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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具
(51)【国際特許分類】
   B62J 27/20 20200101AFI20241022BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B62J27/20
B62K17/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023537793
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027784
(87)【国際公開番号】W WO2023007590
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相京 裕
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-327184(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1462125(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第10247120(DE,A1)
【文献】特開平10-6901(JP,A)
【文献】特開2008-121159(JP,A)
【文献】特開2019-206789(JP,A)
【文献】特開2011-184015(JP,A)
【文献】中国実用新案第202896507(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 27/20
B62K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員用のシート(17,317)と、前記シート(17,317)よりも前方または前記シート(17,317)の前部に設けられるエアバッグ(42,242,542,642)とを備える鞍乗り型車両において、
前記エアバッグ(42,242,542,642)は、展開時に上方に展開する第1展開部(35,635)と、展開時に前記第1展開部(35,635)から上方に展開する上方展開部(43,643)と、展開時に前記第1展開部(35,635)と上方展開部(43,643)とによって形成される展開部の下部から分岐して延びる第2展開部(50,250,650,650´)とを備え、
前記上方展開部(43,643)は、前記シート(17,317)に着座する乗員の胴体(R3)の前面に沿って略鉛直上方に展開し、
前記第2展開部(50,250,650,650´)は、略鉛直上方に展開する前記第1展開部(35,635)の車幅方向外側部から、車両側面視で、前上方、上方、及び後上方のいずれかに延出し、乗員の胴体(R3)を外側方から覆うことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記第2展開部(50)は、前記第1展開部(35)の両側部から車幅方向外側に延出する側方延出部(51)と、前記側方延出部(51)から後方に延出する後方延出部(52)とを備えることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記第2展開部(650,650´)は、前記第1展開部(635)の外側部の後面から後方または後側方に延出する第2後方延出部(652,652´)を備えることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記第2展開部(650,650´)は、
前記第1展開部(35)の両側部から車幅方向外側に延出する側方延出部(51)、および前記側方延出部(51)から後方に延出する後方延出部(52)と
前記第1展開部(635)の外側部の後面から後方または後側方に延出する第2後方延出部(652,652´)と、
のうち少なくともどちらかを備える、
請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記第2展開部(50,650,650´)は、前記後方延出部(52)及び前記第2後方延出部(652,652´)の少なくともいずれかから車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部(53,653)を備え、
前記内側屈曲部(53,653)の少なくとも一部は、車両前後方向で前記上方展開部(43,643)に重なることを特徴とする請求項4記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記後方延出部(52)及び前記第2後方延出部(652´)は、前記内側屈曲部(53,653)に至るまでは、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出することを特徴とする請求項5記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記第2展開部(50,650,650´)は、前記内側屈曲部(53,653)から屈曲して下方に延びる下方延出部(54,654)を備えることを特徴とする請求項5または6記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記第2展開部(50,650,650´)は、前記下方延出部(54,654)から前記後方延出部(52)または前記第2後方延出部(652,652´)に向けて折り返す折り返し部(55,655)を備えることを特徴とする請求項7記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記エアバッグ(42,542,642)が展開した状態で、前記第2展開部の展開方向の長さ(L1)は、前記第1展開部(35,635)及び前記上方展開部(43,643)を足した展開方向の長さ(L2)よりも長いことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記第2展開部(250)は、前記第1展開部(35)の側部から車幅方向外側、後方、及び後側方のいずれかに延出する延出部(252)と、前記延出部(252)から少なくとも前記上方展開部(43)の位置まで上方に延びる第2上方延出部(253)とを備えることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項11】
前記第2上方延出部(253)は、前記上方展開部(43)の上面(43c)よりも上方に延びることを特徴とする請求項10記載の鞍乗り型車両。
【請求項12】
前記第2上方延出部(253)は、乗員の胴体(R3)及び腕(R1)を外側方から覆うことを特徴とする請求項11記載の鞍乗り型車両。
【請求項13】
前記第2展開部(50,250,650,650´)は、前記シート(17,317)に着座して操舵用のハンドル(21,323)を把持する前記乗員の腕(R1)と、この乗員の脚(R2)との間を通って延出することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項14】
前記第2展開部(50,250,650,650´)は、前記第1展開部(35,635)から延出する棒状であり、前記上方展開部(43,643)よりも細い棒状であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項15】
前記エアバッグ(42,242,542,642)を展開させるガスの流入口(44)は、前記第1展開部(35,635)に設けられることを特徴とする請求項14記載の鞍乗り型車両。
【請求項16】
前記上方展開部(43)は、左右の一方側で上方に延出する一側上方展開部(45)と、左右の他方側で上方に延出する他側上方展開部(46)と、前記上方展開部(43)内の空間を前記一側上方展開部(45)と前記他側上方展開部(46)とに仕切る仕切り部(47)とを備え、
前記仕切り部(47)は、前記上方展開部(43)の少なくとも後面(43a)に設けられ、
前記上方展開部(43)は、上下に延在する前記仕切り部(47)を起点に折り曲げ可能であり、
前記上方展開部(43)の前記後面(43a)には、前記一側上方展開部(45)と前記他側上方展開部(46)とを左右に接続する接続部材(48)が取り付けられることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項17】
前記エアバッグ(42,242,542,642)内にガスを噴出して前記エアバッグ(42,242,542,642)を展開させるインフレーター(41)が前記エアバッグ(42,242,542,642)に接続され、
前記エアバッグ(42,242,542,642)の展開後に前記エアバッグ(42,242,542,642)を前記インフレーター(41)から切り離す切り離し機構(49)が設けられることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項18】
前記エアバッグ(542)は、前記上方展開部(43)と前記第2展開部(50)との間に中間部(560)を備え、
前記中間部(560)は、前記上方展開部(43)と前記第2展開部(50)とを接続し、
前記中間部(560)は、前記第2展開部(50)よりも膨張量が少ない、または、前記エアバッグ(542)を展開させるガスによって膨張しないことを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項19】
乗員用の乗車位置(418)より前方に設けられるエアバッグ(42,242,542,642)を備える車両において、
前記車両は、前記乗車位置(418)に乗員が立ち乗りする立ち乗り型車両であり、
前記エアバッグ(42,242,542,642)は、展開時に上方に展開する第1展開部(35,635)と、展開時に前記第1展開部(35,635)から上方に展開する上方展開部(43,643)と、展開時に前記第1展開部(35,635)から分岐して延びる第2展開部(50,250,650,650´)とを備え、
前記第2展開部(50,250,650,650´)は、前記第1展開部(35,635)から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする車両。
【請求項20】
車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具(771,871)と、エアバッグ(42)とを備える乗員保護具において、
前記エアバッグ(42)は、前記乗員用装備具(771,871)に支持されて前記乗員の胴体(R3)の前面側に位置し、
