ、共振回路14などの共振回路の一部を形成してもよい。インダクタ素子23aは、螺線インダクタコイルを含んでもよい。一例では螺線インダクタコイルは、螺線状に巻かれて螺線インダクタコイルを提供するリッツ線/ケーブルでできている。プリント回路基板内に形成されたインダクタなど、多くの代替インダクタの形成が可能である。インダクタ素子23bおよび23cは、インダクタ素子23aに類似していてもよい。3つのインダクタ素子23a、23bおよび23cの使用は、すべての例示的な実施態様に必須ではない。したがって、エアロゾル発生デバイス20は、1つ以上のインダクタ素子を含んでもよいことになる。
【0054】
物品21の一部としてサセプタを提供することができる。例示的な実施態様では物品21をエアロゾル発生デバイス20に挿入することで、エアロゾル発生デバイス20を起動させてもよい。これは、適切なセンサー(例えば、光センサー)を用いてエアロゾル発生デバイス内の物品21の存在を検出すること、あるいはサセプタが物品21の一部を形成する場合、例えば、共振回路14を用いてサセプタの存在を検出することによって行われてもよい。エアロゾル発生デバイス20を起動すると、インダクタ素子23は、サセプタにより物品21を誘導的に加熱させることができる。別の実施態様ではサセプタを、エアロゾル発生デバイス20の一部として(例えば、物品21を受け入れるための保持部の一部として)設けてもよい。
【0055】
図4は、例示的な実施態様による、不燃性エアロゾル供給装置と共に使用するための、概ね参照番号30で示す物品の図である。物品30は、
図2および
図3を参照して上記で説明した交換可能な物品21の例である。
【0056】
物品30は、マウスピース31およびマウスピース31に接続されたエアロゾル発生材33、この場合はタバコ材料の円筒形ロッドを含む。エアロゾル発生材料33を、例えば、本明細書に記載されるように、エアロゾル発生デバイス20などの不燃性エアロゾル発生デバイス内で加熱すると、エアロゾルを発生する。エアロゾル発生材料33は、ラッパー32で包まれている。ラッパー32は、例えば、紙または紙で裏打ちされた金属箔ラッパーでもよい。ラッパー32は、空気に対して実質的に不浸透性である。
【0057】
一実施態様ではラッパー32はアルミ箔を含む。アルミ箔は、エアロゾル発生材料33内のエアロゾルの形成を促進するために特に効果的であることが分かっている。一例ではアルミホイルは、約6μmの厚さを有する金属層を有する。アルミ箔には裏紙が付いている場合がある。しかしながら、別の配置ではアルミ箔は他の厚さ、たとえば4μm~16μmの厚さであってもよい。アルミ箔にも紙の裏打ちが必須ではないが、たとえばホイルに適切な引張強度を提供するために、他の材料の裏打ち材を形成してもしなくてもよい。アルミニウム以外の金属層や箔も使用できる。さらにそのような金属層が物品30の一部として提供されることは必須ではない。例えば、そのような金属層は、デバイス20の一部として提供されてもよい。
【0058】
本明細書でエアロゾル発生基材33とも呼ばれるエアロゾル発生材33は、少なくとも1種のエアロゾル形成材料を含む。この例ではエアロゾル形成材料はグリセリンである。別の例ではエアロゾル形成材料は、本明細書に記載されるような別の材料またはそれらの組み合わせであってもよい。エアロゾル形成材料は、香味化合物などの化合物のエアロゾル発生材から消費者への移動を助けることで、物品の感覚性能を改善することが分かっている。
【0059】
図4に示すように、物品30のマウスピース31は、エアロゾル発生基材33に隣接する上流端31aと、エアロゾル発生基板33から遠位の下流端31bとを含む。エアロゾル発生基材はタバコを含むが、代用品も可能である。
【0060】
マウスピース31は、中空の管状部材34の上流に、この例では中空の管状部材34に隣接し、当接関係にある材料36の本体を含む。材料36の本体および中空の管状部材34はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。材料36の本体は、第1のプラグラッパー37で包まれている。第1のプラグラッパー37は、約20gsm~40gsmなど、50gsm未満の坪量をもっていてもよい。
【0061】
この例では中空の管状部材34は第1の中空の管状部材34であり、マウスピースは、第1の中空の管状部材34の上流に、冷却部材とも呼ばれる第2の中空の管状部材38を含む。この例では第2の中空の管状部材38は、材料36の本体の上流と当接している。材料の本体36および第2の中空の管状部材38はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。第2の中空の管状部材38は、平行に巻かれた複数の紙の層から形成され、継ぎ目が突き合わされて、管状部材38を形成する。この例では第1および第2の紙層が2プライ管で提供されるが、他の例では3層、4層またはそれ以上の紙層で、3プライ、4プライまたはそれ以上のプライ管を形成することができる。紙のらせん状に巻かれた層、ボール紙の管、張り子管のプロセスを使用して形成された管、成形または押し出しプラスチック管などの他の構造を使用することができる。第2の中空の管状部材38はまた、本明細書に記載の第2のプラグラッパー39および/またはチッピング紙35として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成することができ、これは、別個の管状部材が必要ないことを意味する。
【0062】
第2の中空の管状部材38は、冷却部として機能するマウスピース31の周囲に配置され、マウスピース31内の空隙を画定する。空隙は、エアロゾル発生材料33によって生成された加熱揮発成分が流れることができるチェンバーを提供する。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル蓄積室を提供するために中空であるが、剛性が十分にあり、製造中および物品21の使用中に発生する可能性のある軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えることができる。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル発生材33と材料本体36の間に物理的変位を提供する。第2の中空の管状部材38によって提供される物理的変位は、第2の中空の管状部材38の長さ全体にわたって温度勾配を提供する。
