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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報表示装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20220101AFI20241022BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20241022BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F3/0488
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023510078
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013998
(87)【国際公開番号】W WO2022208797
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 保
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128918(JP,A)
【文献】特表2016-533302(JP,A)
【文献】特開平11-288259(JP,A)
【文献】特開2006-004093(JP,A)
【文献】特開2016-038619(JP,A)
【文献】特開2013-254435(JP,A)
【文献】特開2016-167298(JP,A)
【文献】特開2000-071809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0481
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示装置であって、
第1表示画面に対するユーザによる操作物の接触を検出するタッチセンサを有するタッチパネルと、
前記第1表示画面に対する前記操作物の近接を検出する近接センサと、
前記ユーザの視線を検出する視線検出センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記タッチセンサおよび前記近接センサでの検出に基づいて、前記タッチパネルの前記第1表示画面に表示される第1表示情報に、前記操作物を表す操作物画像を重畳した内容を有する第2表示情報を生成し、
前記第2表示情報を外部表示装置に出力し、
さらに、前記第2表示情報の生成において、
前記視線の方向が当該情報表示装置に向いている場合、前記操作物画像の重畳をせず、
前記視線の方向が当該情報表示装置に向いていない場合、前記操作物画像の重畳を行う、
情報表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記近接センサが前記第1表示画面に対する前記操作物の近接状態を検出した場合、前記操作物画像として、前記操作物の近接状態を表す第1操作物画像を作成して、前記第1表示情報に重畳し、
前記タッチセンサが前記第1表示画面に対する前記操作物の接触状態を検出した場合、前記操作物画像として、前記操作物の接触状態を表す第2操作物画像を作成して、前記第1表示情報に重畳する、
情報表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の情報表示装置において、
前記第1操作物画像と前記第2操作物画像とで表示の差異を設け、
前記表示の差異は、色、濃度、コントラスト、透過性、輪郭線種類、およびサイズのうち少なくとも1つで表現される、
情報表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記操作物画像として、複数の種類の操作物に対応させた複数の種類の操作物画像を記憶しておき、
前記複数の種類の操作物画像のうち選択された操作物画像を前記重畳に使用する、
情報表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の情報表示装置において、
前記ユーザによる指定に応じて前記操作物画像を選択する、
情報表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の情報表示装置において、
カメラを備え、
前記カメラを用いて、前記第1表示画面に対する前記操作物の形状を検出し、
前記操作物の形状に基づいて、前記操作物の種類を判別し、
前記判別した種類に合わせて、前記操作物画像を生成する、
情報表示装置。
【請求項7】
請求項1記載の情報表示装置において、
カメラを備え、
前記カメラを用いて、前記第1表示画面に対する前記操作物の形状を検出し、
前記操作物の形状に基づいて、前記操作物画像を生成する、
情報表示装置。
【請求項8】
請求項7記載の情報表示装置において、
前記カメラを用いて、前記第1表示画面に対する前記操作物の形状を含む画像を取得し、
前記画像から、前記操作物の形状を表す部分をトリミングし、
前記トリミングした部分を画像加工処理することで前記操作物画像を生成する、
情報表示装置。
【請求項9】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記近接センサは、前記第1表示画面に対する前記操作物の距離を検出し、
前記距離についての閾値を設定し、
前記距離が前記閾値以内になった場合には、疑似的な接触と判定し、
前記疑似的な接触の場合には、前記操作物の接触状態を表す前記操作物画像を重畳する、
情報表示装置。
【請求項10】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記視線の方向が当該情報表示装置に向いていない場合、前記第1表示画面での表示を停止させる、
情報表示装置。
【請求項11】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記タッチセンサでの検出に基づいて、前記タッチパネルの前記第1表示画面に対し、同時に2本以上の操作物が接触する場合には、前記第1表示情報に、前記2本以上の操作物を表す操作物画像を重畳した内容を有する前記第2表示情報を生成する、
情報表示装置。
【請求項12】
請求項2記載の情報表示装置において、
前記タッチセンサおよび前記近接センサでの検出に基づいて、前記タッチパネルの前記第1表示画面に対し、同時に2本以上の操作物が近接または接触する場合には、前記第1表示情報に、前記2本以上の操作物を表す操作物画像を重畳した内容を有する前記第2表示情報を生成する、
情報表示装置。
【請求項13】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記第1表示画面の領域のうち、指定された領域を、前記操作物画像が重畳可能な範囲として設定する、
情報表示装置。
【請求項14】
情報表示装置における情報表示方法であって、
前記情報表示装置が、
第1表示画面に対するユーザによる操作物の接触を検出するステップと、
前記操作物は、前記ユーザの手指、または手指に持った物体であり、
前記検出に基づいて、前記第1表示画面に表示される第1表示情報に、前記操作物を表す操作物画像を重畳した内容を有する第2表示情報を生成するステップと、
前記第2表示情報を外部表示装置に出力するステップと、
前記第2表示情報の生成において、前記ユーザの視線の方向が当該情報表示装置に向いている場合には、前記操作物画像の重畳をせず、前記ユーザの視線の方向が当該情報表示装置に向いていない場合には、前記操作物画像の重畳を行うステップと、
を有する、情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等の携帯情報端末を含む情報表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される携帯情報端末が一般化して広く普及している。スマートフォン等の携帯情報端末は、表示画面と一体になったタッチパネルを備えている。このような携帯情報端末では、ユーザは、タッチパネルの表示画面に手指を触れる操作を行い、例えば指の触れた位置や指の動き等によって、携帯情報端末に様々な指示を与えることができる。
【0003】
画像表示に係わる技術として、現時点の技術では、携帯情報端末に表示されている画面と同じ画面を、そのままテレビ(テレビ受像機)等の外部表示装置に表示することができる。このような機能は、画面に関するミラーリング等と呼ばれる場合がある。このような機能を用いる場合、ユーザは、携帯情報端末の表示画面よりも大きな外部表示装置の表示画面(言い換えると大画面)で、携帯情報端末の画面と同じ内容で拡大された画面(ミラーリング画面と記載する場合がある)を視聴することができる。このような大画面でのミラーリング画面の視聴のニーズは大きい。
【0004】
先行技術例として、特開2017-16004号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、画像表示装置等として、画像表示装置でスクリーンに表示される画像に対する重畳画像を発表者が携帯端末で操作可能とした画像表示装置等を提供する旨が記載されている。特許文献1には、画像表示装置は、スクリーンの画像に対する重畳画像(例えばポインタアイコン)を制御するためのブラウザ画面を携帯端末に送信し、携帯端末に表示されたブラウザ画面の画面操作によって得られた重畳画像の表示位置情報を受信し、その情報に基づいて重畳画像を画像に重畳して表示を行う旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-16004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、上記携帯情報端末では、ユーザによるタッチパネルの表示画面に対する手指を触れる操作によって各種の指示を携帯情報端末に与える。よって、上記画面のミラーリングの技術を用いる場合において、テレビ等の外部表示装置の大画面で携帯情報端末の画面と同じ内容のミラーリング画面をユーザが視認する場合には、以下のように、操作性等に関する課題がある。
【0007】
ユーザは、基本的には外部表示装置のミラーリング画面を視認しながら、携帯情報端末のタッチパネルを手指で操作する。その際、ユーザは、外部表示装置に表示されているミラーリング画面のみでは、手指による操作をどうすれば好適であるか等の手指の状態がよく把握できない場合がある。そのため、ユーザは、携帯情報端末に様々な指示を与えようとするたびに、ミラーリング画面からタッチパネルの画面に視線を移してその画面に対し指を触れる操作をする必要があった。言い換えれば、ユーザは、外部表示装置のミラーリング画面と携帯情報端末の画面との間で視線を移動させながら画面の視認および手指による操作を行う必要があった。このような視線移動等には煩雑さがあり、ユーザにとっての操作性や利便性に関して改善余地がある。
【0008】
なお、特許文献1のような先行技術例は、携帯情報端末を外部表示装置(例えばテレビ)のリモコンとして動作させることを目的としており、また、外部表示装置が重畳画像(ポインタアイコン)の表示を制御する技術である。この技術では、携帯情報端末のタッチパネルに外部表示装置のリモコン画面がブラウザ画面として表示され、ユーザがタッチパネルでそのリモコン画面であるブラウザ画面を操作する。これにより、外部表示装置の表示画面にポインタアイコンが重畳画像として重畳表示され、ポインタアイコンを用いた移動制御を行うことができる。しかしながら、特許文献1のような技術では、外部表示装置の画面でのポインタアイコンの位置を移動制御する必要が生じるたびに、ユーザは、携帯情報端末に表示されているリモコン画面に視線を移す必要がある。
【0009】
本発明の目的は、上記携帯情報端末を含む情報表示装置の技術に関して、携帯情報端末の画面と同じ内容の画面を外部表示装置に表示する場合(言い換えると画面に関するミラーリングを行う場合)に、ユーザの視線移動等の煩雑さを解消または低減でき、ユーザの操作性や利便性を高めることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のうち代表的な実施の形態は以下に示す構成を有する。実施の形態の情報表示装置は、第1表示画面に対するユーザによる操作物の接触を検出するタッチセンサを有するタッチパネルを備え、前記タッチセンサでの検出に基づいて、前記タッチパネルの前記第1表示画面に表示される第1表示情報に、前記操作物を表す操作物画像を重畳した内容を有する第2表示情報を作成し、前記第2表示情報を外部表示装置に外部出力して前記外部表示装置の第2表示画面において表示させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、上記携帯情報端末である情報表示装置の技術に関して、携帯情報端末の画面と同じ画面を外部表示装置に表示する場合(言い換えると画面に関するミラーリングを行う場合)に、ユーザの視線移動等の煩雑さを解消または低減でき、ユーザの操作性や利便性を高めることができる。上記以外の課題、構成および効果等については、[発明を実施するための形態]において示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1の情報表示装置を含む、表示システムの構成例を示す。
図2】実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォンのハードウェア等のブロック構成例を示す。
図3】実施の形態1の情報表示装置での主な機能のブロック構成例を示す。
図4】実施の形態1の情報表示装置での主な処理のフローを示す。
図5図4のステップS430の処理フローの一部を示す。
図6図4のステップS430の処理フローの他の一部を示す。
図7】実施の形態1での、指画像(操作物画像)の構成例を示す。
図8】実施の形態1での、ユーザがスマートフォンを操作する際の手指と表示画面との近接や接触に関する模式説明図を示す。
図9】実施の形態2での、外部表示装置での重畳画面の表示例を示す。
図10】実施の形態3での、複数の指画像、および外部表示装置での重畳画面の表示例を示す。
図11】実施の形態3での、ステップS470の処理フローを示す。
図12】実施の形態4での、複数の操作指の指画像、および外部表示装置での重畳画面の表示例を示す。
図13】実施の形態4での、ステップS480の処理フローを示す。
