(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】自動車両の照明装置を作動させるための方法および自動車両の照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/28 20200101AFI20241022BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20241022BHJP
H05B 45/18 20200101ALI20241022BHJP
H05B 45/22 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
H05B45/28
H05B45/12
H05B45/18
H05B45/22
(21)【出願番号】P 2023521964
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2021080060
(87)【国際公開番号】W WO2022090430
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-11
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ラビーフ、タレブ
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10400973(US,B1)
【文献】国際公開第2020/209295(WO,A1)
【文献】特表2013-522819(JP,A)
【文献】国際公開第2013/056012(WO,A1)
【文献】特表2023-545147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/20
H05B 45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのソリッドステート光源(2)を備えた自動車両の照明装置(1)を作動させるための方法であって、
- 最小光束閾値(4)および最大光束閾値(7)を設定する段階と、
-
前記ソリッドステート光源(2)の温度および前記ソリッドステート光源(2)に供給される電流の対ごとに、前記ソリッドステート光源(2)によって発せられる色が認容できるか否かを示したデータシートおよび/または実験データを用意する段階と、
- 前記
ソリッドステート光源(2)
の温度を測定する
温度測定段階と、
-
測定された前記ソリッドステート光源(2)の温度に応じて、前記ソリッドステート光源(2)に、前記最小光束閾値(4)と前記最大光束閾値(7)との間に含まれる光束値を生じさせ、かつ認容できる色が得られるような電流値(41,42,43)を、前記データシートおよび/または実験データに基づいて決定する電流値決定段階と、
-
決定した電流値で前記ソリッドステート光源(2)に給電する給電段階と、を備え、
前記ソリッドステート光源(2)の温度が変化したときに、変化した温度に基づいて前記電流値決定段階を実行し、新たに決定された電流値で前記ソリッドステート光源(2)に給電する、方法。
【請求項2】
前記
ソリッドステート光
源の温度を測定する段階は、サーミスタ(5
)によって遂行される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記ソリッドステート光源(2)の温度が上昇したときに、前記データシートおよび/または実験データに基づいて給電される前記電流値を第1の値(41)から第2の値(42)へと増大させ、前記第2の値(42)は、前記第1の値(41)よりも大きいが前記第1の値(41)の1.1倍よりは小さい、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の値(42)は、前記第1の値(41)の1.05倍よりも小さい、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の値(42)は、前記第1の値(41)の1.03倍よりも小さい、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
所定条件についての一連の電流値増分を記録する段階を更に備えた、請求項1から
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
当該方法の各段階が、前記照明装置における前記
ソリッドステート光源の少なくとも10%に対して適用される、請求項1から
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
- ソリッドステート光源(2)同士のマトリックス配置と、
- 請求項1から7のいずれかに記載の方法の各段階を遂行するための制御要素(3)と、
を備えた、自動車両の照明装置(1)。
【請求項9】
前記マトリックス配置は少なくとも2000個のソリッドステート光源(2)を備えている、請求項
8に記載の自動車両の照明装置。
【請求項10】
前記ソリッドステート光源の温度を測定するように企図されたサーミスタ(5)を更に備えている、請求項
8または9に記載の自動車両の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の照明装置の分野、より特定的には、これらの装置に含まれるこれらの光源の色の管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車メーカーによって中・高級市場の製品にデジタル照明装置がますます採用されてきている。
【0003】
