IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローズマウント インコーポレイテッドの特許一覧

特許7575597pHセンサ用の固体参照ゲル及びその製造方法
<>
  • 特許-pHセンサ用の固体参照ゲル及びその製造方法 図1
  • 特許-pHセンサ用の固体参照ゲル及びその製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】pHセンサ用の固体参照ゲル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20241022BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20241022BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20241022BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20241022BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20241022BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01N27/30 311D
C08L71/02
C08K3/32
C08K3/26
C08K3/16
C08K5/098
G01N27/30 315B
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2023528259
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021052031
(87)【国際公開番号】W WO2022103495
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】17/095,418
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー、チンポー
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-511631(JP,A)
【文献】特開平08-136496(JP,A)
【文献】特開平03-296657(JP,A)
【文献】特開2000-164033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176371(US,A1)
【文献】特開平08-145937(JP,A)
【文献】ISHIKAWA, T.,Stress-Optical Coefficient of Poly(ethylene oxide) and Poly(propylene oxide) Networks. Measurements,Polymer Journal,1973年,Vol.5, No.2,p.227-229,https://doi.org/10.1295/polymj.5.227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/30
C08L 71/02
C08K 3/32
C08K 3/26
C08K 3/16
C08K 5/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHセンサの参照電極内における使用のための固体ゲルであって、前記固体ゲルは、水と、pHを調整するための緩衝系と、ゲル化剤としてのポリエチレングリコールまたはその誘導体と、参照電解質塩との反応生成物を含み、ここで前記水と、前記緩衝系と、前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体と、前記参照電解質塩とは、液体状態で混合されると混合物を形成し、前記混合物はガンマ線照射に供されると前記反応生成物を形成する、前記固体ゲル。
【請求項2】
前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、前記混合物の2~90重量%を構成する、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項3】
前記緩衝系が、リン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項4】
前記参照電解質塩が、0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項5】
前記ポリエチレングリコールが15,000の最小平均分子量を有する、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項6】
前記固体ゲルの粘度が、前記混合物における前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体の濃度および前記混合物における前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体の分子量によって決まる、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールの誘導体が、メトキシポリエチレングリコールおよびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートを含む、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項8】
前記固体ゲルは1kGy以上のガンマ線照射線量に曝露されたものである、請求項1に記載の固体ゲル。
【請求項9】