図14】実施の形態5での、主な処理のフローを示す。
図15】実施の形態5の変形例での、手指の状態およびカメラの画像の例を示す。。
図16】実施の形態6での、主な処理のフローを示す。
図17】実施の形態6での、視線方向に応じた表示制御例を示す。
図18】実施の形態の変形例での、領域の設定例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。図面において、各構成要素の表現は、発明の理解を容易にするために、実際の位置、大きさ、形状、および範囲等を表していない場合があり、本発明は、図面に開示された位置、大きさ、形状、および範囲等には必ずしも限定されない。各種のデータや情報は、例えばテーブルやリスト等の構造を適用できるが、これに限定されない。各種の要素についての識別情報、識別子、ID、名、番号等の表現は、互いに置換可能である。
【0014】
説明上、プログラムによる処理について説明する場合に、プログラムや機能や処理部等を主体として説明する場合があるが、それらについてのハードウェアとしての主体は、プロセッサ、あるいは、そのプロセッサ等で構成されるコントローラ、装置、計算機、システム等である。計算機は、プロセッサによって、適宜にメモリや通信インタフェース等の資源を用いながら、メモリ上に読み出されたプログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部等が実現される。プロセッサは、例えばCPUやGPU等の半導体デバイス等で構成される。プロセッサは、所定の演算が可能な装置や回路で構成される。処理は、ソフトウェアプログラム処理に限らず、専用回路でも実装可能である。専用回路は、FPGA、ASIC等が適用可能である。
【0015】
プログラムは、製品出荷前等に対象計算機に予めデータとしてインストールされていてもよいし、製品出荷後等にプログラムソースから対象計算機にデータとして配布されてインストールされてもよい。プログラムソースは、通信網上のプログラム配布サーバでもよいし、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えばメモリカードや光ディスク等)でもよい。プログラムは、複数のプログラムモジュールから構成されてもよい。コンピュータシステムは、1台の装置に限らず、複数台の装置によって構成されてもよい。コンピュータシステムは、クライアントサーバシステムやクラウドコンピューティングシステム等で構成されてもよい。
【0016】
(実施の形態1)
図1図8を用いて、本発明の実施の形態1の情報表示装置について説明する。実施の形態1の情報表示方法は、実施の形態1の情報表示装置において実行されるステップを有する方法である。実施の形態1の情報表示装置である携帯情報端末は、タッチパネルの表示画面に対しユーザが手指を近接または接触させる操作をした場合に、当該携帯情報端末内で、元の画面上に指画像を重畳(言い換えると合成)した内容を持つ重畳画面を作成し、その重畳画面(対応する表示情報)を、外部表示装置に外部出力して外部表示装置の表示画面にミラーリング画面として表示させる。指画像は、操作物画像の例であって、携帯情報端末の表示画面に対する手指による操作の位置等を含む操作の状態を表す画像である。
【0017】
実施の形態1の情報表示装置である携帯情報端末は、上記の特有の機能を単体で実現している。情報表示装置と外部表示装置との間では、重畳画面の表示に係わる必要なデータ・情報(例えば表示画面に対する手指の位置情報、あるいは指画像など)のやりとりのための特別なインタフェースを新たに実装する必要は無い。
【0018】
実施の形態1では、情報表示装置である携帯情報端末としてスマートフォンの場合を説明し、外部表示装置の例として、大画面を持つテレビ受像機の場合を説明する。
【0019】
[表示システム]
図1は、実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォン1を含む、表示システムとしての構成例を示す。図1は、実施の形態1の概要説明用の模式図に相当する。この表示システムは、実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォン1と、外部表示装置であるテレビ2とを有し、それらが通信9で接続されている。スマートフォン1は、携帯情報端末であって、第1表示装置である。テレビ2は、外部表示装置であって、第2表示装置である。スマートフォン1およびテレビ2は、いずれも表示画面に画像・映像を表示可能な表示装置である。実施の形態1の情報表示装置は、ユーザが所持している携帯情報端末であるスマートフォン1である。
【0020】
図1では、スマートフォン1およびテレビ2を利用する一人のユーザについて、スマートフォン1を操作するユーザの手指10を模式的に示している。特に、スマートフォン1のタッチパネルの表示画面3上に、操作物(言い換えると操作指示物、操作指)である指先11として、右手人差し指を近接および接触させて、所定の操作を行っている状態を示している。実施の形態1の例では、手指10は右手とし、操作物・操作指である指先11は人差し指としている。所定の操作は、いわゆるタッチ、タップ、スワイプ等の操作である。
【0021】
図1での手指10によるスマートフォン1の操作や状態の具体例としては以下が挙げられる。ユーザは、図示しない左手でスマートフォン1の筐体を持ち、図示する手指10の指先11として右手の人差し指で、タッチパネルの表示画面3に画面3Aとして表示されているGUIオブジェクト等を操作している。GUIオブジェクトは、例えばボタンやスライドバーが挙げられる。
【0022】
なお、手指10の状態は、当然ながら、これに限られない。他の例では、ユーザは、スマートフォン1の筐体を左手で持ち、左手の親指でタッチパネルの表示画面3に対する操作をしてもよい。あるいは、ユーザは、スマートフォン1の筐体を両手で持ち、一方の手指または両方の手指でタッチパネルの表示画面3に対する操作をしてもよい。あるいは、ユーザは、スマートフォン1の筐体をテーブル等に置いた状態とし、一方の手指または両方の手指でタッチパネルの表示画面3に対する操作をしてもよい。
【0023】
図1の表示システムでは、実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォン1に対し、外部表示装置の例としてテレビ2を有し、無線等の通信9で接続される。外部表示装置は、テレビ2に限らずに可能である。本例では、スマートフォン1の物理的な表示画面3のサイズに対し、テレビ2の物理的な表示画面4のサイズの方が大きい。
【0024】
スマートフォン1は、タッチパネル(詳細は後述)を備える。このタッチパネルは、ディスプレイ(表示デバイス)にタッチセンサ等が一体として構成されており、表示手段かつ操作入力手段である。このタッチパネルは、スマートフォン1の筐体において露出している一部として、物理的な表示画面3を有する。表示画面3は、スマートフォン1の筐体の前面(ユーザに向く側、表示画面3がある側)の殆ど全面にわたって矩形の領域として設けられている。
【0025】
また、スマートフォン1の筐体には、カメラ5(例えばフロントカメラ5A)、マイク、スピーカ、キーボタン等も実装されている。フロントカメラ5Aは、筐体の前面においてユーザの方に向いたカメラである。
【0026】
スマートフォン1の表示画面3には、表示される画像等の内容・状態として、画面3Aを有する。テレビ2の表示画面4には、表示される画像等の内容・状態として、画面4Aを有する。なお、説明上、物理的な表示画面と、その表示画面内に表示される画像等の内容や状態としての画面を区別する。
【0027】
スマートフォン1の表示画面3における画面3A(説明用に破線枠で示す)では、例えばアプリケーションのGUIや映像等のコンテンツが表示されている。画面3Aは、言い換えると、スマホ画面、元画面などである。スマートフォン1は、ミラーリングを行う場合、画面3Aに対応する表示情報(言い換えると画面表示情報)9Aを、通信9の伝送路を介して、テレビ2に伝送する。テレビ2は、通信9を通じて、そのスマートフォン1からの表示情報9Aを、テレビ2にとっての表示情報9B(言い換えると外部入力としての画面表示情報)として受信する。そして、テレビ2は、その表示情報9Bに基づいて、一般的なテレビの機構に基づいて、表示画面4内に画面4A(説明用に破線枠で示す)を表示する。
【0028】
画面4Aは、画面3Aと同じ内容・状態を持つ画面(言い換えると、ミラーリング画面、重畳画面)である。画面4Aは、表示画面4のサイズに応じて、画面3Aのサイズよりも拡大されたサイズで表示される。これにより、画面4Bは、画面3Aよりもサイズが大きい。すなわち、ユーザは、画面3Aに対応する内容を、画面4Bで拡大した状態として視聴できる。なお、表示情報9A,9Bには、ミラーリングに関する制御情報を伴ってもよい。
【0029】
また、図1の例では、ユーザは、スマートフォン1を縦長配置の状態で使用している。このように画面3Aが縦長配置状態である場合には、それに合わせて、テレビ2側の画面4Bも縦長配置状態になる。表示情報9Aおよび表示情報9Bは、縦長配置状態に対応したデータとなる。表示画面4内の一部には、縦長配置の画面4Bが最大限に拡大して表示されている。表示画面4内のその他の領域は例えば黒背景とされる。ユーザがスマートフォン1を横長配置の状態で使用している場合には、画面3Aおよび画面4Aは横長配置での表示となる。
【0030】
実施の形態1でのスマートフォン1は、タッチパネルの表示画面3(対応する画面3A)上にユーザの手指10(特に指先11)が近接や接触する状態を、後述のセンサによって検出する。例えば、図1のように、ユーザは、画面3A内のGUIオブジェクト等をタッチ操作する。その際に、指先11が画面3A(GUIオブジェクト等)に対し近接または接触した状態がセンサによって検出される。すると、スマートフォン1は、その近接または接触した指先11の位置等に対応させた指画像(操作指である右手人差し指を表す画像)を作成する。スマートフォン1は、その指画像を画面3A上に重畳した内容を持つ重畳画面(対応する表示情報9A)を作成する。そして、スマートフォン1は、その重畳画面の表示情報9Aを、通信9を介してテレビ2へ外部出力する。
【0031】
これにより、スマートフォン1は、テレビ2の表示画面4内に、重畳画面・ミラーリング画面に相当する画面4Aを表示させることができる。画面4Aにおける指画像6は、操作物画像の例であり、画面3Aでの操作指(特に指先11)の状態を表している。本例では、指画像6は、一本の指の一部のみの画像であるが、これに限らず、詳細例については後述する。ユーザは、その画面4Aを視認することで、画面3Aでの操作指の状態を認識できる。このような重畳画面のミラーリングの制御は、時系列上でほぼリアルタイムで継続される。
【0032】
上記のように、実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォン1は、タッチパネルを手指10の指先11で操作しているユーザが視認したい画面3Aについて、手指10による操作の状態を含め、その画面3Aの状況とほぼ同じ状況を持つミラーリング画面(特に指画像6を含む重畳画面)を、テレビ2の表示画面4内に画面4Aとして表示する。その結果、ユーザは、スマートフォン1を操作している右手人差し指のような操作指、およびタッチパネルの表示画面3の方を視認する必要無く、テレビ2での指画像6が重畳表示された画面4Aを視認できる。ユーザは、テレビ2の画面4Aを視認したまま、手指10の状態が把握できるので、手指10によるスマートフォン1の操作が好適にできる。これによれば、ユーザは、テレビ2の表示画面4からスマートフォン1の表示画面3へ視線を移動する必要が無い。したがって、従来技術での視線移動の煩雑さを解消できる。
【0033】
通信9の伝送路について補足する。スマートフォン1からテレビ2に外部出力される表示情報9Aは、元の画面3A(すなわち指画像6が重畳されない画面)の表示情報であるか、または、画面3A上に指画像6が重畳される画面(重畳画面)の表示情報となる。これらの表示情報9Aは、通信9の伝送路を介して、表示情報9Bとしてテレビ2に入力される。実施の形態1では、後述の図2の映像出力部107Bから出力される表示情報9Aを、通信部106のLAN通信インタフェース61におけるWi-Fi(登録商標)ネットワークを介して外部出力する。このため、スマートフォン1のLAN通信インタフェース61におけるWi-Fiネットワークと、テレビ2におけるWi-Fiネットワークとが、1つのLAN(Local Area Network)として接続される。このWi-Fiネットワークの接続により、スマートフォン1と外部表示装置であるテレビ2との接続がされたこととなる。これにより、実施の形態1では、スマートフォン1のミラーリングアプリケーション1001、および通信9の伝送路での無線接続を利用して、画面3Aに関するミラーリング、特に、指画像6が重畳表示された画面4Aが実現される。
【0034】
また、スマートフォン1の図2の映像出力部107Bから、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して、表示情報9Aを出力することで、通信9の伝送路での有線接続を実現することもできる。勿論、これに限らず、映像やそれに伴う音声等のデータの外部出力に係わるインタフェースは、他の種類のインタフェースとしてもよい。
【0035】
図1にも示すように、実施の形態1でのスマートフォン1は、アプリケーションプログラムの1つとして、ミラーリングアプリケーション1001がインストールされている。ミラーリングアプリケーション1001は、表示画面3の画面3Aと同じ内容・状態の画面を、外部のテレビ2にミラーリング画面(画面4A)として表示させるアプリケーションである。このミラーリングアプリケーション1001は、特有の機能1002の実装を含む。もしくは、スマートフォン1において、ミラーリングアプリケーション1001とは別に、この機能1002が追加で実装されてもよい。この機能1002は、特に、テレビ2のミラーリング画面(画面4A)においてスマホ画面である画面3Aでのユーザの操作指の状態を指画像6として重畳表示する機能である。なお、従来からミラーリングアプリケーションのような概念は存在する。実施の形態1では、そのようなミラーリングアプリケーション1001を前提の上で、特有の機能1002を実現している。
【0036】