前記エアバッグ(42)は、展開時に上方に展開する第1展開部(35)と、展開時に前記第1展開部(35)から上方に展開する上方展開部(43)と、展開時に前記第1展開部(43)から分岐して延びる第2展開部(50)とを備え、
前記第2展開部(50)は、前記第1展開部(35)から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする乗員保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員用のシートの前方にエアバッグを備え、このエアバッグが、乗員の前方で上方に展開する部分と、乗員の側方を通って乗員の後方に向かって延びる部分とを備える鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、エアバッグによって乗員を前方及び左右の両側方から囲むことでエアバッグを乗員に付着させ、乗員を効果的に保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-6901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のエアバッグでは、乗員の後方に向かって延びる部分が大型であるため、エアバッグの容積が大きくなる。これにより、エアバッグの展開に必要なガスの量が多くなるとともに、展開したエアバッグが例えば乗員の腕等を外側から覆うときに腕とエアバッグとが干渉してエアバックの展開を妨げられる可能性が考えられる。このため、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグが乗員の腕によって干渉されることを抑制してエアバッグで乗員を保護することが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具において、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグが乗員の腕によって干渉されることを抑制してエアバッグで乗員を良好に保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、乗員用のシートと、前記シートよりも前方または前記シートの前部に設けられるエアバッグとを備える鞍乗り型車両において、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する第1展開部と、展開時に前記第1展開部から上方に展開する上方展開部と、展開時に前記第1展開部と上方展開部とによって形成される展開部の下部から分岐して延びる第2展開部とを備え、前記上方展開部は、前記シートに着座する乗員の胴体の前面に沿って略鉛直上方に展開し、前記第2展開部は、略鉛直上方に展開する前記第1展開部車幅方向外側部から、車両側面視で、前上方、上方、及び後上方のいずれかに延出し、乗員の胴体を外側方から覆うことを特徴とする。
また、車両は、乗員用の乗車位置より前方に設けられるエアバッグを備える車両において、前記車両は、前記乗車位置に乗員が立ち乗りする立ち乗り型車両であり、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する第1展開部と、展開時に前記第1展開部から上方に展開する上方展開部と、展開時に前記第1展開部から分岐して延びる第2展開部とを備え、前記第2展開部は、前記第1展開部から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする。
また、乗員保護具は、車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具と、エアバッグとを備え、前記エアバッグは、前記乗員用装備具に支持されて前記乗員の胴体の前面側に位置し、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する第1展開部と、展開時に前記第1展開部から上方に展開する上方展開部と、展開時に前記第1展開部から分岐して延びる第2展開部とを備え、前記第2展開部は、前記第1展開部から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグが乗員の腕によって干渉されることを抑制してエアバッグで乗員を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2図2は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。
図3図3は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
図4図4は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を後方から見た背面図である。
図5図5は、展開したエアバッグを前方から見た正面図である。
図6図6は、図5のVI-VI断面図である。
図7図7は、第2の実施の形態のエアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
図8図8は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。
図9図9は、第2の実施の形態の変形例1を示す左側面図である。
図10図10は、第2の実施の形態の変形例2を示す左側面図である。
図11図11は、第3の実施の形態に係る鞍乗り型車両の左側面図である。
図12図12は、第3の実施の形態の変形例を示す左側面図である。
図13図13は、第4の実施の形態における立ち乗り型車両の左側面図である。
図14図14は、第5の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
図15図15は、展開したエアバッグを前方から見た正面図である。
図16図16は、第6の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
図17図17は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。
図18図18は、第6の実施の形態の変形例において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
図19図19は、第7の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。
図20図20は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
図21図21は、第8の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
燃料タンク29は、シート17の前方且つヘッドパイプ18の後方に配置される。
シート17に着座した乗員Rは、両方の腕R1を前方に延ばしてハンドル21を把持するとともに、両足をステップ28に乗せ、両方の脚R2で燃料タンク29及び車体フレーム11等の車体を挟んで車体を保持する。
【0016】
鞍乗り型車両10は、乗員Rを保護するエアバッグ装置40を備える。
エアバッグ装置40は、シート17よりも前方に配置され、車両側面視で燃料タンク29の後端部に対し車幅方向に重なる位置に設けられる。
エアバッグ装置40は、燃料タンク29の後端部に設けられるエアバッグ収納部29aに配置される。エアバッグ収納部29aは、例えば燃料タンク29の後端部が凹んだ凹部であり、この凹部内にエアバッグ装置40が配置される。
【0017】
エアバッグ装置40は、インフレーター41と、インフレーター41が放出するガスによって膨張するエアバッグ42とを備える。エアバッグ42は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部29aに収納されている。エアバッグ42は、シート17に対する乗員Rの着座位置よりも前方に配置され、乗員よりも前方に位置する。また、エアバッグ42は、前輪13と同様に車幅方向の中央に配置される。
【0018】
鞍乗り型車両10は、鞍乗り型車両10に作用する衝撃を検知する加速度センサ(不図示)を備える。この加速度センサは鞍乗り型車両10の制御部(不図示)に電気的に接続され、制御部はインフレーター41に電気的に接続される。制御部は、検知された加速度に基づいてエアバッグ装置40の作動及び非作動を判断する。制御部は、エアバッグ装置40を作動させる場合、インフレーター41を作動させてエアバッグ42内にガスを放出する。エアバッグ42は、ガスの圧力で膨張し、展開する。
エアバッグ42は、エアバッグ収納部29aを上方から覆うカバー(不図示)によって覆われている。エアバッグ42は、膨張する際、上記カバーを押し退けて展開する。
【0019】
図2は、エアバッグ42が展開して乗員Rを保護している状態を示す左側面図である。図3は、エアバッグ42が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。図4は、エアバッグ42が展開して乗員Rを保護している状態を後方から見た背面図である。図5は、展開したエアバッグ42を前方から見た正面図である。
エアバッグ42は、エアバッグ収納部29aから上方に展開する第1展開部35と、第1展開部35から上方に展開する上方展開部43と、第1展開部35から分岐して車幅方向外側に延びる左右一対の第2展開部50とを備える。
また、エアバッグ42は、インフレーター41に接続されるインフレーター接続部44を、第1展開部35の下端部に備える。
【0020】
図6は、図5のVI-VI断面図である。
図2図6を参照し、第1展開部35は、エアバッグ42が展開した状態において、エアバッグ42の基部である。第1展開部35は、車幅方向の中央に配置され、乗員Rの胴体R3の下部を前方から覆う。
上方展開部43は、第1展開部35の上端から上方に延出する。上方展開部43は、第1展開部35に連通している。上方展開部43は、車幅方向の中央に配置され、乗員Rの胴体R3を前方から覆う。
上方展開部43は、車幅方向の中央に対し左右の一方側で第1展開部35から上方に延出する一側上方展開部45と、車幅方向の中央に対し左右の他方側で第1展開部35から上方に延出する他側上方展開部46とを一体に備える。
一側上方展開部45と他側上方展開部46とは車幅方向(左右方向)に繋がっており、互いに略平行に上方に延出する。
【0021】
一側上方展開部45は、正面視において、第1展開部35の上端から略鉛直に上方に延びる第1上方延出部45aと、第1上方延出部45aの上端から車幅方向外側且つ上方に斜めに延びる上部延出部45bとを備える。
また、他側上方展開部46は、正面視において、第1展開部35の上端から略鉛直に上方に延びる第1上方延出部46aと、第1上方延出部46aの上端から車幅方向外側且つ上方に斜めに延びる上部延出部46bとを備える。
