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特許7575575電子タバコ、電子タバコ用アトマイザ及び噴霧化アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電子タバコ、電子タバコ用アトマイザ及び噴霧化アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241022BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023512022
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 CN2021113797
(87)【国際公開番号】W WO2022037678
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】202010855599.2
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】石文
(72)【発明者】
【氏名】張暁飛
(72)【発明者】
【氏名】袁軍
(72)【発明者】
【氏名】羅家懋
(72)【発明者】
【氏名】雷宝霊
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211153810(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リキッド基体を噴霧化して喫煙用のエアロゾルを発生させるように設定された電子タバコ用アトマイザであって、
リキッド基体を貯蔵するためのリキッド貯蔵チャンバと、
前記リキッド貯蔵チャンバと流体連通してリキッド基体を吸収するための多孔質体と、
前記多孔質体に形成され、前記多孔質体の少なくとも一部内のリキッド基体を加熱してエアロゾルを形成するための加熱素子であって、第1電極接続部、第2電極接続部、及び前記第1電極接続部と第2電極接続部との間に延在する抵抗加熱トラックを含む加熱素子と、を備え、
前記抵抗加熱トラックは、
第1湾曲方向遷移点と、第2湾曲方向遷移点と、第1部分と、第2部分と、少なくとも1つの第3部分とを備え、
前記第1湾曲方向遷移点と前記第2湾曲方向遷移点はいずれも抵抗加熱トラックの湾曲方向の遷移箇所であり
前記第1湾曲方向遷移点は、前記第1電極接続部に近接し、
前記第2湾曲方向遷移点は、前記第2電極接続部に近接し、
前記第1部分は、前記第1電極接続部と前記第1湾曲方向遷移点との間に位置され、
前記第2部分は、前記第2電極接続部と前記第2湾曲方向遷移点との間に位置され、
前記第3部分は、前記第1湾曲方向遷移点と第2湾曲方向遷移点との間に位置され、
前記第1部分及び/又は第2部分の任意の箇所における曲率がいずれもゼロではなくて、前記第1部分及び隣接する第3部分の湾曲方向は反対であり、前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所及び前記第1湾曲方向遷移点を通過する直線は前記隣接する第3部分と交点を有し、前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所から前記第1湾曲方向遷移点までの距離は、前記第1湾曲方向遷移点から前記交点までの距離よりも小さい、電子タバコ用アトマイザ。
【請求項2】
前記第1部分及び第2部分は対称である、請求項1に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項3】
前記抵抗加熱トラックは、トラック全体が限られた数の曲率がゼロである点のみを含むように構成される、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項4】
前記抵抗加熱トラックは前記電極接続部に接続されるように構成され、また、前記抵抗加熱トラックと電極接続部との接続点を通過し、且つ前記抵抗加熱トラックと2つの交点で交差し、前記2つの交点の間の距離が前記接続点とそれに隣接する交点との間の距離よりも大きい直線は存在する、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項5】
前記第1部分及び/又は第2部分は、曲率が一定である円弧状に構成される、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項6】
前記第1部分の曲率は可変であり、
及び/又は第2部分の曲率は可変である、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項7】
前記多孔質体は噴霧化面を有し、前記加熱素子は該噴霧化面に形成される、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項8】
前記噴霧化面は平坦な平面である、請求項7に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項9】
前記噴霧化面は、長さ方向、及び前記長さ方向に垂直な幅方向を含み、
前記第1電極接続部及び第2電極接続部は前記長さ方向に沿って順次配置され、
前記噴霧化面内において前記幅方向に沿って前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所を通過する直線と、前記幅方向に沿って前記第2部分と第2電極接続部との接続箇所を通過する直線とによって画定される領域の面積は、前記噴霧化面の面積の3分の2未満である、請求項8に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項10】