【0063】
もちろん、物品30は、単なる例として提供されている。当業者は、本明細書に記載のシステムで使用することができるそのような物品の多くの代替配置を知っている。
【0064】
図5は、例示的な実施態様による、概ね参照番号40で示す回路のブロック図である。回路40は、正の端子47および負の(接地)端子48(これらは、上記のシステム10のDC電圧供給11の実装例である)を含む。回路40は、切り替え部44(上記の切り替え部13を実施する)を含み、ここで、切り替え部44は、ブリッジ回路(例えば、FET Hブリッジ回路などのHブリッジ回路)を含む。切り替え部44は、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bを含み、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bは、共振回路49(上記の共振回路14を実装する)によって結合される。第1の回路分岐44aは、スイッチ45aおよび45bを含み、第2の回路分岐44bは、スイッチ45cおよび45dを含む。スイッチ45a、45b、45cおよび45dは、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタであり、システム10の制御回路18などの制御装置からの入力を受け取ることができる。共振回路49は、共振回路49がLC共振回路であるように、コンデンサ46およびインダクタ素子43を含む。回路40はさらにサセプタ等価回路42を示す(それにより、サセプタ部16を実施している)。サセプタ等価回路42は、例示的なサセプタ部16の電気的効果を示す抵抗器とインダクタ素子含む。サセプタが存在する場合、サセプタ部42およびサセプタ素子43は、変圧器41として機能することができる。変圧器41は、回路40が電力を受け取るとサセプタが加熱されるように、変動磁場を生成することができる。サセプタ装置16が誘導装置によって加熱される加熱操作中、切り替え部44は、第1および第2の分岐部のそれぞれが交互に接続されて交流電流が共振回路14を流れるように(例えば、制御回路18で)駆動される。共振回路14は部分的にサセプタ部16に基づく共振周波数を有し、制御回路18は、共振周波数または共振周波数に近い周波数で切り替わるように切り替え部44を制御するように構成される。スイッチ回路を共振またはその近くで駆動すると、効率が向上し、スイッチ素子で失われるエネルギー(これにより、スイッチ素子が不必要に加熱される)が減少する。
【0065】
アルミ箔を含む物品21が加熱される例では切り替え部44は約2.5MHzの周波数
で駆動される。しかしながら、他の実装形体では周波数は、例えば、500kHz~4MHzの間のいずれかにある。
【0066】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場を貫通することによって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。加熱材料は、導電性および磁性のどちらでもよいので、加熱材料は、両方の加熱機構で加熱可能である。
【0067】
誘導加熱は、変動磁場が導電性物体を貫通することで加熱される過程である。この過程は、ファラデーの誘導の法則とオームの法則で説明される。誘導加熱器は、電磁石と電磁石に交流などの変動電流を流す装置を含んでもよい。電磁石と加熱される物体が適切に相対配置され、電磁石によって生成された結果として生じる変動磁場が物体を貫通すると、1つ以上の渦電流が物体の内部に生成される。物体は電流の流れに対して抵抗がある。したがって、このような渦電流が物体に発生すると、物体の電気抵抗に逆らって渦電流が流れ、物体が加熱される。この過程は、ジュール、オーム、または抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱できる物体は、サセプタとして知られている。
【0068】
一実施態様ではサセプタは、閉回路の形体である。実施態様によっては、サセプタが閉回路の形体の場合、使用中のサセプタと電磁石の間の磁気結合が強化され、その結果、ジュール加熱がより大きく即ち改善されることが見出された。
【0069】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料でできた物体を変動磁場が貫通することで加熱する過程である。磁性材料は、多くの原子スケールの磁石、即ち磁気双極子を含むと見なすことができる。磁場がそのような材料を貫通すると、磁気双極子は磁場と整列する。したがって、たとえば電磁石により生成されるような交番磁場などの変動磁場が磁性材料を貫通すると、磁気双極子の配向は、変動印加磁場とともに変化する。このような磁気双極子の再配向により、磁性材料に熱が発生する。
【0070】
物体が導電性と磁性の両方である場合、変動磁場が物体を貫通すると、物体にジュール熱と磁気ヒステリシス加熱の両方が発生する可能性がある。さらに磁性材料を使用すると磁場を強めることができ、ジュール熱を強めることができる。
【0071】
上記の各過程では熱伝導による外部熱源ではなく、物体自体の内部で熱が発生するため、特に適切な物体材料と幾何学的配置、ならびに物体に対する適切な変動磁場の大きさと方向を選択することで、物体の急激な温度上昇とより均一な熱分布を実現できる。さらに誘導加熱および磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の発生源と物体の間に物理的な接続を提供する必要がなく、設計の自由度および加熱パターンの制御が大きくなり、コストが低くなる可能性がある。
【0072】
図6は、例示的な実施態様による、概ね参照番号60で示すシステムのブロック図である。このシステム60は、上記のシステム10の共振回路14およびサセプタ16を含む。このシステムは、インパルス生成回路62およびインパルス応答プロセッサ64をさらに含む。インパルス生成回路62およびインパルス応答プロセッサ64を、システム10の制御回路18の一部として実装してもよい。
【0073】
インパルス生成回路62は、正と負の電圧源を切り替えてインパルスを生成するので、第1の切り替え部(Hブリッジ回路など)を用いて実装される。例えば、
