(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】可変リフレッシュレートを有するディスプレイシステムのためのビデオタイミング
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20241022BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241022BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G09G3/20 650J
G09G5/00 520V
G09G5/00 555D
H04N5/66 B
(21)【出願番号】P 2023518249
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 IB2021058658
(87)【国際公開番号】W WO2022064396
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-09-11
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508301087
【氏名又は名称】エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アイ. ジェイ. グレン
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-078045(JP,A)
【文献】特開2018-028559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0124934(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/1346528(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111105766(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 ー 5/42
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ソースデバイスの処理ユニットにおいて、スクリーン上にフレームを提示するためにディスプレイシステムによって使用される複数のリフレッシュレートの複数の素因数を決定することと、
前記処理ユニットにおいて、前記複数のリフレッシュレートのうち少なくとも1つの比と、前記複数の素因数と、前記複数のリフレッシュレートで前記ディスプレイシステムにフレームを提供するためのラインレートと、に基づいて、前記複数のリフレッシュレートで提供されるフレームにおけるフレーム当たりの複数のライン数を決定することと、
前記複数のリフレッシュレートのうち何れかのリフレッシュレートで前記ソースデバイスから前記ディスプレイシステムにフレームを選択的に提供することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記複数の素因数を決定することは、第1及び第2のリフレッシュレートの第1の素因数及び第2の素因数をそれぞれ決定することを含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記フレーム当たりの複数のライン数を決定することは、前記第1及び第2のリフレッシュレートの比と、前記第1の素因数のうち少なくとも1つと、前記第2の素因数のうち少なくとも1つと、前記ラインレートと、に基づいて、前記第1及び第2のリフレッシュレートでそれぞれ提供されるフレームにおけるフレーム当たりの第1及び第2のライン数を決定することを含む、
請求項2の方法。
【請求項4】
前記ディスプレイシステムにフレームを選択的に提供することは、前記フレーム当たりの第1のライン数を有する前記第1のリフレッシュレート、又は、前記フレーム当たりの第2のライン数を有する前記第2のリフレッシュレートでフレームを選択的に提供することを含む、
請求項3の方法。
【請求項5】
前記フレーム当たりの第1のライン数と前記フレーム当たりの第2のライン数との比は、前記第1の素因数のうち少なくとも1つと前記第2の素因数のうち少なくとも1つとの比に等しい、
請求項4の方法。
【請求項6】
前記ディスプレイシステムにフレームを選択的に提供することは、前記複数のリフレッシュレートの全てについて前記ラインレートで前記ディスプレイシステムにフレームを提供することを含む、
請求項1の方法。
【請求項7】
前記フレーム当たりの複数のライン数を決定することは、前記複数のリフレッシュレートについて前記ラインレートが同じになるように、前記複数の素因数に基づいて形成される比に基づいて前記フレーム当たりの複数のライン数を決定することを含む、
請求項
1の方法。
【請求項8】
前記フレーム当たりの複数のライン数を決定することは、全てのフレームレートについてのフレーム当たりのライン数が整数になるように、前記複数の素因数に基づいて形成される前記比に基づいて前記フレーム当たりの複数のライン数を決定することを含む、
請求項7の方法。
【請求項9】
装置であって、
複数の素因数を有する複数のリフレッシュレートで画像を表示するスクリーンと、
