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特許7575644制御装置、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】制御装置、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G06F3/06 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024533324
(86)(22)【出願日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2024012820
【審査請求日】2024-06-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】関本 康司
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-109673(JP,A)
【文献】特開2000-148559(JP,A)
【文献】特開2005-149251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス可能な複数のドライブについて、それぞれ該ドライブを特定する文字列を取得するドライブ情報取得部と、
それぞれの前記ドライブを特定する文字列について、ボリュームラベル以外の文字列を除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換した仮想ボリュームラベルを生成する仮想ラベル生成部と、
前記仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する同一ラベル判定部と、
同一であると判定した仮想ボリュームラベルを区別できるように、前記使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を該仮想ボリュームラベルに対して付加する同一ラベル変更部と、
前記ドライブに係るドライブレターと、該ドライブを特定する文字列に基づく仮想ボリュームラベルとの間での相互変換をする変換部と、
前記変換部による相互変換を用いて、前記仮想ボリュームラベルにより前記ドライブにアクセスするためのインタフェースを提供するドライブアクセス部と、
を備えた制御装置。
【請求項2】
前記ドライブ情報取得部は、システムが専用で用いるドライブをフィルタして、ドライブを特定する文字列を取得する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ドライブ情報取得部は、内部ドライブをフィルタして、ドライブを特定する文字列を取得する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ドライブ情報取得部は、ドライブのリムーバブル属性の有無、ファイルシステムの種類、及び特定のドライブレターの少なくともいずれかに応じてドライブをフィルタして、ドライブを特定する文字列を取得する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記識別文字列を前記仮想ボリュームラベルに対して付加した際に、実際のドライブのボリュームラベルを変更するか問い合わせる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
アクセス可能な複数のドライブについて、それぞれの該ドライブを特定する文字列を取得するドライブ情報取得部、
それぞれの前記ドライブを特定する文字列について、ボリュームラベル以外の文字列を除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換した仮想ボリュームラベルを生成する仮想ラベル生成部、
前記仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する同一ラベル判定部、
同一であると判定した仮想ボリュームラベルを区別できるように、該仮想ボリュームラベルに対して前記使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を付加する同一ラベル変更部、
前記ドライブに係るドライブレターと、該ドライブを特定する文字列に基づく仮想ボリュームラベルとの間での相互変換をする変換部、
前記変換部による相互変換を用いて、前記仮想ボリュームラベルにより前記ドライブにアクセスするためのインタフェースを提供するドライブアクセス部、