【0022】
上方展開部43は、上方展開部43内の空間を一側上方展開部45と他側上方展開部46とに左右に仕切る仕切り部47を、上方展開部43の後面43aに備える。
仕切り部47は、後面43aにおける車幅方向の中央部を縫い合わせて前方へ突出させた壁部である。仕切り部47は、上方展開部43内に突出する。仕切り部47は、上方展開部43の車幅方向の中央の位置を、上方展開部43の展開方向に沿って上下に延在する。
仕切り部47は、上方展開部43内の後部のみに設けられており、上方展開部43内の前部では、一側上方展開部45と他側上方展開部46とは連通している。
また、仕切り部47は、第1展開部35の後面の左右の中央部を通って第1展開部35の下縁まで延びている。すなわち、第1展開部35も、仕切り部47によって左右に仕切られている。
【0023】
上方展開部43の後面43aには、一側上方展開部45の後面と他側上方展開部46の後面とを車幅方向に接続する接続部材48が取り付けられる。
接続部材48は、車幅方向に延びる帯状の紐である。接続部材48は、上方展開部43が展開した状態において車幅方向に略水平に延びる。
接続部材48は、第1展開部35と上方展開部43とによって形成される展開部の上下の中間部に設けられる。接続部材48は、第1上方延出部45aと第1上方延出部46aとを接続する。
【0024】
上方展開部43及び第1展開部35は、展開した状態では、図6に示す上面視で、仕切り部47を起点としてV字状に折り曲がっている。上方展開部43及び第1展開部35は、図5に示すように、正面視では、仕切り部47を折り曲げ線として、後方に開放するV字状に折り曲がる。これにより、展開した状態では、上方展開部43の後面43aの形状は、胴体R3の前面に沿うようにV字状となる。このため、上方展開部43及び第1展開部35を胴体R3に良好に付着させることができる。
接続部材48は、上方展開部43が展開した状態において、上方展開部43の折り曲がりの程度を規制し、上方展開部43及び第1展開部35を良好なV字形状にする。このため、上方展開部43及び第1展開部35を胴体R3に良好に付着させることができる。
【0025】
インフレーター接続部44(図5)は、第1展開部35の下端部において、一側上方展開部45の下方、及び、他側上方展開部46の下方にそれぞれ設けられる。
インフレーター接続部44は、エアバッグ42を展開させるガスの流入口であり、インフレーター41が放出するガスは、インフレーター接続部44から第1展開部35に流入し、第1展開部35から分岐して上方展開部43及び第2展開部50に流れる。
なお、インフレーター接続部44は、一側上方展開部45及び他側上方展開部46の下方にそれぞれ設けられているが、インフレーター接続部44は少なくとも1か所に設けられれば良い。
【0026】
第2展開部50は、第1展開部35の車幅方向外側の両側部からそれぞれ車幅方向外側に延出する棒状である。第2展開部50は、上方展開部43よりも細い棒状である。
第2展開部50の基端部は、第1展開部35内に連通している。
詳細には、各第2展開部50は、第1展開部35から車幅方向外側に延出する側方延出部51と、側方延出部51から後方に延出する後方延出部52と、後方延出部52から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部53と、内側屈曲部53から屈曲して下方に延びる下方延出部54と、下方延出部54の下端部から前方の後方延出部52に向けて折り返す折り返し部55とを備える。
【0027】
側方延出部51は、第2展開部50の基端部である。側方延出部51は、第1展開部35と上方展開部43とによって形成される展開部の下部から延びる。
図5の正面視では、第1展開部35の上端35aは、側方延出部51と第1展開部35との接続部の上端に位置する。
【0028】
後方延出部52は、側方延出部51の車幅方向外側の端部から、シート17の後方側に向けて後方に延出する。
後方延出部52は、車両側面視で、側方延出部51から後上方に斜めに延びる棒状であり、上方展開部43よりも細い。
後方延出部52は、側方延出部51から、シート17に着座してハンドル21を把持する乗員Rの腕R1と乗員Rの脚R2との間を通り、胴体R3の外側面に沿って乗員Rの後方まで延出する。
【0029】
後方延出部52は、車両側面視で、後上方に斜めに延びる。後方延出部52は、側方延出部51から内側屈曲部53に至る区間を形成し、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。後方延出部52は、胴体R3の外側面に沿って後方に延出する。
内側屈曲部53は、後方延出部52の延出方向の端部に設けられる。内側屈曲部53は、側方延出部51に対し後方且つ上方に位置する。内側屈曲部53は、胴体R3の後面側に回り込み、乗員Rの背中に接する。
【0030】
下方延出部54は、内側屈曲部53の車幅方向内側の端部から下方に延びる。下方延出部54は、下方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。下方延出部54は、乗員Rの背中に沿うようにして下方に延出する。下方延出部54は、側方延出部51に対し後方且つ上方に位置する。
折り返し部55は、折り返し部55の前方で後上がりに延びる後方延出部52に向けて延出し、後方延出部52に後方から当接する。なお、折り返し部55は、後方延出部52に当接せずに、後方延出部52に後方から近接していても良い。また、第2展開部50が折り返し部55を備えずに、下方延出部54が前方の後方延出部52に向けて屈曲しても良い。
【0031】
エアバッグ42が展開した状態では、エアバッグ42は、乗員Rを周囲から囲み、乗員Rに付着する。
詳細には、第1展開部35及び上方展開部43は、胴体R3に前方から当接し、胴体R3を保護する。上方展開部43の上部延出部45b,46bは、乗員Rの肩を前方から覆う。
左右の側方延出部51は、腕R1よりも下方に位置する。側方延出部51は、腕R1と脚R2との間を通って車幅方向外側に延び、胴体R3の下部に対し車幅方向外側に延出する。
【0032】
後方延出部52は、腕R1の下方で胴体R3の外側面に当接し、胴体R3を保護する。後方延出部52は、腕R1に沿うように後上方に延びる。
内側屈曲部53及び下方延出部54は、乗員Rの背中に当接し、背中を保護する。
折り返し部55は、後方延出部52の下方で胴体R3の外側面に当接し、胴体R3を保護する。また、折り返し部55は、後方延出部52に後方から当接することで、第2展開部50の全体的な形状の変形を抑制し、第2展開部50を適切な形状に維持する。
【0033】
エアバッグ42は、側方延出部51が腕R1の下方を通るため、側方延出部51が腕R1の邪魔になり難いとともに、上方展開部43及び側方延出部51を介して乗員Rに対し良好に付着する。さらに、エアバッグ42は、側方延出部51が腕R1と脚R2との間に挟まれるため、乗員Rに対し良好に付着する。
【0034】
エアバッグ42は、第1展開部35及び上方展開部43と、第2展開部50の内側屈曲部53及び下方延出部54と、によって乗員Rを車両前後方向から挟む。さらに、エアバッグ42は、左右の後方延出部52及び左右の折り返し部55によって乗員Rを左右方向から挟む。このため、エアバッグ42は、乗員Rに良好に付着する。
内側屈曲部53の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部43に重なる。すなわち、図3に示す正面視では、上方展開部43は、内側屈曲部53(図4)の少なくとも一部に前方から重なる。このため、内側屈曲部53と上方展開部43とで乗員Rを前後に挟むことができ、エアバッグ42を乗員Rに効果的に付着させることができる。
第2展開部50は、棒状であり、容積が小さいため、迅速に展開する。
図5を参照し、エアバッグ42が展開した状態で、第2展開部50の展開方向の長さL1は、第1展開部35及び上方展開部43を足した展開方向の長さL2よりも長い。
【0035】
エアバッグ装置40には、エアバッグ42の展開後にエアバッグ42をインフレーター41から切り離す切り離し機構49(図1)が設けられる。切り離し機構49は、例えば、エアバッグ42内のガスの圧力によって作動して、エアバッグ42をインフレーター41から切り離す。また、切り離し機構49は、エアバッグ42の一部を熱によって溶かしてエアバッグ42をインフレーター41から切り離しても良い。
インフレーター41が作動してエアバッグ42が展開すると、エアバッグ42は乗員Rに付着するとともに、インフレーター41から切り離される。このため、エアバッグ42の展開後に、エアバッグ42がインフレーター41に引っ張られて乗員Rからずれることが抑制される。
切り離し機構49は、切り離されたエアバッグ42からのガスの流出を抑制する逆止弁(不図示)を備える。このため、エアバッグ42は、切り離された後も膨張した状態を維持し、乗員Rに良好に付着する。
【0036】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両10は、乗員用のシート17と、シート17よりも前方に設けられるエアバッグ42とを備え、エアバッグ42は、展開時に上方に展開する第1展開部35と、展開時に第1展開部35から上方に展開する上方展開部43と、展開時に第1展開部35から分岐して延びる第2展開部50とを備え、第2展開部50は、第1展開部35から車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、上方展開部43が第1展開部35から上方に展開し、第2展開部50が第1展開部35から車幅方向外側に延びるため、エアバッグ42をコンパクトにし、且つ、エアバッグ42が乗員Rの腕R1によって干渉されることを抑制してエアバッグ42で乗員Rを良好に保護できる。
【0037】
また、第2展開部50は、第1展開部35から車幅方向外側に延出する側方延出部51と、側方延出部51から後方に延出する後方延出部52とを備える。
この構成によれば、側方延出部51及び後方延出部52を介してエアバッグ42を乗員Rに効果的に付着させることができるとともに、後方延出部52によって乗員Rの側方を保護できる。
【0038】
また、第2展開部50は、後方延出部52から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部53を備え、内側屈曲部53の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部43に重なる。
この構成によれば、内側屈曲部53によって乗員Rを後方から保護できるとともに、内側屈曲部53と上方展開部43とによって乗員Rを前後に挟むようにして、エアバッグ42を乗員Rに効果的に付着させることができる。