図5を参照して上記で説明した切り替え部44を使用してもよい。以下にさらに説明するように、インパルス生成回路62は、切り替え部44のFETの切り替え状態を、スイッチ45bおよび45dが両方とも(切り替え部が接地されるように)入っておりかつスイッチ45aおよび45bは切られているある状態から第1および第2の回路分岐44aおよび44bのうちの1つのスイッチの切り替え状態が逆になるように変化させてインパルスを生成することができる。あるいは、インパルス生成回路62は、パルス幅変調(PWM)回路を用いて提供される。他のインパルス生成の配置も可能である。
【0074】
インパルス応答プロセッサ64は、インパルス応答に基づいて、共振回路14およびサセプタ16の1つ以上の性能測定基準(または特性)を決定することができる。そのような性能測定基準には、物品(取り外し可能な物品21など)の特性、そのような物品の有無、物品の種類、操作温度などが含まれる。
【0075】
図7は、例示的な実施態様による、概ね参照番号70で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム70は、システム60の使用例を示す。
【0076】
アルゴリズム70は、(インパルス生成回路62で生成された)インパルスが共振回路14に印加される操作72で始まる。
図8は、概ね参照番号80で示すプロットであり、操作72で印加される例示的なインパルスを示す。
【0077】
インパルスを共振回路14に印加してもよい。あるいは、複数のインダクタ素子を有するシステム(
図2および3を参照して上で説明した不燃性エアロゾル装置20など)ではインパルス生成回路62は複数の共振回路のうちの1つを選択することができ、各共振回路はサセプタを誘導加熱するインダクタ素子とコンデンサを含み、ここで、印加されたインパルスは、コンデンサと選択された共振回路のインダクタ素子の間にインパルス応答を誘導する。
【0078】
操作74で、操作72で印加されたインパルスに応答して生成されるインパルス応答に基づいて(インパルス応答プロセッサ64によって)出力を生成する。
図9は、概ね参照番号90で示すプロットであり、インパルス80に応答してインパルス応答プロセッサ64で受信される例示的なインパルス応答を示す。
図9に示すように、インパルス応答は、リンギング共振の形をとるかもしれない。インパルス応答は、共振回路14のインダクタとコンデンサの間で跳ね返る電荷の結果である。1つの構成では結果として、サセプタの加熱は引き起こされない。即ち、サセプタの温度は実質的に一定である(例えば、インパルスを印加する前の温度の±1℃または±0.1℃以内)。
【0079】
インパルス応答の特性の少なくとも一部(インパルス応答の周波数や減衰率など)は、インパルスが印加されるシステムに関する情報を提供する。したがって、以下でさらに説明するように、システム60を使用して、インパルスが印加されるシステムの1種以上の特性を決定することができる。例えば、故障状態、挿入された物品21の特性、そのような物品の有無、物品21が本物であるかどうか、操作温度などの1種以上の性能特性を、インパルス応答から導かれる出力信号に基づいて決定することができる。システム60は、システム10の決定された1種以上の特性を使用して、例えば、サセプタ装置16の加熱を行うために、システム10を使用してさらなる操作を実行する(または必要に応じてさらなる操作を防止する)ことができる。例えば、決定された操作温度に基づいて、システム60は、サセプタ装置のさらなる加熱を引き起こすために誘導装置に供給される電力水準、または電力を供給するべきかどうかを選択することができる。障害状態や物品21が本物であるかどうかの判断など、一部の性能特性ではシステムの測定された特性(インパルス応答を使用して測定)を、特性の期待値または値の範囲と比較し、その比較に基づいてシステムによって60によって取られる操作を実行できる。
【0080】
図10は、例示的な実施態様による、概ね参照番号100で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム100の操作102で、インパルス生成回路62によって共振回路14にインパルスを印加する。操作104で、印加されたインパルスに応答して誘導される第1のインパルス応答までの時間を、インパルス応答プロセッサ64で決定する。最後に、操作106で、(最初のインパルス応答までの時間に基づく)出力を生成する。
【0081】
図11は、アルゴリズム100の使用例を示す、概ね参照番号110で示すプロットである。プロット110は、インパルス生成回路62により共振回路14に印加されるインパルス112を示す。インパルス112を印加すると、アルゴリズム100の操作102が実行される。インパルス応答114は、印加されたインパルスに応答して誘導される。インパルス112は、測定の間、その最終状態(プロット110では高い)に保持され得るが、これは必須ではない。例えば、高-低インパルスを印加する(かつ低く保持する)ことがでる。
【0082】
インパルス応答プロセッサ64は、インパルス応答114の端部を示す信号116を生成する。以下でさらに説明するように、信号116は、比較器によって生成され、端部の発生と信号の生成の間に遅延があるかも知れない。一貫している場合、その遅延は処理にとって重要ではない場合がある。
【0083】
アルゴリズム100の操作104で、第1のインパルス応答までの時間が決定される。その時間は、インパルス112と信号116の第1の立ち上がり間の時間である。例示的な時間は、
図11の矢印118で示される。
【0084】
アルゴリズム100の操作106で、決定された時間間隔118に基づいて出力が生成される。実施態様によっては、時間間隔118は温度に依存する。したがって、操作106で生成された出力は、温度推定値を提供するために使用される。
【0085】
図12は例示的な実施態様による、概ね参照番号120で示されるアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム120の操作122で、インパルスはインパルス生成回路62によって共振回路14に印加される。したがって、操作122は上記の操作102と同じである。
【0086】
アルゴリズム120の操作124において、加えられたインパルスに応答して誘導されるインパルス応答の周期は、インパルス応答プロセッサ64によって決定される。最後に、操作126において、(インパルス応答の決定された周期に基づく)出力が生成される。