前記噴霧化面は、長さ方向、及び前記長さ方向に垂直な幅方向を含み、
前記第1部分及び/又は第2部分は、前記幅方向に沿って外方に湾曲するように構成される、請求項8に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項11】
前記第1部分及び/又は第2部分の延在長さは、前記抵抗加熱トラックの延在長さの8分の1未満である、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項12】
前記抵抗加熱トラックは迂回湾曲した又は往復湾曲した形状である、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項13】
前記第1部分及び第2部分の湾曲方向は反対である、請求項12に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項14】
前記第2部分と隣接する第3部分の湾曲方向反対である、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項15】
前記第3部分の任意の箇所における曲率はいずれもゼロではない、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項16】
前記第1部分及び/又は第2部分の曲率は前記第3部分よりも大きい、請求項15に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項17】
前記抵抗加熱トラックの幅は実質的に一定である、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項18】
前記抵抗加熱トラックの幅は0.2~0.5mmであり、
及び/又は、前記抵抗加熱トラックの延在長さは5~50mmであり、
及び/又は、前記抵抗加熱トラックの抵抗値は0.5~2.0Ωである、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項19】
前記第1電極接続部及び/又は第2電極接続部は、前記噴霧化面の幅方向の中心部に実質的に位置する、請求項9に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項20】
前記多孔質体は多孔質セラミックス体を含む、請求項1又は2に記載の電子タバコ用アトマイザ。
【請求項21】
リキッド基体を噴霧化して喫煙用のエアロゾルを発生させるための噴霧化装置、及び前記噴霧化装置に電力を供給する電源装置を備える電子タバコであって、前記噴霧化装置が請求項1から2のいずれか1項に記載の電子タバコ用アトマイザを備える、電子タバコ。
【請求項22】
リキッド基体を吸収するための多孔質体、及び前記多孔質体に形成された加熱素子を備える電子タバコのための噴霧化アセンブリであって、前記加熱素子が、第1電極接続部、第2電極接続部、及び前記第1電極接続部と第2電極接続部との間に延在する抵抗加熱トラックを含み、前記抵抗加熱トラックは、
第1湾曲方向遷移点と、第2湾曲方向遷移点と、第1部分と、第2部分と、少なくとも1つの第3部分とを備え、
前記第1湾曲方向遷移点と前記第2湾曲方向遷移点はいずれも抵抗加熱トラックの湾曲方向の遷移箇所であり、
前記第1湾曲方向遷移点は、前記第1電極接続部に近接し、
前記第2湾曲方向遷移点は、前記第2電極接続部に近接し、
前記第1部分は、前記第1電極接続部と前記第1湾曲方向遷移点との間に位置され、
前記第2部分は、前記第2電極接続部と前記第2湾曲方向遷移点との間に位置され、
前記第3部分は、前記第1湾曲方向遷移点と第2湾曲方向遷移点との間に位置され、
前記第1部分及び/又は第2部分の任意の箇所における曲率がいずれもゼロではなくて、前記第1部分及び隣接する第3部分の湾曲方向は反対であり、前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所及び前記第1湾曲方向遷移点を通過する直線は前記隣接する第3部分と交点を有し、前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所から前記第1湾曲方向遷移点までの距離は、前記第1湾曲方向遷移点から前記交点までの距離よりも小さい、電子タバコのための噴霧化アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年8月20日に中国特許局に提出された出願番号202010855599.2、名称「電子タバコ、電子タバコ用アトマイザ及び噴霧化アセンブリ」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願の実施例はエアロゾル発生装置の技術分野に関し、特に電子タバコ、電子タバコ用アトマイザ及び噴霧化アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
タバコ製品(例えば、紙巻タバコ、シガー等)は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を発生させるものである。これらのタバコを燃焼させる製品の代わりに、燃焼することなく化合物を放出する製品を製造する試みがなされていた。
【0004】
このような製品の一例として、材料を燃焼ではなく加熱して化合物を放出させる加熱装置がある。例えば、該材料はタバコ又は他の非タバコ製品であってもよく、これらの非タバコ製品はニコチンを含んでも含まなくてもよい。別の例として、いわゆる電子タバコ装置のようなエアロゾル供給製品が存在する。これらの装置は一般的に、加熱されて蒸気化され、さらに吸入可能な蒸気又はエアロゾルを発生できるリキッドを含む。該リキッドは、ニコチン及び/又は芳香剤及び/又はエアロゾル発生物質(例えば、グリセリン)を含んでもよい。