【0039】
また、後方延出部52は、内側屈曲部53に至るまでは、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。
この構成によれば、後方延出部52を乗員Rに沿うように後方へ良好に展開できる。
【0040】
さらに、第2展開部50は、内側屈曲部53から屈曲して下方に延びる下方延出部54を備える。
この構成によれば、内側屈曲部53及び下方延出部54によって、乗員Rを広い範囲に亘って後方から保護できる。また、下方延出部54によってエアバッグ42を効果的に乗員Rに付着させることができる。
【0041】
また、後方延出部52は、車両側面視で、後上方に斜めに延びる。
この構成によれば、後方延出部52から延びる内側屈曲部53の位置が高くなるため、内側屈曲部53及び下方延出部54を上下に広い範囲に設けることができる。このため、内側屈曲部53及び下方延出部54によって乗員Rを効果的に保護できる。また、乗員Rの高い位置を保護できるため頭部や首周辺の保護がし易い。
【0042】
また、第2展開部50は、下方延出部54から後方延出部52に向けて折り返す折り返し部55を備える。
この構成によれば、折り返し部55によって乗員Rを保護できる。また、折り返し部55が後方延出部52に当接することで、第2展開部50を適切な形状に維持し易い。
【0043】
また、エアバッグ42が展開した状態で、第2展開部50の展開方向の長さL1は、第1展開部35及び上方展開部43を足した展開方向の長さL2よりも長い。
この構成によれば、第2展開部50が長いため、第2展開部50によって乗員Rを効果的に保持できる。また、第1展開部35及び上方展開部43が短いため、第1展開部35及び上方展開部43を迅速に展開できる。
【0044】
また、上方展開部43は、シート17に着座する乗員Rの胴体R3の前面に沿って上方に展開し、第2展開部50は、シート17に着座して操舵用のハンドル21を把持する乗員Rの腕R1と、この乗員Rの脚R2との間を通って車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、第2展開部50が腕R1の邪魔になることを抑制できるとともに、腕R1と脚R2に挟まれる第2展開部50を介してエアバッグ42を乗員に良好に付着させることができる。第2展開部50は腕R1と脚R2との間を通ることが可能な大きさであるため、第2展開部50をコンパクト化できる。
【0045】
また、第2展開部50は、第1展開部35から車幅方向外側に延出する棒状であり、上方展開部43よりも細い棒状である。
この構成によれば、第2展開部50が棒状であるため、第2展開部50の容積を小さくできるとともに、第2展開部50を効果的に乗員Rに付着させることができる。
【0046】
また、エアバッグ42を展開させるガスの流入口であるインフレーター接続部44は、第1展開部35に設けられる。
この構成によれば、インフレーター接続部44及び第2展開部50が第1展開部35に設けられるため、インフレーター接続部44と第2展開部50とが近くなる。このため、第2展開部50にガスを効率良く流すことができ、第2展開部50を迅速に展開できる。
なお、インフレーター接続部44は、第1展開部35の下端部に設けられているが、これに限らず、インフレーター接続部44は、上方展開部43の上下の中間部よりも下方の位置に設けられても良い。
【0047】
さらに、上方展開部43は、左右の一方側で上方に延出する一側上方展開部45と、左右の他方側で上方に延出する他側上方展開部46と、上方展開部43内の空間を一側上方展開部45と他側上方展開部46とに仕切る仕切り部47とを備え、仕切り部47は、上方展開部43の少なくとも後面43aに設けられ、上方展開部43は、上下に延在する仕切り部47を起点に折り曲げ可能であり、上方展開部43の後面43aには、一側上方展開部45と他側上方展開部46とを左右に接続する接続部材48が取り付けられる。
この構成によれば、上方展開部43は、一側上方展開部45と他側上方展開部46とが上下に延在する仕切り部47を起点に折り曲げ可能であるため、上方展開部43を乗員Rに沿わせることができ、エアバッグ42によって乗員Rを良好に保護できる。さらに、接続部材48によって、一側上方展開部45と他側上方展開部46との折り曲げの状態を規制でき、上方展開部43を効果的に乗員Rに沿わせることができる。
【0048】
さらに、エアバッグ42内にガスを噴出してエアバッグ42を展開させるインフレーター41がエアバッグ42に接続され、エアバッグ42の展開後にエアバッグ42をインフレーター41から切り離す切り離し機構49が設けられる。
この構成によれば、エアバッグ42の展開後にエアバッグ42がインフレーター41から切り離されるため、エアバッグ42の展開後に、エアバッグ42がインフレーター41によって下方にずらされることが抑制される。このため、エアバッグ42を乗員Rに良好に付着させることができる。また、エアバッグ42で乗員Rを把持しつつ、エアバッグ42を切り離しできる。
【0049】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、エアバッグ42は、シート17よりも前方に設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。エアバッグ42は、シート17の前部であって、乗員Rの着座位置よりも前方に設けられても良い。また、エアバッグ装置40は、シート17に内蔵して配置されても良い。
また、上記実施の形態では、仕切り部47は、上方展開部43内の後部のみに設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。仕切り部47は、一側上方展開部45と他側上方展開部46とを完全に仕切るように、上方展開部43の後面43aから前面まで延びても良い。また、仕切り部47は、上方展開部43内の前部のみに設けられても良い。
また、第2展開部50は、左右一対設けられるものとして説明したが、左右の一方のみに設けられても良い。
さらに、上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の鞍乗り型車両及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
【0050】
[第2の実施の形態]
以下、図7及び図8を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
上記実施の形態では、第2展開部50は乗員Rの背中側まで延びたが、本第2の実施の形態は、第2展開部250が乗員Rの腕に巻き付くように展開する点が上記実施の形態と異なる。
【0051】
図7は、第2の実施の形態のエアバッグ242が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。図8は、エアバッグ242が展開して乗員Rを保護している状態を示す左側面図である。
エアバッグ242は、エアバッグ収納部29a(図1)に収納される。エアバッグ242は、切り離し機構49を介してインフレーター41に接続される。
【0052】
エアバッグ242は、第1展開部35と、上方展開部43と、第1展開部35から分岐して後外側方に延びる左右一対の第2展開部250と、インフレーター接続部44(図5)とを備える。
第2展開部250は、第1展開部35と上方展開部43とによって形成される展開部の下部から延びる。
第1展開部35の上端35aは、第2展開部250と第1展開部35との接続部の上端に位置する。
【0053】
第2展開部250は、第1展開部35の側部から後外側方に延出する延出部252と、延出部252の延出方向の端部から上方に延出する第2上方延出部253とを備える。
第2展開部250は、上方展開部43よりも細い棒状である。第2展開部250の基端部は、第1展開部35内に連通している。
第2展開部250は、第1展開部35から、腕R1と脚R2との間を通って後外側方に延びた後、上方に延出する。
【0054】
詳細には、第2上方延出部253は、延出部252から上方に延出する第1延出部254と、第1延出部254の上端から車幅方向内側且つ上方に延出する第2延出部255とを備える。また、第2延出部255は、車両側面視で、前上方に向けて斜めに延びる。
第1延出部254は、上方展開部43に対し少し後方の位置を上方に延びる。第1延出部254は、上方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。
第2延出部255は、上方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように屈曲する。
【0055】
第1延出部254は、腕R1の外側方の位置まで上方に延びる。第2延出部255は、腕R1の上方を通って車幅方向内側且つ前上方に延びる。
第2延出部255は、少なくとも上方展開部43の高さ位置まで上方に延びる。詳細には、第2延出部255は、上方展開部43の上面43cよりも上方に延出する。すなわち、第2延出部255は、上方展開部43よりも高い位置まで延出する。
第2延出部255は、乗員Rの腕R1の高さまで延びることが望ましい。第2延出部255は、腕R1の高さまで延びていれば良く、上方展開部43の上面43cよりも上方に延びていなくても良い。例えば、第2延出部255は、上方展開部43の下部と同じ高さ、または、上方展開部43の上部と同じ高さまで延びても良い。この場合、第2延出部255と上方展開部43とで腕R1を幅方向に挟んで把持できる。
【0056】
エアバッグ242が展開した状態では、エアバッグ242は、乗員Rを周囲から囲み、乗員Rに付着する。
詳細には、第1展開部35及び上方展開部43は、胴体R3に前方から当接し、胴体R3を保護する。上方展開部43の上部延出部45b,46bは、乗員Rの肩を前方から覆う。
左右の延出部252は、腕R1よりも下方に位置する。延出部252は、腕R1と脚R2との間を通って車幅方向外側に延び、胴体R3の下部に対し車幅方向外側に延出する。
【0057】
第2上方延出部253の第1延出部254は、胴体R3及び腕R1を外側方から覆って保護する。
第2上方延出部253の第2延出部255は、上方展開部43の後方側で腕R1の上方を車幅方向内側に回り込み、腕R1に上方から当接する。第2延出部255の先端部は、上方展開部43の上端部に当接しても良い。
図7の正面視では、上方展開部43の上端部は、第2延出部255の少なくとも一部に前方から重なる。
【0058】
エアバッグ242は、第1展開部35と、上方展開部43と、延出部252と、第2上方延出部253の第1延出部254及び第2延出部255とによって、乗員Rを多方向から挟む。エアバッグ242は、腕R1に巻き付くように展開する。このため、エアバッグ242は、乗員Rに良好に付着する。
