(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】誘導式の位置センサ、装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/14 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G01D5/14 D
(21)【出願番号】P 2023536973
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2021084938
(87)【国際公開番号】W WO2022128723
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】102020216144.5
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クルツ
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト アレクサンダー ダウト
(72)【発明者】
【氏名】ジーナ フェラ
(72)【発明者】
【氏名】ティム クシジャノフスキ
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-42026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0360839(US,A1)
【文献】国際公開第2019/141861(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/030948(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/14-5/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導式の位置センサであって、
可動の要素(3)に配置可能な結合要素(8)
と、
前記結合要素(8)の位置を検出するための少なくとも1つのセンサユニット(11)
であって、前記センサユニット(11)は、電磁波を生成するための少なくとも1つの駆動可能な送信器コイル(13)と、前記送信器コイル(13)によって生成され、かつ前記結合要素(8)による影響を受けた電磁波を検出するための少なくとも1つの受信器コイル(14A)とを有する、
センサユニット(11)と、
複数の層(10)を有するプリント基板(9)であって、前記センサユニット(11)の前記
送信器コイル(13
)および前記受信器コイル(14A)は、前記プリント基板(9)に形成されている、プリント基板(9)と、
を備える位置センサにおいて、
前記送信器コイル(13)および前記受信器コイル(14A)は、前記送信器コイル(13)が、前記プリント基板(9)に対して垂直に方向付けられた軸線(Z)に関して少なくとも部分的に軸線方向で前記受信器コイル(14A)に対向するように、前記プリント基板(9)の前記複数の層(10)に分散されて形成されて
おり、
さらなる結合要素(21)の位置を検出するためのさらなるセンサユニット(20)が設けられており、
前記さらなるセンサユニット(20)は、少なくとも1つの送信器コイル(22)と、少なくとも1つの受信器コイル(23A)とを有し、
前記さらなるセンサユニット(20)の少なくとも1つの前記送信器コイル(22)および少なくとも1つの前記受信器コイル(23A)は、前記プリント基板(9)に形成されている、
ことを特徴とする、位置センサ。
【請求項2】
前記プリント基板(9)は、少なくとも1つの受信器コイルフリー層(10C,10D)を有し、
前記送信器コイル(13)の送信器コイル部は、前記送信器コイル部が軸線方向で前記受信器コイル(14A)に対向するように、前記受信器コイルフリー層(10C,10D)に形成されている、
請求項1記載の位置センサ。
【請求項3】
前記プリント基板(9)は、少なくとも1つの送信器コイルフリー層(10A,10B)を有し、
前記受信器コイル(14A)の受信器コイル部は、前記受信器コイル部が軸線方向で前記送信器コイル(13)に対向するように、前記送信器コイルフリー層(10A,10B)に形成されている、
請求項1または2記載の位置センサ。
【請求項4】
前記プリント基板(9)は、前記送信器コイル(13)と前記受信器コイル(14A)との両方が形成されている少なくとも1つの層を有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の位置センサ。
