(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20241023BHJP
F24H 15/246 20220101ALI20241023BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20241023BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20241023BHJP
【FI】
F24H15/196 301Y
F24H15/196 301P
F24H15/246
F24H15/265
F24H15/395
(21)【出願番号】P 2021072816
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮元 省吾
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔
(72)【発明者】
【氏名】水本 航
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-107767(JP,A)
【文献】特開2003-262390(JP,A)
【文献】特開2017-016611(JP,A)
【文献】特開2019-220140(JP,A)
【文献】特開2001-263700(JP,A)
【文献】特開2004-003770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
A61H 33/00 - 37/00
G08B 19/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯先に浴槽を含む給湯システムであって、
前記浴槽に対して湯水を供給するための注湯回路と、
浴槽水を循環および加熱するための追焚回路と、
前記浴槽内の水位を検出する水位検出器と、
前記水位検出器による前記浴槽の水位検出値に基づいて、前記浴槽への入浴を検知するとともに、前記浴槽からの退浴を検知する制御回路と、
前記水位検出値および入退浴の検知に関連するデータを記憶する記憶部とを備え、
前記制御回路は、浴室外の端末機器と通信接続され、前記記憶部に記憶される前記データを用いて、所定期間内の浴槽水位の時間変化を前記端末機器に表示させる、給湯システム。
【請求項2】
前記制御回路は、入浴者の体動を確認する要求を前記端末機器から受け付けた場合に、前記入浴の検知時点以降の前記所定期間内の前記浴槽水位の時間変化を前記端末機器に表示させる、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記入浴の検知時点からの入浴時間を計時するタイマを有しており、前記入浴時間が予め定められた設定時間を超えた場合に、前記入浴の検知時点以降の前記所定期間内の前記浴槽水位の時間変化を前記端末機器に表示させる、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記所定期間内の前記浴槽水位の時間変化を示すグラフを前記端末機器に表示させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記浴槽内に設置され、前記制御回路と通信接続されたリモコンをさらに備え、
前記制御回路は、前記所定期間内の前記浴槽水位の時間変化を前記端末機器に表示させるとともに、前記端末機器からの要求に応じて前記端末機器と前記リモコンとを通信接続可能とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記制御回路は、更に、前記浴槽内の残り湯量を確認する要求を前記端末機器から受け付けた場合には、前記水位検出器による現在の前記水位検出値を前記端末機器に表示させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記制御回路は、現在の前記水位検出値に基づいて、前記浴槽内の水位のレベルを前記端末機器に図示させる、請求項6に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記注湯回路を用いた前記浴槽への湯張り運転の開始後において、前記水位検出器による前記浴槽内の水位を検出できない状態が所定時間継続した場合には、その旨を前記端末機器に報知させる、請求項6または7に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふろ装置を含む給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-205727号公報(特許文献1)には、浴槽に注湯し又は浴槽水を追い焚きする機能を含む熱源機に接続されてふろ情報を表示するふろ情報表示装置が開示される。ふろ情報表示装置は、例えば、浴室又は台所に設置されるリモコン装置、或いは、スマートフォンなどの通信端末である。ふろ情報は、浴槽温度、浴槽水位、浴槽水量、浴槽への注湯を表す注湯情報を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるふろ情報表示装置によれば、ユーザは、表示されるふろ情報に応じて動作の選択、切り替えや入浴タイミングに利用できるため、ユーザフレンドリーな入浴を実現することができる。
【0005】