【0087】
図13は、アルゴリズム120の使用例を示す、概ね参照番号130で示されるプロットである。プロット130は、インパルス生成回路62によって共振回路14に印加されるインパルス132を示す。インパルス132を印加すると、アルゴリズム100の操作122が実行される。インパルス応答134は印加されたインパルスに応答して誘導される。インパルス132は、測定の間、その最終状態(プロット130では高い)に保持されるが、これは必須ではない。例えば、高-低インパルスを印加する(かつ低く保持する)ことができる。
【0088】
インパルス応答プロセッサ64は、インパルス応答134の端部を示す信号136を生成する。以下でさらに説明するように、信号136は、比較器によって生成され、端部の発生と信号の生成の間に遅延があるかもしれない。一貫している場合、その遅延は処理にとって重要ではない場合がある。
【0089】
アルゴリズム120の操作124で、インパルス応答の周期が決定される。例示的な期間は、
図13の矢印138で示す。
【0090】
アルゴリズム100の操作126で、出力は、決定された周期138に基づいて生成される。したがって、出力信号は、インパルスの第1の端部および前記インパルス応答の完全な1サイクル後の第2の端部からの時間間隔に基づく。したがって、出力信号は、インパルス応答の電圧振動の時間間隔に依存し、その結果、出力信号は、インパルス応答の共振周波数を示す。
【0091】
実施態様によっては、期間138は温度に依存する。一実装例では摂氏250度の温度の変化で、期間138は13ナノ秒変化した。したがって、操作126で生成された出力は、測定された期間に基づいてサセプタ16の温度推定値を提供するために使用される。即ち、(本実施例では信号136から決定される)インパルス応答134の周期138を用いて、例えば、事前に決定されたルックアップテーブルを参照してサセプタ16の温度を決定することができる。
【0092】
図14は、例示的な実施態様による、概ね参照番号140で示されるシステムのブロック図である。システム140は、上記のアルゴリズム100および120の操作106および126を実行するために使用される。
【0093】
システム140は、端部検出回路142、電流源143、およびサンプルアンドホールド回路144を含む。
【0094】
端部検出回路142は、上記のインパルス応答信号114および134などの信号の端部を決定するために使用することができる。したがって、端部検出回路142は、上記の信号116および136を生成することができる。端部検出回路142は、例えば、一台の比較器または何らかの同種の回路を用いて実装することができる。
【0095】
端部検出回路142は、電流源143にイネーブル(有効)信号を提供する。有効にされると、電流源143を用いて、出力(コンデンサ両端の電圧出力など)を生成することができる。電流源143は、リセット入力として機能する放電入力を持っている。電流源出力は、端部検出回路142の出力が電流源143を有効にしたので、持続時間を示すのに使用することができる。したがって、電流源出力は、持続時間(例えば、パルス)の表示として使用することができる。
【0096】
サンプルアンドホールド回路144を用いて、特定の時間における電流源143の出力に基づいて出力信号を生成することができる。サンプルアンドホールド回路144は、基準入力を持つことができる。サンプルアンドホールド回路144は、コンデンサ電圧をデジタル出力に変換するアナログ-デジタル変換器(ADC)として使用することができる。他のシステムでは電圧計などの他の適切な電子部品を使用して電圧を測定することができる。
【0097】
システム140は、アルゴリズム100の例示的な実行で使用される。例えば、端部検出回路142は、インパルス応答114の端部を検出し、それにより、信号116を生成する。端部検出回路は、インパルスが生成されると信号116が生成されるまで電流源143を有効にすることができる。したがって、端部検出回路142は、共振回路14へのインパルスの印加の間の伝搬遅延を決定するように構成することができる。したがって、電流源は、
図11に示される時間間隔118の間に有効にされる。したがって、サンプルアンドホールド回路144の出力は、時間間隔118に依存することができる。
【0098】
同様に、システム140は、アルゴリズム120の実行に使用される。例えば、端部検出回路142は、インパルス応答134の連続する端部を検出し、それにより、信号136を生成することができる。端部検出回路は、2つの端部の間の期間、電流源143を有効にすることができる。したがって、電流源は、
図13に示される時間間隔138の間、有効にされる。したがって、サンプルアンドホールド回路144の出力は、時間間隔138に依存することができる。
【0099】
システム140は、充電時間測定部(CTMU)、例えば、統合CTMUを用いて実装される。
【0100】
図15は、例示的な実施態様による、概ね参照番号150で示すシステムのブロック図である。システム150は、例示的な実施態様で使用することができるCTMUの特徴を示す。
【0101】
システム150は、基準電圧発生器151、比較器152、端部検出モジュール153、電流源制御部154、定電流源155、データ出力157をデータバスに提供するアナログ-デジタル変換器156、および外部コンデンサ158を含む。以下にさらに説明するように、電圧発生器151、比較器152、および端部検出モジュール153を用いて、上記の端部検出回路142を実装することができ、電流源コントローラ154および定電流源155を用いて、電流源143を実装することができ、さらにアナログ-デジタル変換器156を用いて、上記のサンプルアンドホールド回路144を実装することができる。
【0102】
上記の操作104および124で生成されたインパルス応答は、比較器152の入力に送られ、インパルス応答は、基準電圧発生器151の出力と比較される。比較器は、インパルス応答が基準電圧よりも大きい場合に論理高(High)信号を出力し、インパルス応答が基準電圧よりも小さい場合に論理低(Low)信号を出力(またはその逆)してもよい。比較器152の出力は、端部検出回路153の入力(IN2)に供給される。端部
