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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電気グリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A47J37/06 321
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023526221
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2021079836
(87)【国際公開番号】W WO2022090317
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】2017147.6
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2103717.1
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520508169
【氏名又は名称】アクティブ フード システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】キャドバリー、ジョージ ジャスティン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ、アンドリュー ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】オローク、サム
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0009998(KR,A)
【文献】特開2007-289649(JP,A)
【文献】国際公開第2020/139853(WO,A1)
【文献】特表2020-508818(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02511850(GB,A)
【文献】特開2009-117486(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0002677(KR,A)
【文献】特開昭57-059515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱プラットフォームと、
複数の側壁と、
前記加熱プラットフォームの上方に離隔して配置された複数のグリルバーと、
前記加熱プラットフォーム、前記複数の側壁、および前記複数のグリルバーの間に区画された加熱室と、を備え、
前記加熱プラットフォームは電気的に加熱され、
前記加熱室へ圧縮空気を送るために前記加熱プラットフォームの中央に位置し、前記加熱プラットフォームの全域に均等に空気流を向けるように構成された第1の空気供給部と、
前記複数の側壁に位置し、前記複数の側壁に沿うように空気流を向けることで前記第1の空気供給部の周囲を流れる空気渦を生成するように構成された第2の空気供給部と、
をさらに備える電気グリル。
【請求項2】
前記加熱プラットフォームは、電気加熱エレメントを互いの間に挟んだ2つの導電性プレートを備える、
請求項1に記載の電気グリル。
【請求項3】
前記2つの導電性プレートのうちの第1プレートは、上面および下面を有し、前記下面には複数の溝が形成され、
前記2つの導電性プレートのうちの第2プレートは、上面および下面を有し、前記上面には複数の溝が形成され、
前記第1プレートの前記複数の溝および前記第2プレートの前記複数の溝は、前記第1プレートおよび前記第2プレートが一体的に重ね合わされたときに、協働して加熱エレメントを受け入れるためのチャネルを形成する、
請求項2に記載の電気グリル。
【請求項4】
前記複数のグリルバーは、加熱エレメントを含まず、前記加熱プラットフォームからの輻射によって加熱される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気グリル。
【請求項5】
前記加熱プラットフォームは、500℃までの温度に到達して、前記複数のグリルバーを350℃までの温度に加熱するように構成される、
請求項4に記載の電気グリル。
【請求項6】
前記加熱プラットフォームは、金属またはセラミック材料で構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気グリル。
【請求項7】
前記第1の空気供給部は、前記加熱プラットフォームに形成され圧縮空気の発生源に接続される少なくとも1つの開口部と、前記加熱プラットフォームの表面の全域に空気流を向けるように構成された空気流ダイバータと、を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気グリル。
