(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気構造
(51)【国際特許分類】
F02B 31/04 20060101AFI20241022BHJP
F02B 27/00 20060101ALI20241022BHJP
F02B 31/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
F02B31/04 500A
F02B27/00 D
F02B31/06 500B
(21)【出願番号】P 2023550939
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036225
(87)【国際公開番号】W WO2023053378
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【氏名又は名称】神澤 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100098176
【氏名又は名称】中村 訓
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一紀
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-077760(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154782(WO,A1)
【文献】特開2019-023459(JP,A)
【文献】特開2011-179427(JP,A)
【文献】特開平9-119317(JP,A)
【文献】特開2000-291452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 27/00-31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットル弁(40c)の下流側の吸気通路(38)を、タンブル流を発生させるためのタンブル流路となる第1吸気通路(64)と、該第1吸気通路の第1方向側に位置する第2吸気通路(66)とに仕切る主仕切部(62)と、
前記第1吸気通路(64)に第3吸気通路(68)と、該第3吸気通路の前記第1方向側に第4吸気通路(70)とを形成するように設けられる副仕切部(72)と、
前記第2吸気通路(66)を開閉可能である吸気制御弁(76)と
を備え、
前記スロットル弁(40c)の弁軸(40b)は前記第1方向及び前記吸気通路の吸気流れ方向に交差し、
前記副仕切部(72)の上流端(72a)は、前記吸気流れ方向において、前記主仕切部(62)の上流端よりも上流側に延び、
前記スロットル弁(40c)は、所定微小開度を含む複数の開度に開くことができるように構成されていて、
前記第2吸気通路(66)において前記主仕切部(62)の上流端(62a)と前記吸気制御弁(76)の設置位置との間に、吸気流れ方向において下流側に向けて断面積が小さくなる先細り部(66a)が設けられている
ことを特徴とする内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項2】
前記スロットル弁(40c)が前記所定微小開度に開いているとき、該スロットル弁(40c)の弁体(40d)と吸気通路壁面(38a)との間に第1の隙間部(G1)及び第2の隙間部(G2)が形成され、
前記第1の隙間部(G1)は、前記スロットル弁(40c)の前記弁軸(40b)を間に挟んで、前記第2の隙間部(G2)の反対側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項3】
前記第1の隙間部(G1)及び前記第2の隙間部(G2)のそれぞれは前記主仕切部(62)の厚さ以下の隙間幅を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項4】
前記スロットル弁(40c)の前記弁軸(40b)は前記第1方向及び前記吸気通路の吸気流れ方向に直交する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の吸気構造(S)。
【請求項5】
前記第2吸気通路(66)の断面積と前記第4吸気通路(70)の断面積の和は、前記第3吸気通路(68)の断面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項6】
前記吸気制御弁(76)の設置位置における前記第2吸気通路(66)の断面は略円形である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項8】
前記第1吸気通路(64)にレゾネータ(90)が連通している
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項9】
前記第3吸気通路(68)と前記第4吸気通路(70)とが合流する合流部(86)であって、該合流部(86)を介して前記第1吸気通路(64)は前記第2吸気通路(66)に合流する、合流部(86)
を更に備える
ことを特徴とする請求項1から6、8のいずれか一項に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項10】
前記第3吸気通路(68)及び前記第4吸気通路(70)の断面積(S1、S2)の和よりも、前記合流部(86)の上流側端部(86u)よりも下流側の流れ方向に直交する断面での面積が小さくなるように、前記合流部(86)は区画形成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【請求項11】
前記第2吸気通路(66)からの吸気よりも、前記合流部(86)を介しての前記第1吸気通路(64)からの吸気が小さい進入角で燃焼室(20)に流入するように、前記合流部(86)は区画形成されている
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の内燃機関(10)の吸気構造(S)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気通路を複数に分ける仕切部が設けられる内燃機関の吸気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットル弁の下流側の吸気通路が、仕切部により複数の通路に分けられる内燃機関の吸気構造が種々提案されている。例えば、特許文献1の内燃機関の吸気構造では、スロットル弁の下流側にタンブル弁を設け、そのタンブル弁の下流側にインレットパイプから吸気ポートへと続けて仕切部である仕切板部を設け、この仕切板部により吸気通路を上下の下側副通路と上側主流路とに仕切ることが行われる。下側副通路がタンブル流路となり、タンブル弁は上側主流路を実質的に開閉するものである。
【0003】
また、特許文献2が開示する内燃機関では、スロットル弁の下流側に吸気制御弁が設けられ、更にその下流側の吸気通路に、吸入空気の流れ方向に沿った横板状部材が配設されている。横板状部材の数が1つのときと、2つ以上のときの内燃機関が開示されている。特許文献2の記載によれば、横板状部材を複数形成し、内燃機関の運転条件に応じた吸気制御弁の開度を決定することで、吸気制御弁の中間開度においても吸入空気の流れを乱さず、安定したガス流動を生成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許第6714764号公報