【請求項5】
前記送信器コイル(13)と前記受信器コイル(14A)とは、前記プリント基板(9)のそれぞれ異なる層(10)に形成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の位置センサ。
【請求項6】
前記送信器コイル(13)は、前記受信器コイル(14A)の、前記結合要素(8)とは反対の側に配置されている、または
前記受信器コイル(14A)は、前記送信器コイル(13)の、前記結合要素(8)とは反対の側に配置されている、
請求項5記載の位置センサ。
【請求項7】
前記受信器コイル(14A)は、前記送信器コイル(13)の最大半径方向寸法(15)に少なくとも実質的に相当する最大半径方向寸法(32)を有する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の位置センサ。
【請求項8】
前記プリント基板(9)は、円ディスク形
に形成されている、またはストリップ形に形成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の位置センサ。
【請求項9】
前記センサユニット(11)は、少なくとも2つの受信器コイル(14A,14B)を有し、
少なくとも2つの前記受信器コイル(14A,14B)は、前記プリント基板(9)の同一の層(10)に形成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の位置センサ。
【請求項10】
前記センサユニット(11)の前記送信器コイル(13)と、前記さらなるセンサユニット(20)の前記送信器コイル(22)とは、軸線方向において一方では前記センサユニット(11)の前記受信器コイル(14A)によって、他方では前記さらなるセンサユニット(20)の前記受信器コイル(23A)によって取り囲まれている、
請求項
1から9までのいずれか1項記載の位置センサ。
【請求項11】
可動の要素(3)と、前記可動の要素(3)の位置を検出するための、前記要素(3)に対応付けられた誘導式の位置センサ(7)とを備えた装置において、
請求項1から
10までのいずれか1項記載の位置センサ(7)が設けられている
ことを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導式の位置センサであって、位置センサは、可動の要素に配置可能な結合要素を備え、位置センサは、結合要素の位置を検出するための少なくとも1つのセンサユニットを備え、センサユニットは、電磁波を生成するための少なくとも1つの駆動可能な送信器コイルと、送信器コイルによって生成され、かつ結合要素による影響を受けた電磁波を検出するための少なくとも1つの受信器コイルとを有し、位置センサは、複数の層を有するプリント基板を備え、センサユニットのコイルは、プリント基板に形成されている、位置センサに関する。
【0002】
本発明はさらに、誘導式の位置センサを備えた装置に関する。
【0003】
従来技術
誘導式の位置センサは、従来技術から既に公知である。誘導式の位置センサは、通常、センサユニットを有し、このセンサユニットは、電磁波を生成するための駆動可能な少なくとも1つの送信器コイルを有する。生成された波は、位置センサの結合要素による影響を受け、影響を受けた波が、センサユニットの少なくとも1つの受信器コイルによって検出される。この場合、誘導式の位置センサは、送信器コイルによって生成された波が、結合要素の位置に依存して結合要素によるそれぞれ異なる影響を受けるという効果を利用している。したがって、受信器コイルによって検出される波も、結合要素の位置による影響を受ける。受信器コイルによって検出された電磁波に依存して、相応に、結合要素の位置を決定または特定することができる。結合要素が可動の要素に配置されている場合には、この結合要素の位置を特定することによって可動の要素の位置を間接的に特定することができる。典型的には、送信器コイルおよび受信器コイルは、位置センサの、複数の層を有する1つの共通のプリント基板に形成されている。
【0004】
冒頭に述べた形式の誘導式の位置センサは、例えば独国特許発明第102016202871号明細書から公知である。この公知の位置センサの場合、送信器コイルおよび受信器コイルは、送信器コイルが、プリント基板に対して垂直に方向付けられた軸線に関して半径方向で受信器コイルを取り囲むように、プリント基板の複数の層に分散されて形成されている。
【0005】
発明の開示