【0005】
公知の電子タバコ製品のコア部材はリキッドを蒸発させてエアロゾルを発生させる噴霧化アセンブリであり、噴霧化アセンブリは、リキッドの吸引及び伝導のための多孔質体、及び多孔質体に設けられ、多孔質体が吸引して伝導したリキッドを加熱して噴霧化するための加熱素子を有する。多孔質体の内部には毛細管細孔があり、内部の細孔を介してリキッドを吸収し且つ加熱素子に伝達することができる。公知の加熱素子は作動中に、メイン発熱領域が加熱素子の中心部に集中し、縁に近接する箇所の温度が低く、加熱素子の各箇所の温度は徐変し、作動中に冷熱サイクルの衝撃効果により、温度が異なる箇所に異なる程度の膨縮が発生し、これにより加熱素子は湾曲又は破断し、ウィックの耐用年数が減少する。
【発明の概要】
【0006】
本出願の一実施例の目的は、リキッド基体を噴霧化して喫煙用のエアロゾルを発生させるように設定された電子タバコ用アトマイザであって、リキッド基体を貯蔵するためのリキッド貯蔵チャンバと、前記リキッド貯蔵チャンバと流体連通してリキッド基体を吸収するための多孔質体と、前記多孔質体に形成され、前記多孔質体の少なくとも一部内のリキッド基体を加熱してエアロゾルを形成するための加熱素子であって、第1電極接続部、第2電極接続部、及び前記第1電極接続部と第2電極接続部との間に延在する抵抗加熱トラックを含み、前記抵抗加熱トラックが、前記第1電極接続部に近接して接続された第1部分、及び前記第2電極接続部に近接して接続された第2部分を含み、前記第1部分及び/又は第2部分の任意の箇所における曲率がいずれもゼロではない加熱素子と、を備える電子タバコ用アトマイザを提供することにある。
【0007】
上記の電子タバコ用アトマイザの加熱素子は、特別に設計された抵抗加熱トラックを採用して加熱し、且つ抵抗加熱トラックの電極接続部に近接して接続され且つ温度差が大きい部分を曲率がゼロではない湾曲状にすることにより、この部分の熱衝撃時の応力状態を変化させ、膨縮差による内部応力の一部を解消又は分散させ、加熱素子の冷熱サイクル下での変形又は破断を阻止する。
【0008】
より好ましい実施例において、抵抗加熱トラックは、トラック全体が限られた数の曲率がゼロである点のみを含むように構成される。このような構造は、加熱トラック全体を異なる湾曲方向に曲線で接続されたトラックにし、加熱トラックの冷熱衝撃時の応力状態を全体的に最適化する。
【0009】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックは前記電極接続部に接続されるように構成され、また、該接続点を通過し、且つ前記抵抗加熱トラックと2つの点で交差し、前記2つの点の間の距離が前記接続点とそれに隣接する交点との距離よりも大きい直線は存在する。このような設定は、抵抗加熱トラックの高い温度差を低下させ、接続点付近の温度分布特徴を改善し、冷熱衝撃時の応力状態をさらに改善する。
【0010】
より好ましい実施例において、前記第1部分及び第2部分は対称である。具体的な代替実施例において、対称は、軸対称、又は中心対称、又は回転対称であってもよい。
【0011】
より好ましい実施例において、前記第1部分及び/又は第2部分は、曲率が一定である円弧状に構成される。
【0012】
より好ましい実施例において、前記第1部分及び/又は第2部分の曲率は可変である。
【0013】
より好ましい実施例において、前記多孔質体は噴霧化面を有し、前記加熱素子は該噴霧化面に形成される。
【0014】
より好ましい実施例において、前記噴霧化面は平坦な平面である。
【0015】
より好ましい実施例において、前記噴霧化面は、長さ方向、及び前記長さ方向に垂直な幅方向を含み、
前記第1電極接続部及び第2電極接続部は前記長さ方向に沿って順次配置され、
前記噴霧化面内において前記幅方向に沿って前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所を通過する直線と、前記幅方向に沿って前記第2部分と第2電極接続部との接続箇所を通過する直線とによって画定される領域の面積は、前記噴霧化面の面積の3分の2未満である。
【0016】
より好ましい実施例において、前記噴霧化面は、長さ方向、及び前記長さ方向に垂直な幅方向を含み、
前記第1部分及び/又は第2部分は、前記幅方向に沿って外方に湾曲するように構成される。
【0017】
より好ましい実施例において、前記第1部分及び/又は第2部分は、延在長さが前記抵抗加熱トラックの延在長さの8分の1未満である部分として画定される。
【0018】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックは迂回湾曲した又は往復湾曲した形状である。
【0019】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックは少なくとも1つの湾曲方向遷移点を含み、また、前記第1部分は、前記第1電極接続部に近接する湾曲方向遷移点と第1電極接続部との間の部分から形成され、前記第2部分は、前記第2電極接続部に近接する湾曲方向遷移点と第2電極接続部との間の部分から形成される。
【0020】
より好ましい実施例において、前記第1部分及び第2部分の湾曲方向は反対である。
【0021】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックは、前記第1電極接続部に近接する第1湾曲方向遷移点、及び前記第2電極接続部に近接する第2湾曲方向遷移点を含み、また、前記第1部分は、前記第1湾曲方向遷移点と第1電極接続部との間の部分から形成され、前記第2部分は、前記第2湾曲方向遷移点と第2電極接続部との間の部分から形成される。