【文献】日本国特開2006-77590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関を好適に作動させるためには、その内燃機関の運転状態に応じた吸入空気量を確保することと、燃焼効率を高めるためにタンブル流などの渦流を燃焼室で好適に生じさせることとの両立が望まれる。しかし、例えば特許文献2の構成では、スロットル弁に加えて吸気制御弁を設けることが必須であり、タンブル流を生じさせるときなどに吸気制御弁を様々な角度に精度よく調整することが必要不可欠である。これは吸気制御弁の構造の複雑化の方向にあり、課題を有する。
【0006】
本発明の目的は、吸気通路が仕切部により分けられるように構成された内燃機関において、スロットル弁の他に構造の複雑な吸気制御弁を必要とすることなしに、運転状態に応じた吸入空気量の確保とタンブル性能の確保との両立を可能にする構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
スロットル弁の下流側の吸気通路を、タンブル流を発生させるためのタンブル流路となる第1吸気通路と、該第1吸気通路の第1方向側に位置する第2吸気通路とに仕切る主仕切部と、
前記第1吸気通路に第3吸気通路と、該第3吸気通路の前記第1方向側に第4吸気通路とを形成するように設けられる副仕切部と、
を備え、
前記スロットル弁の弁軸は前記第1方向及び前記吸気通路の吸気流れ方向に交差し、
前記副仕切部の上流端は、前記吸気流れ方向において、前記主仕切部の上流端よりも上流側に延び、
前記スロットル弁は、所定微小開度を含む複数の開度に開くことができるように構成されている
ことを特徴とする内燃機関の吸気構造
を提供する。
【0008】
上記構成によれば、スロットル弁の下流側の吸気通路をタンブル流を発生させるためのタンブル流路となる第1吸気通路と、第2吸気通路とに仕切る主仕切部と、第1吸気通路に、第3吸気通路と第4吸気通路とを形成するように設けられる副仕切部が備えられる。したがって、内燃機関の運転状態に応じてそれらの1つ、複数又は全てを使用することで、運転状態に応じた吸入空気量を確保することができる。また、スロットル弁の弁軸は上記第1方向及び吸気通路の吸気流れ方向に交差し、副仕切部の上流端は、吸気流れ方向において、主仕切部の上流端よりも上流側に延び、スロットル弁は、所定微小開度を含む複数の開度に開くことができるように構成されている。したがって、スロットル弁が所定微小開度に開いたとき、第3吸気通路に吸気の流れを促すことができ、タンブル性能を確保することができる。そして、上記構成では、スロットル弁の操作でタンブル流を実現できるので、構造の複雑な吸気制御弁を必ずしも必要としない。
【0009】
好ましくは、前記スロットル弁が前記所定微小開度に開いているとき、該スロットル弁の弁体と吸気通路壁面との間に第1の隙間部及び第2の隙間部が形成され、前記第1の隙間部は、前記スロットル弁の前記弁軸を間に挟んで、前記第2の隙間部の反対側に位置する。この構成により、スロットル弁が所定微小開度に開いているとき、第3吸気通路に吸気の流れを好適に促すことができる。
【0010】
好ましくは、前記第1の隙間部及び前記第2の隙間部のそれぞれは前記主仕切部の厚さ以下の隙間幅を有する。この構成により、スロットル弁が所定微小開度に開いているとき、第3吸気通路に吸気の流れをより好適に促すことができる。
【0011】
好ましくは、前記スロットル弁の前記弁軸は前記第1方向及び前記吸気通路の吸気流れ方向に直交する。この構成により、スロットル弁が所定微小開度に開いているとき、吸気の流れをより好適に第3吸気通路に促すことができる。
【0012】
好ましくは、前記第2吸気通路の断面積と前記第4吸気通路の断面積の和は、前記第3吸気通路の断面積よりも大きく、前記第2吸気通路を開閉可能である吸気制御弁が更に設けられている。第2吸気通路の断面積と第4吸気通路の断面積の和を第3吸気通路の断面積よりも大きくすることにより、スロットル弁が所定微小開度に開いているとき、第2吸気通路及び第4吸気通路側に一旦流れた吸気の流れを、第3吸気通路により好適に促すことができる。また、吸気制御弁を設けることで、例えばスロットル弁が所定微小開度に開いているときに第2吸気通路を閉じて、第3吸気通路への吸気の流れをより一層促すことができる。
【0013】
好ましくは、前記吸気制御弁の設置位置における前記第2吸気通路の断面は略円形である。この構成により、閉弁時の吸気制御弁による第2吸気通路の閉塞の度合いをより容易に高めることができる。
【0014】
好ましくは、前記第2吸気通路において前記主仕切部の上流端と前記吸気制御弁の設置位置との間に、吸気流れ方向において下流側に向けて断面積が小さくなる先細り部が設けられている。この構成により、第2吸気通路への吸気の流れをより好適に滑らかにすることができる。
【0015】
前記第1吸気通路にレゾネータが連通しているとよい。この構成により、第1吸気通路からの吸気の流動を高め、よってタンブル流を強化することができる。
【0016】
好ましくは、前述の吸気構造は、前記第3吸気通路と前記第4吸気通路とが合流する合流部であって、該合流部を介して前記第1吸気通路は前記第2吸気通路に合流する、合流部を更に備える。この構成により、第3吸気通路と第4吸気通路とを備える第1吸気通路からの吸気に強い指向性を持たせることができ、タンブル性能を更に確保することができる。
【0017】
好ましくは、前記第3吸気通路及び前記第4吸気通路の断面積の和よりも、前記合流部の上流側端部よりも下流側の流れ方向に直交する断面での面積が小さくなるように、前記合流部は区画形成されている。この構成により、第3吸気通路からの吸気と第4吸気通路からの吸気とが合流部で合流して第2吸気通路に流れるとき、吸気の流速を速い状態に保つことが可能になる。
【0018】
好ましくは、前記第2吸気通路からの吸気よりも、前記合流部を介しての前記第1吸気通路からの吸気が小さい進入角で燃焼室に流入するように、前記合流部は区画形成されている。この構成により、第1吸気通路を通った吸気が強い指向性を持ったまま燃焼室に導入可能になるため、燃焼室で強いタンブル流を発生させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記態様によれば、上記構成を備えるので、吸気通路が仕切部により分けられるように構成された内燃機関において、スロットル弁の他に構造の複雑な吸気制御弁を必要とすることなしに、運転状態に応じた吸入空気量の確保とタンブル性能の確保との両立を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1の内燃機関における吸気系の立体モデルを示す図である。
【
図3】
図1の内燃機関における主流路の一部と主仕切部の上流端側の部分との断面図である。
【
図4】
図3に示す主流路の一部を上流側からみた図である。
【
図5】
図1の内燃機関における吸気系の立体モデルであり、吸気制御弁であるタンブル弁が閉じて、スロットル弁が所定微小開度に開いているときの図である。
【
図6】
図1の内燃機関における吸気系の立体モデルであり、タンブル弁が閉じて、スロットル弁が所定微小開度よりも大きな開度に開いているときの図である。
【
図7】
図1の内燃機関における吸気系の立体モデルであり、タンブル弁及びスロットル弁が共に全開に開いているときの図である。