としてコンピュータを動作させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械を制御する制御装置は、HMI機能などを実現するために、Windows(登録商標)などをベースとしたOS(Operating System)を使用している。このようなOSでは、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリや、USBメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDカードなどの外部機器に対してドライブレターを割り当てたドライブとして管理している。参照する際には、それぞれのドライブはドライブレターを含むボリュームラベルで表現される(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-198112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライブを参照する際にドライブレターを表示すると、OSの種類やフォルダ構成を推測される懸念がある。しかしながら、単純にドライブレターに紐づいて固定名表示すると、デバイスと表示名の対応関係が分かりにくい。また、ボリュームラベルからドライブレターを削除するのみだと、ボリュームラベルが被った際に外部デバイスと表示名の対応関係がわからなくなる。更に、ボリュームラベルとドライブレターに基づいた単純置換だと、ドライブレターと置換文字の関係を類推しやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による産業機械の制御装置は、ドライブレターを省いた後に同名となるボリュームラベルにのみ識別文字列を追加し、一意に識別可能な名称になるような仮想ボリュームラベルを生成して表示することで、上記課題を解決する。
【0006】
そして本開示の一態様は、アクセス可能な複数のドライブについて、それぞれ該ドライブを特定する文字列を取得するドライブ情報取得部と、それぞれの前記ドライブを特定する文字列について、ボリュームラベル以外の文字列を除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換した仮想ボリュームラベルを生成する仮想ラベル生成部と、前記仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する同一ラベル判定部と、同一であると判定した仮想ボリュームラベルを区別できるように、前記使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を該仮想ボリュームラベルに対して付加する同一ラベル変更部と、前記ドライブに係るドライブレターと、該ドライブを特定する文字列に基づく仮想ボリュームラベルとの間での相互変換をする変換部と、前記変換部による相互変換を用いて、前記仮想ボリュームラベルにより前記ドライブにアクセスするためのインタフェースを提供するドライブアクセス部と、を備えた制御装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による制御装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態による制御装置の概略的な機能を示すブロック図である。
図3】従来技術によるドライブ一覧表示の例を示す模式図である。
図4】ドライブレターと仮想ボリュームラベルとを関連付けた例を示す模式図である。
図5】第1実施形態による制御装置のドライブ一覧表示の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態を図面と共に説明する。なお、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は、省略する場合がある。
【0009】
本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0010】
[第1実施形態]
図1は本開示の一実施形態による制御装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本開示の制御装置1は、工作機械やロボットなどの産業機械を制御する制御装置として実装することができる。以下では、工具とワークとの相対位置を制御することでワークを加工する工作機械を制御する制御装置1を例として説明する。
【0011】
本開示の制御装置1が備えるCPU11は、制御装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステムプログラムを読み出し、該システムプログラムに従って制御装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0012】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD等で構成され、制御装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれた制御用プログラムやデータ、入力装置71を介して入力されたデータや制御用プログラム、産業機械3から取得される各データ等が記憶される。不揮発性メモリ14に記憶された制御用プログラムやデータは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システムプログラムが予め書き込まれている。
【0013】
インタフェース15は、制御装置1のCPU11とUSBメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDカード等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば産業機械3の制御に用いられる制御用プログラムや各種データ等を読み込むことができる。また、制御装置1内で編集した制御用プログラムや各種データ等は、外部機器72に対して記憶させることができる。