第2展開部250は、棒状であり、容積が小さいため、迅速に展開する。
エアバッグ242が展開した状態で、第2展開部250の展開方向の長さは、第1展開部35及び上方展開部43を足した展開方向の長さよりも大きい。
【0059】
以上説明したように、本発明を適用した第2の実施の形態によれば、第2展開部250は、第1展開部35から後側方に延出する延出部252と、延出部252から少なくとも上方展開部43の位置まで上方に延びる第2上方延出部253とを備える。
この構成によれば、第2展開部250によって乗員Rを保護できるとともに、上方展開部43及び第2展開部250によって乗員Rを挟むようにして、エアバッグ242を乗員Rに良好に付着させることができる。
また、第2上方延出部253は、上方展開部43の上面43cよりも上方に延びる。
この構成によれば、第2上方延出部253によって乗員Rの高い位置を良好に保護できる。
【0060】
図9は、第2の実施の形態の変形例1を示す左側面図である。
図8では、第2上方延出部253は、上方展開部43の後方側を通って上方に延びるが、第2上方延出部253は、図9に示すように、上方展開部43の前方側を通って上方に延びても良い。
変形例1では、延出部252は、第1展開部35の側部から車幅方向外側に延びる。より詳細には、延出部252は、第1展開部35から前外側方に延出する。
【0061】
図10は、第2の実施の形態の変形例2を示す左側面図である。
図8では、第2上方延出部253は、上方展開部43の後方側を通って上方に延びるが、第2上方延出部253は、図10に示すように、車両側面視で略全体が上方展開部43に車幅方向外側から重なる位置を通って上方展開部43と略平行に上方に延びても良い。
変形例2では、延出部252は、第1展開部35の側部から車幅方向外側にほぼ真横に延びる。
なお、延出部252は、第1展開部35から後方に延びても良い。この場合、第2上方延出部253は、延出部252の後端部から上方に延びて腕R1に巻き付く。
【0062】
[第3の実施の形態]
以下、図11を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第3の実施の形態は、エアバッグ装置40がスクーター型の鞍乗り型車両310に搭載される点が、上記実施の形態と異なる。
【0063】
図11は、第3の実施の形態に係る鞍乗り型車両310の左側面図である。
鞍乗り型車両310は、車体フレーム311と、車体フレーム311に支持されるパワーユニット312と、前輪313を操舵自在に支持するフロントフォーク314と、後輪315を支持するスイングアーム316と、乗員用のシート317とを備える車両である。
鞍乗り型車両310は、乗員Rがシート317に跨るようにして着座するスクーター型の自動二輪車である。シート317は、車体フレーム311の後部の上方に設けられる。乗員Rが足を置く床状のステップフロア322は、シート317の前下方に設けられる。
【0064】
車体フレーム311は、車体フレーム311の前端部に設けられるヘッドパイプ318と、ヘッドパイプ318から下方に延びるダウンフレーム319と、ダウンフレーム319の下端部から後方に延びるロアフレーム320と、ロアフレーム320の後端部から後上方に延びるシートフレーム321とを備える。シート317は、シートフレーム321に支持される。
【0065】
フロントフォーク314は、ヘッドパイプ318によって左右に操舵自在に支持される。乗員Rが把持する操舵用のハンドル323は、フロントフォーク314の上端部に取り付けられる。
【0066】
パワーユニット312は、後輪315の駆動源であるエンジン(内燃機関)とスイングアーム316とが一体に設けられるユニットスイング型のエンジンである。パワーユニット312は、車両側面視で、シート317の真下に位置する。
パワーユニット312は、パワーユニット312の前部に接続されるリンク部材324を介して車体フレーム311の後部に連結され、リンク部材324を中心に上下に揺動する。
【0067】
鞍乗り型車両310は、車体カバーとして、車体フレーム311の前端部を前方及び左右の側方から覆うフロントカバー326と、ヘッドパイプ318及びダウンフレーム319を後方から覆うインナーカバー327と、シート317の下方且つダウンフレーム319とシートフレーム321との間で車体を上方及び左右の両側方から覆うセンタートンネル部328と、センタートンネル部328の後方でシート317の下方の車体を左右の側方から覆うリアカバー329とを備える。
【0068】
インナーカバー327は、シート317に着座した乗員Rの脚R2を前方から覆うレッグシールドである。
センタートンネル部328は、インナーカバー327の後方に位置する。センタートンネル部328は、車幅方向の中央部でステップフロア322から上方に膨出するトンネル状である。センタートンネル部328は、前後に延びるトンネル状のカバーであり、センタートンネル部328内には、例えば燃料タンク等の部品が配置される。
乗員Rは、センタートンネル部328を左右に跨いでステップフロア322にそれぞれ足を乗せる。
【0069】
エアバッグ装置40は、シート317よりも前方で、センタートンネル部328の上方においてインナーカバー327の後面部に取り付けられる。なお、エアバッグ装置40は、インナーカバー327の前面側において、ハンドル323を支持するステム325に取り付けられても良い。
エアバッグ装置40は、車幅方向の中央に配置される。エアバッグ装置40は、図11ではヘッドパイプ318に後方から重なる位置に設けられるが、ヘッドパイプ318よりも高い位置に配置されても良い。
詳細には、センタートンネル部328の上方においてインナーカバー327の後面の上部には、エアバッグ装置40を収納するエアバッグ収納部327aが設けられる。なお、エアバッグ収納部327aは、インナーカバー327の前面側においてステム325の後方に設けられても良い。
エアバッグ42は、エアバッグ収納部327aから乗員Rに向けて展開する。
第3の実施の形態では、エアバッグ装置40は、上記実施の形態(第1の実施の形態)の構造に比して乗員Rから遠い位置に配置される。このため、エアバッグ装置40は、シート317に着座する乗員Rに適切に付着できるように長さ等が変更されても良い。
また、エアバッグ42に替えて、上記第2の実施の形態のエアバッグ242、第5の実施の形態のエアバッグ542、及び第6の実施の形態のエアバッグ642をエアバッグ収納部327aに配置しても良い。
なお、エアバッグ42は、エアバッグ収納部327a内に替えて、シート17の前部内に収納されても良い。
【0070】
図12は、第3の実施の形態の変形例を示す左側面図である。
図12に示すように、鞍乗り型車両310は、センタートンネル部328を備えずに、ステップフロア322が、車幅方向の中央を跨ぐ略平坦面として形成されても良い。この場合においても、エアバッグ42は、シート317よりも前方で、インナーカバー327の後面部の上部に取り付けられる。
【0071】
[第4の実施の形態]
以下、図13を参照して、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第4の実施の形態は、エアバッグ装置40が立ち乗り型車両410に搭載される点が、上記実施の形態と異なる。
【0072】
図13は、第4の実施の形態における立ち乗り型車両410の左側面図である。
立ち乗り型車両410は、車体フレーム411と、乗員Rが乗車する板状のデッキ部412と、車体フレーム411の前端部によって左右に操舵自在に支持される操舵部413と、操舵部413の下端部に支持される前輪414と、車体の後端部に設けられる後輪415とを備える車両である。デッキ部412は、車体フレーム411に支持される。
操舵部413は、車体フレーム411の前端部に支持されるステアリング軸416と、ステアリング軸416の上端部に設けられるハンドル417とを備える。
【0073】
乗員Rは、ハンドル417よりも後方でデッキ部412上に立つとともに、ハンドル417を手で把持することで立ち乗り型車両410に乗車する。
立ち乗り型車両410は、いわゆるキックボードであり、乗員Rが立った姿勢で乗車する車両である。
乗員Rの乗車位置418は、デッキ部412上においてハンドル417の後方且つ後輪415の前方に位置する。
【0074】
ハンドル417の後面部には、箱状のエアバッグ収納部420が設けられる。
エアバッグ装置40は、エアバッグ収納部420に収納される。
エアバッグ収納部420及びエアバッグ装置40は、乗車位置418に対し前方且つ上方に設けられる。
エアバッグ42は、エアバッグ収納部420から後上方に展開し、図2と同様に、第1展開部35、上方展開部43、及び第2展開部50によって乗員Rを周囲から囲むようにして乗員Rに付着する。
なお、図13に仮想線で示すように、エアバッグ収納部420をハンドル417よりも下方でステアリング軸416の後面に設け、このエアバッグ収納部420にエアバッグ装置40を収納しても良い。
また、エアバッグ42に替えて、上記第2の実施の形態のエアバッグ242、第5の実施の形態のエアバッグ542、及び第6の実施の形態のエアバッグ642をエアバッグ収納部420に配置しても良い。
【0075】
以上説明したように、本発明を適用した第4の実施の形態によれば、車両は、乗員用の乗車位置418より前方に設けられるエアバッグ42を備え、車両は、乗車位置418に乗員Rが立ち乗りする立ち乗り型車両410であり、エアバッグ42は、展開時に上方に展開する第1展開部35と、展開時に第1展開部35から上方に展開する上方展開部43と、展開時に第1展開部35から分岐して延びる第2展開部50とを備え、第2展開部50は、第1展開部35から、車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、上方展開部43が第1展開部35から上方に展開し、第2展開部50が第1展開部35から車幅方向外側に延びるため、エアバッグ42をコンパクトにし、且つ、エアバッグ42が乗員Rの腕R1によって干渉されることを抑制してエアバッグ42で乗員を良好に保護できる。
【0076】
[第5の実施の形態]
以下、図14及び図15を参照して、本発明を適用した第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第5の実施の形態は、エアバッグ542が中間部560を備える点が、上記実施の形態と異なる。
【0077】
図14は、第5の実施の形態において、エアバッグ542が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。図15は、展開したエアバッグ542を前方から見た正面図である。