【0022】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックは、前記第1湾曲方向遷移点と第2湾曲方向遷移点との間に位置する第3部分をさらに含み、
前記第3部分は第1部分の湾曲方向と反対であり、及び/又は、前記第3部分は第2部分の湾曲方向と反対である。
【0023】
より好ましい実施例において、前記第3部分の任意の箇所における曲率はいずれもゼロではない。
【0024】
より好ましい実施例において、前記第1部分及び/又は第2部分の曲率は前記第3部分よりも大きい。
【0025】
より好ましい実施例において、前記噴霧化面内には、前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所及び前記第1湾曲方向遷移点を通過する直線が存在し、該直線は前記第3部分と交点を有し、前記第1部分と第1電極接続部との接続箇所から前記第1湾曲方向遷移点までの距離は、前記第1湾曲方向遷移点から前記交点までの距離よりも小さい。
【0026】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックの幅は実質的に一定である。
【0027】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックの幅は0.2~0.5mmであり、
及び/又は、前記抵抗加熱トラックの延在長さは5~50mmであり、
及び/又は、前記抵抗加熱トラックの抵抗値は0.5~2.0Ωである。
【0028】
より好ましい実施例において、前記抵抗加熱トラックは迂回した又は往復湾曲した形状である。
【0029】
より好ましい実施例において、前記第1電極接続部及び/又は第2電極接続部は、前記噴霧化面の幅方向の中心部に実質的に位置する。
【0030】
より好ましい実施例において、前記多孔質体は、多孔質セラミックスを含む。
【0031】
本出願は、リキッド基体を噴霧化して喫煙用のエアロゾルを発生させるための噴霧化装置、及び前記噴霧化装置に電力を供給する電源装置を備える電子タバコであって、前記噴霧化装置が以上に記載の電子タバコ用アトマイザを備える電子タバコをさらに提案する。
【0032】
本出願は、リキッド基体を吸収するための多孔質体、及び前記多孔質体に形成された加熱素子を備える電子タバコのための噴霧化アセンブリであって、前記加熱素子が、第1電極接続部、第2電極接続部、及び前記第1電極接続部と第2電極接続部との間に延在する抵抗加熱トラックを含み、前記抵抗加熱トラックが、前記第1電極接続部に近接して接続された第1部分、及び前記第2電極接続部に近接して接続された第2部分を含み、前記第1部分及び/又は第2部分の任意の箇所における曲率がいずれもゼロではない、電子タバコのための噴霧化アセンブリをさらに提案する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
1つ又は複数の実施例はその対応する図面における図によって例示的に説明するが、これらの例示的な説明は実施例を限定するものではなく、図面において同じ参照用数字符号を付けた素子は類似的な素子であることを示し、特に断らない限り、図面における図は比例を制限するものではない。
図1】本出願の一実施例で提供される電子タバコ用アトマイザの構造模式図である。
図2】一実施例で提案される加熱素子の構造模式図である。
図3図2の加熱素子の湾曲部に冷熱衝撃により応力が形成された模式図である。
図4】別の実施例で提案される加熱素子の構造模式図である。
図5】別の実施例で提案される多孔質体の構造模式図である。
図6】一実施例の噴霧化アセンブリ製造における表面実装の模式図である。
図7】一実施例の噴霧化アセンブリ製造におけるレーザ印刷後のスクリーン剥離の模式図である。
図8】一実施例の噴霧化アセンブリ製造における焼結後に得られた噴霧化アセンブリの模式図である。
図9】一比較例の加熱素子の構造模式図である。
図10】別の比較例の加熱素子の構造模式図である。
図11】一実施例の加熱素子の冷熱サイクル試験後の電子顕微鏡による観察図である。
図12図11のA箇所の拡大図である。
図13】一比較例の加熱素子の冷熱サイクル試験後の電子顕微鏡による観察図である。
図14図13のB箇所の拡大図である。
図15】一実施例の噴霧化アセンブリの温度領域の模式図である。
図16】別の実施例の噴霧化アセンブリの温度領域の模式図である。
図17】別の実施例の噴霧化アセンブリの温度領域の模式図である。
図18】一比較例の噴霧化アセンブリの温度領域の模式図である。
図19】別の比較例の噴霧化アセンブリの温度領域の模式図である。
図20】一実施例で提案される電子タバコの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本出願を容易に理解するために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本出願をより詳細に説明する。
【0035】
本出願の一実施例は、リキッド基体を加熱して蒸気化させて喫煙用のエアロゾルを発生させるための電子タバコ用アトマイザを提案する。図1は一実施例の電子タバコ用アトマイザの構造模式図を示し、それは、
略中空の筒状である主筐体10を備え、もちろん、主筐体10は内部が中空で、リキッド基体の貯蔵及び噴霧化のために必要な機能デバイスがあり、図1において、主筐体10の長さ方向に沿って開放された下端部に、主筐体10の下端部を閉鎖するエンドキャップ20が設けられる。
【0036】
主筐体10内には、
軸方向に沿って延在し、形成されたエアロゾルを喫煙のために上端部に送出するための煙送出通路を提供する煙送出管11と、
