(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】工作機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 15/12 20060101AFI20241022BHJP
G05B 19/416 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B23Q15/12 A
G05B19/416 E
(21)【出願番号】P 2023507110
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2022011373
(87)【国際公開番号】W WO2022196646
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021044443
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】及川 航希
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-196057(JP,A)
【文献】特開2018-180990(JP,A)
【文献】特開2012-091283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/00 ~ 15/28
G05B 19/00 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械における主軸モータの速度指令及び前記主軸モータの回転速度を周期的に変動させるための変動条件に基づいて変動指令を生成する変動指令計算部と、
前記速度指令及び前記変動指令に基づいて前記主軸モータの回転速度を制御する速度制御部と、を備え、
前記変動指令計算部は、前記変動条件の変更時に、周期的に変動する前記回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する前記回転速度の周波数が徐々に変更される前記変動指令を生成
し、
所定のトリガに基づいて、前記回転速度の変動を停止させる停止指令を生成する変動停止判定部を備え、
前記変動指令計算部は、前記変動条件として前記停止指令を受け取った場合に、周期的に変動する前記回転速度の振幅が減衰してゼロになる前記変動指令を生成する
、
工作機械の制御装置。
【請求項2】
工作機械における主軸モータの速度指令及び前記主軸モータの回転速度を周期的に変動させるための変動条件に基づいて変動指令を生成する変動指令計算部と、
前記速度指令及び前記変動指令に基づいて前記主軸モータの回転速度を制御する速度制御部と、を備え、
前記変動指令計算部は、前記変動条件の変更時に、周期的に変動する前記回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する前記回転速度の周波数が徐々に変更される前記変動指令を生成
し、
前記変動指令計算部は、前記変動条件の変更時に、周期的に変動する前記回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する前記回転速度の周波数の変更前後の値を比較し、変更前の値より変更後の値が大きいときには周期的に変動する前記回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する前記回転速度の周波数が徐々に増大する前記変動指令を生成し、変更前の値より変更後の値が小さいときには周期的に変動する前記回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する前記回転速度の周波数が減衰する前記変動指令を生成する
、
工作機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械による切削加工時には、工具とワークとの間で継続的にびびり振動が発生することがある。びびり振動は、振動発生の要因から、強制びびり振動と自励びびり振動とに分類される。強制びびり振動は、強制的な振動源の影響を受けて発生し、自励びびり振動は、工作機械の動特性と切削過程が重なって所定の条件を満たしたときに特定の振動源なしに発生する。自励びびり振動のうち、再生型の自励びびり振動は、切り屑厚さの変動によって生じる。
【0003】
従来、再生型の自励びびり振動を、工作機械における主軸の回転速度を周期的に変動させることで抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術において、主軸の回転速度の周期的な変動に急な変更があった場合、機械的なショックや、速度偏差の過大による加工面の品質の悪化等、悪影響が伴う。そこで、再生型の自励びびり振動の抑制効果を維持しつつ、主軸の回転速度の周期的な変動の急な変更による悪影響を低減できる工作機械の制御装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る工作機械の制御装置は、工作機械における主軸モータの速度指令及び前記主軸モータの回転速度を周期的に変動させるための変動条件に基づいて変動指令を生成する変動指令計算部と、前記速度指令及び前記変動指令に基づいて前記主軸モータの回転速度を制御する速度制御部と、を備え、前記変動指令計算部は、前記変動条件の変更時に、周期的に変動する前記回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する前記回転速度の周波数が徐々に変更される前記変動指令を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、再生型の自励びびり振動の抑制効果を維持しつつ、主軸の回転速度の周期的な変動の急な変更による悪影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る工作機械の概要を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るモータ制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態において主軸モータの回転速度(主軸速度)の周期的な変動を停止させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図4】従来の主