検出回路153の他の入力(IN1)は、ファームウェア制御入力である。端部検出回路153(これは単に選択可能なRSフリップフロップでよい)は、比較器152の出力での端部の識別に依存するイネーブル信号を生成する。端部検出回路153は、検出されるべき端部の性質(例えば、上昇または下降端部、第1の端部など)を示すことができるようにプログラム可能である。
【0103】
イネーブル信号は、電流源制御部154への入力として提供される。有効にされると、電流源制御部154は、外部コンデンサ158を充電するために使用される電流を(定電流源155から)印加する。電流源制御部への放電入力を用いて、外部コンデンサ158を放電することができる(さらにコンデンサに蓄積された電荷を基底値に効果的にリセットする)。
【0104】
アナログ-デジタル変換器156は、外部コンデンサ158の両端電圧の決定に使用され、この電圧は、データ出力157の提供に使用される。このようにして、システム150は、識別された端部で初期化されかつ第2の端部が識別されると終了する電圧ランプを提供する。
【0105】
図16は、例示的な実施態様による、概ね参照番号160で示す信号調整回路などの回路ブロック図である。この回路160を用いて、インパルス応答に補正値を提供して、比較器152がインパルス応答を基準電圧発生器151の出力と正確に比較できるようにすることができる。補正値は、例えば、比較器回路152の閾値水準が補正パルス応答の中間点にあるようにプログラム可能である。
【0106】
信号調整回路160には、少なくとも3つの目的がある。1つ目は、電圧スパイクからの保護を提供することであある。この保護は、積層されたダイオードと、ダイオードの中点と出力の間の抵抗(図示せず)によって実現される。2つ目は、信号のデカップリングを提供することである。これが、回路160の入力にあるコンデンサの目的である。3つ目は、上記のように、比較器152の入力のオフセット(補正)電圧と一致するようにインパルス応答のオフセット電圧を設定して比較器がインパルス応答の中間点で確実に始動するようにすることである。これは、抵抗R1とR2で実現される。
【0107】
アルゴリズム100および120は、本明細書で説明される原理に従った多くの例示的なアルゴリズムのうちの2つである。実施態様によっては、アルゴリズム100は不正確かもしれない。さらに実施態様によっては、アルゴリズム120は、長い時間の決定を必要とする可能性があり、これは、デジタル出力の利用可能な解像度を低下させる可能性がある。
図17は、システム60の別の使用例による、概ね参照番号170で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0108】
アルゴリズム170の操作171で、インパルス生成回路62は共振回路14に第1のインパルスを印加する。操作172でインパルス応答プロセッサ64は、第1の印加インパルスに応答して誘導されるインパルス応答の第1のインパルス応答周期を決定する。
【0109】
操作173でインパルス生成回路62は、第2のインパルスを共振回路14に印加する。操作174でインパルス応答プロセッサ64は、第2の印加インパルスに応答して誘導されるインパルス応答の第2のインパルス応答周期を決定する。
【0110】
最後の操作175で出力が、推定されたインパルス応答周期に基づいて生成される。推定されたインパルス応答期間は、例えば、操作温度を示す。以下で詳細に説明するように、推定インパルス応答期間は、操作172および174で決定された時間間隔から導かれる。
【0111】
図18は、アルゴリズム170の使用例を示す、概ね参照番号180で示す第1のプロットと概ね参照番号190で示す第2のプロットを示す。
【0112】
プロット180は、インパルス生成回路62によって共振回路14に加えられる第1のインパルス181を示す。第1のインパルス181を印加するとアルゴリズム170の操作171が実施される。第1のインパルス応答182は、第1のインパルスの印加に応答して誘導される。
【0113】
インパルス応答プロセッサ64は、第1のインパルス応答182の端部を示す信号183を生成する。本明細書の他の場所で述べるように、信号183は、比較器(比較器152など)によって生成される。
【0114】
アルゴリズム170の操作172で、第1のインパルス時間間隔が決定される。第1の時間応答期間は、第1のインパルスの印加に続く第1の待機期間184の終わりに始まり、関連するインパルス応答のインパルス応答期間の終わりに終わる。
図18に示すように、第1の応答時間間隔は、矢印187で示すように、時間185で始まり時間186で終わる。第1の時間間隔187の間、電流源143が有効にされ、電圧がサンプルアンドホールド回路144で生成される。その電圧を参照番号188で示す。線188で示す電圧は、コンデンサ158の充電の時間変動に対応する(即ち、定電流の印加により、コンデンサ158の電荷は時間につれて増加する)。関連するインパルス応答の終わりに、定電流がコンデンサ156にもはや供給されなくなると、サンプルアンドホールド回路の電圧は、第1の時間間隔187を示す。第1の時間間隔187の決定は、アルゴリズム170の操作172を実施する。
【0115】
プロット190は、インパルス生成回路62によって共振回路14に加えられる第2のインパルス191を示す。第2のインパルス191の印加に応答して、アルゴリズム170の操作173が行われる。第2のインパルス応答192は、第1のインパルスの印加に応答して誘導される。
【0116】
インパルス応答プロセッサ64は、第2のインパルス応答192の端部を示す信号193を生成する。本明細書の他の場所で説明されるように、信号193は、比較器(比較器152など)によって生成され得る。
【0117】
アルゴリズム170の操作174で、第2のインパルス時間間隔が決定される。第1の時間応答期間は、第2のインパルスの印加に続く第2の待機期間194の終わりに始まり、関連するインパルス応答のインパルス応答期間の終わりに終わる。実施態様によっては第2の待機期間194は、例えば、第1の待機期間184よりも大きい。さらなる実施態様によっては、第2の待機期間194は、待機期間184より信号182および192の1/fの量だけ大きい。これは、例えば、経験的試験に基づいて事前に決定することができる。