ユーザは、スマートフォン1でミラーリングアプリケーション1001を操作することで、画面に関するミラーリングの機能を利用できる。また、ユーザは、ミラーリングアプリケーション1001または機能1002のうちの一部の機能として、ユーザ設定機能を利用できる。ユーザ設定機能は、ユーザ設定用のGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)の提供とともに、機能1002に係わる設定(例えば後述の操作指・指画像の設定)を行うことができる機能である。ユーザ設定機能の利用は必須ではない。
【0037】
スマートフォン1は、テレビ2以外の外部のサーバや機器等と通信して各種のデータ・情報を授受してもよい。例えば、スマートフォン1は、外部のサーバ等から、ミラーリングアプリケーション1001で表示するためのコンテンツデータ等を取得してもよいし、ミラーリングアプリケーション1001で使用したデータを外部のサーバ等に保存してもよい。
【0038】
[情報表示装置(スマートフォン)]
図2は、実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォン1の内部のハードウェア等のブロック構成例を示す。スマートフォン1の本体は、以下に示す種々のブロックを有する。スマートフォン1は、主制御部101、システムバス103、記憶部104、センサ部105、通信部106、映像部107、音声部108、および操作入力部109等を有して構成されている。図示しないバッテリからは各部へ必要な電力が供給される。
【0039】
主制御部101は、プロセッサないしコントローラに相当し、所定のプログラムに従ってスマートフォン1の全体および各部を制御する部分であり、例えばMPU(マイクロプロセッサユニット)等で構成される。システムバス103は、主制御部101とスマートフォン1内の各ブロックとの間で各種のコマンドやデータ等の送受信を行うためのデータ通信路である。
【0040】
記憶部104は、メモリデバイスやストレージデバイス等で構成され、各種のデータ・情報を記憶する。記憶部104は、例えばプログラム部41と、データ部42と、プログラム機能部43とを有する。プログラム部41は、スマートフォン1の動作を制御するためのプログラム等を記憶する。データ部42は、スマートフォン1の動作設定値や、センサ部105からの検出値や、コンテンツを含むオブジェクトや、ライブラリからダウンロードした情報や、GUIを構成するためのオブジェクト等、各種のデータを記憶する。プログラム機能部43は、各種プログラム動作で使用するワークエリア等の書き替え可能な部分として使用される。また、記憶部104には、通信を介してインターネット等のネットワーク上からダウンロードした動作プログラムや、その動作プログラムによって作成した各種のデータや、ネットワーク上からダウンロードした動画や静止画や音声等のコンテンツのデータを記憶可能である。また、記憶部104には、カメラ5による撮影機能を使用して撮影した動画や静止画等のデータを記憶可能である。また、記憶部104には、制御上の閾値や、処理中の画像データやセンサ検出情報等、必要なデータ・情報を記憶可能である。
【0041】
また、記憶部104の少なくとも一部は、スマートフォン1に外部から電源が供給されていない状態であっても、記憶している情報を保持する必要がある。したがって、記憶部104は、例えば、フラッシュROMやSSD(Solid State Drive)等の半導体素子メモリや、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気ディスクドライブ等の、不揮発性記憶デバイスが用いられる。なお、記憶部104に記憶される各動作プログラムは、例えばネットワーク上の各サーバからのダウンロード処理によって更新および機能拡張が可能である。
【0042】
センサ部105は、スマートフォン1の様々な状態を検出するための各種のセンサのセンサ群である。センサ部105は、例えば、GPS(Global Positioning System)等による測位センサ51、地磁気センサ52、加速度センサ53、ジャイロセンサ54等を有して構成される。これらのセンサ群により、スマートフォン1の位置、傾き、方角、動き等を検出可能である。また、スマートフォン1は、照度センサや高度センサ等の、他の種類のセンサをさらに備えてもよい。
【0043】
映像部107は、タッチパネル7におけるタッチセンサ72および近接センサ73を備える。実施の形態1では、タッチセンサ72および近接センサ73は、タッチパネル7と一体としてタッチパネル7に内蔵されている。これに限らず、近接センサ73は、タッチパネル7とは別の独立したセンサとしてセンサ部105に含まれてもよい。また、タッチセンサ72と近接センサ73とで分けているが、これらが一体のセンサであってもよい。
【0044】
タッチセンサ72は、タッチパネル7のディスプレイ71(表示画面3に画像を表示するデバイス、例えば液晶表示デバイス)の表示画面3に対しユーザの手指10が接触したかどうかを含む接触の状態を検出するセンサである。現在の多くのタッチパネル(例えば液晶タッチパネルモジュール)は、例えば静電容量方式で、表示画面3に対する近接や接触の状態を検出可能である。実施の形態1では、タッチパネル7のタッチセンサ72および近接センサ73は、静電容量方式で、表示画面3に対する手指10の近接および接触の状態を検出する。
【0045】
近接センサ73は、タッチパネル7のディスプレイ71の表示画面3に対しユーザの手指10が近接したかどうかを含む近接の状態を検出するセンサである。タッチセンサ72および近接センサ73の技術的な方式については限定せず、公知の各種の方式を適用できる。近接センサ73の詳細例については後述する。後述するが、各実施の形態では、説明上、「近接」と「接触」とを区別している。
【0046】
タッチセンサ72およびその上位の処理部(映像部107や主制御部101)は、表示画面3内における手指10(特に指先11)が接触した位置(「接触位置」)を位置座標として検出・算出できる。この接触位置の位置座標は、表示画面3の座標系を図1のように(x,y)とした場合に、例えば(x1,y1)のように表すことができる。x方向は画面内水平方向、y方向は画面内垂直方向である。
【0047】
また、近接センサ73およびその上位の処理部は、表示画面3上(面垂直方向)の空間領域における手指10(特に指先11)が近接した位置(「近接位置」)を位置座標として検出・算出できる。この近接位置の位置座標は、表示画面3の座標系(x,y)に加え、面垂直方向をz方向として、3次元の空間の座標系(x,y,z)を考えた場合に、例えば(x1,y1,z1)のように表すことができる。また特に、近接センサ73は、指先11と表示画面3との間の面垂直方向(z方向)での距離を検出・算出可能である(後述の図8)。
【0048】
スマートフォン1の主制御部101は、上記タッチパネル7のタッチセンサ72および近接センサ73等により、表示画面3上における指先11の近接および接触に係わる状態、言い換えると操作の状態を、位置座標等を含む検出情報として取得できる。
【0049】
映像部107は、カメラ5、タッチパネル7、映像処理部107A、および映像出力部107Bを有して構成されている。カメラ5は、例えば図1のようなフロントカメラ5Aと、メインカメラ5Bとを含む。カメラ5は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の電子デバイスを用いてレンズから入射した光を電気信号に変換することにより、周囲や対象物の画像データを入力する。実施の形態1では、カメラ5の構成例として、図1のように、筐体の前面の一部にフロントカメラ5A(言い換えるとインカメラ)が配置されており、図示しない背面側にはメインカメラ5B(言い換えるとアウトカメラ)が配置されている。
【0050】
タッチパネル7は、ディスプレイ71、タッチセンサ72、および近接センサ73を有して構成されている。ディスプレイ71は、映像処理部107Aからの画像や映像の信号に基づいて、表示画面3に画像や映像を表示する。ディスプレイ71は、例えば、インターネットを介して入手された画像や映像、あるいはカメラ5で撮影した画像や映像、ユーザが指定した画像等を表示することができる。
【0051】
タッチパネル7は、ディスプレイ71の表示画面3に接触した操作指の指先11についての接触位置の位置座標を、タッチセンサ72によって検出する。この接触位置座標を検出する技術は、静電容量方式のタッチセンサ72によって、静電容量変化として接触に係わる動作を検出する方式が代表的である。これに限らず、他の方式を採用してもよい。また、静電容量方式のタッチセンサ72および近接センサ73を含むタッチパネル7の場合には、表示画面3に対する指先11の近接の検出と、接触の検出とを、同時並行的に行うことができる。
【0052】
映像処理部107Aは、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)等で構成され、画像・映像のデータに基づいて、ディスプレイ71の表示画面3に画像・映像を表示する処理等を行う。なお、画像・映像とは、静止画でも動画でもよい。実施の形態1では、映像処理部107Aは、画面3Aの内容に指画像を重畳した内容を持つ重畳画面(対応する表示情報9A)を作成する映像処理等も行う。
【0053】
映像出力部107Bは、ディスプレイ71の表示画面3に表示されている画面3Aと同じ内容・状態を持つ画面4Aを構成するための表示情報9Aを、外部表示装置であるテレビ2に外部出力する処理等を行う。映像出力部107Bは、画面3Aの内容を持つ表示情報、または、その表示情報の内容にさらに指画像を重畳した内容を持つ重畳画面の表示情報を、表示情報9Aとして、外部表示装置であるテレビ2に出力する。
【0054】
実施の形態1では、主に映像部107が上記重畳画面に係わる処理を行う構成としたが、これに限らず、主制御部101等の別のブロックが同様の処理を行う形態としてもよい。また、そのような処理に関して、図2中の複数のブロックで分担してもよい。
【0055】
通信部106は、通信インタフェースを有するデバイスであり、例えばLAN通信インタフェース61と、電話網通信インタフェース62とを有して構成される。LAN通信インタフェース61は、アクセスポイント等を介してインターネット等の通信網と接続され、通信網上の各サーバ装置等との間でデータの送受信を行う。アクセスポイント等との接続は、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LANインタフェースでの無線接続で行われるが、有線接続としてもよい。実施の形態1では、スマートフォン1は、図1の通信9として、通信部106によるWi-Fi無線接続を利用して、前述の表示情報9Aを、外部表示装置であるテレビ2に出力・伝送する。
【0056】
電話網通信インタフェース62は、移動体電話通信網の基地局等との無線通信により、電話通信(通話)およびデータの送受信を行う。基地局等との通信は、例えばLTE(Long Term Evolution)方式、5G方式(第5世代移動通信システム)、あるいはその他の通信方式によって行われる。LAN通信インタフェース61および電話網通信インタフェース62は、それぞれ、符号化回路や復号回路やアンテナ等を備える。また、通信部106は、赤外線通信インタフェース等の他の通信インタフェースを更に備えてもよい。
【0057】
音声部108は、マイク81およびスピーカ82を有して構成される。マイク81は、実空間の音やユーザの音声などを音声データに変換して入力する。スピーカ82は、ユーザに対し必要な音声情報等を音声として出力する。音声部108は、勿論、イヤホンやヘッドホンも接続可能であり、用途により使い分けることができる。
【0058】
操作入力部109は、ユーザがスマートフォン1に対する指示等の操作入力を行うブロックであり、タッチパネル7以外の入力デバイスとして、操作キー92等を有して構成される。操作キー92は、例えばスマートフォン1の筐体の側面等に配置されている電源ボタンスイッチや音量ボタンスイッチ等がある。なお、スマートフォン1は、その他の操作デバイスを更に備えてもよい。また、スマートフォン1には、通信部106のインタフェースを利用して、有線通信または無線通信により、別体の入力デバイスや出力デバイスがさらに接続されてもよく、別体の携帯端末機器等が接続されてもよい。ユーザは、それらのデバイスを用いてスマートフォン1への入出力を行ってもよい。
【0059】
また、スマートフォン1には、電子マネー決済機能やユーザ認証機能等、図示していない構成要素がさらに追加で設けられてもよい。なお、図2で、視線検出部110は、後述の実施の形態6で備えるブロックである。
【0060】
[機能ブロック(1)]
図3は、実施の形態1でのスマートフォン1における主な機能(画面のミラーリングに関する機能および重畳画面に関する機能1002)に関するブロック構成例を示す。図3の機能ブロックは、図2の主制御部101や映像部107等を用いて構成される。図3の構成は、制御機能301、通信処理機能302、表示情報取得機能303、表示情報保存機能304、操作指画像保存機能305、近接位置情報取得機能306、近接位置情報保存機能307、接触位置情報取得機能308、接触位置情報保存機能309、重畳画面作成処理機能310、重畳画面保存機能311、および表示情報外部出力機能312を有する。
【0061】
なお、図3で、操作指画像取得機能313は、後述の実施の形態3で備えるブロックである。第2操作指画像取得機能314および第2操作指画像保存機能315は、後述の実施の形態4で備えるブロックである。操作指判別機能316は、後述の実施の形態5で備えるブロックである。これらのブロックは実施の形態1では使用しない。
【0062】
制御機能301は、スマートフォン1の全体を制御する機能であり、主に、図2の主制御部101と、記憶部104のプログラム部41およびプログラム機能部43とによって構成される。通信処理機能302は、主に図2の通信部106によって構成され、図1での通信9等を行う機能である。
【0063】
表示情報取得機能303は、スマートフォン1の表示画面3に画面3Aを表示するための表示情報を取得する機能である。表示情報には、例えば通信処理機能302によりインターネットを介して取得されるWebページやコンテンツ等の表示情報や、プログラム等で予め作成された表示情報や、ユーザにより撮影された画像等がある。表示情報保存機能304は、表示情報取得機能303で得られた表示情報を、記憶部104のデータ部42に保存する機能である。