軸モータの回転速度(主軸速度)の周期的な変動を停止させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る工作機械の概要を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るモータ制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態において主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図8】従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図9】第2実施形態において主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図10】従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図11】第2実施形態において主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図12】従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図13】第2実施形態において主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
【
図14】従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本開示の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る工作機械の概要を示す図である。
【0010】
工作機械は、数値制御装置2からの速度指令に基づき、モータ制御装置1を制御して、主軸モータ3を回転させることで、切削加工等の所定の加工を行う装置である。この工作機械は、主軸モータ3の回転速度を周期的に変動させることで、即ち、主軸モータ3の回転速度を正弦波振動させることで、再生型の自励びびり振動を抑制する。
【0011】
モータ制御装置1は、変動指令計算部11と、変動停止判定部12と、速度制御部14と、電流制御部16と、電流検出部17と、を備える。
【0012】
変動指令計算部11は、工作機械における主軸モータ3の速度指令及び主軸モータ3の回転速度を周期的に変動させるための変動条件(振幅及び/又は周波数)に基づいて変動指令を生成し、信号として出力する。この変動指令計算部11は、変動条件の変更時に、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅が徐々に変更される変動指令を生成し、信号として出力する。具体的に、変動指令計算部11は、変動停止判定部12から変動条件として停止指令の信号を受け取った場合に、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅が減衰(徐々に減少)してゼロになる変動指令を生成し、信号として出力する。周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅の減衰量には、規定の変化量(時定数)、加工プログラムから入力される値、設定されるパラメータの値等が採用される。変動条件の設定には、加工プログラムからの入力、設定されるパラメータ等が採用される。
【0013】
変動停止判定部12は、所定のトリガに基づいて、主軸モータ3の回転速度の変動を停止させる停止指令を生成し、信号として出力する。所定のトリガには、数値制御装置2等の外部から入力される信号、加工プログラムからの入力、設定されるパラメータ等が採用される。
【0014】
符号13は、主軸速度指令21から信号として出力される速度指令の値に、変動指令計算部11から信号として出力される変動指令の値を加算すると共に、速度検出部31から信号として出力される実速度フィードバックの値を減算して得られた値が、信号として、速度制御部14に入力されることを意味する。
【0015】
速度制御部14は、速度指令及び変動指令に基づいて主軸モータ3の回転速度を制御する指令を生成し、信号として出力する。
【0016】
符号15は、速度制御部14から信号として出力される指令の値に、電流検出部17から信号として出力される実電流フォードバックの値を減算して得られた値が、信号として、電流制御部16に入力されることを意味する。
【0017】
電流制御部16は、入力された信号に基づいて、主軸モータ3を駆動するための電圧指令を生成し、信号として出力する。
【0018】
電流検出部17は、主軸モータ3の電流値である信号を検出し、検出結果を実電流フィードバックの信号として出力する。
【0019】
数値制御装置2は、主軸速度指令21を備える。主軸速度指令21は、主軸モータ3の速度指令を生成し、信号として出力する。
【0020】
主軸モータ3は、モータ制御装置1の制御下において回転する。速度検出部31は、主軸モータ3の回転速度を検出し、検出結果を実速度フィードバックの信号として出力する。速度検出部31には、エンコーダ等が採用される。
【0021】
図2は、第1実施形態に係るモータ制御装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示す処理は、変動指令の生成周期(制御周期)毎に繰り返し実行される。
【0022】
変動指令計算部11が、変動停止判定部12から変動条件として停止指令の信号を受け取った場合(ステップS11でYESの場合)に、ステップS12に進む。一方、変動指令計算部11が、変動停止判定部12から変動条件として停止指令の信号を受け取っていない場合(ステップS11でNOの場合)に、ステップS13に進む。
【0023】
ステップS12において、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅a(変動指令の振幅a)を規定の変化量分ax(x:1未満の正の値)だけ下げた値(a-ax)を新たな振幅aとして、ステップS13に進む。
【0024】
周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅aが減衰してゼロになった場合(ステップS13でYESの場合)に、ステップS15に進む。一方、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅aがゼロになっていない場合(ステップS13でNOの場合)に、ステップS14に進む。