本発明による誘導式の位置センサは、請求項1の特徴によれば、送信器コイルが、プリント基板に対して垂直に方向付けられた軸線に関して少なくとも部分的に軸線方向で受信器コイルに対向するように、送信器コイルおよび受信器コイルがプリント基板の複数の層に分散されて形成されているという点で優れている。本発明による位置センサの構成によれば、半径方向における送信器コイルの寸法を、公知の位置センサに比べて低減することができる。これにより、位置センサを全体的により小型に形成することを、これによってセンサユニットの感度を低減することなく実現することができる。さらに、本発明による位置センサの構成によれば、送信器コイルのインダクタンスを調整する際における変更範囲が拡大される。この変更範囲は、送信器コイルの幾何形状と、送信器コイルから結合要素までの距離とによって決定的に決まる。好ましくは、位置センサは、受信器コイルによって検出された電磁波を評価するように構成された計算ユニットを有する。例えば、計算ユニットは、受信器コイルによって検出された信号、すなわち検出された波を復調するように構成されている。
【0006】
このために、計算ユニットは、電気的な接続線路によって受信器コイルに電気的に接続されている。好ましくは、計算ユニットは、復調された信号を制御機器に供給するように構成されており、制御機器は、復調された信号に依存して結合要素の位置を特定するように構成されている。好ましくは、計算ユニットは、送信器コイルを駆動するようにも構成されている。このために、計算ユニットは、電気的な接続線路によって送信器コイルに電気的に接続されている。特に好ましくは、計算ユニットは、特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されている。本発明によれば、送信器コイルは、少なくとも部分的に軸線方向で受信器コイルに対向している。すなわち、送信器コイルの少なくとも1つのコイル区間が、軸線方向で受信器コイルの少なくとも1つのコイル区間に対向している。上述した接続線路は、送信器コイルまたは受信器コイルのコイル区間を形成していない。その限りにおいて、送信器コイルは、この送信器コイルを計算ユニットに接続している接続線路が、軸線方向で受信器コイルに対向しているならば、依然として軸線方向で受信器コイルには対向していない。相応に、受信器コイルは、この受信器コイルを計算ユニットに接続している接続線路が、軸線方向で送信器コイルに対向しているならば、依然として軸線方向で送信器コイルには対向していない。
【0007】
好ましい実施形態によれば、プリント基板は、少なくとも1つの受信器コイルフリー層を有し、送信器コイルの送信器コイル部は、送信器コイル部が軸線方向で受信器コイルに対向するように、受信器コイルフリー層に形成されている。このことから、受信器コイルフリー層に形成される送信器コイル部を、受信器コイルの寸法設定に関係なく寸法設定することができるという利点が得られる。例えば、受信器コイルフリー層に形成される送信器コイル部の巻回数を、受信器コイルの寸法設定に関係なく選択することができる。
【0008】
好ましい実施形態によれば、プリント基板は、少なくとも1つの送信器コイルフリー層を有し、受信器コイルの受信器コイル部は、受信器コイル部が軸線方向で送信器コイルに対向するように、送信器コイルフリー層に形成されている。このことから、受信器コイルの面積を増大させることができ、これによって最終的に信号の振幅が増大するという利点が得られる。さらに、送信器コイルフリー層に形成される受信器コイル部を、送信器コイルの寸法設定に関係なく寸法設定することができる。例えば、送信器コイルフリー層に形成される受信器コイル部の巻回数を、送信器コイルの寸法設定に関係なく選択することができる。
【0009】
好ましくは、プリント基板は、送信器コイルと受信器コイルとの両方が形成されている少なくとも1つの層を有する。したがって、この層において、送信器コイルと受信器コイルとは、プリント基板に対して垂直に方向付けられた軸線に関して半径方向で対向している。
【0010】
好ましくは、送信器コイルと受信器コイルとは、プリント基板のそれぞれ異なる層に形成されている。したがって、送信器コイルは、受信器コイルフリー層にのみ形成されており、受信器コイルは、送信器コイルフリー層にのみ形成されている。相応に、送信器コイルと受信器コイルとは、プリント基板に対して垂直に方向付けられた軸線に関して軸線方向で互いに離間されている。このことから、送信器コイルの幾何形状と、受信器コイルの幾何形状とを互いに独立して選択することができるという利点が得られる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、送信器コイルは、受信器コイルの、結合要素とは反対の側に配置されている。したがって、受信器コイルは、結合要素と送信器コイルとの間に配置されている。コイルのこのような配置により、センサユニットは、特に高い感度を有することとなる。代替的な実施形態によれば、好ましくは、受信器コイルは、送信器コイルの、結合要素とは反対の側に配置されている。その場合、送信器コイルは、結合要素と受信器コイルとの間に配置されている。