図18に示すように、第2の応答時間は矢印197で示すように、時間195で始まり時間196で終わる。時間間隔197の間、電流源143が有効にされ、電圧がサンプルアンドホールド回路144で生成される。その電圧を、参照番号198で示す。関連するインパルス応答の終わりで、サンプルアンドホールド回路の電圧は、時間間隔197を示す。第2の時間間隔197の決定は、アルゴリズム170の操作174を実施する。
【0118】
遅延184および194は固定され、ハードウェア構成によって依存・決定され、その後、この設計のために固定されたままでもよい。例えば、遅延184は、Hブリッジが切り替わる時間を持ち、応答信号の前半サイクルが完了する機会を持つように選択される(これは、プロットに示されるように歪んだサイクルである傾向がある)。遅延194は、遅延184に応答信号の予想される周期を加えたもので決定される。
【0119】
アルゴリズム170の操作175で、推定されたインパルス応答周期に基づいて出力が生成される。インパルス応答期間は、第1および第2の待機期間の差と第1および第2のインパルス時間間隔の差との合計に基づいて決定することができる。
【0120】
したがって、例えば、第1の待機期間184がw1で示され、第2の待機期間194がw2で示され、第1の時間間隔187がt1で示され、第2の時間間隔197がt2で示される場合、インパルス応答期間は次式で与えられる。
(w2 - w1) + (t2 - t1)
【0121】
インパルス応答期間(したがって、インパルス応答周波数)は温度に依存するため、(適切なメモリで)温度表示として使用できる。なお、周期は(温度の変化に伴い)時間とともに変化するが、上記の推定値を生成するために使用される連続するパルス間の温度差は無視できる。
【0122】
上記のように、一実装例では摂氏250度の温度の変化で、13ナノ秒のインパルス応答周期138の変化が生じた。この例では全体の期間は390ナノ秒の大きさであった。390ナノ秒の期間で13ナノ秒の変化を測定することは簡単ではない。少なくとも一部の実施態様では
図17および
図18を参照して説明された例は、特にデータ蓄積が制限されている場合に、より高精度で実装できる。
【0123】
一実施態様では第1の待機期間184および第2の待機期間194は、CPUの所定の数の命令サイクルである。例えば、第1の待機期間184は9命令サイクルであり、第2の待機期間194は14命令サイクルであってもよい。このような配置は、実装が非常に簡単である。一実装例では命令サイクルの周期は62.5ナノ秒である。2.5MHzシステムに対する遅延184と194の差は、400ナノ秒以下でなければならない。これは、6命令サイクル以下であることがわかる。9命令と14命令の例(それぞれ待機期間184と194)では5命令サイクルの違いがある。これは、1つの実装例でうまく機能することがわかっており、期間が変更された場合(例えば、加熱またはインサートの取り外しが原因)でもシステムが機能するようにする。
【0124】
図19は、例示的な実施態様による、概ね参照番号260で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム260は、インパルスが生成されて共振回路14に印加される操作261で始まる。操作262で、加えられたインパルスに応答して誘導されたインパルス応答の減衰率が決定される。減衰率は、例えば、インパルスが印加される回路に関する情報を決定するために使用できる。例えば、Q値測定の形での減衰率を用いて、操作温度を推定することができる。操作262は、
図7の操作74の一例である。つまり、減衰率は、インパルス応答に基づく出力の例である。
【0125】
インパルス応答は、インパルスが印加される回路またはシステムに関する情報の範囲を推定するために使用できる。 例えば、上記のエアロゾル供給デバイス20の変数は、イ
ンパルス応答変数に基づいて推定することができる。例えば、そのような変数には、操作温度、サセプタおよび/または取り外し可能な物品の有無、サセプタおよび/または取り
外し可能な物品の他の特性、故障状態などが含まれる。故障状態の例には、取り外し可能な物品がエアロゾル発生デバイスに正しい方法で挿入されているかどうか(正しい方向に挿入されているか、完全に挿入されているかなど)、および取り外し可能な物品が良好な状態にあるかどうかが含まれる。
【0126】
図20は、例示的な実施態様による、概ね参照番号270で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム270は、インパルス応答の所与の期間における振動の数がカウントされる操作271で始まる。操作272で、回路情報(挿入された物品および/またはサセプタの有無、操作温度、サセプタおよび/または取り外し可能な物品の他の特性など)は、振動数の計数値に基づいて決定される。例えば、プロセッサ(インパルス応答プロセッサ64など)は、インパルス応答信号の所与の期間における振動数を決定するために提供される。そのような測定は、例えば、前記決定された振動数に基づいて、取り外し可能な物品が装置内に取り付けられているかどうかを決定するために使用される。
【0127】
図21は、例示的な実施態様による、概ね参照番号280で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム280は、インパルス応答のQ値を決定する操作281で始まる。操作282で、回路情報(挿入された物品および/またはサセプタの有無、操作温度、サセプタおよび/または取り外し可能な物品の他の特性など)を振動の計数値に基づいて決定する。例えば、プロセッサ(インパルス応答プロセッサ64など)は、振幅が半分になるインパルス応答の振動サイクル数を決定し、決定されたサイクル数に所定の値を乗算して、インパルス応答のQ値測定を決定するために提供される。そのような測定は、例えば、前記決定されたQ値に基づいて、取り外し可能な物品が装置内に取り付けられているかどうかを決定するために使用される。当業者は、関連する回路のQ値を決定または推定するための他の構成を知っている。
【0128】
図22は、例示的な実施態様による出力を示す、概ね参照番号300で示すプロットである。プロット300は、物品21を挿入し、摂氏約176度の温度で操作しているときに、エアロゾル供給デバイス20の操作モード中にインパルス応答プロセッサ64が検出したインパルス応答を示す(即ち、「熱」操作モード)。プロット300のQ値は約7.