これらのデジタル照明装置は通常、ソリッドステート光源を備えているが、それらの光源の作動は温度に大きく左右される。
【0004】
これらの素子における温度制御は、非常に敏感な局面であり、出力を下げることによって遂行されるのが通常である。これは、それに応じて出力光束と作動温度とが低下するよう、光源に給電される電流値を低下させることを意味する。この過熱の問題に立ち向かうには、依然として認容可能な値を維持しながら作動値を低下させ得るよう、光源の性能が必要以上に高すぎねばならないということが、これにより引き起こされる。
【0005】
更に、これらの技術は、出力パターンの色にも影響を及ぼしてしまう。これにより、一部の温度範囲については、出力された色が規定から外れてしまい得ることになる場合もある。
【0006】
この問題は、今まで想定されてきているが、そのための解決策は与えられている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、自動車両の照明装置を作動させるための方法および自動車両の照明装置によって、出力される光源パターンの色を管理するための代替的な解決策をもたらすものである。
【0008】
別様に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的、科学的用語を含む)は、当該技術において通例であるように解釈されるべきものである。更に、一般的な語法による用語類も、やはり関連技術において通例であるように解釈されるべきであって、本明細書で明確にそう定義されない限り、理想化されたり過度に形式的であったりする意味に解釈されるべきではない。
【0009】
この本文において、用語「備える/含む(comprises)」や、その派生語(例えば「備えている/含んでいる(comprising)」など)は、排他的な意味に理解されるべきではない。即ち、これらの用語は、説明されたり定義されたりするものが更なる要素や段階などを含み得るという可能性を排除するように解釈されるべきではないのである。
【0010】
第1の発明態様において、本発明は、少なくとも1つのソリッドステート光源を備えた自動車両の照明装置を作動させるための方法であって、
- 色の許容条件を定める段階であって、対をなす温度・電流のそれぞれについて、色が認容できるか認容できないかを定める段階と、
- 最小光束閾値および最大光束閾値を設定する段階と、
- 最小光束閾値と最大光束閾値との間に含まれる光束値を生じさせる電流値で光源に給電する段階と、
- 光源内の温度を測定する段階と、
- 光源によって発せられる光の色、別名、光源の出力色を得る段階と、
- 前段階で得られた色が許容条件を満たしているかを調べる段階と、
- 給電される電流値を増大または減少させて、常に最小光束閾値と最大光束閾値との間に含まれる光束値を生じさせるように電流を保ちながら許容条件を満たす色を生じさせる段階と、
を備えた方法を提供する。
【0011】
用語「ソリッドステート(solid state)」は、電力を光へと変換するために半導体を用いるソリッドステート電界発光によって放出される光を表す。白熱照明に比べて、ソリッドステート照明は、熱の発生を減少させ、より少ないエネルギー消散で可視光を作り出す。ソリッドステート電子照明装置の概して小さな嵩は、もろいガラス管/球や長細いフィラメント線に比べて、衝撃や振動に対してより強い耐性を与えるものである。それらはまた、フィラメントの蒸発を排除して、発光装置の寿命を延長させる可能性を有している。これらの型式の照明における幾つかの例は、光源として、電気フィラメント、プラズマ、またはガスではなく、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または高分子発光ダイオード(PLED)を備えている。
【0012】
色の許容条件は、データシートおよび/または実験データを用いて定められる。電流と温度との2つの所与の値に対して、光源の出力色が得られるであろう。この得られた出力色は、規定の範囲内にあったりなかったりし得る。規定は、認容できたり認容できなかったりする色の範囲をも与えているからである。従って、ある対をなす電流・温度が、許容条件を満たしたり満たさなかったりすると考えられるのである。
【0013】
この方法によって光源は、出力色が許容されるか否かを判定することができ、給電電流を変更することによって、許容されない状況に対して反応し得る。その結果、色が常に許容範囲内に保たれるのである。
【0014】
幾つかの特定の実施形態において、光源によって発せられる光の色を得る段階は、温度と給電される電流値とから色を与えるデータシートおよび/または実験データを用いて遂行される。
【0015】
光源の出力色を得る代替的なやり方は多数存在する。時には、これらのパラメータについての信頼性のある有用な情報が製造者のデータシートによってもたらされるが、この許容条件を得るのに実験データが用いられてもよい。
【0016】
幾つかの特定の実施形態において、当該方法は、最大光束閾値を設定する段階を更に備えると共に、当該方法は、最大光束閾値よりも低い光束値を生じさせるように電流を保つことを含んでいる。
【0017】
最大光束値は、光束を規制の範囲内に限定するのにも有用である。
【0018】
幾つかの特定の実施形態において、最小光束閾値および最大光束閾値は、照明装置によって果たされる照明機能に対応した光束値の範囲の限界を定めるように選択される。もちろん、この値の範囲は、自動車両の照明の分野における規定を遵守するものである。
【0019】
幾つかの特定の実施形態において、光源の温度を測定する段階は、サーミスタ、例えば負特性(負の温度係数の)サーミスタによって遂行される。
【0020】
サーミスタは、温度を測定するために採用され得る一般的な素子であることから、この方法に信頼できる起点をもたらすものである。