【0064】
操作指画像保存機能305は、操作指である指先11に対応した指画像を、記憶部104のデータ部42に保存する機能である。実施の形態1では、操作指の指画像の初期設定値としては、右手人差し指の指画像のデータが保存されている。なお、記憶部104には、各種の指画像が記憶されていてもよく、後述するが、それらの各種の指画像から、ユーザが使用する操作指に対応させた種類の指画像を選択して使用するものとしてもよい。この場合、操作指画像保存機能305は、各種の指画像を記憶部104のデータ部42に保存する。
【0065】
近接位置情報取得機能306は、図2の近接センサ73によって、画面3Aを操作する操作指である指先11の近接を検出した場合に、画面3A上における操作指の近接位置の位置座標等を、近接位置情報として取得する機能である。近接位置情報保存機能307は、近接位置情報取得機能306で得られた画面3A上の操作指の近接位置情報を、記憶部104のデータ部42に保存する機能である。
【0066】
接触位置情報取得機能308は、タッチセンサ72によって、画面3Aを操作する操作指の接触を検出した場合に、画面3A上における操作指の接触位置の位置座標等を、接触位置情報として取得する機能である。接触位置情報保存機能309は、接触位置情報取得機能308で得られた画面3A上の操作指の接触位置情報を、記憶部104のデータ部42に保存する機能である。
【0067】
重畳画面作成処理機能310は、表示情報保存機能304に保存されている表示情報(画面3Aの表示情報)に、操作指画像保存機能25に保存されている操作指の指画像を重畳して、重畳画面として作成する処理を行う機能である。重畳画面作成処理機能310は、主に映像部107の映像処理部107Aによって構成される。その重畳画面に対応するデータが、表示情報9Aとして作成される。重畳画面保存機能311は、重畳画面作成処理機能310で得られた重畳画面の表示情報を、記憶部104のデータ部42に保存する機能である。
【0068】
表示情報外部出力機能312は、表示情報保存機能304に保存されている表示情報を、通信部7を用いた通信9で、表示情報9Aとして、外部表示装置であるテレビ2に外部出力する機能である。この表示情報は、指画像が重畳されていない元の画面3Aのみの表示情報であるか、もしくは、重畳画面保存機能31に保存されている、指画像が重畳されている重畳画面の表示情報である。なお、いずれの表示情報が使用されるかについては後述の処理フローの通りに適切に制御される。
【0069】
[処理フロー(1)]
図4は、実施の形態1の情報表示装置であるスマートフォン1における、主な機能の処理(操作指重畳画面処理)のフローを示す。図4の処理フローの主体は、主に図2での主制御部101または映像部107、図3での各機能である。以下、図3等も参照しながら処理フローを説明する。なお、ステップS470は、後述の実施の形態3の場合に備えるステップであり、実施の形態1では省略される。ステップS480は、後述の実施の形態4の場合に備えるステップであり、実施の形態1では省略される。
【0070】
ステップS411で、処理フローが開始される。すると、まず、ステップS412で、スマートフォン1は、表示情報取得機能303により表示情報取得処理を行う。これにより、表示画面3に画面3Aとして表示する表示情報が取得される。次に、ステップS413では、スマートフォン1は、上記ステップS412の処理で取得された表示情報を、表示情報保存機能304により、記憶部104のデータ部42に保存する。次に、ステップS414では、映像部107(特に映像処理部107A)は、上記ステップS413の処理で保存された表示情報を、タッチパネル7のディスプレイ71の表示画面3に画面3Aとして表示する。ステップS412~S414の処理は、一般的なスマートフォンにおけるタッチパネルの表示画面への表示処理と同様である。
【0071】
次に、スマートフォン1は、ステップS415で、外部表示装置であるテレビ2が接続されたかどうかを判断する。この判断は、例えば通信部107の機能および状態として可能である。上記ステップS415で、外部表示装置が接続されていないと判断した場合(N)には、ステップS412に戻る。上記ステップS415で、外部表示装置が接続されていると判断した場合(Y)には、ステップS416に移行する。
【0072】
次に、ステップS416で、スマートフォン1は、重畳画面の表示情報9Aを外部表示装置であるテレビ2に出力可能かどうか、言い換えると、外部出力する設定であるかどうかを判断・確認する。これは、ユーザの意思に基づいた設定や指示として、重畳画面の外部出力をオン/オフできることを意味している。予め、実施の形態での機能に係わる設定として、重畳画面の外部出力をする(オン)かしない(オフ)かが初期設定されてもよい。また、予め、ユーザ設定として、重畳画面の外部出力のオン/オフが設定されてもよい。また、ユーザが重畳画面の表示を必要とする都度に、ユーザがその外部出力の設定や指示を入力してもよい。
【0073】
なお、従来技術の場合では、機能は、画面3Aの内容のみのミラーリングに相当するが、実施の形態1における機能1002では、画面3A上に指画像6を重畳した重畳画面としてのミラーリングである。そこで、実施の形態1での機能は、さらに、ユーザ設定等で、画面3Aのみのミラーリングのオン/オフとするか、指画像6を含めた重畳画面のオン/オフとするか、いずれも設定・指定できるようにしてもよい。
【0074】
上記ステップS416で、重畳画面の表示情報を外部出力しない設定であると判断した場合(N)には、ステップS419に移行し、重畳画面の表示情報を外部出力する設定であると判断した場合(Y)には、ステップS417に移行する。
【0075】
次に、ステップS417では、スマートフォン1は、タッチセンサ72および近接センサ73に基づいて、操作指の指先11がタッチパネル7のディスプレイ71の表示画面3(対応する画面3A)に対し、接触したかどうか、あるいは、近接したかどうかを判断する。すなわち、スマートフォン1は、接触位置情報取得機能308による接触位置情報が接触位置情報保存機能309に有るか、あるいは、近接位置情報取得機能306による近接位置情報が近接位置情報保存機能307に有るか等を判断する。
【0076】
上記ステップS417で、操作指が近接した(近接状態である)、または接触した(接触状態である)と判断した場合(Y)には、ステップS430に移行する。上記ステップS417で、操作指が近接も接触もしていないと判断した場合(N)には、ステップS419に移行する。
【0077】
ステップS430では、スマートフォン1は、重畳画面作成処理機能310による重畳画面作成処理を行う。ステップS430は、定義済み処理(サブルーチン)であり、詳細については図5および図6で示される。ステップS430の重畳画面作成処理は、スマートフォン1の表示画面3に画面3Aとして表示されている表示情報に、操作指の指画像6を重畳した重畳画面を作成する処理である。
【0078】
図5および図6は、上記ステップS430の処理フローを示す。ステップS431で、ステップS430の処理が開始される。すると、ステップS432で、スマートフォン1は、操作指の指先11がタッチパネル7の表示画面3に接触しているかどうか、言い換えると接触位置情報が有るかを判断する。上記ステップS432で、接触していると判断した場合(Y)には、ステップS433に進む。ステップS433で、スマートフォン1は、接触位置情報取得機能307により接触位置座標を接触位置情報として取得する。
【0079】
次に、ステップS434で、スマートフォン1は、上記ステップS433で取得した接触位置座標と、接触位置情報保存機能308に保存されている接触位置座標とを比較し、接触位置が変化しているかどうかを判断する。このステップS434で、それらが一致している、すなわち接触位置が変化していないと判断した場合(N)には、ステップS440に進み、ステップS430の処理フローを終了する。このステップS434で、それらが一致していない、すなわち接触位置が変化していると判断した場合(Y)には、ステップS435に進む。ステップS435では、スマートフォン1は、保存されている接触位置座標を、ステップS433で取得した新たな接触位置座標によって変更、更新するように、接触位置情報保存機能309により保存する。ステップS434での接触位置の変化有りの場合の状態は、ユーザが表示画面3で操作指を接触移動した場合(スワイプ等の操作の場合)に相当する。
【0080】
次に、ステップS436で、スマートフォン1は、表示情報保存機能304により保存された表示情報に、操作指画像保存機能305により保存されている操作指の指画像を重畳した重畳画面(「接触操作指重畳画面」)を作成する。なお、この際には、タッチパネル7の表示画面3に操作指が接触している状態を表すように、画面3Aに操作指の指画像6を重畳するので、この重畳画面を特に「接触操作指重畳画面」とも記載する。上記ステップS436での重畳画面の作成後、ステップS440に進み、ステップS430の処理フローを終了する。
【0081】
上記ステップS432で、操作指が表示画面3に接触していないと判断した場合(N)には、ステップS437に移行する。ステップS437では、スマートフォン1は、接触位置情報保存機能309に保存されている接触位置座標を含む接触位置情報を消去する。
【0082】
次に、ステップS438で、スマートフォン1は、接触操作指重畳画面が、重畳画面保存機能311により保存されているかどうか(有るかどうか)を判断する。ステップS438で、重畳画面が保存されていないと判断した場合(N)には、ステップ450の結合子(「1」)を介して、図6のフローに継続する。ステップS438で、重畳画面が保存されていると判断した場合(Y)には、ステップS439に進む。ステップS439で、スマートフォン1は、保存されている接触操作指重畳画面を消去する。
【0083】
続いて、図6のフローで、まず、ステップS451では、スマートフォン1は、操作指が表示画面3に近接しているかどうか、言い換えると近接位置情報が有るかどうかを判断する。ステップS451の判断で、操作指が画面3に近接していると判断した場合(Y)には、ステップS452に進む。ステップS452で、スマートフォン1は、近接位置情報取得機能305により、画面3A上の近接位置座標を取得する。
【0084】
次に、ステップS453で、スマートフォン1は、上記ステップS452で取得した近接位置座標と、近接位置情報保存機能307により保存されている近接位置座標とを比較し、近接位置に変化が有るかどうかを判断する。上記ステップS453で、取得した近接位置座標と、保存されている近接位置座標とが一致していると判断した場合、すなわち近接位置に変化が無い場合(N)には、ステップS459に進み、ステップS430の処理フローを終了する。
【0085】
上記ステップS453の判断で、取得した近接位置座標と、保存されている近接位置座標とが一致していないと判断した場合、すなわち近接位置に変化が有る場合(Y)には、ステップS454に進む。ステップS454では、スマートフォン1は、保存されている近接位置座標を、ステップS452で取得した近接位置座標によって変更・更新し、近接位置情報保存機能307により保存する。この近接位置に変化が有る場合の状態は、ユーザが操作指を表示画面3に触れずに移動させた場合に相当する。
【0086】
次に、ステップS455で、スマートフォン1は、表示情報保存機能304により保存されている表示情報に、操作指画像保存機能305により保存されている操作指の指画像6を重畳した重畳画面を作成する。なお、この際には、タッチパネル7の表示画面3に操作指が近接している状態を表すように、画面3Aに操作指の指画像6を重畳するので、この重畳画面を特に、「近接操作指重畳画面」とも記載する。ステップS455の処理後には、ステップS459に進み、ステップS430の処理フローを終了する。
【0087】
ステップS451で、操作指が画面3に近接していないと判断した場合(N)には、ステップS456に進む。ステップS456では、スマートフォン1は、保存されている近接位置座標を消去する。
【0088】
次に、ステップS457で、スマートフォン1は、近接操作指重畳画面が、重畳画面保存機能311により保存されているかどうか(有るかどうか)を判断する。上記ステップS457で、近接操作指重畳画面が保存されていないと判断した場合(N)には、ステップS459に進み、ステップS450からの処理フローを終了する。上記ステップS457で、近接操作指重畳画面が保存されていると判断した場合(Y)には、ステップS458に進む。ステップS458で、スマートフォン1は、近接操作指重畳画面を消去し、ステップS459に進み、ステップS430の処理フローを終了する。
【0089】
図4の説明に戻る。ステップS430の重畳画面作成処理の次に、ステップS418に移行する。ステップS418で、スマートフォン1は、上記ステップS430で作成した重畳画面の表示情報を、重畳画面保存機能311により保存する。勿論、保存すべき重畳画面が無い場合には、ここでは保存されない。
【0090】
次に、ステップS419で、スマートフォン1(特に図2の映像出力部107B)は、通信部106を用いて、重畳画面の表示情報9Aを、外部表示装置であるテレビ2に対し外部出力する。この際に、ステップS418からステップS419に移行してきた場合には、スマートフォン1は、重畳画面保存機能311により保存されている重畳画面の表示情報を外部出力する。すなわち、スマートフォン1からテレビ2に出力される表示情報9Aにのみ、操作指の指画像6が重畳されている。一方、ステップS416またはステップS417からステップS419に移行してきた場合には、スマートフォン1は、ステップS430の重畳画面作成処理が行われていない表示情報を、表示情報9Aとして外部出力する。すなわち、スマートフォン1からテレビ2に出力される表示情報9Aには、操作指の指画像6が重畳されていない。この場合には、スマートフォン1の画面3Aとテレビ2の画面4Aとで、表示情報は同一であり、画面4Aに操作指の指画像6は重畳表示されない。
【0091】
次に、ステップS420で、スマートフォン1は、システム、プログラム、またはユーザ等により、表示終了の指示が有ったかどうかを判断する。ステップS420で、表示終了指示が無いと判断した場合(N)には、ステップS412に戻る。ステップS420で、表示終了指示が有ると判断した場合(Y)には、ステップS421に進み、図4の処理フローを終了する。図4の処理フローは、時間軸上で繰り返して同様に行われる。