【0025】
ステップS14においては、変動指令計算部11は、ステップS12で算出した振幅aに基づいて変動指令を生成する。一方、ステップS15においては、変動指令計算部11は、変動指令を生成しない。
【0026】
図3は、第1実施形態において主軸モータ3の回転速度(主軸速度)の周期的な変動を停止させた場合の時刻歴を示す図である。
図3に示すように、主軸速度1000±500[min
-1]の周期的な変動を停止させた場合、主軸速度の振幅が徐々に減衰してゼロになる。このように本実施形態では、速度変化の急峻を緩やかにするため、加工面品質への悪影響が低減される。
【0027】
一方、
図4は、従来の主軸モータの回転速度(主軸速度)の周期的な変動を停止させた場合の時刻歴を示す図である。
図4に示すように、従来の主軸速度1000±500[min
-1]の周期的な変動を停止させた場合、主軸速度の振幅が突然ゼロになる。このように従来では、急激な速度変化による機械的ショックが生じ、速度偏差過大により加工面品質が悪化する。
【0028】
以上説明したように、第1実施形態に係るモータ制御装置1は、工作機械における主軸モータ3の速度指令及び主軸モータ3の回転速度を周期的に変動させるための変動条件に基づいて変動指令を生成する変動指令計算部11と、速度指令及び変動指令に基づいて主軸モータ3の回転速度を制御する速度制御部14と、を備え、変動指令計算部11は、変動条件の変更時に、周期的に変動する回転速度の振幅が徐々に変更される変動指令を生成する。
これにより、速度変化の急峻を緩やかにするため、再生型の自励びびり振動の抑制効果を維持しつつ、主軸モータ3の回転速度の周期的な変動の急な変更による悪影響を低減できる。
【0029】
また、モータ制御装置1は、所定のトリガに基づいて、回転速度の変動を停止させる停止指令を生成する変動停止判定部12を備え、変動指令計算部11は、変動条件として停止指令を受け取った場合に、周期的に変動する回転速度の振幅が減衰してゼロになる変動指令を生成する。
これにより、特に停止時において、再生型の自励びびり振動の抑制効果を維持しつつ、主軸モータ3の回転速度の周期的な変動の急な停止による悪影響を低減できる。
【0030】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態に係る工作機械の概要を示す図である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する構成、作用及び効果については同一の符号を付す等して、その説明を適宜省略する。
【0031】
図5に示す工作機械は、モータ制御装置1に代えてモータ制御装置1Aを備える点で、第1実施形態に係る工作機械と相違する。モータ制御装置1Aは、変動停止判定部12に代えて変動条件設定部12Aを備える点等で、モータ制御装置1と相違する。
【0032】
変動指令計算部11は、変動条件の変更時に、周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数が徐々に変更される返送指令を生成する。具体的に、変動指令計算部11は、変動条件の変更時に、周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数の変更前後の値を比較し、変更前の値より変更後の値が大きいときには周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数が徐々に増大する変動指令を生成し、変更前の値より変更後の値が小さいときには周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数が減衰する変動指令を生成する。
【0033】
変動条件設定部12Aは、工作機械における主軸モータ3の速度指令及び主軸モータ3の回転速度を周期的に変動させるための変動条件(振幅及び/又は周波数)を設定し、信号として出力する。変動条件の設定には、加工プログラムからの入力、設定されるパラメータ等が採用される。
【0034】
図6は、第2実施形態に係るモータ制御装置1Aの処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示す処理は、変動指令の生成周期(制御周期)毎に繰り返し実行される。
【0035】
ステップS21において、変動指令計算部11は、変動条件設定部12Aから変動条件の信号として受け取った振幅の設定値a0を、現在の振幅aと比較する。振幅の設定値a0が現在の振幅aよりも大きい場合に、ステップS22に進む。振幅の設定値a0が現在の振幅aと同じ場合に、ステップS24に進む。振幅の設定値a0が現在の振幅aよりも小さい場合に、ステップS23に進む。
【0036】
ステップS22において、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅aを規定の変化量分ax(x:1未満の正の値)だけ上げた値(a+ax)を新たな振幅aとして、ステップS24に進む。
【0037】
ステップS23において、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の振幅aを規定の変化量分ax(x:1未満の正の値)だけ下げた値(a-ax)を新たな振幅aとして、ステップS24に進む。
【0038】
ステップS24において、変動指令計算部11は、変動条件設定部12Aから変動条件の信号として受け取った周波数の設定値f0を、現在の周波数fと比較する。周波数の設定値f0が現在の周波数fよりも大きい場合に、ステップS25に進む。周波数の設定値F0が現在の周波数fと同じ場合に、ステップS27に進む。周波数の設定値f0が現在の振幅fよりも小さい場合に、ステップS26に進む。
【0039】
ステップS25において、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の周波数fを規定の変化量分fx(x:1未満の正の値)だけ上げた値(f+fx)を新たな振幅fとして、ステップS27に進む。
【0040】
ステップS26において、周期的に変動する主軸モータ3の回転速度の周波数fを規定の変化量分fx(x:1未満の正の値)だけ下げた値(f-fx)を新たな振幅fとして、ステップS27に進む。
【0041】
ステップS27においては、変動指令計算部11は、振幅a及び周波数fに基づいて変動指令を生成する。