【0012】
好ましい実施形態によれば、受信器コイルは、送信器コイルの最大半径方向寸法に少なくとも実質的に相当する最大半径方向寸法を有する。コイルのこのような構成により、プリント基板に存在する構造スペースができるだけ最適に利用し尽くされ、これにより、信号の振幅が最大化される。この場合、半径方向寸法とは、軸線に対して垂直に延在する寸法を意味する。したがって、考えられる全ての半径方向寸法は、プリント基板の層に対して平行に延在している。
【0013】
好ましくは、プリント基板は、円ディスク形に、特に円環ディスク形に形成されている、またはストリップ形に形成されている。位置センサが回転角度センサとして構成されている場合には、プリント基板は、好ましくは円ディスク形に形成されている。回転角度センサとして構成されている位置センサは、結合要素の位置として、結合要素の回転位置または回転角度を検出するように構成されている。しかしながら、位置センサがリニア変位センサとして構成されている場合には、プリント基板は、好ましくはストリップ形に形成されている。リニア変位センサとして構成されている位置センサは、結合要素の位置として、結合要素の摺動位置を検出するように構成されている。
【0014】
好ましい実施形態によれば、センサユニットは、少なくとも2つの受信器コイルを有し、受信器コイルは、プリント基板の同一の層に形成されている。すなわち、センサユニットは、第1の受信器コイルおよび第2の受信器コイルを有する。この場合、これらの受信器コイルは、好ましくは第1の受信器コイルが正弦波信号を検出するように、かつ第2の受信器コイルが余弦波信号を検出するように構成または配置されている。位置センサが回転角度センサとして構成されている場合には、アークタンジェント(sin/cos)を特定することによって結合要素の回転角度を特定することができる。
【0015】
好ましくは、位置センサは、さらなる結合要素の位置を検出するためのさらなるセンサユニットを有し、さらなるセンサユニットは、少なくとも1つの送信器コイルと、少なくとも1つの受信器コイルとを有し、さらなるセンサユニットのコイルは、プリント基板に形成されている。このような構成では、位置センサを、舵角センサ(Torque- and Angle Sensor:TAS)として使用することができる。この場合、結合要素とさらなる結合要素とは、同一のシャフトに相対回動不能に接続されており、プリント基板は、一方では結合要素と、他方ではさらなる結合要素との間に配置されている。舵角センサとして構成されている位置センサは、この場合、シャフトによって生成されるトルクと、シャフトの回転角度との両方を検出するように構成されている。
【0016】
好ましい実施形態によれば、センサユニットの送信器コイルと、さらなるセンサユニットの送信器コイルとは、軸線方向において一方ではセンサユニットの受信器コイルによって、他方ではさらなるセンサユニットの受信器コイルによって取り囲まれている。すなわち、送信器コイルは、受信器コイル同士の間に配置されている。その場合、これらの2つのセンサユニットは、特に高い感度を有することとなる。代替的な実施形態によれば、好ましくは、センサユニットの受信器コイルと、さらなるセンサユニットの受信器コイルとは、軸線方向において一方ではセンサユニットの送信器コイルによって、他方ではさらなるセンサユニットの送信器コイルによって取り囲まれている。
【0017】
本発明による装置は、可動の要素と、可動の要素の位置を検出するための誘導式の位置センサとを有する。本装置は、請求項12の特徴によれば、本発明による位置センサの構成という点で優れている。このことからも、既に挙げた利点がもたらされる。さらなる好ましい特徴および特徴の組み合わせは、明細書および特許請求の範囲から明らかになる。結合要素は、要素の位置を検出するために直接的または間接的に要素に配置されている。好ましくは、本装置は、駆動装置として構成されている。その場合、可動の要素は、駆動装置のアクチュエータ要素である。アクチュエータ要素は、好ましくは回転可能または摺動可能に支持されている。アクチュエータ要素が回転可能に支持されている場合には、位置センサは、回転角度センサとして構成されている。アクチュエータ要素が摺動可能に支持されている場合には、位置センサは、リニア変位センサとして構成されている。さらなる実施形態によれば、要素は、例えば操作可能なペダルである。その場合、位置センサは、ペダル変位センサとして構成されている。