【0092】
スマートフォン1が上記処理フローに従って動作することで、図1のように、スマートフォン1の画面3Aと同じ内容で、かつ指先11の近接や接触の状態を表す指画像6が重畳された重畳画面を、テレビ2の表示画面4内に画面4A(指画像6付きのミラーリング画面)として表示させることができる。
【0093】
[指画像(操作物画像)-(1)]
次に、指画像6の詳細について説明する。上記タッチパネル7のタッチセンサ72によって表示画面3への操作指である指先11の接触が検出された場合には、当然ながら、その前段階として、近接センサ73によって操作指の近接も検出されている。実施の形態1では、スマートフォン1は、近接センサ73による近接状態の検出と、タッチセンサ72による接触状態の検出との両方を、それぞれ区別しながら行う。図4図6の処理フロー例は、それらの近接検出と接触検出とを包含している。図4図6の処理フロー例では、説明の都合上、先に図5で接触検出処理を説明し、次に図6で近接検出処理を説明したが、それらの処理の順序は限定されない。表示画面3に対しユーザの手指10が近接や接触のいずれの状態になったとしても、図4図6の処理フローでその近接や接触の状態を区別して検出可能である。
【0094】
そして、さらに、実施の形態1でのスマートフォン1は、上記近接状態と接触状態とを区別した検出に基づいて、重畳画面での指画像6の表示の態様を制御する。実施の形態1では、重畳画面として、上記近接状態に応じた近接操作指重畳画面(S455)と、上記接触状態に応じた接触操作指重畳画面(S435)との2種類を用意している。実施の形態1では、ユーザに対し接触操作指重畳画面(S435)と近接操作指重畳画面(S455)との違いを明確化するために、それらの重畳画面に応じて、操作指の指画像6に表示上の差異を設ける。すなわち、操作指の近接の検出時には、近接操作指重畳画面での指画像6は、画面3Aに操作指が近接した状態を表す表示態様(例えば第1表示態様)とされる。操作指の接触の検出時には、接触操作指重畳画面での指画像6は、画面3Aに操作指が接触した状態を表す表示態様(例えば第2表示態様)とされる。指画像6は、第1表示態様と第2表示態様とでユーザから見て違いがわかるように構成される。
【0095】
図7は、指画像6の表示の構成例を示す。(A)は、接触検出時の接触操作指重畳画面(S435)における操作指の指画像6aを示し、(B)は、近接検出時の近接操作指重畳画面(S455)における操作指の指画像6bを示す。これらの指画像6は、表示画面4での座標系を図示のように(X,Y,Z)とした場合の表示態様を示す。なお、点p6aは、画面4Aに指画像6aを配置する場合の基準となる位置座標の例である。本例では、この点p6aは、検出による接触位置座標と対応させて設定されており、指先11および爪に対応させた位置として設定されている。同様に、点p6bは、画面4Aに指画像6bを配置する場合の基準となる位置座標の例である。本例では、この点p6bは、検出による近接位置座標と対応させて設定されている。
【0096】
実施の形態1では、スマートフォン1の画面3A上を操作する操作指を視認した場合の状態とほぼ同じ状態、言い換えると操作指による操作の状態を模式的に表現した状態を、テレビ2の画面4Aで指画像6の重畳画面として実現する。そのために、実施の形態1では、図1の操作指の指画像6および図7の指画像6(6a,6b)は、背景(画面3Aの内容)が透過されない不透明指画像として表現されている。
【0097】
これらの指画像6は、操作指が右手人差し指である場合の画像であり、右手人差し指を表すように、例えば1本の指で爪先から第1関節および第2関節を含む根本付近までの一部分を模式的に表した画像である。これらの指画像6は、右手人差し指であることを表すために、座標系(X,Y,Z)において、指画像6の長手方向(指方向)がY方向で下側から上側に向かって左に傾いた画像とされている。この傾きから、ユーザは、この指画像6を右手人指し指として認識できる。仮に操作指が左手人差し指である場合には、この指画像6の向きは逆(右に傾いた画像)とされる。なお、指画像6の詳細は、これに限らず可能であり、例えばより詳細な3次元画像としてもよいし、手指10全体の画像としてもよい。
【0098】
(A)の指画像6aは、画面3Aに操作指(指先11)が接触している状態を表すために、第1表示態様として、指画像6(爪を含む)の輪郭が実線で表現されている画像である。(B)の指画像6bは、画面3Aに操作指(指先11)が近接している状態を表すために、第2表示態様として、指画像6(爪を含む)の輪郭が点線で表現されている画像である。これらにより、2種類の指画像6(6a,6b)の表示上の識別が図られている。指画像6が(B)の指画像6bから(A)の指画像6aに変化した場合、すなわち表示態様が点線から実線に変化した場合、その変化は、画面3Aに対し操作指が近接から接触の状態に変わったことをユーザに伝える。
【0099】
実施の形態1では、図1のように、スマートフォン1は、画面3Aの表示情報に操作指の指画像6を重畳した重畳画面(表示情報9A)をテレビ2へ外部出力している。外部出力された重畳画面は、通信9の伝送路を介してテレビ2に入力される。テレビ2は、その重畳画面(表示情報9B)を受信・入力し、表示画面4内に画面4A(ミラーリング画面)として表示する。画面4Aでは、画面3Aの内容の上(面垂直方向)に、指画像6が重畳表示されている。その結果、ユーザは、テレビ2の表示画面4における画面4Aを視聴するだけで、スマートフォン1の画面3Aを操作する操作指(右手人差指)の位置や動き等の状態を把握することができる。
【0100】
したがって、ユーザは、テレビ2の大画面で画面4A(ミラーリング画面)を視認する際に、操作確認等のためにスマートフォン1の表示画面3に視線を移す必要無く、画面4Aに視線を向けたまま、スマートフォン1の画面3Aに対する操作を好適に行うことができる。すなわち、従来技術でスマートフォンの操作の度に必要としていた視線移動の煩雑さを解消することができる。
【0101】
また、上記実施の形態1での機能によれば、ユーザが操作指をスマートフォン1の画面3Aに近接させるだけでも、その近接状態・非接触状態を、テレビ2の画面4Aの内容に指画像6の表示態様(指画像6b)として反映させることができる。ユーザは、指画像6から、操作指の状態が近接か接触かの違いを識別しやすい。よって、実施の形態1によれば、タッチパネル7の表示画面3(画面3A)に対する操作指の接触間違い(例えばGUIオブジェクトの誤操作など)を防止・軽減することができる。
【0102】
[指画像(操作物画像)-(2)]
上記のように、実施の形態1では、接触操作指重畳画面と近接操作指重畳画面との違いを明確化するために、操作指の指画像6に表示上の差異を設けた。これはあくまで一例であり、様々な差異・表示態様、表現方法等を適用可能である。他の差異・表示態様の例を以下に示す。指画像6の差異・表示態様として、色(色種類)、濃度(または明度)、コントラスト等を利用してもよい。例えば、初期設定またはユーザ設定で、操作指の指画像6の形や色が基本として設定される。例えば、ある設定での指画像6は、右手人差し指で、アジア系人種の肌色(黄、ベージュ等)とされる。ユーザは色を任意に選択できる。例えば、近接状態での指画像6bは、上記基本の肌色(例えば黄)とされ、接触状態での指画像6aは、基本の肌色をより濃くした色、または明るくした色、またはコントラストを高くした色とされる。あるいは、接触状態での指画像6aは、基本の肌色に対し、他の色(例えば赤)を混ぜる等して加工した色としてもよい。あるいは、ユーザ設定で、近接状態時と接触状態時との2種類で使用する色を任意に選択してもよい(例えば近接状態では白、接触状態では赤等)。
【0103】
また、指画像6の差異・表示態様として、操作指の操作のパターン(例えばタッチ、タップ、スワイプ、フリック、ピンチ等)の識別に応じた、複数の表示態様を設けてもよい。例えば、タッチ操作の時には、指画像6は、接触状態時に赤色とし、さらにスワイプ操作(接触状態を維持したまま画面内方向で位置を移動する操作)の時には青色とする等が可能である。あるいは、指画像6の差異・表示態様として、画面内のGUIオブジェクトの操作や機能の種別(例えばボタンのオン/オフ、アイコンのドラッグ、バーのスライド、ページのスクロール等)の識別に応じた、複数の表示態様を設けてもよい。
【0104】
また、指画像6の差異・表示態様として、サイズを変えてもよい。例えば、近接状態時には第1サイズの指画像とし、接触状態時には、第1サイズよりも小さい第2サイズの指画像としてもよい。
【0105】
また、操作物画像として指画像とする例を説明したが、これに限らず、画面に対する操作物は、タッチペンや鉛筆や指示棒等の他の物体でもよい。その場合、操作物画像は、そのタッチペン等の操作物を表す画像とし、その操作物画像が重畳画面内に重畳される。
【0106】
図7の(C)(D)は、操作物画像の他の例を示す。(C)では、操作物画像701は、手指10(例えば右手)の全体を表す画像である。(D)では、操作物画像702は、タッチペン(例えば右手に持たれるタッチペン)を表す画像である。
【0107】
また、操作物画像に関して、接触状態時に、接触を表すエフェクトとして画像や音声を出力するものとしてもよい。エフェクトの画像の例としては、指先やペン先から発生させる光や波などのアニメーションとしてもよい。エフェクトの音声の例としては、接触音が挙げられる。なお、外部出力する表示情報9A(重畳画面のデータ)に関して、音声を伴わせる場合、表示情報9A内に音声情報を含む形式としてもよいし、表示情報9Aとは別に音声情報を関連付けて付属させる形式としてもよい。
【0108】
[変形例-省電力制御]
さらに、上記実施の形態1での機能には、以下のように、変形例として、省電力化などのための制御(対応する省電力制御機能)を追加してもよい。上記のように、テレビ2の表示画面4内に指画像6付きの重畳画面(画面4A)を表示してユーザがその画面4Aを視認している場合、ユーザは、スマートフォン1の表示画面3の方は視認していない。よって、省電力化のために、スマートフォン1は、この状態の場合に、意図的な制御として、表示画面3の視認に必要なタッチパネル7のバックライトを消灯する等して、省電力状態にしてもよい。これは、従来のスマートフォンに備える自動的な省電力制御とは別の制御として所定のタイミングで実行される。この省電力制御は、後述の実施の形態での視線検出部110を用いて実現されてもよい。すなわち、スマートフォン1は、視線検出部110によって検出した視線方向が、スマートフォン1の方を向いていない場合、表示画面3の表示を停止させる。また、このような省電力制御の機能は、ユーザ設定で適用のオン/オフを設定可能とする。
【0109】
[近接・接触の検出]
図8を用いて、実施の形態1での近接・接触の検出について説明する。各実施の形態では、表示画面3に対する手指10の近接と接触とを区別する。接触は、物理的な表示画面3への物理的な接触である。近接は、物理的な表示画面3に近付くことであり、非接触でもある。本明細書では、近接とは、接触を含まない概念である。
【0110】
図8は、実施の形態1で、ユーザがスマートフォン1の表示画面3(対応する画面3A)内のある位置P1(x,y,0)を操作指の指先11でタッチ操作する場合の様子を側面から見た模式図を示す。ここでは、表示画面3の座標系を(x,y,z)で示す。x方向およびy方向は、表示画面3を構成する直交する2つの方向である。z方向は、表示画面3に対する面垂直方向であり、表示画面3に対し指先11が近付いたり離れたりする奥行き方向や前後方向である。ユーザは、通常の視聴の場合、すなわちミラーリング画面の視聴ではない場合、目に対応するアイポイントEPからの視線方向a1で表示画面3(画面3A)を視認する。ここでは表示画面3を破線で示す。また、視線方向a2は、同じアイポイントEPから図示しないテレビ2の表示画面4を視認する際の視線の例である。
【0111】
表示画面3から手前側の空間領域において、z方向で、指先11と表示画面3との距離をDで示す。破線で示す閾値801(Ha)は、近接状態の判定用の距離Dの閾値の例であり、予め機能において設定されている。スマートフォン1は、近接センサ73に基づいて検出した距離Dを用いて、指先11が接触状態(z=0)ではなく、かつ、距離Dが閾値Ha以内である場合(0<D≦Ha)には、「近接状態」であると判定する。スマートフォン1は、タッチセンサ72を用いて、指先11が表示画面3に接触した状態(z=0)を、「接触状態」であると判定する。
【0112】
本例では、手指10aの状態は、距離Dが閾値Haよりも大きく、指先11が近接も接触もしていない状態(非近接状態)の例を示す。また、手指10bの状態は、距離Dが閾値Ha内となっており、操作指の指先11が表示画面3に近接した「近接状態」の例を示す。また、手指10cの状態は、距離Dが0であり、操作指の指先11が表示画面3内の中央付近の点P1(位置座標(x,y,0))に接触した場合の「接触状態」を示す。接触時にz方向での値を0とする。
【0113】
上記のように、実施の形態1では、手指による操作に係わる状態として、近接状態と接触状態との2種類(非近接状態を含めると3種類)を区別して検出し、それぞれに合わせた指画像6を重畳した重畳画面を表示する。これに限らず、手指10の近接・接触に関して、段階的な複数の状態(例えば第1近接状態、第2近接状態など)を区別して検出する形態としてもよい。そして、段階的な複数の状態の各状態に応じた指画像6を重畳する形態としてもよい。
【0114】
実施の形態1では、手指10の近接および接触の判定に関して、最も単純には、表示画面3内の1点(対応する画素)の位置を判断する方式とすればよい。例えば、表示画面3に対し、指先11が最も近接した位置(近接位置)や接触した位置(接触位置)を判断して、それに対応する位置座標を取得すればよい。そして、その1点の位置座標(例えば接触位置)を、所定の操作(例えばタッチ操作)のための位置情報とすればよい。また、その1点の位置座標を、重畳画面での指画像6の配置・表示の基準位置とすればよい。これらに限らず、より詳細には、表示画面3内の2点以上あるいは領域を判断する方式としてもよい。例えば、操作指が右手人指し指である場合に、指先(爪)と指関節との2点の位置を判断する方式としてもよい。その2点に合わせて指画像6を配置・表示してもよい。