pHセンサの参照電極内における使用のための固体ゲルを作製する方法であって、水、緩衝系、ポリエチレングリコールまたはその誘導体および参照電解質塩を混合して混合物を形成し、前記混合物をガンマ線照射に曝露させて固体ゲルを形成することを含む、前記方法。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体前記混合物の2~90重量%を構成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記緩衝系が、リン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記参照電解質塩が、0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコールが15,000の最小平均分子量を有する、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記固体ゲルの粘度が、前記混合物におけるポリエチレングリコールまたはその誘導体の濃度を増加させることおよび前記混合物におけるポリエチレングリコールまたはその誘導体の分子量を増加させることによって調整される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコールの誘導体が、メトキシポリエチレングリコールおよびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートを含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物を液体状態から前記固体ゲルに変換するためのガンマ線照射線量が1kGy以上である、請求項に記載の方法。
【請求項17】
ハウジングを有する参照電極と、前記ハウジング内の固体ゲルとを含むpHセンサであって、前記固体ゲルは、水と、緩衝系と、ポリエチレングリコールまたはその誘導体と、参照電解質塩との反応生成物を含み、ここで前記水と、前記緩衝系と、前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体と、前記参照電解質塩とは、液体状態で混合されて混合物を形成し、前記混合物をガンマ線照射に供して前記固体ゲルを形成したものである、前記pHセンサ。
【請求項18】
前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、前記混合物の2~90重量%を構成する、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項19】
前記緩衝系が、リン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項20】
前記参照電解質塩が、0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項21】
前記ポリエチレングリコールが15,000の最小平均分子量を有する、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項22】
前記固体ゲルの粘度が、前記混合物におけるポリエチレングリコールまたはその誘導体の濃度および分子量によって決まる、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項23】
前記pHセンサが、~90psiの範囲の外部プロセス圧力にさらされたときに圧力応答を生成しないことを特徴とする、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項24】
前記ポリエチレングリコールの誘導体が、メトキシポリエチレングリコールおよびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートを含む、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項25】
前記固体ゲルは、前記混合物を前記液体状態から前記固体ゲルに変換した1kGy以上のガンマ線照射線量に曝露されたものである、請求項17に記載のpHセンサ。
【請求項26】
固体参照ゲルが充填されている参照電極を含むpHセンサを作製する方法であって、水、緩衝系、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、および参照電解質塩を混合して液体状態の混合物を形成すること、センサハウジング内に前記液体状態の混合物を配置すること、および前記センサハウジング内にある間に前記液体状態の混合物をガンマ線照射に曝露させて前記固体参照ゲルを形成することを含む前記方法。
【請求項27】
前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、前記液体状態の混合物の2~90重量%を構成する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記緩衝系が、リン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記参照電解質塩が、0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリエチレングリコールが15,000の最小平均分子量を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記固体参照ゲルの粘度が、前記混合物におけるポリエチレングリコールまたはその誘導体の濃度を増加させることおよび前記混合物におけるポリエチレングリコールまたはその誘導体の分子量を増加させることによって調整される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリエチレングリコールの誘導体が、メトキシポリエチレングリコールおよびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記固体参照ゲルを前記液体状態の混合物から前記固体参照ゲルに変換するためのガンマ線照射線量が1kGy以上である、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生用途のために設計されたpHセンサに使用することができる生体適合性の固体参照ゲルを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