前記スクリーンに結合され、前記装置によってサポートされる前記複数のリフレッシュレートのうち第1のリフレッシュレートでソースからフレームを受信し、前記第1のリフレッシュレートで前記スクリーンに前記フレームを提示するように構成されたディスプレイコントローラであって、前記複数のリフレッシュレートで提示される前記フレームは、前記複数のリフレッシュレートの少なくとも1つの比と、前記複数の素因数と、前記複数のリフレッシュレートでのフレームのラインレートと、に基づいて決定されるフレーム当たりの複数のライン数を含む、ディスプレイコントローラと、を備える、
装置。
【請求項10】
前記複数のリフレッシュレートは、第1のリフレッシュレート及び第2のリフレッシュレートを含み、前記フレーム当たりの複数のライン数は、フレーム当たりの第1及び第2のライン数を含み、前記複数の素因数は、前記第1及び第2のリフレッシュレートの第1の素因数及び第2の素因数をそれぞれ含む、
請求項9の装置。
【請求項11】
前記第1及び第2のリフレッシュレートでそれぞれ提示されるフレームにおけるフレーム当たりの第1及び第2のライン数は、前記第1及び第2のリフレッシュレートの比と、前記第1の素因数のうち少なくとも1つと、前記第2の素因数のうち少なくとも1つと、前記ラインレートと、に基づいて決定される、
請求項10の装置。
【請求項12】
前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム当たりの第1のライン数を有する前記第1のリフレッシュレート、又は、前記フレーム当たりの第2のライン数を有する前記第2のリフレッシュレートでフレームを提示するように構成されている、
請求項11の装置。
【請求項13】
前記フレーム当たりの第1のライン数と前記フレーム当たりの第2のライン数との比は、前記第1の素因数のうち少なくとも1つと前記第2の素因数のうち少なくとも1つとの比に等しい、
請求項12の装置。
【請求項14】
前記ディスプレイコントローラは、前記複数のリフレッシュレートについて前記ラインレートでフレームを提示するように構成されている、
請求項9の装置。
【請求項15】
前記フレーム当たりの複数のライン数は、前記複数のリフレッシュレートについて前記ラインレートが同じになるように、前記複数の素因数に基づいて形成される比に基づいている、
請求項9の装置。
【請求項16】
前記複数のリフレッシュレートで提示されるフレームについて、フレーム当たりのライン数が整数である、
請求項15の装置。
【請求項17】
装置であって、
タイミング基準と、
ディスプレイスクリーンに結合するように構成されたディスプレイインターフェースと、
前記タイミング基準及び前記ディスプレイインターフェースに結合され、前記タイミング基準に基づいて、複数の素因数を有する複数のリフレッシュレートのうち第1のリフレッシュレートでフレームを前記ディスプレイインターフェースに提示するように構成されたディスプレイコントローラであって、前記複数のリフレッシュレートで提供される前記フレームは、前記複数のリフレッシュレートのうち少なくとも1つの比と、前記複数の素因数と、前記複数のリフレッシュレートでフレームを提示するためのラインレートと、に基づいて決定されるフレーム当たりの複数のライン数を含む、ディスプレイコントローラと、を備える、
装置。
【請求項18】
前記複数のリフレッシュレートは、第1のリフレッシュレート及び第2のリフレッシュレートを含み、前記フレーム当たりの複数のライン数は、フレーム当たりの第1及び第2のライン数を含み、前記複数の素因数は、前記第1及び第2のリフレッシュレートの第1の素因数及び第2の素因数をそれぞれ含む、
請求項
17の装置。
【請求項19】
前記第1及び第2のリフレッシュレートでそれぞれ提供されるフレームにおける前記フレーム当たりの第1及び第2のライン数は、前記第1及び第2のリフレッシュレートの比と、前記第1の素因数のうち少なくとも1つと、前記第2の素因数のうち少なくとも1つと、前記ラインレートと、に基づいて決定される、
請求項
18の装置。
【請求項20】
前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム当たりの第1のライン数を有する前記第1のリフレッシュレート、又は、前記フレーム当たりの第2のライン数を有する前記第2のリフレッシュレートでフレームを提示するように構成されている、
請求項
19の装置。
【請求項21】
前記フレーム当たりの第1のライン数と前記フレーム当たりの第2のライン数との比は、前記第1の素因数のうち少なくとも1つと前記第2の素因数のうち少なくとも1つとの比に等しい、
請求項
20の装置。
【請求項22】
前記ディスプレイコントローラは、前記複数のリフレッシュレートについて前記ラインレートでフレームを提示するように構成されている、
請求項
17の装置。
【請求項23】
前記フレーム当たりの複数のライン数は、前記複数のリフレッシュレートについて前記ラインレートが同じになるように、前記複数の素因数に基づいて形成される比に基づいている、
請求項
17の装置。
【請求項24】
前記複数のリフレッシュレートで提供されるフレームについて、フレーム当たりのライン数が整数である、
請求項