【0014】
PLC(Programmable Logic Controller)16は、制御装置1に内蔵されたシーケンス・プログラムによって、産業機械3及び該産業機械3の操作盤、周辺装置(例えば、工具交換装置や、ロボット等のアクチュエータ、産業機械3に取付けられているセンサ等)にI/Oユニット17を介して信号を出力し制御する。また、PLC16は、産業機械3の本体に配備された操作盤の各種ボタンやダイヤル、スイッチ、周辺装置、産業機械3と連携して動作する他の産業機械などの信号を受け、必要な信号処理をした後、CPU11に渡す。
【0015】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、制御用プログラムやシステムプログラム等が実行された結果として得られたデータ等が、インタフェース18を介して出力されて表示される。また、キーボード、マウスやタッチパネルなどのポインティングデバイスなどから構成される入力装置71は、インタフェース19を介して作業者による操作に基づく指令、データ等をCPU11に渡す。この表示装置70、入力装置71は、例えばペンダントやタブレット端末などであってもよい。
【0016】
インタフェース20は、制御装置1のCPU11と有線乃至無線のネットワーク5とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5は、例えばRS-485等のシリアル通信、Ethernet(登録商標)通信、光通信、無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の技術を用いて通信をするものであってよい。ネットワーク5には、他の産業機械4、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7、PC(Personal Computer)8等が接続され、制御装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。
【0017】
産業機械3が備える制御軸を制御するための軸制御回路30は、CPU11からの制御軸に係る位置指令を受けて、該制御軸に対する指令をサーボアンプ40に出力する。サーボアンプ40はこの指令を受けて制御軸に係るサーボモータ50を駆動し、産業機械3が備える各部をそれぞれの軸に沿って移動させる。それぞれのサーボモータ50は位置検出器を内蔵し、この位置検出器からの位置フィードバック信号を軸制御回路30にフィードバックする。軸制御回路30は、この位置フィードバック信号に基づいてサーボモータ50のフィードバック制御を行う。なお、図1のハードウェア構成図では、軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50は1つずつしか示されていないが、実際には制御対象となる産業機械3に備えられた制御軸の数だけ用意される。例えば、一般的な直線3軸及び回転2軸を備えた工作機械を制御する場合には、工具が取り付けられた主軸とワークとを直線3軸、回転2軸(X軸,Y軸,Z軸,A軸,C軸)方向に相対的に移動させる5組の軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50が用意される。
【0018】
スピンドル制御回路60は、主軸回転指令を受け、スピンドルアンプ61にスピンドル速度信号を出力する。スピンドルアンプ61はこのスピンドル速度信号を受けて、産業機械3のスピンドルモータ62を指令された回転速度で回転させ、主軸を駆動する。スピンドルモータ62にはポジションコーダ63が結合されている。ポジションコーダ63が主軸の回転に同期して帰還パルスを出力し、その帰還パルスはCPU11によって読み取られる。
【0019】
図2は、本開示の第1実施形態による制御装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による制御装置1が備える各機能は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がシステムプログラムを実行し、制御装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0020】
本実施形態の制御装置1は、ドライブ情報取得部100、仮想ラベル生成部110、同一ラベル判定部120、同一ラベル変更部130、変換部140、ドライブアクセス部150を備える。
【0021】