エアバッグ542は、第1展開部35と、上方展開部43と、左右一対の第2展開部50と、インフレーター接続部44とを備える。
さらに、エアバッグ542は、上方展開部43と第2展開部50との間で、上方展開部43と第2展開部50とを接続する中間部560を左右一対備える。
詳細には、中間部560は、上方展開部43と第2展開部50の側方延出部51とを接続する。中間部560は、上方展開部43と第2展開部50の下端部とを接続する。
【0078】
エアバッグ542は、布を縫製することで袋状に形成される。第1展開部35、上方展開部43、及び第2展開部50は、エアバッグ542の縫い目の内側に形成される気室である。この縫い目は、エアバッグ542の周縁に沿って形成される縫製ラインである。中間部560は、気室を形成する上記縫い目の外側に位置する布状部であり、中間部560内にはインフレーター41からのガスは流入しない。このため、中間部560は、エアバッグ542の展開時に膨張せず、エアバッグ542の展開後にも平坦な布状である。
なお、エアバッグ542は、布を縫い合わせて形成されるものに限定されない。エアバッグ542は、例えば、布やフィルムを接着して袋状に形成されたり、織物として袋状に形成されても良い。
【0079】
エアバッグ542が展開した状態では、中間部560は、上方展開部43と側方延出部51との間で、乗員Rの脇の下R4の下方に位置する。エアバッグ542の上方への移動は、中間部560が脇の下R4や腕R1に下方から当接することで規制される。このため、エアバッグ542を効果的に乗員Rに巻き付けることができる。
中間部560にはガスが流入しないため、中間部560を設けた場合であってもエアバッグ542を迅速に展開できる。
中間部560は、エアバッグ542の縫製後において、エアバッグ542の形状を整える際に布部を切り残した部分であるため、容易に形成できる。
【0080】
以上説明したように、本発明を適用した第5の実施の形態によれば、エアバッグ542は、上方展開部43と第2展開部50との間に中間部560を備え、中間部560は、上方展開部43と第2展開部50とを接続し、中間部560は、エアバッグ542を展開させるガスによって膨張しない。
この構成によれば、中間部560が乗員Rに当接することで、膨張時にエアバッグ542を乗員Rに対し適切な位置に位置させることができ、乗員Rを良好に保護できる。中間部560のサイズを調整することで、仕様の異なるエアバッグを容易に形成できる。中間部560にはガスが流入しないため、エアバッグ542を迅速に展開できる。
なお、中間部560は、上方展開部43と後方延出部52との間にまで設けても良い。
また、中間部560には、インフレーター41からのガスが多少流入しても良い。この場合、中間部560は膨張するが、中間部560の膨張量は、第2展開部50の膨張量及び上方展開部43の膨張量よりも小さい。
また、中間部560は、上記第2の実施の形態のエアバッグ242の上方展開部43と第2展開部250との間に設けられても良い。
また、上記第3の実施の形態、上記第4の実施の形態、及び第6の実施の形態のエアバッグにおいて、中間部560を設けても良い。
【0081】
[第6の実施の形態]
以下、図16図18を参照して、本発明を適用した第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第6の実施の形態は、第2展開部650が、第1展開部635から、後方に延出する点が、上記実施の形態と異なる。
【0082】
図16は、第6の実施の形態において、エアバッグ642が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。図17は、エアバッグ642が展開して乗員Rを保護している状態を示す左側面図である。
エアバッグ642は、エアバッグ収納部29a(図1)に収納される。エアバッグ642は、切り離し機構49を介してインフレーター41に接続される。
【0083】
エアバッグ642は、第1展開部635と、上方展開部643と、第1展開部635から分岐して後方に延びる左右一対の第2展開部650と、インフレーター接続部44(図5)とを備える。インフレーター接続部44は、第1展開部635の下端部に設けられる。
第1展開部635は、上記実施の形態の第1展開部35の幅を車幅方向に拡大したものであり、基本形状は、第1展開部35と同じである。
第1展開部635の車幅方向の幅は、胴体R3の幅よりも大きい。このため、展開した状態では、第1展開部635の車幅方向の両端部は、胴体R3に対し車幅方向外側に位置する。
【0084】
上方展開部643は、上記実施の形態の上方展開部43の幅を車幅方向に拡大したものであり、基本形状は、上方展開部43と同じである。すなわち、上方展開部643では、一側上方展開部45及び他側上方展開部46の幅が上記実施の形態のものよりも大きい。
上方展開部643の車幅方向の幅は、胴体R3の幅よりも大きい。このため、展開した状態では、上方展開部643の車幅方向の両端部は、胴体R3に対し車幅方向外側に位置する。
上方展開部643の後面43aには、接続部材48(図6)が設けられる。
【0085】
第2展開部650は、第1展開部635の後面からそれぞれ車両後方に延出する棒状である。第2展開部650は、上方展開部643よりも細い棒状である。
第2展開部650の基端部は、第1展開部635内に連通している。
【0086】
詳細には、各第2展開部650は、第1展開部635の後面における車幅方向外側の端部から後方に延出する第2後方延出部652と、第2後方延出部652の後端部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部653と、内側屈曲部653から屈曲して下方に延びる下方延出部654と、下方延出部654の下端部から前方の第2後方延出部652に向けて折り返す折り返し部655とを備える。
ここで、内側屈曲部653、下方延出部654、及び折り返し部655は、それぞれ、上記実施の形態の内側屈曲部53、下方延出部54、及び折り返し部55と同じ形状であり、これらについての詳細な説明は省略する。
【0087】
第2後方延出部652は、第1展開部635と上方展開部643とによって形成される展開部の下部から後方に延出する。
図16の正面視では、第1展開部635の上端635aは、第1展開部635と第2後方延出部652との接続部の上端に位置する。
【0088】
第2後方延出部652は、第1展開部635の後面における車幅方向外側の端部から、シート17の後方側に向けて後方に延出する。第2後方延出部652は、第1展開部635のほぼ真後ろに延出する。
第2後方延出部652は、車両側面視で、第1展開部635から後上方に斜めに延びる棒状であり、上方展開部643よりも細い。
第2後方延出部652は、第1展開部635から、シート17に着座してハンドル21を把持する乗員Rの腕R1と乗員Rの脚R2との間を通り、胴体R3の外側面に沿って乗員Rの後方まで延出する。
【0089】
第2後方延出部652は、第1展開部635から内側屈曲部653に至る区間を形成する。第2後方延出部652は、胴体R3の外側面に沿って後方に延出する。
内側屈曲部653は、第2後方延出部652の延出方向の端部に設けられる。内側屈曲部653は、第1展開部635に対し後方且つ上方に位置する。内側屈曲部653は、胴体R3の後面側に回り込み、乗員Rの背中に接する。
【0090】
下方延出部654は、内側屈曲部653の車幅方向内側の端部から、乗員Rの背中に沿うようにして下方に延出する。
折り返し部655は、折り返し部655の前方で後上がりに延びる第2後方延出部652に向けて延出し、第2後方延出部652に後方から当接する。
【0091】
エアバッグ642が展開した状態では、エアバッグ642は、乗員Rを周囲から囲み、乗員Rに付着する。
詳細には、第1展開部635及び上方展開部643は、胴体R3に前方から当接し、胴体R3を保護する。
左右の第2後方延出部652は、腕R1よりも下方に位置する。第2後方延出部652は、腕R1と脚R2との間を通って後方に延び、胴体R3の下部を車幅方向外側から覆う。これにより、第2展開部650が後方に展開する際に、腕R1が第2展開部650に干渉することが抑制される。
【0092】
第2後方延出部652は、腕R1の下方で胴体R3の外側面に当接し、胴体R3を保護する。第2後方延出部652は、腕R1に沿うように後上方に延びる。
内側屈曲部653及び下方延出部654は、乗員Rの背中に当接し、背中を保護する。
折り返し部655は、第2後方延出部652の下方で胴体R3の外側面に当接し、胴体R3を保護する。また、折り返し部655は、第2後方延出部652に後方から当接することで、第2展開部650の全体的な形状の変形を抑制し、第2展開部650を適切な形状に維持する。
【0093】
エアバッグ642は、第2展開部650が腕R1の下方を通るため、第2展開部650が腕R1の邪魔になり難いとともに、上方展開部643及び第2展開部650を介して乗員Rに対し良好に付着する。さらに、エアバッグ642は、第2後方延出部652が腕R1と脚R2との間に挟まれるため、乗員Rに対し良好に付着する。
【0094】
エアバッグ642は、第1展開部635及び上方展開部643と、第2展開部650の内側屈曲部653及び下方延出部654と、によって乗員Rを車両前後方向から挟む。さらに、エアバッグ642は、左右の第2後方延出部652及び左右の折り返し部655によって乗員Rを左右方向から挟む。このため、エアバッグ642は、乗員Rに良好に付着する。
内側屈曲部653の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部643に重なる。すなわち、図16に示す正面視では、上方展開部643は、内側屈曲部653の少なくとも一部に前方から重なる。このため、内側屈曲部653と上方展開部643とで乗員Rを前後に挟むことができ、エアバッグ642を乗員Rに効果的に付着させることができる。
第2展開部650は、棒状であり、容積が小さいため、迅速に展開する。
エアバッグ642が展開した状態で、第2展開部650の展開方向の長さは、第1展開部635及び上方展開部643を足した展開方向の長さよりも長い。
【0095】
以上説明したように、本発明を適用した第6の実施の形態によれば、エアバッグ642は、展開時に上方に展開する第1展開部635と、展開時に第1展開部635から上方に展開する上方展開部643と、展開時に第1展開部635から分岐して延びる第2展開部650とを備え、第2展開部650は、第1展開部635から、後方に延出する。
この構成によれば、上方展開部643が第1展開部635から上方に展開し、第2展開部650が第1展開部635から後方に延びるため、エアバッグ642をコンパクトにし、且つ、エアバッグ642が乗員Rの腕R1によって干渉されることを抑制してエアバッグ642で乗員Rを良好に保護できる。