煙送出管11と主筐体10の内壁との間に形成され、リキッド基体を貯蔵するためのリキッド貯蔵チャンバ12と、が設けられる。
【0037】
主筐体10内には多孔質体30がさらに設けられる。該多孔質体30は、図1に示す好ましい実施例においてシート状又は塊状であり、主筐体10の軸方向に反対の吸液面310及び噴霧化面320を有し、
図1において、吸液面310は多孔質体30の上面であり、リキッド貯蔵チャンバ12とは流体連通しており、使用において、リキッド貯蔵チャンバ12内のリキッド基体は、矢印R1で示すように上面310に伝達して吸収することができ、
図1において、噴霧化面320は多孔質体30の下面であり、そこに、多孔質体30内の少なくとも一部のリキッド基体を加熱して蒸気化させ、喫煙用のエアロゾルを発生させるための加熱素子40が設けられる。噴霧化面320は煙送出管11と気流連通しており、さらに、発生されたエアロゾルは噴霧化面320から放出され又は抜けた後、矢印R2で示すように煙送出管11を介して送出される。
【0038】
図2は多孔質体30の噴霧化面320に形成された加熱素子40の模式図を示す。図2の好ましい実施例において、噴霧化面320は主筐体10の横方向に沿って延在する四角形構造である。多孔質体30は一般的に多孔質セラミックス、無機多孔質材料、多孔質剛性材料を採用して製造され、電子タバコ用アトマイザに最も一般的に使用される多孔質セラミックスは、シリカ、炭化ケイ素及び窒化ケイ素等のケイ素系セラミックス、窒化アルミニウム及びアルミナ等のアルミニウム系セラミックス、ジルコニアセラミックス、及びケイソウ土セラミックス等のうちの少なくとも1種が挙げられ、多孔質体30は、細孔径が5~60μmであることが好ましく、空隙率が30%~60%である。
【0039】
図2に示す実施例において、加熱素子40は、噴霧化面320の長さ方向の一側に近接する第1電極接続部41、及び噴霧化面320の長さ方向の他側に近接する第2電極接続部42を備え、使用において、該第1電極接続部41及び第2電極接続部42は、図1の正電極/負電極21の当接又は溶接等により電気的接続を形成し、さらに加熱素子40に電力を供給する。
【0040】
図2に示す好ましい実施例において、第1電極接続部41及び第2電極接続部42は略四角形状に構成され、又は、他の代替実施例において、さらに円形又は楕円形等の形状であってもよい。材質的には、第1電極接続部41及び第2電極接続部42は抵抗係数が低く、導電性能が高い金、銀等の材質を採用することが好ましい。
【0041】
加熱素子40は、第1電極接続部41と第2電極接続部42との間に延在する抵抗加熱トラック43をさらに含む。加熱噴霧化に対する機能的要件に基づき、抵抗加熱トラック43は一般的に適切なインピーダンスを有する抵抗性金属材料、金属合金材料を採用し、例えば、適切な金属又は合金材料は、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、チタン、ニッケル合金、コバルト合金、ジルコニウム合金、チタン合金、ニッケルクロム合金、ニッケル鉄合金、鉄クロム合金、チタン合金、鉄マンガンアルミニウムベース合金又はステンレス鋼等のうちの少なくとも1種を含む。
【0042】
図2の好ましい実施例において、抵抗加熱トラック43は、第1電極接続部41に近接して接続された第1部分431、及び第2電極接続部42に近接して接続された第2部分432を備え、第1部分431及び第2部分432は、直線状ではなく、湾曲形状に構成される。好ましい実施例において、第1電極接続部41及び第2電極接続部42は噴霧化面320の幅方向の中心箇所に位置する。
【0043】
又は、他の代替実施例において、第1電極接続部41及び第2電極接続部42は、噴霧化面320の幅方向に沿って千鳥状に配置される。例えば、第1電極接続部41は噴霧化面320の幅方向に沿って下側端部に近接し、第2電極接続部42は噴霧化面320の幅方向に沿って上側端部に近接する。
【0044】
実施において、第1電極接続部41及び第2電極接続部42は温度が低く、第1部分431及び/又は第2部分432は抵抗加熱トラック43の中心高温領域から遠く離れ、さらに第1部分431及び/又は第2部分432は、温度変化の最も大きい箇所に位置し、冷熱サイクルにおいて膨張差による内部応力が大きい。第1部分431及び/又は第2部分432を湾曲形状に設計した場合、任意の箇所で受ける三方向引張応力は、図3のA1で示すように、延在方向の両側の異なる温度差による反対方向の引張応力F1とF2、及び湾曲方向の引張応力F3を含み、さらに力の分解によって相互に相殺することができ、加熱素子の冷熱サイクル下での変形又は割れが効果的に防止される。
【0045】
図2に示す好ましい実施例において、第1部分431及び/又は第2部分432は曲率値が一定の円弧状である。又は、図4に示す変形実施例において、第1部分431a及び/又は第2部分432aの曲率は可変である。
【0046】
さらに、好ましい実施例において、図2に示すように、噴霧化面320の幅方向に沿って第1電極接続部41と第1部分431との接続箇所を通過する直線L1は存在し、且つ噴霧化面320の幅方向に沿って第2電極接続部42と第2部分432との接続箇所を通過する直線L2は存在し、抵抗加熱トラック43は、直線L1と直線L2との間に位置するように配置される。且つ、直線L1と直線L2とによって画定される領域S1の面積は、噴霧化面320の総面積の3分の2を超えない。より好ましくは、領域S1の面積は、噴霧化面320の総面積の2分の1を超えない。
【0047】