その一方で、入浴中の不慮の事故を防ぐために、入浴者の状態のみまもりを目的として給湯装置を遠隔監視する構成が検討されている。しかしながら、特許文献1に記載されるふろ情報表示装置に表示されるふろ情報はふろの沸き上げ、追い焚きに関する温度及び水位に関する情報にとどまるため、これを利用して入浴者の状態を確認することができず、入浴者のみまもり機能を実現することが困難となることが懸念される。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、浴槽の水位検出値を用いて入浴者のみまもり機能を実現することができる給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面では、給湯先に浴槽を含む給湯システムは、浴槽に対して湯水を供給するための注湯回路と、浴槽水を循環および加熱するための追焚回路と、浴槽内の水位を検出する水位検出器と、制御回路と、記憶部とを備える。制御回路は、水位検出器による浴槽の水位検出値に基づいて、浴槽への入浴を検知するとともに、浴槽からの退浴を検知する。記憶部は、水位検出値および入退浴の検知に関連するデータを記憶する。制御回路は、浴室外の端末機器と通信接続される。制御回路は、記憶部に記憶されるデータを用いて、所定期間内の浴槽水位の時間変化を端末機器に表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、浴槽の水位検出値を用いて入浴者のみまもり機能を実現することができる給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る給湯システムの概略構成図である。
【
図2】水位センサの検出値を用いた入退浴の検知を説明する概念図である。
【
図3】本実施の形態に係る給湯システムを含む通信システムの構成例を説明するブロック図である。
【
図4】給湯装置における制御処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図4のS02の入退浴判定処理を説明するフローチャートである。
【
図6】端末機器における制御処理を説明するフローチャートである。
【
図7】端末機器のディスプレイに表示される残り湯量の表示例を模式的に示す図である。
【
図8】端末機器のディスプレイに表示される浴槽水位の時間変化を示す情報の表示例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る給湯システムの概略構成図である。
【0012】
図1を参照して、給湯システム300は、給湯装置100を備える。給湯装置100は、給湯回路5、追焚回路7、循環路8、及びコントローラ12を備える。給湯装置100は、図示しない給湯栓等に加えて、浴室200に設置された浴槽20を給湯先に含む。
【0013】
給湯回路5は、導入された低温水を加熱するための加熱機構(図示せず)を含むように構成される。加熱機構は、例えば、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱、及び、発電時の排熱またはヒートポンプによる加熱の何れを利用する構成であってもよい。また、給湯回路5は、加熱された高温水がそのまま出湯される構成の他、加熱された高温水を貯留する貯湯式の構成であってもよい。
【0014】
給湯回路5は、加熱機構の作動により、ユーザによる設定温度に従う温水を出力することができる。一方で、当該加熱機構の停止時には、低温水が加熱されることなく給湯回路5から出力される。
【0015】
給湯回路5の出湯経路(図示せず)は、浴槽20へ至る注湯配管13aと接続される。注湯配管13aには、ふろ注湯弁13が介挿接続される。ふろ注湯弁13は、例えば、開閉制御可能な電磁弁によって構成することができる。ふろ注湯弁13を開放することにより、給湯回路5から注湯配管13aへ湯水が出力される経路を形成することができる。これにより、給湯装置100は、給湯栓等に加えて、給湯先に浴槽20を含むことができる。
【0016】
本明細書では、給湯装置100から浴槽20への給湯については「注湯」と称して、給湯回路5から給湯栓等(図示せず)への直接の給湯と区別することとする。なお、本実施の形態では、給湯回路5からの出力温度に関わらず、ふろ注湯弁13の開放により、湯又は水が、注湯配管13aを経由して浴槽20へ供給される動作を「注湯」と称する。
【0017】
循環路8は、浴槽20の湯水21(以下、浴槽水21とも称する)を給湯装置100内で循環するためのものであり、戻り配管8a及び往き配管8bと、循環ポンプ10とを有する。戻り配管8aの一方端は、浴槽20内の循環アダプタ25と接続され、他端は、追焚回路7の入力側と接続される。往き配管8bの一端は、追焚回路7の出力側と接続され、他端は循環アダプタ25と接続される。また、循環路8には、図示しない水流スイッチが設けられる。さらに、
図1の注湯配管13aには、浴槽20への注湯流量を検出するための流量センサ(図示せず)が設けられる。
【0018】
循環ポンプ10の作動により、循環アダプタ25から吸入された浴槽水21が、戻り配管8a、追焚回路7、及び、往き配管8bを経由して、循環アダプタ25から吐出される経路(追焚循環経路)が形成される。追焚回路7は、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱機構(図示せず)を含むように構成することができる。追焚回路7は、追焚循環経路の形成時に作動して、戻り配管8aから導入された浴槽水21を加熱して、往き配管8bに出力する。加熱後の浴槽水21が往き配管8bによって浴槽20へ供給されることにより、浴槽水21の温度を上昇する追焚運転を行うことができる。
【0019】
戻り配管8aには、温度センサ9及び水位センサ11が接続されている。温度センサ9により、浴槽水21の温度を検出することができる。温度センサ9は、例えば、サーミスタによって構成することができる。
【0020】