ドライブ情報取得部100は、制御装置1においてアクセス可能な複数のドライブのそれぞれについて、該ドライブを特定する文字列を取得する。制御装置1においてアクセス可能なドライブは、例えば不揮発性メモリ14として用いられているSSDや、外部機器72として接続されたUSBメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDカードなどを含む。これらのドライブには、OSの機能によりそれぞれドライブレターが割り当てられて管理される。ドライブレターは、例えばA~Zのいずれかの英字である。ドライブレターは、これらの英字にコロン(:)を付けて用いられる。それぞれのドライブには、ボリュームラベルが設定されている。ボリュームラベルは、ドライブを識別するためにユーザが自由に付けることができる名前である。ドライブ情報取得部100は、それぞれのドライブについて、該ドライブを特定する文字列として、例えばドライブレターとボリュームラベルの文字列とを組み合わせた文字列を取得する。例えば、ドライブレターが「E」であり、ボリュームラベルとして「SD」という文字列が設定されているドライブについて、ドライブ情報取得部100は、該ドライブを特定する文字列として「SD(E:)」という文字列を取得する。このようなドライブを特定する文字列は、OSのシステムコールなどを利用することで取得することができる。ドライブ情報取得部100は、それぞれのドライブについて取得したドライブを特定する文字列を仮想ラベル生成部110へと出力する。
【0022】
仮想ラベル生成部110は、それぞれのドライブを特定する文字列について、ドライブレターを除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換することで、仮想ボリュームラベルを生成する。仮想ボリュームラベルは、それぞれのドライブへとアクセスするために用いられるものであり、実際にドライブに設定するものではない。ファイルシステム上で使用できない使用禁止文字は、ファイルシステムによって異なる。WindowsのNTSFでは、例えば半角の「/」、「?」「<」、「>」、「\」、「:」、「*」、「|」、「”」などが使用禁止文字である。このような文字がドライブを特定する文字列に含まれている場合、仮想ラベル生成部110は、これらの文字をファイルシステム上でパス名として使用できる使用可能文字(例えば、空白文字やハイフンなど)へと置換する。この置換先の使用可能文字は、それぞれの使用禁止文字に対して予め個別に定義しておいてもよいし、全ての使用禁止文字を一律に1つの使用可能文字へと変換するようにしてもよい。使用可能文字として、空文字(長さ0の文字列)を用いてもよい。この場合、仮想ボリュームラベルから使用禁止文字が除去される。仮想ラベル生成部110は、生成した仮想ボリュームラベルを同一ラベル判定部120へと出力する。
【0023】
同一ラベル判定部120は、仮想ラベル生成部110が生成した複数の仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する。同一ラベル判定部120は、単純に仮想ボリュームラベルの文字列どうしを比較することで、複数の仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定するようにすればよい。同一ラベル判定部120は、その判定結果を同一ラベル変更部130へと出力する。
【0024】
同一ラベル変更部130は、同一ラベル判定部120が同一であると判定した仮想ボリュームラベルについて、これらを識別できるように仮想ボリュームラベルに対してファイルシステムの使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を付加する。識別文字列は、同一であると判定した仮想ボリュームラベルごとに異なる文字列である必要がある。そのため、例えば1,2,3,…などの数字や、A,B,C,…などの英字の追番を含んでいることが望ましい。識別文字列に含む使用禁止文字はいずれの文字を用いてもよい。例えば、同一ラベル変更部130は、同一であると判定した仮想ボリュームラベルに対して、識別文字列として「:1」、「:2」、「:3」などといった文字列を付加するようにしてよい。同一ラベル変更部130は、同一であると判定されていない仮想ボリュームラベルについては、特に変更を加える必要は無い。同一ラベル変更部130は、変更を加えた仮想ボリュームラベル及び変更を加えていない仮想ボリュームラベルを変換部140へと出力する。
【0025】
変換部140は、同一ラベル変更部130から入力された仮想ボリュームラベルについて、該仮想ボリュームラベルに係るドライブのドライブレターと関連付けて記憶する。そして、仮想ボリュームラベルについて問合せがあった場合には、それと関連付けられたドライブレターをその応答として出力する。また、ドライブレターについて問い合わせがあった場合には、それと関連付けられた仮想ボリュームラベルを出力する。
【0026】
ドライブアクセス部150は、ユーザが仮想ボリュームラベルによりそれぞれのドライブへとアクセスするためのインタフェースを提供する。ドライブアクセス部150は、例えばユーザに対してドライブ一覧を表示したり、ドライブ一覧を介してそれぞれのドライブの上のファイルにアクセスしたりする際に用いられる。例えば、ドライブアクセス部150は、ドライブの一覧取得を要求された場合、制御装置1においてアクセス可能な複数のドライブのそれぞれについてドライブレターを取得する。そして、それぞれのドライブレターについて、変換部140へと問合せすることで、それぞれのドライブに係る仮想ボリュームラベルを取得する。そして、取得した仮想ボリュームラベルの一覧を応答する。また、ドライブアクセス部150は、仮想ボリュームラベルが含まれているパスへのアクセスが要求された場合、変換部140に問合せをすることで該仮想ボリュームラベルに関連付けられたドライブレターを取得する。次に、アクセス先のパスに含まれる仮想ボリュームラベルをドライブレターへと変換する。そして、変換したパスに対してアクセスし、その結果を要求元への応答として返す。ドライブアクセス部150は、他の機能に対してAPI(Application Programming Interface)を提供するものであってもよい。また、ドライブアクセス部150は、ユーザが利用するインタフェースを提供するものであってもよい。