【0018】
以下では、本発明について図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】誘導式の位置センサを備えた駆動装置を示す図である。
【
図2】第1の実施例による位置センサのプリント基板を示す図である。
【
図3】第1の実施例による位置センサを示すさらなる図である。
【
図4】第2の実施例による位置センサのプリント基板を示す図である。
【
図5】第3の実施例による位置センサを示す図である。
【0020】
図1は、ここでは詳細には図示されていない消費器のための、例えば自動車のブレーキシステム、特にパーキングブレーキのための有利な駆動装置1を概略図で示す。
【0021】
駆動装置1は、電気機械2を有する。機械2は、アクチュエータ要素として回転可能に支持された駆動シャフト3を有する。シャフトを支持するために、本実施例では、半径方向力を伝達する軸受4が設けられている。駆動シャフト3は、ロータ5を支持し、このロータ5には、ハウジングに固定されたステータ6が対応付けられている。ロータ5と、ひいては駆動シャフト3とは、ステータ6の図示されていないステータ巻線に適切に通電することによって回転可能である。駆動シャフト3は、消費器を駆動するために消費器に機械的に結合されている、または結合可能である。
【0022】
駆動装置1はさらに、機械2に対応付けられた誘導式の位置センサ7を有する。位置センサ7は、結合要素8を有し、この結合要素8は、駆動シャフト3に相対回動不能に接続されている。すなわち、結合要素8は、駆動シャフト3と共に回転可能である。
【0023】
位置センサ7はさらに、プリント基板9を有する。プリント基板9は、プリント基板9と駆動シャフト3とが互いに回転可能であるようにハウジングに固定されて配置されている。結合要素8は、プリント基板9に対して垂直に方向付けられた軸線Zに関して軸線方向でプリント基板9に対向するように位置している。本実施例では、プリント基板9は、軸線Zが駆動シャフト3の回転軸線Rに対して平行に延在するように配置されている、または方向付けられている。
【0024】
プリント基板9は、複数の層10を有する。本実施例では、第1の層10A、第2の層10B、および第3の層10Cが示されている。しかしながら、プリント基板9は、それとは異なる数の、特により多数の層10を有することもできる。これらの層10は、軸線Zに関して軸線方向で相前後して配置されている。第1の層10Aは、結合要素8に面しており、以下では最も上側の層10Aとも称される。この第1の層10Aには、結合要素8に対する間隔が増大するにつれて第2の層10Bと第3の層10Cとが続く。
【0025】
位置センサ7はさらに、センサユニット11を有する。センサユニット11は、
図1では見やすくするために図示されていない複数のコイルを有する。これらのコイルは、プリント基板9の層10に、好ましくは導体路として形成されている。この場合、少なくとも1つの駆動可能な送信器コイルと、少なくとも1つの受信器コイルとが設けられている。
【0026】
位置センサ7はさらに、本実施例によれば特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されている計算ユニット12を有する。計算ユニット12は、
図1では概略的にのみ示されている。好ましくは、計算ユニット12も、プリント基板9に構成されている。計算ユニット12は、送信器コイルに電気的に接続されており、結合要素8を貫通する電磁波によって信号を送出するように送信器コイルを駆動するように構成されている。電磁波は、結合要素8による影響を受け、受信器コイルへと反射または案内され、受信器コイルによって検出される。この場合、電磁波は、結合要素8の回転位置または回転角度に依存して結合要素8によるそれぞれ異なる影響を受ける。結合要素8の種々異なる回転角度において、相応に、種々異なる電磁波が受信器コイルによって検出される。計算ユニット12は、受信器コイルに電気的に接続されており、検出された電磁波を復調するように構成されている。計算ユニット12は、図示されていない制御装置に通信技術的に接続されており、この制御装置は、復調された波に依存して結合要素8の回転角度を特定するように構成されている。結合要素8が駆動シャフト3に相対回動不能に接続されていることに基づいて、駆動シャフト3の回転角度は、結合要素8の回転角度と相関している。したがって、制御装置が結合要素8の回転角度を特定すると、制御装置は、駆動シャフト3の回転角度を間接的に特定する。