図2に示す好ましい実施例において、塊状多孔質体30の噴霧化面320は約8mm程度の長さ、4.2mm程度の幅を有し、L1と左側端部との距離は約1.8mmであり、つまり、直線L1と直線L2とによって画定される領域S1は、長さが約4.4mmであり、面積が噴霧化面320の総面積の2分の1よりも僅かに小さい。抵抗加熱トラック43が放射可能なメイン発熱領域を噴霧化面320の最適箇所に集中させることに役立つ。
【0048】
一般的には、実施において、第1部分431及び/又は第2部分432は抵抗加熱トラック43の一部であり、目で見える形状又は色又は材料等の点において、他の部分とは視認可能又は顕著な区別がない。
【0049】
一般的には、実施において、第1部分431及び/又は第2部分432を、長さが抵抗加熱トラック43の総延在長さの約8分の1未満である部分として定義することは合理的である。例えば、図2の導電トラック43の形状寸法について、第1部分431及び/又は第2部分432は約2~3mmの長さを有し、導電トラック43は展開後の総延在長さが約5~50mmである。使用において、この寸法比率で定義された第1部分431及び/又は第2部分432の両側の温度差は顕著であり、ちょうど応力が集中して破断しやすい箇所にある。
【0050】
又は、図2に示す別の実施例において、第1部分431及び第2部分432は、往復湾曲した抵抗加熱トラック43の湾曲方向の遷移箇所によって画定される。具体的には、図2から分かるように、抵抗加熱トラック43は、第1湾曲方向遷移点434、及び第2湾曲方向遷移点435を有する。第1湾曲方向遷移点434は第1電極接続部41に近接し、且つ第1湾曲方向遷移点434と第1電極接続部41との間の部分を第1部分431とし、第2湾曲方向遷移点435と第2電極接続部42との間の部分を第2部分432とする。
【0051】
また、抵抗加熱トラック43は、第1湾曲方向遷移点434と第2湾曲方向遷移点435との間に位置する第3部分433をさらに含む。もちろん、第3部分433も任意の箇所における曲率がいずれもゼロではない湾曲状であり、即ち、直線状ではない。図2に示すように、第3部分433の湾曲方向は第1部分431及び/又は第2部分432と反対である。
【0052】
且つ、第1部分431及び/又は第2部分432の曲率は第3部分433の曲率よりも大きい。第3部分433の熱放射範囲はより広く、第1部分431及び/又は第2部分432を可能な限り被覆し、第1部分及び/又は第2部分432の温度差を低下させることができる。
【0053】
図2に示す実施例において、抵抗加熱トラック43の幅寸法は約0.35mmであり、且つ実質的に一定である。通常の加熱素子40の抵抗値が0.5~2.0Ωであるという要件に基づき、抵抗加熱トラック43/43aは0.2~0.5mmの幅範囲を採用してもよい。
【0054】
具体的な製品実施例において、以下の図10は、製造された、現在の典型的な低電力平形電子タバコに適する抵抗加熱トラック43の顕微鏡による観察図を示し、抵抗加熱トラック43は、総延在長さが10.5~10.6mmであり、線幅が0.35mmであり、抵抗値が1.1Ω(公差±0.15)である。
【0055】
さらに、図2の好ましい実施例において、抵抗加熱トラック43は、その構造により、第1電極接続部41と第1部分431との接続箇所、及び第1湾曲方向遷移点434を通過する直線mを有し、該直線mは、抵抗加熱トラック43の第3部分433と交点m1を有する。第1電極接続部41と第1部分431との接続箇所から第1湾曲方向遷移点434までの距離は、第1湾曲方向遷移点434から交点m1までの距離よりも小さい。この構造により、抵抗加熱トラック43のメイン温度領域は第1電極接続部41又は第1部分431に実質的に近接又は被覆することが可能となり、これにより、作動中に第1部分431の両側の温度差が過大になり、冷熱サイクル中に大きい内部応力が発生しやすくなることの防止に役立つ。
【0056】
図2に示す好ましい実施例において、抵抗加熱トラック43の形状は略「Ω」形状であり、この形状の抵抗加熱トラック43を採用して形成された温度領域は略均一な円形である。
【0057】
図2に示す好ましい形状及び箇所において、抵抗加熱トラック43から噴霧化面320の上側端部又は下側端部までの最短距離は、噴霧化面320の幅の5分の1未満であり、それによって可能な限り抵抗加熱トラック43のメイン発熱温度の放射領域が噴霧化面320を超えないようにする。例えば、図2において、抵抗加熱トラック43から噴霧化面320の上側端部及び下側端部までの最短距離nは約0.8mmである。図2に示す変形において、抵抗加熱トラック43から噴霧化面320の上側端部までの最短距離nはさらに1.2mmに増大してもよく、つまり、図2及び図4に示す抵抗加熱トラック43をより扁平に設計することができ、温度の集中に有利であることがある。
【0058】
選択的な実施例において、抵抗加熱トラック43aの形状は、さらに、図4に示すように、実質的にS字形であってもよく、抵抗加熱トラック43aの任意の箇所、特に第1部分431a及び/又は第2部分432aは湾曲し、また、作動中に各箇所の温度を一致するように遷移させる以外、さらに膨縮差による内部の引張応力を解消し、加熱素子の変形又は割れを防止することができる。同様に、抵抗加熱トラック43aの配置箇所、及び噴霧化面320aの各側端部との寸法間隔も図2の位置に従うようにしてもよい。図4において、第1部分431a及び/又は第2部分432aは、同様に抵抗加熱トラック43a全体の延在長さの比率を採用して画定されてもよいし、又は湾曲方向遷移点434aによって画定されてもよい。
【0059】
さらに、以上の実施例において、抵抗加熱トラック43/43aは往復迂回するように湾曲し、その目的は、抵抗加熱トラック43/43aを所定の面積で十分な長さに延在可能にし、さらに所望の抵抗値を達成することである。
【0060】