水位センサ11は、例えば、圧力センサによって構成されて、浴槽水21の水圧に基づいて、浴槽20内での浴槽水21の水位(以下、単に「浴槽水位」とも称する)を検知する。温度センサ9及び水位センサ11は、循環ポンプ10の停止時においても、戻り配管8a内で浴槽水21が浸入する領域に配置される。水位センサ11は、「水位検出器」の一実施例に対応する。
【0021】
戻り配管8aは、更に、接続点8cにおいて、注湯配管13aと接続される。この結果、循環ポンプ10の停止時に給湯装置100から注湯すると、注湯配管13aから、接続点8c及び戻り配管8aを経由して浴槽20へ至る第1の注湯経路と、注湯配管13aから、接続点8c、戻り配管8a、追焚回路7、及び、往き配管8bを経由して浴槽20へ至る第2の注湯経路とを形成することができる。これにより、給湯装置100からの注湯によるふろ湯張り運転を行うことができる。浴槽20には、排水栓26が設けられる。
【0022】
コントローラ12は、例えば、マイクロコンピュータおよびメモリ12mを含んで構成することができる。コントローラ12は、給湯回路5、追焚回路7、温度センサ9、循環ポンプ10、水位センサ11、及び、ふろ注湯弁13等と電気的に接続されている。コントローラ12は、図示しない電気配線を介して電源と接続されて、電力供給を受ける。コントローラ12には、温度センサ9及び水位センサ11による検出値が入力される。コントローラ12は「制御回路」の一実施例に対応する。
【0023】
更に、コントローラ12は、リモコン30及びリモコン50と通信可能に接続されている。尚、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、又、有線であっても無線であってもよい。
【0024】
リモコン30は、浴室200の壁面に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン30は、情報を表示するための表示部31と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部32とを含む。表示部31は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽水位及び温度を表示可能に構成されている。操作部32は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、少なくとも、浴槽水位及び温度に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0025】
リモコン50は、浴室200の外部に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン50は、代表的には台所の壁面に設置されている。リモコン50は、情報を表示するための表示部51と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部52とを含む。
【0026】
表示部51は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯設定温度、及び、ふろ設定温度等を表示可能に構成されている。操作部52は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、給湯装置100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0027】
コントローラ12は、リモコン30,50からのユーザ等の入力設定操作に基づき、給湯システム300がユーザ指示に従って運転されるように、給湯装置100の動作を制御する。
【0028】
当該制御の一例として、コントローラ12は、リモコン30,50の操作により、ふろ自動運転が指示されると、浴槽20への湯張り運転を実行する。当該湯張り運転は、給湯装置100からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、温度センサ9によって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
【0029】
更に、コントローラ12は、浴槽20の水位センサ11の検出値を用いて、浴槽20への入退浴を検知する。
図2は、水位センサ11の検出値を用いた入退浴の検知を説明する概念図である。
【0030】
図2を参照して、浴槽20への湯張り運転の終了時には、水位センサ11によって検出される浴槽水位Hは、設定水位に達している。この状態が「退浴状態」として初期設定されると、以降では、浴槽水位Hの変化量ΔHがコントローラ12によって逐次検知される。
【0031】
ここで、判定値Hth,-Hthは、所定体積(例えば、20[L]程度)の体積増減に対応する水位変化量として予め定めて、コントローラ12に記憶することができる。但し、判定値Hthは、浴槽20の断面積によって変わってくる。例えば、浴槽20の配設を含む給湯システム300の施工時において、浴槽20の機種番号又はサイズ(上記断面積を特定できるデータ)を施工者が入力することで、コントローラ12が、当該入力値を用いて、判定値Hth,-Hthを算出し、かつ、記憶することが可能である。
【0032】
或いは、給湯システム300の施工時のふろ試運転で試験的に実行されるふろ湯張り運転における水位センサ11による水位検出値の挙動から、自動的に求めることも可能である。具体的には、上述した注湯配管13aに設けられた流量センサ(図示せず)の検出値の積算によって算出される浴槽20への注湯水量と、水位検出値の変化量とを用いて、当該ふろ試運転は、コントローラ12が予め定められた演算処理を実行することによって浴槽20の断面積を算出するとともに、算出された断面積から判定値Hthを自動的に設定することが可能である。