【
図8】
図1の内燃機関における、スロットル弁下流側かつタンブル弁下流側の吸気通路の部分及び排気ポートを含む立体モデルをシリンダ軸線に直交するとともに吸気流れ方向に直交する方向からみた図である。
【
図9A】
図8の立体モデルのIXA-IXA線に沿った位置での断面図である。
【
図9B】
図8の立体モデルのIXB-IXB線に沿った位置での断面図である。
【
図9C】
図8の立体モデルのIXC-IXC線に沿った位置での断面図である。
【
図10】バタフライ弁による吸気の流れを説明するための図である。
【
図11】バタフライ弁による吸気の流れを説明するための更なる図である。
【
図12】
図1の内燃機関における、スロットル弁周囲での吸気の流れを説明するための図である。
【
図13】
図1の内燃機関におけるスロットル弁周囲での吸気の流れのシミュレーションの結果を示す図である。
【
図14A】
図13のシミュレーションモデルにおけるXIVA-XIVA線に沿った位置での吸気通路の断面図である。
【
図14B】
図13のシミュレーションモデルにおけるXIVB-XIVB線に沿った位置での吸気通路の断面図である。
【
図15】
図1の内燃機関の吸気構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を添付図に基づいて説明する。同一の部品(又は構成)には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
本発明の一実施形態に係る内燃機関10の概略構成を
図1に示す。
図1は、内燃機関10のシリンダブロック12のシリンダボア12bの軸線(シリンダ軸線)Cに沿った、内燃機関10の断面図である。
【0023】
シリンダブロック12のシリンダボア12b内を往復動するピストン15は、クランクケース部16のクランク軸17のクランクピンと、コネクティングロッド18により連結されている。シリンダブロック12のシリンダボア12b内に摺動自在に嵌合されるピストン15の頂面15aと、頂面15aが対向するシリンダヘッド14の燃焼室天井面14aとの間には燃焼室20が構成される。
【0024】
内燃機関10は、SOHC型式の2バルブシステムを採用しており、シリンダヘッド14に動弁機構22が設けられている。動弁機構22を覆うように、シリンダヘッド14にはシリンダヘッドカバー24が重ねられて被せられる。シリンダヘッドカバー24内の動弁機構22に動力伝達を行うため、図示しない無端状のカムチェーンが、クランクケース部16、シリンダブロック12、シリンダヘッド14のクランク軸方向の一方側に設けられた図示しないカムチェーン室を通って、カム軸26とクランク軸17との間に架設され、カム軸26はクランク軸17に同期して1/2の回転速度で回転する。なお、シリンダヘッド14においてカムチェーン室と反対側(クランク軸方向の他方側)から燃焼室20内に向かって点火プラグ(不図示)が嵌挿されている。
【0025】
シリンダヘッド14において、燃焼室天井面14aに開口した吸気弁口28と排気弁口30からは、各々吸気ポート32と排気ポート34が互いに上下に離れる方向に湾曲しながら延出して形成される。吸気ポート32の上流端は、シリンダヘッド14の上方に向けて開口し、インレットパイプ36と接続して、連続した吸気通路38が構成され、インレットパイプ36の上流側に、スロットルボディ40が接続される。
【0026】
排気ポート34の下流端は、シリンダヘッド14の下方に向けて開口し、排気管42に連結される。排気管42の下流側には、排気浄化装置及び消音装置が設けられ得る。
【0027】
シリンダヘッド14における吸気ポート32の湾曲外壁部32aに一体に円筒状の吸気弁ガイド44が嵌着されている。吸気弁ガイド44に摺動可能に支持された吸気弁46が、吸気ポート32の燃焼室20に臨む吸気弁口28を開閉する。
【0028】
また、シリンダヘッド14における排気ポート34の湾曲外壁部34aに一体に嵌着された排気弁ガイド48に摺動可能に支持された排気弁50が、排気ポート34の燃焼室20に臨む排気弁口30を開閉する。
【0029】
吸気弁46及び排気弁50はその傘部46a、50aが、いずれも燃焼室20に臨む吸気弁口28、排気弁口30を閉じるように、弁ばねにより上方に付勢されている。カム軸26の吸気カム、排気カムに当接揺動する吸気ロッカアーム56、排気ロッカアーム58によって、吸気弁46、排気弁50のステムエンド46b、50bが押し下げられて、所定のタイミングで吸気弁46、排気弁50が開弁し、吸気ポート32と燃焼室20、また、排気ポート34と燃焼室20が連通し、所定のタイミングの吸気、排気がなされる。
【0030】
内燃機関10の吸気ポート32の上流端には、インシュレ-タ60を介してインレットパイプ36が接続して、連続した吸気通路38が構成され、インレットパイプ36の上流側に、スロットルボディ40が接続される。スロットルボディ40は、内燃機関10の燃焼室20に連なる吸気通路38の一部を構成する断面略円形の吸気路40aを有し、その上流側は、図示しないエアクリーナ装置に接続している。
【0031】
スロットルボディ40は、その吸気路40aの吸気の流れ方向と垂直、すなわち吸気路40aの中心軸線と直角に交差する弁軸つまりスロットル弁軸40bによってスロットルボディ40内に回転自在に軸支されて、吸気路40aの流路面積を可変制御し、吸気路40aを開閉し得るスロットル弁40cを備えている。スロットル弁40cはバタフライ式のもので、スロットル弁軸40bと、スロットル弁軸40bに固定される共に一体的に回転する円盤状の弁体40dとを有している。
【0032】
スロットル弁40cは運転者の操作等により、
図1において時計回りに開弁方向に回動可能となっているとともに、図示しない復帰ばねにより、弁体40dはそれの縁部が吸気路40aの内壁面に当接する全閉位置に位置するように、閉弁方向に反時計回りに付勢されている。なお、スロットル弁40cのこの開弁方向と閉弁方向とはそれぞれ逆向きであってもよい。
【0033】
以上のような内燃機関10において、燃焼室20でのより好ましい燃焼を得るために燃焼室20において燃料・空気混合気のタンブル渦流つまりタンブル流、すなわち縦回転を与えるための吸気構造Sが構成されている。すなわち、吸気通路38は、インレットパイプ36から吸気ポート32へと続く仕切部62によって、吸気流れ方向に沿って分割され、通った吸気が燃焼室20内でタンブル流を発生するように構成されたタンブル流路64と、タンブル流路64を除く主流路66とに仕切られている。タンブル流路64が第1吸気通路に相当し、主流路66が第2吸気通路に相当する。なお、タンブル流路64は副通路と称されてもよい。
【0034】
更に、タンブル流路64に、仕切部72が主にインレットパイプ36から吸気ポート32へと続くように設けられている。仕切部72を設けることで、タンブル流路64に、2つの吸気通路68、70が区画形成される。2つの吸気通路68、70の一方は第1タンブル流路68であり、それらの他方は第2タンブル流路70である。第1タンブル流路68は第3吸気通路に相当し、第2タンブル流路70は第4吸気通路に相当する。
【0035】