【0042】
図7は、第2実施形態において主軸モータ3における周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
図7に示すように、主軸モータ3における周期的に変動する主軸速度1000±200[min
-1]の振幅を増大させ、主軸速度を1000±500[min
-1]にした場合、振幅が徐々に増大する。即ち、振幅の変更後、本実施形態の主軸モータの主軸速度は滑らかに変更される。
【0043】
一方、
図8は、従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
図8に示すように、従来の主軸モータ3における周期的に変動する主軸速度1000±200[min
-1]の振幅を増大させ、主軸速度を1000±500[min
-1]にした場合、振幅が急激に増大する。即ち、振幅の変更後、従来の主軸モータの主軸速度は急激に変化する。
【0044】
図9は、第2実施形態において主軸モータ3における周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
図9に示すように、主軸モータ3における周期的に変動する主軸速度1000±500[min
-1]の振幅を減少させ、主軸速度を1000±200[min
-1]にした場合、振幅が減衰(徐々に減少)する。即ち、振幅の変更後、本実施形態の主軸モータ3の回転速度は滑らかに変更される。
【0045】
一方、
図10は、従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の振幅を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
図10に示すように、従来の主軸モータにおける周期的に変動する主軸速度1000±500[min
-1]の振幅を減少させ、主軸速度を1000±200[min
-1]にした場合、振幅が突然減少する。即ち、振幅の変更後、従来の主軸モータの主軸速度は急激に変化する。
【0046】
図11は、第2実施形態において主軸モータ3における周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
図11に示すように、主軸モータ3における周期的に変動する主軸速度1000±500[min
-1]の周期2[Hz]を8[Hz]に増大させた場合、周波数が徐々に増大する。即ち、周波数の変更後、本実施形態の主軸モータ3の主軸速度は滑らかに変更される。
【0047】
一方、
図12は、従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)を増大させた場合の時刻歴を示す図である。
図12に示すように、従来の主軸モータにおける周期的に変動する主軸速度1000±500[min
-1]の周期2[Hz]を8[Hz]に増大させた場合、周波数が急激に増大する。即ち、周波数の変更後、従来の主軸モータの主軸速度は急激に変化する。
【0048】
図13は、第2実施形態において主軸モータ3における周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を減少させた場合の時刻歴を示す図である。
図13に示すように、主軸モータ3における周期的に変動する主軸速度1000±500[min
-1]の周期8[Hz]を2[Hz]に減少させた場合、周波数が減衰(徐々に減少)する。即ち、周波数の変更後、本実施形態の主軸モータ3の主軸速度は滑らかに変更される。
【0049】
一方、
図14は、従来の主軸モータにおける周期的に変動する回転速度(主軸速度)の周波数を減少させた場合の時刻歴を示す。
図14に示すように、従来の主軸モータにおける周期的に変動する主軸速度1000±500[min
-1]の周期8[Hz]を2[Hz]に減少させた場合、周波数が急激に減少する。即ち、周波数の変更後、従来の主軸モータの主軸速度は急激に変化する。
【0050】
以上説明したように、第2実施形態に係るモータ制御装置1Aは、工作機械における主軸モータ3の速度指令及び主軸モータ3の回転速度を周期的に変動させるための変動条件に基づいて変動指令を生成する変動指令計算部11と、速度指令及び変動指令に基づいて主軸モータ3の回転速度を制御する速度制御部14と、を備え、変動指令計算部11は、変動条件の変更時に、周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数が徐々に変更される変動指令を生成する。
これにより、モータ制御装置1Aによれば、速度変化の急峻を緩やかにするため、再生型の自励びびり振動の抑制効果を維持しつつ、主軸モータ3の回転速度の周期的な変動の急な変更による悪影響を低減できる。
【0051】
また、変動指令計算部11は、変動条件の変更時に、周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数の変更前後の値を比較し、変更前の値より変更後の値が大きいときには周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数が徐々に増大する変動指令を生成し、変更前の値より変更後の値が小さいときには周期的に変動する回転速度の振幅及び/又は周期的に変動する回転速度の周波数が減衰する変動指令を生成する。
これにより、モータ制御装置1Aによれば、より確実に、再生型の自励びびり振動の抑制効果を維持しつつ、主軸モータ3の回転速度の周期的な変動の急な変更による悪影響を低減できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記のモータ制御装置1,1Aは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。また、上記のモータ制御装置1,1Aにより行われる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。なお、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【符号の説明】
【0053】
1,1A モータ制御装置(工作機械の制御装置)
11 変動指令計算部
12 変動停止判定部
12A 変動条件設定部
14 速度制御部
16 電流制御部
17 電流検出部
2 数値制御装置
21 主軸速度指令
3 主軸モータ
31 速度検出部