参照電極内に液体参照電解質を使用するpHセンサは、正のプロセス圧力に曝されると、望ましくない応答変動を被る可能性がある。この挙動は図1に示されており、ここでは、参照電極が液体参照溶液で満たされた2つのpHセンサが0~90psiの範囲の様々なプロセス圧力に曝露されている。プロセス圧力を0~30psiに上昇させると、2つのpHセンサは応答変動を示し始めている。プロセス圧力が90psiに達したとき、1pH単位までの有意な応答変動が観察された。かかる変動は重大な測定誤差を引き起こすものであり、許容されない。
【0003】
この望ましくない圧力感度は、参照電極から参照液絡部を通ってプロセスへ至るイオン拡散の乱れによって引き起こされ、不安定な参照液間電位差、およびその後の不規則なセンサ応答をもたらす。そのため、かかる挙動を有するpHセンサは、正の、変化するプロセス圧力を有する用途には適していない。
【0004】
この問題に対処するための一般的なアプローチは、センサ参照電極に内圧を印加し、それにより、液絡部を通して参照電解質を押し出すことによって外部プロセス圧力の影響を相殺することである。米国特許7,704,359号公報、米国特許出願公開2017/0176371号公報、および米国特許9,134,266B2号公報を含むいくつかの米国特許には、参照電極に内圧を導入する設計および製造プロセスが記載されている。加圧された参照チャンバはこの問題に対処するための有効なアプローチであるが、著しく複雑な機械的設計、検証、およびその後の製造プロセスの開発を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、pHセンサに用いられる固体ゲルに関する。前記固体ゲルは、水と、ゲルが液体状態にあるときに前記ゲルのpHを調整するための緩衝系と、ゲル化剤としてのポリエチレングリコールまたはその誘導体と、塩との反応生成物であり、ここで前記水と、前記緩衝系と、前記ポリエチレングリコールと、参照電解質塩とは液体状態で混合されると混合物を形成し、ガンマ線照射に供されて形成される反応生成物である。
【0006】
本開示はさらに、ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、前記液体状態においてはおおよそ2~90重量%を構成する、前記反応生成物に関する。
【0007】
本開示はさらに、前記緩衝系がリン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、反応生成物に関する。
【0008】
本開示はさらに、前記参照電解質塩が0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、前記反応生成物に関する。
【0009】
本開示はさらに、前記ポリエチレングリコールが約15,000の最小平均分子量を有する、前記反応生成物に関する。
【0010】
本開示はさらに、前記ゲルの粘度がポリエチレングリコールまたはその誘導体の濃度および分子量によって調整される、前記反応生成物に関する。
【0011】
本開示はさらに、前記ゲルを液体状態から固体状態に変換するためのガンマ線照射線量が1kGy以上である、前記反応生成物に関する。
【0012】
本開示はまた、pHセンサにおける使用のための固体ゲルの製造方法に関する。前記方法は、水、緩衝系、ポリエチレングリコールまたはその誘導体および参照電解質塩を混合して混合物を形成すること、および前記混合物をガンマ線照射に曝露して固体ゲルを形成することを含む。
【0013】
本開示はさらに、前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体がおおよそ2~90重量%を含む、前記方法に関する。
【0014】
本開示はさらに、前記緩衝系がリン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、前記方法に関する。
【0015】
本開示はさらに、前記参照電解質塩が0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、前記方法に関する。
【0016】
本開示はさらに、前記ポリエチレングリコールが約15,000の最小平均分子量を有する、前記方法に関する。
【0017】
本開示はさらに、前記ゲルの粘度がポリエチレングリコールまたはその誘導体の濃度および分子量によって調整される、前記方法に関する。
【0018】
本開示はさらに、前記ゲルを液体状態から固体状態に変換するためのガンマ線照射線量が1kGy以上である、前記方法に関する。
【0019】
本開示は、ハウジングと、前記ハウジング内の固体ゲルとを備えるpHセンサにも関する。前記固体ゲルは、水と、ゲルが液体状態にあるときに前記ゲルのpHを調整した緩衝系と、ポリエチレングリコールまたはその誘導体と、参照電解質塩とで形成される混合物をガンマ線照射に供して前記固体ゲルを形成したものである反応生成物を含む。
【0020】
本開示はさらに、前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、前記液体状態においてはおおよそ2~90重量%を構成する、前記反応生成物に関する。
【0021】
本開示はさらに、前記緩衝系がリン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、前記反応生成物に関する。
【0022】
本開示はさらに、前記参照電解質塩が0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、前記反応生成物に関する。
【0023】
本開示はさらに、前記反ポリエチレングリコールまたはその誘導体が約15,000の最小平均分子量を有する、前記反応生成物に関する。
【0024】
本開示はさらに、前記反ゲルの粘度がポリエチレングリコールの濃度および分子量によって調整される、前記反応生成物に関する。
【0025】
本開示はまた、参照電極に固体参照ゲルが充填されたpHセンサを作製する方法に関する。この方法は、水、緩衝系、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、および参照電解質塩を混合して混合物を形成すること、センサハウジング内に前記混合物を配置すること、および前記センサハウジング内にある間に前記混合物をガンマ線照射に曝露させて固体ゲルを形成すること、を含む。