ここでは、タンブル流路64と主流路66とを仕切る仕切部62を主仕切部と称し、タンブル流路64の第1タンブル流路68と第2タンブル流路70とを仕切る仕切部72を副仕切部と称する。主仕切部62は吸気の流れ方向に板状に延在し、副仕切部72も主仕切部62に沿って、例えば略平行に、吸気の流れ方向に板状に延在する。主仕切部62は吸気通路38を実質的に上下方向において二分するように、ここでは流れ方向に延びる中心軸線上に実質的に延びるように設けられている。また、副仕切部72はタンブル流路64を実質的に上下方向において二分するように、ここでは流れ方向に延びるタンブル流路64の中心軸線上に実質的に延びるように設けられている。これにより、吸気通路38に、主仕切部62によって仕切られたタンブル流路64と主流路66が形成され、そのタンブル流路64に、副仕切部72によって第1タンブル流路68と、第1タンブル流路68よりも主流路66よりのつまり第1タンブル流路68と主流路66との間に位置する第2タンブル流路70とが形成される。ここでは、前述のように、主仕切部62は吸気通路38を実質的に上下方向において二分するように延び、かつ、副仕切部72はタンブル流路64を実質的に上下方向において二分するように延びるので、主流路66の断面積は、第1タンブル流路68の断面積よりも明らかに大きく、また第2タンブル流路70の断面積よりも明らかに大きい。よって、当然に、主流路66の断面積と第2タンブル流路70の断面積との和は、第1タンブル流路68の断面積よりも明らかに大きい。なお、主仕切部62及び副仕切部72のそれぞれは、例えば上下方向のいずれかに偏るように設けられてもよい。
【0036】
なお、主流路66の断面積と第2タンブル流路70の断面積との和SA1と、第1タンブル流路68の断面積SA2との比(SA1:SA2)は、8:2~7:3に設定されるとよい。しかし、その比は、その範囲に限定されない。
【0037】
吸気通路38の主仕切部62によって仕切られた下側部分がタンブル流路64、上側部分が主流路66となり、タンブル流路64の副仕切部72によって仕切られた下側部分が第1タンブル流路68、上側部分が第2タンブル流路70となるが、本明細書においてはそれらはその上下配置に限定されない。なお、本明細書において、吸気通路38などについての「上」、「下」とは、シリンダ軸線C方向においてクランク軸17側からシリンダヘッド14ないしシリンダヘッドカバー24側の方向を「上」又は「上」方向、この「上」方向とは逆向きの方向つまりシリンダヘッド14側からクランク軸17側の方向を「下」又は「下」方向といい、空間上の絶対的な「上」、「下」の意味ではない。本明細書では、この「上」又は「上」方向は第1方向に相当し、「下」又は「下」方向は第2方向に相当する。ただし、この関係が逆になり、この「上」又は「上」方向が第2方向に対応し、「下」又は「下」方向が第1方向に対応するようになることも可能である。
【0038】
主仕切部62は、スロットル弁40cから吸気流れ方向Fに第1所定間隔離れた位置から吸気ポート32にまで連続して延びている。同様に、副仕切部72は、スロットル弁40cから吸気流れ方向Fに第2所定間隔離れた位置から吸気ポート32にまで連続して延びている。
図1から明らかなように、副仕切部72の上流端72aは、吸気流れ方向Fにおいて、主仕切部62の上流端62aよりも上流側に延びている。つまり、副仕切部72の上流端72aつまりその端縁72atは、吸気流れ方向Fにおいて、主仕切部62の上流端62aつまりその縁部62atよりも上流側に位置している。ここでは、副仕切部72の上流側はインレットパイプ36とスロットルボディ40との間の接続管77にまで延びている。同じく、主仕切部62の上流側はインレットパイプ36とスロットルボディ40との間の接続管77にまで延びている。なお、接続管77を設けずに、主仕切部62と副仕切部72は形成されてもよい。なお、主仕切部62の下流端62bは、副仕切部72の下流端72bよりも下流側に延びていて、下流端62bの下流端縁62btは吸気流れ方向Fにおいて下流端72bの下流端縁72btよりも下流側に位置する。
【0039】
前述のように、スロットル弁40cの弁軸40bは、吸気通路38のうちの吸気路40aの吸気流れ方向Fと直交する。
図1では、上下方向が紙面に平行であり、スロットル弁40cの弁軸40bは紙面に直交する。したがって、スロットル弁40cの弁軸40bは、吸気の流れ方向Fと交差するとともに、上下方向、例えば第1方向と交差する。特に、ここでは、スロットル弁40cの弁軸40bは、第1方向などの上下方向及び吸気通路38の吸気流れ方向Fに直交する。
【0040】
上記主流路66には、タンブル弁76が設けられている。ここでは、タンブル弁76は、インレットパイプ36に設けられているが、上記接続管77に設けられてもよい。タンブル弁76は、主流路66の吸気流れ方向と垂直、すなわち主流路66の中心軸線と直角に交差する弁軸76bによってインレットパイプ36内に回転自在に軸支されて、主流路66を開閉することができるように構成されている。タンブル弁76はバタフライ式のもので、弁軸76bと、この弁軸76bに固定される共に一体的に回転する略円盤状の弁体76cとを有している。このように、タンブル弁76は弁軸76bと一体的に回転する単一の弁部材である弁体76cを備えて構成されている。ただし、ここではタンブル弁76の弁軸76bはスロットル弁軸40bと平行であるが、平行でなくてもよい。なお、タンブル弁76は、タンブル制御弁、TCVなどとも称され得、本発明の吸気制御弁に相当する。
【0041】
ここで、内燃機関10の吸気系、特に下流側の吸気系の立体モデルM1を
図2に示す。
図2は立体モデルM1の(上下方向に直交する)左右方向からの図であり、
図1の紙面奥側からの図である。
図2は、吸気弁46のバルブ軸線46cに直交する方向であって主仕切部62の延在方向及び副仕切部72の延在方向に対して直交する方向から立体モデルM1をみた図である。立体モデルM1では、スロットル弁40cと、タンブル弁76が表されている。また、
図3に、主流路66の一部と主仕切部62の上流端62a側の部分との、吸気流れ方向に沿った断面図を示す。更に、
図4に、
図3に示す主流路66の一部を上流側からみた図を示す。
【0042】
図3及び
図4に示すように、主流路66の上流端側は、吸気流れ方向において上流側から下流側に進むにしたがって先細りになる先細り部66aを有する。先細り部66aは、主流路66において主仕切部62の上流端62aとタンブル弁76の設置位置との間に位置し、吸気流れ方向において下流側に向けて断面積が小さくなる部分である。この先細り部66aを形成するように、主仕切部62の上流端62aはその端縁62at側で最も薄く、下流側に向けて肉厚が増すように形成されている(
図3参照)。なお、先細り部66aの上流側は、
図4に示すように略D型である。先細り部66aの下流側には断面が略円形の円形通路部66bが直接つながっている。主流路66を開閉可能である吸気制御弁であるタンブル弁76の設置位置は、この円形通路部66bに定められている。したがって、スロットル弁40cと同様に、タンブル弁76は、弁軸76bに固定される共に一体的に回転する円盤状の弁体76cを備える。このタンブル弁76は、以下のECU80により、全開及び全閉のいずれかの開度に選択的に制御されるものであり、その構造又は構成は簡易である。なお、先細り部66a及び円形通路部66bは接続管77において形成されているが、インレットパイプ36に形成されてもよい。
【0043】
なお、