【0027】
図3図5を用いて、本実施形態による制御装置1の動作について説明する。
図3は、従来技術によるドライブ一覧表示の例を示す模式図である。図3の例では、制御装置にはCドライブ~Hドライブの5つのドライブが接続されている。Cドライブは例えばSSDのボリュームであり、ボリュームラベルとして「FA_SYS」という文字列が設定されている。また、Eドライブは例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)のボリュームであり、ボリュームラベルとして「CF」という文字列が設定されている。
【0028】
本実施形態による制御装置1がこのようなドライブ構成となってた場合、まず、ドライブ情報取得部100がそれぞれのドライブを特定する文字列を取得する。図3のようなドライブ構成の場合、Cドライブを特定する文字列は「FA_SYS(C:)」、Dドライブを特定する文字列は「FA_DATA(D:)」、Eドライブを特定する文字列は「CF(E:)」、Fドライブを特定する文字列は「CF(F:)」、Gドライブを特定する文字列は「CF:2(G:)」、Hドライブを特定する文字列は「HMI_DATA(H:)」である。
【0029】
仮想ラベル生成部110は、これらのドライブを特定する文字列から、ドライブレターに相当するところを除去する。また、パス名として使用が禁止されている文字列を削除する。図3の例では、Gドライブに接続されているコンパクトフラッシュ(登録商標)のボリューム名に、使用禁止文字である「:」が含まれている。そこで、仮想ラベル生成部110はこの文字をパス名として使用できる文字へと置換する。例えば、使用可能文字である「-」へと置換した場合、Gドライブに係る仮想ボリュームラベルは「CF-2」となる。
【0030】
同一ラベル判定部120は、このようにして作成された仮想ボリュームラベルの中で、同一のラベルがあるか否かを判定する。図3の例では、EドライブとFドライブの仮想ボリュームラベルが、両方とも「CF」となってしまう。そのため、同一ラベル判定部120は、EドライブとFドライブの仮想ボリュームラベルが同一である旨を判定結果として出力する。
【0031】
同一ラベル変更部130は、同一であると判定された仮想ボリュームラベルについて、識別文字列を付加する。例えば、使用禁止文字列である「:」と、数字の追番を付けるとした場合、Eドライブに係る仮想ボリュームラベルは「CF:1」となる。また、Fドライブに係る仮想ボリュームラベルは「CF:2」となる。
【0032】
変換部140は、このようにして生成された仮想ボリュームラベルと、ドライブレターとを関連付けて記憶する。図4は、ドライブレターと仮想ボリュームラベルとを関連付けた例を示す模式図である。図4の例は、本実施形態による制御装置1が図3に例示するドライブ構成であった場合に、変換部140が記憶するドライブレターと仮想ボリュームラベルの関連を示す。
【0033】
図5は、本実施形態による制御装置1でのドライブ一覧表示の例を示す模式図である。図5の例は、本実施形態による制御装置1のドライブ構成を図3と同様のドライブ構成とした場合のものである。図5に例示するように、本実施形態による制御装置1で取り扱う仮想ボリュームラベルは、ドライブレターを含んでいないため、ユーザによりOSの種類やフォルダ構成を推測されにくくすることができる。また、それぞれのドライブに関連付けられた仮想ボリュームラベルはドライブごとに異なるものとなり、それぞれ一意に識別することができる。これは、仮想ラベル生成部110において、一旦使用禁止文字列を含まない仮想ボリュームラベルを生成し、その後同一ラベル変更部で使用禁止文字列を含む識別文字列を付加することで実現されている。
【0034】
上記構成を備えた本実施形態による制御装置1は、ドライブレターを隠しながら、ユーザが理解しやすい仮想ボリュームラベルを介してそれぞれのドライブへとアクセスできるようにすることで、OSのドライブ構成を秘匿化しつつ操作性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態による制御装置1の一変形例として、仮想ボリュームラベルに識別文字列を付加した際に、実際のドライブに設定されているボリュームラベルを、識別文字列を付加した仮想ボリュームラベルへと変更するか否かをユーザに対して問い合わせるようにしてもよい。そして、ユーザから変更する旨応答があった場合に、実際のドライブに設定されているボリュームラベルを、仮想ボリュームラベルへと変更する。このような構成を設けることで、制御装置1に対して接続や取り外しが行われる外部機器72について、識別文字列が付いたボリュームラベルに設定して管理することが可能となるため、ユーザは外部機器72の識別をより容易に行うことができるようになる。
【0036】
[第2実施形態]
以下では本開示の第2実施形態による制御装置について説明する。