【0033】
本実施の形態において、入浴及び退浴の検知は、上述の例に限定されることなく、任意の手法で実行することができる。例えば、水位センサ11による水位検出値を用いて上記とは異なる入退浴判定を行うことができる。即ち、水位センサ11は「水位検出器」の一実施例に対応する。
【0034】
以下では、圧力センサによって水位センサ11が構成される例を説明するので、追焚運転を含む循環ポンプ10の作動期間には、循環経路内の浴槽水が加圧されるこによって水位検出値に誤差が発生する。従って、本実施の形態では、追焚運転中において入退浴の検知は非実行とされる。
【0035】
コントローラ12は、水位センサ11から入力される水位検出値を予め定められた周期でサンプリングするとともに、サンプリング値に基づいた水位データをメモリ12mに記憶することができる。更に、コントローラ12は、入浴検知又は退浴検知に関連する入退浴判定データをメモリ12mに記憶することができる。メモリ12mに蓄積された水位データおよび入退浴判定データは、以下に示す通信システムによって、コントローラ12(給湯装置100)の外部に読み出すことが可能である。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る給湯システムを含む通信システムの構成例を説明するブロック図である。
【0037】
図3に示すように、本実施の形態に係る給湯システム300は、外部機器との間で通信システム250を構成することが可能である。
【0038】
通信システム250は、給湯装置100と、インターフェイス機器110と、インターフェイス機器110と通信接続可能な端末機器130と、外部通信網(代表的には、インターネット)140と接続されるサーバ150とをさらに備える。インターフェイス機器110は、給湯装置100(浴槽20)と同一住宅への配置を想定するものである。
【0039】
さらに、端末機器130は、宅外のルータ160、又は、基地局170を介して、外部通信網140と接続することにより、インターフェイス機器110と通信できない場所からでも、給湯装置100と通信接続することができる。
【0040】
端末機器130は、給湯装置100と通信接続することにより、メモリ12mに記憶された水位データおよび入退浴判定データを取得することができる。端末機器130は、代表的にはスマートフォン又はタブレットであり、情報を表示するためのディスプレイと、ユーザの入力設定操作を受け付けるための操作部と、音声を出力するためのスピーカとを含む。ディスプレイは、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯装置100との間で遣り取りされる情報を表示可能に構成されている。操作部は、代表的にはタッチパネルによって構成されており、給湯装置100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。後述するように、端末機器130は、ディスプレイ及び/又はスピーカによって、浴槽水位や入退浴の検知に関連する情報をユーザに対して報知することができる。
【0041】
なお、通信システム250によれば、給湯装置100(コントローラ12)とサーバ150との通信接続により、メモリ12mに記憶された上記水位データ及び入退浴判定データをサーバ150へ送信して、サーバ150によって水位データ及び入退浴判定データを蓄積及び管理することが可能となる。これにより、メモリ12mの容量を過度に増大することなく、水位データ及び入退浴判定データを記憶することが可能である。
【0042】
次に、
図4から
図6を用いて、通信システム250における給湯装置100および端末機器130の間の通信を用いた給湯システム300の動作について説明する。
【0043】
図4は、給湯装置100における制御処理を説明するフローチャートである。
図4に示される各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。
【0044】
図4を参照して、コントローラ12は、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)01では、現在の水位検出値Htnを取得してメモリ12mに記憶する。これにより、各時点での水位検出値Hを、
図4の制御処理が実行される毎に周期的に蓄積することができる。
【0045】
コントローラ12は、S02により、現在の水位検出値Htnを用いて浴槽20への入退浴を判定する。
図5は、
図4のS02の入退浴判定処理を説明するフローチャートである。
図5の入退浴判定処理は、浴槽20への湯張り運転の終了に応じて起動されて、コントローラ12によって実行される。
【0046】
図5を参照して、コントローラ12は、入退浴判定処理が起動されると、S21により、起動処理を実行する。起動処理では、入浴時間Tbathを計時するためのタイマのカウント値を初期化する等の初期設定が行われる。
【0047】
コントローラ12は、S22により、判定値Hthを超える水位上昇の検出値によって入浴が検知されるか否かを判定する。
図2での退浴状態から入浴状態への遷移が検出されるとき、S22はYES判定とされ、それ以外はNO判定とされる。
【0048】
コントローラ12は、S22のNO判定時、即ち、退浴状態が維持されている間は、S26により、入浴時間Tbathの計時終了条件が成立しているか否かを判定する。例えば、S26は、浴槽20の排水検知時にYES判定とされる。具体的には、排水栓26の開放により循環アダプタ25が露出するレベルまで水位が低下したことが水位センサ11により一定時間検出されることで、S26をYES判定とすることができる。或いは、排水栓26が自動排水栓で構成される場合には、排水栓26の開放指令に連動させて、S26をYES判定とすることができる。