図1から理解できるように、スロットル弁40cが全閉位置にあるとき、弁軸40bを中心として、吸気流れ方向Fにおいて、スロットル弁40cの弁体40dの下側に位置する一端側半体40fは、上流側に位置し、一端側半体76fの下流側において、対応する吸気通路38の内壁面38aの部分と鋭角をなす。また、このとき、弁軸40bを中心として、吸気流れ方向Fにおいて、スロットル弁40cの弁体40dの上側に位置する他端側半体40gは、下流側に位置し、他端側半体40gの下流側において、対応する内壁面38aの部分と鈍角をなす。この角度関係は、スロットル弁40cがわずかに開く所定微小開度にあるとき同様に成立する。
【0044】
内燃機関10では、燃料噴射弁78、79が設けられている。燃料噴射弁78は、スロットル弁40c及びタンブル弁76の下流側に設けられている。ここでは、燃料噴射弁78は、主流路66に臨むようにインレットパイプ36に設けられ、吸気ポート32に向けて燃料を噴射するように設けられている。より具体的には、燃料噴射弁78は主流路66を介して吸気弁46に向けて燃料を噴射するように設けられている。この燃料噴射弁78からの燃料噴射量及びその噴射タイミングは、スロットル弁40c及びタンブル弁76のそれぞれの制御と関連付けて制御される。
【0045】
また、もう一つの燃料噴射弁79はスロットル弁40cの下流側かつ副仕切部72の上流側の吸気通路に燃料を噴射するように設けられている。この燃料噴射弁79からの燃料噴射量及びその噴射タイミングは、燃料噴射弁78からの燃料噴射量及びその噴射タイミングと同様に、又は、燃料噴射弁78からの燃料噴射量及びその噴射タイミングと関連付けて制御され得る。
【0046】
内燃機関10を制御するECU(電子制御ユニット)80は、所謂コンピュータとしての構成を備え、吸気制御部82及び燃料噴射制御部84を備えている。ECU80は、エンジン回転速度センサ、エンジン負荷センサなどの各種センサからの出力に基づいて内燃機関10の運転状態を解析して、吸気制御部82により、スロットル弁40c及びタンブル弁76の各作動を制御する。なお、スロットル弁40cはECU80により任意の開度に開くことができ、
図5から
図7に示す開度に制御され得る。また、ECU80は、解析した内燃機関10の運転状態に基づいて、燃料噴射制御部84により、燃料噴射弁78、79の各作動を制御する。なお、ECU80には、これらの制御のためのプログラム及び各種データが記憶されている。
【0047】
ここで、スロットル弁40c及びタンブル弁76の制御について
図5から
図7に基づいて説明する。なお、
図5から
図7はそれぞれ、
図2に示す立体モデルM1においてスロットル弁40c及びタンブル弁76の各開度を調整したものである。
【0048】
例えば内燃機関10の運転状態が低負荷領域にあるとき、ECU80は、タンブル流路64から、特に第1タンブル流路68から、より好ましくは第1タンブル流路68のみから実質的に吸気を吸入させるように、タンブル弁76を閉じ、スロットル弁40cを所定微小開度に制御する(
図5参照)。これにより、
図5に矢印で模式的に示すように吸気の流れが促され、低負荷領域に即した吸入空気量を確保するとともに、第1タンブル流路68からの吸気で燃焼室20にタンブル流を形成させる。第1タンブル流路68は比較的断面積が小さいため、低負荷領域に即した吸入空気量でも流速を早くすることができ、強いタンブル流を形成することができる。ここでは、内燃機関10の運転状態が低負荷領域にあるとき、燃料噴射弁78、79からの燃料噴射は空燃比がリーンになるように制御されるが、タンブル流を形成することで効果的に燃焼を生じさせることができる。なお、
図5に示すとき、
図5に矢印で模式的に示すように吸気の流れが促されるが、この流れについては後述する。
【0049】
また、例えば内燃機関10の運転状態が中負荷領域にあるとき、ECU80は、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70つまりタンブル流路64から吸気を吸入させるように、タンブル弁76を閉じ、スロットル弁40cを所定微小開度よりも大きな開度に制御する(
図6参照)。なお、このときのスロットル弁40cは、全開よりは小さな開度に制御されるが、全開に制御されてもよい。これにより、
図6に矢印で模式的に示すように吸気の流れが促され、中負荷領域に即した吸入空気量を確保するとともに、第1及び第2タンブル流路68、70からの吸気で燃焼室20にタンブル流を形成させる。第1及び第2タンブル流路68、70からの吸気でタンブル流を形成するため、低負荷領域より多くの吸入空気量が必要な中負荷領域においても必要な吸入空気量を確保しつつ、強いタンブル流を形成することができる。ここでは、内燃機関10の運転状態が中負荷領域にあるとき、燃料噴射弁78、79からの燃料噴射は空燃比がリーンになるように制御されるが、タンブル流を形成することで効果的に燃焼を生じさせることができる。
【0050】
更に、例えば内燃機関10の運転状態が高負荷領域にあるとき、ECU80は、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70を含むタンブル流路64並びに主流路66から吸気を吸入させるように、タンブル弁76を開き、ここでは全開に開き、スロットル弁40cを全開など所定微小開度よりも大きな開度に制御する(
図7参照)。これにより、
図7に矢印で模式的に示すように吸気の流れが生じ、高負荷領域に即した吸入空気量を確保するとともに、第1及び第2タンブル流路68、70からの吸気で燃焼室20に好ましくはタンブル流を、そうでなくても好適な筒内流速を実現させる。ここでは、内燃機関10の運転状態が高負荷領域にあるとき、燃料噴射弁78、79からの燃料噴射は空燃比がストイキになるように制御され、更に好適な筒内流速を実現することでより効果的に燃焼を生じさせることができる。
【0051】
例えば、内燃機関10の運転状態が高負荷領域にあるとき、前述のように、タンブル弁76を開き、スロットル弁40cを開くことで、タンブル流路64及び主流路66から吸気を吸入させる。このときに、主流路66からの吸気により吸入空気量をより多くし、かつ、タンブル流路64からの吸気によるタンブル性能をより好適に確保可能にするように、内燃機関10の吸気構造Sは更なる構成及び形状を有する。以下、更に説明する。なお、タンブル流路64からの吸気によるタンブル性能をより好適に確保可能にする以下の構成、例えば合流部86による作用効果は、タンブル弁76が閉じられているときにも成立する。
【0052】
タンブル流路64の下流側には合流部86が区画形成されている。合流部86は、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70がその下流側で合流する個所に設けられている。そして、合流部86を介してタンブル流路64は主流路66に合流する。合流部86は、シリンダヘッド14に形成されている。ここでは、合流部86は吸気ポート32の一部として形成されている。
【0053】
ここで、
図8に、スロットル弁40c及びタンブル弁76の下流側の吸気通路38の部分及び排気ポート34の排気通路を含む立体モデルM2を示す。
図8はシリンダ軸線Cに直交するとともに吸気流れ方向Fに直交する方向からの立体モデルM2の図である。
図8のIXA-IXAに沿った位置での立体モデルM2の断面図を
図9Aに示し、
図8のIXB-IXB線に沿った位置での立体モデルM2の断面図を
図9Bに示し、
図8のIXC-IXC線に沿った位置での立体モデルM2の断面図を
図9Cに示す。
図8のIXA-IXA線は吸気ポート32の上流端近傍を通り、