【0115】
[変形例-接触・近接の検出]
また、上記実施の形態1での機能には、以下のように、変形例として、閾値を用いた近接・接触の検出・判定の制御(対応する機能)を追加してもよい。前述の図8を用いて説明する。この変形例では、操作指とタッチパネル7の表示画面3との間(z方向)の近接距離(距離D)および「近接状態」「接触状態」の判定に関して、前述の方式とは異なる方式を適用する。スマートフォン1は、判定用に所定の閾値802(Hbとする)を設定する。この閾値Hbは、閾値801(Ha)と同じとしてもよいし、異なる値としてもよい。例えば図8のように、閾値Hbは、閾値Haとは別に、閾値Haよりも小さい値として設定される(Ha>Hb)。スマートフォン1は、z方向で、表示画面3(z=0)に対し、操作指の指先11が、所定の閾値Hb以内になるように近接した場合(0<D≦Hb)、前述の「近接状態」として判定するのではなく、「接触状態」として判定する。言い換えると、この接触状態は、実際には指先11が表示画面3には接触していないが、所定の操作(例えばタッチ操作)のために接触とみなす状態(「疑似接触状態」)である。
【0116】
スマートフォン1は、この疑似接触状態となった時には、対応する疑似接触位置を取得して、所定の操作(例えばタッチ操作)の受け付けとして処理する。この変形例では、近接・接触の判定において、上記のようなアルゴリズムを追加または置換する。これにより、ユーザは、操作指が表示画面3に非接触である状態でも、上記疑似接触状態とすれば、スマートフォン1を操作(例えば疑似接触状態の位置のオブジェクトに対するタッチ操作)することができる。この疑似接触状態の場合に、スマートフォン1は、重畳画面として、スマートフォン1を操作できる接触操作指重畳画面を作成する。この接触操作指重畳画面では、指画像6は、例えば図7の(A)の指画像6aのように実線で表現される。
【0117】
[近接センサ]
近接センサ73の構成例を説明する。近接センサ73として、実施の形態1では、前述のタッチパネル7と一体型である静電容量方式の近接センサを適用する。この近接センサは、タッチパネル7のディスプレイ71(例えば液晶ディスプレイ)のセル群において、静電容量素子等が配置された構成を有する。この近接センサは、各静電容量素子を用いて、ディスプレイ71上の指等の物との距離に応じた静電容量変化を検出する。スマートフォン1は、この近接センサの検出情報から、表示画面3上の指先11の位置や距離等を計算できる。静電容量方式は、詳しくは、例えば表面容量方式と投射容量方式とがある。投射容量方式を用いる場合、静電容量変化の検出感度を向上させることで、指が面に接触する前の微小な容量変化を検出できる。これにより、指先11が表示画面3に接触する前の近接状態における近接位置等を高精度に検出可能である。
【0118】
近接センサ73として、超音波センサも適用できる。超音波センサは、超音波出射部から超音波を発して指等の物に当て、その物からの反射波を超音波入射部で入射して検出する。超音波センサは、スマートフォン1の筐体の一部に実装される。スマートフォン1は、超音波センサの検出情報から、表示画面3上の指先11の位置や距離等を計算できる。
【0119】
近接センサ73として、光センサ、例えば赤外線センサも適用できる。赤外線センサは、赤外線照射部から赤外線を照射して指等の物に当て、その物からの反射波を反映した映像を赤外線カメラで撮影して検出する。赤外線センサは、スマートフォン1の筐体の一部に実装される。スマートフォン1は、赤外線センサの検出情報から、表示画面3上の指先11の位置や距離等を計算できる。例えば、一般的なスマートフォンに搭載されている顔認証機能は、上記のような光センサおよびカメラを用いて実現されている。この顔認証機能を、実施の形態での操作指の近接の検出等にも利用できる。
【0120】
近接センサ73として、LiDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)等の3次元距離センサも適用できる。LiDARは、例えばスマートフォン1の表示画面3の背後の面領域、あるいは筐体の額縁領域等に搭載される。LiDARは、レーザ照射部からレーザを照射して指等の物に当て、物からの反射波を受光して検出する。LiDARは、レーザを例えば2次元の面領域に対しスキャンするように照射する。スマートフォン1は、LiDARの検出情報から、表示画面3上の指先11の位置や距離等を計算できる。
【0121】
近接センサ73として、タッチパネル7と一体型である光センサも適用できる。この一体型の光センサは、例えばタッチパネル7のディスプレイ71(例えば液晶ディスプレイ)のセル群において、光学センサ素子群が配置された構成を有する。光学センサ素子は、受光強度を検出する。スマートフォン1は、一体型の光センサの検出情報から、表示画面3上の指先11の位置や距離等を計算できる。
【0122】
[効果等(1)]
上記のように、実施の形態1の情報表示装置によれば、携帯情報端末の画面と同じ内容の画面を外部表示装置に表示させる場合、言い換えると画面に関するミラーリングを行う場合に、ユーザの視線移動等の煩雑さを解消または低減でき、ユーザの操作性や利便性を高めることができる。ユーザは、外部表示装置の大画面でのミラーリング画面に視線を固定したまま、携帯情報端末のタッチパネルの画面に対する手指による操作を好適に行うことができる。ユーザは、例えばスマートフォン1等の携帯情報端末の画面をテレビ2等の外部表示装置の大画面でミラーリング画面として視認する際に、操作のたびに携帯情報端末のタッチパネルに視線を移す必要無く、外部表示装置の画面に視線を向けたまま、タッチパネルに対する手指による好適な操作が可能となる。すなわち、情報表示装置の画面と外部表示装置の画面との間で、ユーザの視線移動を不要とする、または少なくすることができる。したがって、携帯情報端末の操作の度に必要としていた視線移動の煩雑さを解消または低減でき、従来技術よりもユーザにとっての操作性や利便性を高めることができる。
【0123】
実施の形態1では、画面に関するミラーリングの機能、特に、操作指の重畳画面を外部出力する機能について、すべてがスマートフォン1単体で実現されており、外部表示装置側には、何らの特別な機能の実装が不要である。そのため、テレビ2に限らず様々な外部表示装置が適用可能である。
【0124】
なお、実施の形態1では、スマートフォン2の表示画面3よりもテレビ2の表示画面4の方が、サイズが大きい場合を例に説明した。これに限定されず、情報表示装置の画面に対し外部表示装置の画面が同じまたは小さいサイズである場合でも、同様に適用可能である。
【0125】
また、従来技術では、ユーザは、テレビ画面に対し、手に持ったスマホ画面を、視線の先に近い位置として置いて、両方を見比べるような動作をする場合もある。この場合、ユーザは、腕を上げる等の動作が必要であるが、実施の形態1によれば、そのような動作も不要となり、ユーザにとって楽となる。
【0126】
(実施の形態2)
図9を用いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は、実施の形態1と同様であり、以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について主に説明する。実施の形態2では、重畳画面における操作指の指画像6は、前述(図1図7)の不透明指画像ではなく、背景(画面3Aの内容)が透過される透明指画像として表現される。
【0127】
[重畳画面]
図9は、実施の形態2で、テレビ2の表示画面4内の画面4Aにおいて、操作指の指画像6として、透明指画像である指画像6cを重畳表示する例を示す。指画像6cは、輪郭(爪を含む)が実線であり、輪郭内の領域が透明とされている。実施の形態2では、指画像6cが背景を透過するので、ユーザは、重畳画面である画面4Aを視認している際に、画面3A上で操作している操作指に遮られずに、操作指の背後にある部分である画面3Aの内容(例えばGUIオブジェクト)を視認できる。その結果、実施の形態2では、ユーザによる操作指の接触間違い等を防止・軽減することができる。
【0128】
図9の例では、指画像6cの指先の位置(近接位置または接触位置)は、スライドバーのようなGUIオブジェクト上にある。よって、指画像6cの指先の背後にそのオブジェクトが見えるので、ユーザはそのオブジェクトに対するタッチおよびスワイプ等の操作がしやすい。
【0129】
実施の形態1では、重畳画面での指画像6を不透明指画像としたので、ユーザからは手指10の操作の状態がより把握しやすい利点がある。一方、実施の形態2では、重畳画面での指画像6を透明指画像としたので、ユーザからは手指の背後にある元の画面3Aの内容がより把握しやすい利点がある。
【0130】
実施の形態2の変形例として、指画像6は、半透明指画像としてもよい。これにより、操作指の背後が見えやすくなる効果がある。
【0131】
また、実施の形態2の変形例として、近接状態と接触状態とで指画像6の差異を設ける例として、指画像6は、近接状態時には透明指画像とし、接触状態時には不透明指画像としてもよい。あるいは、逆に、指画像6は、近接状態時には不透明指画像とし、接触状態時には透明指画像としてもよい。
【0132】
(実施の形態3)
図10以降を用いて、実施の形態3について説明する。前述の実施の形態1では、ユーザが表示画面3を操作する操作指が右手人差し指であることを前提として説明した。操作指は、これに限らず、ユーザに応じて別の手指にすることができ、前述の指画像6(操作物画像)は、その別の手指に対応させた画像とすることができる。例えば、ユーザが右利きの場合には、操作指を右手人差し指として構わないが、ユーザが左利きの場合で、実際に左手人差し指で操作する場合には、前述の右手人差し指を表す指画像6のままでは、ユーザにとって違和感が生じる。実施の形態3では、ユーザの操作指が様々な場合でも、操作・視認上の違和感が生じないように、ユーザが操作指に対応する指画像を設定できる機能を追加で備える。この機能は、スマートフォン1内に予め複数の種類の指画像を記憶しておき、ユーザがユーザ設定で、自分が使用する操作指に対応した種類の指画像を選択して使用できる機能である。
【0133】
[機能ブロック(3)]
前述の図3を用いて、実施の形態3でのスマートフォン1の機能ブロック構成例を説明する。実施の形態3では、さらに図3での操作指画像取得機能313を備える。操作指画像取得機能313は、ユーザがスマートフォン1の表示画面3を操作する際の操作指の指画像6を取得する機能である。図2の記憶部104のデータ部42には、予め、複数の種類の操作指の指画像が記憶されている。例えば、初期設定では、操作指が右手人差し指であり、右手人差し指を表す前述のような指画像6が適用される。記憶部104には、右手人差し指以外にも、右手や左手の各指に対応した指画像が記憶されている。
【0134】
操作指画像取得機能313は、例えばユーザ設定でのユーザによる操作指の指定(例えば左手人差し指)に応じて、データ部42から、その操作指の指画像のデータを読み出して取得してもよい。そして、操作指画像取得機能313は、取得した指画像のデータを、操作指画像保存機能305により保存する。操作指画像保存機能305は、重畳画面に重畳する操作指の指画像を処理用に保持する。
【0135】
図10は、複数の種類の指画像6(対応する指画像データ)の例を示す。本例では、4種類の指画像6として、(1)右手人差し指の指画像6A、(2)右手親指の指画像6B、(3)左手人差し指の指画像6C、(4)左手親指の指画像6Dを有する。例えば、ユーザは、ユーザ設定で、これらの候補から、左手人差し指の指画像6Cを選択し、操作指の指画像6として設定する。言い換えると、ユーザは、使用する操作指を、初期設定の右手人指し指から、左手人差し指に変更できる。
【0136】
図10の下側には、複数の操作指の指画像6から選択された操作指の指画像6として例えば左手人差し指の指画像6Cを、重畳画面(画面4A)で重畳表示した例を示す。操作指の指画像6は、初期設定での右手人差し指の指画像6Aから、左手人差し指の指画像6Cに変更されている。このように、実施の形態3では、ユーザは、自分の好適な操作指とそれに対応させた指画像6を設定できる。よって、例えば左利きのユーザ等の場合でも、ミラーリング画面に関する好適な視認および操作が可能である。
【0137】
[処理フロー(3)]
前述の図4を用いて、実施の形態3での主な処理(操作指重畳画面処理)のフローを説明する。実施の形態3では、実施の形態1に対し主に異なる構成点として、ステップS416とステップS417との間にステップS470が追加されている。ステップS470は、定義済み処理(サブルーチン)であり、操作指画像取得機能313による操作指画像取得処理である。ステップS416で重畳画面の外部出力が可能である場合(Y)に、ステップS470が行われる。
【0138】
図11は、ステップS470の操作指画像取得処理の処理フローを示す。ステップS471で、ステップS470の処理が開始される。すると、ステップS472で、スマートフォン1の操作指画像取得機能313は、ユーザが操作をする操作指の指画像が操作指画像保存機能305により保存されているかどうかを判断する。上記ステップS472で、操作指の指画像が保存されていると判断した場合(Y)には、ステップS474に移行し、操作指の指画像が保存されていない(言い換えると初期状態)と判断した場合(N)には、ステップS473に移行する。
【0139】
ステップS473では、スマートフォン1は、記憶部104のデータ部42に記憶されている複数の指画像の中から、初期設定のために、操作指として右手人差し指の指画像を選択し、選択した右手人差し指の指画像を、操作指画像保存機能305により保存する。その後、ステップS474に移行する。
【0140】
ステップS474は、ユーザが操作指の変更を指示したかどうかを判断する処理である。例えば、スマートフォン1が提供するユーザ設定画面で、ユーザが操作指または対応する指画像の候補のリストから、使用する操作指・指画像を選択指定する。ステップS474で、操作指画像取得機能313は、その選択指定された操作指の指画像の指示情報を得て、初期設定の操作指(右手人差し指)から変更があるかを確認する。ステップS474で、操作指の変更指示が有ると判断した場合(Y)には、ステップS475に進み、操作指の変更指示が無いと判断した場合(N)には、ステップS476に進む。
【0141】