23の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイシステムは、典型的には、グラフィックス処理ユニット(GPU)等のプロセッサによってレンダリングされ、フレームのストリームでスクリーンに提供されるビデオを表示するスクリーンを含む。表示ビデオタイミングは、フレームレート(又はリフレッシュレート)、フレームにおけるライン当たりピクセル数(HTotal)、フレーム当たりライン数(VTotal)、並びに、リフレッシュレート、ライン当たりピクセル数及びフレーム当たりライン数の積に等しいピクセルクロックレート(PClk)によって決定される。ライン当たりピクセル数は、画像を生成するために使用されるピクセル値を含む水平アクティブ領域と、デジタルオーディオ又はメタデータ等の他の情報を伝達する水平ブランキング領域と、を含む。したがって、ライン当たりピクセル数の総計は、水平アクティブ領域内のピクセルと水平ブランキング領域内のピクセルとの和に等しい。フレーム当たりライン数は、ピクセル値を含む垂直アクティブ領域と、デジタルオーディオ又はメタデータ等の他の情報を伝達する垂直ブランキング領域と、を含む。したがって、フレーム当たりライン数の総計は、垂直アクティブ領域内のラインと垂直ブランキング領域内のラインとの和に等しい。例えば、高精細フレームは、ピクセルの値を含む1080本のアクティブな垂直ラインと、45本の垂直ブランキングラインと、を使用して画像を表すことができる。フレームのラインレートは、ピクセルクロックレートをライン当たりピクセル数で除算したものとして定義され、あるいは、リフレッシュレートとフレーム当たりライン数との積として定義される。
【0002】
本開示は、添付の図面を参照することによってより良好に理解され、その多くの特徴及び利点が当業者に明らかになる。異なる図面における同じ符号の使用は、類似又は同一のアイテムを示す。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】いくつかの実施形態による、可変リフレッシュレートの素因数に基づいて決定される共通のラインレートを使用して、可変リフレッシュレートでフレームを生成及び表示する処理システムのブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、GPUによって生成され、ディスプレイシステムに提供されるフレームのブロック図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、異なるリフレッシュレートで提供されるフレームのフレーム当たりライン数を決定する方法のフロー図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、リフレッシュレートの変更に応じてフレーム当たりライン数を変更する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ソース(例えば、GPU又は他のプロセッサ)が、ソースタイミングによって決定されるリフレッシュレートでフレームを提供する。ディスプレイシステムのタイミングは、ソースタイミングに同期される。例えば、ソースは、60ヘルツ(Hz)でフレームを提供することができ、ディスプレイシステムは、GPUに同期された時点で60Hzでフレームを読み取る/表示することができる。しかしながら、ビデオは、ソースごとに異なるリフレッシュレートでキャプチャ又は生成される。例えば、ビデオは、典型的には、欧州及び日本等のいくつかの地理的領域では50Hzでレンダリングされ、北米等の別の地理的領域では60Hzでレンダリングされる。したがって、ディスプレイシステムは、リフレッシュレートが例えば50Hzから60Hz及びその逆に変化することを可能にする可変リフレッシュレートを実装する。可変リフレッシュレートを実装するソース及びディスプレイシステムは、典型的には、異なるリフレッシュレートにわたって同じピクセルクロックレート及び同じライン当たりピクセル数を使用する。したがって、フレーム当たりライン数は、リフレッシュレートの変化に応じて変化し、固定されたピクセルクロックレート及びライン当たりピクセル数を保ち、すなわち、一定のラインレートを維持する。フレーム当たりライン数の変化は、リフレッシュレートの比によって決定され、したがって、リフレッシュレートが第1のリフレッシュレートから第2のリフレッシュレートへと変化した場合、典型的には、第2のリフレッシュレートにおけるフレーム当たりライン数が端数となる。ディスプレイシステムは、(目標リフレッシュレートよりも高いか又は低いリフレッシュレートに対応する)フレーム当たりライン数の端数を上又は下に丸めること、あるいは、偶数/奇数フレームのフレーム当たりライン数の整数値間のディザリングを含む技術を使用して、端数のラインレートに対処する。更に、ディスプレイシステムは、リフレッシュレート又はフレーム当たりライン数の変化を検出することに応じて、最大で数秒の表示中断を引き起こすモードリセットを実行する。
【0005】
図1~