図8のIXB-IXB線は副仕切部72の下流端縁近傍を通り、
図8のIXC-IXC線は主仕切部62の下流端縁の近傍を通る。これらのIXA-IXA線からIXC-IXC線は、いずれも、
図8においてシリンダ軸線Cに平行である。
【0054】
図9A及び
図9Bにおいて、第1タンブル流路68と第2タンブル流路70とは概ね同じ形状及びサイズを有する。このように、第1タンブル流路68と第2タンブル流路70とのそれぞれは、その吸気流れ方向においてその形状又はサイズが大きく変わることなく、滑らかに上流側から下流側に至る。そして、第1タンブル流路68と第2タンブル流路70とは合流部86につながる。合流部86は、主仕切部62の下流端62bの縁部つまり下流端縁62btよりも下流側で主流路66につながる(
図1及び
図8参照)。この構成により、第1タンブル流路68と第2タンブル流路70とは副仕切部72の下流端72bの縁部つまり下流端縁72btよりも下流側の合流部86を経て、主流路66につながることになる。よって、タンブル流路64の第1タンブル流路68と第2タンブル流路70を通った吸気に指向性を強く持たせることができる。
【0055】
図8において、合流部86において吸気流れ方向に延びるように定められる線L1が直角に近い角度θ1でシリンダ軸線Cに交わるのに対して、主流路66の下流端において流れ方向に延びるように定められる線L2が角度θ1よりも小さな角度θ2でシリンダ軸線Cに交わる。このように、主流路66からの吸気よりも、合流部86を介してのタンブル流路64からの吸気が小さい進入角で燃焼室20に流入するように、合流部86は区画形成されている。この構成により、タンブル流路64を通った吸気が強い指向性を持ったまま燃焼室20に導入可能になり、例えば燃焼室20で強いタンブル流を発生させることができる。なお、ここでいう進入角とは、燃焼室20に向けて流入する吸気の燃焼室20への流入の角度であり、例えばシリンダ軸線Cに直交するとともに吸気流れ方向に直交する方向からみた
図8においてシリンダ軸線Cとの間でなす角度が大きいほど進入角は小さいということになる。
【0056】
更に、
図1及び
図8から明らかなように、タンブル流路64は、下側に凸の湾曲形状を有するように区画形成され、主流路66は、上側に凸の湾曲形状を有するように区画形成されている。この構成により、上述のように、タンブル流路64からの吸気をより小さな進入角で燃焼室20に導くことが可能になり、また、主流路66からの吸気をより効果的に燃焼室20に導くことが可能になる。
【0057】
図9Bに、合流部86の上流側端部に第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70が連通するところが示されている。ここで、参考までに、
図9Bに、第1タンブル流路68の断面68A、第2タンブル流路70の断面70A、及び、合流部86の上流側端部86uに定められる仮想面のつまりこの仮想面での断面の1つの辺TA1を示す。第1タンブル流路68の断面68Aの上下方向の長さ及び第2タンブル流路70の断面70Aの上下方向の長さのそれぞれよりも、合流部86の上流側端部86uの辺TA1の方が明らかに長い。このように、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70の各々の断面積(
図9Bの面積S1、S2)が、合流部86の上流側端部86uの断面積S3(辺TA1により一部が区画形成される断面の面積)より小さいように、合流部86は区画形成されている(S1<S3、S2<S3)。この構成により、第1タンブル流路68からの吸気と第2タンブル流路70からの吸気とが合流部86に好適に流入可能である。より詳細には、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70に吸気が流れている場合、合流部86の断面積が第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70それぞれの断面積より大きいため、合流部86で吸入空気量が制限されにくく、例えば中負荷領域の運転領域に即した吸入空気量を確保することができる。
【0058】
また、例えば、
図9Cの辺TA2の方が
図9Bの辺TA1よりも短い。つまり、下流側に至るに従い、例えば
図9Bの辺TA1の箇所よりも
図9Cの断面箇所で、タンブル流路64の合流部86の断面積が小さくなる傾向にある。このように、内燃機関10では、合流部86は、該合流部86の上流側端部から下流側に向けて概ね先細りするように区画形成されている。この構成により、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70の断面積の和(例えば断面68Aの面積S1と断面70Aの面積S2の和)よりも、合流部86の上流側端部86uよりも下流側の流れ方向に直交する断面での面積(断面積)が小さくなる。これにより、第1タンブル流路68からの吸気と第2タンブル流路70からの吸気とが合流部86で合流して主流路66に流れ込むとき、吸気の流速を速い状態に保つことが可能になる。したがって、タンブル流路64からの吸気は、速い流速で燃焼室20内に流入し、好ましくはタンブル流を形成することができる。なお、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70の断面積の和よりも、合流部86の上流側端部よりも下流側の流れ方向に直交する断面での面積を小さくすることは、先細り以外の手段により実現されてもよい。
【0059】
さて、前述のように、スロットル弁40cが所定微小開度に開かれるときについて説明する。
図5に示すように、スロットル弁40cが所定微小開度に開かれているとき、スロットル弁40cの弁体40dと吸気通路壁面38aとの間に2つの隙間部G1、G2が形成される。
図5の下側の隙間部(第1の隙間部)G1は、スロットル弁40cの弁体40dの下側に位置する一端側半体40fと、対応する吸気通路38の内壁面38aの部分との間に形成される。このとき、一端側半体40fは、弁軸40bを中心として、吸気流れ方向Fにおいて、上流側に位置し、一端側半体76fの下流側において、対応する吸気通路38の内壁面38aの部分と鋭角αをなす。
図5の上側の隙間部(第2の隙間部)G2は、スロットル弁40cの弁体40dの上側に位置する他端側半体40gと、対応する吸気通路38の内壁面38aの部分との間に形成され、スロットル弁40cの弁軸40bを間に挟んで、第1の隙間部G1の反対側に位置する。このとき、他端側半体40gは、弁軸40bを中心として、吸気流れ方向Fにおいて、下流側に位置し、他端側半体40gの下流側において、対応する内壁面38aの部分と鈍角βをなす。なお、
図5に示す所定微小開度にあるとき、スロットル弁40cの弁体40dは傾斜しているので、吸気流れ方向Fにおいて、第1の隙間部G1は、第2の隙間部G2よりも上流側に位置する。
【0060】
第1の隙間部G1及び第2の隙間部G2のそれぞれは主仕切部62の厚さ以下の隙間幅を有する。なお、主仕切部62の厚さとは、吸気流れ方向に延びる主仕切部62の平均の厚さであるとよい。具体的には、第1の隙間部G1及び第2の隙間部G2のそれぞれは3mm以下の隙間幅(0<隙間幅≦3mm)、より好ましくは2mm以下の隙間幅を有するとよい(0<隙間幅≦2mm)。ここでは、副仕切部72も主仕切部62とほぼ同じ厚さを有するように形成されている。つまり、本実施形態では、第1の隙間部G1及び第2の隙間部G2のそれぞれは副仕切部72の厚さ以下の隙間幅を有する。なお、第1の隙間部G1は