9である。
【0129】
図23は、例示的な実施態様による出力を示す、概ね参照番号301で示すプロットである。プロット301は、物品21を挿入し、摂氏約20度の温度で操作しているときに、エアロゾル供給デバイス20の操作モード中にインパルス応答プロセッサ64が検出されたインパルス応答を示す(即ち、「冷」操作モード)。プロット302のQ値は、約11.3である。
【0130】
図24は、例示的な実施態様による出力を示す、概ね参照番号302で示すプロットである。プロット302は、物品21が挿入されていないときのエアロゾル供給デバイス20の操作モード(即ち、「無ロッド」操作モード)でインパルス応答プロセッサ64により検出されたインパルス応答を示す。プロット300のQ値は約31.7である。
【0131】
自明の通り、アルゴリズム280を用いて、上記のプロット300から302に示されるシナリオを区別できる。即ち、計算Q値(インパルス応答信号の減衰率データの例である)に基づいて、サセプタが存在する状態または存在しない状態(例えば、物品21が挿入されているかどうか)、および「冷」サセプタと「暖」サセプタを区別することが可能である。さらにQ値に基づいてサセプタの温度を決定することも可能である。上記のプロットから、(これらの例では)Q値は一般に温度の上昇とともに減少することが分かる。
【0132】
同様に、アルゴリズム270を用いて、上記のプロット301および302に示されるシナリオを区別できることは容易に明らかである。アルゴリズム270に従って、所与の時間間隔における振動数の計数から、サセプタの特性データ、例えば、温度が得られる。実際、プロット301は、プロット302よりも所与の時間間隔の振動数がはるかに少ない。言い換えれば、所与の時間間隔の振動数は、サセプタの温度と相関している。上記のプロットから、(これらの例では)振動の数は一般に温度の上昇とともに増加することがわかる。
【0133】
図25は、例示的な実施態様による、概ね参照番号350で示すシステムのブロック図である。システム350は、上記のシステム10の直流(DC)電圧供給部11と、切り替え部13と、共振回路14と、サセプタ配置16と、制御回路18とを含む。さらにシステム350は、電流センサ15も含む。切り替え部13、共振回路14、および電流センサ15は、誘導加熱部12内に一緒に結合することができる。
【0134】
図26は例示的な実施態様による、概ね参照番号360で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム360は、システム350の使用例を示す。
【0135】
アルゴリズム360の操作361で、エアロゾル発生デバイスの共振回路が制御され、ここで、共振回路は、1つ以上のインダクタ素子を含んでもよい。エアロゾル発生物質を加熱するために、1つ以上インダクタ素子を使用することがでる。エアロゾル発生材料を加熱して、エアロゾル発生デバイスの加熱操作モードでエアロゾルを発生させることができる。例えば、システム350の共振回路14は、制御モジュール18で制御される。
【0136】
操作362で、電流センサでインダクタ素子を流れる電流を測定する。例えば、共振回路14の1つ以上のインダクタ素子に流れる電流を、電流センサ15で測定する。
【0137】
操作363で、エアロゾル発生デバイスおよび/またはエアロゾル発生デバイスのための装置の1種以上の特性は、少なくとも部分的に、測定された電流に基づいて決定される。1種以上の特性には、取り外し可能な物品の有無、取り外し可能な物品の特性、故障状態(取り外し可能な物品がエアロゾル発生デバイスに正しい方法で挿入されているかどうか(正しい方向に挿入されているか、完全に挿入されているかなど)、取り外し可能な物品が良好な状態にあるかどうか)、電流が本物のサセプタおよび/または取り外し可能な
物品の電流と一致するかどうか、電流が第1の温度閾値を超えるおよび/または第2の温度閾値を下回る温度を有するサセプタと一致するかどうかのうちの1つ以上が含まれる場合がある。
【0138】
回路またはシステムの特性を決定するための電流測定は、本明細書に記載の他の方法(Q値および/または共振周波数決定配置および/または発振計数配置など)のいずれかと組み合わせて使用することができる。なお、計算Q値のみに基づいてサセプタの有無を判断できるため、例えば、サセプタの有無を判断するために電流測定を使用する必要はない。
【0139】
上記の例示的な実施態様ではインパルス応答のそれぞれは、上昇するインパルス信号に応答して生成される。例えば、
図8は、共振回路に印加される上昇端部に基づく例示的なインパルス80を示している。
図9は、そのインパルスに応答して受信される可能性のあるインパルス応答の例を示している。インパルスが上昇端部で生成されることは、すべての実施態様にとって必須ではない。例えば、回路40は、下降端部としてインパルスを生成するために使用することができる。さらに上昇端部と下降端部の両方を使用できる。これには、例えば、(インパルス応答は上昇端部と下降端部の両方で生成される可能性があるため)所与の時間間隔でより多くのインパルス応答を提供できるという利点がある。
【0140】
図27は、例示的な実施態様の例示的な使用による例示的なインパルスの対を示す、概ね参照番号370で示すプロットである。プロット370は、上昇端部での第1のインパルスと下降端部での第2のインパルスとを含む。第1のインパルスは順方向ピン(ping)と呼ばれ、第2のインパルスは逆方向ピンと呼ばれる。順方向と逆方向の両方のピンは、例えば、2つのピンを比較的短い時間間隔で生成できるアルゴリズム170と組み合わせて使用すると便利である。
【0141】
図28は、例示的な実施態様による、概ね参照番号380で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部380は、概ね参照番号382で示す第1の状態および概ね参照番号383で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0142】
第1の状態382では回路40のスイッチ45aおよび45cは切れて(即ち、開いて)おり、スイッチ45bおよび45dは繋がって(即ち、閉じて)いる。第2の状態383ではスイッチ45aおよび45dが繋がって(即ち、閉じて)おり、スイッチ45bおよび45cが切れている。したがって、第1の状態382では共振回路49の両側が接地に接続されている。第2の状態383では電圧パルス(即ち、インパルス)が共振回路に印加される。
【0143】
図29は、例示的な実施態様による、概ね参照番号390で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部390は、概ね参照番号392で示す第1の状態および一般に参照番号393で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0144】