【請求項8】
前記空気流ダイバータは、前記加熱プラットフォームの前記開口部を通じて延在する柱状部と、前記柱状部の上端に取り付けられたキャップと、を備える、
請求項7に記載の電気グリル。
【請求項9】
前記空気流ダイバータは、放射状に突出する複数のリブを有する柱状部を備える、
請求項8に記載の電気グリル。
【請求項10】
前記第2の空気供給部は、前記複数の側壁のそれぞれに、当該側壁の端部に隣接して配置され、圧縮空気の発生源に接続される少なくとも1つの開口部を備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載の電気グリル。
【請求項11】
前記加熱プラットフォームおよび前記複数の側壁は、内壁および外壁と、前記内壁と前記外壁との間に位置する空気室とを有するハウジングの内部に配置され、
前記空気室は、圧縮空気の発生源に接続され、前記加熱プラットフォームの開口部と、前記複数の側壁の開口部とに連通している、
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気グリル。
【請求項12】
前記圧縮空気の発生源は、少なくとも1つのファンを備える、
請求項10または11に記載の電気グリル。
【請求項13】
前記加熱プラットフォームおよび前記複数の側壁は、内壁および外壁と、前記内壁と前記外壁との間に位置する第1の空気室とを有するハウジングの内部に配置され、
前記第1の空気室は、圧縮空気の発生源に接続され、前記加熱室の前記複数の側壁の前記開口部と連結し、
前記加熱プラットフォームと前記ハウジングの前記内壁との間に区画される第2の空気室をさらに備え、
前記圧縮空気の発生源は、前記第2の空気室から空気を引き込み当該空気を前記第1の空気室に供給するように構成されたファンを備える、
請求項10に記載の電気グリル。
【請求項14】
閉鎖された調理室を提供するために前記複数のグリルバーの上で開閉可能な蓋をさらに備える、
請求項1から13のいずれか一項に記載の電気グリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱されたグリルバーの上に食品を載せながら調理する、チャーグリルとしても知られる、電気グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な業務用の電気チャーグリルは、食品を載せるグリルバーの内部に収容された電気加熱エレメントを利用する。調理過程で発生した油脂は、脂トレイに排出され、当該脂トレイは脂火災のリスクを低減するために水を含む場合もある。時間が経つと、脂トレイは脂の残留物でいっぱいになり、これを安全に処分する必要がある。しかしながら、脂火災は依然として大きな懸念事項であり、排水溝への廃棄など、脂の残留物の不適切な処分の問題が広く存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、加熱プラットフォームと、複数の側壁と、加熱プラットフォームの上方に離隔して配置された複数のグリルバーと、加熱プラットフォーム、複数の側壁、および複数のグリルバーの間に区画された加熱室と、を備え、加熱プラットフォームは電気的に加熱される、電気グリルを提供する。この電気グリルは、前記加熱室へ圧縮空気を送るために前記加熱プラットフォームの中央に位置し、前記加熱プラットフォームの全域に均等に空気流を向けるように構成された第1の空気供給部と、前記複数の側壁に位置し、前記複数の側壁に沿うように空気流を向けることで前記第1の空気供給部の周囲を流れる空気渦を生成するように構成された第2の空気供給部と、をさらに備える。
【0004】
好ましくは、加熱プラットフォームは、電気加熱エレメントを互いの間に挟んだ2つの導電性プレートを備える。例えば、第1プレートは、上面および下面を有してもよく、下面には複数の溝が形成され、第2プレートは、上面および下面を有してもよく、上面には複数の溝が形成され、第1プレートの複数の溝および第2プレートの複数の溝は、第1プレートおよび第2プレートが一体的に重ね合わされたときに、協働して加熱エレメントを受け入れるためのチャネルを形成する。
【0005】
複数のグリルバーは、加熱エレメントを含まず、加熱プラットフォームからの輻射によって加熱される。好ましくは、加熱プラットフォームは、500℃までの温度に到達して、複数のグリルバーを350℃までの温度に加熱するように構成される。例えば、加熱プラットフォームは、金属またはセラミック材料で構成されてもよい。
【0006】
第1の空気供給部は、加熱プラットフォームに形成され圧縮空気の発生源に接続される少なくとも1つの開口部と、加熱プラットフォームの表面の全域に均等に空気流を向けるように構成された空気流ダイバータと、を備えてもよい。空気流ダイバータは、加熱プラットフォームの開口部を通じて延在する柱状部と、柱状部の上端に取り付けられたキャップと、を備えてもよい。特に、空気流ダイバータは、放射状に突出する複数のリブを有する柱状部を備えてもよい。