【0049】
計時終了条件が成立するまで(S26のNO判定時)、S22の判定は繰り返し実行される。即ち、S22がNO判定である状態は、入浴の検知を待機している状態に相当する。この状態から入浴が検知されると(S22のYES判定時)、S23以降の処理が実行される。
【0050】
コントローラ12は、S23により、タイマを作動し、入浴時間Tbathを計時する。そして、コントローラ12は、S24により、判定値-Hthを超える水位低下の検出によって退浴が検知されるか否かを判定する。
図2での入浴状態から退浴状態への遷移が検出されるとき、S24はYES判定とされ、それ以外では、S24はNO判定とされる。退浴が検知されるまでS25以降の処理は待機される。
【0051】
退浴が検知されると(S24のYES判定時)、コントローラ12は、S25により、タイマを停止することにより、入浴時間Tbathの計時を停止する。コントローラ12は、S25の処理後、再び処理をS22に戻して、入浴の検知を待機する状態となる。コントローラ12は、上述した入退浴判定処理の実行中、入浴検知又は退浴検知に関連する入退浴判定データをメモリ12mに記憶する。
【0052】
図4に戻って、コントローラ12は、S03により、端末機器130と通信接続されているか否かを判定する。端末機器130において、サーバ150からダウンロードされたアプリケーションプログラムが起動されると、端末機器130と給湯装置100とが通信接続されるため、S03はYES判定とされる。端末機器130と通信接続されていない場合、S03がNO判定とされる。
【0053】
端末機器130と通信接続されている場合(S03のYES判定時)、コントローラ12は、S02の入退浴判定処理における入浴検知又は退浴検知に関連する入退浴判定データをメモリ12mから読み出し、読み出した入退浴判定データを端末機器130へ送信する。
【0054】
コントローラ12は、S05により、端末機器130から、浴槽水位を確認するための要求(以下、水位確認要求とも称する)を受信したか否かを判定する。S05にて水位確認要求が受信されたとき(S05のYES判定時)には、コントローラ12は、水位確認要求の種別を判定する。
【0055】
本実施の形態において、水位確認要求には、浴槽20内の残り湯量の確認を目的とした水位確認要求(以下、残り湯確認要求とも称する)と、浴槽20内における入浴者の体動の確認を目的とした水位確認要求(以下、体動確認要求とも称する)とが含まれる。
【0056】
なお、入浴者の体動とは、浴槽20内で入浴者が手足や胴体を動かす、又は、入浴者が体勢を変更する等の入浴者の体の動きである。浴槽20内で入浴者が手足や胴体を動かす、又は、体勢を変更すると、浴槽水位が変化する。例えば、段差付の浴槽20において、入浴者が半身浴のために段差部に腰掛けた場合には、浴槽水位が低下する。一方、入浴者が段差部に腰掛けた状態から全身浴のために体勢を変更すると、浴槽水位が上昇する。なお、浴槽水位の変化量は入浴者の体動の大きさに応じた大きさとなる。
【0057】
水位確認要求が残り湯量確認要求であれば、S06はYES判定とされる。一方、水位確認要求が体動確認要求であれば、S06はNO判定とされる。端末機器130から残り湯量確認要求を受信した場合(S06のYES判定時)には、コントローラ12は、S07により、S01でメモリ12mに記憶された現在の水位検出値Htnを読み出し、現在の水位検出値Htnに基づくデータを端末機器130へ送信する。
【0058】
コントローラ12は、S08により、端末機器130からふろ自動運転の指示を受信したか否かを判定する。端末機器130の操作により、ふろ自動運転が指示されると、S08がYES判定とされる。コントローラ12は、ふろ自動運転の指示を受信すると(S08のYES判定時)、S09により、浴槽20への湯張り運転を実行する。当該湯張り運転は、給湯装置100からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、温度センサ9によって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
【0059】
ふろ自動運転の指示が受信されない場合(S08のNO判定時)には、コントローラ12は、S10により、端末機器130から追焚運転の指示を受信したか否かを判定する。端末機器130の操作により、追焚運転が指示されると、S10がYES判定とされる。コントローラ12は、追焚運転の指示を受信すると(S10のYES判定時)、S11により、追焚運転を実行する。当該追焚運転は、温度センサ9によって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
【0060】
これに対して、S06にて端末機器130から体動確認要求を受信した場合(S06のNO判定時)には、コントローラ12は、S14により、メモリ12mに記憶されている、水位検出値の時間波形データを端末機器130へ送信する。具体的には、コントローラ12は、入浴が検知された時点から現在までの期間に水位検出器11により検出された水位検出値をメモリ12mから読み出し、読み出した当該期間における水位検出値の時間変化を示す時間波形データを端末機器130へ送信する。
【0061】