図2及び図4に示す好ましい実施例において、第1部分431/431a及び/又は第2部分432/432aは、内方に湾曲するのではなく、噴霧化面320/320aの幅方向に沿って外方に湾曲する。
【0061】
他の代替実施例において、多孔質体30の形状は任意に変化することができ、例えば、図5は1つの一般的な形状の多孔質体30dの構造を示し、それは加熱素子40を形成するための噴霧化面320dを有し、その噴霧化面320dとの反対面に溝31d等の構造があり、溝31dの空間は、リキッド基体の噴霧化面320dへの伝達距離を短縮することに役立つ。
【0062】
さらに、図5に示す実施例において、噴霧化面320dにおいて溝31dの投影領域S2(つまり、図5の破線L3とL4との間の部分)に対応し、加熱素子40は噴霧化面320dにおいて溝31dの投影領域S2内に位置し、さらに、使用中にリキッド基体は加熱素子40にスムーズで迅速に伝達することができる。
【0063】
本出願の一実施例は、電子タバコ用アトマイザのための噴霧化アセンブリをさらに提案し、それは、リキッド基体を吸収するための多孔質体30、及び多孔質体30に形成された加熱素子40を備え、加熱素子40は、第1電極接続部41、第2電極接続部42、及び第1電極接続部41と第2電極接続部42との間に延在する抵抗加熱トラック43を備え、抵抗加熱トラック43は、第1電極接続部41に近接して接続された第1部分431、及び第2電極接続部42に近接して接続された第2部分432を備え、第1部分431及び/又は第2部分432の任意の箇所における曲率はいずれもゼロではない。
【0064】
本出願の一実施例は、電子タバコ用アトマイザのための噴霧化アセンブリの製造方法をさらに提案し、噴霧化アセンブリは、上記の多孔質体30及び加熱素子40を備える。一実施例において、製造方法の工程は、SMT(表面実装)レーザ印刷後焼結のように行われ、現在のSMTスクリーン印刷後焼結よりも精度が高い。
【0065】
本出願のSMTレーザ印刷プロセスで噴霧化アセンブリを製造する実行可能性をさらに具現化するために、一実施例において、詳細なステップ工程は、図6から図8に示すように、次のS10からS50を含む。
【0066】
S10では、上記の図のシート状多孔質体30を取得し、材質はアルミナ及びガラス粉末を添加したケイソウ土系多孔質セラミックス体であり、直接購入しても自ら焼成してもよい。
【0067】
S20では、抵抗加熱トラック43の印刷用スラリーを調製し、スラリーの成分は、
前述した電熱金属又は合金粉末を採用し、粒度が600メッシュであり、形状が略球状であり、スラリーの固相成分の質量百分率の約80~90wt%を占める固相発熱機能成分と、
SiO2ガラス粉末、Al2O3、MgO又はCaO又はこれらの混合物を採用し、粒径が約4~5μm前後であり、スラリーの固相成分の質量百分率の約1~10wt%を占める硬化成形のためのガラス相成分と、
市販のレーザ印刷用有機助剤を購入すれば入手可能で、成分が一般的に溶媒、増粘剤、レベリング剤、界面活性剤、チキソトロピック剤等の組成を含み、添加比率が上記の固相成分の質量百分率の10~20wt%を占めるスラリー印刷を補助するリキッド助剤成分と、を含む。
【0068】
S30では、SMT実装を行い、つまり、図6に示すように、ステップS10の多孔質体30の噴霧化面320として用いられる表面に、図2に示す加熱素子40形状の肉抜き部51を有するレーザ印刷スクリーン50を貼り付け、一般的には鋼製スクリーンを採用する。
【0069】
S40では、ステップS20で製造された印刷用スラリーを、レーザ印刷装置によりレーザ印刷スクリーン50を実装した多孔質体30の表面で印刷し、印刷が完了した後にレーザ印刷スクリーン50を剥離又は除去すると、図7に示すように、多孔質体30の表面に加熱素子40が堆積して形成される。
【0070】
S50では、焼結硬化を行い、つまり、ステップS40で得られた多孔質体30を100℃のオーブン内で20min焼成して乾燥させた後、焼結炉内に移して1100~1150℃の保護ガス雰囲気炉内で30min焼結し、焼結後に、図8に示すように、バッチで製造された噴霧化アセンブリが得られ、その後、砥石を用いて切断分離を行うと、大量の個別の噴霧化アセンブリが得られる。
【0071】
上記のステップS20で抵抗加熱トラック43の印刷用スラリーを調製する過程において、まず、所望の比率に従って固相成分を取得し、ボールミルで一定の時間均一に混合した後、リキッド助剤成分を加え、撹拌して混合した後に三本ロールを使用して圧延し、固相粉末をリキッド助剤の有機相に均一に分散させ、粘度が適切な印刷用スラリーを得ることができ、その後、16℃の冷蔵保管庫内に入れ、一定の時間陳腐化して性状をより安定にした後に使用する。
【0072】
上記のレーザ印刷を採用してレーザ印刷装置で一回印刷して所望の厚さの印刷用スラリー層を形成することは、スクリーン印刷プロセスにおいて複数回印刷して厚さを増して所望の厚さのスラリー層を形成することよりも、迅速で精度も高い。また、レーザ印刷によって形成されたパターンは、はみ出しがなく、立体感が強く、きれいに印刷され、レーザ印刷プロセスは、フローが簡単で、印刷効率が高く、コストが低く、工業的大量自動生産に適する。
【0073】
さらに、従来の噴霧化アセンブリに対する、本出願の図2及び図4で例示された噴霧化アセンブリの進歩性を具現化するために、本出願の各実施例の噴霧化アセンブリに対して、冷熱衝撃による破断試験、及び温度領域分布試験を含む性能試験を行う。試験では、図9及び図10に示す加熱素子40b/40cを比較例とする。図9に示す抵抗加熱トラック43bは、一般的に直線状の第1部分431b及び/又は第2部分432bの比較例である。図10は、図2の抵抗加熱トラック43の延在長さをさらに増加させた比較例である。
【0074】