図4は、ディスプレイシステムによってサポートされるリフレッシュレートのセットにわたって同じラインレートを実装することによって、リフレッシュレートの変化に応じたモードリセットを不要としたディスプレイシステムの実施形態を開示する。本明細書で使用される場合、「ラインレート」という用語は、スクリーン上にフレームを提示するためにディスプレイシステムによって使用されるリフレッシュレートと、グラフィックス処理ユニット(GPU)等のソースによって提供されるフレーム当たりライン数と、の積を指す。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムに提供されるフレームは、セット内のリフレッシュレートの少なくとも1つの比によって決定されるフレーム当たりライン数を含む。リフレッシュレートのセットに使用されるフレーム当たりライン数は、ラインレートがリフレッシュレートのセットにわたって一定になるように選択される。更に、セット内のリフレッシュレートに関連付けられたフレーム当たりライン数は、フレーム当たりライン数が整数値になるように、リフレッシュレートの素因数に基づいて決定される。例えば、セットが第1のリフレッシュレート及び第2のリフレッシュレートを含む場合、第1のリフレッシュレートで提供されるフレームは、第1のフレーム当たりライン数を含み、第2のリフレッシュレートで提供されるフレームは、第1のフレーム当たりライン数に第1のリフレッシュレートに対する第2のリフレッシュレートの比を乗じたものに等しい第2のフレーム当たりライン数を含む。比の分子及び分母(それぞれ、第2のより高いリフレッシュレート及び第1のより低いリフレッシュレート)の素因数が、それぞれ、第1及び第2のフレーム当たりライン数の素因数でもある場合、第1及び第2のフレーム当たりライン数は整数値になる。ソース及びディスプレイシステムのいくつかの実施形態は、3つ以上のリフレッシュレートを実装し、その場合、リフレッシュレートによって共有される共通の素因数を見出すために、反復プロセスが使用される。また、素因数は、フレーム当たりライン数がこれらの素因数を有するように選択される。いくつかの実施形態では、セット内のリフレッシュレートに関連付けられたフレーム当たりライン数は、垂直アクティブ領域内の同じライン数と、垂直ブランキング領域内の異なるライン数と、を含む。したがって、複数のリフレッシュレートが、全てのリフレッシュレートにわたって共通のラインレート及び整数のフレーム当たりライン数でサポートされる。
【0006】
図1は、いくつかの実施形態による、可変リフレッシュレートの素因数に基づいて決定される共通のラインレートを使用して、可変リフレッシュレートでフレームを生成及び表示する処理システム100のブロック図である。処理システム100は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)等の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を使用して実装されるシステムメモリ105又は他の記憶コンポーネントを含むか、それらへのアクセスを有する。しかしながら、メモリ105のいくつかの実施形態は、スタティックRAM(SRAM)、不揮発性RAM等を含む他のタイプのメモリを使用して実装される。また、処理システム100は、メモリ105等のように、処理システム100において実装されるエンティティ間の通信をサポートするためのバス110を含む。処理システム100のいくつかの実施形態は、他のバス、ブリッジ、スイッチ、ルータ等を含むが、これらは明確にするために
図1に示されていない。
【0007】
処理システム100は、少なくとも1つの中央処理ユニット(CPU)115を含む。CPU115のいくつかの実施形態は、同時に又は並列に命令を実行する複数の処理要素(明確化のために
図1に示さず)を含む。処理要素は、プロセッサコア又は計算ユニットと呼ばれるか、あるいは他の用語を使用して呼ばれる。CPU115は、バス110に接続され、バス110を介してメモリ105と通信する。CPU115は、メモリ105に記憶されたプログラムコード120等の命令を実行し、CPU115は、実行された命令の結果等の情報をメモリ105に記憶する。また、CPU115は、ドローコールを発行することによって、グラフィック処理を開始することができる。
【0008】
入力/出力(I/O)エンジン125は、ディスプレイシステム130と関連付けられた入力又は出力動作、並びに、キーボード、マウス、プリンタ、外部ディスク等の処理システム100の他の要素を扱う。ディスプレイシステム130は、ディスプレイシステム130が最大リフレッシュレートまでの範囲内のリフレッシュレートでフレームを提示することができるように、可変リフレッシュレートをサポートする。例えば、ディスプレイシステム130は、24Hz、25Hz、30Hz、50Hz、60Hz、100Hz、120Hzのリフレッシュレートをサポートすることができる。可変リフレッシュレートは、ディスプレイシステム130の最大リフレッシュレートに対応する最小垂直ブランキング領域から始まる範囲内にある可変垂直ブランキング領域に対応する。いくつかの実施形態では、リフレッシュレートは、ディスプレイシステム130にその強化拡張ディスプレイ識別データ(Enhanced Extended Display Identification Data、E-EDID)を問い合わせ、EDID応答からリフレッシュレートを決定することによって決定される。I/Oエンジン125は、I/Oエンジン125がメモリ105、CPU115、又は、バス110に接続された他のエンティティと通信するようにバス110に結合される。図示した実施形態では、I/Oエンジン125は、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)等の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を使用して実装される、外部記憶コンポーネント135に記憶された情報を読み取る。また、I/Oエンジン125は、CPU115による処理の結果等の情報を外部記憶コンポーネント135に書き込む。