本実施形態による制御装置1は、第1実施形態による制御装置1と同様のハードウェア構成を備える。また、本実施形態による制御装置1が備える各機能は、第1実施形態による制御装置1と同様に、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がシステムプログラムを実行し、制御装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0037】
本開示の第2実施形態による制御装置1は、第1実施形態による制御装置1と同様に、ドライブ情報取得部100、仮想ラベル生成部110、同一ラベル判定部120、同一ラベル変更部130、変換部140、ドライブアクセス部150を備える。
【0038】
本実施形態による制御装置1は、仮想ラベル生成部110、同一ラベル判定部120、同一ラベル変更部130、変換部140、ドライブアクセス部150が備える機能は、第1実施形態によるそれぞれの機能と同様である。
【0039】
本実施形態によるドライブ情報取得部100は、制御装置1においてアクセス可能な複数のドライブの内で、OSなどのシステムが専用で用いるドライブをフィルタ(除外)して、ドライブを特定する文字列を取得する。これにより、ドライブ情報取得部100は、ユーザがアクセスしても問題ないドライブを特定する情報のみを仮想ラベル生成部110へと出力する。その結果として、OSによって使用される専用の領域をユーザから隠蔽することができるようになる。
【0040】
上記構成を備えた本実施形態による制御装置1は、ドライブレターを隠しながら、ユーザが理解しやすい仮想ボリュームラベルを介してそれぞれのドライブへとアクセスできるようにすることで、OSのドライブ構成を秘匿化しつつ操作性を向上させることができる。特に、OSの専用領域であるドライブは、ユーザに対して表示されなくなり、より確実な秘匿化ができるようになる。
【0041】
[第3実施形態]
以下では本開示の第3実施形態による制御装置について説明する。
本実施形態による制御装置1は、第1実施形態による制御装置1と同様のハードウェア構成を備える。また、本実施形態による制御装置1が備える各機能は、第1実施形態による制御装置1と同様に、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がシステムプログラムを実行し、制御装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0042】
本開示の第3実施形態による制御装置1は、第1実施形態による制御装置1と同様に、ドライブ情報取得部100、仮想ラベル生成部110、同一ラベル判定部120、同一ラベル変更部130、変換部140、ドライブアクセス部150を備える。
【0043】
本実施形態による制御装置1は、仮想ラベル生成部110、同一ラベル判定部120、同一ラベル変更部130、変換部140、ドライブアクセス部150が備える機能は、第1実施形態によるそれぞれの機能と同様である。
【0044】
本実施形態によるドライブ情報取得部100は、制御装置1においてアクセス可能な複数のドライブの内で、制御装置1に内蔵されるSSDなどの内部のドライブをフィルタ(除外)してドライブを特定する文字列を取得する。この内部のドライブを除くドライブとしては、外部機器72に係るドライブや、ネットワークドライブなどが例示される。この時、更にドライブ情報取得部100は、それぞれのドライブのリムーバブル属性や、ファイルシステムの種類を確認するようにしてもよい。そして、リムーバブル属性を備えたドライブのみドライブを特定する文字列を取得したり、FATやFAT32などの特定のファイルシステムであるドライブのみドライブを特定する文字列を取得するようにしてもよい。また、予め設定しておいた特定のドライブレターに係るドライブをフィルタ(除外)してもよい。これにより、ドライブ情報取得部100は、外部機器72に係るドライブやネットワークドライブを特定する情報のみを仮想ラベル生成部110へと出力する。その結果として、制御装置1内の不揮発性メモリ14などに記憶される領域をユーザから隠蔽することができるようになる。
【0045】
上記構成を備えた本実施形態による制御装置1は、ドライブレターを隠しながら、ユーザが理解しやすい仮想ボリュームラベルを介してそれぞれのドライブへとアクセスできるようにすることで、OSのドライブ構成を秘匿化しつつ操作性を向上させることができる。特に、制御装置1の内部の記憶領域がユーザに対して表示されなくなり、より確実な秘匿化ができるようになる。
【0046】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、または、請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本開示の思想および趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。また、上述した実施形態の説明に数値又は数式が用いられている場合も同様である。
【0047】
以下に、本開示の実施形態に係る付記を示す。
(付記1)