【0021】
幾つかの特定の実施形態において、給電される電流値を増大させる段階は、電流値を第1の値から第2の値へと増大させること含み、第2の値は、第1の値よりも大きいが、第1の値の1.1倍よりは小さく、特に第1の値の1.05倍よりは小さく、特に第1の値の1.03倍よりは小さい。
【0022】
これらの例においては、狭い範囲内で強度が増大させられ得る。その結果、電流値(および温度)は、認容可能な性能をもたらす範囲内で、できるだけ低く保たれる。更に、性能への影響ができる限り最小限の状態で、色の逸脱が補正され得る。
【0023】
幾つかの特定の実施形態において、当該方法は、所定条件についての一連の電流値増分を記録する段階を更に備えている。
【0024】
この一連のものは、時系列パターンを用いる場合において連続的な温度測定を避けるのに有用となり得る。
【0025】
幾つかの特定の実施形態においては、当該方法の各段階が、照明装置における光源の少なくとも10%に対して適用される。
【0026】
電流値の漸増が、多数の光源に対して同時に(例えば、所定の機能性をもたらす光源の全てに)適用されてもよい。従って、省電力と均一な性能とが多数の素子に対して宛がわれるのである。
【0027】
第2の発明態様において、本発明は、
- ソリッドステート光源同士のマトリックス配置と、
- 第1の発明態様による方法の各段階を遂行するための制御要素と、
を備えた、自動車両の照明装置を提供する。
【0028】
この照明装置は、光源の色の性能を効率的に維持する有利な機能性をもたらすものである。
【0029】
幾つかの特定の実施形態において、マトリックス配置は少なくとも2000個のソリッドステート光源を備えている。
【0030】
マトリックス(行列)配置は、この方法についての典型例である。各行が投射距離の範囲毎にグループ化されていて、各グループの各列が角度間隔を表していてよい。この角度の値は、マトリックス配置の分解能によって左右され、典型的には毎列0.01°から毎列0.5°の間に含まれるものである。従って、多くの光源が同時に管理され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明による自動車両の照明装置の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、特定電流により給電されて特定温度下にあるときのLEDによって作り出される光束値を示すグラフによる図解である。
【
図3】
図3は、本発明による方法での、LEDにおける電流の進展の例を示す図である。
【0032】
これらの図においては、以下の参照符号が用いられている。
【符号の説明】
【0033】
1 照明装置
2 LED
3 制御要素
4 最小光束閾値
41 第1の電流値
42 第2の電流値
5 サーミスタ
6 不許容ドット
7 最大光束閾値
100 自動車両
【発明を実施するための形態】
【0034】
当業者が本明細書に記載されたシステムやプロセスを具現化して実施するのを可能とするに足るほど詳細に例示の諸実施形態が説明される。各実施形態は、多くの代替形態で提供することができ、本明細書に記載された例に限定して解釈されるべきではない、ということを理解するのが重要である。
【0035】
従って、実施形態は種々のやり方で改変することができ、種々の代替形態をとることができるが、それらのうちの特定の諸実施形態を、例として図面に示すと共に以下で詳細に説明する。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の特許請求の範囲内に入っている全ての改変、均等物、および代替物が包含されるべきである。
【0036】
図1は、本発明による自動車両の照明装置の概略斜視図を示している。
【0037】
この照明装置1は、自動車両100内に設置されると共に、
- 光パターンをもたらすように企図された、LED2同士のマトリックス配置と、
- LED2の作動における温度制御を果たすための制御要素3と、
- LED2の温度を測定するように企図されたサーミスタ5と、
を備えている。
【0038】
このマトリックス構成は、2000ピクセルを超える解像度を有した、高解像度モジュールである。ただし、投射モジュールを製造するために用いられる技術に制限があると考えられるものではない。
【0039】
このマトリックス構成の第1例は、モノリシック光源を備えている。このモノリシック光源は、数列×数行に配置されたモノリシックなエレクトロルミネセント(電界発光)素子のマトリックスを備えている。モノリシック・マトリックスにおいて、各エレクトロルミネセント素子は、共通基板から成長させることができ、個別にか、或いはエレクトロルミネセント素子同士のサブセット(小集団)毎にかのいずれかで選択的に作動可能となるよう、電気的に接続されている。基板は、主として半導体材料で作られていてよい。基板は、1つないし複数の他の材料、例えば非半導体材料(金属や絶縁体)を含んで成っていてもよい。かくして、各エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子の各グループが、光ピクセルを形成することができ、従って、そ(れら)の素子の材料へ電力が供給されたときに光を放出することができるのである。そのようなモノリシック・マトリックスの構成によって、プリント回路基板上に半田付けされるよう企図された従来の発光ダイオード群と比べて、選択的に点灯可能なピクセル同士を互いにかなり近接させて配置することが可能となる。モノリシック・マトリックスは、共通基板に対して垂直に測定した高さの主寸法が略1マイクロメートルであるエレクトロルミネセント素子を備えていてよい。
【0040】