【0009】
処理システム100は、ディスプレイシステム130による提示のために画像をレンダリングする少なくとも1つのGPU140を含む。例えば、GPU140は、オブジェクトをレンダリングして、ディスプレイシステム130に提供されるピクセルの値を生成し、ディスプレイシステム130は、ピクセル値を使用して、レンダリングされたオブジェクトを表す画像を表示する。GPU140は、命令を同時に又は並列に実行する計算ユニットのアレイ142等の1つ以上の処理要素を含む。GPU140のいくつかの実施形態は、汎用コンピューティングのために使用される。図示した実施形態では、GPU140は、バス110を介してメモリ105(及びバス110に接続された他のエンティティ)と通信する。しかしながら、GPU140のいくつかの実施形態は、直接接続で、又は、他のバス、ブリッジ、スイッチ、ルータ等を介して、メモリ105と通信する。GPU140は、メモリ105に記憶された命令を実行し、GPU140は、実行された命令の結果等の情報をメモリ105に記憶する。例えば、メモリ105は、GPU140によって実行されるプログラムコードを表す命令のコピー145を記憶する。GPU140は、タイミング基準144も含む。
【0010】
GPU140は、ディスプレイシステム130に提供されるフレームのストリームを生成する。ディスプレイシステム130のいくつかの実施形態は、GPU140から受信されたストリーム内のフレームを記憶するバッファ150を含む。また、ディスプレイシステム130は、バッファ150からフレーム内のピクセル値を読み出し、その値を使用してスクリーン154上に画像を表示する(又はスクリーンに画像を提示する)ディスプレイコントローラ152を含む。ディスプレイコントローラ152は、スクリーン154に結合するように構成されたディスプレイインターフェース153(HDMI又はDisplayPortインターフェース等)を介してフレームを提供する。また、ディスプレイシステム130は、通常動作中にGPUタイミング基準144に同期されるタイミング基準156を含む。例えば、GPU140は、60Hzでフレームを生成し、フレームをディスプレイシステム130に提供することができ、ディスプレイシステム130は、60Hzでスクリーン154にフレームを表示又は提示する。タイミング基準156のいくつかの実施形態は、本明細書で説明するように、ディスプレイシステム130のためのタイミング動作及び同期動作も実行する、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の回路として、タイミングコントローラ(TCON)チップ157内に実装される。また、ディスプレイシステム130は、GPU140から受信したフレーム内の情報をスクリーン154のピクセル密度にスケーリングするモニタスケーラ158を含む。
【0011】
GPU140によって生成され、ディスプレイシステム130によって表示されるフレームは、フレームにおけるライン当たりピクセル数(HTotal)、フレーム当たりライン数(VTotal)、並びに、リフレッシュレート、ライン当たりピクセル数及びフレーム当たりライン数の積に等しいピクセルクロックレート(PClk)によって特徴付けられる。フレームのラインレートは、ピクセルクロックレートをライン当たりピクセル数で除算したものとして定義され、あるいは、リフレッシュレートとフレーム当たりライン数との積として定義される。GPU140及びディスプレイシステム130によって使用されるリフレッシュレートは、対応する複数の素因数に因数分解される。例えば、50Hzのフレームレートは素因数(5,2)を有し、60Hzのフレームレートは素因数(2,3,5)を有する。複数のリフレッシュレートでGPU140によって提供されるフレームにおけるフレーム当たりライン数は、リフレッシュレートの比、リフレッシュレートの素因数、及び、異なるリフレッシュレートでディスプレイシステムにフレームを提供するための共通のラインレートに基づいて決定される。GPU140は、これらのリフレッシュレートのうち選択されたリフレッシュレートで、何れのリフレッシュレートが選択されるかにかかわらず同じラインレートを使用して、フレームをディスプレイシステム130に提供する。更に、ラインレートは、これらのリフレッシュレートで提供されるフレームにわたって整数である。
【0012】
図2は、いくつかの実施形態による、GPUによって生成され、ディスプレイシステムに提供されるフレーム200のブロック図である。フレーム200は、
図1に示すGPU140のいくつかの実施形態によって生成(例えば、レンダリング)され、