【0007】
第2の空気供給部は、複数の側壁のそれぞれに、当該側壁の端部に隣接して配置され、圧縮空気の発生源に接続される少なくとも1つの開口部を備えてもよい。
【0008】
好ましくは、加熱プラットフォームおよび複数の側壁は、内壁および外壁と、内壁と外壁との間に位置する空気室とを有するハウジングの内部に配置され、空気室は、圧縮空気の発生源に接続され、加熱プラットフォームの開口部と、複数の側壁の開口部とに連通している。通常、圧縮空気の発生源は、少なくとも1つのファンを備える。
【0009】
別の態様では、加熱プラットフォームおよび複数の側壁は、内壁および外壁と、内壁と外壁との間に位置する第1の空気室とを有するハウジングの内部に配置され、第1の空気室は、圧縮空気の発生源に接続され、加熱室の複数の側壁の開口部と連結し、加熱プラットフォームとハウジングの内壁との間に区画される第2の空気室をさらに備え、圧縮空気の発生源は、第2の空気室から空気を引き込み当該空気を第1の空気室に供給するように構成されたファンを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ここで、本発明は、添付の図面を参照して、例示的にのみ説明される。
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電気グリルの斜視図である。
図2a図2aは、複数のグリルバーを取り除いて下の加熱室と加熱プラットフォームとを見えるようにした、図1の電気グリルを示す図である。
図2b図2bは、加熱プラットフォームの上側のプレートも取り除いて示すこと以外は図2aと同様の図である。
図3図3は、加熱プラットフォームの下面を示すために一部の部品を取り除いた、図1の電気グリルを下方から見た斜視断面図である。
図4図4は、空気室を示す、図2bの装置を上方から見た斜視断面図である。
図5図5は、空気通路装置の断面を示す図である。
図6図6は、上部のキャップを取り外した状態の空気通路装置の上端を示す図である。
図7図7は、空気流を説明する加熱プラットフォームの模式的な平面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態の、一部を断面とした側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気グリル10の斜視図を示す。図1は、自立ユニットとして図示されているが、本発明を組み込んだグリルは、ビルトインユニットとして構成されていてもよい。
【0012】
電気グリル10は、大部分が板金で作られた本体12を備える。複数のグリルバー14は、後述の加熱室の上に設けられる。本体12は、直立のバックプレート18を含んでもよい。図示しないが、閉鎖された調理室を提供するために、複数のグリルバー14の上部で閉じることが可能な、ヒンジ付き蓋がさらに設けられてもよい。複数のグリルバー14は、通常、鋳鉄製であり、約250~350℃までの温度に耐えられる。
【0013】
図2aおよび図2bは、その下の加熱室16を示すために複数のグリルバー14を取り除いた、図1の電気グリル10の一部を示す。加熱室16は、加熱プラットフォーム20、複数の側壁22および複数のグリルバー14(存在する場合)によって区画される。
【0014】
加熱プラットフォーム20は、電気的に加熱される。電気的に駆動される加熱エレメントが、加熱プラットフォーム20の内部に配置されてもよい。例えば、加熱プラットフォーム20は、それぞれ上面と下面とを有する2つの金属性のプレート20a、20bを備えてもよい。上側のプレート20aの下面および下側のプレート20bの上面には、共に、多数の溝24が機械加工されている。プレート20aおよびプレート20bが一体的に重ね合わされると、各プレートの複数の溝24が整列して、加熱エレメントが内部にフィットするチャネルを区画する。例えば、プレート20aおよびプレート20bが一体的に重ね合わされたときに、複数の溝24が円形断面形状のチャネルを区画するように、複数の溝24の断面が半円形状であってもよい。図2aは、所定の位置にある上側のプレート20aを示し、図2bは、複数の溝24を有する下側のプレート20bを示し、上側のプレート20aは説明の目的のために取り除かれている。
【0015】
上述の通り、2つのプレート20a、20bは、共に、鉄などの金属、または他の導電性材料、例えば炭化ケイ素等のセラミック材料で形成されていてもよい。この場合、断熱材が加熱プラットフォーム20の下方に設けられていてもよい。あるいは、下側のプレート20b自体が断熱性材料から形成されていてもよい。
【0016】