図1及び
図3において最大幅を有し、その左右(
図1及び
図3で紙面に直交する向き)に進むにしたがい隙間幅が小さくなるように形成されるとよい。同様に、第2の隙間部G2は
図1及び
図3において最大幅を有し、その左右に進むにしたがい隙間幅が小さくなるように形成されるとよい。なお、第1の隙間部G1及び第2の隙間部G2のそれぞれは、これらの幅に限定されるものではなく、以下に説明する作用効果を奏するように設計されて形成されるとよい。
【0061】
この隙間部G1、G2を設けることによる作用効果について説明する前に、まず、
図10及び
図11に基づいて関連する現象を以下説明する。なお、
図10及び
図11に基づく以下の説明と同様の説明は、特開2019-23459号公報にて詳しく記載している。
【0062】
図10は、吸気通路100に、タンブル流路102と主流路104とに仕切る仕切部106を設け、仕切部106の上流側にバタフライ弁108を設けたときに、そのバタフライ弁108が徐開しているとき(わずかに開いている状態にあるとき)の吸気の流れを模式的に示す図である。
図11は、
図10に示すバタフライ弁108の徐開時の主にその下流側の圧力を示す図である。
【0063】
バタフライ弁108は、
図10において時計回りRに開弁方向に回動可能となっているとともに、図示しない復帰ばねにより、その弁体108aの回動する一端側半体108bが吸気通路100を区画形成する内壁面110に当接するとともに、回動する他端側半体108cが同内壁面110に当接する全閉位置に位置するように、閉弁方向に反時計回りに付勢されている。
【0064】
全閉状態のバタフライ弁108の一端側半体108bは、吸気流れ方向Fの下流側における吸気通路100の内壁面110との当接角が鋭角であり、その他端側半体108cは、吸気流れ方向Fの下流側における吸気通路100の内壁面110の当接角が鈍角である。換言すると、バタフライ弁108は傾斜しており、その一端側半体108bは、弁軸108dを中心にして、吸気通路100の上流側に位置し、バタフライ弁108の他端側半体108cは、吸気通路100の下流側に位置する。そのような状態の全閉位置から、
図10及び
図11に示すようにバタフライ弁108が徐開位置になると、吸気は、吸気通路100の上流側から、一端側半体108bと吸気通路100を区画形成する内壁面110との間に形成される間隙(以下、鈍角側間隙)110a、及び、他端側半体108cと内壁面110との間に形成される間隙(以下、鋭角側間隙)110bを通り、下流側に流れる。なお、このとき、
図11に示すように、バタフライ弁108の一端側半体108bと吸気通路100の内壁面110とのなす角α1は鋭角であり、その他端側半体108cと吸気通路100の内壁面110とのなす角β1は鈍角である。
【0065】
このとき、
図11に示すように、鈍角側間隙110aと鋭角側間隙110bの直下流領域部112には強い負圧が生じるとともに(
図11中の黒色部)、バタフライ弁108の弁軸108dを含むバタフライ弁108の下流側範囲に広い負圧域114(
図11中の、点ハッチング部)が発生する。すなわち、
図11に示されるように、バタフライ弁108の下流側の吸気流路100の部分を、吸気流れ方向Fに沿ってバタフライ弁108の弁軸108dと略平行な面を有する仕切部106により、断面面積が大、小となる2つの流路102、104に仕切り、断面面積が大きい側の流路104を他端側半体108cの下流側に、断面面積の小さい側の流路102を一端側半体108bの下流側に配置すると、バタフライ弁108の徐開時にバタフライ弁108を通過し断面面積の大きい流路104側に流れる吸気の勢いが衰えやすくなり、勢いを失った断面面積の大きい流路104に流れた吸気は、バタフライ弁108の一端側半体108bと他端側半体108cの各端部の直下流部112(
図11の黒色部)に発生する負圧に誘引され、上流側に逆流する。そして、逆流した吸気は、断面面積の小さい流路102側の一端側半体108bの直下流部112に発生する負圧に誘引された後、バタフライ弁108を通過した吸気とともに断面面積の小さい流路102に流れ込み、流路102を流れる吸気が増大する。
【0066】
したがって、断面面積の大きい流路104を主流路とし、断面面積の小さい流路102をタンブル流路とする、すなわち、主流路104の断面面積をタンブル流路102の断面面積より大きく設定することで、一旦主流路104に流れた吸気をタンブル流路102に導くことができる。すなわち、主流路104の断面面積をタンブル流路102の断面面積より大きく設定すれば、タンブル流路102を流れる吸気を強化することができる。
【0067】
ここで、本発明の上記実施形態の説明に戻る。前述のように、スロットル弁40cが
図5に示す所定微小開度にあるとき、スロットル弁40cの弁軸40bは上下方向及び吸気通路38の吸気流れ方向Fに直交するので、スロットル弁40cの弁体40dの一端側半体40fのすぐ下流側に第1タンブル流路68が位置している。そして、副仕切部72の上流端72aは主仕切部62の上流端62aよりも上流側に延在している。この副仕切部72に着目して、副仕切部72の上側の主流路66の断面積と第2タンブル流路70の断面積の和は、副仕切部72の第1タンブル流路68の断面積よりも明らかに大きい。なお、ここでは、スロットル弁40cは所定微小開度にあるとき傾斜しており、弁軸40bを中心として、吸気流れ方向Fにおいて、スロットル弁40cの弁体40dの下側に位置する一端側半体40fは、上流側に位置し、対応する壁面とその下流側において鋭角αをなし、スロットル弁40cの弁体40dの上側に位置する他端側半体76gは、下流側に位置し、対応する壁部とその下流側において鈍角βをなす。よって、
図10のバタフライ弁108と、タンブル流路102と、主流路104とを、それぞれ、本実施形態におけるスロットル弁40cと、第1タンブル流路68と、主流路66及び第2タンブル流路70とに対応付けることができる。したがって、スロットル弁40cを前述のように所定微小開度に開くことで、本実施形態の内燃機関の吸気構造Sでは、
図5に基づいて説明した吸気の流れ(
図5の矢印参照)を実現できる。
【0068】
つまり、
図12に模式的に示すように、
図1の内燃機関10の吸気構造Sによれば、スロットル弁40cが
図5に示すのと同じ所定微小開度にあるとき、第1の隙間部G1、及び、第2の隙間部G2が上記のように形成される。第2の隙間部G2を通過した吸気は主に主流路66側に一旦流れ得るが、その一部好ましくはその全部はタンブル流路64側に戻り、第1の隙間部G1を通過した吸気とともに、第1タンブル流路68を流れるようになる。このように、所定微小開度にあるスロットル弁40cを下流側に流れた吸気は、第1タンブル流路68に入り、結局はタンブル流路64に流れる(
図12の矢印参照)。
【0069】
この内燃機関10の吸気構造Sによる流れをシミュレーションした結果を
図13に示す。
図13のXIVA-XIVA線に沿った通路断面形状を
図14Aに示し、
図13のXIVB-XIVB線に沿った通路断面形状を
図14Bに示す。
図14Aの位置は、上記先細り部66aのすぐ上流側の位置に概ね相当し、
図14Bの位置は上記円形通路部66bの位置に相当する。
【0070】