図1に示すディスプレイシステム130のいくつかの実施形態によって表示又は提示される。
【0013】
フレーム200は、ピクセル202(明確にするために1つのみが符号で示されている)のライン201(明確にするために1つのみが符号で示されている)に分割される。各ライン201は、ライン当たりピクセル数205(HTotal)を含む。ライン当たりピクセル数205は、画像を生成するために使用されるピクセル値を含む水平アクティブ領域210(白抜きのボックスによって示される)と、デジタルオーディオ又はメタデータ等の他の情報を伝達する水平ブランキング領域215(斜線のボックスによって示される)と、を含む。また、フレーム200は、フレーム当たりライン数220(VTotal)を含む。フレーム当たりライン数220は、ピクセル値を含む垂直アクティブ領域225(白抜きのボックスによって示される)と、デジタルオーディオ又はメタデータ等の他の情報を伝達する垂直ブランキング領域230(斜線のボックスによって示される)と、を含む。したがって、フレーム当たりライン数220の総計は、垂直アクティブ領域225内のラインと垂直ブランキング領域230内のラインとの和に等しい。例えば、高精細フレームは、ピクセルの値を含む1080本のアクティブな垂直ラインと、45本の垂直ブランキングラインと、を使用して画像を表すことができる。
【0014】
GPUは、フレーム200をあるリフレッシュレートで提供する(そして、ディスプレイシステムはフレーム200をこのリフレッシュレートで提示する)。したがって、フレーム200は、リフレッシュレートと、ライン当たりピクセル数205と、フレーム当たりライン数220と、の積に等しいピクセルクロックレート(PClk)によって特徴付けられる。フレーム200のラインレートは、ピクセルクロックレートをライン当たりピクセル数205で除算したものとして定義され、あるいは、リフレッシュレートとフレーム当たりライン数220との積として定義される。
【0015】
フレーム200を提示するディスプレイシステムは、可変リフレッシュレートをサポートする。したがって、GPUは、ディスプレイシステムによってサポートされる可変リフレッシュレートに対応する異なるリフレッシュレートでフレーム200をレンダリングする。フレーム200の特性は、フレーム200をレンダリングしてフレーム200をディスプレイシステムで提示するために使用される可変リフレッシュレートに基づいて変更される。異なるリフレッシュレートにわたってフレーム200に含まれるフレーム当たりライン数220は、リフレッシュレートの比、リフレッシュレートの素因数、及び、異なるリフレッシュレートでディスプレイシステムにフレームを提供するための共通のラインレートに基づいて決定される。例えば、ディスプレイシステムが50Hz及び60Hzのリフレッシュレートをサポートする場合、サポートされるリフレッシュレートの比は5/6である。したがって、異なるリフレッシュレートで使用されるフレーム当たりライン数220は、サポートされるリフレッシュレートの比に対応する素因数を有するように選択される。例えば、フレーム200の数220は、以下のように選択される。
60Hzの場合、2250=2
1*3
2*5
3
また、フレーム200の数220は、以下のように選択される。
【数1】
【0016】
したがって、数220は両方のリフレッシュレートで整数であり、フレーム200は両方のリフレッシュレートで共通のラインレートを有する。
2250
*60=2700
*50=135kHz
いくつかの実施形態では、フレーム200のパラメータは、より広い範囲のリフレッシュレートにわたって共通のラインレートを提供するように選択される。例えば、ディスプレイシステムによってサポートされるフレームレートセットが、リフレッシュレート24Hz、25Hz及び30Hzを含む場合、リフレッシュレートの比は、以下の通りである。
【数2】
30Hzのリフレッシュレートでのフレーム200内のライン数220は、フレーム200が30Hzのフレーム200と同じラインレート及びピクセルクロックを使用して24Hz及び25Hzで生成されるように、素因数(5,4=2
2)を有するように選択される。その場合、異なるリフレッシュレートでのライン数220は、以下の通りである。
【数3】
異なるリフレッシュレートの値(VTotal
24、VTotal
25、VTotal
30)におけるフレーム200内のライン数220は、リフレッシュレートの値が素因数(5,4=2
2)を有するので、全て整数である。例えば、数220は以下の値を有することができる。
【数4】
上記のライン数220を有するフレーム200も同じラインレートを有する。
2200*30=2640*25=2750*24=66kHz