コントローラ12は、S15により、端末機器130から、入浴者との通話を要求する通話要求を受信したか否かを判定する。通話要求を受信した場合(S15のYES判定時)には、コントローラ12は、S16により、端末機器130と浴槽20内のリモコン30とを通信接続することにより、リモコン30を用いた入浴者と端末機器130のユーザとの間の通話を実行可能とする。
【0062】
S05に戻り、端末機器130から水位確認要求を受信していない場合(S05のNO判定時)には、コントローラ12は、S12により、S02の入退浴判定処理において入浴が検知されているか否かを判定する。入浴が検知されていない、即ち、退浴状態が維持されている場合(S12のNO判定時)には、コントローラ12は処理を終了する。
【0063】
一方、入浴が検知されている場合(S12のYES判定時)には、コントローラ12は、S13により、タイマにより計時される入浴時間Tbathが、予め定められた設定時間Tsetを超えているか否かを判定する。入浴時間Tbathが設定時間Tset以下であれば(S13のNO判定時)、コントローラ12は処理を終了する。
【0064】
一方、入浴時間Tbathが設定時間Tsetを超えている場合(S13のYES判定時)には、コントローラ12は、S14~S16の処理を実行する。即ち、コントローラ12は、S14により、メモリ12mに記憶されている、入浴が検知された時点から現在までの期間における水位検出値の時間波形データを読み出して端末機器130へ送信する。更に、コントローラ12は、端末機器130から通話要求を受信したことに応じて(S15のYES判定時)、S16に進み、端末機器130と浴槽20内のリモコン30とを通信接続することにより、リモコン30を用いた入浴者と端末機器130のユーザとの間の通話を実行可能とする。
【0065】
図6は、端末機器130における制御処理を説明するフローチャートである。
図6に示された制御処理は、端末機器130において、浴槽水位や入退浴の検知に関するガイダンスを出力するプログラムとして実行することができる。この場合、端末機器130は、サーバ150からダウンロードされたアプリケーションプログラムを、給湯装置100(コントローラ12)と通信接続することによって実行することになる。
【0066】
図6を参照して、端末機器130は、S31により、給湯装置100から、入退浴判定データを受信したか否かを判定する。入退浴判定データを受信した場合(S31のYES判定時)、端末機器130は、入退浴判定データに基づいて、入浴検知の有無、及び、退浴検知の有無を示す情報をディスプレイ(図示せず)に表示する。
【0067】
端末機器130は、S33により、水位確認要求のユーザ入力を受け付けたか否かを判定する。S33では、水位確認要求の入力を受け付けるための入力画面が端末機器130のディスプレイに表示される。当該入力画面へのユーザ入力が検知されたとき、S33はYES判定とされる。それ以外は、S33はNO判定とされる。
【0068】
水位確認要求のユーザ入力を受け付けると(S33のYES判定時)、端末機器130は、S34により、水位確認要求の種別を判定する。上述したように、水位確認要求は、残り湯量確認要求と、体動確認要求とを含んでいる。水位確認要求が残り湯量確認要求であれば、S34はYES判定とされる。一方、水位確認要求が体動確認要求であれば、S34はNO判定とされる。
【0069】
残り湯量確認要求のユーザ入力を受け付けた場合(S34のYES判定時)には、端末機器130は、S35により、受け付けた残り湯量確認要求を給湯装置100へ送信する。残り湯量確認要求を送信した後、コントローラ12は、S36により、給湯装置100から、現在の水位検出値Htnに基づくデータを受信したか否かを判定する。現在の水位検出値Htnに基づくデータを受信するまで(S36のNO判定時)、S35の判定は繰り返し実行される。即ち、S36がNO判定である状態は、現在の水位検出値Htnに基づくデータの受信を待機している状態に相当する。この状態から現在の水位検出値Htnに基づくデータを受信すると(S36のYES判定時)、S37以降の処理が起動される。
【0070】
端末機器130は、S37により、現在の水位検出値Htnに基づくデータを用いて、浴槽20内の残り湯量を示す情報をディスプレイに表示する。
図7は、端末機器130のディスプレイに表示される残り湯量の表示例を模式的に示す図である。
図7に示すように、ディスプレイには、浴槽20内の水位のレベルを模式的に示す図面が表示される。当該図面は、現在の水位検出値Htnに基づいて作成されたものである。当該図面には更に、設定水位を表示することができる。これによると、端末機器130のユーザに対して、浴槽20内の残り湯量を視覚的に知らしめることができる。
【0071】
なお、端末機器130は、
図7に示した図面を表示するとともに、浴槽20の設定水位に関する設定操作を受け付け可能とされている。設定水位に関する設定操作を受け付けた場合には、端末機器130は、受け付けた設定水位を給湯装置100(コントローラ12)へ転送する。
【0072】
図6に戻って、端末機器130は、S38により、ふろ運転を指示するユーザ入力を受け付けるための操作画面をディスプレイに表示する。ふろ運転は、ふろ自動運転と、追焚運転とを含む。当該操作画面においてふろ運転を指示するユーザ入力を受け付けると(S39のYES判定時)、コントローラ12は、S39により、受け付けたユーザ指示を給湯装置100へ送信する。
【0073】
このように浴槽20内の残り湯量が端末機器130に表示されることにより(
図7参照)、ユーザは、残り湯量から排水栓26が閉じている状態であることを確認することができる。従って、排水栓26が開放しているのにもかかわらず、ふろ自動運転の指示に応答して湯張り運転が実行されて、無駄な注湯がなされることを防止することができる。
【0074】