【0096】
図18は、第6の実施の形態の変形例において、エアバッグ642が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。
上記第6の実施の形態では、第2展開部650は、第1展開部635の後面から後方に延出するが、第2展開部650は、第1展開部635の後面から後外側方に延出しても良い。
この変形例では、区別のため、第2展開部650を第2展開部650´と示す。
第2展開部650´の第2後方延出部652´は、第1展開部635の後面から後外側方に延出する。第2後方延出部652´は、第1展開部635から内側屈曲部653に至るまでは、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜する。折り返し部655は、第2後方延出部652´に向けて前方に折り返す。
【0097】
[第7の実施の形態]
以下、図19及び図20を参照して、本発明を適用した第7の実施の形態について説明する。この第7の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第7の実施の形態は、エアバッグ42が、乗員Rが装着する乗員用装備具771に設けられる点が、上記実施の形態と異なる。
【0098】
図19は、第7の実施の形態において、エアバッグ42が展開して乗員Rを保護している状態を示す左側面図である。図20は、エアバッグ42が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。
乗員保護具770は、乗員Rが装着する乗員用装備具771と、乗員用装備具771に支持されるエアバッグ42とを備える。
【0099】
乗員用装備具771は、胴体R3の下部に着脱可能に装着されるベルトである。
乗員用装備具771は、胴体R3の外周に巻き付く帯状のベルト部771aと、ベルト部771aの前面に設けられるケース状のエアバッグ収納部771bとを備える。エアバッグ収納部771bは、胴体R3の下部の前方に位置する。
【0100】
エアバッグ42は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部771bに収納されている。また、インフレーター41(図1)も、エアバッグ収納部771bに収納されている。エアバッグ42は、胴体R3の下部の前方に位置する。
【0101】
エアバッグ42は、エアバッグ収納部771bから上方及び後方に展開する。
エアバッグ42が展開した状態では、エアバッグ42は、乗員Rを周囲から囲み、乗員Rに付着する。
図19及び図20に示される乗員用装備具771のエアバッグ42の展開状態は、上記実施の形態(図2図4参照)と同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0102】
以上説明したように、本発明を適用した第7の実施の形態によれば、乗員保護具770は、鞍乗り型車両10に乗車する乗員Rが装着する乗員用装備具771と、エアバッグ42とを備え、エアバッグ42は、乗員用装備具771に支持されて乗員Rの胴体R3の前面側に位置し、エアバッグ42は、展開時に上方に展開する第1展開部35と、展開時に第1展開部35から上方に展開する上方展開部43と、展開時に第1展開部35から分岐して延びる第2展開部50とを備える。第2展開部50は、第1展開部35から、車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、上方展開部43が第1展開部35から上方に展開し、第2展開部50が第1展開部35から車幅方向外側に延びるため、エアバッグ42をコンパクトにし、且つ、エアバッグ42が乗員Rの腕R1によって干渉されることを抑制してエアバッグ42で乗員Rを良好に保護できる。また、エアバッグ42は、非作動時は、エアバッグ収納部771bに収納され、乗員Rを保護する際に展開する。このため、例えば、常に展開した状態で乗員Rに装着されるエアバッグに比して、通気性が良い。
【0103】
なお、第7の実施の形態において、第2展開部50は、図16の第2展開部650のように、第1展開部635の後面から後方に延びても良い。また、第2展開部50は、図18の第2展開部650のように、第1展開部635の後面から後外側方に延出しても良い。
また、エアバッグ42に替えて、エアバッグ242,542,642のいずれかをエアバッグ収納部771bに設けても良い。
【0104】
[第8の実施の形態]
以下、図21を参照して、本発明を適用した第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第8の実施の形態は、エアバッグ42が、乗員Rが装着する乗員用装備具871に設けられる点が、上記実施の形態と異なる。
【0105】
図21は、第8の実施の形態において、エアバッグ42が展開して乗員Rを保護している状態を前方から見た正面図である。
乗員保護具870は、乗員Rが装着する乗員用装備具871と、乗員用装備具871に支持されるエアバッグ42とを備える。
【0106】
乗員用装備具871は、胴体R3に着脱可能に装着されるジャケットである。このジャケットは、例えばベストタイプのジャケットである。
乗員用装備具871は、胴体R3を前方から覆うジャケット前面部871aの下部に、ケース状のエアバッグ収納部871bを備える。エアバッグ収納部871bは、胴体R3の下部の前方に位置する。
【0107】
エアバッグ42は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部871bに収納されている。また、インフレーター41(図1)も、エアバッグ収納部871bに収納されている。エアバッグ42は、胴体R3の下部の前方に位置する。
なお、エアバッグ収納部871bは、エアバッグ42用に上記ジャケットに設けられるポケットであっても良い。また、エアバッグ収納部871bは、エアバッグ42を上記ジャケットに取り付け可能にするボタン及びファスナー等の固定具であっても良い。
【0108】
エアバッグ42は、エアバッグ収納部871bから上方及び後方に展開する。
エアバッグ42が展開した状態では、エアバッグ42は、乗員Rを周囲から囲み、乗員Rに付着する。
図21に示される乗員用装備具871のエアバッグ42の展開状態は、上記実施の形態(図2図4参照)と同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0109】
以上説明したように、本発明を適用した第8の実施の形態によれば、乗員保護具870は、鞍乗り型車両10に乗車する乗員Rが装着する乗員用装備具871と、エアバッグ42とを備え、エアバッグ42は、乗員用装備具871に支持されて乗員Rの胴体R3の前面側に位置し、エアバッグ42は、展開時に上方に展開する第1展開部35と、展開時に第1展開部35から上方に展開する上方展開部43と、展開時に第1展開部35から分岐して延びる第2展開部50とを備える。第2展開部50は、第1展開部35から、車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、上方展開部43が第1展開部35から上方に展開し、第2展開部50が第1展開部35から車幅方向外側に延びるため、エアバッグ42をコンパクトにし、且つ、エアバッグ42が乗員Rの腕R1によって干渉されることを抑制してエアバッグ42で乗員Rを良好に保護できる。また、エアバッグ42は、非作動時は、エアバッグ収納部871bに収納され、乗員Rを保護する際に展開する。このため、例えば、常に展開した状態で乗員Rに装着されるエアバッグに比して、通気性が良い。
【0110】
なお、第8の実施の形態において、第2展開部50は、図16の第2展開部650のように、第1展開部635の後面から後方に延びても良い。また、第2展開部50は、図18の第2展開部650のように、第1展開部635の後面から後外側方に延出しても良い。
また、エアバッグ42に替えて、エアバッグ242,542,642のいずれかをエアバッグ収納部871bに設けても良い。
【0111】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0112】
(構成1)乗員用のシートと、前記シートよりも前方または前記シートの前部に設けられるエアバッグとを備える鞍乗り型車両において、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する第1展開部と、展開時に前記第1展開部から上方に展開する上方展開部と、展開時に前記第1展開部から分岐して延びる第2展開部とを備え、前記第2展開部は、前記第1展開部から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、上方展開部が第1展開部から上方に展開し、第2展開部が第1展開部から車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延びるため、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグが乗員の腕によって干渉されることを抑制してエアバッグで乗員を良好に保護できる。
【0113】
(構成2)前記第2展開部は、前記第1展開部から車幅方向外側に延出する側方延出部と、前記側方延出部から後方に延出する後方延出部とを備えることを特徴とする構成1記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、側方延出部及び後方延出部を介してエアバッグを乗員に効果的に付着させることができるとともに、後方延出部によって乗員の側方を保護できる。
【0114】
(構成3)前記第2展開部は、前記第1展開部から後方または後側方に延出する第2後方延出部を備えることを特徴とする構成1記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2後方延出部を介してエアバッグを乗員に効果的に付着させることができるとともに、第2後方延出部によって乗員の側方を保護できる。
【0115】
(構成4)前記第2展開部は、前記後方延出部及び前記第2後方延出部の少なくともいずれかから車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部を備え、前記内側屈曲部の少なくとも一部は、車両前後方向で前記上方展開部に重なることを特徴とする構成2または3記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、内側屈曲部によって乗員を後方から保護できるとともに、内側屈曲部と上方展開部とによって乗員を前後に挟むようにして、エアバッグを乗員に効果的に付着させることができる。
【0116】