上記で説明した例は、2つ及び3つの異なるリフレッシュレートを含むが、これらの技術のいくつかの実施形態は、リフレッシュレートのより大きなセットに適用される。更に、素因数7、11、13を含むがこれらに限定されない他の素因数も使用することもできる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ライン数220は、最小ライン数超になるように制約される。例えば、垂直ブランキング領域230内のピクセルは、オーディオ情報を伝達するために使用することができる。したがって、最小ライン数は、ラインごと又はフレームごとに必要とされる(又は最小の)オーディオ帯域幅に基づいて設定することができる。いくつかの実施形態では、ライン当たりピクセル数205は、必要なオーディオ帯域幅又は他のオーバーヘッド要件によって制約される。いくつかの実施形態では、フレーム200のピクセルレートは、タイミング記述子で定義されたパラメータに基づいて制約される。例えば、強化拡張ディスプレイ識別データ(E-EDID)で定義された18バイトの詳細タイミング記述子(DTD)構造により、ピクセルレートを、例えば0.01MPix/sから655.35MPix/sの範囲内で、毎秒10キロピクセル(kPix/s)単位で指定することができる。別の例では、E-EDIDで定義された20バイトのDTD構造により、ピクセルレートを、例えば0.001MPix/s~16777.216MPix/sの範囲内で、1kPix/s単位で指定することができる。
【0018】
図3は、いくつかの実施形態による、異なるリフレッシュレートで提供されるフレームのフレーム当たりライン数を決定する方法300のフロー図である。方法300は、
図1に示される処理システム100のいくつかの実施形態で実施される。
【0019】
ブロック310において、処理システムは、ディスプレイシステムによってサポートされる第1のリフレッシュレートと第2のリフレッシュレートとの比を決定する。例えば、本明細書で説明するように、50Hzのリフレッシュレートと60Hzのリフレッシュレートとの比は5/6である。
【0020】
ブロック315において、処理システムは、リフレッシュレートの素因数を決定する。例えば、50Hzのリフレッシュレートの素因数は(5,2)であり、60Hzのリフレッシュレートの素因数は(5,3,2)である。
【0021】
ブロック320において、処理システムは、第1のリフレッシュレートで提供されるフレームの第1のフレーム当たりライン数と、第2のリフレッシュレートで提供されるフレームの第2のフレーム当たりライン数と、を決定する。第1及び第2のフレーム当たりライン数は、リフレッシュレートの比及び素因数に基づいて決定される。例えば、第1のフレーム当たりライン数は、第2のリフレッシュレートと1つ以上の素因数を共有する値を有するように選択され、第2のフレーム当たりライン数は、第1のリフレッシュレートと1つ以上の素因数を共有する値を有するように選択される。したがって、第1及び第2のフレーム当たりライン数は整数であり、同じラインレートを生成する。また、第1及び第2のフレーム当たりライン数は、第1及び第2のフレーム当たりライン数を有するフレームのラインレートが両方とも共通のラインレートに等しくなるように決定される。
【0022】
図4は、いくつかの実施形態による、リフレッシュレートの変更に応じてフレーム当たりライン数を変更する方法400のフロー図である。方法400は、
図1に示される処理システム100内のCPU115又はGPU140のいくつかの実施形態等の処理ユニットにおいて実施される。
【0023】
ブロック405において、GPU等の処理ユニットは、第1のリフレッシュレートでフレームをレンダリングし、フレームをディスプレイシステムに提供している。ディスプレイシステムは、可変リフレッシュレートシステムであり、第1のリフレッシュレートは、ディスプレイシステムによってサポートされるリフレッシュレートのセットのうち1つである。本明細書で説明するように、フレームは、最初に、ディスプレイシステムによってサポートされるセット内のリフレッシュレートの1つ以上の比、リフレッシュレートの素因数、及び、セット内の全てのリフレッシュレートでディスプレイシステムにフレームを提供するための共通のラインレートに基づいて決定される第1のフレーム当たりライン数を含む。
【0024】
決定ブロック410において、処理ユニット及びディスプレイシステムは、リフレッシュレートに変化があったかどうかを決定する。そうでない場合、方法400は、リフレッシュレートの変化を監視し続ける。リフレッシュレートの変化が検出された場合、方法400はブロック415に進む。
【0025】
ブロック415において、処理ユニットは、第2のフレーム当たりライン数を有するフレームを提供する。処理ユニットは、第1のリフレッシュレートとは異なる第2のリフレッシュレートでフレームをレンダリングする。第2のフレーム当たりライン数は、本明細書で説明されるように、第2のリフレッシュレート及びラインレートに基づいて決定される。
【0026】
ブロック420において、処理ユニットは、フレームをディスプレイユニットに提供し、ディスプレイユニットは、第2のリフレッシュレートでフレームを提示又は表示する。第1及び第2のリフレッシュレートで送信されるフレームにおける第1及び第2のフレーム当たりライン数は、リフレッシュレートの1つ以上の比、リフレッシュレートの素因数、及び、共通のラインレートに基づいて決定される。したがって、ラインレートは整数であり、ディスプレイシステムは端数のラインレートに対処する必要がない。更に、ディスプレイシステムは、リフレッシュレート又はフレーム当たりライン数の変化の検出に応じたモードリセットを実行しない。