又、排水栓26が手動排水栓で構成されている場合において、浴槽水位が水位センサ11が検出できる下限値を下回っているときには、ユーザは排水栓26が閉じているのか否かを判断することができない。この場合、コントローラ12は、ふろ自動運転のユーザ指示に応答して、排水栓26の確認をユーザに促すためのガイダンスを端末機器130に出力させる構成としてもよい。
【0075】
一方、排水栓26が自動排水栓で構成されている場合には、コントローラ12は、ふろ自動運転のユーザ指示を受け付けたときに、排水栓26を自動的に閉止する構成としてもよい。
【0076】
S34に戻って、体動確認要求のユーザ入力を受け付けた場合(S34のNO判定時)には、端末機器130は、S41により、受け付けた体動確認要求を給湯装置100へ送信する。体動確認要求を送信した後、端末機器130は、S42により、給湯装置100から、水位検出値の時間波形データを受信したか否かを判定する。水位検出値の時間波形データを受信するまで(S42のNO判定時)、S42の判定は繰り返し実行される。即ち、S42がNO判定である状態は、水位検出値の時間波形データの受信を待機している状態に相当する。この状態から水位検出値の時間波形データを受信すると(S42のYES判定時)、S43以降の処理が起動される。
【0077】
端末機器130は、S43により、水位検出値の時間波形データを用いて、入浴が検知された時点以降の所定期間内の浴槽水位の時間変化を示す情報をディスプレイに表示する。
図8(A)は、端末機器130のディスプレイに表示される浴槽水位の時間変化を示す情報の表示例を模式的に示す図である。
【0078】
図8(A)に示すように、ディスプレイには、浴槽水位の時間変化を示すグラフが表示される。
図8(A)の例では、縦軸を浴槽水位とし、横軸を時間とする折れ線グラフが表示されている。このグラフには、入浴が検知された時点(時刻ta)から端末機器130から体動確認要求を受け付けた時点(時刻tb)までの期間における浴槽水位の時間変化が示される。即ち、入浴時間Tbathにおける浴槽水位の時間変化が示される。
【0079】
なお、所定期間は、ユーザが任意に設定することができる。
図8(A)の例では、所定期間は、入浴が検知された時点から現在までの時間(即ち、入浴時間Tbath)に設定されている。但し、所定期間は、これに限らず、入浴が検知された時点(時刻ta)以降の任意の期間に設定することができる。従って、例えば、時刻taよりも後であって、現在から予め定められた所定期間遡った時点から現在(時刻tb)までの浴槽水位の時間変化を示す構成としてもよい。
【0080】
給湯装置100に対して体動確認要求を送信した端末機器130のユーザは、端末機器130のディスプレイに表示されるグラフ(
図8(A)参照)を参照することにより、入浴者の体動を確認することができる。これによると、ユーザは、浴室200に出向くことなく、入浴者の安否を確認することができる。
【0081】
具体的には、グラフにおいて浴槽水位の変化が確認される場合には、ユーザは、入浴者が浴槽20内で体勢を変更した、又は、手足や胴体を動かしたと判断することができる。即ち、入浴者が正常な状態であると判断することができる。一方で、グラフにおいて浴槽水位の変化が確認されない場合には、ユーザは、入浴者が浴槽20内で手足や胴体を全く動かしていないと判断することができる。従って、入浴者に何等かの異常が生じていることを推測することができる。
【0082】
端末機器130は、S44により、入浴者との通話を要求する通話要求のユーザ入力を受け付けたか否かを判定する。S44では、通話要求の入力を受け付けるための入力画面が端末機器130のディスプレイに表示される。入力画面へのユーザ入力が検知されたとき、S44はYES判定とされる。それ以外は、S44はNO判定とされる。
【0083】
通話要求のユーザ入力を受け付けた場合(S44のYES判定時)には、端末機器130は、S45により、受け付けた通話要求を給湯装置100へ送信する。通話要求を受信した給湯装置100(コントローラ12)が端末機器130と浴槽20内のリモコン30とを通信接続することにより(
図4のS16参照)、S46により、リモコン30を用いた入浴者と端末機器130のユーザとの間の通話を実行可能となる。これにより、端末機器130のユーザは、リモコン30を介して、入浴者に対し、声掛けを行うことができる。入浴者が声掛けに応じない場合には、ユーザは浴室200に出向いて入浴者の様子を確認した上で適切な処置を採ることができる。
【0084】
S33に戻って、入力画面に対する水位確認要求のユーザ入力が検知されない場合(S33のNO判定時)には、端末機器130は、S42以降の処理を実行する。即ち、端末機器130は、S42により、給湯装置100から、水位検出値の時間波形データを受信したか否かを判定する。水位検出値の時間波形データを受信したときには(S42のYES判定時)、端末機器130は、S43により、水位検出値の時間波形データを用いて、入浴が検知された時点以降の所定期間内の浴槽水位の時間変化を示す情報をディスプレイに表示する。
図8(B)は、端末機器130のディスプレイに表示される浴槽水位の時間変化を示す情報の表示例を模式的に示す図である。
【0085】
図8(B)では、
図8(A)と同様に、浴槽水位の時間変化を示すグラフ(例えば、折れ線グラフ)がディスプレイに表示される。但し、
図8(B)のグラフには、入浴が検知された時点(時刻ta)から入浴時間Tbathが設定時間Tsetを超えたと判定された時点(時刻tc)までの所定期間における浴槽水位の時間変化が示される点が、
図8(A)のグラフとは異なっている。
【0086】
なお、