モノリシック・マトリックスは、マトリックス配置によるピクセル化された光ビームの生成および/または投射を制御するように制御センターに結合されている。かくして制御センターは、マトリックス配置の各ピクセルの発光を個別に制御することができる。
【0041】
上記で提示したものに代えて、マトリックス配置は、ミラー(反射鏡)のマトリックスに結合された主光源を備えていてもよい。かくして、光を放出する少なくとも1つのソリッドステート光源で形成された少なくとも1つの主光源と、主光源からの光線を反射によって投射光学素子へ差し向ける光電素子のアレイとの組立体によって、ピクセル化された光源が形成される。その光電素子のアレイは、例えば「Digital Micro-mirror Device(デジタル・マイクロミラー・デバイス)」の頭字語DMDによっても知られるマイクロミラーのマトリックスである。適切な場合には補助光学素子が、少なくとも1つの光源の光線を集中させてマイクロミラー・アレイの表面の方へ差し向けるように、それらの光線同士を集めることができる。
【0042】
各マイクロミラーは、2つの決められた位置、各光線が投射光学素子の方へ反射される第1位置と、各光線が投射光学素子とは異なる方向へ反射される第2位置との間を回動することができる。2つの決められた位置は、全てのマイクロミラーについて同様の向きにされ、マイクロミラーのマトリックスを支持する基準面に対して当該マイクロミラーのマトリックスの仕様で定められた特有の角度を成している。そのような角度は、一般的には20°未満であり、通常は約12°であってよい。かくして、マイクロミラーのマトリックス上に入射する光ビームの一部を反射する各マイクロミラーが、ピクセル化された光源の基本発光体を成す。この基本発光体を、基本光ビームを放出したりしなかったりするよう選択的に作動させるための、各ミラーの位置変更の作動および制御は、制御センターによって制御される。
【0043】
異なる実施形態において、マトリックス配置は、次のような走査素子に向かってレーザー光源(具体的には、レーザーダイオード)がレーザービームを放出する走査レーザーシステムを備えていてもよい。即ち、レーザービームで波長変換器の表面を探査するように構成された走査素子である。この表面の像が、投射光学素子によって捕捉される。
【0044】
走査素子の探査は、人間の目が投射像の如何なる変位も知覚せぬに足るほど高い速度で成し遂げられ得る。
【0045】
レーザー光源の点灯とビームの走査運動との同期制御によって、選択的に点灯させることのできる基本発光体のマトリックスを波長変換素子の表面に生成することが可能となる。走査手段は、レーザービームの反射によって波長変換素子の表面を走査するための可動式マイクロミラーであってよい。走査手段として挙げられるマイクロミラーは、例えば、「Micro-Electro-Mechanical Systems(微小電気機械システム)」を表すMEMS型のものである。但し、本発明は、そのような走査手段に限定されるものではなく、他の種類の走査手段(例えば、回転要素上に配置された一連のミラーであって、当該要素の回転がレーザービームによる伝達面の走査を生じさせるものなど)を用いることができる。
【0046】
別の変形例では、光源が複雑なものであって、光素子(発光ダイオードなど)の少なくとも1つのセグメントと、モノリシック光源の表面部分との両者を含んでいてもよい。
【0047】
図2は、特定電流により給電されて特定温度下にあるときのLEDによって作り出される光束(Flux)値を示すグラフによる図解である。更に、このグラフには幾つかの不許容ドット6が付け加えられている。各ドット6は、幾つかの自動車両の規制によって認容されない色をもたらす電流と温度との組合せを示している。
【0048】
このグラフには、最小光束閾値4および最大光束閾値7も示されている。
【0049】
本発明による方法における、この特定の実施形態では、光源の動作が幾つかの前提の下で制御される。
【0050】
第1の前提は、光束は最小光束閾値4と最大光束閾値7との間に保たれるべき、ということである。
【0051】
第2の前提は、出力色は、許容条件を満たすべき、即ち当該グラフに示された各不許容ドット6から外れた状態に保たれるべき、ということである。
【0052】
この振る舞いは、LEDへ与えられる電流の量によって制御される。電流の変化によって、光束の変化と出力色の変化とが引き起こされるのである。
【0053】
従って、色と光束との点において認容される性能をもたらすのには、小さな変化が用いられるべきである。
【0054】
図3は、本発明による方法での、LEDにおける電流の進展の例を示している。
【0055】
始めに、LED内の温度がまだ低いときには、最小光束閾値4よりも最大光束閾値7の方に近い第1の電流値41が選択される。この電流値41は、温度との組み合わせにおいて(当該グラフに示された不許容ドット6からは離れていて)やはり許容される出力色をもたらすものである。
【0056】
時が過ぎる間に温度が上昇し、初期の電流値41によって、依然として許容値の範囲内ではあるが初期の光束(Flux)よりは低い光束がもたらされている。更には、出力色が(やはり認容可能ではありながら)不許容ドット6に近づいてしまっている。そこで、電流値が少しだけ高い値42まで増大させられ、その結果、光束は前よりも高く、色は不許容ドットから遠ざかっている。
【0057】
但し電流値は、増大させられる代わりに減少させられる場合もあり得る。これは、許容されない色の区域を避けるために、高い値の電流が選択されている場合である。そして、許容されない区域が無くなっているときには、より低い値43まで電流が減少させられるが、依然として許容条件を満たすと共に良好な光束値を確保し得るのである。