ステップS475では、スマートフォン1は、ユーザが選択・指示した変更後の操作指(例えば左手人差し指)の指画像のデータを、記憶部104のデータ部42に保存されている複数の指画像の中から選択して読み出し、その変更後の操作指の指画像を、操作指画像保存機能305により保存する。その後、ステップS476で、ステップS470の得処理フローを終了する。ステップS474で変更指示が無い場合(N)にも、既に操作指の指画像は作指画像保存機能305により保存されているので、ステップS470の処理フローを終了する。
【0142】
なお、実施の形態3の変形例として、スマートフォン1ではなく外部のサーバ等に、複数の種類の指画像のデータを記憶しておき、スマートフォン1はその外部のサーバ等から指画像のデータを参照してもよい。また、ユーザ設定でのユーザによる操作指の指定に関しては、視聴中にスマートフォン1に対する所定の操作で操作指の指定や切り替えが即時にできるように、予めその所定の操作が規定されていてもよい。
【0143】
(実施の形態4)
図12以降を用いて、実施の形態4について説明する。前述の実施の形態1等では、タッチ/タップやスワイプ等の操作に関する操作指が1本(例えば右手人差し指)の場合を説明した。実施の形態4では、一度に使用される操作指が複数本である場合を説明する。実施の形態4での機能は、複数本の操作指に対応させた指画像(操作物画像)を重畳表示する機能を有する。特に、本例では、2本の操作指(例えば右手人差し指と右手親指)を用いて、画面3A内のGUIオブジェクトや画像に対するピンチ操作(対応する拡大/縮小の作用)を行う場合を説明する。
【0144】
一般に、ピンチ操作の場合、タッチパネル7の表示画面3に同時に接触する操作指は2本となる場合が多い。以下では、説明上、2本の操作指を識別するために、表示画面3に最初に接触した方の指を第1操作指とし、続いて接触した方の指を第2操作指とする。なお、一方の第1操作指をメインの指として捉える場合には、他方の第2操作指を、サブまたは補助の指として捉えてもよい。
【0145】
[機能ブロック(4)]
前述の図3を用いて、実施の形態4でのスマートフォン1における機能ブロック構成例を説明する。実施の形態4では、実施の形態3での操作指画像取得機能313を用いる構成に対し、さらに、第2操作指画像取得機能314および第2操作指画像保存機能315が追加されている。前述の操作指画像取得機能313および操作指保存機能305は、実施の形態4では第1操作指に関する機能となり、第2操作指画像取得機能314および第2操作指画像保存機能315は第2操作指に関する機能となる。
【0146】
第2操作補助指画像取得機能314は、タッチパネル7を操作する第2操作指の指画像を取得する機能である。例えばタッチセンサ72の検出結果に基づいて、時間軸で、最初に表示画面3に接触した指(対応する接触位置)が第1操作指(対応する第1接触位置)とされ、その後に所定の時間内で表示画面3に接触した別の指(対応する別の接触位置)があった場合には、その指が第2操作指(対応する第2接触位置)とされる。一例としては、右手人差し指が第1操作指となり、右手親指が第2操作指となる。
【0147】
[複数の操作指の指画像]
図12は、実施の形態4でピンチ操作に対応した場合における、予めデータ部42に記憶されている複数の種類の指画像の一部の例を示す。右手の場合において、前述の指画像6A,6Bの他に、ピンチ操作に対応できる指画像6p1,6p2を有する。(A1)は、ピンチ操作時の右手人差し指の指画像6p1であり、(A2)は、ピンチ操作時の右手親指の指画像6p2である。
【0148】
操作指画像取得機能313は、図12の例のような複数の指画像のデータから、第1操作指に対応する指画像(例えば指画像6p1)を取得する。同様に、第2操作指画像取得機能314は、第2操作指に対応する指画像(例えば指画像6p2)を取得する。他の操作指である場合でも、同様に選択可能である。第2操作指画像保存機能315は、第2操作指画像取得機能314で得た第2操作指の指画像を保存する機能である。
【0149】
実施の形態4でのスマートフォン1は、画面3Aに同時に接触している2本の操作指を検出した場合、第1操作指(例えば右手人差し指)と第2操作指(例えば右手親指)との組として、処理を行う。
【0150】
[処理フロー(4)]
前述の図4を用いて、実施の形態4での操作指重畳画面処理のフローを説明する。実施の形態4でのフローは、図4の実施の形態3でのフローに対し、さらに、ステップS480が追加されている。スマートフォン1は、ステップS470で第1操作指の指画像を取得し、次のステップS480で第2操作指の指画像を取得する。
【0151】
図13は、ステップS480の第2操作指画像取得処理のフローを示す。ステップS481で、ステップS480の処理が開始される。すると、まず、ステップS482で、スマートフォン1の第2操作指画像取得機能314は、第2操作指の使用が有るかどうかを判別する。実施の形態4では、スマートフォン1は、タッチセンサ72を用いて、表示画面3(画面3A)に同時に接触している操作指が2本であることを検出した場合(言い換えると、第1接触位置および第2接触位置が検出された場合)には、第1操作指に加えた第2操作指の使用が有ると判断する。
【0152】
ステップS482で、第2操作指の使用が無いと判断した場合(N)には、ステップS483に進み、第2操作指の使用が有ると判断した場合(N)には、ステップS484に進む。ステップS483では、スマートフォン1は、第2操作指の指画像を消去し、ステップS488に進んで、ステップS480の処理を終了する。
【0153】
ステップS484では、スマートフォン1は、第2操作指の指画像が第2操作指画像保存機能315により保存されているかどうかを判断する。ステップS484で、第2操作指の指画像が保存されていると判断した場合(Y)には、ステップS486に移行する。ステップS484で、第2操作指の指画像が保存されていない(すなわち初期状態)と判断した場合(N)には、ステップS485に移行する。ステップS485では、スマートフォン1は、記憶部104のデータ部42に記憶されている複数の指画像の中から、第2操作指(例えば右手親指)の指画像を選択し、選択した第2操作指の指画像を、第2操作指画像保存機能315により保存する。そして、ステップS486に進む。
【0154】
ステップS486で、スマートフォン1の第2操作指画像取得機能314は、ユーザが第2操作指の変更を指示したかどうかを判断する。ステップS486で、第2操作指の変更の指示が有ると判断した場合(Y)には、ステップS487に進み、第2操作指の変更の指示が無いと判断した場合(N)には、ステップS488へ進む。ステップS487では、スマートフォン1は、記憶部104のデータ部42に記憶されている複数の指画像の中から、ユーザが指示した第2操作指に対応した指画像を選択し、使用する第2操作指の指画像を、その指画像に変更する。ステップS487では、スマートフォン1は、第2操作指画像保存機能315により、変更後の第2操作指の指画像を保存する。その後、ステップS488では、ステップS480の処理を終了する。ステップS486で変更が無いとなった場合(N)には、既に第2操作指の指画像が第2操作指画像保存機能315により保存されているので、ステップS488で、ステップS480の処理を終了する。
【0155】
実施の形態4では、図4のフローにおいて、ステップS430の重畳画面作成処理は、一部の内容が前述の内容とは異なる。異なる構成点としては、図5のステップS436の接触操作指重畳画面作成処理と、図6のステップS455の近接操作指重畳画面作成処理とにおいて、それぞれの重畳画面で、第1操作指と第2操作指との2本の操作指の指画像を重畳した重畳画面とすることがある。
【0156】
図12の下側には、テレビ2の画面4Aにおいて、ピンチ操作時の2本の操作指の指画像6(6p1,6p2)を重畳表示する例を示す。
【0157】
上記のように、実施の形態4では、ユーザは、テレビ2での画面4Aを視認したまま、スマートフォン1での画面3Aに対する2本の操作指によるピンチ操作を好適に行うことができる。また、2本の操作指は、それぞれの操作指毎の近接状態または接触状態に応じて、異なる表示態様で表示される。ピンチ操作に限らず、画面に同時に2本の操作指で操作する場合にも、同様に適用可能である。同時に3本以上の操作指がある場合にも、操作指毎に同様の処理を適用すればよい。また、実施の形態4の変形例としては、例えば同時に2本の操作指(第1操作指および第2操作指)がある場合に、それらをまとめて1つの指画像(例えば右手全体の画像)として構成してもよい。
【0158】
(実施の形態5)
図14以降を用いて、実施の形態5について説明する。前述の実施の形態3および実施の形態4では、使用する操作指(指画像6に反映させる指)をユーザにより指定可能としていた。実施の形態5では、ユーザによる操作指・指画像の指定を不要とし、スマートフォン1が自動的に操作指を判断してそれに対応した指画像を作成する。
【0159】
[機能ブロック(5)]
前述の図3を用いて、実施の形態5でのスマートフォン1の機能ブロック構成例を説明する。実施の形態5は、主に異なる構成点として、操作指判別機能316を有する。操作指判別機能316は、カメラ5等を用いてユーザの操作指を自動的に判別する機能である。
【0160】
[処理フロー(5)]
図14は、実施の形態5でのスマートフォン1による操作指重畳画面処理のフローを示す。図14のフローは、図4のフローに対し、主に異なる構成点として、ステップS416の次に、ステップS490が追加されている。ステップS490は、操作指判別機能316による操作指判別処理である。
【0161】
ステップS490の操作指判別処理は、詳しくは例えば以下のような処理(撮影処理および解析処理など)を含む。まず、スマートフォン1の操作指判別機能316は、操作指撮影処理として、図1のカメラ5(フロントカメラ5A)により、表示画面3上(面垂直方向)にある手指10を撮影して画像を取得する。なお、フロントカメラ5Aの構成例として、撮影の方向(言い換えると光軸)は、図1での表示画面3の面垂直方向であり、撮影範囲(言い換えると画角)は、例えば光軸に対し±90度による半天球をカバーしており、表示画面3上の手指10を捉えることができる。カメラ5の構成は、これに限らず可能であり、表示画面3上の手指10、少なくとも表示画面3から面垂直方向にある程度の距離までの範囲内、を撮影できるものであればよい。
【0162】
次に、スマートフォン1の操作指判別機能316は、操作指解析処理として、上記撮影で得た画像に基づいて、当該画像内に写っている手指10の指先11に関して、本数、形状、太さ、長手方向、および近接移動方向等を、画像解析処理等によって判断する。近接移動方向は、表示画面3に対し指が近接するように移動する際の方向である。また、操作指判別機能316は、そのような解析の結果に基づいて、この時の操作指がどの手および指であるかを判断する。これらの判断は、大まかな推定でもよい。判断の結果、例えば、操作指が右手の人差し指であると推定される。
【0163】
ステップS490の後、前述のステップS470の操作指画像取得処理につながる。実施の形態5では、ステップS470で、スマートフォン1の操作指画像取得機能313は、上記判別された操作指(第1操作指)に対応した指画像を、記憶部104のデータ部42に記憶されている複数の指画像の中から選択して取得する。そして、操作指画像取得機能313は、その操作指の指画像を、操作指画像保存機能305により保存する。上記処理例は、1本の操作指の場合であり、第1操作指として処理される。判別の結果で2本以上の操作指がある場合にも、操作指毎に同様の処理とすればよい。ステップS490の結果、第2操作指が判別されている場合には、同様に、ステップS480で、第2操作指の指画像の取得と保存が行われる。その後、前述のステップS417以降が同様に行われる。これにより、重畳画面では、上記判別された操作指の指画像が重畳表示される。
【0164】
上記のように、実施の形態5では、カメラ5を活用して操作指を自動的に判別し、その操作指の指画像を取得・保存し、重畳画面を作成する。これにより、ユーザが操作指を選択指定する手間が省ける。
【0165】
[変型例-指画像の作成]
実施の形態5等では、予めデータ部42に記憶されている指画像を、重畳画面(画面4A)に指画像6として表示している。これに限らず、変形例として以下も可能である。まず、ある変形例において、スマートフォン1(例えば図2の映像処理部107A)は、データ部42に記憶されている指画像を、画像加工処理することで、重畳表示する指画像6を作成してもよい。画像加工の例は、サイズの拡大/縮小、配置の向きの変更などが挙げられる。スマートフォン1は、元となる指画像のデータに基づいて、それをそのまま指画像6として表示するのではなく、その時の操作指の状態に合わせて、より好適な表示態様となるように、上記指画像6を作成する。
【0166】
また、ある変形例において、スマートフォン1は、上記カメラ5で撮影した画像・映像や各種のセンサ(近接センサ73やセンサ部105)の検出情報に基づいて、指画像6を作成してもよい。例えば、スマートフォン1は、上記カメラ5で撮影した画像・映像から、写っている手指部分をトリミングする。そして、スマートフォン1は、そのトリミングした手指部分を画像加工処理することで、重畳表示する指画像6を作成する。その際の画像加工処理の一例としては、その写っている手指部分を、他の方向(例えばユーザの視線方向)から見た状態となるように変更すること(例えば回転、反転等)が挙げられる。
【0167】
図15は、上記変形例に関する説明図である。(A)は、スマートフォン1の表示画面3上の手指10の状態の例としてユーザの視線方向から見た状態を示す。表示画面3の中央付近を操作指(右手人差し指)でタッチ操作している場合を示す。(B)は、(A)に対応して、カメラ5(フロントカメラ5A)の画像1501(ここでは表示画面3の領域のみとする)における、カメラ5から見た手指10の写り方の状態の例を示す。フロントカメラ5Aの撮影方向は、ユーザの視線方向とは逆なので、(A)の手指10は、(B)の画像1501では、手指画像部分1502のように、反対側から見た状態となる。スマートフォン1は、例えば(B)のような画像1501から、手指画像部分1502をトリミングし、指画像6の作成に利用する。また、スマートフォン1は、例えば(B)のような画像1501から、操作指が例えば右手人差し指であることも判別できる。