(構成5)前記後方延出部及び前記第2後方延出部は、前記内側屈曲部に至るまでは、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出することを特徴とする構成4記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、後方延出部及び第2後方延出部を乗員に沿うように後方へ良好に展開できる。
【0117】
(構成6)前記第2展開部は、前記内側屈曲部から屈曲して下方に延びる下方延出部を備えることを特徴とする構成4または5記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、内側屈曲部及び下方延出部によって、乗員を広い範囲に亘って後方から保護できる。また、下方延出部によってエアバッグを効果的に乗員に付着させることができる。
【0118】
(構成7)前記後方延出部及び前記第2後方延出部は、車両側面視で、後上方に斜めに延びることを特徴とする構成6記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、後方延出部及び第2後方延出部から延びる内側屈曲部の位置が高くなるため、内側屈曲部及び下方延出部を上下に広い範囲に設けることができ、内側屈曲部及び下方延出部によって乗員を効果的に保護できる。また、乗員の高い位置を保護できるため頭部や首周辺の保護がし易い。
【0119】
(構成8)前記第2展開部は、前記下方延出部から前記後方延出部または前記第2後方延出部に向けて折り返す折り返し部を備えることを特徴とする構成6または7記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、折り返し部によって乗員を保護できる。また、折り返し部が後方延出部または第2後方延出部に当接することで、第2展開部を適切な形状に維持し易い。
【0120】
(構成9)前記エアバッグが展開した状態で、前記第2展開部の展開方向の長さは、前記第1展開部及び前記上方展開部を足した展開方向の長さよりも長いことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2展開部の展開方向の長さが長いため、第2展開部によって乗員を効果的に保持できる。また、第1展開部及び上方展開部が短いため、第1展開部及び上方展開部を迅速に展開できる。
【0121】
(構成10)前記第2展開部は、前記第1展開部から車幅方向外側、後方、及び後側方のいずれかに延出する延出部と、前記延出部から少なくとも前記上方展開部の位置まで上方に延びる第2上方延出部とを備えることを特徴とする構成1記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2上方展開部によって乗員を保護できるとともに、上方展開部、延出部、及び第2上方展開部によって乗員を挟むようにして、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。
【0122】
(構成11)前記第2上方延出部は、前記上方展開部の上面よりも上方に延びることを特徴とする構成10記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2上方延出部によって乗員の高い位置を良好に保護できる。
【0123】
(構成12)前記上方展開部は、前記シートに着座する乗員の胴体の前面に沿って上方に展開し、前記第2展開部は、前記シートに着座して操舵用のハンドルを把持する前記乗員の腕と、この乗員の脚との間を通って延出することを特徴とする構成1から11のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2展開部が腕の邪魔になることを抑制できるとともに、腕と脚に挟まれる第2展開部を介してエアバッグを乗員に良好に付着させることができる。第2展開部は腕と脚との間を通ることが可能な大きさであるため、第2展開部をコンパクト化できる。
【0124】
(構成13)前記第2展開部は、前記第1展開部から延出する棒状であり、前記上方展開部よりも細い棒状であることを特徴とする構成1から12のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2展開部が棒状であるため、第2展開部の容積を小さくできるとともに、第2展開部を効果的に乗員に付着させることができる。
【0125】
(構成14)前記エアバッグを展開させるガスの流入口は、前記第1展開部に設けられることを特徴とする構成13記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ガスの流入口及び側方展開部が第1展開部に設けられるため、ガスの流入口と第2展開部とが近くなる。このため、第2展開部にガスを効率良く流すことができ、第2展開部を迅速に展開できる。
【0126】
(構成15)前記上方展開部は、左右の一方側で上方に延出する一側上方展開部と、左右の他方側で上方に延出する他側上方展開部と、前記上方展開部内の空間を前記一側上方展開部と前記他側上方展開部とに仕切る仕切り部とを備え、前記仕切り部は、前記上方展開部の少なくとも後面に設けられ、前記上方展開部は、上下に延在する前記仕切り部を起点に折り曲げ可能であり、前記上方展開部の前記後面には、前記一側上方展開部と前記他側上方展開部とを左右に接続する接続部材が取り付けられることを特徴とする構成1から14のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、上方展開部は、一側上方展開部と他側上方展開部とが上下に延在する仕切り部を起点に折り曲げ可能であるため、上方展開部を乗員に沿わせることができ、エアバッグによって乗員を良好に保護できる。さらに、接続部材によって、一側上方展開部と他側上方展開部との折り曲げの状態を規制でき、上方展開部を効果的に乗員に沿わせることができる。
【0127】
(構成16)前記エアバッグ内にガスを噴出して前記エアバッグを展開させるインフレーターが前記エアバッグに接続され、前記エアバッグの展開後に前記エアバッグを前記インフレーターから切り離す切り離し機構が設けられることを特徴とする構成1から15のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、エアバッグの展開後にエアバッグがインフレーターから切り離されるため、エアバッグの展開後に、エアバッグがインフレーターによって下方にずらされることが抑制される。このため、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。また、エアバッグで乗員を把持しつつ、エアバッグを切り離しできる。
【0128】
(構成17)前記エアバッグは、前記上方展開部と前記第2展開部との間に中間部を備え、前記中間部は、前記上方展開部と前記第2展開部とを接続し、前記中間部は、前記第2展開部よりも膨張量が少ない、または、前記エアバッグを展開させるガスによって膨張しないことを特徴とする構成1から16のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、中間部が乗員に当接することで、膨張時にエアバッグを乗員に対し適切な高さに位置させることができ、乗員を良好に保護できる。中間部のサイズを調整することで、仕様の異なるエアバッグを容易に形成できる。中間部は、膨張量が少ない、または、膨張しないため、エアバッグを迅速に展開できる。
【0129】
(構成18)乗員用の乗車位置より前方に設けられるエアバッグを備える車両において、前記車両は、前記乗車位置に乗員が立ち乗りする立ち乗り型車両であり、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する第1展開部と、展開時に前記第1展開部から上方に展開する上方展開部と、展開時に前記第1展開部から分岐して延びる第2展開部とを備え、前記第2展開部は、前記第1展開部から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする車両。
この構成によれば、上方展開部が第1展開部から上方に展開し、第2展開部が第1展開部から車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延びるため、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグが乗員の腕によって干渉されることを抑制してエアバッグで乗員を良好に保護できる。
【0130】
(構成19)車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具と、エアバッグとを備える乗員保護具において、前記エアバッグは、前記乗員用装備具に支持されて前記乗員の胴体の前面側に位置し、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する第1展開部と、展開時に前記第1展開部から上方に展開する上方展開部と、展開時に前記第1展開部から分岐して延びる第2展開部とを備え、前記第2展開部は、前記第1展開部から、車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延出することを特徴とする乗員保護具。
この構成によれば、上方展開部が第1展開部から上方に展開し、第2展開部が第1展開部から車幅方向外側、後方、及び後外側方のいずれかに延びるため、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグが乗員の腕によって干渉されることを抑制してエアバッグで乗員を良好に保護できる。
【符号の説明】
【0131】
10,310 鞍乗り型車両(車両)
17,317 シート
21,323,417 ハンドル
35,635 第1展開部
41 インフレーター
42,242,542,642 エアバッグ
43,643 上方展開部
43a 後面
43c 上面
44 インフレーター接続部(流入口)
45 一側上方展開部
46 他側上方展開部
47 仕切り部
48 接続部材
49 切り離し機構
50,250,650,650´ 第2展開部
51 側方延出部
52 後方延出部
53,653 内側屈曲部
54,654 下方延出部
55,655 折り返し部
252 延出部
253 第2上方延出部
410 車両(立ち乗り型車両)
418 乗車位置
560 中間部
652,652´ 第2後方延出部
770,870 乗員保護具
771,871 乗員用装備具
L1 長さ(第2展開部の展開方向の長さ)
L2 長さ(第1展開部及び上方展開部を足した展開方向の長さ)
R1 腕
R2 脚
R3 胴体
図1
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