使用中、加熱プラットフォーム20は加熱エレメントによって加熱され、調理のための一次熱源として機能する。加熱プラットフォーム20から上方に短い距離、例えば20~70cmに位置する複数のグリルバー14は、主に、加熱プラットフォーム20からの輻射熱および少しの対流によって、加熱される。したがって、複数のグリルバー14は、調理のための二次熱源を構成するが、それら自体は加熱エレメントを含まない。加熱プラットフォーム20は、通常、熱分解プロセスが生じる500℃までの温度に加熱され、これにより複数のグリルバー14を250~350℃の温度に到達させることができる。加熱プラットフォーム20の内部に配置された加熱エレメントによって提供されるこの一次熱源は、一定の温度に保たれるので、異なる調理スタイルのために要求される二次熱源の変更は、複数のグリルバー14と加熱プラットフォーム20との間の深さの調整によって達成することができる。
【0017】
複数のグリルバー14の上に載せられた食品は、一次熱源、すなわち加熱プラットフォーム20からの熱によって、主に調理される。二次熱源、すなわち複数のグリルバー14への食品の直接的な接触によって、食品を完全に焼くことなく、食品に焼き目が付けられる。複数のグリルバー14が到達する温度は、メイラード反応の発生に適した環境を提供し、食品に特有の焼き色を付けた外観と好ましい風味を与える。
【0018】
本発明の電気グリル10は、余分な油脂を回収するための脂トレイを含まない。代わりに、電気グリル10は、強制空気供給システムをさらに備え、さもなければ調理中に加熱室16に滴り落ち得る、食品から生じる油脂の酸化プロセスを助ける。
【0019】
油脂が燃焼するとき、それに関連する大きな炭素鎖分子は、完全燃焼を達成するためにより多くの酸素を必要とする。空気の流れが不十分の場合、過剰な一酸化炭素を伴う炭素に富んだ煤けた炎が発生する。しかしながら、本発明においては、強制的に空気を供給することで、油脂がより綺麗に燃焼し、部分的に油脂が燃焼することによる黒い刺激臭のある煙が減少する。熱分解作用は500℃付近で開始することが知られており、本発明の強制的な空気供給によって提供される通気環境での酸化が加わると、有機物が無機物の塵や灰に酸化することを助けることができる。したがって、本発明の電気グリル10は、油脂を確実に完全燃焼させ、定期的な清掃時に容易に掃除機で吸い取ることができる軽い灰の残留物のみを残す。電気グリル10は、火災の危険や健康上および環境上の懸念をもたらす脂の残留物を生じさせない。
【0020】
本発明の強制空気供給システムを提供するために、加熱室16は、圧縮空気を加熱室16の内部に供給する第1および第2の空気供給部を含むダブルスキンの支持構造体26の内部に設けられる。支持構造体26は、内側および外側ケーシング28、30を備え、空気室32をこれらの間に区画するように互いに入れ子状となっている。これは図4に示される。内側ケーシング28は、中央に位置する開口部36を有する。開口部36の下方には、内側および外側ケーシング28、30の間に延在し、開口部36の下方で中央空気室を区画する有孔壁を備える空気入口アセンブリ34が存在してもよい。空気入口アセンブリ34は、英国特許第2511850号明細書に記載のものと同様であってもよい。チューブ46は、開口部36から、加熱プラットフォーム20の下面まで、上向きに延在する。加熱プラットフォーム20は、チューブ46および開口部36と同軸であるがより直径の小さい中央の開口部38をさらに備える。これらの特徴は、図5に最もよく示される。
【0021】
圧縮空気は、例えばファン44(図4に概略的にのみ示されているが、実際には、電気グリル10の本体12の内部で、支持構造体26の下方に配置されていてもよい。)によって、空気室32の内部に供給される。
【0022】
第1の(一次)空気供給部は、圧縮空気を加熱室16の中央領域に供給する。空気室32からの圧縮空気は、空気入口アセンブリ34および開口部36を経由して、チューブ46に入り、その後、加熱プラットフォーム20の開口部38を通って加熱室16に入る。
【0023】
空気通路装置40は、開口部38内に位置し、加熱室16の内部まで上方に突出し、開口部36に向けてチューブ46の内部まで下方に突出する。空気通路装置40は、放射状に突出する複数のリブを有する中央柱を備える。例えば、図3および図4に示すように、断面形状が十字状の4つの突出リブが存在する。図4に示すように、空気通路装置40の上端には、円形のキャップ42が配置されている。空気通路装置40の下部は図3に示され、キャップを除く上端は図6に示される。空気通路装置40は、加熱プラットフォーム20の開口部38を4つの四分円に分割する。キャップ42は、これら4つの四分円を通過する上昇空気流を偏向させ、加熱プラットフォーム20の全域に亘って加熱室16に流れ出るように横方向に向ける。この配置により、空気流は加熱室16の周囲に適度に均等に分配される。
【0024】