【0027】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令及び/又はデータをコンピュータシステムに提供するために、使用中にコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の非一時的な記憶媒体又は非一時的な記憶媒体の組み合わせを含む。このような記憶媒体には、限定されないが、光学媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク)、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)若しくはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えば、読取専用メモリ(ROM)若しくはフラッシュメモリ)、又は、微小電気機械システム(MEMS)ベースの記憶媒体が含まれ得る。コンピュータ可読記憶媒体(例えば、システムRAM又はROM)はコンピューティングシステムに内蔵されてもよいし、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ハードドライブ)はコンピューティングシステムに固定的に取り付けられてもよいし、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、光学ディスク又はユニバーサルシリアルバス(USB)ベースのフラッシュメモリ)はコンピューティングシステムに着脱可能に取り付けられてもよいし、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、ネットワークアクセス可能ストレージ(NAS))は有線又は無線ネットワークを介してコンピュータシステムに結合されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、上述した技術の特定の態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つ以上のプロセッサによって実装される。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるか、別の方法で明確に具体化された実行可能命令の1つ以上のセットを含む。ソフトウェアは、命令及び特定のデータを含んでもよく、当該命令及び特定のデータは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、上述した技術の1つ以上の態様を実行するように1つ以上のプロセッサを操作する。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気又は光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ等のソリッドステート記憶デバイス、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は、他の不揮発性メモリデバイス(単数又は複数)等を含み得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶された実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、又は、1つ以上のプロセッサによって解釈され若しくは別の方法で実行可能な他の命令形式で実装可能である。
【0029】
上述したものに加えて、概要説明において説明した全てのアクティビティ又は要素が必要とされているわけではなく、特定のアクティビティ又はデバイスの一部が必要とされない場合があり、1つ以上のさらなるアクティビティが実行される場合があり、1つ以上のさらなる要素が含まれる場合があることに留意されたい。さらに、アクティビティが列挙された順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念は、特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形を行うことができるのを理解するであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、これらの変更形態の全ては、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0030】
利益、他の利点及び問題に対する解決手段を、特定の実施形態に関して上述した。しかし、利益、利点、問題に対する解決手段、及び、何かしらの利益、利点若しくは解決手段が発生又は顕在化する可能性のある特徴は、何れか若しくは全ての請求項に重要な、必須の、又は、不可欠な特徴と解釈されない。さらに、開示された発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな方法であって、異なっているが同様の方法で修正され実施され得ることから、上述した特定の実施形態は例示にすぎない。添付の特許請求の範囲に記載されている以外に本明細書に示されている構成又は設計の詳細については限定がない。したがって、上述した特定の実施形態は、変更又は修正されてもよく、かかる変更形態の全ては、開示された発明の範囲内にあると考えられることが明らかである。したがって、ここで要求される保護は、添付の特許請求の範囲に記載されている。