S100では、破断試験を行い、つまり、図2及び図9で例示された噴霧化アセンブリの抵抗加熱トラックに対して冷熱サイクルを行い、且つ冷熱サイクル衝撃による破断状況を試験し、具体的には以下を含む。
直流電源の定電力6.5Wの条件下で、電源を3秒投入して15秒遮断することを1サイクルとし、抵抗加熱トラックに対して冷熱サイクル衝撃を行い、可視顕微鏡で抵抗加熱トラックの破断状況を継続的に観察し、各組の試験には、5回の繰り返しが含まれる。結果を図10から図13に示す。
【0075】
結果において、図11は、図2で例示された噴霧化アセンブリの抵抗加熱トラック43の50回のサイクル後の電子顕微鏡による全体的な微視的形状図を示し、図12図11のA箇所の部分拡大図を示し、図11及び図12から分かるように、抵抗加熱トラック43は、状態が依然として良好であり、顕微鏡で割れが観察されない。また、両端が電極である第1電極接続部41及び第2電極接続部42は、導電性の高い銀白金合金粉末を採用し、色が実質的に白色である。
【0076】
図13は、例示された噴霧化アセンブリの抵抗加熱トラック43bの割れが発生するまでサイクルする時の電子顕微鏡による全体的な微視的形状図であり、図14図13のB箇所の部分拡大図であり、図14から分かるように、統計的に抵抗加熱トラック43bの第1部分431bに割れがあり、且つ試験中に割れが発生した平均期間が25回である。割れが発生した理由は、第1部分431bが直線状であり、両側の温度差により図9に示す延在方向に反対の引張応力F4及びF5が発生し、温度差が大き過ぎると、F4とF5との差が所定の閾値を超えることにより、割れが発生することである。
【0077】
S200では、温度領域の試験を行い、つまり、図5の多孔質体30dの形状を採用して、上記の各実施例及び比較例の抵抗加熱トラック43/43a/43b/43cを組み合わせ、製造された噴霧化アセンブリに定電力6.5Wを印加し、1S空焚き後の温度領域をエミュレートし、試験では対流及び放射放熱は考慮されておらず、結果を図15から図19に示す。もちろん、試験では、相互の対照として、各例示された噴霧化アセンブリの材質は全て同じであり、関連するパラメータを下表に示す。
【0078】
抵抗加熱トラック
Fe-Cr合金 熱伝導係数 12.8W/m/K
比熱容量 490J/kg/℃
密度 7200kg/m3
多孔質セラミックス体
アルミナ-ジルコニア 熱伝導係数 1 W/m/K
比熱容量 430 J/kg/℃
密度 900 kg/m3
【0079】
試験の結果において、図15に示す実施例の噴霧化アセンブリの温度領域の結果模式図では、抵抗加熱トラック43は、最大温度が964.14℃であり、図15からメイン熱放射領域(中心黄色領域)内の温度が実質的に均一であることが分かり、また、結果において、第1部分431/第2部分432の両側の温度差は約100~150℃である。
【0080】
図16は、図15の抵抗加熱トラック43に対して噴霧化面320の幅方向に寸法を縮小した後、即ち上記の押し潰し後の実施例の温度領域の結果模式図であり、全体の熱放射領域の形状は図15と実質的に同じであり、トラックが相対的に押し潰されることにより、抵抗値が変化するため、最大温度は870.25℃に低下し、メイン熱放射領域内の温度は実質的に均一であり、第1部分431/第2部分432の両側の温度差も約100~150℃である。
【0081】
図17は、図4に示す実施例の抵抗加熱トラック43aの温度領域の結果模式図であり、この形状の抵抗加熱トラック43aは、最大温度が922.794℃であり、メイン熱放射領域が図15及び図16より僅かに小さく、第1部分431a/第2部分432aの両側の温度差が増加し、約180~200℃になる。
【0082】
図18は、図9に示す比較例の抵抗加熱トラック43bの温度領域の結果模式図であり、抵抗加熱トラック43bは、最大温度が1042.98℃であり、前述した例よりも、メイン熱放射領域の面積が小さく、均一性が低い。また、直線形状の第1部分431b/第2部分432bの両側の温度差が300℃を超えるため、冷熱衝撃による膨縮及び応力形成はより容易になる。
【0083】
図19は、図10に示す比較例の抵抗加熱トラック43cの温度領域の結果模式図であり、抵抗加熱トラック43cの噴霧化面の長さ方向に沿って延在する長さがより長いため、抵抗値が増大し、さらに、発熱温度が僅かに低下し、最大温度は729.116℃にとどまる。また、温度放射領域の面積も全体的に増大したが、熱利用率は相対的に低くなり、且つ、第1部分431c/第2部分432cが中心領域からより遠く離れるため、両端の温度差は約250℃になる。
【0084】
本出願の別の実施例は、電子タバコをさらに提案し、その構造模式図は図20に示し、それは、噴霧化装置100、及び噴霧化装置100に電力を供給する電源装置200を備え、電源装置200に噴霧化装置100を少なくとも部分的に受け入れる受け入れキャビティ210が設けられ、且つ電源装置200の正極及び負極220は、噴霧化装置100の電極21と電気的閉回路を形成し、さらに噴霧化装置100に電力を供給するために用いられる。噴霧化装置100は、図1に示す電子タバコ用アトマイザを含んでもよい。
【0085】
説明すべきことは、本出願の明細書及びその図面は本出願の好適な実施例を示したが、本明細書で説明された実施例に限定されず、さらに、当業者であれば、上記説明に基づいて改善又は変換を行うことができ、これらの全ての改善及び変換はいずれも本出願に添付された請求項の保護範囲に属するものとする点である。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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