第2の空気供給部は、加熱室16の複数の側壁22に複数の開口部48を備える。好ましくは、1つ以上の開口部48が、各側壁に設けられ、ある側壁22が隣の側壁22と交わる角部の近傍の一端に位置する。複数の開口部48は、支持構造体26に形成された空気室32と連通し、それにより圧縮空気が複数の開口部48から噴出して加熱室16に入る。複数の開口部48は、角部に向かって配置されているので、加熱室16の周囲を旋回する空気渦を生じさせやすい。これにより、中央の一次空気源からの空気流を外側に引き寄せ、加熱室16全体に亘って良好な空気流を確保することができる。さらに、油脂滴が燃焼した場合、空気流がそのような炎を上方ではなく横方向に押し流す。これにより、燃え上がりを最小限に抑えることができ、調理中の食品が焦げるのを防ぐことができる。
【0025】
図7は、空気流を説明する加熱プラットフォーム20の模式的な平面図である。中央の開口部38から発出する矢印Pは、第1の空気供給部からあらゆる方向に広がる空気流を表す。角部の近傍から縁に沿って延在する矢印Sは、加熱室16の周囲を、この場合には反時計回りの方向に旋回しやすい、第2の空気供給部からの空気流を表す。中央の開口部38からの空気流は、最初は加熱プラットフォーム22の全域で放射状にあらゆる方向に広がるが、複数の開口部48からの空気流によって徐々に向きが変えられて、開口部38の周囲を流れる空気渦を形成する。
【0026】
第1および第2の空気供給部による強制的な空気流により、食品から出る油脂をより十分に燃焼させることができる。炎が発生しても、より綺麗にかつ迅速に燃焼し、煙の発生は減少し、または無くなる。残留物は灰や塵になり、掃除機によって加熱室16から取り除くことができる。脂の残留物や停留した油の処分は不要となる。
【0027】
上述の通り、本発明の電気グリル10は、調理中の食品から滴り落ちる油脂を回収するための脂トレイを含まない。代わりに、複数のグリルバー14の下方の加熱室16は、第1および第2の空気供給部からコントロールされた方法で供給される空気流を有する、閉鎖され、コントロールされた環境である。空気は、上部から、複数のグリルバー14を取ってのみ、加熱室16から排出すること排気することができる。これは、複数のグリルバーの下方に脂トレイを必要とし、故により開けた構造であり、複数のグリルバーの下方で、外部のコントロールされていない空気の動きに影響を受けやすい従来のグリルとは対照的である。本発明では、コントロールされた空気流を有する閉鎖された加熱室が、本発明の改善された性能を提供する。
【0028】
このように、改良された電気グリルが提供される。このグリルは、食品を迅速かつ効率的に調理し、風味および食感を維持し、減少を最小限に抑える。また、このグリルは、食品を焦がしたり不必要な煙や脂の残留物を発生したりすることなく、好ましい炭火焼きの特徴を得ることができる。加熱室全体が非常に高温に加熱されるため、動物性油脂が蒸発し、残留物を最小限に抑え、食品をジューシーに保つことができる。
【0029】
電気グリル10の別の実施形態が図8に示される。これは、加熱室16への第2の空気供給部の所定の特徴に関しては上述の実施形態と異なるが、電気グリル10のその他の特徴は上述したものと同様である。
【0030】
この場合、加熱室16の複数の側壁22に設けられた複数の開口部48に供給される第2の空気流は、内側ケーシング28と加熱プラットフォーム20の下面との間の空間である第2の空気室50から吸引される。この第2の空気室50内の空気は、電気グリル10の使用中に加熱され、空間50と接続するダクト52を通ってファン54に吸引される。そして、ファン54は、この加熱された空気を、支持構造体26の内側および外側ケーシング28,30の間の空気室32に供給する。そして、この加熱された空気は、開口部48を通って加熱室16に流入し、加熱室16の周囲を流れる空気渦を生成する。加熱された空気は、空気入口アセンブリ34に供給されて、加熱室16内の加熱プラットフォーム20の中央に供給されてもよい。あるいは、空気入口アセンブリ34への第1の空気供給部は、別のファンによって供給される周囲空気であってもよい。
【0031】
第2の空気室50から加熱された空気を第2の空気流として供給することで、電気グリル10の効率がさらに改善する。第2の空気室50からの空気を使用することで、電気グリル10のこの部分における過剰な熱の蓄積を回避することができる。さらに、既に加熱された空気流を加熱室16に供給することで、加熱室16の角部の温度がより高く維持される。その結果、加熱プラットフォーム20内の加熱エレメントの電力要求が低減するので、加熱室16の温度と同等の温度を維持するために、より低いワット数の加熱エレメントを使用することができる。したがって、電気グリル10に必要な全体的なエネルギー入力が減少し、製品の効率が最大化される。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8