【0027】
以下では、位置センサ7の第1の実施例について
図2および
図3に基づいてより詳細に説明する。
【0028】
図2には、プリント基板9の一部の断面図が示されている。プリント基板9は、位置センサ7の第1の実施例によれば4つの層10、すなわち、結合要素8に面している第1の層10A、第2の層10B、第3の層10C、および第4の層10Dを有する。
【0029】
センサユニット11は、送信器コイル13と、第1の受信器コイル14Aおよび第2の受信器コイル14Bとを有する。一方では送信器コイル13が、他方では受信器コイル14A,14Bが、プリント基板9のそれぞれ異なる層10に形成されている。本実施例では、送信器コイル13は、第3の層10Cおよび第4の層10Dに形成されている。受信器コイル14A,14Bは、第1の層10Aおよび第2の層10Bに一緒に形成されている。すなわち、送信器コイル13は、受信器コイルフリー層10C,10Dにのみ形成されている。相応に、受信器コイル14A,14Bは、送信器コイルフリー層10A,10Bにのみ形成されている。ある1つの層10から隣接する層10への移行は、この場合、それぞれスルーホールコンタクトによって達成される。
図2には、第1の受信器コイル14Aが第1の層10Aから第2の層10Bに移行するときに通過する複数のスルーホールコンタクト30と、第2の受信器コイル14Bが第1の層10Aから第2の層10Bに移行するときに通過する複数のスルーホールコンタクト31とが見て取れる。
【0030】
送信器コイル13と受信器コイル14A,14Bとがプリント基板9のそれぞれ異なる層10に形成されていることに基づいて、送信器コイル13は、軸線Zに関して軸線方向で受信器コイル14A,14Bから離間されている。この場合、送信器コイル13は、軸線Zに関して少なくとも部分的に軸線方向で受信器コイル14A,14Bに対向している。したがって、送信器コイル13と受信器コイル14A,14Bとは、軸線Zに関して少なくとも部分的に半径方向で同一の高さに位置している。
【0031】
本実施例では、受信器コイル14A,14Bは、プリント基板9の上から2つの層10Aおよび10Bに形成されている。したがって、送信器コイル13は、受信器コイル14A,14Bの、結合要素8とは反対の側に形成されており、したがって、受信器コイル14A,14Bは、結合要素8と送信器コイル13との間に配置されている。
【0032】
図3は、第1の実施例による位置センサ7のさらなる図を示す。この場合、左側の
図Aは、位置センサ7の斜視図を示す。右側の
図Bは、位置センサ7の平面図を示す。
【0033】
図Aから見て取れるように、結合要素8は、円ディスク形に形成されている。この場合、結合要素8の円ディスク形は、複数の測定凹部15を有し、これらの測定凹部15は、結合要素8の周方向に分散されて結合要素8に形成されている。特に測定凹部15によって、送信器コイル13によって送出された電磁波が、結合要素8の回転角度に依存して結合要素8によるそれぞれ異なる影響を受けることが達成される。結合要素8はさらに、中央の軸線方向貫通口16を有する。その限りにおいて、結合要素8は、円環ディスク形に形成されている。結合要素8が、
図1に示されているようにシャフトに相対回動不能に接続されている場合には、シャフトは、結合要素8の中央の軸線方向貫通口16を貫通する。
【0034】
図Bから見て取れるように、送信器コイル13は、円環形に形成されており、複数の互いに同心の巻線を有する。受信器コイル14A,14Bも、それぞれ少なくとも実質的に円環形に形成されている。この場合、受信器コイル14A,14Bは、それぞれの円環形の周方向において波形の延在形状を有する。送信器コイル13と受信器コイル14A,14Bとは、互いに同軸に配置されている。
【0035】
送信器コイル13および受信器コイル14A,14Bは、本実施例では、送信器コイル13の最大半径方向寸法15が、受信器コイル14A,14Bの最大半径方向寸法32に少なくとも実質的に相当するように寸法設定されている。この場合、最大半径方向寸法15または32は、それぞれの円環形の直径に相当する。
【0036】
プリント基板9は、