【0026】
本開示はさらに、前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、前記液体状態においてはおおよそ2~90重量%を構成する、この方法に関する。
【0027】
本開示はさらに、前記緩衝系がリン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含む、この方法に関する。
【0028】
本開示はさらに、前記参照電解質塩が0.01M~飽和濃度の塩化カリウムまたは0.01M~飽和濃度の酢酸リチウムを含む、この方法に関する。
【0029】
本開示はさらに、前記ポリエチレングリコールまたはその誘導体が、約15,000の最小平均分子量を有する、この方法に関する。
【0030】
本開示はさらに、前記ゲルの粘度がポリエチレングリコールの濃度および分子量によって調整される、この方法に関する。
【0031】
本開示はさらに、前記ゲルを液体状態から固体状態に変換するためのガンマ線照射線量が1kGy以上である、この方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、従来技術のセンサの圧力感度の図示である。
図2図2は、本開示の固体ゲルを有するセンサの圧力感度の図示である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、約90psiで望ましくないセンサ圧力感度を低減または排除するために開発された固体参照ゲルを記載する。ゲルは液体の形態で調製され、製造プロセス中にセンサ参照電極に注入されるときは液体のままである。これで、製造における容易な取り扱いおよび処理が可能となる。液体ゲルはガンマ線照射プロセスに供され、その間、ゲルは架橋し、固化形した態に変化する。ガンマ線照射はまた、衛生環境での使用に適したセンサを滅菌する。ゲルは固化するとセンサ参照電極にプロセス圧力抵抗を提供する。
【0034】
本開示のゲルは、4つの化学成分の反応生成物である。
1.溶剤としての水使用量
2.ゲルが液体形態である場合に、ゲルのpHを調整するために使用される緩衝系
3.ガンマ線照射によりゲルを固化させるために使用されるゲル化剤としてのポリエチレングリコールまたはその誘導体
4.塩化カリウムまたは酢酸リチウムなどの、安定した参照電位差を提供するための参照電解質塩
【0035】
緩衝系は、リン酸塩系バッファー(phosphate buffer)、炭酸塩系バッファー(carbonate buffer)またはクエン酸塩系バッファー(citrate buffer)を含み得る。
【0036】
ポリエチレングリコールまたはその誘導体は、固体ゲルを形成するのに十分であると考えられる液体状態にある場合、混合物のおおよそ2~90重量%を構成し、好ましくはおおよそ20重量%のポリエチレングリコールまたはその誘導体が固体ゲルを形成するのに適している。ポリエチレングリコール誘導体としてはメトキシポリエチレングリコールおよびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。ゲル化剤として、具体的にポリエチレングリコール及びその誘導体が挙げられているが、ガンマ線照射下で重合体の水溶液が固化するものであれば、他の重合体を用いてもよい。他の適切なゲル化剤としては、ポリプロピレングリコールおよびその誘導体、ならびにポリアルキレングリコールおよびその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本開示のゲルはまた、ゲルが照射されたものであるか否かにかかわらず、様々なpHセンサおよび酸化還元電位(ORP)センサにおいて有用であり得る。
【0038】
塩化カリウムは、センサのAg/AgClワイヤと結合されたときに安定かつ予測可能である参照電位を形成するために添加される。二重液絡参照電極の構成で使用する場合、酢酸リチウムなどの他の参照電解質を使用することができる。次いで、センサの内容物を照射して、固体ゲルを形成する。
【0039】
本開示のセンサの4つの構成要素はすべて生体適合性であり、衛生用途に有用となっているが、本明細書の開示は衛生用途に限定されるべきではなく、衛生用途以外の他の用途も企図される。
【0040】
ゲルの緩衝系は、酸とその共役塩基との適切な対(pair)、例えば、リン酸塩系バッファーまたは炭酸塩系バッファーを含有する。ゲルのpHは、緩衝系内の酸-塩基対の濃度比を制御することによって調整することができる。例えば、NaHPOのNaOHに対する濃度比を変えることにより、ゲルpHを調整することができる。
【0041】
ゲルの初期粘度は、ゲル化剤の濃度および分子量を変化させることによって制御することができる。濃度および分子量が高いほど、粘度は高くなる。
【実施例
【0042】
最初に、約0.106MのNaHPO、0.04Mの水酸化ナトリウム、および1Mの塩化カリウムを水中に溶解してリン酸バッファーを形成することによって、ゲルプロトタイプ(gel prototype)を調製した。次いで、室温で磁気撹拌しながら、約20重量%のポリエチレングリコール(平均分子量20,000)を前記バッファー溶液に添加した。均質な液体ゲルが約2時間で形成され、初期粘度は約53.7cPであった。
【0043】
次いで、液体ゲルをpHセンサの参照電極チャンバに充填した。次いで、滅菌およびゲル固化のために、センサを約55kGyでガンマ線照射した。ガンマ線照射後、液体ゲルは固化され、生成され固化ゲル内の適所に固定された少数の小さな気泡を伴っていた。これにより、望ましくないセンサスパイクにつながり得るセンサ内の気泡の移動が防止される。
【0044】
このゲルで満たされた本開示のセンサを、ガンマ線照射の前後に較正し(calibrated)、その機能性を検証した。表1に示されるように、センサは、ゲルが液体形態のときも固体形態のときも、本開示のゲルの使用によって導入される有意な変化無しに首尾よく較正された。
【0045】
【表1】


図1
図2