このシミュレーションでは、スロットル弁40cを所定微小開度に開き、タンブル弁76を完全に閉じたモデルを用いた。
図13中、黒色部分は最も圧力が低い部分であり、第1の隙間部G1の下流側及び第2の隙間部G2の下流側に生じた。そして、このシミュレーションで第2の隙間部G2を通過した吸気は矢印FAのように、副仕切部72の上側の主流路66及び第2タンブル流路70側に一旦は向かいうるが、第1タンブル流路68に流れた。
【0071】
以上説明した内燃機関10の吸気構造Sでは、第1タンブル流路68及び第2タンブル流路70を含むタンブル流路64と主流路66とが形成される。したがって、内燃機関の運転状態に応じてそれらの1つ、複数又は全てを使用することで、運転状態に応じた吸入空気量を確保することができる。
【0072】
そして、スロットル弁40cの弁軸40bは上下方向及び吸気通路38の吸気流れ方向Fに交差し、スロットル弁40cは、所定微小開度を含む複数の開度に開くことができる。したがって、スロットル弁40cが所定微小開度に開かれるとき、スロットル弁40cと吸気通路壁面38cとの間に形成される第1の隙間部G1は第1タンブル流路68側に位置し、スロットル弁40cと吸気通路壁面38cとの間に形成される第2の隙間部G2は主流路66側に位置することになる。更に、副仕切部72の上流端72aは、吸気流れ方向Fにおいて、主仕切部62の上流端62aよりも上流側に延びている。よって、第2の隙間部G2を通過した吸気は第1タンブル流路68側に促され、そこを流れることが可能になる。よって、タンブル性能を確保することができる。
【0073】
スロットル弁40cが所定微小開度に開かれるときのそのような逆流現象(例えば
図10から
図12に基づく上記説明参照)はタンブル弁76を設けない場合にも成立する。その上で、内燃機関10の吸気構造Sでは、タンブル弁76を設け、例えば内燃機関10の運転状態が低・中負荷の運転領域にあるときにタンブル弁76を閉じ、タンブル流路64により好適に吸気を流すことを可能にする。このように、上記構成の内燃機関10の吸気構造Sでは、主流路66を開閉するタンブル弁76が設けられるが、それは全開及び全閉に開かれるのみであり、その構造又は構成は複雑ではない。
【0074】
また、上記吸気構造Sでは、スロットル弁40cの弁軸40bは上下方向及び吸気通路38の吸気流れ方向Fに直交する。したがって、スロットル弁40cが所定微小開度に開かれるとき、第1の隙間部G1を第1タンブル流路68側に好適に位置づけることができ、第2の隙間部G2を主流路66側に位置づけることができる。よって、より好適に、そのときに、第1タンブル流路68に第2の隙間部G2を介した吸気の流れを促すことができる。
【0075】
更に、タンブル弁76の設置位置における主流路66の円形通路部66bの断面は略円形である。よって、閉弁時のタンブル弁76による主流路66の閉塞の度合いをより容易に高めることができる。また、主流路66において主仕切部62の上流端62aとタンブル弁76の設置位置との間に、吸気流れ方向Fにおいて下流側に向けて断面積が小さくなる先細り領域つまり先細り部66aが設けられている。この構成により、主流路66への吸気の流れをより好適に滑らかにすることができる。
【0076】
そして、上記吸気構造Sは、前述の合流部86を備える。例えばスロットル弁40cが所定微小開度に制御されるとき、吸気が第2タンブル流路70に流れても、その吸気は、そのときに吸気を流すことが主目的とされる第1タンブル流路68の吸気と合流部86で合流し、燃焼室20に吸入される。よって、このとき、第2タンブル流路70を流れる吸気を含むタンブル流路64からの吸気に強い指向性を持たせることができ、燃焼室20でのタンブル流を好適に強化することができ、タンブル性能を更に確保することができる。
【0077】
なお、副仕切部は1つに限定されず、複数であってもよい。複数の副仕切部をタンブル流路64に設けることで、タンブル流路64を、上記第1タンブル流路68に対応する第3吸気通路及び上記第2タンブル流路70に対応する第4吸気通路を含む3つ以上の吸気通路つまり吸気通路部分に分けることが可能になる。この分けられた複数の吸気通路部分は、上述の第1及び第2タンブル流路68、70と同様に合流部86を介して主流路66につながり、燃焼室20につながるとよい。なお、この場合、複数の副仕切部は上下方向に離してタンブル流路64に設けられ得る。
【0078】
また、上記内燃機関10の吸気通路を、特にスロットル弁40cの下流側の吸気通路を区画形成する各種部材は主に鋳造により作製されるとよい。これにより、下側に凸のタンブル流路64及び上側に凸の主流路66など種々の形状を実現することが可能である。なお、鋳造以外の方法により、吸気通路を区画形成する部材が作製されることを本開示は排除するものではない。
【0079】
なお、
図15に示すように、タンブル流路64にレゾネータ90が連通するように設けられるとよい。
図15では、レゾネータ90は、連通路92を区画形成する連通管94を介して、タンブル流路64のうちの第1タンブル流路68に連通されている。しかし、レゾネータ90は、第2タンブル流路70に連通されてもよい。このようにレゾネータ90をタンブル流路64に直接的につなげることで、スロットル弁40cが所定微小開度にあるときなど、スロットル弁40cよりも下流側の吸気通路において吸気行程での吸気弁開弁時前に滞留する吸気の量が比較的少ないとき、レゾネータ90内の空気を吸気として用いることができるので(
図15の矢印参照)、タンブル流路64を介して燃焼室20に供給することができる吸気気の量を増やすことができる。したがって、タンブル流路64にレゾネータ90を連通させることで、タンブル流路64からの吸気の流動を高め、よって燃焼室20でのタンブル流を強化することができる。
【0080】
以上、本発明に係る実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はそれらに限定されない。本願の請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
【0081】
なお、上記実施形態の内燃機関の吸気構造では、第1タンブル流路の上側つまり第1方向側に第2タンブル流路を形成し、これらを含むタンブル流路の上側つまり第1方向側に主流路を設けた。しかし、前述のように、第1タンブル流路の下側に第2タンブル流路を形成し、これらを含むタンブル流路の下側に主流路を設けてもよい。ただし、このとき、スロットル40cは
図1に相当する図面において、上下反転されて逆向きにされるとよい。なお、
図1の上記吸気構造Sにおいて、スロットル弁40cの傾きを上下で逆にすることを、本開示は許容する。このときにも、
図5、
図10から
図12に基づいて説明した上記作用効果を同様に生じさせることができる。
【符号の説明】
【0082】
10…内燃機関、12…シリンダブロック、14…シリンダヘッド、15…ピストン
20…燃焼室、28…吸気弁口、30…排気弁口、32…吸気ポート、34…排気ポート
38…吸気通路、40…スロットルボディ、40c…スロットル弁、46…吸気弁、50…排気弁
62…仕切部(主仕切部)、64…タンブル流路(第1吸気通路)
66…主流路(第2吸気通路)、68…第1タンブル流路(第3吸気通路)
70…第2タンブル流路(第4吸気通路)、72…仕切部(副仕切部)
76…タンブル弁(吸気制御弁)、86…合流部、90…レゾネータ
S…吸気構造、G1…第1の隙間部、G2…第2の隙間部