本開示の一態様による制御装置(1)は、アクセス可能な複数のドライブについて、それぞれ該ドライブを特定する文字列を取得するドライブ情報取得部(100)と、それぞれの前記ドライブを特定する文字列について、ドライブレターを除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換した仮想ボリュームラベルを生成する仮想ラベル生成部(110)と、前記仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する同一ラベル判定部(120)と、同一であると判定した仮想ボリュームラベルを区別できるように、前記使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を該仮想ボリュームラベルに対して付加する同一ラベル変更部(130)と、前記ドライブレターと、該ドライブを特定する文字列に基づく仮想ボリュームラベルとの間での相互変換をする変換部(140)と、前記変換部(140)による相互変換を用いて、前記仮想ボリュームラベルにより前記ドライブにアクセスするためのインタフェースを提供するドライブアクセス部(150)と、を備える。
【0048】
(付記2)
本開示の他の態様による制御装置(1)が備える前記ドライブ情報取得部(100)は、システムが専用で用いるドライブをフィルタして、ドライブを特定する文字列を取得する。
(付記3)
本開示の他の態様による制御装置(1)が備える前記ドライブ情報取得部(100)は、内部ドライブをフィルタして、ドライブを特定する文字列を取得する。
(付記4)
本開示の他の態様による制御装置(1)が備える前記ドライブ情報取得部(100)は、ドライブのリムーバブル属性の有無、ファイルシステムの種類、及び特定のドライブレターの少なくともいずれかに応じてドライブをフィルタして、ドライブを特定する文字列を取得する。
(付記5)
本開示の他の態様による制御装置(1)は、前記識別文字列を前記仮想ボリュームラベルに対して付加した際に、実際のドライブのボリュームラベルを変更するか問い合わせる。
【0049】
(付記6)
本開示の一態様によるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、アクセス可能な複数のドライブについて、それぞれの該ドライブを特定する文字列を取得するドライブ情報取得部(100)、それぞれの前記ドライブを特定する文字列について、ドライブレターを除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換した仮想ボリュームラベルを生成する仮想ラベル生成部(110)、前記仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する同一ラベル判定部(120)、同一であると判定した仮想ボリュームラベルを区別できるように、該仮想ボリュームラベルに対して前記使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を付加する同一ラベル変更部(130)、前記ドライブレターと、該ドライブを特定する文字列に基づく仮想ボリュームラベルとの間での相互変換をする変換部(140)、前記変換部(140)による相互変換を用いて、前記仮想ボリュームラベルにより前記ドライブにアクセスするためのインタフェースを提供するドライブアクセス部(150)、としてコンピュータを動作させるプログラムを記録する。
【符号の説明】
【0050】
1 制御装置
3,4 産業機械
5 ネットワーク
6 フォグコンピュータ
7 クラウドサーバ
8 PC
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,18,19,20 インタフェース
16 PLC
17 I/Oユニット
22 バス
30 軸制御回路
40 サーボアンプ
50 サーボモータ
60 スピンドル制御回路
61 スピンドルアンプ
62 スピンドルモータ
63 ポジションコーダ
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 ドライブ情報取得部
110 仮想ラベル生成部
120 同一ラベル判定部
130 同一ラベル変更部
140 変換部
150 ドライブアクセス部
【要約】
本開示による制御装置は、アクセス可能な複数のドライブについて、それぞれドライブを特定する文字列を取得するドライブ情報取得部と、それぞれのドライブを特定する文字列について、ドライブレターを除去し、更にファイルシステム上でパス名として使用できない所定の使用禁止文字を、ファイルシステム上でパス名として使用できる所定の使用可能文字へと置換した仮想ボリュームラベルを生成する仮想ラベル生成部と、仮想ボリュームラベルの中に同一のものがあるか否かを判定する同一ラベル判定部と、同一であると判定した仮想ボリュームラベルを区別できるように、使用禁止文字を少なくとも含む識別文字列を仮想ボリュームラベルに対して付加する同一ラベル変更部と、ドライブレターと、ドライブを特定する文字列に基づく仮想ボリュームラベルとの間での相互変換をする変換部と、変換部による相互変換を用いて、仮想ボリュームラベルによりドライブにアクセスするためのインタフェースを提供するドライブアクセス部と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5