第1の状態392ではスイッチ45bは繋がって(即ち、閉じて)おり、スイッチ45a、45c、および45dは切れて(即ち、開いて)いる。したがって、共振回路49の片側は接地されている。第2の状態393では電圧パルス(即ち、インパルス)が共振回路に印加される。
【0145】
切り替え部380の第2の状態382では電流は第1のスイッチ45a、共振回路49
、およびスイッチ45dを流れることができる。この電流が流れると、電源(バッテリーなど)の発熱と放電が発生する可能性がある。逆に、切り替え部390の第2の状態393では電流はスイッチ45dを流れないので、発熱および電源放電を低減することができる。さらに各インパルスの生成時にノイズの発生を低減することができる。
【0146】
図30は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号400で示されるフローチャートである。アルゴリズム400は、本明細書で説明されるシステムの使用例を示す。
【0147】
アルゴリズム400は、測定操作401から始まる。測定操作401は、例えば、温度測定を含む。次に、操作402で、加熱操作が実行される。加熱操作402の実施は、測定操作401の出力に依存するかもしれない。加熱操作402が完了すると、アルゴリズム400は、操作401に戻り、そこで測定操作が繰り返される。
【0148】
操作401は、インパルスがインパルス生成回路62によって印加され、測定(例えば、温度測定)がインパルス応答プロセッサ64の出力に基づいて決定されるシステム60で実施される。上記のように、温度測定は、例えば、減衰率、インパルス応答時間、インパルス応答期間などに基づいてもよい。
【0149】
操作402は、システム10のサセプタ16を加熱するために回路40を制御することで実行することができる。誘導加熱装置12は共振回路の共振周波数またはその近くで駆動して効率的な加熱を引き起こしてもよい。共振周波数は、演算401の出力に基づいて決定してもよい。
【0150】
アルゴリズム400の1つの実装形体では測定操作が第1の期間に実行され、加熱操作402が第2の期間に実行され、その後、プロセスが繰り返される。例えば、第1の期間は10ミリ秒で、第2の期間は250ミリ秒であるが、他の時間間隔も可能である。換言すれば、測定操作は、連続する加熱操作の間に実行される。ただし、第2の期間に行われる加熱操作402は、第2の期間の全期間にわたって電力が誘導コイルに供給されることを必ずしも意味しない。例えば、電力は第2の期間のほんの一部しか供給されない場合がある。
【0151】
これに代わる実施態様ではアルゴリズム400は、必要な加熱水準に依存する持続時間を有する加熱操作402で実施される(より多くの加熱が必要な場合は加熱持続時間が増加し、より少ない加熱が必要な場合は加熱持続時間が減少する)。そのようなアルゴリズムでは測定操作401は、加熱が行われていないときに単純に実行され、その結果、測定操作401を実行するために加熱操作402を中断する必要はない。この交互的加熱部は、加熱制御へのパルス幅変調手法と呼ばれる場合がある。例えば、パルス幅変調方式は、100Hzの位の周波数で提供され、各周期は、(可変長の)加熱部分と測定部分とに分割される。
【0152】
図31は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号410で示すフローチャートである。アルゴリズム410は、上記のシステム60を用いて実装することができる。
【0153】
アルゴリズム410は操作411で始まり、スイッチ回路13(例えば、回路40)がインパルスを共振回路14に印加する。操作413で、インパルス応答(例えば、インパルス応答プロセッサ64で検出される)を用いて、加熱されるシステム内に物品(物品21など)が存在するかどうかを決定する。上で考察したように、物品21の存在は、検出可能な方法でインパルス応答に影響を与える。
【0154】
操作413で物品が検出された場合、アルゴリズム410は操作415に移動する。それ以外の場合、アルゴリズムは操作419で終わる。
【0155】
操作415で、測定および加熱操作が実施される。例えば、操作415は、上記のアルゴリズム400を用いて実施することができる。もちろん、それに代わる測定および加熱の配置を提供することができる。
【0156】
何回かの加熱測定および加熱サイクルが実行されると、アルゴリズム400は操作417に移り、そこで(例えば、加熱期間が満了した場合、またはユーザー入力に応答して)加熱を停止すべきかどうかが決定される。その場合、アルゴリズムは操作419で終わりし、そうでなければ、アルゴリズム400は操作411に戻る。
【0157】
当然のことだが、誘導性部またはサセプタ部の1種以上の特性を決定する上記の技術は、個々のインダクタ素子に応用できる。複数のインダクタ素子を含むシステム、たとえば3つのインダクタ素子23a、23b、および23cを含むシステム20の場合、インダクタ素子のそれぞれに対して上記の手法を用いて1種以上のパラメータ、たとえば温度を決定できるようにシステムを構成できる。一部の実装ではシステムが各インダクタ素子に対して個別の測定値を用いて操作することが有益な場合がある。他の実装ではシステムが複数のインダクタの単一の測定値のみを用いて操作することが有益である場合(例えば、物品21が存在するかどうかを判断する場合)がある。このような状況ではシステムは、各インダクタ素子から得られた測定値に対応する平均測定値を決定するように構成される。他の例では複数のインダクタ素子のうちの1つだけを用いて、1種以上の特性を決定することができる。
【0158】
実施態様によっては、例えば、交換可能な物品21の温度制御を含む。実施態様によっては、温度は、比例積分微分(PID)制御の原理で制御することができる。これは通常、サーモスタット制御よりも制御性能が優れており、例えば、温度制御段階で交換可能な物品(損傷した箔など)の障害を検出する機能など、さらなる制御の利点につながる可能性がある。
【0159】
本明細書に記載されている様々な実施態様は、特許請求された特徴の理解・教示を助けるためにのみ提示されている。これらの実施態様は、実施態様の代表的な試料としてのみ提供されており、網羅的でも排他的ではない。当然のことだが、本明細書に記載の利点、実施態様、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲の制限または請求項と同等のものの制限と見なされるべきではない。また、他の実施態様を利用することができ、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく修正を行うことができる。本発明の様々な実施態様は、本明細書に具体的に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段などの適切な組み合わせを適切に含む、からなる、または本質的にからなることができる。さらに本開示は、現在請求されていないが将来請求される可能性のある他の発明を含み得る。