図3には示されていない。しかしながら、プリント基板9も、円環ディスク形に形成されている。その限りにおいて、プリント基板9も、中央の軸線方向貫通口を有する。この場合、プリント基板9の中央の軸線方向貫通口の直径は、この軸線方向貫通口を駆動シャフト3が非接触で貫通することができるように寸法設定されている。
【0037】
送信器コイル13は、2つの電気的な接続線路17A,17Bによって計算ユニット12に電気的に接続されている。送信器コイル13から出発して、接続線路17A,17Bは、計算ユニット12とのコンタクトのために半径方向外方に延在している。受信器コイル14Aは、2つの電気的な接続線路18A,18Bによって計算ユニット12に電気的に接続されている。受信器コイル14Aから出発して、接続線路18A,18Bは、計算ユニット12とのコンタクトのために半径方向外方に延在している。受信器コイル14Bは、2つの電気的な接続線路19A,19Bによって計算ユニット12に電気的に接続されている。受信器コイル14Bから出発して、接続線路19A,19Bは、計算ユニット12とのコンタクトのために半径方向外方に延在している。
【0038】
以下では、位置センサ7の第2の実施例について
図4を参照しながらより詳細に説明する。これに関して
図4は、第2の実施例による位置センサ7の断面図を示す。
【0039】
図4に示されている実施例によれば、位置センサ7は、舵角センサとして構成されている。この限りにおいて、位置センサ7は、シャフトの回転角度と、シャフトによって生成されるトルクとの両方を検出するように構成されている。このために、位置センサ7は、センサユニット11に加えてさらなるセンサユニット20を有する。
【0040】
図4に示されている実施例によれば、プリント基板9は、8つの層、すなわち第1の層10A、第2の層10B、第3の層10C、第4の層10D、第5の層10E、第6の層10F、第7の層10G、および第8の層10Hを有する。センサユニット11のコイル13,14A,14Bは、第1の実施例の場合と同様に、層10A~10Dに形成されている。
【0041】
このさらなるセンサユニット20も、1つの送信器コイル22と、2つの受信器コイル23A,23Bとを有する。送信器コイル22は、プリント基板9の第5の層10Eおよび第6の層10Fに形成されている。受信器コイル23A,23Bは、プリント基板9の第7の層10Gおよび第8の層10Hに一緒に形成されている。したがって、送信器コイル13および22は、軸線方向において一方では受信器コイル14A,14Bによって、他方では受信器コイル23A,23Bによって取り囲まれる。この場合、送信器コイル22および受信器コイル23A,23Bも、送信器コイル22が軸線Zに関して軸線方向で受信器コイル23A,23Bに対向するように、プリント基板9の層10に形成されている。好ましくは、さらなるセンサユニット20は、一方では送信器コイル13と他方では送信器コイル22との間に延在する平面に関して、センサユニット11に対して鏡像対称に構成されている。
【0042】
さらなるセンサユニット20には、さらなる結合要素21が対応付けられており、このさらなる結合要素21は、その構成に関して好ましくは結合要素8に相当する。さらなる結合要素21は、プリント基板9の、結合要素8とは反対の側に配置されている。すなわち、プリント基板9は、軸線方向において結合要素8および21によって取り囲まれる。
【0043】
以下では、位置センサ7の第3の実施例について
図5を参照しながらより詳細に説明する。これに関して
図5は、位置センサ7の平面図を示す。第3の実施例によれば、位置センサ7は、電気機械の摺動可能に支持されたリニアアクチュエータ要素のためのリニア変位センサとして構成されている。この限りにおいて、位置センサ7は、リニアアクチュエータ要素に配置された結合要素の摺動位置を検出するように構成されている。このために、プリント基板9は、円環ディスク形ではなくストリップ形に形成されている。送信器コイル13は、矩形環形に形成されており、プリント基板9の長手方向に延在している。受信器コイル14A,14Bも、プリント基板9の長手方向に延在している。それ以外の点では、
図5に示されている実施例においても、送信器コイル13および受信器コイル14A,14Bは、送信器コイル13が少なくとも部分的に軸線方向で受信器コイルに対向するように、プリント基板9の複数の層10に分散されて形成されている。
【0044】
上述した実施形態では、送信器コイルおよび受信器コイルは、常にプリント基板9のそれぞれ異なる層10に形成されている。さらなる実施例によれば、プリント基板9は、少なくとも1つの送信器コイルと少なくとも1つの受信器コイルとが一緒に形成されている少なくとも1つの層10を有する。