【0168】
また、ある変形例において、スマートフォン1は、上記カメラ5で撮影した画像・映像や各種のセンサの検出情報に基づいて、データ部42の元の指画像のデータとは異なる指画像6を新規に生成してもよい。データ部42の指画像データを全く参照せずにその指画像6を生成してもよい。この場合の利点として、例えばカメラ5の画像では歪があった場合や、各種のセンサの取得データではばらつき等があった場合でも、新規生成により、それらの影響を抑制して、より見栄えの良い指画像6の重畳表示が可能となる。
【0169】
操作指を判別するためのセンサとしては、カメラ5(フロントカメラ5A)に限らずに適用可能である。他のセンサの例として、解析の精度を上げるために、例えば2個のフロントカメラを用いたステレオカメラを用いて、表示画面3の面垂直方向での距離を含む、3次元の空間での手指の状態を検出してもよい。また、他のセンサの例として、前述のLiDAR等の3次元距離センサを用いてもよい。これらのセンサにより、表示画面3に対する操作指の形状や近接移動方向等を、より精確に検出してもよい。また、これらのセンサは、前述の近接センサ73としての機能を兼ねることもできる。言い換えると、近接センサ73かつ操作指判別等のためのセンサとして、ステレオカメラやLiDAR等を適用してもよい。これらのセンサ(カメラ5や近接センサ73等)の配置位置は、センサ詳細に応じて、図1のフロントカメラ5Aの位置に限らず可能であり、例えば表示画面3の背後の面領域や筐体の額縁領域等でもよい。
【0170】
上記のように、実施の形態5や変形例では、実際の操作指の形状や近接移動方向等の状態を反映して、よりリアルな指画像6を作成して重畳表示させることができる。よって、ユーザは、好適な操作が可能となる。
【0171】
(実施の形態6)
図16以降を用いて、実施の形態6について説明する。前述の各実施の形態では、スマートフォン1は、ユーザの実際の視線方向については制御に利用していない。実施の形態6では、スマートフォン1は、ユーザの実際の視線方向を制御に利用する。
【0172】
[視線検出]
前述の図2を用いて、実施の形態6でのスマートフォン1におけるハードウェア等の構成例を説明する。実施の形態6でのスマートフォン1は、図2での視線検出部110をさらに備える。視線検出部110は、映像部107の一部として実装されてもよい。視線検出部110は、カメラまたはセンサ、および回路を含む独立したデバイスとして実装されてもよいし、映像部107の一部として、カメラ5の画像またはセンサの検出情報を用いたソフトウェアプログラム処理または専用回路で実装されてもよい。
【0173】
視線検出部110は、スマートフォン1を操作するユーザの視線方向(図8での視線方向a1)を検出するブロックである。実施の形態6では、スマートフォン1は、図1のフロントカメラ5Aにより、表示画面3の面垂直方向を光軸とした所定の画角の範囲内にあるユーザの顔を含む領域を撮影し、顔画像を得る。そして、視線検出部110は、顔画像から、顔の向き、両眼の位置、瞳の状態等を解析して、視線方向を検出する。
【0174】
なお、視線検出部110は、公知の視線検出方式として例えば以下を適用できる。視線検出は、いわゆるアイトラッキング技術を利用できる。アイトラッキング技術は、例えば、可視光カメラを用いて目頭と虹彩を撮影して視線を検出する方式や、赤外線LEDと赤外線カメラを用いて角膜反射法で視線を検出する方式などがある。例えば、角膜反射法では、赤外線LEDから赤外線を顔に照射して赤外線カメラで撮影し、反射光の角膜上の位置を基準点とし、角膜反射位置に対する瞳孔位置に基づいて視線方向を検出する。また、可視光カメラを用いる方式では、可視光カメラで目を撮影し、基準点を目頭とし、動点を虹彩として、目頭に対する虹彩の位置に基づいて視線方向を検出する。また、両眼の各眼の視線方向を検出する方式を用いる場合には、両眼の視線方向の交差点から注視点を検出することも可能である。
【0175】
視線検出部110の実装例としては、タッチパネル7の内部にカメラまたはセンサが配置される構成としてもよい。スマートフォン1の視線検出部110は、そのカメラまたはセンサの検出情報から、視線方向を計算できる。また、視線検出部110の実装例としては、前述のLiDAR等の3次元距離センサを適用してもよい。スマートフォン1の視線検出部110は、そのLiDARの検出情報から、視線方向を計算できる。
【0176】
実施の形態6では、機能の一部として、予め初期設定またはユーザ設定等で、ユーザの視線方向を処理に反映させるかどうかの設定が可能である。以下では、ユーザの視線方向を処理に反映させる設定(視線検出に係わる機能のオンの設定)がされている場合を前提に説明する。
【0177】
[処理フロー]
図16は、実施の形態6での操作指重畳画面処理のフローを示す。図16のフローは、図4の実施の形態1での構成に対し、主に異なる構成点として、ステップS417の後に、ステップS425とステップS426が追加されている。図16では前述のステップS470の操作指画像取得処理やステップS480の第2操作指画像取得処理については省略しているが、同様に行うことができる。ステップS417で近接または接触が有りとなった場合(Y)には、ステップS425に進む。
【0178】
ステップS425で、スマートフォン1は、視線検出部110においてユーザの視線方向を検出できたかどうかを判断する。ステップS425で、視線方向の検出が無い場合(N)には、ステップS430に進み、視線方向の検出が有る場合(Y)には、ステップS426に進む。ステップS430に進んだ場合、前述の実施の形態と同様となる。なお、ユーザが視線方向を処理に反映させない設定としていた場合にも、同様にステップS430に移行する。
【0179】
ステップS426では、スマートフォン1は、視線方向が、スマートフォン1の表示画面3(対応する画面3A)に向いているかどうかを判断する。処理例としては、視線方向が所定の方向範囲内にある場合に、表示画面3を向いていると判定することが挙げられる。
【0180】
ステップS426で、視線方向がスマートフォン1の表示画面3に向いていないと判断した場合(N)には、ステップS430に移行する。この場合(S426-N)は、ステップS430やS419の流れで外部表示装置であるテレビ2に対し重畳画面を外部出力することを意味する。この場合(S426-N)にテレビ2に指画像6付きの重畳画面(画面4A)を表示する理由は以下である。この場合(S426-N)では、ユーザがスマートフォン1の表示画面3を見ておらず、それ以外のものを見ていると推測される。すなわち、この場合(S426-N)では、図8のような視線方向a2でユーザが外部表示装置であるテレビ2の表示画面4を見て操作している可能性があると推測される。よって、ステップS430やS419の流れで指画像6を含む重畳画面(表示情報9A)をテレビ2に外部出力して表示画面4に画面4Aとして表示させる。これにより、ユーザが画面4Aを見ながら操作する場合に適切に対応できる。
【0181】
一方、ステップS426で、視線方向がスマートフォン1の表示画面3(画面3A)に向いていると判断した場合(Y)には、ステップS419に移行する。この場合(S426-Y)は、外部表示装置であるテレビ2に対して指画像6が重畳された重畳画面を出力しないこと、言い換えると指画像6が重畳されていない重畳画面を出力することを意味する。この場合(S426-Y)の流れは、ステップS430が省略されるので、元の画面3Aの内容に指画像6が重畳されないことになり、ステップS419ではその画面3Aに対応する表示情報9Aを外部出力することになる。この場合(S426-Y)にテレビ2に指画像6付きの重畳画面(画面4A)を表示しない理由は以下である。この場合(S426-Y)では、ユーザがスマートフォン1の表示画面3を見ているので、テレビ2を見て操作している可能性は無いと推測される。よって、ステップS430を省略した流れで指画像6を含まない重畳画面(表示情報9A)をテレビ2に外部出力して表示画面4に画面4Aとして表示させる。これにより、指画像6の重畳の処理(ステップS430)を削減して効率化できる。
【0182】
また、上記で視線方向がスマートフォン1に向いてない場合(S426-N)には、さらに、以下の制御を適用してもよい。例えばステップS430の前に以下のステップが追加される。スマートフォン1は、省電力化のために、タッチパネル7のディスプレイ72の表示を一時的に停止する、あるいはバックライトをオフにする。なお、ステップS430等は同様に行われる。このステップの後に、このフローの繰り返しで、再びステップS425,S426の流れで、視線方向がスマートフォン1に向いているとなった場合(S426-Y)には、スマートフォン1は、例えばステップS419の前に、省電力状態の解除のため、ディスプレイ72の表示を再開する、あるいはバックライトをオンにする。
【0183】
図17は、実施の形態6に関する説明図である。(A)は、上記視線がスマートフォン1の方に向いている場合(ステップS426-Y)の制御例、(B)は、上記視線がスマートフォン1の方に向いていない場合(ステップS426-N)の制御例を示す。(A)で、視線方向a1は、表示画面3を向いている。テレビ2の方の画面4Aでは、指画像6が重畳表示されていない。(B)で、視線方向a3は、不明の視線方向であり、テレビ2の画面4Aを向いている可能性を含んでいる。テレビ2の方の画面4Aでは、指画像6が重畳表示されている。
【0184】
上記のように、実施の形態6によれば、ユーザの視線方向に応じて、具体的には視線がスマートフォン1の表示画面3を向いているか否かに応じて、重畳画面に係わる処理を最適化することができ、省電力化も実現できる。
【0185】
実施の形態6の変形例としては以下も可能である。図17で、(A)の視線がスマートフォン1に向いている場合に、重畳画面(表示情報9A)の外部出力自体を一時的に停止してもよい。この場合、テレビ2での画面4Aの表示は例えば黒表示や「オフ」メッセージ表示などとしてもよい。その際に外部出力する表示情報9Aとして黒表示情報や「オフ」メッセージ情報などとしてもよい。
【0186】
(変形例)
前述の実施の形態では、スマートフォン1の表示画面3の全体を、重畳画面の作成の範囲とした。これに限らず、表示画面3の一部のみを、重畳画面の作成の範囲としてもよい。ユーザ設定で、その重畳画面の作成の範囲を設定できるようにしてもよい。例えば、スマートフォン1のOSやアプリケーションやGUIにおけるマルチウィンドウ等の複数の部分の表示がある場合に、特定のウィンドウ等の部分や、アプリケーションにより指定された表示領域の部分のみを、重畳画面作成範囲とすることもできる。
【0187】
図18は、上記変形例での重畳画面の作成の範囲の設定例を示す。スマートフォン1の表示画面3において、特にあるアプリケーションによる画面3AのコンテンツやGUI等の構成について、変形例での機能は、ユーザ設定で、例えば上側の画面領域3d1と下側の画面領域3d2とに分ける。そして、例えば、下側の画面領域3d2のみが、前述の機能の対象領域、すなわち、重畳画面の作成の範囲として設定される。上側の画面領域3d1(例えばコンテンツである動画が表示される領域)は、指画像6を重畳しない領域として設定され、下側の画面領域3d2は、指画像6を重畳する領域として設定される。この設定の場合には、テレビ2の表示画面4では、画面3Aに対応する画面4Aの表示において、下側の画面領域3d2に対応する領域4d2のみで指画像6が重畳表示される。これにより、例えば、ユーザは、上側の領域4d1では、元の画面領域3d1のコンテンツを好適に視認でき、下側の領域4d2では、GUIオブジェクトを好適に操作できる。操作指が画面領域3d1に重なっている場合でも、対応する領域4d1では指画像6は表示されない。
【0188】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。必須構成要素を除き、実施の形態の各構成要素の追加・削除・置換などが可能である。各実施の形態の組み合わせによる形態も可能である。それらの形態でも実施の形態の主要な効果が得られる。特に限定しない場合、各構成要素は単数でも複数でもよい。実施の形態の各機能や構成要素は、集積回路等のハードウェアで実装されてもよいし、プロセッサによるソフトウェアプログラム処理で実現されてもよいし、それらの併用でもよい。
【0189】
前述の実施の形態では、携帯情報端末としてスマートフォンの場合を説明したが、他にも、タブレット端末、ノートパソコンを含むパソコン機器等にも、同様に適用可能である。また、前述のように、携帯情報端末の表示画面のサイズが、外部表示装置の表示画面のサイズ以上になる場合もあり得るが、その場合には、外部表示装置の大画面で視聴できる効果は得られないが、ミラーリング画面で操作指を視認できる等の基本的な効果は同様に実現できる。
【0190】
前述の実施の形態では、外部表示装置としてテレビの場合を説明したが、他にも任意の外部表示装置を適用できる。他の外部表示装置の例は、ビデオプロジェクタ、コンピュータモニタ、HMD(Head Mounted Display)等が挙げられる。
【0191】
特に、透過型HMDに適用した場合には、以下のような効果も実現できる。ユーザは、頭に透過型HMDを装着した状態で、スマートフォン1も利用する。スマートフォン1から、透過型HMDに、指画像6付きの重畳画面(表示情報9A)を外部出力し、透過型HMDの表示画面に表示させる。この場合、ユーザから見て、透過型HMDの表示画面と、スマートフォン1の表示画面3とが重なる場合がある。ユーザの視線方向は、例えば、透過型HMDの表示画面を向くか、その先にあるスマートフォン1の表示画面3を向く。この場合に、従来では、重なりから、ユーザがスマートフォン1の画面3Aを視認しにくい場合がある。この場合のスマートフォン1に、前述の実施の形態の機能を適用した場合、ユーザは、直接的にスマートフォン1の画面3Aを見る必要無く、透過型HMDの表示画面でのミラーリング画面を視認しながら、スマートフォン1の操作が実現できる。
【符号の説明】
【0192】
1…スマートフォン(情報表示装置、携帯情報端末)、2…テレビ(外部表示装置)、3…表示画面、4…表示画面、3A…画面、4A…画面、5…カメラ、6…指画像(操作物画像)、9…通信、9A…表示情報、9B…表示情報、10…手指、11…指先(操作指)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18