図8(B)の例では、所定期間は、入浴が検知された時点から現在までの時間(即ち、入浴時間Tbath)に設定されている。但し、所定期間は、これに限らず、入浴が検知された時点(時刻ta)以降の任意の期間に設定することができる。従って、例えば、時刻taよりも後であって、現在(時刻tc)から予め定められた所定期間遡った時点から現在までの浴槽水位の時間変化を示す構成としてもよい。
【0087】
このように入浴時間Tbathが設定時間Tsetを超えた場合には、端末機器130のユーザからの体動確認要求に依ることなく、入浴検知時点から現在までの水位検出値の時間波形データが自動的に端末機器130に送信され(報知され)、当該時間波形に基づいた浴槽水位の時間変化を示すグラフが端末機器130のディスプレイに表示される。これによると、端末機器130のユーザは、ディスプレイに表示されるグラフ(
図8(B)参照)を参照することにより、入浴者の入浴時間Tbathが設定時間Tsetを超えたことを知ることができる。更に、ユーザは、入浴者の体動を確認することによって、入浴者の安否を確認することができる。即ち、入浴時間Tbathが設定時間Tsetを超えている状況が、入浴者の異常によるものかどうかを推測することができる。
【0088】
端末機器130は、入浴者との通話を要求する通話要求のユーザ入力を受け付けると(S44のYES判定時)、S45により、受け付けた通話要求を給湯装置100へ送信すする。S46により、リモコン30を用いた入浴者と端末機器130のユーザとの間の通話を実行可能となると、ユーザは、リモコン30を介して、入浴者に対して声掛けを行うことができる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態に係る給湯システムによれば、端末機器のディスプレイには、浴槽の水位検出値を用いて、入浴中の浴槽水位の時間変化が表示されるため、端末機器のユーザは、当該時間変化を基に入浴者の体動を確認することにより、浴室200に出向くことなく、入浴者の安否を確認することができる。
【0090】
更に、本実施の形態に係る給湯システムでは、端末機器のユーザからの体動確認要求を受け付けた場合に限らず、入浴時間が設定時間を超えた場合には、体動確認要求に依ることなく、入浴中の浴槽水位の時間変化が自動的にディスプレイに表示される。これによると、ユーザは、入浴者の入浴時間が設定時間を超えていることを知ることができるとともに、入浴者の体動を確認することで入浴者の安否を確認することができる。
【0091】
更に、本実施の形態に係る給湯システムによれば、上述した浴槽水位の時間変化を端末機器130に表示させる構成に加えて、ユーザからの要求に応じて、現在の浴槽水位を端末機器130に表示させる構成を備えている。よって、ユーザは、端末機器130に表示された残り湯量から排水栓26が閉状態であることを確認した上で、端末機器130を操作してふろ自動運転又は追焚運転を指示することができる。
【0092】
なお、浴槽水位の時間変化を表示させる場合には、浴槽水位の時間波形を示すグラフを端末機器130に表示することで、ユーザは浴槽水位の変動を容易に確認することができる。一方、現在の浴槽水位を表示させる場合には、浴槽内の水位のレベルを示す図面を端末機器130に表示することで、ユーザは浴槽内の残り湯量を容易に確認することができる。
【0093】
[その他の構成例]
(1)上述した実施の形態では、給湯装置100のコントローラ12と端末機器130との通信接続により、コントローラ12内のメモリ12mに記憶された水位データおよび入退浴判定データを端末機器130へ送信する構成例について説明したが、サーバ150により蓄積及び管理されている水位データ及び入退浴判定データを端末機器130へ送信する構成としてもよい。これによると、端末機器130は、過去の水位データ及び入退浴判定データをサーバ150から読み出して表示させることができる。又、コントローラ12は、メモリ12mに蓄積されている水位検出値の一部を削除することができるため、水位データおよび入退浴判定データのためのメモリ容量を抑制することができる。
【0094】
(2)端末機器130の操作により、ふろ自動運転が指示された場合には、給湯装置100のコントローラ12は、浴槽20への湯張り運転を実行する(
図4のS09参照)。湯張り運転の開始後に、水位センサ11によって浴槽水位を検知できない状態が予め定められた所定時間継続したときには、排水栓26の閉め忘れの可能性があると判断される。この場合、コントローラ12は、浴槽水位を検知できない状態が所定時間継続していることを端末機器130へ送信する。これにより、端末機器130のユーザに対して排水栓26の閉め忘れを報知することができる。
【0095】
(3)上述した実施の形態では、
図4および
図5に示した制御処理については、コントローラ12で実行される例を説明したが、当該制御処理を実行する主体はこれに限定されるものではない。例えば、リモコン30又は50に格納されたマイクロコンピュータ(図示せず)によって当該制御処理を実行することも可能であり、「制御回路」に対応する機器は特定されるものではない。「制御回路」の機能は、給湯システム300の外部機器によって実現することも可能である。
【0096】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許制球の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
5 給湯回路、7 追焚回路、11 水位センサ、12 コントローラ、20 浴槽、21 浴槽水、30,50 リモコン、100 給湯装置、130 端末機器、200 浴室、250 通信システム、300 給湯システム。